ssnote

x

新規登録する

作品にスターを付けるにはユーザー登録が必要です! 今ならすぐに登録可能!

この作品は執筆を終了しています。

アニ「日記」

    • Good
    • 3

loupe をクリックすると、その人の書き込みとそれに関連した書き込みだけが表示されます。

▼一番下へ

表示を元に戻す

  1. 1 : : 2014/10/07(火) 00:54:45

    注意事項

    ※短編

    ※地の文ばかり
  2. 2 : : 2014/10/07(火) 00:55:52




    5/15



    今からここに記すのは


    私の思い出

    私の苦い思い出

    だけど忘れたくない

    とても、大切な大切な




                       思い出




    きっと私はこの日記を読み返さないだろう

    でも今書かなくてはならない

    誰にも読まれることのない

    この日記を


    今日やっと終わったから

    本当の意味で終わったのだから

    あの日踏ん切りをつけたはずの


    私の恋が




    これは


    とある少女の恋物語。
  3. 3 : : 2014/10/07(火) 00:57:33




    3/18



    私は卒業した


    そしてこの日、私は諦めた

    この想いをあいつに伝えることを

    諦めた



    いまでも覚えている

    あの日はよく晴れていた

    雲ひとつない、澄み切った青空だった

    もう春がすぐそこまで来ていて
    だんだん暖かくなってきている

    そんな時期だったはずなのに
    あの日はどこか肌寒かった



    あの日の事は忘れられない

    初めて好きな人の家に上がった日

    初めて一緒に遊んで、ご飯食べて

    花火した日


    とても綺麗な花火だった

    だからせつなかった

    悲しかった

    花火は尽きてしまうから

    ほんの数十秒の輝き

    だからこそ

    その一瞬に


    この花は美しく咲くのだ


    綺麗な花火ほどそう思えてしまう

    その火薬の匂いが

    私の心の隙間に入り込む

    泣きそうになった

    私をここまで追い込む

    あんたの横顔を見たから

    花火に照らされた愛おしい横顔を

    だから

    この日は忘れられそうにない



    この日私の携帯にあんたの名前が刻まれたよ

    あんたの携帯にも私の名前が刻まれたんだよね

    それがどれだけ嬉しかったか

    それだけのことで私がどれほど喜んだか

    あんたにわかるかい?


    だけどいまはつらいよ

    あんたからのメールは嬉しいはずなのに

    今日のメールは死んでしまうほど

    胸が痛いよ

    あんたの名前を消してしまいたいほど

    苦しいよ

    だけど私は

    きっとあんたの名前を消すことは
    出来ないんだろうね


    やっぱり好きだから

  4. 4 : : 2014/10/07(火) 00:59:24




    3/20



    中学校を卒業したばかりの私はすることは何もなく

    ただ、時間が流れるのをじっと、眺めていた

    静寂に身を包みながら

    その静寂の殻を打ち破ったのは

    片想いのラブソングだった

    そして

    私の携帯にはあんたの名前が

    ドキドキしたよ

    心臓が確実に早くなって

    手に汗を握った

    携帯を開くのに緊張した

    すごくね

    私は正座しながら携帯を開いたのを覚えている

    そこには

    あんたからのお誘いのメールがあった


    …………一斉送信で

    "暇だから遊ぼう"って

    正直がっかりしたし

    さっきまでの自分が恥ずかしくなった

    一斉送信ってなんだいって思った

    誰がそんな機能考えたのか

    文句を言ってやりたい

    私はそんなことしか考えなかった



    だから油断したんだ

    もう一通のメールに

    それは一斉送信ではなく

    ちゃんと私だけの名前が刻まれてて

    "アニは絶対こいよ"って

    かわいい絵文字と一緒に

    顔が一気に火照った

    頬が真っ赤になるのがわかった

    誰もいないのに、自分で自分の顔を隠してしまったほどにね

    返信するべきか

    そんなことを真剣に考え、悩んだ 

    結局、"仕方ないね笑"、と送ってしまった

    なんて可愛げのないメールだ

    いまになってそう思う

    あぁ…恥ずかしい

    あんたのメールのほうが女子力あったよ

    それに、絵文字なんて使う勇気

    あのときの私にはなかった

    それからしばらくあんたからの返信待ったんだよ?

    なのにあんたは……

    あのときの乙女心返してよ

    私は着て行く服まで悩んだんだから

    たかが近所に遊びに行くだけのために

  5. 5 : : 2014/10/07(火) 01:01:13




    ピンポーン


    カルラ「はーい?あら、アニちゃん」

    アニ「こんにちは」ペコッ

    カルラ「こんにちは」フフッ

    カルラ「エレンでしょ?ちょっと待ってね」

    アニ「あ、はい」

    カルラ「エレーン!アニちゃんが来てくれたわよ!」

    エレン「あーい」


    トッ、トッ、トッ


    エレン「おう、来てくれたか」

    アニ「暇だったからね」

    エレン「おし、じゃあ行くか」

    アニ「行く?どこに?」

    エレン「ボーリング」

    アニ「………2人でするつもりかい?」

    エレン「さすがに寂しいわwミカサとライナー、ジャンもボーリング場に着いてるってさ」

    アニ「そっか…」

    アニ「(少しでも2人きりだと思った自分が恥ずかしい)」

    アニ「ん?そういえばベルは?」

    エレン「あぁ、誘ったんだけど返信がないんだよ」

    アニ「なにしてるんだろうね」

    エレン「さぁな。とりあえず場所は連絡しといたから、暇なら来てくれるだろ」

    アニ「そうだね」

    エレン「てか、話変わるけど…」

    アニ「なに?」

    エレン「アニってスカート履くんだな。ズボンのイメージばっかだったから意外だ」

    アニ「…っ////……変…かな?///」

    エレン「いいや?普通だぞ?」

    アニ「………あっ、そう」

    エレン「えっ?なに怒ってんだよ」

    アニ「怒ってないし」

    エレン「いや、怒ってんじゃん」

    アニ「うるさいな、怒ってないって」

    エレン「うるさいって……あっ、もしかしてお前……」

    アニ「……っ!」ドキッ

    エレン「まさか…」

    アニ「別にかわいいとか言って欲しかったわけじゃ///……」ボソ

    エレン「ボーリング嫌だった?」

    アニ「……」

    エレン「あー…まぢか、カラオケにしとく?」

    アニ「……わざと?」

    エレン「へ?」

    アニ「……」

    エレン「……?」

    アニ「………ぷっ」

    エレン「…なんだよ」

    アニ「別に」

    エレン「気になるだろ、言えよ」

    アニ「ボーリングで、私に勝ったら教えてあげるよ」

    エレン「おっ、言ったな!」

    アニ「フフッ」

    エレン「って、ボーリングで良かったのかよ!?」

    アニ「まぁね。ほら、早く行くよ」

    エレン「はいはい」




    結局このあと私がぶっちぎりの一位だったけどね


    もしかしたら…

    この時、負けた方が良かったかも

    そしたら…言えたかもしれない


    あの時、私はボーリングが嫌だったんじゃなくて

    好きなあんたに褒めて欲しかっただけだって……

    なんてね


  6. 6 : : 2014/10/07(火) 01:03:16



    私は好きな人と

    中学では話もあまりしない間柄だったのに

    不思議と卒業してからはすごく仲良くなれた

    卒業式の日、なにかふっ切れたからかも

    いや…ほんとにふっ切れたのかな?

    だってこうして日記を書いてる今でも

    胸は痛いから


    確かこの日も私の胸はひどく痛んだ



    4月1日



    ミカサ「アニ」

    アニ「はい」

    ミカサ「今日から4月よ」

    アニ「そうですね」

    ミカサ「あと一週間後は高校の入学式」

    アニ「ドキドキしますね」

    ミカサ「エレンといる時とどっちがドキドキする?」

    アニ「うるさい。それで?なにが言いたいのさ」

    ミカサ「エレンといる時に決まってるか」クス

    アニ「……」ギロッ

    ミカサ「ごめんなさい」

    アニ「…はぁ」

    ミカサ「まぁ、私が言いたいのはエレンと過ごせるのもあと少しってこと」

    アニ「……そだね」

    ミカサ「てなわけで告白なさい、今から」

    アニ「……なんでそうなる?」

    ミカサ「だってあなた、このまま伝えないつもりでしょ?」

    アニ「ばれてたか」

    ミカサ「何年の付き合いだと思っているの?」フフン

    アニ「3年」  

    ミカサ「やめなさい」

    アニ「って!あんたなにしてんのさ!」

    ミカサ「エレンに電話かけてる」

    アニ「しかもそれ私の携帯だし!」

    ミカサ「そうじゃなきゃ意味ない」

    アニ「ちょ!本気でやめっ…」

    ガチャ

    エレン「"もしもし?"」

    アニ「」

    ミカサ「……!」グッ

    アニ「(グッ!っじゃねーよ!)」

    エレン「"もしもーし?アニー?"」

    ミカサ「エレン」

    アニ「なっ!」

    エレン「"なんだミカサか"」

    ミカサ「今からアニが大事な話をする。良く聞いて」

    エレン「"お、おう"」

    ミカサ「はい」

    アニ「はいって……」

    エレン「"アニ?"」

    アニ「ひゃ、ひゃい!」

    ミカサ「(ひゃいって……)」

    エレン「"なんだよ、話って"」

    アニ「あっ、いや…その…」

    エレン「"……当ててやろうか?"」

    アニ「えっ?……」

    エレン「"お前が今から言うこと"」

    アニ「……無理だよ、わかりっこない」

    エレン「"わかるさ"」

    アニ「っ!」

    エレン「"皆、俺を鈍感ってバカにするけど……"」

    エレン「"お前が言いたいことくらい……わかるよ、アニ"」

    アニ「エレン……」

    エレン「"……好きです…だろ?"」

    アニ「!……そうだよ…」

    アニ「なんで…わかったの?」

    エレン「"…俺に言わせるつもりか?"」

    アニ「…私…わかりやすかった?」

    エレン「"かなりな"」

    アニ「そっか…恥ずかしいな…」

    エレン「"けど、意外だな"」

    アニ「なにが?」

    エレン「"アニがこんなことするなんて"」

    アニ「…私だって…伝えたいよ」

    エレン「"…考えることは、同じだな"」

    アニ「えっ…」

    エレン「"俺も今日、伝えるつもりだったよ"」

    アニ「…嘘よ」

    エレン「"本当さ、アニに…"」





    エレン「"好きですって"」



    アニ「……エレン」


    エレン「だって…」












    エレン「"今日エイプリルフールだもんな"」

    アニ「」

    エレン「"いやー、それにしても考えることは一緒だな!"」

    エレン「"偽のこくはーー"」

    ブツッ、…ツゥー、ツゥー、ツゥー


    アニ「……みかさ?」

    ミカサ「はい」

    アニ「……付き合うことになった」

    ミカサ「嘘つけ」

    アニ「……ミカサ?」

    ミカサ「はい、ごめんなさい」

    アニ「…知ってたの?今日エイプリルフールって」

    ミカサ「忘れてました」

    アニ「………はぁ」

    アニ「偽の告白……か」

  7. 7 : : 2014/10/09(木) 06:53:45




    この日私は気づいてしまった

    いや、もとから薄々気づいてはいたが

    変な期待を持たないようにしていたが

    やはり現実を見るのはつらい

    エレンにとって私は結局、日常の一部でしかないのだ

    私はエレンの特別な存在にはなれない

    そのことに、この日はっきりと気づいてしまった



    ミカサ「……アニ」

    ミカサ「…ごめんなさい、私は少しでしゃばり過ぎた…」

    アニ「少しじゃないけどね」

    ミカサ「あぅ……」

    アニ「ふふっ、冗談さ。ミカサには感謝してる」

    これで後悔はなくなった

    踏ん切りをつけれた

    卒業式の日に踏ん切りをつけたはずだったが

    私の中にモヤモヤとしたものがあった

    これがなにかは、わからないけど

    それがなくなった気がした

    いや、なくなったのだ

    そう言い聞かせる

    そう言い聞かせないと、揺らいでしまうから

    踏ん切りをつけたこの気持ちが


    ミカサ「……大丈夫。女はふられて強くなる」

    アニ「いや、ふられてないし」

  8. 8 : : 2014/10/09(木) 07:05:08


    卒業式にこの想いを諦めた

    そしてこの日モヤモヤはなくなった

    少し気が楽になった

    思ったほど悲しくはなかった

    これからは前を向いて新しい恋をしていこう

    そう、誓った



    はずなのに

    今、

    これを書いている私の中の

    モヤモヤはなんだろう

    こんなにも悲しいのはなぜだろう

    やっぱりちゃんと言っとけば良かった

    そう思うのはなぜだろう

    そしたら、もしかすればと、

    思うのはなぜだろう

    この大きな後悔はなんだろう

    こんなにもあんたを忘れられないのはなぜだろう

    授業中、メールを見ても涙はでなかったのに

    だったら

    今、こんなにも溢れてくるのは

    一体、なんだろう

    なぜ、こんなにも溢れてくるのだろう

    日記が霞むのはなぜだろう








    会いたいよ、エレン

  9. 9 : : 2014/10/09(木) 22:19:59



    4/9



    入学式が行われたこの日

    私は高校生となった

    新品の匂いのする制服を身にまとい

    どこか年期を感じる体育館に敷き詰められた

    初々しい雰囲氣の中に私はいた

    私は、校長の長い話に聞き飽きて

    ふと、ライナーを見る

    ライナーは背筋を伸ばし校長の話に耳を傾けていた

    その姿はどこか緊張してるようにも見えた

    満開の桜が少しづつ散ってゆくこの時期に行われた入学式は

    私にとっては懐かしいものだった

    なぜなら私は、中学の入学式にはいなかったから



    中学の入学式

    私は熱を出していた

    しかも中々、熱は下がらなかった

    熱がやっと下がったときには

    すでに入学式から一週間が経っていた

    熱が下がったとき、私は怖かった

    学校に行くことが

    前もってライナーとベルとはクラスが違うことは知っていた

    だから行きたくなかった

    きっと周りは友達を作っているだろう

    友達グループが出来上がっているクラスに

    目つきの悪い、極度の人見知りである私が放り込まれたとして

    私がその輪に入れるとは到底思えなかったからだ

    しかし学校を休む理由もなく、

    しぶしぶと私は学校に向かうはめになった

  10. 10 : : 2014/10/09(木) 22:54:32



    ガラッと音をたて、私は教室へと入った

    騒いでいた教室は一瞬静かになり、私に注目が集まるが

    またすぐに騒がしい教室へと戻っていく

    その数秒の出来事ですでに私は恥ずかしくて体温が上がっていた


    そして……さて、困った


    アニ「(私の席…どこだろ?)」


    私の名前は「ア」で始まる為、前の方の席であるとは思うが

    それは出席番号だったらの話で、

    すでに席替えをしている可能性もある

    それ以前にクラスの人たちは、まるで休み時間のように

    朝から別々のグループで騒いでいるので、

    空いている席がわからないのだが


    アニ「(…大人しく、先生が来るまで廊下にいよ…)」


    そのときだった

    この瞬間から、

    私の中学生活は苦いものになったのかも

    苦くて、切なくて、大切なものに


    エレン「お前なにしてんだよ?荷物持ったまま廊下で」

    アニ「あっ…いや、えっと……席がわからなくて……」

    エレン「あーな、お前アニか」

    アニ「えっ…」

    エレン「お前俺の前の席なんだよ。あっ、俺はエレンな。よろしく」

    アニ「う、ん。よろしく…」


    ミカサ「エレン?先生に呼ばれているのだから、早くして」

    エレン「わかってるよミカサ。ほら、お前の席はそこだから」

    アニ「あ、ありがと」ボソ


    私がお礼を言う前にエレンという少年は行ってしまった

    全てが未知の恐怖に包まれているこの学校で

    私はエレンが唯一の希望のように思えた

    大袈裟だけど

    そして

    私はこのとき、エレンと友達になりたいと思ったのだが

    それが叶うのに三年かかるとは思わなかった

    ちなみに

    その日にミカサとは友達になったのだが

    ………全てを把握された上でね


    ミカサ「アニってエレンのこと好きでしょ?」


    これが初会話だった

    全く…一生ミカサには勝てる気がしないよ
  11. 11 : : 2014/10/11(土) 11:31:26



    アニ「(あんなこともあったな…)」

    柄にもなくしみじみとしてしまい

    私が思い出に浸っているうちに長い校長の話は終わっていた

    あのときは、

    エレンのおかげでミカサと友達になれたと言っても過言ではない

    でももうエレンはいない

    それが嫌だった

    なにが嫌なんだろう

    もうあいつに未練はないはずなのに

    恋というものは、よくわからない


    アニ「……難しい」




    ライナー「アニとはまたクラスが違ったな」

    アニ「残念だね」

    ジャン「おいアニ!俺と一緒だぜ」

    アニ「……残念だね」

    ジャン「……」

    アニ「ふふっ、冗談だよ。落ち込まないで」

    ジャン「笑えねぇよ……」

    ライナー「はははっ、それにしてもジャンは良かったのか?」

    ジャン「なにがだ?」

    ライナー「ミカサだ。ミカサとは別の高校だろ?」

    ジャン「そりゃ、一緒が良かったが仕方ないだろ。こればっかりは」

    アニ「ジャンは……どうするの?」

    ジャン「あのな、お前ら主語がねぇんだよ。いいか?日本語ってのは主語と述語で初めて…」

    アニ「あーもう、悪かったよ」

    ジャン「それで?なにがどーするだ」

    アニ「それは…その…ミカサに対する…想い?」

    ジャン「……お前ってそんな乙女なこと言う奴だっけ?」

    アニ「……質問に答えなよ」

    ジャン「んなもん想い続けるに決まってんだろ」

    ライナー「ほぉ」

    ジャン「なにを今更、俺はミカサが好きなんだ。諦めてたまるか」

    ライナー「ふられたけどな」

    ジャン「うるせぇ!」

    アニ「……あんたは清々しいね」

    ジャン「は?なに言ってんだ?俺は自分に正直なだけだ」

    アニ「……羨ましいよ」

    ジャン「アニは…苦しくないのか?」

    アニ「苦しい?」

    ジャン「あぁ、お前を見てるとなんだか辛そうだ」

    アニ「…私は……」

    ジャン「…すまん。少し余計だったな」

    アニ「……」


    アニ「(なんで私は…ジャンが羨ましいと…)」


    アニ「(私は…正直者にはなれないかもね)」
  12. 12 : : 2014/10/11(土) 15:22:48


    5/9



    高校生になって一ヶ月


    クラスの人たちは皆優しくて
    ある程度クラスには馴染めていた

    クラスメイトの一人一人の顔と名前も覚えられて、

    毎日が楽しい

    そんな時期だった

    私は生まれて初めての経験をする


    それはゴールデンウィーク開けの出来事だった

    そこは屋上というベタな場所で

    放課後というベタな時間帯で

    私の鼓動は早く脈を打っていた



    アルミン「付き合って下さい///」

    アニ「あ…えっ…あ…えっと…その…////」



    ジャ物陰「"あ"と"え"しか言えてねぇぞあいつ」コソコソ

    ライ物陰「うむ…なんだこの…娘を嫁に出す様な父親の気分は」

    ジャ物陰「(知らねぇよ…)」

    ライ物陰「やはりどこの馬の骨かも知らない男にアニをやるわけには……」

    ジャ物陰「しっ!アニがなにか言うぞ!」

    ライナー「なに!?」グイッ

    ジャ物陰「ぐへっ!おい、隠れろ…ってか俺の上からどけ!」



    アニ「あの…///ご、ごめん」

    アルミン「…そっか…他に好きな人でもいたのかな?」

    アニ「好きな人…は…」



    "おう!こっちこそありがとな"



    アニ「……」


    なんで今、

    あいつのことを思い出すのだろう


    アニ「わかんない…」

    アルミン「わかんない?」

    アニ「ごめん…せっかく勇気出してくれたのに、こんな曖昧なことしか言えなくて」

    アルミン「…ううん、聞いてくれてありがとう。でも僕諦めないから」

    アニ「えっと…///」

    アルミン「じゃあね」ニコッ

    アニ「あっ…」



    ジャ物陰「やべっ!こっちくるぞ!」

    ライ物陰「今アニに見つかったら俺たちの命はないっ!隠れ…」


    アルミン「あっ…」


    ジャン「」

    ライナー「」


    アルミン「見られてたんだ…///」


    ジャン「」

    ライナー「」


    アニ「………へぇ」


    ジャ物陰「」

    ライ物陰「」


    アニ「なに今更隠れてるんだい」


    ジャ物陰「」ダラダラ

    ライ物陰「」ダラダラ


    アニ「……3つ」


    ジャ物陰「?」

    ライ物陰「?」


    アニ「3つ数える間に出てこないと本気で蹴る」


    「「すっ、すいませんでしたぁああああ
    ああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」」


    アニ「よろしい」ガシ


    「「ぎゃああああああぁぁぁぁ!!!」」


    アルミン「…かっこいい///」
  13. 13 : : 2014/10/11(土) 15:41:21


    ミーナ「えー!ふっちゃったの!?」

    アニ「うん」

    ミーナ「なんで!?アルミンかっこ良くて優しそうじゃん!」

    アニ「んー……わかんない」

    ミーナ「ちょと、わかんないって…」

    アニ「仕方ないだろ?わからないんだから」

    ミーナ「もう!…それで?」

    アニ「なにが?」

    ミーナ「アルミンよ!アルミン!なんて言ったの?」

    アニ「なんてって……」

    ミーナ「"それでも僕はアニさんのこと諦めない"とか!」

    アニ「まぁ…そんなんじゃなかったけど」

    ミーナ「えぇ!?言ったの?諦めないって言ったの?」

    アニ「うん…言われた///」

    ミーナ「きゃー♡」

    アニ「なにさ…///」

    ミーナ「かっこ良すぎでしょ!アニには勿体無いくらい」

    アニ「むっ…」

    ミーナ「ほんと、なんでふっちゃったのよ?」

    アニ「わからないって言ってるでしょ」

    ミーナ「答えになってないわよ、他に好きな人でもいるの?」

    アニ「(なんで皆同じこと聞くんだろうね…)」

    アニ「だから……」



    自分でも

    この気持ちがわかんないんだよ

    ただ…

    あいつの顔が出てくるだけ



    アニ「…ほんと、なんでだろうね」

  14. 14 : : 2014/10/11(土) 16:14:19



    5/15



    つまり

    今日

    私の恋物語は終わった


    卒業式からの思い出をこうして日記にしてみたわけだが

    どうやら日記では

    私の思い出を

    私が思ったことを

    私が感じたことを


    私のあいつに対する想いを


    詳細に綴(つづ)ることは難しいらしい

    でも忘れたくなかったから

    今日までの私がしてきた恋を

    嫌だったから

    涙さえ出なかったあのときの自分が

    だから私はこの日記を書いた

    誰にも読まれないこの日記を

    正直、

    なんでこんなことを書いているのか

    今でもわからない

    でも書いてみて良かったと思う

    きっと全て吐き出せたから

    今では涙が止まらないから

    あいつとの思い出がさっきから

    溢れてくる

    とても大切な

    大切な

    思い出が

    今日、送られてきたメールには

    画像が載っていた

    綺麗な金髪

    碧い目

    私も持っているものだけど

    そこに写っているのは

    私じゃない綺麗な女の子と

    私が想いを寄せている人

    しつこいようだが

    今日、とある少女の恋物語は

    終わった



    だけど

    もしかしたら

    まだ終わってないのかもしれない


    いや、本当は終わっているのだ

    認めたくないだけ


    だって私はまだこんなにも


    あんたを忘れられないから


    ただ、

    今日わかったよ

    私は


    あんたが


    やっぱりすごい好きだ


    とても

    とても











    茶色く変色したどこにでも売っているノート


    その中の文字はそこで終わっていた


    「アニ……」


    それは誰にも読まれない日記


    書いた彼女自身にも読み返されない日記


    そうなるはずだった


    しかし数年後


    線香の匂いが染みついた黒いスーツを身に纏う


    1人の男によって


    再びこの日記が光を浴びることになるのは


    また別のお話


  15. 15 : : 2014/10/12(日) 11:50:51
    面白かったです(*≧∀≦*)
  16. 16 : : 2014/10/12(日) 14:15:36
    とても良い作品でした!
  17. 17 : : 2014/10/12(日) 14:24:42
    続編お願いいたします なんとなくわかってしまったけれど良いお話でしたのですごく気になるんです もう一度言います 続編書いてください お願いします 
  18. 18 : : 2015/01/09(金) 12:22:58
    続編はないんですか?
  19. 19 : : 2015/03/10(火) 07:50:24
    3月なったんですけど執筆中のSSは、まだかかれないんですか?
  20. 20 : : 2015/04/07(火) 22:42:35
    haさん!続き頑張ってくれよ〜!おれ、haさんの投稿してるの面白くて好きなんだよ〜長文すまんとおもうけど続きかいてくれ〜

▲一番上へ

このスレッドは書き込みが制限されています。
スレッド作成者が書き込みを許可していないため、書き込むことができません。

著者情報
h-a

h.a

@h-a

この作品はシリーズ作品です

ベルトルト「とある少女の恋物語」アニ「とある男の偽恋語り」 シリーズ

「進撃の巨人」カテゴリの最新記事
「進撃の巨人」SSの交流広場
進撃の巨人 交流広場