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雨色の追憶【制限SS】

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  1. 1 : : 2014/05/12(月) 00:41:26

    【注意】
    ・とても短いです(重要)。
    ・ハンジさんしか出てきません。
    ・推敲していないSSです。

    --------------------------
    【制限内容】
    ・必ず1時間でSSを仕上げる。
    ・お題は《時間、記憶、雨、靴》の4つ。これは文中にそのまま書くか、匂わせる表現をする。
    ・SSNoteに載せる場合、誤字修正禁止。
    --------------------------


    お久しぶりですわたせんです。最近姿を見せず申し訳ありません。
    最愛の殺人鬼Ⅱが思いのほか時間が掛かってしまっているので、気分転換に1時間という制限時間付きでSSを書いてみました。二人でやったのですが、相手方の事情で私だけの投稿となります。
    最愛の殺人鬼Ⅱも必ず完成させますので、宜しければもう暫くお待ちください。

    それでは無事立っていたら始めます。

    前作:

    『最愛の殺人鬼』 http://www.ssnote.net/archives/2283
    『もし、リヴァイが死んだなら』 http://www.ssnote.net/archives/2416
    『誰が為に -my dear-』 http://www.ssnote.net/archives/2796
    『とんでも幼馴染にエロ本が見つかった!?』 http://www.ssnote.net/archives/3325
    『最愛の殺人鬼Ⅱ』 http://www.ssnote.net/archives/3855
  2. 2 : : 2014/05/12(月) 00:42:26


     記憶はいつだって曖昧だ。

     大雨で訓練が中止になり、突然の暇に時間を持て余していた私は、自分で淹れたコーヒーを啜りながら窓の外を伺っていた。

     当然、念じたって雨は止むものではないし、私に仕事が入るわけでもない。こういう時にこそ机で出来る仕事をすれば良いのだけど、困ったことにちょうど一昨日書類を仕上げたばかりで、今は予定していたフィールドワークが出来なければ何もすることがなかった。

     エルヴィンには当然のように団長としての仕事があるし、ミケは所用で出掛けている。こういう場合の良き暇つぶし相手であるリヴァイは、よりにもよって書類をまだ仕上げていなかった。いつものように人を小馬鹿にしたような態度で「てめぇに仕事がないなんて、珍しいこともあるものだ」なんてのたまうなんて、少々憎たらしい。

     私は溜息をついてカップに口をつけ、黒い液体を流し込む。温かいそれは一瞬にして食道を落ちていき、胃の中に消えていった。

     外は音を立てて雨が降りしきっている。こういう時はなんだかセンチメンタルな気分になるから、昔の自分を思い出したり、これからのことに想いを馳せるのに限る。そう思い、ふと自分の過去を振り返った私は、そこにロクな思い出がないことに気付いて思わず苦笑した。


  3. 3 : : 2014/05/12(月) 00:43:03

     私は少しだけ他の兵士と経歴が違う。調査兵団に入ったのだってリヴァイとそう変わらない頃なのだ。詳しいことなんて思い出したくはないが、一介の兵士だった私が調査兵団に入るにあたって抱いた思いは大きな怒りと憎しみだったのは記憶に新しい。――巨人が憎い。そう思ってここに来た私は、初めは命令無視や単独行動が目立つ面倒な兵士で、当時分隊長だったエルヴィンでさえも手を上げるような存在だった。

     私は巨人が憎かった。彼らは私の大切な人を奪い、自由への障害として、立ち塞がる敵だ。そいつらを見つけては殺していくのは、危険意識などは全て別にして、とにかく気持ちが良いことだった。靴を鳴らし、剣を抜き、飛んでいってはやつらの弱点を穿つ。その快感、してやったという気持ちこそ、あの頃の私の全てだった。

     ハンジ・ゾエは流血沙汰が好きな頭のおかしい奴だと噂されたこともあった。それくらい今から思えばあの頃の自分はぶっ飛んでいた。――あの時までは。

     今のようにある程度まともになってからは、私の意識は巨人の研究に向かっているけれど、未だ彼らが人類の脅威であることは変わらない。多少可愛らしいと思えるようになった巨人たちも、いつか私が恨み、憎んだ存在だということに変わりはない。――仲間を殺し、大切な人を奪い、人類をこんな壁の中へ閉じ込めた。そんな罪深い存在を心の底から愛すなんて不可能なのだ。ああ、でも彼らの存在がなくなれば、私のこの探究心がどこへ向かうのかなんて想像がつかなくて空恐ろしいのだけれど。
  4. 4 : : 2014/05/12(月) 00:43:39

     私はエルヴィンのように有能な指導者でなければ、ミケのような力強いリーダー性も持っていない。かといってリヴァイとも全く違う。分隊長に抜擢されるくらいの戦闘力と、エルヴィンの信頼を得るだけの頭脳を辛うじて持つただの兵士だ。いつ死ぬかもわからぬ使い捨ての命、分隊長という立場にありながらも、それは変わらない。

     私のしていることは、水面に映る月に石を投げ入れ、その姿を消そうとするくらい無謀極まりない行為だ。私だけでなく、調査兵団とはそういうものとして作られている。自由を渇望し、勝ち得るための兵団。そこには当然無視出来ないリスクがあり、 背負うべき罪は積もるばかり。民間人たちからは穀潰しと呼ばれ、期待されないどころか追い払われかねない。――だが、音を立てて流れゆく雨に耳をすませば、そこに様々な音が混ざるのを知ることが出来るかもしれない。水面に石を何度も投じれば、いつしか月だって消えるかもしれない。出来ないという証明がなされない限り、私たちは立ち止まらない。立ち止まるのはたった一度、そう、死ぬその瞬間だけ。

     命ある限り我々は進撃をやめない。それを誇りに思ってもう数年。たくさんの仲間と戦い、その大半を亡くした。だが、それすらも反撃の足がかりとして我々は戦う。仲間の死を悼むより、明日の自由を望むのだ。負けしか知らぬ調査兵団の、それが最大の抵抗であると信じて。

  5. 5 : : 2014/05/12(月) 00:44:19

     いつの間にかコーヒーが無くなっていることに気付き、カップの底に残った僅か数滴を苦い顔で流し込んだ。また新しくコーヒーを淹れるのも面倒だし、なんだか紅茶を飲みたい気分だった。あの紅茶党のリヴァイの淹れた一杯が飲みたい。思わずねだりに行こうとして、彼が今仕事中であることを思い出した。

     仕事がしたい。こんなところに座ったまま一日を過ごすのは嫌だと、自分の副官に駄々をこねて困らせに行こうか。そう考えて、すぐにやめる。彼には普段から迷惑をかけているし、一昨日の書類だって、彼が気を利かせて資料を揃えてくれなかったらもっと時間が掛かっていたはずはのだ。まあ、そのせいで今暇を持て余しているのだけど。

     大きな欠伸を一つして、私は窓を閉めた。途端に静寂を取り戻す室内に、軽やかな音が響く。すぐにそれがノックであると気付いた私は、仕事の気配にほくそ笑む。どうやら私を休ませる者はまだ存在しないようだと、頭の片隅がどこか安堵していた。

     扉の向こうに立つ人物に向かって返事をし、椅子から重い腰を上げる。そして私は今日も命を燃やすのだ。今日も、そしておそらくこれからも。最期の瞬間まで。
  6. 6 : : 2014/05/12(月) 00:50:32

    大変短いですが、これにて終了です。ここまで読んでいただき嬉しく思っています。

    この作品の総文字数は2227文字になります。1時間が3600秒と考えると、そんなに書くのは早くはないですよね^^;
    また機会がありましたら、こういうちょっとした制限のある作品を掲載させていただきますね。

    それでは、前回のSSに支援・感想コメントをして下さった方、これからコメントしようと思ってくださっている方に心からの感謝の気持ちを書き綴らせていただきまして、今回も締めの挨拶とさせていただきます。ありがとうございました!

  7. 7 : : 2014/05/12(月) 18:32:24
    良かったよ!
    感動した!
  8. 8 : : 2014/05/20(火) 16:41:31
    こんなに哀愁の漂う読ませる文章を1時間で書けてしまうなんて本当にスゴいですね!!私も1時間ssに挑戦してみようと思います!まぁ、ここまでハイクオリティは無理ですが…
    とにかく、素晴らしかったです
  9. 9 : : 2023/07/24(月) 13:55:21
    http://www.ssnote.net/archives/90995
    ●トロのフリーアカウント(^ω^)●
    http://www.ssnote.net/archives/90991
    http://www.ssnote.net/groups/633/archives/3655
    http://www.ssnote.net/users/mikasaanti
    2 : 2021年11月6日 : 2021/10/31(日) 16:43:56 このユーザーのレスのみ表示する
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    cherryboy
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    16 : 2021年11月6日 : 2021/10/31(日) 19:01:59 このユーザーのレスのみ表示する
    ちょっと時間あったから3つだけ作った

    unko_chinchin
    shoheikingdom

    mikasatosex
    unko

    pantie_ero_sex
    unko

    http://www.ssnote.net/archives/90992
    アカウントの譲渡について
    http://www.ssnote.net/groups/633/archives/3654

    36 : 2021年11月6日 : 2021/10/13(水) 19:43:59 このユーザーのレスのみ表示する
    理想は登録ユーザーが20人ぐらい増えて、noteをカオスにしてくれて、管理人の手に負えなくなって最悪閉鎖に追い込まれたら嬉しいな

    22 : 2021年11月6日 : 2021/10/04(月) 20:37:51 このユーザーのレスのみ表示する
    以前未登録に垢あげた時は複数の他のユーザーに乗っ取られたりで面倒だったからね。

    46 : 2021年11月6日 : 2021/10/04(月) 20:45:59 このユーザーのレスのみ表示する
    ぶっちゃけグループ二個ぐらい潰した事あるからね

    52 : 2021年11月6日 : 2021/10/04(月) 20:48:34 このユーザーのレスのみ表示する
    一応、自分で名前つけてる未登録で、かつ「あ、コイツならもしかしたらnoteぶっ壊せるかも」て思った奴笑

    89 : 2021年11月6日 : 2021/10/04(月) 21:17:27 このユーザーのレスのみ表示する
    noteがよりカオスにって運営側の手に負えなくなって閉鎖されたら万々歳だからな、俺のning依存症を終わらせてくれ

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sun1722

渡瀬なつ

@sun1722

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