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【僕の嫁がこんなに奇行種なわけがない】~in憲兵団~

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  1. 1 : : 2014/05/03(土) 22:39:32
    こんばんは。執筆を始めさせていただきます。

    さて、今回は憲兵団のお話です。

    かくれんぼ編で登場しなかった、アニ、そしてマルコを登場させたいと思います。

    マルコについては、とくにアニメをご覧になった方は

    マルコはもし生きていたら、ジャンと同じく、調査兵団に入ったのでは???

    …とお考えの方も多いかと思いますが、今回は、マルコは憲兵団に入団した、という設定をとらせていただきます。

    それでもOK!という方は、ぜひ、どうぞ…




  2. 2 : : 2014/05/03(土) 22:40:34
    モブリット視点で物語を始めます。
  3. 3 : : 2014/05/03(土) 22:47:44
    へいわ【平和】(名.形動ダ)戦争や災害、いさかい、心配ごとなどがなく、おだやかなこと。

    僕は辞書を使い、平和という言葉の意味を調べ、ため息をついた。

    今現在、壁の中が平和だとは言い難い状況にあることは、百も承知だ。

    それと今…この部屋の中の状況も平和ではないことを、僕は改めて実感した。

    リヴァイ 「シラを切るのもいい加減にしろ、クソメガネ!」

    ハンジ 「だ.か.ら!知らないって言ってるでしょ!」

    にらみ合う2人。この状況が続いてから…1時間は経過している。

    ちなみに現場は、僕の部屋だ。

    時を遡ること、1時間前…







  4. 4 : : 2014/05/03(土) 22:54:46
    <モブリットの自室にて>

    僕とハンジさんはその日、2人そろって非番だった。

    だからまぁ…2人で甘い時を過ごしていた。新婚ですから。

    ハンジさんの首には、前に僕が贈ったネックレスが、今も光輝いている。

    僕はこのネックレスを、頑張って購入した。

    …30回ローン組んで…。

    ハンジ 「ねぇ…モブリット…」

    モブリット 「なんですか、ハンジさん。」

    今彼女は、僕の腕の中にいた。

    ハンジ 「ネックレス…本当に、ありがとね。」

    モブリット 「いえ…良く似合ってますよ。」

    ハンジ 「…そうかな。」

    彼女は、照れ臭そうに髪をかきあげる。

    モブリット 「そうですよ。」

    あ~、幸せだなぁ…。











  5. 9 : : 2014/05/04(日) 09:25:38
    しかし、その幸せは長くは続かなかった…。

    バッターン!!!

    リヴァイ 「おい、クソメガネ!」

    ノックもせず、いきなり部屋に入ってくる人物がいた。

    リヴァイ兵士長だった。

    ハンジ 「なっ…なに…?リヴァイ…」

    さすがのハンジさんも、驚いた様子で目を見開いている。

    リヴァイ 「お前に聞きたいことがある。」

    リヴァイ兵士長は、ツカツカと僕たちのいるベットへ近づいてくる。

    …あ、ちなみに2人共、服着てますよ?

    やだなぁ、まだ午前中ですよ、はは。

    ハンジ 「ききたいことって…なに?」

    ハンジさんは、僕から離れ、リヴァイ兵士長と向き合う。

    リヴァイ 「…あの酒だ。」

    ハンジ 「あの酒?」

    リヴァイ 「前、エルヴィンが飲んで大変なことになった酒だ。どこへやった!?」

    ハンジ 「知らないよ!」

    リヴァイ 「とぼけるんじゃねぇ!」

    ハンジ 「知らないって!」

    僕は…頭を抱えた。




  6. 11 : : 2014/05/04(日) 09:33:18
    リヴァイ 「どうせお前また、あの酒をもとに怪しい薬でも作るつもりなんだろう!?」

    ハンジ 「そんなことしないよ!またエルヴィンが隠したんじゃないの?」

    リヴァイ 「あいつを締め上げたが…何も出なかった。」

    モブリット (締め上げたんだ…)

    ハンジ (さすが元ゴロツキ…)

    ハンジさんは、ふてくされた様子で、そっぽを向いた。

    ハンジ 「とにかくっ、私は何も知らないからね!」

    その言葉を聞いて…リヴァイ兵士長の目に、危険な何かが宿る。

    …や…やばい…止めないと…。

    僕の叫びと、リヴァイ兵士長の怒鳴り声と、ハンジさんの悲鳴が鳴り響こうとするまさにその時、試合終了のゴングを鳴らしたのは、意外な人物だった。







  7. 12 : : 2014/05/04(日) 09:46:13
    「リヴァイ兵長!!!」

    皆、突然の来訪者に注目した。

    リヴァイ 「…どうした、エレン。」

    エレンは顔面蒼白、といった様子で、訴える。

    エレン 「たっ…大変なんです!ほんとに…」

    リヴァイ 「だから、何がだ。」

    エレン 「無くなったんです!大切なものが!」

    リヴァイ 「だから、何が、だ!?」

    エレン 「えっと…その…オレの…」

    なぜか、エレンの目が泳ぐ。

    そして、ポツリと言った。

    エレン 「オレの…日記帳…が。」

    リヴァ&ハン&モブ 「「「日記帳!?」」」

    ハンジ 「へぇ、エレン、日記なんてつけてるんだね。」

    兵士の中では、珍しいことではなかった。やはり自分の思いや、日々の思い出などを綴り、自分にもし何かあった時に、遺された家族などに託すために日記をつけている兵士はけっこういる。

    別に恥ずかしがることではないのだが、彼はまだ15歳だ。

    エレン 「カギ付きの日記帳なんですが…なぜか昨日から見あたらなくて…今朝、すごい本格的に探したのですが、どこにも…」

    ハンジ 「カギ付きなら、中身を読まれることもないし、そんなに慌てることないんじゃない?」

    エレン 「はい、カギはここにあるんですが…」

    そう言ってエレンは、首にかけてあるカギを見せる。

    原作でお馴染みの地下室のカギと一緒に、小さなカギをつけている。














  8. 13 : : 2014/05/04(日) 10:03:22
    まさかの…カギ、2本持ち…。※説明するまでもありませんが、エレンの日記帳のくだりは、作者の捏造設定です。

    エレンは続ける。

    エレン 「でもオレ…巨人化したあとの記憶がなかったり、たまにわけわかんない夢をみたりするので、そういうのも小まめに記録してるんです。そういうのって、重要な情報に繋がったりするんですよね?」

    エレンの話を聞き、一同の顔つきが変わる。

    リヴァイ 「…早いとこその日記帳とやらを探さねぇと…万一、憲兵の手に渡ったりしたら…」

    ここでリヴァイ兵士長は、何かを思いついた様子で目を見開く。

    リヴァイ 「…そうだ…憲兵…」

    ハンジ 「どうしたの、リヴァイ?」

    リヴァイ 「行くぞ。」

    戸惑う僕たちを尻目に、リヴァイ兵士長は部屋を出ていこうとする。

    ハンジ 「行くって…どこへ!?」

    リヴァイ 「憲兵団。」

    モブリット 「どうして憲兵団に?」

    リヴァイ 「あの酒は…おそらく憲兵団にある。それにまだ、罰ゲームが残ってるだろうが。」

    …そういえばそんなイベントが…。

    ハンジ 「そうだったね。ナイルか~、どうしよっかな~♪あ、私、お風呂入ったり、色々準備するから、先に行ってて。」

    リヴァイ 「チッ…さっさとしろよ。」

    エレン 「兵長…オレの日記帳は…」

    リヴァイ 「あとだ。もしかしたらすでに、憲兵の手に渡ってるかもしれん。どちらにしろ、憲兵団に行く必要はある。」

    エレン 「はっ…はい!」

    モブリット 「ハンジさん!風呂に入る必要なんてないです!あなたは僕と婚約してるんですよ!それに相手は…妻子持ちです!!!」

    ハンジさん…きいてない。

    はぁ…若い読者だっているのに…。

    リヴァイ 「おいモブリット、早く行くぞ。」

    リヴァイ兵士長に急かされ、僕も憲兵団に向かうことになった。

    あ~あ…。












  9. 17 : : 2014/05/04(日) 12:53:27
    ※ここからは、マルコ視点です

    皆さん、はじめまして。

    第104期生、憲兵団所属、マルコ.ボットです。

    僕は卒業試験を7番でクリアし、晴れて念願の憲兵団に入ることができました。よろしくお願いします。

    …こんな感じでいいのかなぁ。

    いきなり読者の皆さんの案内を頼まれたんですが…

    なにせ、不慣れなもので、分かりづらい点もあるかとは思いますが、ご容赦ください。

    さて、ここは憲兵団本部。

    今日も僕たちは、任務に励んでいた。

    任務、といっても、巨人と戦うようなことはしない。

    街の犯罪者を検挙したり、街の行政機関の手伝いをするのが主だった。

    ましてや僕はまだ新兵。大きな仕事を任されるわけもなく、

    この前なんか、ひたすらお年寄りの不満や愚痴を聞いてあげていた。











  10. 18 : : 2014/05/04(日) 12:58:19
    お年寄り 「だからね、私、嫁にガツンと言ってやりたいのよ。」

    マルコ 「うん、うん。」

    お年寄り 「私だって…息子に色々手をかけてやりたいって気持ちがあるのよ。」

    マルコ 「そうですよね…大切な息子さんですもんね。」

    お年寄り 「そうなのよ。この前もお隣の…なんていったっけね、あの人…」

    僕はなぜかお年寄りからの受けがいいらしく、街を歩いていても、よく声をかけられる。

    まあ、ありがたい事ではあるけれど…。




  11. 19 : : 2014/05/04(日) 13:11:46
    「ねぇ、あんた…」

    僕が物思いにふけっていると、声をかけられる。

    マルコ 「ああ、ごめん。邪魔だったね。」

    声をかけたのは、同じ104期生のアニ.レオンハートだった。

    彼女も卒業試験を4番で突破しており、訓練生時代はあまり喋らなかったけど、今は同期のよしみでたまに会話する。

    …といっても、ほとんど僕から話しかけることが多く、彼女から話しかけてくるのは、非常に珍しいことだった。

    アニは相変わらずのポーカーフェイスを浮かべて、

    アニ 「…何か考え事でもしてたのかい?」

    マルコ 「別に。なんか、ここは平和だなって…」

    僕の言葉に、アニは息をついた。

    アニ 「確かに…うわべだけの平和を満喫するには、最適な場所だよね、ここは…」

    マルコ 「僕は…そんなつもりで言ったわけじゃ…」

    アニ 「じゃあ、どういうつもりで言ったんだい?」

    僕は、答えられなかった。

    アニ 「…なんかさ…」

    マルコ 「えっ?」

    アニ 「集合がかかったよ。これ以上ぼやっとしてると、遅れるよ。」

    そう僕に告げると、アニは僕に背を向けて、歩き出した。

    そんなアニの背に、僕は言った。

    マルコ 「ありがとう。わざわざ知らせに来てくれたんだね。」

    その言葉に、アニは振り向いた。

    アニ 「別に…1人でも遅れると、連帯責任だからね。」

    僕は笑って、アニの後を追った。
















  12. 22 : : 2014/05/04(日) 18:09:18
    ※ここからは、モブリット視点です

    僕らは憲兵団に到着した。

    まぁ当然ながら、入り口に門番がいるんだけど…

    リヴァイ兵士長が、これでもかって凄みを効かせて一言、

    リヴァイ 「…ナイル師団長を出せ。」

    これだけで憲兵たちはびびってしまい、結果僕たちはあっさりと、ナイル師団長に会うことができた。

    人類最強、さすがです。

    ナイル 「…何か用か。」

    突然訳も分からず呼び出され、ナイル師団長は不機嫌顔だ。

    リヴァイ 「…こう言えば通じるはずだ…あれをどこへやった。」

    ナイル師団長は、表情を消した。

    ナイル 「…あれ、とは?」

    リヴァイ兵士長が、眉をピクリと上げる。

    ちょっと怒ってる証拠だ。

    僕とエレンは、息をのんだ。

    リヴァイ 「…しらを切る気か。」

    一触即発の空気を破ったのは、ナイル師団長だった。

    ナイル 「…まあ待て。分かってる。あの酒だろ。」

    リヴァイ 「…分かればいい。どこにある。」

    ナイル師団長は、下を向いた。

    ナイル 「…分からない。」


















  13. 23 : : 2014/05/04(日) 18:23:51
    静かに怒る。

    それがいかに恐ろしいことか…

    僕とエレンは今、思い知った。

    あなたも知りたい?はは、覚悟が必要ですよ。

    リヴァイ 「ほぅ…分からない…そうか。」

    さすがのナイル師団長も、怯えた様子をみせる。

    リヴァイ 「なぁ、薄ら髭、次期師団長への引き継ぎは終わったか…妻やガキ共に言い遺すことはあるか…」

    怖い。怖すぎる。

    ナイル 「まっ…待て、リヴァイ。先程、全憲兵を集めて、探してるところだ。きっと見つかる。」

    リヴァイ 「結局のところ…お前があのとき、調査兵団から持ち出したんだな?」

    リヴァイ兵士長の言葉に、ナイル師団長はがくりと肩を落とし、

    ナイル 「…ああ。本当にすまない…大人げないことをした。」

    リヴァイ兵士長は、ゆっくりとナイル師団長に歩み寄った。

    リヴァイ 「…俺は以前、地下街にいたんだが…」

    リヴァイ兵士長は続ける。

    リヴァイ 「…手と足だったら…どっちがいい?」

    ナイル 「…は?」

    リヴァイ 「…この罪の重さだったら…手だな…何本つめてやろうか…」

    ちょっちょっちょっ…ちょっと!!!

    モブリット 「リヴァイ兵士長!!お願いですからやめてください!!!」

    エレン 「兵長、落ち着いて!!冷静になってください!!!」

    僕とエレンでリヴァイ兵士長にすがり、必死で止める。

    リヴァイ兵士長は僕たちを見て、ふうと息をつき、

    リヴァイ 「…何言ってる。冗談だ。」

    僕とエレン、そしてナイル師団長は、その場にへなへなと座りこんだ。

    リヴァイ兵士長…ここ、冗談いらないですから。

























  14. 24 : : 2014/05/04(日) 18:46:01
    ※ここからは、マルコ視点です

    召集がかかり、指示された内容は、“ビンに入った、高級酒を見つけだせ”というものだった。

    なんでもそれはとても大切なもので、早く見つけ出さないと大変なことになるという。

    マルコ 「高級な酒、ね…」

    アニ 「まったく…くだらないね。上官の失くし物の捜索なんて。これじゃ何のために兵士になったのか、分からない。」

    僕は立ち止まった。

    マルコ 「…珍しいね。アニがこんなに愚痴るなんて。」

    僕の言葉に、アニは僕の顔を見て、

    アニ 「…あんた見てると、愚痴りたくなる。」

    マルコ 「…どういう意味、それ…」

    全憲兵が、本部内をくまなく探している。それでも見つからない。

    マルコ 「…街に出てみようか。」

    僕の提案に、アニは腕組みし、僕をにらんだ。

    アニ 「…さぼろうって魂胆かい?」

    マルコ 「ちっ、ちがうよ、本当に探すつもりで…」

    慌てて否定する僕を尻目に、アニは出口へと向かう。

    アニ 「…行くよ。私ももう、本部の中には無いと思う。」

    僕はアニと一緒に、街に出た。














  15. 25 : : 2014/05/04(日) 19:14:34
    ※ここからは、ナイル視点です

    俺はやっとリヴァイから解放された。

    今日中にあの酒を見つけろと、念押しされて。

    リヴァイたちも、本部内を手分けして探すという。

    本当に早く見つけないと…命が無い…そんな気がする。

    あの時は…エルヴィンに身の毛もよだつようなことを言われ、それでつい、カッとなって…。

    「ナイル師団長…ですか?」

    ふいに声をかけられ、俺は振り向いた。

    ナイル 「…え?」

    見ると、赤みがかった長い茶髪をなびかせ、にこやかに微笑む美女が立っていた。

    ナイル 「…えっ…と…あなたは…」

    思わず見とれてしまう。目鼻立ちは整い、背はすらりと高い…が、女性らしい華奢な体つきだ。

    女性は俺の手をとり、

    女性 「…あなたに…会いたくて…」

    ナイル 「…私に…ですか?」

    女性 「…はい。」

    ナイル 「なぜ…私に?」

    俺の問いに、女性は恥ずかしそうに頬を染め

    女性 「ずっとあなたを…お慕いしておりましたの…」

    ナイル 「…私を?」

    女性 「はい…ずっと遠くから…見ておりました…」

    夢を…みているのか…?

    女性 「私の気持ちを…受けとめてもらえますか…」

    頬を赤く染めたまま、女性は言った。

    不覚にも俺は…ときめいてしまった。

    いかん、いかん。落ち着け、自分。

    ナイル 「…残念ですが…」

    俺は、女性の手をそっと放した。

    ナイル 「私には、妻も子供もいます…私のことは、忘れてください。」

    俺の言葉に、女性は目を潤ませた。

    女性 「…あなたに妻子がいることは、知っていましたわ。」

    ナイル 「…では、なぜ…」

    女性は、そっと俺に寄り添う。

    女性 「そんなちっぽけな事実で…私の気持ちは変わりませんわ…」

    そのとき、俺の心の奥底で、何かが燃え上がるのを感じた。

    女性 「せめて…」

    女性が俺を見つめる。

    女性 「…キスして…」

    俺は、目を閉じた。女性もそれに倣う。

    俺は女性に顔を近づけ、そっと唇に…

    ナイル 「…ん?」

    俺は唇に異様な感触を覚え、目を開いた。

    目の前には…手のひらが…?

    その手のひらがどかされ、女性の、先程とはうって変わった、にたにたした笑顔が見える。

    ナイル 「…えっ?」

    女性 「ん…んふふ…ふふふ…」

    戸惑う俺を尻目に、女性は1人、大笑いし始める。

    一体…どうなって…

    女性 「はははっ…ナイル、ま~だ気づかないの?」

    その声…まさか…

    ナイル 「お前…ハンジか!?」

    俺の答えに、ハンジはまるで怪盗にでもなったかのように、得意気に一礼し、

    ハンジ 「…ご名答!」

    俺は、ふつふつと怒りがこみ上げてくるのを感じた…。




  16. 30 : : 2014/05/05(月) 12:33:18
    ※ここからは、マルコ視点です

    「あら、そばかすのお兄さん。」

    僕は声をかけられ、立ち止まった。

    マルコ 「…ああ、おばあちゃん。」

    おばあちゃん、と呼んでいるが、僕の本当の祖母ではない。

    ただ、街に出るたびによく声をかけてくれるので、徐々に親しくなり、僕は、本当の祖母のように接するようになった。

    おばあちゃん 「かわいい子連れて…デートかい?」

    かわいい子…アニのことだろう。僕は慌てて

    マルコ 「ちっ…ちがうよ、仕事だよ、仕事!!ちょっと探し物をしてて…」

    僕はおばあちゃんに事情を説明した。

    するとおばあちゃんは、ああ、と声を上げ

    おばあちゃん 「…似たようなのなら、見かけたねぇ…」

    マルコ 「ほっ…ほんと、それ!?」

    おばあちゃん 「ああ。確か…すぐ近くのゴミ捨て場に置いてあったよ。」

    マルコ 「ゴミ捨て場!?」

    おばあちゃん 「そうさ。そんな高価な物だとは思わなんだよ。そんな高いお酒、一度飲んでみたいもんだねぇ…」

    実はこのおばあちゃん、けっこうな酒飲みらしい。

    マルコ 「ごめん、おばあちゃん…そのお酒は大切な物だから、早く返さなきゃいけないんだ…本当に、ごめんね。」

    僕はおばあちゃんの前で、手を合わせる。

    おばあちゃんは笑った。

    おばあちゃん 「いいよ。私なんか、高い酒なんか飲んだら、目を回しちまうさ。」

    アニ 「ねぇ…早く回収しないと、また誰かに持っていかれる…」

    アニの言葉に、僕ははっとして

    マルコ 「そうだ、早くしなきゃ。おばあちゃん、じゃあまたね。」

    おばあちゃん 「ああ、頑張るんだよ。」

    僕たちは、近くにあるゴミ捨て場へ急いだ。






  17. 32 : : 2014/05/05(月) 12:44:47
    ※ここからは、モブリット視点です

    僕は、目の前に縛られているフィアンセを見て、ため息をついた。

    ナイル 「…もう俺は許さんぞ。これは憲兵団に対するテロ行為とみなす。」

    リヴァイ 「チッ…冗談の通じないやつめ。」

    ハンジ 「ナイルぅ…もう許してよ…」

    ナイル 「ダメだ。」

    ハンジ 「…うう…」

    エレン 「ハンジさん…なんか雰囲気ちがいますね…」

    ハンジ 「あっ、分かる、エレン。メガネ外して、髪おろして、ついでに化粧もしてみたんだ。」

    エレン 「はい…なんかいつもと全然ちがいます…」

    リヴァイ 「お前…そんな女物の服なんて、持ってたんだな。」

    ハンジさんが着ていたのは、真っ赤なワンピースだった。

    あ、ちなみに首にはちゃんと、僕の贈ったネックレスが輝いている。

    ハンジ 「実は持ってたんだよ。これ1着しかないけど。」
  18. 33 : : 2014/05/05(月) 12:57:55
    ナイル 「おいお前ら…話がそれているが…」

    ハンジ 「とにかく、罰ゲーム、オールクリアだよ。やったね。」

    にこやかにVサインするハンジさんを見て、ナイル師団長の怒りが頂点に達し…

    コンコン。

    ドアがノックされる。

    ナイル 「…誰だ。」

    マルコ 「…マルコ.ボットです。例の酒を見つけてきました!」

    ナイル 「なに、見つかったのか!?入れ入れ!」

    マルコ 「…失礼します…」

    入ってきたのは、見るからに優等生、といった雰囲気の少年と、鋭い目付きをした、金髪の少女だった。

    2人の姿を見るなり、エレンの表情が晴れる。

    エレン 「マルコ、アニ!久しぶりだな!!」

    マルコと呼ばれた少年は、笑顔でエレンに応じる。

    アニと呼ばれた少女は、無表情のままだ。

    マルコ 「エレン、久しぶりだね!」

    エレン 「2人とも、元気そうだな!」

    マルコは、ナイル師団長に酒を渡すと、エレンと肩をたたき合い、再会を懐かしんでいた。

    マルコ 「…ジャンは元気かい?」

    エレン 「あいつ?元気だよ。相変わらずの悪人面だけどな。」

    エレンの言葉に、マルコは笑って

    マルコ 「…よかった。気になってたんだ。」

    そんなマルコに、ナイル師団長が声をかける。

    ナイル 「本当に、よくやってくれた。何か、褒美をやらねばな。」

    マルコ 「いえ…そんな…」

    ハンジ 「ナイルぅ…苦しいよ…もう許してよ…」

    ハンジさんの様子を見て、マルコは驚く。

    マルコ 「え!?な…どういう事ですか…」
  19. 34 : : 2014/05/05(月) 13:17:15
    ナイル 「気にするな…奇行種を捕獲したまでだ。」

    ハンジ 「うう…苦しいよぉ、痛いよぉ…」

    捨て犬のような目で僕らを見つめるハンジさん。

    可愛いな、くっそ。僕と同じ気持ちになったそこの君…ハイタ~ッチ!

    マルコ 「…ナイル師団長…」

    僕が素を出してしまっている間に、マルコはナイル師団長に歩み寄った。

    マルコ 「あの女性を…解放してもらえませんか。」

    その場にいる皆が、驚きマルコを見た。

    ナイル 「そ…それは…」

    マルコ 「師団長、お言葉ですが、この女性はそんなに悪いことはしていないような気がするんです。むしろこのまま縛りつけていたら…いけないような気がするんです。僕に褒美とかいらないんで、お願いします。」

    深々と頭を下げるマルコ。

    ナイル師団長は、しばらく頭を下げるマルコを見つめ、ふうと息をついた。

    ナイル 「…分かった。解放しよう。」

    その言葉に、ほっとした空気が流れる。

    マルコ 「ありがとうございます、師団長!」

    解放されたハンジさんは、真っ先に僕…ではなく、マルコに抱きつく。

    ハンジ 「ありがとう!君はいい子だねぇ、気に入ったよ。」

    マルコ 「あ…どうも…」

    顔を真っ赤にし、はにかむマルコ。

    ナイル 「まあ酒も戻ったことだし、よしとするか…」

    リヴァイ 「命拾いしたな…薄ら髭。」

    リヴァイ兵士長の言葉に、ナイル師団長は再び怯え出す。

    エレン 「兵長…」

    リヴァイ 「…冗談だ。」

    いや、冗談いらないですから。

    エレン 「あの…ちょっと皆さんにお尋ねしたい事が…」

    おずおずときりだすエレン。

    ナイル 「ん?なんだ。」

    エレン 「オレの…日記帳を知りませんか…カギ付きの…」

    周りの反応は芳しくなかった。

    マルコ 「…僕は見てないよ。」

    アニ 「私も…」

    ナイル 「俺もだ。」

    その言葉に、エレンはがっくりと肩を落とす。

    エレン 「ちくしょう…どこにいっちまったんだ…」

    ハンジさんに抱きつかれたまま、マルコはエレンの肩に手を置く。

    マルコ 「…見かけたら、知らせるよ。」

    エレン 「ありがとう…マルコ。」

    僕たちは、帰路についた。
  20. 35 : : 2014/05/05(月) 13:25:21
    モブリット 「…この酒は、どうします?」

    リヴァイ 「今度の壁外調査のついでに捨ててくる。」

    ハンジ 「ねぇねぇ、巨人に飲ませたらどうなるかって実験は…」

    リヴァイ 「しねぇ。」

    エレン 「オレの日記…」

    未だ肩を落とすエレンに、僕は声をかける。

    モブリット 「エレン…最後に日記を書いたのは、いつだい?」

    エレン 「一昨日の夜です。書いた場所は…旧調査兵団本部で…」

    ハンジ 「じゃあ、そこにあるんじゃないの?」

    エレン 「そこも探したんですけど…どこにもなくて…一昨日の夜も、書いた後日記帳をどこへしまったかも…よく覚えてなくて…」

    リヴァイ 「まったく…人騒がせなやつめ…」

    エレン 「…すみません…」

    ハンジ 「でも…どこにいったんだろうね…」
  21. 36 : : 2014/05/05(月) 13:45:46
    <旧調査兵団本部>

    ペトラ 「エルド、グンタ、ついでにオルオも、お疲れ様。」

    オルオ 「フッ…ペトラ、俺を自分の部屋に誘いたいのなら素直に言…」

    エルド 「おう、お疲れ、ペトラ。」

    グンタ 「お前も明日のために、早く休めよ。」

    ーエルドとグンタの言葉に、ペトラは笑顔をみせー

    ペトラ 「うん、ありがとう。台所の片付けが終わったら、私も休むわね。」

    オルオ 「フッ…ペトラ、なかなかの働きぶりだな。だか、まだ俺の女房役を気取るには、必要な手順をこなしてな…」

    エルド 「じゃあ、おやすみ、ペトラ。」

    グンタ 「また明日な。」

    ペトラ 「うん、おやすみ…オルオ、何そんなところに突っ立ってるの?」

    オルオ 「ペトラ…素直に自分の部屋に来て、と頼めば来てやらんこともな…」

    ペトラ 「…さ、早く洗い物済ませちゃお。」

    オルオ 「…まったく…素直じゃねぇな…」

    ー自室に戻ったオルオー

    オルオ (さてと…今日も俺の活躍ぶりを日記に記しておこう…)

    オルオ 「」

    オルオ (俺の日記には、あえてカギが付いている。俺の実力に憧れて、覗き見する奴がいる…かもしれないからな…)

    オルオ 「ありゃ?」

    オルオ (日記が…2冊ある。おかしいな、俺の日記は1冊だけのはず…)

    オルオ 「」

    オルオ (そういやぁ…1冊は食堂にあって…あ、俺のだと思って持っていったが…俺はいつも、日記は部屋から持ち出してなかったよな…)

    オルオ 「…てことは…」

    オルオ (もう1冊は…誰のだ…?)

    オルオ 「」

    オルオ (中身を見りゃ…分かるよな…)

    ー自分用の日記帳のカギを見つめるオルオー

    オルオ (俺のカギで…開くか?)

    オルオ 「」

    オルオ (しかし…いけないよな…他人の日記を見るなんて…)

    オルオ ハァ…

    オルオ (兵長は…俺のリスペクトする兵長は…そんなことはしない!絶対に!!)

    オルオ 「見ねぇ!見ねぇぞ、俺は!!」

    オルオ (明日…皆にきいてみよう。うん、そうだ、それがいい…)

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kaku

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