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ザックレー「畜生めえええええええ!!!!!」

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  1. 1 : : 2014/04/01(火) 22:40:56
    少し書いてみたくなったため、書いてみます。

    執筆途中ですが、なんとかシリアスでいきます。

    主人公はザックレー総統です。といっても比較的序盤に彼は退場する見込み。

    駄文注意。
  2. 2 : : 2014/04/01(火) 22:41:59
    時は850年、調査兵団が第57回壁外調査のため出払っているころ・・・。

    突然、人類に対する巨人の攻撃が開始される。

    今回は扉が破られたわけでは無い。扉は憲兵団の内通者により開かれた。

    そう、敵はエレンをさらおうとせず、直接人類の領域の攻略を目指したのだった。

    女型の巨人により呼び込まれた大量の巨人が、たちまちカラネス区の駐屯兵団員を食い尽くす。

    そして、人類が最も恐れていたことが、現実のものとなる。

    続けて女型の巨人の一撃により、ウォール・ローゼは突破されてしまったのだ。

    前回よりも大幅に早いペースでの攻撃により軍の指揮系統は大混乱に陥り、まともな抵抗もできない人類たち。

    (アニは立体起動を使えるから早い。シガンシナの時のライベルは徒歩?だった。)

    調査兵団の帰還を待つ人々だったが、もはや望みは絶たれたに等しかった。

    そんな中、軍の指揮権を掌握しているザックレー総統は、ウォール・シーナ中心部の地下壕にて防衛作戦の指示に没頭していた。

    しかし彼が傾けた努力とは裏腹に戦況は悪化、人類の領域と命は次々と巨人に奪われていく。

    そして彼はついに、ある決断をするに至る・・・。
  3. 3 : : 2014/04/01(火) 22:42:23
    はい、とりあえずオープニングナレーションでした。

    こっから本編です。
  4. 4 : : 2014/04/01(火) 22:46:27
    ウォール・シーナ内の中心部、非常時に軍の指揮が置かれる地下壕




    ナイル「巨人はカラネス区から続々と侵入しています。」

    ナイル「すでにストヘス区までの行程の三分の二を突破。」

    ナイル「散開していた駐屯兵および憲兵の半数は捕食されました。」

    ナイル「兵を散開させた甲斐もあり、当初よりはストヘス区へ直進する巨人は激減。」

    ナイル「しかし次の扉が突破されるまで、計算上あと四時間しかありません。」


    (要するに、次の扉が突破される前に態勢を整えるための作戦。兵員の消耗と住民の死者がもんのすごく増えることが難点だが、大して役に立たない駐屯兵および憲兵と非戦闘員の命を救うよりも調査兵団などの増援が到着した時のためのサポート態勢を整えるというのは合理的な決断であると判断された。)

    ザックレー「トロスト区からピクシスの駐屯兵がやってくれば大丈夫だ、まだ持ち直せるとも。調査兵団のエルヴィンだっていずれ戻ってくれば頼もしい戦力になる。」

    ニック「・・・!」(ナイルに目配せ)

    ナイル「総統閣下・・・、ピクシス司令は・・・。」

    この先は慎重に言わなければいけない。言い方次第では、総統が自殺しかねない。

    マルロ「ピクシス司令は、死ぬ前にせめて卒業したいと言って風俗店に・・・。そこでお楽しみ中に死亡した模様です。」

    (マルロは、憲兵団が腐りすぎてて作戦を作れるのがマルロのみだったため新兵ながら招集されたってことでお願いします。)

    マルロ「彼の部下たちは混乱状態のまま散り散りになって敗走。数十名はシーナにたどり着き、前線に配属させました。」

    マルロ「また、ローゼ内で徹底抗戦した部隊も多数存在したようですが、彼らは全滅したものと思われます。」

    ニック(言いよった、あの若造・・・。)

    ナイル(このバカが!もうちょっと言い方ってもんがあるだろ・・・。)

    参謀たち(ピクシス司令、あの年で卒業していなかったとは・・・。やはり、ただものではなかったな・・・。)

    総統は怒りをこらえつつ、震える手で自らの老眼鏡を取ると、こう言い放った。

    「自分の家族が心配な者、その他の理由でも家に帰りたい者は、この部屋から出て行け。」

    即座に参謀たちの大半が部屋を出て行く。

    残ったのは、憲兵団のナイルとマルロ、そして帰る家の無いニック司祭のみだった。

    最後に出て行った参謀がドアを閉める。

    部屋の中を沈黙が包む、そんな中で残された三人は一歩も動けずにいた。

    もともと作戦の立案に大して役立っていない連中ではあったが、人手がここまで減ると流石に指揮にも支障が出る。

    空席だらけの地下壕の一室は、ありえないほど狭く見えた。

    総統はついに口を開いた。その表情は怒りと狂気に満ち、とても普段の知性と品格ある老人の顔とは思えないほどだった。
  5. 5 : : 2014/04/01(火) 22:47:51
    ザックレー「命令を下したはずだ!ピクシスに撤退命令をな!この総統の!!」

    ザックレー「総統に背くとはどういうつもりだ!果たすべき責任も果たさず・・・。合流したのが数十人だけだと!?」

    ザックレー「みんな裏切り者だ!!憲兵団さえも!どいつもこいつも軟弱で・・・、ろくに戦いもしない臆病者の腰抜け揃いだ!!」

    ナイル「総統閣下!それは今も戦って死んでいる兵士たちに対するあまりにも心ない侮辱です!」

    ザックレー「黙れ!死に損ないの負け犬め!!」
  6. 6 : : 2014/04/01(火) 22:48:59
    ザックレー「なにが参謀だ!尊厳の欠片も持っとらん!そんな者がろくな作戦など作れるわけもない!今も死んでいる市民たちは、参謀どもの愚かな作戦で死んでいると言っても過言ではない!」

    マルロ「閣下!本作戦は・・・、」

    ザックレー「黙れ!言い訳など聞きたくもない!」

    ナイル「閣下、一度冷静になられてはいかがですか?」

    ザックレー「わしが冷静ではないと申すか?」

    ナイル「いえ、そのような・・・。」

    ザックレー「黙れ!二度とその耳障りな声を聞かせるな!!」
  7. 7 : : 2014/04/01(火) 22:50:11
    ナイル「・・・。」

    ザックレー「・・・、もういい。君たちも各自が行きたいと思う場所に行くがいい。ここはわし一人で十分だ。」

    マルロ「総統閣下、しかし・・・。」

    ザックレー「出て行けと言っているんだ!!早く退室しろ!」

    三人には選択肢が与えられなかった。彼らは退室した。

    彼らは行く場所の当ても無く、フラフラとした足取りで地上への階段を登りだした。

    ひとりでに閉まるドアの音が虚しく廊下に反響していた。
  8. 8 : : 2014/04/01(火) 23:27:31
    ナイル「私にはもう、もう生きる目標が無い。」

    階段を一段一段登りながら、憲兵団を率いてきた男は一言ずつ絞り出すように言葉を発している。

    ナイル「人類は終わりだ・・・。じきにシーナも陥落するだろう。巨人は・・・。」

    一人残らず人間を食い尽くすだろう。

    その言葉は考えただけでも恐ろしく、口に出すことができなかった。
  9. 9 : : 2014/04/01(火) 23:28:04
    この地上で唯一文明を作り出す力を持つ生物が消える・・・。

    それは彼にとって何よりも、自分の死よりも恐ろしかった。

    ナイルは、この文明というもののために働いてきた。

    それがどれだけ悪に近くても、どれだけ罪を犯しても、どれだけ醜くても、彼は文明というものに執着していた。

    エルヴィンが狂気に満ちた獣に見えた時は殺そうともしたが、その行動に理性と人間らしさ、文明の面影を感じた時、彼は銃を下ろした。
  10. 10 : : 2014/04/01(火) 23:28:32
    人間の生活の根源にある文明、それに対する執着が、彼の全ての行動原理だった。

    もちろん他の二人はそんなことは知らない。
  11. 11 : : 2014/04/01(火) 23:29:05
    マルロが重んじるもの、それは・・・。

    秩序、だった。
  12. 12 : : 2014/04/01(火) 23:29:36
    ニック「おい、若いの。歩くスピードが遅すぎないか?」

    マルロ「はっ、はい!申し訳ありません!」

    ナイル「大丈夫か?顔色も悪いが・・・。」

    マルロ「問題ありません。私は正常です。」

    実際のところ、彼は大丈夫でも正常でもなかった。
  13. 13 : : 2014/04/01(火) 23:30:05
    彼は幼いころから落ち着いた環境で育った。

    両親も厳格で、社会に出ても恥ずかしくないように子供を育てようと、積極的な教育を施した。

    結果、彼は立派な青年へと成長したが、あまりにも秩序を重んじることを叩き込まれすぎた・・・。
  14. 14 : : 2014/04/01(火) 23:30:46
    いかなる場所、いかなる時、いかなる場合であろうとも、彼は無秩序を見ると全身がかゆくてしょうがない。

    体全体が拒否反応を起こしてしまうのだ。

    ただ蚊に刺されたようなかゆさではなくて、もっと燃え上がってムズムズするような。

    彼の様子がおかしい理由はここにある。

    すでに地上からの報告で、住民の避難の様子があまり芳しくないことは知っていた。

    マリアを失った時よりも多くの人々が、マリアよりはるかに狭いシーナへと避難するのだから混乱して当たり前である。
  15. 15 : : 2014/04/02(水) 00:05:25
    とりあえず今日はここまでです。
    明日も更新するつもりです。

    それにしても、レス数の割に長いな・・・。
    読み辛いかな?
  16. 16 : : 2014/04/02(水) 00:30:27
    いまさらですが、長くなります。
    未定ではありますが、けっこう続くはず。
  17. 17 : : 2014/04/03(木) 00:25:24
    想像するだけでもマルロの体は尋常ではないかゆさに襲われている。

    地上に出たら自分はどうなってしまうのか・・・。

    マルロが考えているのは、これから先に自分の身に降り掛かることだけだった。
  18. 18 : : 2014/04/03(木) 00:27:11
    ニック司祭はナイルのような異常な執着心も無ければ、マルロのようにとんでもない体質を持っているわけでもなかった。

    彼には身寄りも無い。

    愛する人がいない。

    愛する物も無い。

    そんなものは、とうの昔に自分には無くなっていた。

    壁の秘密も今では何の意味も持っていない。

    重荷から解放されたことは素直に嬉しかった。

    彼は、何も恐れてはいない。

    この世に何も未練は無い。

    ただ単に、呼吸をしているだけの存在・・・。

    自分がそんな空虚な存在であることにも、ニックは何も感情を抱けなかった。
  19. 19 : : 2014/04/03(木) 00:41:41
    再び戻って地下壕の中

    先ほどまで部下たちが働いていた場所を眺めながら、ザックレー総統は机に敷いてある地図を眺めていた。

    ザックレー「やれやれ、久しぶりに怒鳴ったわ。」

    いすに深く体重をかける。

    ザックレー「調査兵団は来ないだろう。わしの愛する家族もじきに死ぬ。この世に未練など無い・・・。」

    総統は涙を流していた。

    ザックレー「そうとも・・・。未練など・・・、無い。」

    彼は机を殴った。

    何度も・・・、何度も・・・。

    まるで、自らの言葉を痛みを通して身体に染み込ませているかのように。
  20. 20 : : 2014/04/03(木) 00:44:10
    とりあえず本日はここまで。
  21. 21 : : 2014/04/03(木) 00:58:03
    よく考えたら今回も長くなってしまいました。申し訳ありません。
  22. 22 : : 2014/04/03(木) 01:10:26

    期待してるよ

    頑張って
  23. 23 : : 2014/04/03(木) 09:01:52
    >>22 ありがとうございます。
  24. 24 : : 2014/04/03(木) 21:59:42
    ザックレー「そういえば・・・。」

    そう言いながら彼は、書類の詰まった棚から書類を引っ張り出した。

    見ると、棚の隠れていた場所に一本のボトルが押し込まれている。

    彼はそのボトルを引っ張り出して、まるで古い友人に再会したかのような顔でつぶやく。

    ザックレー「本当は巨人が死滅した後、上層部のやつらと一杯やるために隠しておいたんだが・・・、まさかこんな形で開けることになるとはな。」

    そっとボトルを回して製造日を確認する。

    ザックレー「104年もののシャンパンか・・・。なんとも皮肉なことだな。」

    ザックレー「幸運なことに、ここにある酒はこれだけじゃない。参謀のやつらが隠れて持ち込んでいたからな・・・。」

    ザックレー「確か、やつらの個人用デスクに押し込んであったか・・・。まあ、まずは景気よくこいつから飲んでいくとしようか。」

    総統は勢いよくコルクを飛ばした。

    ぎこちない手付きでワイングラスに酒を注いでいく。

    濃厚な酒の香りが、いまや墓場のように静かな室内に充満していった・・・。
  25. 25 : : 2014/04/03(木) 22:26:44
    そのころ、地下壕から遠く離れたウォール・ローゼ付近では・・・。





    エルヴィン「皆、巨人のことは後方の精鋭班に任せて全力でトロスト区へと撤退せよ!」

    エルヴィン・スミス率いる調査兵団。

    その大半が列を成して全力で愛馬を疾駆させている。

    後方では背の低い兵長を筆頭に猛者の中の猛者たちが追ってくる巨人を食い止めていた。

    エルヴィン「巨人を発見したら少数の兵で別コースに誘導しろ!一人でも多くの兵をトロスト区防衛戦に参加させるんだ!」

    撤退を開始してから何回同じことを叫んだことか。

    最悪の状況を前に浮き足立つ兵たちを鼓舞するため、団長は列の最前列から最後列まで回って声を張り上げてきた。
  26. 26 : : 2014/04/03(木) 22:28:08
    すでに喉が限界に近いが、それでも彼は叫び続ける。

    たとえ喉が張り裂けようとも、彼は叫ぶことを止めないだろう。

    彼には責任がある。

    兵団に所属する全員の命はもちろん、壁内人類全てに対して大きな責任を持っている。

    彼は今回の事態を全く予期していなかった。

    壁外で知性巨人の襲撃を受けることはあっても、壁内への攻撃が行われるはずがないと判断していた。

    そしてその判断は見事なまでに外れてしまい、今この時も人類は滅亡しかけようとしている。

    ローゼが破られた以上、敵はエレンに興味を無くしたようだ。

    要するに、敵が人類を滅亡させない理由は残っていない。

    女型の巨人は必ずシーナも攻撃する。

    憲兵団が多く配属される中心部なだけあってすぐには陥ちないだろうが、長くは持たないだろう。
  27. 27 : : 2014/04/03(木) 22:35:47
    調査兵団員「団長!ウォール・ローゼからウォール・シーナまでの行程のおよそ半分を走破しました!」

    エルヴィン「分かった。ご苦労。」

    思ったよりもペースが早い。

    これなら、女型の巨人とやらを憲兵団が食い止めている間にたどり着けるかもしれない。

    そう思ったその時だった。

    地平線の彼方に雷鳴が轟き、一筋の稲妻が天へと登った。

    エルヴィン「来たか。」

    団長のつぶやきは調査兵団の兵たちの総意でもあった。

    巨人たちとの戦いをくぐり抜けてきた調査兵たちは、知性巨人との対決を前に復讐心を燃え上がらせていた。

    団長は、彼らのこの顔を見るたびに勝利を確信する。

    短期的な敗北は数えきれないが、いつか必ず人類は・・・、



    巨人に勝利することだろう。









    その直後、調査兵団の列の中央あたりから、全く同じ稲妻が天に登った。
  28. 28 : : 2014/04/03(木) 22:37:41
    今さらながら亀更新注意。

    それと、結局のところ1レス分の長さはこのぐらいでいきます。
  29. 29 : : 2014/04/03(木) 22:57:11
    地下壕と地上を結ぶ階段に、これまでと違う匂いが漂い出したことに、ニック司祭は気が付いた。

    他の二人はこれからのことで頭がいっぱいで気付いていないようだが、はっきりと匂う。

    高い酒に特有の濃いアルコールの匂いだ。

    となれば、取るべき道は一つしかない。

    ニック「私はやはり総統が心配だ。君たちは地上に行って指揮を頼む。私は総統のお供をする。」

    ナイル「総統閣下は我々に対して退室を命じられた。従うのが市民の務めだろう。」

    ニック「あのままでは総統は自殺しかねん。誰か一人ついておくべきだ。それに、君たちは軍人だから地上に出て戦う義務があるだろうが、私は何をしようと自由だ。私がしたいことをする。」

    ナイル「・・・、分かった。行くがいい。ただし、総統が死ぬことだけは阻止しろ。いいな?」

    ニック「もちろんだ。そのために行くのだからな。」

    ナイル「よろしく頼む。いくぞ、マルロ。」

    二人が見えなくなるまで見送ってから、ニック司祭は静かに階段を降りていった・・・。

    十分ほどたっただろうか、アルコールの匂いがますますひどくなる中、彼は先程まで総司令部だった部屋にたどり着いた。

    そっとドアを開ける。

    中には、酒のボトルをおぼつかない足取りで机まで運ぶザックレー総統の姿があった。

    ザックレー「・・・。誰だ?」

    ニック「私です。」

    ザックレー「貴様、なぜ戻ってきた?」

    ニック「閣下のお供を致そうかと思いまして。」

    ザックレー「・・・、まあいいだろう。そこに座れ。」

    ニック「失礼、その酒を一杯・・・。」

    ザックレー「待て、そう焦るな。わしが注ぐ。積もる話もあることだし、貴様にはゆっくり相手してもらうぞ。」

    ああ、今日は長い夜になりそうだ・・・。
  30. 30 : : 2014/04/03(木) 23:21:04
    すぐ上の文の「今日は」は「今夜は」の方が適切でした。

    脳内変換をお願いします。
  31. 31 : : 2014/04/03(木) 23:30:40
    本日はここまでとします。明日も更新予定です。
  32. 32 : : 2014/04/04(金) 19:17:21
    期待しています!頑張ってください!
  33. 33 : : 2014/04/04(金) 22:27:53
    >>32 ありがとうございます。そちらも応援しています。
  34. 34 : : 2014/04/04(金) 23:11:34
    とりあえず少しずつ更新。
  35. 35 : : 2014/04/04(金) 23:12:28
    エルヴィンは激痛と共に目がさめた。

    記憶が現状と一致するまでに数十秒必要だった。

    慌てて腰を上げて周囲を見渡したが、周りの状況はまさに混沌としていた。

    前方、調査兵団の大部分が密集する地帯では、兵たちが馬を捨てて立体起動での戦闘に入っていた。

    その標的はもちろん、人類の仇敵である鎧の巨人である。

    調査兵団の団員の誰かが巨人化したことは明らかだった。

    そしてエルヴィンには大方の目星はついている。

    やはり104期には謎が多いようだ・・・。

    後方では、兵団の精鋭たちが追撃する巨人を掃討しつつ撤退してきた・・・、ものの前方での不慮の事態により足踏みを余儀なくされてしまったようだ。

    これはまずい。非常にまずい。

    このままでは兵員の消耗が永遠に続いてしまう・・・。
  36. 36 : : 2014/04/04(金) 23:14:00
    何を捨てればいいのか・・・。何を・・・、捨てる・・・べきか・・・!

    エルヴィン「総員撤退!」

    思わず耳を疑った団員たちに、団長は繰り返す。

    エルヴィン「ストヘス区まで全速前進せよ!鎧の巨人は捨て置け!いかなることがあっても走り抜けよ!!」

    これが彼の決断だ。実に彼らしい、無茶苦茶かつ合理的だ。

    エルヴィン「後方の精鋭班は鎧の巨人の前進を阻め!追撃してくる無知性巨人とで鎧の巨人を挟み込むんだ!」

    後方の精鋭たちには悪いが・・・、これも人類のためだ。

    彼らにはガスが切れるまでの間、鎧の巨人と無知性巨人の両方を足止めしてもらう。

    ガスが切れたら徒歩で生還を試みてくれ。

    エルヴィンの下した命令は、そう言っているに等しかった。
  37. 37 : : 2014/04/04(金) 23:57:29
    再び戻ってウォール・シーナ内の中心部、地下壕にて





    ザックレー「そもそも近頃の若い参謀の青二才どもには、構想力が無い。」

    ザックレー総統とニック司祭、二人の男による酒宴がヒートアップしていた。

    ザックレー「一つの戦いで勝つことばかり考えよって!その戦役全体をどう組み立てるか、その肝心な部分がさっぱり身に着いとらん。戦いというのは一つの会戦やら壁外遠征やらで終わるものではないというのに!戦争全体に渡っての詳細なヴィジョンがあって始めて参謀と言えるのだ。」

    ニック「なるほどねえ。」

    ザックレー「まあ、年寄り連中も大差は無いが・・・。わしが若いころは周りが皆、巨人に対する有効な戦術をみつけたり、遠征前の下準備にはこれが必要だから追加すべきだとか、ここに拠点を設けるべきと言った議論であふれていた。まだマリアを失うずっと前で活気があったということもあるがな。」

    ニック「確かに、私のとこも若い者が増えてきて色々と世話を焼いてますわ。」

    ザックレー「教団も大変でしょうなあ。」

    ニック「組織の運営はどこでも変わらないということでしょう。」
  38. 38 : : 2014/04/04(金) 23:58:08
    ザックレー「もう一杯いけます?」

    ニック「ああ、どうも。ぜひ喜んで。」

    ザックレー「どうぞ。」

    ニック「しかし、この部屋も寂しくなりましたなあ・・・。」

    ザックレー「まさか参謀どもにあそこまで忠誠心が無いとは思わんかった。ありゃショックやった。」

    ニック「そうでしょうなあ・・・。ところで前から気になっていたんですが、あそこにあるミニチュアはなんです?」

    ザックレー「あれですか。あれは・・・、妻がくれたものです。」

    ニック「かみさんからミニチュア・・・ですか・・・。」

    ザックレー「妻の考えた理想の都市を職人さんに何年もかけて作ってもらったそうで・・・。酔狂な妻だと思いますでしょう。」

    ニック「いえいえ。しかし、理想の都市というのも気になりますな。」

    ザックレー「色々と紹介しましょう。立ち上がれますか?」

    ニック「ええ、なんとか大丈夫です。」
  39. 39 : : 2014/04/04(金) 23:59:42
    ザックレー「ほら、ここが王の宮殿です。今と変わりませんが。ここが中央大病院とやらだそうです。人類の医療の中心にしたいと言ってました。」

    ニック「夢のある奥さんですね。」

    ザックレー「いえいえ。そら、ここが住宅街でして、隣のひときわ華やかな地区が市場ですわ。この地区は労働者が集まる工業生産地です。各地区から中央の宮殿へ向けて縦の街道が伸び、各地区の間は横の街道が同心円上に何本も伸びています。」

    ニック「なんとも・・・、幾何学的で美しい。実際に整備されれば市民は繁栄を分かち合えたことでしょうなあ。」

    ザックレー「このミニチュアは私が総統に着任した際に妻が送ってくれまして。最初はこんなもの荒唐無稽な戯言だと思っていました。しかし、毎日眺めているうちに段々と愛着がわいてきましてなあ・・・。」

    ニック「ふむ。」

    ザックレー「ちょうどその頃でした。妻が他界したのは。」

    ニック「奥さんを亡くされていたとは・・・、聞いていませんでした。」

    ザックレー「その時、私の心はハッキリしました。妻の夢見た都市で新時代を築き上げる・・・それが私の夢だと。」

    ニック「・・・・・・・・・。」

    ザックレー「実際のところ、総統は兵団の統帥権を持つのみで内政にはほとんど口出しできず・・・。都市計画も書類は作りましたが政府に見せる機会がなかなか・・・。

    ニック「なるほど、いい話でした。」

    ザックレー「いえいえ、今度はあなたが何か話して下さい。酒もまだまだありますしね。」
  40. 40 : : 2014/04/05(土) 00:01:25
    本日は取り急ぎここまでとします。
  41. 41 : : 2014/04/06(日) 01:10:28
    本日はなんだかんだで書いてません。

    申し訳ありません。
  42. 42 : : 2014/04/07(月) 22:35:12
    入学とかその他もろもろ色々とありましてな。

    なかなか書けてませんが申し訳ない。
  43. 43 : : 2014/04/11(金) 00:34:25
    高校生がここまで忙しいとは。

    土日にしか書けそうにありません。申し訳ない。
  44. 44 : : 2014/04/13(日) 00:02:33
    とりあえず少しだけ更新します。
  45. 45 : : 2014/04/13(日) 00:03:10
    同時刻、戦線はストへス区までわずか10キロの地点にまでズルズルと移動。

    憲兵団の残存兵力は壁内へと完全に撤退を済ませ、女型の巨人が現れる時を待っていた。

    壁上には臨時に動員された砲兵が列を成し、砲弾の準備も完了している。

    ただ、この戦いから生きて帰れる望みを持っている者は、よほどの自信家か楽天家だけだった。

    士気は最悪であり、しばしば列に乱れができる。

    脱走者を上官が粛清するためである。
  46. 46 : : 2014/04/13(日) 00:04:13
    ナイルとマルロが地下壕からの階段を登り終えたのは、そんな時だった。

    ナイル「どうやら、人類というものはまだ尊厳を失っていないらしいと見える。」

    マルロ「ええ・・・、正直な話、驚きました。ここまで市民が統率の取れた避難をしているとは・・・。」
  47. 47 : : 2014/04/14(月) 23:11:02
    ベルリンの地下壕か!wwww
  48. 48 : : 2014/04/14(月) 23:13:14
    さすがです。
    このネタは有名かと思ったらそうでもないんですねえ。
    総統つながりでやってみました。
  49. 49 : : 2014/04/16(水) 21:20:14
    高校生活も慣れればゆとりが生まれるかもしれませんが、今のところ土日にしか時間が取れなさそうです。
  50. 50 : : 2014/04/17(木) 22:11:06
    期待です
  51. 51 : : 2014/04/18(金) 21:28:45
    >>50 感謝します。
  52. 52 : : 2014/04/18(金) 21:30:13
    ナイル「おそらく、総統閣下が進めた情報管制の効果が上がっているんだろうな。」

    マルロ「ああ、なるほど。やたらと総統が秘密主義だったのはそれの一環ですか。」

    ナイル「そうだ。総統がこの光景をご覧になれば必ずやお喜びになるだろうな。」

    マルロ「私も安心しました。完全な私情でですが・・・。」

    ナイル「何はともあれ、ストヘス区の扉も破られた気配もない。総統が悲観していたよりもはるかに状況は好転している。」

    マルロ「あとは調査兵団さえ帰還すれば・・・。」
  53. 53 : : 2014/04/18(金) 21:30:34
    ナイル「エルヴィンは責任感のある男だ。必ずやってくるとも。」

    マルロ「師団長がエルヴィン団長を褒めるなんて珍しいですね。」

    ナイル「珍しいどころか、十年以上言ったことがなかった。私も随分と年を取ったな。」

    マルロ「まだまだこれからですよ、師団長。人類は巨人に勝ちますとも。」

    ナイル「ああ・・・、そうでないと困る。」
  54. 54 : : 2014/04/22(火) 22:40:46
    放置化が一番著しいですけど、ご容赦ください。
  55. 55 : : 2014/04/24(木) 22:50:00
    ストヘス区より3kmの地点、調査兵団の陣形の中心部では

    エルヴィン「もう少しだ!皆、持ちこたえろ!」

    団長による鼓舞がまだ続いていた。

    すでに巨人との戦いが凄惨さを極めているが、後方精鋭班の一部を抽出し、立ちふさがる巨人を確実に仕留めている。

    鎧の巨人は精鋭班と無知性巨人との間で見事に挟み撃ちにされ、動きが鈍っている。

    前方に見えるウォール・シーナもかなりの大きさになってきた。

    そして、その壁から突き出ているもう一つの壁・・・。

    ストヘス区だ。

    壁付近に巨人が群がっていないところを見ると、憲兵団が撤退してから時間がたっているようだ。

    女型の巨人が現れていない・・・。

    彼の予想通りだった。

    三回連続で巨人化するリスクは大きいのだろう。

    決戦の時は近付いている。

    調査兵団の中に鎧の巨人はいた。

    そして、現在も壁の前に超大型巨人が現れていないという事実。

    これらを総合的に考えると、超大型巨人は調査兵団の中にいると見てよさそうだ。

    つまり、壁に帰還したその瞬間から決戦が始まる。

    敵が仮に布陣を待ってくれるようなジェントルマンなら別だが。

    さあ、どこだ・・・。どこにいる・・・?
  56. 56 : : 2014/04/24(木) 22:50:42







    ニック「だから私はその信者に言ってやりましたよ、あなたのケツの穴はブカブカすぎる!ってね。」

    ザックレー「はっはっはっは、そりゃいいですなあ。私もそんな仕事がしたいですよ。」

    ニック「ところで総統、残存部隊の指揮を地上の連中に任せっきりにしていいのですか?」

    言った後でニックは後悔した。その話題は、少なくとも今出すべきものではない。

    ザックレー「・・・構わん。どうせ、誰が指揮を執ったところで人類の未来は長くない。それよりも今は飲むことだ。飲んで悪いことは忘れようじゃないか、ええ?」

















    ニック「・・・ええ、私もまだまだ飲みますよ。失礼、ビンを取って下さると助かります。」
  57. 57 : : 2014/04/24(木) 22:51:24
    ナイル「ようやくストヘス区の壁までたどり着いたか・・・。」

    マルロ「ええ、長い道のりでした。」

    ナイル「配置されている憲兵は・・・、ざっと150人といったところか。」

    マルロ「これだけの数を一度にぶつければ、あの超大型巨人と鎧の巨人、あるいは新種の女型の巨人とやらも敵ではありません。」

    ナイル「ああ、そのはずだがな・・・。」

    マルロ「どうされました?」

    ナイル「いや、何か釈然としないものを感じる・・・。何かは分からないが。」



    ナイル「いや・・・、まさか。そんなはずはないだろう。」







    壁上の憲兵「上官、地平線の先に土煙を確認!大きさから推測した結果、調査兵団かと思われます!」

    上官「王政府及び内地司令部まで急ぎ伝令!調査兵団が帰還した!繰り返す、調査兵団が帰還した!」

    上官「それと、下の連中に開門の用意をさせろ。」
  58. 58 : : 2014/04/30(水) 20:00:23
    再び放置が著しいですが、黄金週間に入ればなんとかなります。
  59. 59 : : 2014/05/04(日) 20:19:34
    若干の更新。
  60. 60 : : 2014/05/04(日) 20:20:27







    壁上の憲兵「上官、地平線の先に土煙を確認!大きさから推測した結果、調査兵団かと思われます!」

    上官「中央王政府及び内地司令部まで急ぎ伝令!調査兵団が帰還した!繰り返す、調査兵団が帰還した!」

    上官「それと、下の連中に開門の用意をさせろ。」
  61. 61 : : 2014/05/04(日) 20:21:00






    調査兵「団長!門が開いていきます!」

    エルヴィン「全員、全速で壁内まで駆け抜けよ!門を通過した後は急いでガスと刃の交換を行え!」
  62. 62 : : 2014/05/09(金) 23:04:53
    テスト期間突入により、活動が著しく制限されます。
  63. 63 : : 2014/09/14(日) 22:12:36
    エルヴィン(後方の精鋭たちも何人かは帰還できそうだ。痛い打撃ではあるが・・・。)

    エルヴィン(しかし、さっきから引っかかっていることが1つ。なぜあのタイミングで鎧の巨人は姿を現したのか。はっきり言って自殺行為に等しい。)

    エルヴィン(もしかしたら精鋭たちを釘付けにするためだろうか・・・。いや、特にメリットは無い。)

    エルヴィン(もしかしたら私は大きな勘違いをしているのかもしれない・・・。)

    調査兵「団長!陣形の先頭が扉にさしかかったようです!」

    エルヴィン「よし・・・。」

    開け放たれた扉から調査兵が帰還していくのがここからでも見える。

    もう少し遅れていたら扉に巨人が群がっていたかもしれなかった。

    そうなると、追ってきた巨人とで包囲され、調査兵団は全滅していただろう。

    数分後、全ての調査兵が壁内への退避を完了させた。
  64. 64 : : 2014/09/14(日) 22:31:57
    エルヴィン「ナイル!」

    ナイル「エルヴィン・・・!無事だったか・・・。」

    エルヴィン「お互いにこうなると大変だな。」

    ナイル「軍人の職務を果たすまでだ。人類のためにな。」

    エルヴィン「・・・。それはそうと、シーナ内部の残存兵力は?」

    ナイル「ピクシスの駐屯兵団の生き残りが数十人。今も少しずつ戻ってきているらしい。シーナ内部にいた駐屯兵も合わさるとそれなりの戦力になる。」

    ナイル「憲兵は半数が捕食された。残りはストヘス区の防衛に全力をあげている。」

    エルヴィン「調査兵の補給はどこでできる?」

    ナイル「200m先の倉庫に軍需物資が集積されている。そこを利用してくれ。」

    エルヴィン「用意がよくて助かる。あとは・・・、調査兵団の残りはどこに配置すればいいだろうか?」

    ナイル「・・・、お前の好きにすればいい。」

    エルヴィン「中央からの司令は?」

    ナイル「中央からの司令はもう来ない。」

    エルヴィン「総統に何かあったのか?臨時の地下壕に避難したとばかり思っていたが。」

    ナイル「総統は指揮が取れる状況ではない。参謀も皆、家に帰って家族と会っているだろう。」

    エルヴィン「・・・・・・・・。状況は分かった。」

    エルヴィン「私が地下壕に行く。」
  65. 65 : : 2014/09/14(日) 22:36:57
    なんかすごく久しぶりに更新しました。

    今後はちょっとずつ書いていきます。

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