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この作品は執筆を終了しています。

『思い』が『想い』に変わるとき

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  1. 1 : : 2014/03/31(月) 18:39:51




    ー 850年 トロスト区 ー





    覚えているのは、突然辺りが暗くなったこと。

    そして水蒸気のようなものを伴った爆風。



    壁の上で固定砲の整備をしていた俺は、何が何だか分からないままその爆風に吹き飛ばされた。

    その時に石で頭を強く打って、俺はそのまま壁の下へと落ちていく。

    朦朧としていく意識の中で、班の仲間が俺の名を呼ぶのが聞こえた。


    まずい

    俺、死ぬのかな…




    そう思ったとき、突然脚に何かが刺さるような痛みを感じて落下が止まった。

    と同時に、上から声がした。






    「…サムエル!動かないでくださいね!」





    ーーーーーーーーーーーーーーーー



    ご覧くださり、ありがとうございます(o'∀'o)ノ


    ・ネタバレがアニメの範囲まであります。ご注意ください。

    ・今回も妄想100パーセントでお送りします。


    こちらの作品は書き溜めをせずにゆっくり書いていく予定です。
    ゆえに、更新がとんでもなく遅くなる可能性が高いです…ご了承くださいませ。

    それでは、どうぞよろしくお願いします☻



  2. 4 : : 2014/03/31(月) 19:38:53






    次に気付いた時には、病室のベットの上だった。

    …頭がズキズキする。

    外はなにやら騒がしいみたいだけど、何があったんだろう。

    俺…104期訓練兵 サムエル・アイゼンブライは、ベットから起き上がろうとして脚に激痛を感じた。



    サムエル「いって…!!」



    見ると、右脚のくるぶし辺りに包帯がぐるぐる巻きになっている。


    …俺、なんでこんな怪我したんだっけ。


    頭を抱えると、その頭にも包帯が巻かれていることに気付いた。

    ズキズキの原因はこれかと納得したところで、とりあえずベットに戻る。


    …この脚じゃあ、誰かを呼びに行こうにも行けないな。



    体整を整えて、何故自分がここにいるのかを考えてみる。


    俺はあの時、壁の上から吹き飛ばされて落ちかけて、誰かに助けてもらったってことなのだろうか。

    となると助けてくれたのは、きっと…




    トントンと病室の扉を叩く音がして、その少し後扉が開かれる。

    現れた人物は俺と目が合うと、丸い瞳をさらに真ん丸くして声を上げた。



    「サムエル!気が付いたんですね。あ、すぐにお医者さんを呼んできます!」



    同期のサシャ・ブラウスはそう言うと、扉も閉めずに病室を飛び出していった。


    …たぶん、俺を助けてくれたのは彼女だろう。

    うっすらではあるが、あの時彼女の声が最後に聞こえたのを覚えている。


  3. 9 : : 2014/03/31(月) 22:17:15




    少しするとサシャが医者を連れてきて、痛みの具合だとかあの時の様子だとか、いろいろと質問された。

    …質問したいことがあるのは、こっちなんだけどな。

    それにひとつひとつ答えて、こちらも聞きたいことを聞こうとした時。



    医者「…それでは私はこれで。顔色も良くて言葉もはっきりしているし、しばらく安静にしていればすぐに治るだろう。じゃあ失礼するよ。」

    サムエル「え、あの…」



    俺の声を無視して、医者は早足で病室を出て行った。

    病室にサシャと2人取り残される。

    相変わらず、外は騒がしい。



    サシャ「ぜんぜん目を覚まさないから、心配しましたよ。けど元気そうでよかったです。」

    サムエル「…俺は、どのくらい寝ていたんだ?」

    サシャ「そうですねぇ、今日で丸2日ですね。」



    そんなに…

    予想以上に長い間眠ってしまっていたことに驚いた。


  4. 17 : : 2014/04/03(木) 01:53:01



    サムエル「サシャ、俺が寝ている間に何があった?」



    俺がそういうと、サシャは滅多に曇らせない表情を曇らせて話し始めた。

    超大型巨人が突然現れて、トロスト区の扉を破壊したこと。

    エレンが巨人化して、広場の大岩を運んで扉の穴を塞いだこと。

    …そして、沢山の人が死んだこと。


    病院が騒がしいのは、俺と同じような怪我人が大勢いるからなんだろう。



    サムエル「そ…っか。」

    サシャ「はい…」



    言葉が出なかった。

    俺はずっと寝てたから知らないけれど、きっとサシャは戦いに行ったはずだ。

    巨人との交戦…

    俺ももし戦っていたとしたら、生きて帰って来れただろうか。


  5. 18 : : 2014/04/03(木) 02:01:29



    サシャ「あの…脚、ごめんなさい。落ちていくサムエルをどうやって助けたらいいか分からなくて、咄嗟にアンカーを刺しちゃったんです。痛みますよね…?」



    …そうだったんだ。

    サシャは俺の脚の包帯を、申し訳なさそうに見ている。



    サムエル「いや、医者もすぐ治るって言ってたし、サシャが助けてくれてなかったら今頃死んでるだろうし、感謝してるよ。」

    サシャ「そうですか…?よかった。サムエルは優しいですね。」


    そう言ってサシャは、ほっとしたようににこっと笑った。


  6. 22 : : 2014/04/04(金) 15:39:33


    サシャ「…あ、お腹すいてませんか?2日間何も食べてないだろうと思って、いろいろ持ってきたんです。」


    サシャは明るく言うと、持ってきていた大きな紙袋に手を突っ込んだ。


    サシャ「えーっと、リンゴとか…?それにパンと…冷めちゃってますけど、吹かした芋もありますよ。あ、あとあの時のお肉、サムエルの分は少し分厚く切って持ってきました!」


    そんな彼女の様子に、また笑みがこぼれてしまう。

    それに気付いたサシャも、またにかっと笑った。

    サシャに剥いてもらったリンゴを囓りながら、悲しい出来事を忘れようとするように、いろいろな楽しい話をした。


    …同じ班に配属されてから、初めて彼女とこんなにたくさん話をした気がする。

    気が付いたらすっかり辺りは真っ暗になっていた。
  7. 31 : : 2014/04/05(土) 23:14:42



    サシャ「…わたし、そろそろ宿舎に戻りますね。」

    サムエル「そうだね、夕食に遅れるよ。」

    サシャ「わ、それは困ります…!」



    サシャはいそいそと身支度をして扉の前まで行くと、振り返ってこう言った。



    サシャ「また明日来ますね、サムエル!」



    笑顔で病室を出て行くサシャ。

    …また明日、か。

    その言葉に、頬が緩むのを感じた。



  8. 32 : : 2014/04/05(土) 23:24:40




    次の日の夕方、約束通りサシャはやってきた。



    サシャ「サムエル、変わりないですか?」

    サムエル「うん、ありがとう。」



    …なんだか表情が昨日よりも曇って見える。



    サムエル「サシャ、なんか元気ないね。」

    サシャ「そ、そうですか?お腹すいてるからですかね。」



    そういったサシャの様子は、明らかに昨日と違っていた。



    サムエル「…何かあった?」

    サシャ「…」



    少し俯くと、サシャは話し始めた。


  9. 33 : : 2014/04/06(日) 00:24:05



    サシャ「…今日、街で死体の後片付けをしました。」

    サムエル「…」

    サシャ「どれも、とても痛々しくて。巨人が吐き出した塊なんで、誰かわからないくらいぐしゃぐしゃになってて…」

    サムエル「…ごめん、そんな話させて。」

    サシャ「同じ班の仲間の死体も回収しました。ミーナやナックも…ミリウスは上半身しか見つかりませんでした。」



    サシャは話をやめなかった。

    それどころか、まるで堰を切ったようにどんどんと話した。

    …まるで溜まっていたものを、全て出し切るように。



    サシャ「マルコも、右半身がなくなった姿で見つかりました。今夜、みんなの死体をまとめて焼却するそうです。」

    サシャ「…それを見て、わたしじゃなくて良かったって思ったんです。死んだ仲間の死体を前にして、わたしじゃなくて良かったって思ったんです。」

    サムエル「…」

  10. 34 : : 2014/04/09(水) 00:00:27



    なんて言葉をかけたらいいんだろう。

    そんなことないよというのも、なんだか軽々しく聞こえる。

    だからと言って、最低だと肯定する訳にもいかない。



    サムエル「…サシャは、最低じゃないよ。」

    サシャ「え…?」

    サムエル「うまく言えないけど…僕たちは訓練を卒業した兵士だから、戦うのは当然のことなわけで、えっと…」



    言葉が出てこない俺を、サシャが濡れた瞳で見つめているのを感じた。

    …口下手な自分をこれほど恨んだことはなかった。

  11. 35 : : 2014/04/09(水) 00:08:17




    サムエル「…たぶん、みんなそう思ってるんじゃないかな。言葉にしないだけでさ。」

    サシャ「…そう、でしょうか。」

    サムエル「うん。俺もサシャの立場だったらきっと同じことを思うだろうし…それに、そのことを口に出して言える強さを持ってるサシャはすごいと思うな。」

    サムエル「だって、普通は言えないよ、怖くて。だけど、そんな自分としっかり向き合えるサシャはすごいと思う。」



    一瞬の静寂。

    サシャはしばらく何かを考えるような表情をしていたが、口角を上げてこう言った。


    サシャ「…ありがとうございます、サムエル。」


    涙で濡れた笑顔を見せるサシャに、胸が高鳴るのを感じた。

  12. 41 : : 2014/04/09(水) 21:48:40



    サシャ「今夜の火葬、行かないつもりだったんですけど、やっぱり行ってきます。みんなにお別れを言いたいですし。」

    サムエル「うん、行っておいで。」

    サシャ「…サムエルは、まだ外出は出来ないんですか?」

    サムエル「そうだね…俺の分まで、お別れを言ってきてよ。」

    サシャ「わかりました。」



    サシャは包帯が巻かれた俺の脚に目線を送る。

    …少し痛みがあるけど、すぐに良くなると思う。

    早く復帰して、俺もサシャのような立派な兵士になろう。

    そう心に決めた。



  13. 42 : : 2014/04/09(水) 22:09:51




    次の日も、その次の日も

    サシャは1日も欠かさずにお見舞いに来てくれた。



    サシャ「サムエルー!起きてますか?」

    サムエル「寝てるよ〜」

    サシャ「起きてるじゃないですか!」



    ふざけたやりとりをして、サシャが病室にやってくる。

    そして俺の包帯の取れていない脚を見て、一瞬悲しそうな顔をする。

    それがいつもの流れになっていた。



    サムエル「調査兵団の生活はどう?」

    サシャ「うーん、今のところ訓練兵の頃とあまり変わりはありませんね。」



    先日、調査兵団に入ったとサシャに聞かされた時は驚いた。

    しかもサシャだけじゃなく、上位の人間がほぼ調査兵団を志願したことにも驚愕した。

    …トロスト区が襲われる前にそんな話は少ししていたけど、巨人と対峙してもその気持ちが変わらなかったなんて。

    サシャは巨人と対峙したことでその気持ちがさらに固まったって言ってたけど、それってすごいことだよなあ。

    教官が馬に髪の毛を毟り取られた話を楽しそうにするサシャに相槌を打ちながら、そんなことを考えていた。


  14. 43 : : 2014/04/10(木) 19:02:42



    サシャ「…サムエル、聞いてますか?」

    サムエル「ごめん、聞いてるよ。それで?」

    サシャ「もう!そんでその後な…」

    サムエル「え?」

    サシャ「あ…!!」



    サシャの零した言葉のイントネーションに、聞き覚えがあった。

    それに気付いたのか、顔を真っ赤にするサシャ。



    サムエル「サシャ、今の言葉…」

    サシャ「ご、ごめんなさい!何でもないです…」

    サムエル「もしかして、ローゼ南の方の出身?」

    サシャ「え…?だ、ダウパー村です、けど…」

    サムエル「ダウパー村!?俺隣のナジキ村やけど?!」

    サシャ「ええっ、ほんまに?!ていうか、その言葉遣い…!サムエルも隠しとったんか?」

    サムエル「いんや、俺は外ではずっと方言で喋らんかったから、癖やな。…なんや、ご近所さんやったんやな!」



    思わぬ共通点を見つけて、俺は嬉しくなった。

    サシャも目をまん丸くして驚いている。

  15. 46 : : 2014/04/10(木) 22:50:35



    サシャ「なんや〜!ばれてもうたらしゃあないな!けど、他のみんなには内緒にしとって。」

    サムエル「え、なんでや?」

    サシャ「だって…恥ずかしいやん。こんな話し方。」

    サムエル「そうかなあ、俺はそんなことないと思うけど。」

    サシャ「お願い、内緒にしとって!わたしたちだけの秘密っちゅうことで!な?」



    俺たちだけの、秘密。

    悪い気はしなかった。



    サムエル「よっしゃ、秘密にしといたるわ。」

    サシャ「よかった、おおきに!…なんかお父さんと話してるみたいやわあ。」

    サムエル「そやなあ。俺もおかんと話してるみたいや。」



    …なんだか、サシャとの距離がもっと縮まったような気がする。

    我慢していた方言を久しぶりに話したからか、なんだかすっきりした様子のサシャを見て俺は嬉しくなった。


  16. 47 : : 2014/04/11(金) 01:40:12



    サシャ「ほなまた明日来るな。おやすみ〜!」

    サムエル「うん、おやすみ。気い付けて帰りや!」


    ひたすら方言で話していたら、いつもよりあっという間に時間が過ぎてしまった気がした。

    笑顔で手を振るサシャを見送る。

    …前より彼女が来るのが待ち遠しく思えたのは、方言で話せる相手が出来たせいだけではないことに俺は気付いていた。




    …そして、毎日お見舞いに来てくれる彼女への感謝の『思い』が、恋慕の『想い』へと変わろうとしていることにも。


  17. 50 : : 2014/04/11(金) 20:48:02



    ーーーーーーーーーーーーーーーー
    ーーーーーーーーーーー
    ーーーーー




    クリスタ「…サシャ、なんだか今日嬉しそうだね。」

    サシャ「え?」



    夕食の時同じテーブルに座っていたクリスタが、わたしの顔をまじまじと見てこう言った。



    サシャ「そ、そうですかね。」

    クリスタ「うん!なんかにこにこしてる。」



    …顔に出てしまってたのやろか。

    ちょっと恥ずかしくなる。



    ユミル「最近訓練が終わってから夕食までの時間、どっかにコソコソ出掛けてるのと何か関係あるんじゃねぇか?ん?」

    コニー「それ、俺もみたことあるぜ。訓練が終わるといつもさっさと帰って、すぐさっさと出掛けるよな、お前。どこ行ってるんだ?男んとこか?」

    サシャ「?!」ごほごほっ

    クリスタ「だ、大丈夫?!」



    ユミルと、隣のテーブルに座っていたコニーが予想外のことを言うものだから、食べていたパンを喉に詰まらせてしまった。


  18. 53 : : 2014/04/11(金) 23:26:47



    ユミル「…図星だな。」

    サシャ「ち、違いますよ!」



    にやにやした目つきでわたしを見つめるユミルから、ふいっと目を逸らす。



    …でもまさか、訓練兵の中に方言で喋れる人がいたなんて。

    なんだかずっと背負っていた肩の荷を少し降ろせたようで、ほっとしていた。



    ユミル「食べ物にしか興味なかったお前が、とうとう男に興味を持ったのか!」

    コニー「はは、そいつは傑作だな!」

    サシャ「なっ…!ち、違いますってば!もう、2人とも、食べないならパン貰っちゃいますよ?」



    …そんな気持ちじゃ、なかったと思うんやけどなあ。

    少なくとも、最初のうちは。

    サムエルの顔を思い浮かべる。

  19. 57 : : 2014/04/12(土) 16:36:48


    わたしがサムエルの病室に通っているのは、申し訳ないから。

    わたしが彼の脚にアンカーを刺してしまったせいで、彼に怪我をさせてしまったから。

    それの罪滅ぼしではないけれど、少しでもサムエルに早く良くなってもらいたいという思いから、毎日会いに行っていた。





    日に日に訓練が終わるのが待ち遠しく思うようになっている自分に気付いたのは、つい最近のこと。

    体力を奪われてへとへとになる兵站行進の後でも、頭を使ってくたくたになる座学の後でも、病院へと向かう足はいつも軽かった。


    病室のドアを開けて1番に目に飛び込んでくるものは、包帯の巻かれた彼の脚。

    でもその後すぐにわたしを温かく迎え入れてくれるサムエルの笑顔が、いつもわたしの後ろめたい『思い』を拭ってくれるのだった。

    そして代わりに心の中に流れ込むのは、温かな春の日差しような、サムエルへの『想い』だった。



    …これって、ユミルの言うとおり…



    わたしはそこではっと我にかえり、頭をぶんぶんと横に振り、シチューを一気に掻き込んだ。

  20. 64 : : 2014/04/12(土) 21:42:28




    その翌日。

    午後の対人格闘術の訓練を終えて、誰よりも先に宿舎に帰る。

    いつものように鞄だけを引っ掴み、すぐに出かける。

    向かうのは、もちろんサムエルの病院。

    その途中の商店で、彼の好きな林檎を買った。




    午前中ネス班長から、もうすぐ行われる壁外調査の詳しい話を聞いた。

    …いよいよわたし、壁の外に出るんやで。

    サムエルにそんな話をするのが楽しみで楽しみで、わたしの気持ちはいつも以上に弾んでいた。



    すっかり顔なじみになった看護婦さんに挨拶をして、サムエルの病室に向かう。

    いつものようにおどけて病室のドアを開けようとすると、中からサムエルの声が聞こえた。
















    サムエル「治らないって…どういうことですか?」

  21. 68 : : 2014/04/13(日) 18:08:58



    その言葉に、ドアノブにかけた手がぴたりと止まる。

    心臓が早鐘を打つ。

    わたしはそっとドアに近付いて、中の様子をうかがった。



    医師「傷口が炎症を起こしていて、そこから壊死し始めているんだ。このままだと範囲はどんどん広がっていってしまう。」

    サムエル「では…どうしたらいいんですか?」

    医師「…脚を、切り落とすしかない。」




    脚を、切り落とす?

    動悸がする。

    わたしはドアに耳をぴったりとつけ、中の会話を一字一句聞き漏らすまいと神経を集中させた。









    サムエル「あ、脚を切り落とすって…じゃあ、俺は兵士には…?」



    医師「…残念だけど…」






    どさっ


    肩からかけていた鞄が落ちて、艶やかな赤い林檎が床に転がる。





    …わたしのせいや。


  22. 73 : : 2014/04/13(日) 22:24:44




    その物音に気付いたのか、病室のドアが開かれる。

    ドアを開けたお医者さんの肩越しに、サムエルの顔が見えた。

    その顔色は、とても悪かった。



    サムエル「…サシャ。」

    サシャ「…」



    …ごめんなさい

    わたしは鞄をひっ掴むと、堪らず駆け出した。

    後ろからサムエルの声が追いかけてきたけど、振り向くことなんて出来なかった。



    わたしのせいで、

    サムエルの将来を台無しにしてしまった。

    3年間のつらい訓練も、全てを水の泡にしてしまった。




    ぜんぶ、わたしのせいで。




    サシャ「…サムエル、ごめんなさい…」




    病院を泣きながら飛び出し、そのまま一目散に通りを走る。




    その一部始終を、3人の人影が見ていた。



  23. 84 : : 2014/04/16(水) 22:11:54




    ーーーーーーーーーーーーーーーー
    ーーーーーーーーーー
    ーーーーー




    ただただショックだった。

    脚を、切り落とす?

    すぐ治るんじゃなかったのか?

    …兵士になるどころか、もう2度と歩くこともかなわないのか?



    医者をその場で問い詰めたかったが、ドアの外でした物音が、その気持ちを心の内に閉じ込めた。

    嫌な予感がした。

    この時間、いつもここにやってくるのは…



    サムエル「…サシャ。」

    サシャ「…」



    彼女は目に涙をいっぱいに貯めて俺を見つめていた。

    ごめんなさい

    彼女の唇が、そう微かに動く。



    次の瞬間、サシャは放たれた矢の如く走り出した。

    遠ざかる背中めがけて名前を呼ぶも、彼女は振り返ることなく遠ざかって行く。


  24. 85 : : 2014/04/16(水) 22:54:43



    …ごめんなさい

    彼女はそう言った。

    そしていつも病室に来てすぐに包帯の巻かれた俺の脚を見て、一瞬だけ見せる悲しげな瞳を思い出した。

    …やはり、サシャは俺の怪我に責任を感じていたんだ。

    今俺の命があるのは、君のおかげなのに。

    命に比べたら、脚の一本や二本なんて。




    けど

    彼女が刺したアンカーが原因で、俺は脚を切り落とさなくてはいけなくなった。

    その事実は曲がらない。

    サシャを責めるつもりは毛頭ないが、彼女とどう話したら良いのかもわからない…




    …くそ。

    ぐっとくちびるを噛む。

    医者が部屋を出て行って1人になると、さっきまでサシャがいたところに残された林檎が、夕日に照らされていやに紅くぎらぎらと光った。


  25. 91 : : 2014/04/17(木) 22:54:39



    ーーーーーーーーーーーーーーーー
    ーーーーーーーーーー
    ーーーーー





    脇目も振らず、宿舎までの道を駆ける。



    ごめんなさい

    ごめんなさい



    何度もそう口にしながら。




    部屋に戻ってくると、同室のユミルとクリスタの姿はなかった。

    それはこの時のわたしにとって、この上なく都合のいいことだった。






    サシャ「…うわあああああああ!!」



    がくっと膝をつくと、頭を掻き毟り、泣き叫びながら床を力任せに叩く。

    自分のせいで、人の人生を棒に振ってしまった。

    それが絶えられなかった。



    故郷を出る時、父さんに一人前の大人になるまで帰って来るなと言われたことを思い出す。

    こんなわたしを見たら、父さん、何て言うんやろ…



    握る拳に血が滲む。

    それでもわたしは、それを床に向けて振り下ろすことをやめなかった。

    …こんなもん、サムエルが感じている痛みに比べたらなんでもあらへん。

    そう思い、もう一度拳を振り上げたとき。









    それを、誰かに掴まれた。

  26. 92 : : 2014/04/18(金) 00:04:43



    サシャ「誰…!?」







    ユミル「…もう、やめろよ。」

    クリスタ「…」

    コニー「…」



    ユミルがわたしの手を掴んだまま、静かに口を開く。

    その後ろには、クリスタとコニーの姿もあった。



    サシャ「…ユミル。」

    ユミル「お前、毎日どこに行ってるのかと思ってたら、サムエルの見舞いに行ってたんだな。」

    サシャ「…あとをつけたんですね。」

    クリスタ「ごめんね、その…興味があって…」

    サシャ「…ってことは、お医者さんとサムエルの話…聞いてましたよね…」

    クリスタ「…」



    クリスタは俯くと、小さく首を縦に振った。

    …じゃあ、しゃあないな。

    わたしは自分を嘲笑うかのように話し始めた。



    サシャ「…みなさんが聞いた通りですよ。わたしのせいで、サムエルの人生を台無しにしたんです。だから…」

    コニー「そうじゃねぇだろ。」

    サシャ「え?」



    視線を上げると、いつになく真面目な顔をしたコニーと目が合う。

  27. 98 : : 2014/04/19(土) 22:47:54



    コニー「お前があの時アンカーを刺してサムエルを助けてなかったら、あいつは今ごろどうなっていたと思う?」

    サシャ「…」

    コニー「俺はあの時、お前と同じ場所にいたから分かる。お前が機転を利かせてあいつの脚にアンカーを刺してなかったら、あいつは確実にあのまま落ちて死んでた。」

    サシャ「ちが…」

    コニー「違わねえよ!!」



    コニーが急に大きな声を出したので、ついびくっとしてしまう。



    コニー「…すまねえ、つい頭に血が上っちまった。」

    コニー「けどよ、あの時お前以外の奴らは…勿論俺も含めてだが…自分の身を守ることで精一杯だったんだ。そんな中お前だけは、自分の身の安全を確保する前に、真っ先にあいつを助けた。」

    サシャ「…」

    コニー「そんな真似、俺にはとても出来ねえ。」

    コニー「そのことに、俺よりはるかに頭のいいサムエルが気付いていないわけないと思わねえか?」





    『…サシャが助けてくれてなかったら今頃死んでるだろうし、感謝してるよ。』



    前にそう言ったサムエルの声が頭に蘇ってきた。

    …サムエルは、脚が治らないと分かった今でもそう思ってくれているんやろか。


  28. 104 : : 2014/04/21(月) 22:16:14




    サシャ「…そう、でしょうか。」

    クリスタ「そうだよ!サシャはサムエルの命を助けたんだよ。なのに、自分を責めることないよ!」

    ユミル「コニー、お前たまにはいいこと言うんだな。」

    コニー「まあな、俺天才だから。…さてと、女子宿舎にいるってバレたら上官に殺されそうだし、そろそろ帰るわ。」

    ユミル「待て、出口まで送ってやるよ。」

    コニー「そばかす女にしては優しいんだな、ありがとよ。」

    ユミル「馬鹿言え、他の女子部屋に入らないように見張るのさ。…クリスタ、サシャを頼むな。」



    2人が部屋を出て行く音を、背中で聞く。

    隣ではクリスタが、わたしの傷ついた手を握って傍にいてくれる。


    …今はみんなの優しさが、ただただ嬉しかった。


  29. 107 : : 2014/04/23(水) 18:52:25




    ーーーーーーーーーーーーーーーー
    ーーーーーーーーーー
    ーーーーー




    コニー「…ありがとよ、ユミル。」

    ユミル「おう、じゃあな。」



    女子宿舎の出口まで送ってくれたユミルと別れ、男子宿舎の方へと歩き出す。

    …あいつ、ひどく落ち込んでたな。

    サシャの涙でぐしゃぐしゃになった顔を思い出すと、なんだか胸が痛んだ。

    それはただ単に、サシャが可哀想だから、という理由だけではなかった。

    サシャの嗚咽から漏れ伝わってきた『想い』が、俺の胸を締め付ける。





    きっとサシャは、サムエルのことが好きなのだろう。

    あいつのあんな表情、今まで見たことがなかった。

    と同時に、理由はともあれサシャにあんな表情をさせたサムエルのことを、とても腹立たしく思った。




    …夕方ユミルとクリスタに、サシャの後をつけないかと持ちかけられたとき。

    俺は一瞬迷った。

    興味がなかったのかと言われればむしろ逆だが、何故だか知るのが怖かった。

    その時は分からなかったが、今思えば、知ってしまったら自分が傷つくのではないかと心の何処かで思っていたのかも知れない。










    なぜなら俺は、サシャのことが…








    …ああ、くそ。

    こんなことになるまで自分の『想い』に気付かなかったなんて、やっぱり俺は馬鹿なのか?

    悶々とした気持ちを抱えたまま、先を急ぐ。













    「…女子宿舎に忍び込むとは、感心しないねぇ。」


    後ろから明朗な声が聞こえて恐る恐る振り返ると、そこには意外な人物の姿があった。


  30. 108 : : 2014/04/23(水) 23:28:50




    コニー「は、ハンジ分隊長!おおお、俺は決して忍び込んだわけでは…」

    ハンジ「あはは!分かってるよ、ちょっとからかっただけさ。」



    その人物…ハンジ分隊長はけらけらと笑うと、言葉を続ける。



    ハンジ「散歩してたら君たちの話が窓から聞こえてきてね…失礼かと思ったんだけど、少し盗み聞きさせてもらってたんだ。そこで君に、ぜひとも頼みたいことがあるんだけど…」

    コニー「頼みたいこと、ですか?」

    ハンジ「うん。簡単だけど、大事なことを、ね。」



    ハンジ分隊長の眼鏡の奥の瞳が、不敵に光った。



  31. 109 : : 2014/04/29(火) 01:34:22




    ーーーーーーーーーーーーーーーー
    ーーーーーーーーーー
    ーーーーー




    目が覚めたら、いつものベッドの上だった。

    …終わったんだ。



    身体を起こして、自分の右脚があった空間を見つめる。

    膝までは普通通りだが、その先にあるはずの脛や足は、跡形もなくなくなっていた。

    まだ麻酔が効いているのか、痛みはない。




    看護婦「…気が付いたのね。」



    ちょうどやってきた看護婦さんが、額の汗をタオルで拭き取ってくれる。



    看護婦「手術は無事成功したわ。傷口が塞がったら少しリハビリをして、そうしたら退院よ。」

    サムエル「…ありがとう、ございます。」



    やっとのことで声を絞り出す。



    看護婦「…そういえば、最近来ないわね、あの娘(こ)。喧嘩でもしたの?」

    サムエル「…まあ、そんなところです。」

    看護婦「ふふ、じゃあ退院したら、真っ先に会いに行ってあげなくちゃね。」

    サムエル「…」


  32. 110 : : 2014/05/01(木) 00:45:57



    あの日から、サシャは一度もここに姿を見せていない。

    毎日夕暮れ時になると、彼女がおどけた表情でドアを開けるのを今か今かと待っている。

    しかし、その期待は毎日裏切られていた。



    …彼女はもう、ここには来てくれないだろうな。

    薄々そう思っていたが、それでも期待をせずにはいられなかった。




    看護婦さんが病室を出て行くと、辺りは一気に静寂に囲まれた。

    オレンジ色の夕日が、窓から部屋に深く射し込む。











    そのとき。

    トントン、とドアをノックする音がした。

    心臓が大きく跳ね、どうぞ、と返した声が裏返る。

  33. 113 : : 2014/05/02(金) 23:54:02



    サムエル「…コニー?」

    コニー「よう、元気そうだな。」



    ドアの向こうから姿を見せたのは、コニーだった。

    彼はそう言うと、俺の右脚に一瞬視線を走らせる。



    コニー「…手術、成功したのか?」

    サムエル「ああ、まあな。」

    コニー「そうか、よかったな。」

    サムエル「ありがとう。」



    なんとなく、会話がぎこちない。

    コニーは落ち着かないのか、ソファに座ったり立ったり、部屋をぐるぐる歩き回ったりしている。



    サムエル「…もうすぐ、壁外調査に行くんだって?」

    コニー「ああ、来週な。」

    サムエル「そうか…頑張れよ。」

    コニー「…ありがとな。お前もリハビリ頑張れよ。」

    サムエル「ああ。」

  34. 118 : : 2014/05/04(日) 22:04:48



    コニー「…お前、退院したらどうするんだ?」



    少しの静けさのあと、コニーが口を開く。

    …それは、逆に俺が知りたいくらいだよ。



    サムエル「さあな。実家に帰って、父ちゃんの店の手伝いでもするよ。」

    コニー「…兵士には、やっぱならねえのか。」

    サムエル「うーん…この脚じゃあ、なりたくてもなれねえだろ。」

    コニー「そっ、か…」



    そして、2人ともまた黙り込む。

    コニーが貧乏揺すりをしているのが、視界の隅にちらついた。




    コニー「そうだ。差し入れ持って来たんだ。腹減った時食えよ。」

    サムエル「ありがとう。わざわざよかったのに…」

    コニー「…じゃ、じゃあ、またな。」

    サムエル「おう、またな。」



    コニーは俺に紙袋を手渡すと、ドアの方へと歩いていく。



    コニー「…今度会うときは、きっとお前も兵士だぞ。」

    サムエル「え?」



    ドアの前で小さく呟くと、コニーはそのまま外へと出て行った。

    …最後の一言は、どういう…?

  35. 119 : : 2014/05/04(日) 23:01:54




    コニーがくれた紙袋の中から、甘い香りがする。

    中を覗くと、熟れた林檎がふたつ入っているのが見えた。

    そしてその下に、何やら白いものが入っている。



    サムエル「…?」



    取り出してみると、それは封筒だった。

    宛名には、力強く達筆な文字で俺の名前が書いてある。

    …コニーの字じゃないな。


    封筒を裏返して、そこに書かれていた差出人の名前に驚いた。













    『調査兵団 第4分隊分隊長 ハンジ・ゾエ』



  36. 124 : : 2014/05/07(水) 02:10:11




    ーーーーーーーーーーーーーーーー
    ーーーーーーーーーー
    ーーーーー



    「…これより人類は、また一歩前進する。」

    「お前たちの力を、見せてくれ!!」



    上官の声に、私を含め、何百という兵士がブレードを掲げて応えた。



    重い一枚岩の扉が上がると、一陣の風が私たちが羽織る深緑のマントを揺らした。

    いよいよこれから、壁外へ出る。

    壁の外の新鮮な空気を感じ、身の引き締まる思いがする。

    …沢山の人たちが、私たち調査兵団に期待を寄せているんや。



    行ってきます。

    私はそんな気持ちを込めて、最後に彼らを一瞥した。





    その中に、見覚えのある顔がいた。

    思わず血の気が引く。



    サシャ「…サムエル。」



    彼は他の民衆のように歓声を上げるでもなく、高揚した様子もなく、ただ私を真っ直ぐに見つめていた。





    時が止まったように感じた。






    あの日以降、わたしはサムエルの病室を訪ねなかった。

    壁外調査の準備が忙しいことをお見舞いに行かない理由にして、自分を納得させていた。

    …本当は、毎日顔を見たくて見たくてたまらなかったのに。

    わたしの心に再び生まれた後ろめたい自責の『思い』が、わたしの足を病院から遠ざけてしまっていた。



  37. 125 : : 2014/05/09(金) 14:14:08




    そのとき。

    わたしから目を離さずに、サムエルが自身の右手の拳を左胸に当てた。






    兵士の、敬礼。






    …行ってらっしゃい。

    サムエルの唇が、しっかりとそう動く。

    そして、病室で見せてくれていた笑顔と全く同じ表情を浮かべた。



    …彼は、わたしのことを責めてなんかいなかったんや。

    思わず視界が涙で滲む。

    わたしは袖でごしごしと涙を拭うと、サムエルに敬礼を返した。

    それをみた彼は、また嬉しそうに笑う。





    「進めーーー!!」



    団長の声が響き、馬の嗎とともに一斉に前進する兵士たち。

    それとともに高まる民衆の歓声。

    わたしは少しの緊張を帯びて手綱を握り、前列に続いた。

    サムエルはその間もずっと、こちらを見ていた。




    壁外に出る前に、サムエルに会えてよかった。

    後ろめたい『思い』が、すっと心の中からなくなるのを感じる。

    わたしは晴れやかな気持ちと、再び心に根ざしたサムエルへの『想い』を抱え、壁外へと飛び出した。



    …サムエル。

    必ず帰ってくるから、待っててや。



  38. 129 : : 2014/05/09(金) 21:30:52



    ーーーーーーーーーーーーーーーー
    ーーーーーーーーーー
    ーーーーー



    調査兵団の一行を見送った後も、辺りはしばらく熱気に包まれていた。



    …調査兵団って、すごいんだな。

    人々の期待を一身に背負って壁外へと馬を進める姿に、憧れを感じた。

    俺は、彼らのような立派な翼にはなれない。

    だけど、彼らの進むべき道を探すことは出来るかも知れない。



    見送りを終えた市民たちに紛れて、松葉杖をつきながら大通りを後にする。

    路肩に待たせていた馬車に乗り込むと、中で待っていた男性に声をかけた。



    サムエル「モブリットさん、お待たせしました。」

    モブリット「ううん、おかえり。…彼女は見つかった?」

    サムエル「はい。行ってらっしゃいと伝えました。」

    モブリット「そっか、良かったね。じゃあ私たちも行こうか。出してくれ!」



    モブリットさんが御者さんに声を掛けると、馬車はゆっくりと動き出した。



    彼はモブリット・バーナー副官。

    先日手紙をくれた、調査兵団のハンジ分隊長に仕えている方だ。

    …あの手紙を読んだときは、本当に驚いたな。


  39. 130 : : 2014/05/10(土) 00:59:02









    サムエル・アイゼンブライ君へ



    やあ!初めまして。

    私は調査兵団で分隊長をしている、ハンジ・ゾエだ。

    いきなりの手紙で驚いたと思うけど、これは君にとってさらに驚くべき内容の手紙であると思うから、心して読んでくれ。



    簡潔に言うと、この手紙は調査兵団への勧誘だ。

    君が脚を切断する大怪我を負ったことは、勿論知っているよ。

    だから君は、兵士になることは難しい。

    だけど君は、3年間厳しい訓練を耐え抜いた立派な兵士だ。

    …何を言ってるのか分からないって?

    大丈夫、すぐに分かるから。



    調査兵団には、まず主に壁外調査などを行う『実行部』という部署がある。

    調査兵団のほとんどの兵士がここに属するのだけれど、君に是非入って欲しいのはもう一つの部署『研究部』の方だ。

    小さな部署だけど、一応私が責任者でね。分隊長と兼任してるから、もう仕事量が多くて多くて…おっと、話が横道に逸れるところだった。

    研究部の具体的な仕事内容は、主に巨人の生態の研究をすることだ。具体的には、生け捕りにした巨人に様々な実験をしたり、その結果をまとめて報告したり、過去のデータを見直したりするよ。

    そしてそれをもとにして、実行部幹部とともに壁外調査の計画を立てたりもする。

    つまり研究部は、調査兵団の要である実行部を動かす仕事をしていると言っても過言ではないんだ。



    だから、脚の一本や二本なくても全く問題ない!!

    必要なのは、人類の役に立ちたいという熱意だけでいいんだ。

    良かったら、少し考えてみてもらえないかな?



    壁外調査の日の朝、病院の前に馬車を寄越すから、そこに乗っている私の優秀な副官に君の決意を聞かせて欲しい。

    そしてもし良い返事が貰えるのであれば、そのまま馬車に乗ってくれ。



    君が来てくれるのを、心から待っているよ。



    ハンジ・ゾエ







  40. 136 : : 2014/05/13(火) 23:39:40




    最初は何か悪い冗談かと思った。

    片脚の俺が調査兵団に?

    研究部で巨人の研究をする?

    …とても現実の話だとは思えなかった。



    だがこの一週間、俺はその日が来るのを待ち遠しく思っていた。

    病院の戸口に、馬車が止まるその時を。



    今朝、馴染みの看護婦さんが顔色を変えて病室に飛び込んできた。



    看護婦「あ、あの!調査兵団の方が見えてるんだけど…」

    サムエル「…すぐ行きます。」



    少ない荷物をまとめ、病室を後にする。

    もうここに戻ることはないだろう。

    振り返って一礼すると、松葉杖をつきながら馬車へと急いだ。


  41. 137 : : 2014/05/13(火) 23:51:19



    病院の入り口には、黒い馬車が止まっていた。

    その扉には、白と黒の翼が交差した紋章が入っている。

    心臓が大きな音を立てた。



    サムエル「…お世話になりました。」

    看護婦「げ、元気でね。」



    少しあっけに取られたような看護婦さんに挨拶をし、馬車へと少しずつ歩を進める。

    そのとき、馬車の扉が開いた。



    「君が、サムエル君だね?」



    調査兵団の分隊長副官と言うから、てっきり筋肉隆々の男性を想像していたが、馬車から降りて来たのはまるで真逆のタイプの男性だった。

    人懐っこそうな鳶色の瞳。

    口元には柔らな微笑みが浮かんでいた。

    一言で言うのなら『優男』というような印象だった。



    サムエル「は、はい!」



    返事をする声が上ずる。


  42. 138 : : 2014/05/14(水) 00:07:04



    モブリット「僕は調査兵団第4分隊分隊長副官のモブリット・バーナー。分隊長の手紙は読んでくれたかな?」

    サムエル「はい。」

    モブリット「良かった。…で、君の決意は固まった?」

    サムエル「…はい。」



    何度も頭の中でイメージした台詞を引き出す。









    サムエル「俺、調査兵団に入ります。」



    真っ直ぐにモブリットさんの目を見つめる。

    俺の言葉を聞いた彼は目尻を下げて微笑むと、口を開いた。



    モブリット「…その言葉を待っていたよ。さあ、乗って。」



    モブリットさんの手を借りて馬車に乗り込むと、馬車はすぐに出発した。


  43. 139 : : 2014/05/14(水) 00:22:04




    サムエル「あの、モブリットさん。少し寄って欲しいところがあるのですが…」

    モブリット「…サシャ・ブラウスの見送りだね?」



    目を丸くする俺に、モブリットさんはウィンクをして話を続ける。



    モブリット「分隊長から話は聞いているよ。分隊長は、コニー・スプリンガーという新兵から詳しい話を聞いたって言ってたかな。毎日見舞いに来てくれてたなんて、いい子じゃないか。彼女のいる班の近くに馬車を停めるから、姿を見ておいで。」

    サムエル「あ、ありがとうございます…」




    そうか、だからコニーが分隊長からの手紙を…

    彼が病室に来たとき、妙に落ち着きがなかったことを思い出す。

    次コニーに会ったら、お礼を言っておかないとな。



    馬車は進み、俺はあの大通りに降り立った。

    沢山の市民の目線の先には、深緑のマントを羽織った調査兵団の一行の姿があった。

    その中から、必死にサシャを探す。



    そして、見つけた。

    サシャはいつものように赤茶色の長い髪を一つに束ね、緊張の面持ちで馬に乗っている。

    …よかった、元気そうだ。


  44. 145 : : 2014/05/15(木) 19:08:19




    「…これより人類は、また一歩前進する。」

    「お前たちの力を、見せてくれ!!」



    上官と見られる兵士の声に、サシャをはじめ、何百という兵士たちがブレードを掲げて応える。

    それに呼応するように、周りの市民たちも期待の声をあげた。


    重い扉が上がる音が響き、風にはためく団員たちのマントが、まるで背中に生えた翼のようにはためいた。

    …いよいよか。

    今一度サシャを見つめる。

    と、その瞳がぐるりと周りを見渡し、俺の目線とぴたりと重なった。




    時が止まったようだった。




    …サムエル。

    サシャはそう呟くと、表情を強張らせる。

    やはり、まだ俺の怪我のことを…


  45. 146 : : 2014/05/15(木) 19:11:11



    でも、今はゆっくり話が出来るような状態じゃない。

    なら、今伝えられることは何だ?

    壁外調査の前に、1番伝えたいことは?



    俺は松葉杖に身体を預け、サシャの目をまっすぐに見つめたまま、右手の拳を心臓に当てた。




    兵士の、敬礼。




    サムエル「…行ってらっしゃい。」



    そう言って、俺は笑顔を見せた。

    今伝えたいのは、無事に帰って来て欲しい。

    ただそれだけだった。



    サシャは目に涙を溜めてしばらく俺を見つめていたが、袖でごしごしとそれを拭くと、敬礼を返す。

    その仕草がサシャらしくて、思わずまた笑みが零れた。




    「進めーーー!!」



    団長と思しき男性の鋭い声が飛ぶと、馬の嗎とともに隊列が動き出す。

    民衆の歓声を浴びたサシャは表情をきりりと引き締めて、その後に続いた。



    俺はその後ろ姿を見送りながら、自分の胸に根差した『想い』が、確実に大きなものになっていることを感じていた。



  46. 150 : : 2014/05/18(日) 14:00:39




    俺たちを乗せた馬車はしばらく走ると、綺麗な石造りの建物の前で止まった。

    馬車を降りてその建物を眺めると、その堂々たる佇まいに圧倒されてしまいそうになった。

    門の傍には、自由の翼が描かれた大きな旗が風に揺れている。



    モブリット「さあ、着いたよ。ここが調査兵団の本部だ。」



    モブリットさんが前に立ち、敷地の中へと歩を進める。



    これから俺も、兵士になるんだ。

    身体で戦えなくても、俺にはまだ頭脳がある。

    …人類のために、心臓を捧げよう。


    そんな緊張感を胸に建物に足を踏み入れると、モブリットさんが笑顔でこう言った。



    モブリット「調査兵団へようこそ。サムエル・アイゼンブライ君。」


  47. 151 : : 2014/05/18(日) 14:23:23




    階段を何階分か登り、長い廊下を抜けて1番奥の部屋の前に立つ。

    その扉の前には『調査部』と書いてあった。



    モブリット「入るよ。」



    モブリットさんはその扉をトントン、とノックすると、そう声をかけて扉を開ける。

    中には、髪の色も背の高さも瞳の色も瓜二つの2人の男性がいた。



    モブリット「彼らはカストルとポルックス。調査部のメンバーだよ。…カストル、ポルックス。彼が先日話したサムエル君だ。」

    サムエル「サムエル・アイゼンブライです。どうぞ宜しくお願いします。」



    挨拶をしてぺこりとお辞儀をすると、2人は深い青色の目を細め、端正なつくりの顔に柔らかな微笑を浮かべた。



    カストル「調査部のカストル・シンカだ。どうぞよろしく。」

    ポルックス「同じく調査部のポルックス・シンカです。よろしくね。」

    モブリット「彼らは双子でこの調査部に所属しているんだ。もうかなりの古株になるから、何か困ったことがあったら彼らを頼るといいよ。」

    サムエル「はい。」

    モブリット「じゃあ部屋の中を案内しよう。」



    モブリットさんに続いて、部屋の奥へと入る。

    カストルさんとポルックスさんの隣を通り過ぎる時、2人とも片脚がないことに気付いた。



    サムエル「モブリットさん、あの…」

    モブリット「ああ…彼らは壁外調査で巨人に襲われた時、お互いを守ろうとして2人とも片脚を失くしてしまってね。とても有能な兵士だったから、ハンジ分隊長が調査部にスカウトしたんだ。ここにいる兵士たちは、大抵身体に大きな怪我を負って壁外に出られなくなってしまった者たちが多いんだ。」



    モブリットさんが小声でそう教えてくれる。

    他にも何名か紹介されたが、片目が見えなかったり、腕がなかったりと、みな身体に何かしらの不具合を抱えている人たちばかりだった。


  48. 152 : : 2014/05/18(日) 21:27:46




    最後に案内された部屋の奥のテーブルには、山積みの書類が所狭しと並んでいて、今にも崩れてきそうだった。



    モブリット「先日貴重な被検体の巨人が2体とも殺されてしまってね。今はその後処理に追われてるんだ。…おーい、いるかい?」

    「モブリットさん!ここにいますよ。」



    書類の山の中から声がする。

    その間からひょっこりと顔を出したその人物に、思わず声をあげた。




    サムエル「ダズ!?!」

    ダズ「よう、久しぶりだな!」



    ダズはにやりと笑って、書類の山を崩さないように注意しながらこちらへやって来た。



    モブリット「ダズは新兵でありながら、研究部を志願してきたんだ。」

    ダズ「ああ。お前が来るって聞いて嬉しかったぞ、サムエル。」

    サムエル「ど、どうしてここに?」



    お世辞にも勇敢だとは言えないダズのことだから、てっきり駐屯兵団を志願したか、開拓地に戻ったと思っていた。

    そんな彼は、ああ、と口にすると言葉を続ける。

  49. 158 : : 2014/05/19(月) 21:51:31



    ダズ「俺は…あの戦いで生き残っちまったから、ここに来たんだ。」

    サムエル「…」

    ダズ「トロスト区奪還作戦で、沢山の仲間が死んだ。目の前で何人も仲間が巨人に喰われた。俺たちは辛く厳しい訓練を積んでも、所詮使い捨ての刃にしかなれなかったんだ。」

    ダズ「そんな中、俺は何故か生き延びた。勇敢な仲間が死んで、腰抜けの俺が生き残る。こんなことがあっていいのかと、俺は自分を責めたよ。」

    ダズ「だから俺はせめて、巨人の研究を進めて弱点を見つけ、勇敢な兵士を1人でも多く壁外から帰って来させるためにここに来たんだ。俺たちの勇敢な仲間が使い捨ての刃じゃなく、強靭な剣になるように…なんてな。」

    サムエル「ダズ…」

    ダズ「だから、その…頑張ろうぜ。」



    ダズはそう言うと、鼻の頭をぽりぽりと掻いて書類の山の中に戻っていった。



    モブリット「…なかなか熱い後輩が入って来てくれて嬉しいよ。さあ、次はこっちだ。」



    モブリットさんが俺たちを見つめて、丸く優しい目を細めて笑った。


  50. 159 : : 2014/05/19(月) 22:11:57




    ダズたちに別れを告げて、部屋を出る。

    三つ先の部屋の扉を開けて、中に案内された。



    モブリット「ここが君の部屋だよ。ダズと同室だから、後で彼からいろいろ聞いてね。」

    サムエル「分かりました。」



    部屋には二段ベッドと二つの机が置いてあった。

    質素ながら小綺麗な部屋で、ダズがきちんと掃除をしていたことが伺える。




    モブリット「サムエル。」



    モブリットさんが俺を呼ぶのが聞こえて、そちらを振り向く。

    彼は少し微笑むと、先程まで持っていなかった布にくるまれた手荷物を俺に渡した。



    モブリット「開けてごらん?」

    サムエル「…?」



    モブリットさんに促されるがままに、布の結び目を解く。

    中から出て来たのは、真新しい褐色のジャケットと、深緑のマント。

    ジャケットの胸元には、黒と白の交差した翼が描かれたエンブレムが付いていた。



    モブリット「今日から君が着る制服だよ。さ、着替えて着替えて。」



    モブリットさんに手伝ってもらいながら、ジャケットに袖を通し、マントを羽織る。



    モブリット「…良かった、ぴったりだ。君が思ったよりも大柄だったから、サイズが合うか心配だったんだ。」



    …ああ、俺、本当に調査兵団に入団したんだ。

    姿見に映った自分の姿を見て、改めてそう実感した。

    その中から覗き込むモブリットさんが、似合ってるよ、と声をかけてくれる。

    俺は何だか照れくさくて、頭を掻いて目を伏せた。

  51. 163 : : 2014/05/20(火) 00:07:50



    モブリット「…もう夕方か。さ、着替えも済んだことだし、次は生活に必要な部屋の場所を案内をするよ。まずは食堂かな。」



    モブリットさんが窓の外を見やって、俺にそう声をかけた。

    窓の向こうには、街。そして、壁が見える。

    この壁の向こうに、巨人たちが…

    …そして、調査兵団の部隊がいるんだ。



    日は既に傾きかけており、その紅い光が街を緋色に染めていた。

    その光に混じって、遠くから鐘の音が聞こえてくる。

    その音に、モブリットさんの顔色が変わった。




    モブリット「…サムエル、案内はここで一度中断だ。」

    サムエル「?…わかりました。どうかしたのですか?」



    モブリットさんはいつになく真剣な顔つきをしていた。



    モブリット「…実行部が帰ってくる。普通ならこんなに早く帰ってくるはずがないんだけど…君はさっきの部屋で、ダズに救護の準備をしてくれと伝えてくれ。僕は彼らを迎えに出なくてはいけないから、ごめんね。」



    そう言うと、モブリットさんは足早に部屋を出て行った。

    …こんなに早く帰ってくるなんて、何か問題が発生したのだろうか。

    沢山の兵士が死んだ、とか…?




    …サシャは、無事だろうか。

    先程までとても綺麗に思えていた緋色の街並みが、急に不吉なことの前触れのように思えた。



  52. 168 : : 2014/05/21(水) 02:04:00




    ダズと一緒に包帯や常備薬の点検を始めて少し経った頃、にわかに外が騒がしくなった。



    ダズ「…帰ってきたみたいだな。」



    ダズと一緒に窓から下を覗き見る。

    そこには沢山の兵士の姿があった。

    しかし、今朝門を出て行くときの半数程の人数しか見当たらない。

    傷を負っている兵士も多い。



    ダズ「…これだけ、か…」

    サムエル「…」

    ダズ「…救急箱を一つ持ってくれ。下に降りよう。」



    外の様子から目を逸らすように、ダズが窓辺から離れる。

    俺は沢山の兵士たちの中から、必死に赤茶色のポニーテールの兵士を探した。

    しかし、その姿はいくら探しても見当たらなかった。


  53. 169 : : 2014/05/21(水) 02:32:46



    ーーーーーーーーーーーーーーーー
    ーーーーーーーーーー
    ーーーーー




    「今朝より数が少なくなってないか?」

    「かなり減ってるな。」

    「今回もひどいな…」



    帰還したわたしたちを迎えたのは、出陣する時とはまるで様子の変わった民衆たちだった。

    期待の声援は非難の皮肉に変わり、降り止まぬ雨のように浴びせられる。

    …悔しいけれど、何も言い返せない。

    じっと下を向いて、大通りを抜けるのを待った。



    サシャ「…班長、ちょっと失礼します。」

    班長「!?ブラウス、何処へ行く!?」

    サシャ「すぐ戻ります!」



    横道に入ると、わたしは馬に乗って隊列を離れた。

    後ろから班長の声が追いかけて来たけど、そんなの気にしない。

    わたしは一目散に、ある場所に向けて馬を走らせた。

    …あの笑顔が、少しでも早く見たかったから。


  54. 170 : : 2014/05/21(水) 19:04:57




    病院に着くと、もう何度も通った廊下を走り抜け、サムエルの病室へと向かう。

    途中ですれ違った看護婦さんが何か言いかけたみたいだったけど、気にせず進む。



    サシャ「サムエル!ただいま!!」



    病室の扉を勢い良く開ける。


    迎えてくれたのは、サムエルの驚いたような笑顔…

    …ではなく、空っぽになったベッドだった。



    サシャ「え…?」



    しばし病室のドアの前に立ち尽くす。





    サムエル『あ、脚を切り落とすって…じゃあ、俺は兵士には…?』

    医師『…残念だけど…』




    ここで盗み聞きした、サムエルとお医者さんの会話を思い出す。


    …まさか。

    サムエルは、開拓地に戻ってしまったの?

    今朝見送りに来てくれたのは、最後の挨拶だったの…?



    身体の力が抜け、その場にぺたりと座り込んでしまう。

    この状況が分からなくて、涙も出ない。

    ただ呆然と、がらんとした部屋を見つめていた。



  55. 171 : : 2014/05/21(水) 20:03:06




    「あの…」

    サシャ「?」



    後ろから声をかけられて振り向くと、顔なじみになっていた看護婦さんの姿があった。



    サシャ「あ…こんにちは。」

    看護婦「…サムエル君なら、今朝退院して行ったわよ。」

    サシャ「そう…ですか。」



    …やっぱり、もうサムエルには会えないんだ。

    喪失感とともに、疲れがどっと全身にまわる。

    視界が涙でぼやけ、拳をぎゅっと強く握った。




    看護婦「ええ、調査兵団の馬車に乗せられて。」

    サシャ「…え!?」



    急に顔を上げたせいか、看護婦さんがびっくりして一歩後ろに引く。



    サシャ「ほ、本当ですか!?」

    看護婦「え、ええ。」

    サシャ「何処へ行ったかは分かりますか?」

    看護婦「それは分からないけど…あ、でも迎えに来ていた男の人は、確かバーナーさんという名前の方だったわよ。」

    サシャ「バーナーさん…!モブリット・バーナーさんですか?」

    看護婦「多分…栗色の髪に、茶色の瞳の男性よ。」




    モブリットさんが、サムエルを迎えに…?!

    どういうことなんだろう。

    けど、考えている時間が惜しい。

    早く確かめなくちゃ!




    サシャ「ありがとうございました!!」

    看護婦「あ、ちょっと!廊下は走っちゃダメよ!」



    看護婦さんの注意を受けて早歩きで病院を出ると、馬に乗って全速力で駆ける。



    …向かうは、調査兵団本部。



  56. 176 : : 2014/05/22(木) 20:43:17




    ーーーーーーーーーーーーーーーー
    ーーーーーーーーーー
    ーーーーー




    はあ、やっと帰って来れた…

    俺は馬を馬舎に繋ぐと、たてがみをそっと撫でた。

    …お前も疲れたよな、お疲れ様。

    馬は心なしか嬉しそうに一声鳴くと、水に口をつけた。



    「おい、コニー!」



    俺を呼ぶ声に振り向くと、兵団服を着て片手に救急箱を持ち、松葉杖をついている青年の姿が目に入った。



    コニー「…サムエル!!」

    サムエル「よう!」



    俺は疲れを忘れ、サムエルに駆け寄った。



    コニー「お前、調査兵団に入ったのか?」

    サムエル「ああ、どうだ?似合うだろう。」

    コニー「ああ、すっかり立派な兵士だな。」



    そう言って自由の翼のエンブレムを見せびらかすサムエルの姿に、つい笑いが零れる。

    そんな俺に笑顔を返したサムエルは、急に真面目な顔になって口を開いた。


  57. 177 : : 2014/05/22(木) 21:33:01



    サムエル「…モブリットさんから聞いたんだが、お前がハンジ分隊長に話をしてくれたらしいな。その…ありがとな。」

    コニー「…なに、いいってことよ。」



    なんだか照れくさくなって、頬をぽりぽりと掻いてそう呟く。

    …元はと言えば、サシャを慰めているのをハンジ分隊長に盗み聞きされたのがきっかけだなんて言えねえな。




    サムエル「そういえば、サシャが何処にいるか知ってるか?」

    コニー「ん?そこらへんにいねえか?」

    サムエル「…ってことは、生きてるんだな。」

    コニー「ああ。」




    よかった、とほっとした表情を浮かべるサムエルに、少し胸が痛む。

    …もう、俺の入る余地はなさそうだ。



    コニー「…あいつは壁外調査如きで死ぬような女じゃねえよ。」

    サムエル「ははは、それもそうだな。」

    コニー「じゃあ、俺行くわ。これからもよろしくな。」

    サムエル「おう、ありがとな。」



    サムエルにひらひらと手を振ると、本部の入り口に向かって歩を進める。



    …ちくしょう。

    壁内に帰ってきた時、民衆に浴びせられた罵声を聞いた時とはまた別の悔しさが、胸の中を支配する。

    後ろを振り返ると、サムエルは誰かを探すように視線を動かしていた。


  58. 178 : : 2014/05/22(木) 23:20:57



    門の側を通り過ぎるとき、すごいスピードで走ってきた馬が俺のすぐ側を掠めた。



    コニー「うわ?!」



    その勢いに、思わず尻もちをつく。

    俺に気付いたのか、その馬に乗っていた人が馬を降り、こっちに走ってくるのが見えた。




    サシャ「ごめんなさいコニー!怪我はありませんか?」

    コニー「な!…お前かよ。」

    サシャ「お前とは何ですか、お前とは!」

    コニー「い、いや、別に…」



    サシャは俺に駆け寄ると、手を取って立たせる。

    そしてまるで弟にするように、俺のジャケットについた汚れをぽんぽんと手で叩いて落とした。



    サシャ「でも良かったです、怪我をしていなくて。」

    コニー「ああ、今度からは気をつけろよ。」

    サシャ「コニーに言われなくてもそうしますよ。…ところで、サムエルを見ませんでしたか?」

    コニー「…いまさっき、馬舎で会ったぞ。」

    サシャ「本当ですか!?」

    コニー「ああ。」



    目を輝かせて俺を見る眼差しに、胸が締め付けられるような気持ちがした。

    …俺のことを想ってそんな風に目を輝かせてくれることは、これから先もきっとないんだろうな。



    サシャ「ありがとうございます、コニー!」



    そういうとサシャは馬を引き、馬舎の方へと駆けて行った。

    その後ろ姿が少しにじんで見えたのは、額にかいた汗が目に沁みたせいだ。


  59. 184 : : 2014/05/23(金) 22:25:48




    ーーーーーーーーーーーーーーーー
    ーーーーーーーーーー
    ーーーーー




    コニーと別れ、しばし辺りを見回す。

    …サシャは生きていた。

    そのことに何よりも安堵している自分がいた。



    小脇に抱えた救急箱が重い。

    …ひとまず、人混みで見失ってしまったダズを探そう。

    そう思って、本部の方へ向かおうとした時だった。





    馬を引いて、こちらに歩いてくる1人の女兵士の姿が見えた。

    彼女は長い赤茶色の髪を、後ろに一つに束ねている。

    何かを探すようにうろうろとしていた瞳が、俺の姿を捉える。

    すると彼女の顔は、みるみるうちに満面の笑みでいっぱいになった。




    サシャ「…サムエル!!」

    サムエル「サシャ!!」



    一目散にこちらに駆けてきたサシャを、俺は両手で抱きとめた。

    …が、そのあまりの勢いにバランスを崩し、サシャもろとも地面に倒れる。



    サムエル「いてて…」

    サシャ「ご、ごめん!!」



    俺の上に覆いかぶさるように倒れていたサシャが、あわてて身体を起こす。

    そしてその視線が、俺のジャケットの自由の翼の前で止まった。



    サシャ「サムエル、これは…?」

    サムエル「ああ。」



    俺は立ち上がると、右手の拳を心臓に当てて高らかに名乗った。



    サムエル「本日付で調査兵団研究部に配属になりました!サムエル・アイゼンブライです!…どや、様になってるやろ?」

    サシャ「…!?」



    きょとんとするサシャに、ここまでのいきさつを話して聞かせる。

    ハンジ分隊長の手紙の話をしたときは、サシャもとても驚いていた。



    サシャ「そんなことがあったんか…」

    サムエル「ああ、まさか片脚でも兵士になれるとはな。」

    サシャ「…」

    サムエル「…サシャ?」



    サシャは俯くと、急に黙り込む。

    そして再び口を開いた時、その声は微かに震えていた。


  60. 185 : : 2014/05/23(金) 22:57:49




    サシャ「…サムエル、また会えてよかった。」

    サムエル「…」

    サシャ「わたし、さっきサムエルが入院してた病院に行ったんよ。そしたら今日退院したって看護婦さんが言っとったから、もしかしたらあのまま村に帰ってしまったんやないかって…」

    サシャ「…けど、ここにおってくれて本当によかった。またサムエルの笑顔が見られて、わたし本当に…」










    ほとんど無意識だったと思う。

    俺はまだ話をしている最中のサシャを自身の胸に引き寄せ、ぎゅっと抱きしめた。

    サシャは驚いたのか、少し身体を固くして口をつぐんだ。

    そして早鐘を打つ心臓とは逆に、冷静な口調で俺は話し始めた。



    サムエル「…俺がハンジ分隊長の手紙を受けて調査兵団に入ろうと思ったのには、二つ理由があるんや。」

    サムエル「一つはこのまま村に戻りたくなかったから。片脚で戻っても店の手伝いなんてろくに出来んし、逆に邪魔になるだけやしな。」

    サムエル「そしてもう一つの理由が…こっちの方が大きいんやけどな…サシャに恩返しがしたかったからや。」

    サムエル「何度も言うけど、サシャがあの時助けてくれてなかったら、俺はとうに死んどった。だからこの命は、サシャのために使おうって決めたんや。」

    サムエル「俺は巨人の前から直接サシャを助けることは出来ん、けど俺が巨人の研究を進めて奴らの弱点を見つけ正体を暴けば、もうサシャは巨人と戦う必要はなくなる。それが、俺に出来る精一杯の恩返しだと思ったんよ。」

    サシャ「サムエル…」



    サシャが腕の中で、俺を見上げる。

    その頬には、一筋の涙が伝った跡が残っていた。



    サムエル「…だから、俺はもう何処にも行かん。ずうっと、サシャの近くにおるから。」



    サシャが自身の腕を俺の背中に回す。

    そして、小さな声で呟いた。


  61. 186 : : 2014/05/23(金) 23:29:54




    サシャ「…近くやのうて、いつも隣にいてくれなきゃ嫌や。」

    サムエル「…何やサシャ、そんな可愛らしいことも言うんか。」



    あまりの可愛らしさに心臓は今にも破裂してしまいそうだったが茶化してそう言うと、サシャは少しむくれて言葉を続けた。










    サシャ「好きな人の前では、誰だって可愛らしくなるもんやで。」

    サムエル「…!」

    サシャ「…サムエル、好き。わたし、あんたのことが好き。」



    言ってから恥ずかしくなったのか、俺の胸に顔を埋めるサシャ。

    …感情が高ぶり過ぎていて、うまく言葉が出てこない。



    サムエル「…あ、あほ。そう言うことは普通、男から言うもんやろ。」

    サシャ「だって…」




    何か反論しようと顔を上げたサシャのあごに手を当て、彼女の唇に俺の唇を一瞬触れさせる。



    サムエル「…これが俺の返事や。分かったか。」



    恐らく真っ赤になっているであろう顔を見せたくなくて、サシャを思いっきり抱きしめる。



    サシャはその後、背中に回した手で俺をポカポカと殴りながら

    「外でそんなことするなんて有り得へんあほちゃうか」

    とか、

    「こんなことしたんやからきちんと責任とれ」

    などと口々に喚き倒していたけれど、俺の心は未だかつてない幸福感でいっぱいになっていた。


  62. 187 : : 2014/05/24(土) 11:36:41




    ーーーーーーーーーーーーーーーー
    ーーーーーーーーーー
    ーーーーー




    サムエルに抱き締められ、彼の背中を真っ赤になってポカポカと殴っているサシャから目を逸らす。

    …これで、よかったんだ。



    目をごしごしと擦って、2人にくるりと背を向けた。



    コニー「うわ!?」



    そしてすぐ後ろに人が立っていたことに気づき、思わず声をあげる。







    ユミル「なーに変な声出してんだよ。」

    コニー「…なんだ、お前か…びっくりさせるなよ。」



    そこにいたユミルは、いつもの薄ら笑いを口元に浮かべていた。

    …なんだかばつが悪い。

    するとユミルはその笑いを顔から消し、急に真剣な表情になって口を開いた。


  63. 188 : : 2014/05/24(土) 13:51:46




    ユミル「お前、本当にこれでいいのか?」

    コニー「あ?何がだよ?」

    ユミル「何って、サシャとサムエルだよ。」

    コニー「…お前には関係ねえだろ。」

    ユミル「まあな。…あーあ、せっかく人が慰めてやってやろうとしてるのに。」

    コニー「別に、そんなこと誰も頼んでねえよ。」

    ユミル「ふーん。」



    ユミルは周りを確認すると、俺の腕を掴んで建物の影へと連れて行く。



    コニー「な、何すんだよ!?」

    ユミル「いいから、ちょっと来な。」



    そして俺を強引に抱き寄せ、その上からマントをかぶせて俺を覆った。



    コニー「な!?おいブス!!何して…」

    ユミル「泣けよ。」

    コニー「え?」

    ユミル「…泣きたい時には、泣けばいいんだよ。ここなら誰にも見えやしないから、私の気が変わらないうちにさっさと泣いて、すっきりしな。」

    コニー「…」




    先程のサシャとサムエルの幸せな様子が目に浮かんで来て、自然と涙腺が緩む。

    思わず嗚咽を漏らすと、ユミルが頭をぽんぽんと叩いてくれた。


    …ブスだけど、いいとこあるんだな。


    俺はユミルのマントの中で、涙とともにサシャへの想いを洗い流した。


  64. 189 : : 2014/05/24(土) 16:28:28






    ーーーーーーーーーーーーーーーー
    ーーーーーーーーーー
    ーーーーー




    ー 86X年 ー




    サムエル「おいサシャ、今朝俺の干し肉勝手に食うたのお前やろ!」

    サシャ「ええそうですとも。だってわたし、今日これから壁外に行くんよ?たーっぷり栄養つけて行かんと、巨人となんて戦えへんもん!!」



    兵舎の大部屋で、どんちゃん騒ぎが始まる。

    その様子を、他の兵士たちは微笑ましいく見つめていた。



    アルミン「また始まったね。」

    エレン「あいつら本当に仲良いよな〜。


    ミカサ「エレンと私もあの2人くらい仲良くなるべき。違わない?」

    エレン「…」




    その時、出陣準備の鐘が鳴った。

    その音に、みな急いで身支度と装備の最終確認を始める。



    サシャ「サムエル、ベルトの後ろが捻れてしまってるみたいなんやけど、ちょっと直してくれる?」

    サムエル「ええよ。」

    サシャ「おおきに。」



    サシャのベルトを正しく直すと、彼女はその上からジャケットとマントを羽織った。

  65. 190 : : 2014/05/24(土) 20:48:25




    サシャ「よし…ほな行ってきます!」

    サムエル「うん、気いつけてな。」



    身支度を整えたサシャが、俺に敬礼する。

    それに敬礼を返すと、サシャは俺の頬に口付けをした。



    サシャ「この続きは帰ってから、な!」

    サムエル「…あ、あほ!はよ行けや、遅れるぞ!!」



    俺の様子におどけた笑顔を見せると、サシャは部屋を出て行った。

    …ったく、いつまでもお茶目で困ってしまうな。




    そして出陣して行く実行部を、窓から見送る。

    赤茶色のポニーテールを揺らして、サシャは門を出て行った。

    それを確認すると、研究部の部屋へと向かう。




    ダズ「おう、サムエル。…実行部が出てったな。」

    サムエル「ああ。」



    ダズは窓辺でマグカップを片手に外を眺めていた。

    その隣に立つと、ダズが俺にもマグカップを寄越した。

    中からは紅茶と思しき温かな香りがする。


  66. 191 : : 2014/05/24(土) 20:52:18



    ダズ「今回の壁外調査、どうなるか楽しみだな。」

    サムエル「そうだな。」

    ダズ「なにせお前が立てた仮説が正しいどうか分かるし、正しかったとしたら、人類の勝利に大きく近づけるもんな。ハンジ分隊長も意気揚々と出てったぜ。」

    サムエル「そうか。…なんだか緊張するな。」

    ダズ「まあそう心配するなよ。実行部は壁の外で戦ってるんだし、俺たちも壁の中から援護しようぜ。」



    ダズは俺の肩をポン、と叩くと、書類の山の中へと姿を消した。

    俺はひとつ息を吐くと、窓の外にそびえ立つ壁を見つめた。



    あの壁の向こうで、実行部が…サシャが戦っている。

    俺は直接は戦えないけれど、彼らを後ろから、巨人の研究という形で援護し続けよう。



    そんなことを考えながら、マグカップに口をつける。

    左手の薬指にはめている銀の指輪が、窓ガラスに反射してキラリと輝いた。





    ー fin ー


  67. 192 : : 2014/05/24(土) 20:52:54




    これにてこのお話は完結となります。

    最後までお読みくださいまして、本当にありがとうございました!



    この話は書き溜めをせず、書きたい時に書きたいだけ書くぶっつけ本番型で進めていきましたが、まさか完結までに2ヶ月弱もかかるとは…。笑
    とりあえずやっと書き終わった、という安心感でいっぱいです。

    サムエルとサシャはありそうで見ない組み合わせだなあと思い、サムエルが命を助けてもらった恩をサシャに返す、というイメージで書き始めました。

    かなり長くなってしまいましたが、楽しんでいただけましたら幸いです。



    今後はいま書き溜めている作品が仕上がり次第、また執筆を開始しようと思っています。

    もしその作品が目に留まりましたら、そのときはまたどうぞ宜しくお願いいたします。

    重ねてのお礼になりますが、ここまでお付き合い下さいまして本当にありがとうございました!



    submarine


  68. 193 : : 2014/05/24(土) 23:14:23
    一言で言わせてもらいます!!
    良いお話!!

    いや~
    2ヶ月間覗き続けた甲斐がありましたよ...

    ぶっつけ本番でこんなに凄いとは...
    逆に怖い...ブルブルw
  69. 194 : : 2014/05/25(日) 00:10:45
    >>193 さま

    Rioonさん!最初の頃からこまめにコメントをくださって、本当にありがとうございました。やっと完結出来ました…笑
    いやいや、実際直したいアアアア!ってなった箇所が幾つかありますよ。笑
    ですが、いいお話だとおっしゃっていただけてほっとしました。
    ありがとうございました。これからもどうぞ宜しくお願いします!
  70. 195 : : 2014/05/25(日) 00:16:40
    ユミルの台詞が!!!ユミル姉さんらしくて…最高でした!!!!
  71. 196 : : 2014/05/25(日) 13:50:33
    最高でした~(。>д<)
  72. 197 : : 2014/05/25(日) 23:48:24
    >>195 さま

    EreAniさん!いつも読んでくださって、ありがとうございます。
    コニーにはあのまま退場して欲しくないなあと思った結果、ユミル姐さんに登場していただきました。笑
    楽しんでいただけて嬉しいです、ありがとうございました!

    >>196 さま

    アニ大好きさん~!こまめにいつもコメントを下さって、ありがとうございました!
    楽しんでいただけて嬉しいです、ほっとしました。笑
    これからも、どうぞよろしくお願い致します。
  73. 198 : : 2014/10/29(水) 23:10:31
    いいねーすごくいいっ!!!!!!
    良作乙☆
  74. 199 : : 2014/12/29(月) 12:31:09
    コニユミかいてください!!
  75. 219 : : 2016/12/20(火) 19:28:58
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