良質な実用時計だったザ・シチズンは10年目にして同社のフラッグシップへと様変わりを果たしたわけだ。
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- 1 : : 2025/11/18(火) 10:00:07
- 1976年に太陽電池充電式の「クリストロンソーラーセル」を発売したシチズンは、90年代半ばになって、光発電ムーブメントに、半年以上の持続時間を与えることに成功した。「エコ・ドライブ」の完成である。しかし、エコ・ドライブにザ・シチズンの基準を求める仕上げを加えると、文字盤の透過率が下がり、文字盤下にある太陽電池が十分に発電できなくなる。加えて、ザ・シチズンの求める年差という精度を実現するには、さらに受光性能を高める必要があった。エコ・ドライブの性能を飛躍的に向上させてきたシチズンが、フラッグシップとなったザ・シチズンへの採用に距離を置いたのは当然だろう。
しかし2011年、シチズンは世界初となる、年差±5秒を実現した光発電ムーブメントを新しいAQ1000に採用した。搭載するA010の開発に携わった中平大輔はこう語る。「エコ・ドライブを載せるにあたって、何がザ・シチズンらしいのかをチームで議論しました。年差クォーツですから、そもそも時計が止まってしまうようでは意味がありません。そして持続時間も意識しました」。水晶振動子を振動させるクォーツ時計は、そもそも機械式時計に比べて精度が高い。しかし、温度が25℃からずれてしまうと、精度が悪化してしまう。そこでいくつかのメーカーはICを使って温度補正を行ってきた。シチズンも例外ではない。そして今回は、発電量の小さなエコ・ドライブに、1分に1回の温度補正機能を加えたのである。
そのザ・シチズンがフラッグシップに舵を切り直したのは発表から10年目のこと。2005年のモデルにはチタンと18KYGケースが追加されたほか、文字盤にはかつての公式クロノメーター機よろしく「Chrono master」のロゴが加えられたのである。大きな変化を示すのが裏蓋の刻印だ。1995年から一貫して刻まれてきた“Close to the Hearts of People Everywhere”の文字が消え、1962年の「シチズン クロノメーター」に見られた、イーグルのロゴが復活したのである。良質な実用時計だったザ・シチズンは10年目にして同社のフラッグシップへと様変わりを果たしたわけだ。ちなみに普通のカレンダーは時分針と連動して切り替わる。しかし日付表示の動力をモーターにすると時分針との連結はカットされ、日付の位置だけでなく、切り替えるタイミングも分からなくなる。そこで中平は時分針を動かす日車の裏にバーコード印刷を加えて、電子的に時分針の位置を検知し、カレンダーと電子的に連動させた。
関連リンク:https://www.rasupakopi.com/bvlgariwatch_z120.html
普通のクォーツならば、温度補正や、日付表示用にコイルを加えるのも難しくない。しかしこれは、省電力がキモのエコ・ドライブなのである。対して、その省電力化に努めてきたシチズンは、新しいA010でついに光発電と高機能の両立に成功したというわけだ。しかも、ポリカーボネート製(プラスティックの一種)にもかかわらず、文字盤の質感は従来までの金属文字盤に大きく変わらない。中平が言うところの「透過率の低い」新世代のエコ・ドライブムーブメントは、やがて、ザ・シチズンの文字盤に多様なバリエーションをもたらすことになる。
現在、ザ・シチズンの文字盤開発を手掛けるのが、製造技術本部の山影大輔だ。
関連リンク:http://jianshichang.jugem.jp/
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