機械式腕時計の“楽しさ”を「ワイルド ワン スケルトン 39mm」で存分に味わうつまり39mm径の登場によって、ワイルド ワン スケルトンはいっそう幅広いユーザーにリーチする「万能な腕時計」としてのポジショニングを確立したと言える。機械式腕時計は小径化によって、パワーリザーブをはじめとしたスペックが落ちてしまうこともあるのだが、本作は耐衝撃性、そしてムーブメントはそのままであることも特筆すべき点だ。結果、機械式腕時計を、あらゆるユーザーが快適に楽しめるのだ。

 もっとも、取材後に42mm径のモデルを試着したのだが、こちらも装着感は良好だった。しかし、やはりオーバー40mm径のケースはレディースのブラウスの袖口には収まりきらず、大きいと感じた。新サイズの本作は、こういったファッションや好みの多様性にも応えてくれる万能さを有している。

 ワイルド ワン スケルトンはオープンワークの文字盤によって、文字盤側からもムーブメントを観賞できる。この仕様は、本作の機械式腕時計の“楽しさ”を伝える、最たる特徴だ。というのも、ケースバック側をサファイアクリスタルなどでシースルーにしたモデルは数多くあれど、ケースバック側は着用時やリュウズの操作時には鑑賞しにくく、また、自動巻きモデルであればローターが目立ち、ムーブメントの全体像や構造などを理解しづらい。しかし文字盤側からムーブメントを見せることで、本作はリュウズを使って主ゼンマイを巻き上げる際に、香箱真が回転して主ゼンマイが巻き上がる様や、着用している状態でもテンプが往復運動を繰り返す様が楽しめる。

ケースバック側からムーブメントを観賞するのも楽しい。セリタが製造したCal.N08Sに、ノルケイン独自のローターを搭載している。
 定期的な時刻調整の必要がないクォーツ式ではなく、あえて機械式腕時計を購入するユーザーというのは、機械そのものに関心を持つ場合が少なくない。そんなユーザーにとって、常に手元で機械式ムーブメントを確認できるというのはうれしいポイントではないだろうか。

 なお、ムーブメントの仕様はこれまでに同じだが、「ワイルド ワン スケルトン 39mm ミント グリーン」のみブリッジにブラックルテニウム仕上げが施されており、精悍な印象を与える。

 ノルケインは「機械式腕時計の情熱を広める」ことを目指してきた。今年のウォッチズ&ワンダーズ ジュネーブで発表された「ワイルド ワン スケルトン 39mm」は、この理念を体現するコレクションと言えるだろう。機械式腕時計であることと、誰もがさまざまなシーンで使いやすいことを両立させた本作は、クラシカルで敷居が高い印象もある機械式腕時計への間口を広げる、次世代スポーツウォッチであるためだ。
関連リンク:https://www.rasupakopi.com/hermes_z141.html
 もちろん、これまで複数の機械式腕時計を所有してきたユーザーにとっても楽しいコレクションだ。むしろその軽さや着用感、衝撃への耐性は、機械式腕時計を使い続け、その取り扱いについて熟知してきた人にこそ驚きに満ちたものになるだろう。