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什造(玲)アカデミー編

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  1. 1 : : 2016/10/09(日) 23:12:34
    どーもハローハッピーです!
    前回の少し不評だったんですけど一応これの続きです!
    http://www.ssnote.net/archives/48907


    ではどーぞ〜( ̄▽ ̄)
  2. 2 : : 2016/10/10(月) 00:40:59



    こうしてアカデミー候補生になった什造(玲)



    もう人殺しなんて、傷つけることなんてない生活











    教官「えー、今日から新しく入る玲………くん……だ」



    玲の後に『君』をつけるか『ちゃん』をつけるかで少し迷いながらも玲の紹介をした



    什造「よろしく〜」



    少しめんどくさそうといった感じで挨拶を済ました



    なんか女みたいだな



    ねー先生、その子女の子?



    玲の綺麗な顔立ちを見て皆も気になったようだ



    教官「あー……男の子だ!仲良くやれよ!」



    はーい!!















    ねぇねぇ玲君ってここに来る前どうしてたの?

    髪の毛白いね、地毛?

    肌綺麗だね〜!羨ましい!

    なあなあ、君ってさ

















    本当に男か?

















    ドクッ



    自分でもわかるくらい心臓が脈打った



    身体中に血液が送られるのが分かる



    と同時に、なんとも言えない感情が湧き上がってきた
















    気づけば身体中が赤に染まっていた



    目の前には見慣れた光景



    血まみれになりながら『人』が倒れ込んでいた







    おいヤベェって



    死んじまったんじゃねぇか?



    誰か……教官呼んできて!!!!!



    もうすぐ来るぞ!



















    教官「なんであんなことしたんだ?」



    教官3人がかりでやっと玲を押さえつけ、冷静になるまで2時間もかかった



    玲「…………ムカついたから、気付いたらああなってたんだよ〜」



    ちっとも反省していない様子で陽気に答えた



    教官「はぁ〜……とりあえず今回は不問にしてやるから次から気をつけろよ」



    玲「ほいほーい!」



    教官「真面目に!!」



    玲「……ラジャ」



    渋々といった感じだ















    ガラガラ



    玲が扉を開けると教室中の空気が凍りつき



    教室中の目が玲に向いた



    『いい人』ぶった目で、異質のものを見るかの様に



    同時に全員が目を逸らした



    おそらく反射で向いてしまったのだろう



    それからは誰も目を合わせようとはしなかった



    とりあえず席に着くとすぐに教官が入ってきた



    教官「玲ー、もう暴れるなよー」



    什造「わかりましたせんせぇ〜」



    玲は面倒くささからか篭ってしまったようだ






  3. 3 : : 2016/10/10(月) 01:11:14



    キーンコーンカーンコーン



    待ちに待った休み時間だ



    普段なら教室でおしゃべりをする子も皆外へ行ってしまった



    玲が怖かったのだろう



    什造「玲ちゃ〜ん……やっちゃいましたね」



    笑いながら玲に話しかけた



    玲「わざとじゃないも〜ん、無意識だから僕は悪くないね!」



    什造「まあこの方が動きやすいですけどね」



    ???「……玲くん!」



    背後から不意に話しかけられた



    什造「おわっ!……誰ですか?」



    教室には誰もいないと思っていたので驚いたようだ、怪訝そうな顔をみせる



    ???「あ、ごめん。…….今、誰と話してたの?」



    聞かれていたようだ



    什造「……独り言ですよ〜」



    ???「……そう……?」



    二重人格だとバレると面倒くさいのでとりあえず誤魔化しておいた



    ???「あ、自己紹介するね」



    ???「私はクロナ、こっちはナシロよ。よろしく」



    ナシロ「よろしく」



    ………勝手に話が進められていく



    什造「………君らはなんで逃げないですか?」



    クロナ「だって、あなたが怒ったのってあいつに『本当に男か?』って言われたからでしょ?」



    ナシロ「誰にでも触れられたくないことはある、それをあいつは鷲掴みしちゃっただけだと思ったから」



    クロナ「やりすぎかと思ったけど、あいついつもあんなんだからたまには痛い目みてもらわないとね」



    純粋に面白い子達だなと思った



    什造は二人の目をジッと見つめた



    什造(………)



    玲(………)



    コクリ 玲は首を縦に振った



    玲「そっか〜、じゃあよろしくー」



    笑顔で玲は答えた



    クロナナシロ「「うん、改めてよろしく!」」



    この時、クロナとナシロの親友『川上雫』も同じ気持ちだったようで引き返して来ていた



    少し気の弱い彼女はクロナとナシロを置いて出て行ってしまったのだが、思いなおして戻ってきたようだ



    クロナ「あ、雫」



    クロナが入り口の前にいる雫に気づいた



    雫「あ、えっと……私もいい?」



    少し怯えながらも恐る恐る尋ねる



    玲「……………」



    ジーーーッと雫の目を見つめる



    雫「〜〜〜〜〜〜!…………」



    先に目線を外したのは雫だった



    玲「…うん、いいよ〜」



    どうやら雫もあの『目』では無かったようだ



    こうして玲に、三人の友達ができた



  4. 5 : : 2016/10/10(月) 12:44:06
    ある日



    クロナとナシロと玲は、剣道の稽古にきていた



    雫は体が弱いので見学することになっている



    クロナ「玲、剣道わかる?」



    玲「やったことないよー」



    ナイフならお手の物だが



    ナシロ「じゃあ私とクロナでやるから見ててね」



    玲「りょ〜かい!」



    テキパキと二人は防具をつけていく



    シュルシュル キュッ



    クロナ「準備できた」



    ナシロ「私も」



    激しい動きでも解けないようにしっかりと結び、二人同時に顔をあげた



    玲「じゃあ行くよ〜」



    玲「ヨーイ……ド〜ン!」



    クロナ「…………」



    ナシロ「…………」



    玲「……………?」



    玲は、どうしてスタートしないんだろうと不思議な顔をしていた



    クロナ「玲………不意打ちすぎるし……」



    ナシロ「掛け声違うし………」



    玲が初めてとはいえ、二人ともやれやれといった顔だった



    玲「え〜……じゃあどうやるの?」



    ナシロ「こうやるのよ」



    するとナシロはスゥーーーッと息を吸い



    ナシロ「『始めぇ!!』」



    道場内に響き渡る声で叫んだ



    ナシロ「こんな感じ?」



    玲「おお〜!!」



    さすがの玲も少し驚かされたようだ



    玲「おっけーぃ!早く準備してね!」



    玲はルンルン気分で審判の位置へ向かった



    クロナ「フフッ、早く言いたいのかな」



    ナシロ「ちょっとわかるかもその気持ち」



    フフフッと二人で笑い合いながら、自分たちの場所についた



    玲「できた〜?」



    クロナナシロ「「いいよー」」



    玲「じゃあ……えーと、なんだっけ?」



    もう忘れてしまっていた



    クロナ(!?忘れるのが早すぎる……)



    ナシロ(……ニワトリみたい)



    再度呆れる二人



    玲「あ、思い出した!」



    ナシロのようにスゥーーーーーッと息を吸い



    玲「……よーい、始めぇ!!」



    ……………威勢だけは一丁前だが



    クロナ(……よーいは……)



    ナシロ(……いらない!!)



    心の中で玲ツッコミながら、なんとか試合が開始した

  5. 6 : : 2016/10/10(月) 13:02:09
    頑張れ期待してるぞよ
  6. 7 : : 2016/10/10(月) 14:07:22
    わぁー!!
    早速来ましたね!
    頑張ってくださーい!!
  7. 8 : : 2016/10/10(月) 14:17:20
    >>6
    ありがとうございます!頑張ります!


    >>7
    ゆーさん!またGoodありがとうございます!
    頑張っていきます(^^)
  8. 9 : : 2016/10/10(月) 15:49:38
    登録したんでこれからこれでいきます!
  9. 10 : : 2016/10/11(火) 00:14:40
    ちなみに剣道は毛ほども知らないんでよろしくです










    近接格闘技のように近距離で対人戦を行う時、『相手にとって遠くて自分にとって近い距離』が理想とされている


    クロナ「………」


    ナシロ「………」


    普通は個人や才能によって差が出てしまうものだが、双子が同じ環境で学んでしまった場合


    クロナ「………」ジリッ



    ナシロ「………!」ピクッ



    このようにお互いの射程圏まで同じになってしまったのだ


    クロナ(あと一歩進めばお互いに射程圏内に入る……どうしようかな……)


    ナシロ(私から行くべきか……出方を待つか……)


    ((いや……先手必勝!!))


    ダッ!!


    クロナ「!!」


    ナシロ「!?」


    もちろん偶然だが二人同時に飛び出してしまった。一瞬二人とも困惑したが、ここで差がついてしまった


    ナシロ「……くっ……!!」


    パアァアアァンン!!!


    二人の竹刀が心地良い音を立ててぶつかり合う


    両者、体の前で竹刀を交差し、面の隙間から鋭い眼光を光らせていた


    しかし、動揺してしまった分ナシロが少し劣勢に立たされてしまっていた


    クロナ(!!いける!!)


    力でごり押しすれば勝てると踏んだクロナは渾身の力を込めて竹刀を押し込んだ


    ナシロ「うぐっ!!」(これはヤバい……!)


    このままではまずいと思ったナシロは相手の力を受け流すように竹刀を引き、体を横へスライドさせた


    クロナ「うぉっと……」ヨロッ


    もちろん警戒していたとはいえバランスを少し崩してしまったクロナ


    クロナ(やばい……!けど、ナシロはまだ立て直してない……!)


    ナシロ(よし!これで……)


    ((体勢は五分!!))


    ダッ!


    パアアァァアァアァアアンン!!!!


    すれ違いざま、クロナは小手を、ナシロは胴を、ほぼ同じタイミングで決めていた


    クロナナシロ「やった……!!」


    クロナナシロ「……ん?」


    どうやら二人とも自分が決めたと思っているようだ


    クロナ「ナシロ〜?今のは完璧に私だったでしょ?」


    ナシロ「いやいや、私の胴の方が完璧に早かったと思うけど?」


    クロナナシロ「む〜〜〜〜………」


    面を外し、頭をぶつけて睨み合っている。
    玲に見せるための練習のはずがすっかり本気になってしまったようだ





    「今のはクロナの方が早かったよ〜?」


    二人とも、バッ!と短い髪をなびかせながら声のした方へと振り返り、声の主に向かって歩いた


    クロナ「ほ〜ら!言った通りでしょ」


    ナシロ「初心者は黙ってて!!」ギリギリ


    今にも割れんばかりの力で玲の頭を両手で握りつけていた


    玲「だって〜……見えたんだもん………」


    クロナナシロ「……………」


    二人は見つめ合いながら考えていた


    わかるわけがない。自分たちで言うのもなんだが、かなりの実力者の私たちでさえ迷う判定なのに、こんなに即答出来るわけがない、と


    二人とも勝敗よりも、玲の動体視力の方が気になってきたようだ


    クロナ「引き分けにしとこっか!もともと玲に見せるためだったし」


    ナシロ「そうだね。玲、やってみる?」


    玲「もちのろんで!」


    満面の玲を見て、二人は嬉しそうに玲のサイズの防具を持ってきた







  10. 11 : : 2016/10/11(火) 00:51:57
    ↑最後満面の玲じゃなくて


    満面の笑みですすいません
  11. 12 : : 2016/10/11(火) 14:16:38






    雫「お疲れ様〜、はい、お水!」


    いつの間にかいないと思ったら水を持ってきてくれていたようだ。こういうさりげない所に気がきく性格は、彼女の凄いところだ


    クロナ「あ、雫」


    クロナナシロ「「ありがと」」ニコ


    笑顔でお礼を言い、その水を飲んでいく。
    乾いた喉を冷たい水が潤していく


    クロナナシロ「「プハッ!……おいし〜!!」」


    クロナナシロ「「ありがとう雫!」」


    さっきまでいがみ合っていたのが嘘のように………いや、いがみ合っていたからか、二人とも一字一句ずれることなくお礼を言った


    雫「どういたしまして!はい、玲君も」


    玲「どうも〜。あ、玲でいいよ?」


    雫「え!?あ……じゃあ……れい……」


    少し照れ臭そうにしながら玲の名前を呼んだ


    玲「ほい!」


    そんなやりとりをしていると、後ろからナシロが近づいてきた


    ナシロ「じゃあ玲、これ着せたげるね」


    そう言って玲に防具をつけていこうとする


    玲「重たいなぁ……僕別にいいよ?」


    クロナ「ダメだよ、けがしたらどうすんの」


    玲「しないと思うけどなぁ〜……」


    クロナナシロ「…………」ピクピク


    天然の煽りが二人を刺激する


    ナシロ「はい、できたよ!早くやろう!」


    玲「うへ〜……動きにくい〜」


    モソモソと動き始めるまさに芋虫の行進だ


    クロナ「はい、位置について。玲、もうちょっと右。あ、行きすぎた。そうそこ」


    ナシロ「最低限のルールは、その竹刀を私の『ここ』か『ここ』か『ここ』に当てれば一本よ。それを二本とったほうが勝ちね。わかった?」


    ナシロは自分の手首、胴、頭を指で指しながら説明した


    玲「うーむむ……頭がパンクしそう……」


    クロナ「このルールでパンクしそうって……」


    ナシロ「まあやっていくうちに覚えるでしょ」


    クロナ「それもそうだね。じゃあ二人とも準備して…………いい?いくよ?」


    肺に空気を限界まで吸い込み……


    クロナ「……始め!!!!」


    透き通る声で叫んだ


    ナシロはスクッとすぐさま立ち上がったが、玲は未だに立ち切れていなかった



    防具が邪魔で思うように動けないのだ。やっとのことで立ち上がった時、ナシロは既に万全な態勢で構えていた


    ナシロ「まあ初めてだからね、待っててあげるわよ」


    玲「いくよ〜!めーん!!」


    そんなニシロの優しさも他人事のように無視し、攻撃を仕掛ける


    玲は一直線にナシロの面を狙いに行く。もちろん狙いはバレバレなので難なく弾かれた


    玲「おっとっと……」


    この衝撃で玲がバランスを崩してしまい


    ポン


    あっけなく決着してしまった


    クロナ「一本!!」


    雫「やっぱり初めてだと難しいみたいだね〜」


    そばで見ていた雫は勝負が終わったばかりのナシロに話しかけた


    ナシロ「ね〜、当たらないって言ってたのに。まあ、まずは防具に慣れないとだけどね」


    意地悪そうな笑いを浮かべながらナシロは言った


    しかし、この中で一番納得の言ってない人物がいた


    玲だ


    玲「防具なしでもう一回!!」


    この瞳にはうっすらと涙が浮かんでいた。
    それもそのはず。今まで大の大人をも圧倒してきた玲がこんなに簡単に負けてしまったのだ



    悔しくないはずがない


    ナシロ「ん〜……どうする?クロナ」


    クロナ「いいと思うよ、一回ぐらいなら。でも怪我しないようにね」


    玲「りょうっかい!!」


    ナシロ「はーっ……しょうがない、ほらこっちにきて。脱がしてあげる」










    玲「やっぱり生身は軽いなぁ」


    重い足枷を外されたようにぴょんぴょん飛び跳ねながら嬉しそうに言った


    クロナ「怪我には十分に気をつけてね。準備はいい?」


    ナシロ「うん」


    玲「おっけーい!」


    スゥーーーーッ………


    クロナ「………始め!!!!」


    バッ スパアアァァアァアァン!!!




  12. 13 : : 2016/10/11(火) 18:02:09
    これは…絶対玲が強いパターンじゃないですか…笑
    可愛いなあ…玲ちゃん…!
  13. 14 : : 2016/10/12(水) 00:08:56
    いやいやそうとも限らないですよ笑

    原作でも玲ちゃんもっと見たかったですね〜( ̄▽ ̄)
  14. 15 : : 2016/10/13(木) 04:16:29



    パアアァァァアァアァン!!


    快音が道場いっぱいに響き渡る


    玲「やった!!」


    敵の面を捉えていたのは、今日剣道を始めたばかりの玲の方だった


    すると『ハッ』とした表情に申し訳なさが入り混じった表情でクロナが間に入ってきた


    クロナ「あ!ごめん玲……説明し忘れてた……始まりの時、立ち上がり切る前に面を打つのはダメなの」


    玲「え〜!?先に言うものじゃないの?そういうのは……」


    ハムスターのようにほっぺを膨らませながら不満を漏らす玲


    ナシロ(基礎の基礎でパンクしそうになってたくせに……!!)


    ナシロのツッコミを読み取ったかのようにクロナが


    クロナ「だって玲、基礎の基礎でパンクしそうになってたから………いっかなって」


    と、いたずらっぽそうに笑いながら話していた


    玲「じゃあもう一回やろう!」


    ナシロ「……望むところよ!」


    流れ出る冷や汗を拭いながらナシロは再び面を被った


    すでに気づいていた。玲の異常な瞬発力には


    防具を外してジャンプをしていた時のあの軽さ、跳躍力、バネ


    それも計算に入れて構えていたはずだった………のに、気づけば目の前まで来ていた


    ナシロ「フーーーーーーーーーッ」


    精神を薄く研ぎ、研いで研いで研ぎ澄ましていく感覚


    海底に沈んでいくような感覚


    ナシロ「………よし」


    クロナ(ナシロの空気が変わった……!この集中力は私とやる時より……)


    クロナ「それじゃあ位置について」


    玲「ここでいいの?」


    クロナ「玲の場所は反対側」


    玲「あそっかそっか」パタパタ


    嫉妬と寂しさを織り交ぜた感情を抱きながら審判の仕事を進めていく


    クロナ「準備できた?」


    ナシロ「できた」


    玲「……多分……」


    クロナ「じゃあ行くよ……」



















    始め!!



  15. 16 : : 2016/10/13(木) 04:17:15




    ダッ バチイイィイイィィ!!


    ナシロ「っぐ……!!」


    間一髪、警戒していたにもかかわらずなんとか玲の攻撃を受け止めることに成功したナシロ


    先ほどと全く同じ攻撃。高速で相手の面を狙いに行った玲


    これが経験値の差というのだろうか。ナシロは先ほどの攻撃を見て、この攻撃を警戒し、集中力を高めていた


    対する玲は、先ほどと全く同じ攻撃を繰り出した


    もちろん第一撃の軍配はナシロに上がる


    玲「!?……ナシロ……」


    ナシロ「バレバレよ!」


    動揺している玲に反撃しようとした瞬間、玲は何を感じ取ったのか一蹴りで距離を取ってしまった


    ナシロ(!?思ったより警戒心が強い……)


    それもそのはず、玲は何年間も本物の刃物で対人戦を行ってきたのだ


    殺気や攻撃前に発せられる敵意には人一倍敏感だった


    ナシロ(どうしようか……ひとまず距離を取りながら隙を見て…………!?」


    なんと玲は片手で竹刀を持ち、仁王立ちしていた


    おそらく、両手で武器を持つことがなかったので片手の方がしっくりくるのだろう


    ナシロ(何あれ……隙だらけじゃ……)


    あまりの意外な行動に思考をめぐらしていると、玲が先に動き出した


    玲「よいしょぉああ!!」


    バチィ!!


    片手で竹刀を振り回し、強力な横振りを繰り出す


    ナシロは竹刀を立ててこれを受け止める


    すぐさま弾き、がら空きの正面から頭を狙う


    玲は弾かれた勢いそのままに、裏拳の要領で攻撃に転じる


    ナシロはまたもやガード


    一歩距離を取り、最速で頭を取りに行くナシロ


    それを映画のようにイナバウアーのような形で避ける玲


    そのままバク転で距離を取り面を取りに行く


    もちろんナシロも警戒しガードを作る


    それを逆手に取り、今まで面ばかりだった玲が、初めて胴への突きを繰り出した


    もうダメかと思われたがナシロはほぼ反射で体を反転させ回避した


    こんな攻防が約15分間続いた


    正攻法で攻めようとするナシロに対し、培ってきた回避能力で避けつつも片手で攻撃に転じていた玲


    玲「ふんっ!」


    バチィイィ!!


    玲「硬ァ……」ニッ


    玲「もういっちょ……!?」ガクンッ


    ここで玲の腕に限界が訪れ、この勝負で初めて隙といえる隙ができた


    ナシロ「玲、楽しかったよ」


    パチィ


    クロナ「一本!!」


















    ナシロ「……なん、で?」


    一本取られたのはナシロの方だった


    玲「ナシロ〜?人の腕は………二本あるんですよ?」


    玲は右腕が限界を迎えた時、咄嗟に左手に持ち替えたのだ


    もちろんこんな大胆なことを、いつもならナシロが見逃すはずはない


    しかし、体力も限界に近づき、気の抜けない攻防の中にできた僅かな隙


    当然疑うことなく迷い込んでくる


    あの時玲に隙ができたのと同様に、ナシロにも隙が生まれていたのだ


    ナシロ「ハァ……ハァ……」


    玲「腕が……上がんない」


    お互いヘロヘロになりながら床に寝そべった


    クロナ「お疲れ!いい勝負だったね」


    雫「うん!感動した!」


    外で見ていた二人は、勝負していた二人とはうってかわって興奮気味に話しかけてきた


    ナシロ「でもまだ1.1っていうね……」


    ナシロは力なく微笑んだ


    玲「僕、今日はもういいや……」


    玲も十分満足したようだった


    クロナ「じゃあそろそろ戻ろっか、夕ご飯の時間だし」


    雫「あ、片付けは私がしとくから二人はシャワー浴びてきたら?」


    本当にどれだけ気が利けば気がすむのだろうか


    ナシロ「じゃあ……お言葉に甘えて、ありがとね、雫」


    玲「行ってきまーす!」


    ナシロ「あ、玲!廊下は走っちゃダメ!………行っちゃった……」


    呆れ顔で玲の後を見つめる


    クロナ「ほら、ナシロも早く行ってきたら?」


    ナシロ「そうだね、じゃあ後よろしくね」


    そう言い残し、ナシロは道場を後にした





  16. 17 : : 2016/10/13(木) 16:32:45


    玲「あ、ここかな?」


    玲は平仮名とカタカナしかしっかりと読むことができなかった


    生まれてから一度も教材というものに触れたことがなかったからである


    玲「シャ……ワー…ルーム……….!ここだね」


    玲は駆け足で脱衣所へ行き、服を全て脱ぎ捨てた


    什造(玲君玲君、あのカゴに服を入れるみたいですよ?)


    玲の中で什造が注意をする。脱衣所では脱いだ衣服はカゴに入れるのがマナーだ


    玲「めんどくさいなぁ……これでいい?」


    不満を漏らしながらも服をしっかりとかき集め、カゴの中に投げ入れた


    什造(はい、おっけいです)


    満足そうに頷く


    玲「シャワーシャワー!」


    鼻歌交じりに個室に入ると、中にはシャンプーやボディーソープ、石鹸などすべて備わっていた


    玲「〜〜〜〜♪」


    ご機嫌で入っている所に、続いて誰か入ってきた


    ナシロ「あっつー……早く浴びてご飯食べに行こっと」


    ナシロだ


    什造(……ナシロ!?ここもしかして………)


    玲がここに入るときのことを覚えているだろうか


    ーーーーーーーーーー

    ーーーーーーー

    ーーー




    まだ文字をしっかり読めない玲が


    玲「シャ……ワー…ルーム……?」


    やっとの事で読んだこの単語だ。実際はは


    【女子シャワールーム】


    と書いていた




    ーーーー

    ーーーーーーー

    ーーーーーーーーーー


    ナシロ(あれ、誰か入ってる。ちょっと気まずいから早く出てくれないかな……)


    玲「………」ブルブルブル


    ナシロのことなどまるで意に介さぬように、濡れた髪を犬のように振り回す


    玲「フーッ」


    さっぱりした様子で脱衣所へ向かって歩いて行った


    ガラララララ バンッ!


    ナシロ「はぁ、でてってくれた……着替え終わるまで待っとこ。」




    脱衣所


    玲「んん?これどうやって着るの?」


    什造「そこじゃないですか?その手のところ……」


    玲「あ、わかった!こうだ!」バンッ


    什造「……斬新なファッションですね……」


    玲は部屋着のツナギと格闘していた


    これはCCGが、服を持っていない玲に特別に支給した物だ


    支給されたものなので、着方も何もわからない様だ


    玲が発見された時の服は焼却処分され、玲も特には抵抗しなかった




    シャワールーム個室


    ナシロ「……そろそろ出て行ったでしょ」


    そう呟き個室のドアを開け、脱衣所への扉を開けた


    ガララララ……ラ……ラ……


    玲「あ、やっと着れた!」


    ナシロ「………玲……なんでこっちに……」


    思考回路がショートしている中、ハッと我に返り自分の体を見た


    一糸まとわぬとはこういうことか


    玲「あ、ナシロ!ちょうどよかった。早くご飯食べに……」


    ナシロ「………き………」


    玲「……き?」


    キャァァアァアア!!!


















    食堂


    クロナ「………」


    雫「………」


    ナシロ「………」フンッ


    玲「ほっぺ痛い………」


    玲の頬には綺麗な紅葉型がくっきりと付いていた



  17. 18 : : 2016/10/14(金) 03:56:42
    シャワールームは足だけ見える個室が横一列にズラッとある感じです

  18. 19 : : 2016/10/20(木) 00:46:49


    講義


    今日は1日講義の時間だ


    教官が前に立ち、皆真剣に話を聞いている。
    しかし、ただ一人だけ頬杖をつき、窓の外をボーーーっと見つめていた


    癖のある綺麗な白髪は、風に煽られひらひらとなびく。今にも寝そうな表情をしてる


    玲「これ僕無理……お願いします……」


    閉じそうな目を必死にこじ開けながら誰にも聞こえない声で呟いた


    什造「あ!ずるいですよ!僕も嫌ですよこんな退屈なの……」


    主の特権だろうか。強制的に交代してしまった様だ


    玲「できるところまででいいから〜……」


    什造「できるところまでですよ!」


    玲「もっちろん♪」







    20分後


    什造「もう……無理です……」


    玲「しょうがないな〜、変わってあげるよ」


    什造「………やけに素直ですね………なんか嫌な予感がするんですけど……」


    玲「しつれいな!いいから変わってください!」


    什造「喜んで変わってやりますよ!」


    すると、いきなり頭を右手で抑え、左手を挙げた


    玲「………せんせー、頭痛いんでどっかで休んでます」


    什造(バッチリ予感当たってるじゃないですか!)


    玲「気にしない気にしない!」











    森の手前


    プチッ プチッ プチッ



    一人でうずくまりながら、右手の親指で蟻を潰していた
    一つの命を簡単に奪っていく
    まるであの頃のように



    玲「什造くん」


    什造「何ですか?」


    玲「また、人を殺したいなぁ」


    什造「……捕まっちゃいますよ」


    玲「捕まるのはめんどくさいからやだな〜……」


    玲「でもね!!」


    言い終わるや否や、バッ!と目を開き、興奮気味に話し始めた


    玲「今日の講義で聞いたんだけど、ママ達みたいな生き物、『喰種』っていう人達ならいくら殺しても………いや、殺せば殺すだけ感謝されるんだって!つまり……捕まらない!」


    什造「それは……」


    クロナ「おーい!玲ー」


    什造が言おうとした言葉はクロナにかき消された


    ナシロ「何してるの?」


    玲「アリ潰してるよ〜」


    ナシロ「……やめなよ」


    二人で玲を呼びにきたようだ
    ご飯の時間だろうか


    プチッ


    ナシロのことなど意に介さずアリを潰す


    クロナ「………ナシロ先に言っててくれる?」


    ナシロ「?わかった」


    タッタッタッと小耳良い音を立てながら建物の方をと走って言った

    クロナは玲の横へ腰掛け、静かに話し始めた


    クロナ「ねぇ玲。玲には………大切な人っている?」


    玲「どうしたの急に……?…いないけど……」


    クロナ「私はナシロ。玲も雫ももちろん大事だけど、一番はやっぱりナシロ」


    玲「???」


    クロナ「今はよく分からなくてもいつかきっとそんな人ができるよ」


    玲「……よくわかんない」


    クロナ「フフ、そうだね。あ、暗くなってきたから早く戻ろっか!」ガシッ


    そう言って、玲の右手をしっかりと掴み引っ張っていこうとした


    玲「あ……」


    クロナ「?どうしたの?……嫌だった?」


    玲「そうじゃなくて……この手……」


    玲「アリ潰してたから」


    クロナ「………い………」


    玲「…………い…………」


    いやあぁぁあぁあぁぁあぁあ!!!!















    雫「………」


    ナシロ「……ブフォ……!!」


    クロナ「…………」


    玲「僕絶対悪くない………」


    この前とは反対側にしっかりと紅葉マークが付いていた






  19. 20 : : 2016/10/20(木) 00:47:50
    話のネタがないからペラッペラいね……

  20. 21 : : 2016/10/20(木) 12:05:48
    そんなことないですよ!
    とっても面白いです(*^^*)
  21. 22 : : 2016/10/20(木) 19:53:12
    そう言っていただけると嬉しいんですけど………f^_^;
  22. 23 : : 2016/12/13(火) 17:21:28
    ラブコメに発展しない
  23. 24 : : 2016/12/31(土) 00:55:39
    色々忙しくて執筆できない日々が続いております………


    >>23ラブコメにならないですね笑笑
    完全に無意識でした
  24. 25 : : 2016/12/31(土) 10:45:27
    お!お久しぶりです!
    ハッピーさん!
    気長に待ってます~
  25. 26 : : 2016/12/31(土) 14:53:00
    早く
  26. 27 : : 2016/12/31(土) 14:53:43
    JOKERまでやって
  27. 28 : : 2017/01/01(日) 00:34:38
    >>25お久しぶりです!
    ありがとうございます〜(>人<;)

    >>26.27あさん!
    できるだけやりたいと思ってます!
    実はこの先も今まで通り考えてないのでめちゃめちゃになるかもですけど見てやってくださいm(__)m
  28. 29 : : 2017/01/02(月) 02:27:05


    玲「よっ!ほっ!」

    玲は今、体を動かす授業を受けている

    もうすっかりアカデミー候補生としての生活に馴染んだ玲はこの程度の授業は軽く流すようになっていた

    講義の方は周知の通りだが、運動面では候補生の中ではずば抜けて一番だった


    が、


    クロナ「ちょっ、玲、なにして……ナシロ!教官呼んで来て!」

    ナシロ「う、うん!」

    度重なる自傷行為や


    ◯◯「も……やめ……ごべん……なざ……」

    雫「玲く……玲!!もうやめて!!」

    暴力行為のおかげで近寄るものは誰もいなかった


    それでもクロナ、ナシロ、雫の3人は基本的に玲と共に行動をしていた

    玲と行動しているため、3人も避けられるような場面も度々あったが特に気にしてはいなかった

    当たり前だった日常

    このままいつものように明日が来て、授業をして、ご飯を食べて、寝て、そして皆でアカデミー生になって行くものだと思っていた

    思っていたがやはり簡単にはいかせてくれないようだ

    ある事件が起こってしまった













    雫の死だ

    殺されたわけではない

    もともと病弱だったのが悪化しただけだった

    それが彼女の運命だったのだろう

    その日の授業は全て無くなり、夕方から簡単な葬式が行われた

    全員参加の中クロナとナシロ以外からもすすり泣く声が聞こえてくる

    彼女の気遣いの範囲の広さが伺えた

    ただ

    クロナ「?玲は?」

    ナシロ「わからない」

    玲の姿はどこにもなかった













    玲「ふんふふふーん」

    玲「夜は風が気持ちいいですねぇ〜什造くん」

    友達の一人が死んだとは思えない足取りで歩いていく

    そこで見てしまった
    教官が猫を惨殺している現場を

    トカゲ「ガキ、誰かに言ったら殺すぞ」パキッ

    その男は指を鳴らし森の奥へと消えて行った









    教官が見えなくなってすぐ、声をかけられた

    クロナ「……玲?」

    ナシロと一緒に玲を探しに来たようだ

    「あ、2人とも〜」

    2人は帰って来た返事の明るさに顔をしかめながらも話を続ける

    クロナ「……なんで雫のお葬式来なかったの?」

    「あー死んだ?」

    刹那、飛びかかろうとするクロナを素早くシロナが抑えた

    シロナ「……やめなよ、そんな言い方」

    怒りを必死で抑え冷静に返すが返って来た言葉はまたしても温度のない言葉だった

    「死んだだけでしょ?ご飯食べたりお昼寝するのと何が違うの?」

    玲が何を言っているのかわからなかった

    動揺を隠しきれず、繋がらない文章を発しているうちに玲がこちらを振り向いた時、見えてしまった

    さっきまで影になっていて見えなかった血で染まった右半身が










    玲は初めから0だった

    空っぽだった








    「鈴屋玲、性別『ナシ』面白い人材だ」


    「テストはいらん、三等捜査官として24区の捜査チームへ入れろ」

    「パートナーは篠原だ」



  29. 30 : : 2017/01/02(月) 02:27:56
    なんか漫画で描いたことそのままみたいになっちゃいましたね(⌒-⌒; )
    このあともぐらたたきしてからCCG編描きたいです。
  30. 31 : : 2017/01/03(火) 00:20:30
    あ、玲ちゃん敬語になってる……
  31. 32 : : 2017/01/03(火) 01:04:58
    思ってたんですけど、
    玲ちゃんの自傷行為って…
    どんなことしてたんでしょうか…?
    厚かましい様ですが…
    そこを書いて欲しかったなぁー…なんて…
    はい、すみません…期待です!
  32. 33 : : 2017/01/03(火) 09:34:18
    (´-`).。oO足りない頭を使って考え中です…
    それで少し話書けたら書きます!
  33. 34 : : 2017/02/01(水) 01:06:16
    少し番外?




    ここの生活もだいぶ慣れた

    毎回構ってくる相手
    受ける授業
    周りの視線

    そして、時折思い出す



    玲「…………ママ」









    ーー

    ーーーーーー

    ーーーーーーーーー

    ーーーーーーーーーーーー
    レストラン襲撃時


    ビッグマダム「什造ちゃん、逃げるわよ」

    脂汗を顔中に滴らせ、眉間にしわを寄せながら玲の手を取る

    もうすでに護衛の喰種の何体かはやられてしまっている

    相当できるツワモノが先陣を任されているようだ

    ビッグマダム「さあいくわ……っ」

    玲の手を取ろうと手を伸ばしたところに何かがすごいスピードで通り過ぎた

    そのまま手を出していたら今頃右手は切り落とされていたことだろう

    特等捜査官「……お前は……ssレート、ビッグマダムだな」

    尾赫だろうか、ムチ状の刃物のようなものを握っていた

    バッグマダム「チィ……めんどくさい……」

    そう言うと玲を素早く抱え、ホールの出口へと向かった

    特等捜査官「逃すか……よ!」


    ヒュッ

    ガキン


    ビッグマダム「ちょこまかと鬱陶しい……」


    さすがssレートと言うべきか、逃げながらも器用に赫子を使い逃げ続ける


    特等捜査官「おら!おら!おら!」

    追いかけながら攻撃を振るうが全て避けられ、砂埃が舞うだけだった

    ビッグマダム(もう直ぐ出口に……っぐ!)

    特等捜査官の攻撃で舞っていた砂埃が目に入ってしまったようだ

    さすが特等、わずかな隙を嗅ぎつけ急所を狙う

    特等捜査官「ココだ!!」ヒュッ







  34. 35 : : 2017/02/01(水) 01:07:11













    ズチャッ!













    ピチョン ピチョン



    ビッグマダム「ッグ……ハァ……ハァ……ゴホッ」

    急所はかろうじて外したものの重傷を負ってしまった

    腹部から流れ出る血の量がそれを物語っていた

    特等捜査官「さあ、終わりだビッグマダム」

    そう言いながらクインケを突きつける


    ビッグマダム「…………に……………ぞ」

    特等捜査官「ん?なんだって?」













    ビッグマダム「調子に乗ってんじゃねぇぞクソガキャァ!!!!!!!!」














    ドゴォォン!!!!!!











    爆音の後に残されたのは周りの壁の残骸と無残な特等捜査官の死体だけだった



    『おい、なんだ今のでかい音は!』

    『あっちの方からだ!』


    ビッグマダム「ッチィ、また人間が集まってくる……ゲホッ」

    什造「……ママ」

    状況がよくわからなかった玲は怪我をしているママを見てどうすればいいかわからなかった

    ビッグマダム「什造ちゃん、よく……きいて、ね……」ハァハァ

    什造「………」

    ビッグマダム「ママと什造ちゃんは少しお別れしないといけないの。でも什造ちゃんが嫌いだからとかじゃないの。だから……いつか……





    いつか必ずまた会いにいくから!!!」


    そう言うや否やバッグマダムはすごいスピードで廊下を曲がり、建物の外へ出て行ってしまった


    什造は訳が分からずビッグマダムの後を追いかけるが、途中で道がわからなくなりホールに戻って来てしまった

    あちらこちらから戦闘音が聞こえてくる

    幸いにもさっきのところからここまでの通路は誰も通っていなかったようだ

    と、後ろから大人が2人走ってきた


    『おい!子供がいるぞ!』



    ーーーーーーーーーーー

    ーーーーーーーー

    ーーーーー

    ーー


  35. 36 : : 2017/02/01(水) 01:46:11
    玲「ママ……」

    (僕らはママに愛されていた)

    (あの怪我も、あの痛みも、愛されていたから……)

    (ここに来てからは……感じないな……)

    (自分でも………やったらママの愛情を感じられるかな……)

    キョロキョロと周りを見渡すと誰かの机の上にハサミが置いてあった

    今日はクロナもナシロも雫も先生に呼ばれていない

    (これで切れるかな)






    ヒュッ







    スパッ



    ツー



    綺麗に手にぱっくりと切れ込みがはいり、血が流れ出た


    「んー?何か違う」


    カチャカチャカチャ スッ


    何を違うと感じたのか、今度はハサミをたたみ、鷲掴みにして腕を上げた


    「これなら……」


    グッ







    ヒュッ









    ダン!!







    グチャァ




    勢いよく振り下ろされた手のひらは見るも痛々しい状態になっていた

    手のひらには血だまりができていた

    「あ〜〜……こんな感じだった気がする〜」

    安心したような顔をすると、またもや








    ダン!!! グチィッ








    ダン!!! グチュッ








    ダン!! グチャァッ




    「あはぁ〜〜〜〜〜〜〜〜〜」


    タッタッタッタッタッ

    ガララ

    クロナ「玲!お待た……!!??」ガタッ

    思わず尻餅をつきそうなところをナシロが支える

    「あ、おかえりークロナ」

    ナシロ「?どうしたの?」ヒョコ

    クロナが邪魔で見えなかったので少しズレて中をのぞいた

    その光景は地獄のようだった

    純白の髪まで飛び散った血を滴らせながら血に染まった手を振り、ニコニコと笑っているのだから

    ナシロ「え?……え?……………いや……










    いやああぁあああああぁあぁああ!!!!!」















    医務室


    先生「取り敢えず骨は折れてなかったら良かったけど大怪我には変わりないわ。安静にしときなさいね」

    クロナ「ねぇ……それって本当に……たまたまだよね?」

    ナシロ「……もう……起こらないよね……?」

    玲「さすがにもうしないよ〜」


    玲はもうしないと約束した

    二人も渋々ながら納得しているようだ




    これが玲の【1回目】の自傷行為だった
  36. 37 : : 2017/02/09(木) 19:52:23
    あぁ…
    これからめっちゃ自傷行為するんだろうなぁ…
    とりあえず期待です!!
    頑張って下さい!
  37. 38 : : 2017/04/27(木) 03:25:59
    お久しぶりです〜( ̄∇ ̄)
    やっぱり小説書きは早すぎた………
    一番初めの書き方に戻してみます












    それからというもの、玲はひどかった




    「………」カリカリカリカリカリカリ




    「ちょっ………!?なにやってんの!!」バッ




    暇さえあれば爪を齧る、削る、




    もう玲の手に爪と呼べるものはなかった









    テレビ「ワイワイガヤガヤ」




    玲は少しの間、CCGの精神科で見てもらうことになり、ベッドに横たわっていた




    玲「はんはんはは〜ん
  38. 39 : : 2017/04/27(木) 03:36:00
    ご機嫌で鼻歌を歌っていると視界の隅に木片が入りこんだ




    ガラガラ




    「診察のお時間ですよ〜」




    ヒッ




    声にならない悲鳴が聞こえた気がした




    「あ、みてみて〜!!……うさぎ!!」




    真っ白ですべすべだった腕が、薄くえぐられ、真っ赤に染まっていた




    うさぎの形だった











    「自分や生き物を傷つけてはいけません!」




    「これを読んでおくように」ドサッ




    そこには単行本のようなものが山積みされていた




    「ええ〜……めんどくさい……」




    「読まないとお菓子抜きですからね」




    「!!……………!!!!!」シュバババババ




    「読みました」




    「へ?」




    「じゃ、じゃあ問題です!1話で主人公がハマったものは?」




    「ドブです」




    「8話!」




    「音楽です」




    「20話!」




    「恋です」




    「最終回!」




    「薬物です」




  39. 40 : : 2017/04/27(木) 03:42:17
    「そういえばこれってなに?」




    そう言って単行本の中のあるワンシーンを指差した




    「それは刺青って言って、専用の道具で体を掘って模様をつけるのよ」




    「これやりたい!」




    「ダメに決まってるでしょ………あ、」




    何か心当たりがあるようだ




    「ねえ玲君、ボディステッチって知ってる?」




    「知らな〜い」




    「消毒した針と糸で体を縫って模様を描くんだけど、やってみる?」




    「やる!」




    「じゃあ取ってくるね」




    そう言って扉の方に向かった




    「じゃあくれぐれも何もせずに静かに待ってるよぉおおぉいいいいぃい!!!!!!」




    「とりあえずその木片をしまおうか………」




    「そうそういい子だね」




    「あ、待って新しく生産しないで。窓枠無くなっちゃう」

  40. 41 : : 2017/04/27(木) 03:49:06


    「わかりました、それじゃあそこのお菓子でも食べて待っててください」




    「…………」ゲフッ




    「もういいから普通に待っててください」シクシク





    ガラガラ



    「持って来ましたよ」




    「じゃあ腕を出してくださいね、痛かったら遠慮せずにいってください」




    チクッ


    チクッ


    チクッ


    チクッ


    チクッ





    はいできましたよ!お花〜!




    お花かなこれ………




    べ、別にいいのよ細かいことは!!満足した?




    これからもやってもらっていい?




    フフフ、任せてください














    その日から玲が自傷行為をすることはなくなった




    什造はお菓子にハマった

  41. 42 : : 2017/04/27(木) 03:52:34
    ログインするのが面倒くさくて前のパスワードでやりました
    途中の名無しは私です
    一回全文書いたものが投稿したら五分の一ぐらいになってたのをなんとか記憶をたどって復元したので文章変になってるかも
  42. 43 : : 2017/04/27(木) 16:15:01
    ついでに最後自傷行為しなくなったのは ボディステッチの痛みでする必要がなくなったってことです
  43. 44 : : 2017/04/27(木) 20:23:24


    朝、玲は先生に呼び出された



    ガラガラ 失礼しま〜す



    「思ったより早かったね」



    そう言ってその人物はくるりとこちらを向いた



    「君が玲くんかい?」



    「おじさんだれ〜?」



    先生の横には玲よりもはるかにゴツいガタイの男が立っていた



    「あはははは!そうか、君とは初対面だったね」



    玲は相変わらず無機質な目をガタイのいい捜査官へ向けていた



    「いや、こっちは何度も資料で見たから初めてあった気がしなくてね」



    そう言って彼は、一枚の名刺を胸ポケットから取り出した



    「僕は篠原幸紀。君のパートナーだ」ニカッ



    彼は終始笑顔で話し続ける



    篠原「もう話は聞いてるかい?」



    途端に、さっきまで合わせていた目をスッと逸らした



    「ああ〜、あれか〜!!うんうんあれあれ」



    篠原「………」チラッ



    先生「できることはやりました………」



    そう、玲には既にこの話は通っている



    はずだったのに………



    篠原はフーッと息を吐き、柔らかな物腰で玲に話し始めた



    篠原「君には今日から捜査官になってもらう」



    「捜査官?」



    今初めて聞いたかのような反応を見せる玲



    篠原「そう、君の素質が認められて特別枠で捜査官になれるんだ」



    篠原「さっきも言ったけど、パートナーは僕だよ」



    玲(聞いた!?聞いた!?什造くん!!捜査官だって!これで殺し放題だよ!やるしかないよね!)



    什造(いや、僕別に喰種に恨みもないし、殺しをしたいわけでもないんですけど………)



    玲「うん!捜査官やるよ!」



    什造(聞いちゃいないですね)



    篠原「良かった、それじゃあこれからよろしく」スッ



    そう言って彼は分厚い皮を張ったグローブのような右手を玲に突き出した



    「?」



    玲はそれを不思議な顔で見つめる



    篠原「?握手知らないのかい?こうするんだよ」ギュッ



    「……!!」ビクッ



    不意に右手を握られ、体が跳ねる



    人肌は何年ぶりだろうか



    そんなことを考えているといつの間に手を離され、今度は肩に手を置かれた



    篠原「よし、行こうか!鈴屋三等捜査官!」



    ああ、これからどんな生活が待っているのだろうか



    あまりの期待に身震いしながら、玲元気よく答えた



    「ほい!」



  44. 45 : : 2017/08/10(木) 08:54:46
    口調が全然違う。原作ちゃんと読んでんの?
  45. 46 : : 2017/08/10(木) 08:57:36
    什造って痛み感じないんじゃなかったっけ?今後の展開のため?それともただ単ににわかなだけ?
  46. 47 : : 2017/12/02(土) 21:57:12
    また少し書こうかと思ってるんですが↑の質問の口調は玲、什造、バッグマダム、クロナシロ雫、篠原さんどなたでしょうか
    今後の参考に……

    あと、痛みのシーンこの話を見ても見当たらなかったのですがどのシーンか教えていただけると嬉しいです

    東京喰種は好きですよ
    無印の方はあまり読めていませんが

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