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このSSは性描写やグロテスクな表現を含みます。

この作品は執筆を終了しています。

東京喰種√Z

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  1. 1 : : 2015/03/04(水) 20:32:03
    はい。こんにちは〜…本当は無登録ユーザーではないのですが、なんとなくこれでやってみました。たぶん、本名?(笑)を知ってる人はあまり居ないと思います。ヒントが欲しければ言ってください。教えますので。では、書く前に、このSSは金木君がちょっとヤバい感じのヤツを書こうと思ってます……何がヤバいかと言うと……なんていうか…こう…金木をイカれキャラにしようかなとお思いましてね……半喰種じゃない…人間の金木君を強く書くつもりです。それはもう、強く…人間なのにSレートの喰種とやりあえるくらい強くね……ちなみに後から喰種(半喰種)にする予定です。よし!では書くか。あ、その前にカネキの特徴とか色々

    ・カネキの髪の色は白でいきます

    ・カネキは戦う時とかに口調が少し荒く(?)なる(ならない時もある)普段は原作のカネキの様に優しい感じ


    ・強さはSレートくらい、下手したらそれ以上。

    他は原作とほぼ同じです。それと、亀更新です。


  2. 2 : : 2015/03/04(水) 20:40:18


    …この世界には…ある、怪人達がいる………群衆に紛れ…ヒトの肉を喰らう…ヒトの形をしながら、人とは異なる存在……人々は彼らを──────



    カネキ「────喰種と呼ぶ。」


    金木 研 15歳


    カネキ「…かぁ…」ペラ


    カネキ「つまり…人間を食べる化け物ってことか……」


    カネキ「本当にいるのかなぁ〜」




    カネキ「…はぁ〜…居るならあってみたいな〜…喰種…」


    カネキ「…」スタスタ


    カネキ「…」ガチャン


    そう、1人で呟き、学校へ行った



    ──────【学校】──────



    ガ ラ ガ ラ ッ !


    一同「…!」


    カネキ「…おはようございます」スタスタ


    5人の男子「…ッ…」


    カネキ「…ん?」チラ


    5人の男子「ぅ…」ビクッ…


    カネキ「…どうしたの?」


    5人の男子「…ぁ…ぃゃ…」


    ヒデ「ははっ…お前が昨日やりすぎたんだよ…」

    カネキ「あ、ヒデ…おはよう」ニッコリ


    ヒデ「ん?おう、おはようカネキ」


    この子はヒデ…僕が幼稚園の時、いつも1人だったから、それを気にかけて話かけてくれたいい奴…僕の友達、いや親友かなぁ…ヒデは勘とか鋭くて面白いし好きだ。


    カネキ「ってそれより、僕、昨日何かしたっけ?」


    ヒデ「…はぁ〜」


    僕がそう言うと、ヒデは呆れたような顔をした。


    ヒデ「お前、興味ないっていうかどーでもいい事はソッコーで忘れるよなぁ〜」


    カネキ「そうかなー」


    ヒデ「へいへい、忘れてるお前に教えてやるよ」

    ヒデ「お前、昨日─────」



    ─────────────────────


    金木 研…15歳の中学3年生……彼は…普通の中学生とは少し違った…小さい頃から…子供には無い…落ち着いた雰囲気……頭の良さ……身体能力…反射神経…そして、顔は少し幼いがかっこいいと来た…でも…学校での評判は良くなかった…その理由は…よく、学校の生徒と喧嘩するからである……彼の…その天才さに嫉妬し、学校の男子生徒達はよく「お前、調子のってんじゃねぇよ」とちょっかいを出してくる。その時カネキは相手にするのも面倒くさいのでずっと本を読んでいた。それにイラついたのか、1人の男子が殴りかかってきた。が、カネキに挑んだのが間違いだった。


    カネキ「…はぁ」サッ…


    男子1「なに!?」


    カネキ「つまんないなぁ…」バキィッ!


    男子1「ッ!?」


    キャーーー キャーーー!センセー!!カネキクンガ ダンシをナグリマシター!


    カネキ「…あーもう…」


    ヒデ「あらら…」





    男子1「ッ…うっ…い、いてぇ、いてえええよおおお」ポロポロ


    カネキ「…えー…そっちから仕掛けてきたくせに…(ていうか…泣くって……)……」


    残りの男子達「て、てめぇ!よくもやりやがったな!?」ダッ


    カネキ「…」


    ド ガ ッ ! バ ギ ッ! ボ ゴ ッ!


    そして、カネキはちょっかいを出してきた男子生徒達に軽い怪我を負わせた…


    男子達「が…ぅ…ぁ」ボロボロ


    カネキ「はぁ、これにこりたら もうちょっかいかけないでね…相手するのめんどくさいし…」


    カネキ「…それと…次は……」


    カネキ「………この程度じゃすまないから」

    と、いって……微笑んだ…だが、その笑みは、とても冷たく…彼らにとっては、…恐ろしかった


    男子達「〜〜ッッッ!?」ゾクッ!

    ────────────────────


    ヒデ「───ってな事があったろ」


    カネキ「あー、うん…あったかも…あはは…」

    ヒデ「ってかさ、お前、よく幼稚園の頃から喧嘩するけど、喧嘩すんのやめたほうがよくね?…ほら、この前なんか、街で…不良が突っかかって来た時に…ボコボコにして全治1ヶ月という名の大怪我を負わせたじゃねぇか…お前やりすぎると、退学になるかもだぜ?」


    カネキ「あははっ、そうだね」


    ヒデ「おう」
  3. 3 : : 2015/03/04(水) 21:14:15
    キーンコーンカーンコーン


    ハー…ヤットオワッター


    カネキ「…」ゴソゴソ


    ヒデ「よぅ、カネキ!帰ろうぜ!」


    カネキ「うん」


    カネキ「…ヒデー、帰りどっか寄ってかない?」スタスタ

    ヒデ「おお!いいねー!どこいくよ?」


    カネキ「本屋さんと喫茶店に」


    ヒデ「おう!あ、でも…俺、結構早めに帰んないと親がうるさいからなぁ」

    カネキ「あはは、そっか…じゃあやめとく?」


    ヒデ「いや!大丈夫だぜ!」


    カネキ「そう?じゃあ行こうか」

    ヒデ「ああ!」

    ──────────────────
    ──────

    ヒデ「ってそういえば、本屋ってまた本買うのか?」

    カネキ「うん…今日は高槻さんの新作が出るんだ」

    ヒデ「ふーん」


    カネキ「あ、これこれ」


    カネキ「じゃ、買ってくるから」

    ヒデ「おう!外で待ってるぜ」

    カネキ「うん」


    「ありがとうございましたー」



    カネキ「おまたせ!」

    ヒデ「よし、じゃあ、喫茶店?行くか」

    カネキ「うん!」


    ヒデ「どこに行くんだ?」


    カネキ「『あんていく』っていうところ、なんか雰囲気がいいんだよねー」スタスタ


    ヒデ「へーっ」スタスタ




    と、しばらく歩いていると…「あんていく」が見えて来た。

    ヒデ「お、…あ…ん…て…い…く…ここか?カネキ!」

    カネキ「うん!僕も初めて入るからどんな感じかちょっと楽しみかも」


    ヒデ「よし!ではさっそく」


    カ ラ ン カ ラ ン ッ !



    トーカ「いらっしゃいませー」


    ヒデ「あ、ども」ペコッ


    ヒデ「店員さんですか?若いですね」


    カネキ「(いや、若すぎると思うよ。見たところ僕達より、年下っぽいけど…)」


    トーカ「ふふ…ありがとうございます。どうぞお席へ」

    ヒデ「あ、はーい」


    カネキ「…」スタスタ


    トーカ「…」


    カネキ「…ん?」


    トーカ「…」ニコッ


    カネキ「…」スタスタ



    ヒデ「よし、ここにすっかぁ…」

    カネキ「そうだね」ガタ…


    ヒデ「あのー!店員さーん!」


    トーカ「!、あ、はーい!」タタッ


    ヒデ「注文いいですかー!」

    トーカ「はい。」

    ヒデ「じゃ、俺カプチーノで!!カネキは!?」


    カネキ「うーん…じゃあ、普通にコーヒーでお願いします、ミルクと砂糖多めで!」

    トーカ「はい。カプチーノとコーヒー、ミルクと砂糖多めですね。」カキカキ


    ヒデ「あの!すいません!!」


    トーカ「はい?」

    ヒデ「お名前はなんて言うんですか!?」

    トーカ「あ、えっと、…霧島トーカですけど…(なんだよこいつ)」


    ヒデ「トーカさん!!恋人は居ますかッッ!?!」


    トーカ「あ、えっ…と…す、すいません!」タタタタッ



    カネキ「あー…あ…ヒデェ…やめなよバカ…初めて来て店員さんナンパって…出入り禁止にでもなったらどうするのさ」



    ヒデ「あぁ、愛らしい」


    カネキ「聞いてるの?」


  4. 8 : : 2015/03/05(木) 00:32:48
    ヒデ「ん?なんだって?」


    カネキ「はぁ〜…もういいよ」


    ヒデ「あ、そ」


    カネキ「ねぇ、ヒデ…喰種(グール)って居るじゃん?居るかわからないけど…」


    トーカ「…!」


    芳村「…」


    ヒデ「ん?あぁ?喰種?急にどうしたよ?」


    カネキ「いやぁ、本当に居るのかって思っちゃってさぁ」


    ヒデ「…ふーん。で?居たらどうすんの?」


    カネキ「えぇ?居たら逢ってみたいかな…ははっ」


    ヒデ「おまえなぁ…やめとけやめとけ…喰種って人喰うんだろ?…喰われるぞ?死ぬぞ?俺はお前が死ぬと悲しい!だからやめとけ!」


    カネキ「えー…だって、なんか毎日つまんないんだもん…何をやってもさぁーあ、本読むのは好きだけど」


    ヒデ「つまんないって…今も?」


    カネキ「うーん…今は普通かな」


    ヒデ「なんだよ普通って…以外と傷つくぞ!」


    カネキ「あははっ、ゴメンゴメン」


    トーカ「…お待たせしました…カプチーノとコーヒーです。」


    ヒデ「あ、ありがとねー!」


    トーカ「あ、はい…はは…」タタッ




    カネキ「……でも、喰種にあったら この つまらなさも、消えそうなんだよね〜」


    ヒデ「で?喰種にあってどうすんの」


    カネキ「……」


    ヒデ「…」ゴクゴク…


    カネキ「戦いを申し込む!」


    ヒデ「ブーーーッ!?」


    ヒデは驚いてカプチーノをふき出した。



    カネキ「わっ!?もう…なにするんだ!ヒデ!」


    ヒデ「ゴホッゴホッ…ごめん…ゴホッゴホッ…ってお前…バカかよ!?」


    ヒデ「まじで死ぬぞ!」


    カネキ「いや〜…なんか勝てる気がするんだよね〜……」


    トーカ「…(そんなわけねーだろ…バカが…捜査官ならまだしも、普通の人間が勝てるかっての)」


    ヒデ「いや…まぁ、確かにお前は強いかもしれんがな?その強さが、喰種に通用するとは〜……」


    カネキ「ふむ……ていうかさ…喰種って実際強いの?」ゴクゴク


    ヒデ「いやぁ…どうだろな…見た事無いし……たしか、普通の人間と比べて数倍の身体能力とか力があるらしいぜ?」


    カネキ「ふーん…信じがたい話だね…僕は自分の目で見たものしか信じないようにしてるよ」


    ヒデ「ははっ…そういえば、………数倍の身体能力とかといえば……お前じゃね?」


    トーカ「…!(……あのツンツン頭と居るもう一人の奴…喰種?…たしかに…なんか普通の人間とは違うような気もするけど……髪とか白だし……)」


    カネキ「……はぁ?」


    ヒデ「さてはお前…喰種だろ!」

    カネキ「なにを言うかと思えば…僕が喰種?そんな訳ないだろ…テレビで小倉?って人が言ってただろ?喰種は人からしか栄養を摂取できないとかなんとかって……」


    ヒデ「まぁ、そうだな!…それと喰種はコーヒーだけは飲めるらしいぜ?」チラッ…


    カネキ「いやいやいやいや!たしかに僕はコーヒー飲んでるけどさ…砂糖とミルク入ってるし!」


    ヒデ「それもそうだなぁー、メシも普通に食ってるし」


    カネキ「まさか本気で疑ってた?」


    ヒデ「はは!ないない!」


    ピリリリリリリリッ



    カネキ「ん?ヒデ、電話なってるよ?」


    ヒデ「お、本当だ…誰からだ?」スッ


    ヒデ「げっ」


    カネキ「ん?」


    ヒデ「ウチの親からだ…」ピッ
  5. 9 : : 2015/03/05(木) 00:37:56


    ヒデ「は、はい、もしもし?」

    『こら!!!ヒデ!!今何時だと思ってるの!?ていうかどこに居るの!?早く帰って来なさい!?』


    ヒデ「え?何時って…」チラッ

    そう言ってヒデが時計を見ると…あと、5分で7時になろうとしていた。



    ヒデ「うぉ…あ、えっと…いま、カネキと喫茶店に…」


    『あら?ケンくんと?…』


    ヒデ「あ、うん…今から帰るから」


    『そう。早く帰って来るのよ!』


    ヒデ「はい。」


    カネキ「はは…」


    ヒデ「聞こえてた?」

    カネキ「うん」

    ヒデ「あぁー…恥ずいわぁ…」


    ヒデ「俺、帰るけど、どうする?一緒に帰るか?」


    カネキ「いや、あと一杯コーヒー呑んで帰るから先帰ってもいいよ?」


    ヒデ「そっか…じゃあ先帰るな?」

    カネキ「うん。じゃあね、ヒデ」


    ヒデ「おう!じゃあ明日学校で!」タタタタッ


    カランカラン


    ヒデがさっていったあとカネキは


    カネキ「さて…」ガタ…


    今座っている席を立って…カウンターの方に座った


    カネキ「…」スタスタ


    カネキ「…」ガタッ…


    何故、カネキがこっちに座ったかというと…一人で黙ってコーヒー呑むのが嫌なので、店員さん達と話すために座ったのだが…。


    芳村「…」

    トーカ「…」

    入見「…」

    古間「…」


    カネキ「…」

    うーん…なんだこの気まづい空気は……店員さん達黙ってるし…


    カネキ「あれ?…そういえば…今、僕以外だれもお客さん居ませんね…」


    一同「…」


    カネキ「!あぁ!?…まさか…もう閉店の時間ですか!?」


    ハッと気づいたように言った


    芳村「はは…いえいえ、まだ、閉店まで30分ほどありますよ」


    カネキ「あ〜…そうですか。よかった〜…じゃあ…コーヒーもう一ついいですか?」


    芳村「かしこまりました。」



    芳村「…そういえば…さっき面白い話をしていましたね。」


    コーヒーを淹れながら芳村は思い出したように言った。


    カネキ「面白い話?…あぁ、喰種が本当に居るかどうかとかの話ですか?」


    芳村「はいはい。」


    カネキ「あはは…盗み聞きとは中々良い趣味をお持ちですね。」


    芳村「はは…トーカちゃんも前にそんな事を言っていたのでね」


    トーカ「えっ?」


    カネキ「ほぅ」


    トーカ「っ…」



    カネキ「で?…店長さんはどうですか?…居ると思います?喰種…もしくはあったこととか?」


    芳村「私ですか?…私は…逢った事はないですね〜…でも…存在はして居ると思いますよ。」


    カネキ「それは何故ですか?」


    芳村「まぁ、…喰種捜査官が居るからかな。」


    カネキ「でも…喰種捜査官が居るからと言って…今、喰種が居るとは限りませんよね?…例えば…昔、喰種が出たとします…それで、喰種の事で世界中が大騒ぎになる…そして…喰種は倒したが、世間は喰種がまだ居るかも知れないと疑っている…それを落ち着かせる為に…CCGをつくり…世間を安心させてるのかもしれませんよ?…」


    芳村「でも、その話だと……たとえ昔だとしても、喰種は居たことになるよね。」


    カネキ「…まぁ、そうですね。」


    古間「ははは…でも、喰種の事でニュースよくやってるじゃないか。」


    カネキ「そうですけど…僕、実際に見たものしか信じない主義なので。」


    トーカ「…(めんどくさい奴だなぁ)」

    カネキ「今、めんどくさい奴だと思ったでしょ君」


    トーカ「えっ!?」

    カネキ「あ、本当に思ってたんだ」

    トーカ「あ…すみません…」


    カネキ「ま、いいですけど、実際こんな奴いたら僕もめんどくさい奴だと思いますし」


    トーカ「はぁ…」


    芳村「お待たせしました。」コトッ


    カネキ「あ、ありがとうございます。」


    カネキ「…」コク


    カネキ「は〜…美味しいです。」


    芳村「ふふ…ありがとうございます。」
  6. 10 : : 2015/03/05(木) 00:40:35


    芳村「あぁ、それと…私が喰種が居ると思う理由はもう一つありますよ」


    カネキ「ほぅ?」


    芳村「ウチの店員が見たそうですよ。喰種」


    カネキ「え…」


    カネキ「えぇ!?誰ですか!その店員さんはっ!」


    入見「ふふ…私よ。」


    カネキ「へぇーっ…貴女ですか…おの…どこで見たんですか?」


    入見「うーん…どこだったかしら…随分、昔だから記憶が曖昧だわ…多分…11区だったとおもいますけど…」


    カネキ「へぇ…11区ですか…よし…今度行ってみよう…!」


    トーカ「…(こいつ…めっちゃ騙されてるじゃん…)」


    カネキ「あ!それで、喰種ってどんなのでした!?」


    入見「どんなのって言われましても…よく本とかに載ってる通り、人間とそっくりでしたよ。」


    カネキ「へぇーっ…話によると、目が赤かったり…背中とかから、こう…なんか変なモノが出てるとか聞いたんですけど…どうでしたか!」


    入見「さ、さぁ?…チラッとしか見ていませんから目が赤かったかどうかは……あ、でも、背中の方から羽?みたいなのは出てましたよ」


    カネキ「羽?羽ですか!…羽…もしや…喰種とは人間の姿をした大きい虫なのかな?…」


    トーカ「…(虫だと!)」ムカッ


    カネキ「うん?」


    トーカ「…」

    カネキ「…」

    トーカ「ど、どうかしましたか?」


    カネキ「あ、いえ。」


    芳村「…君は…まだ、帰らなくても大丈夫なのかい?…お母さん達 心配してるかもしれないよ。」


    カネキ「あぁ…それなら大丈夫ですよ。ははっ」ゴクゴクゴク…


    カネキ「ま、でも、閉店時間ギリギリまで居るのも迷惑かも知れないので…もう帰りますね。コーヒー美味しかったです。喰種の話も色々聞けてよかったです。あ、お金ここに置いときますね」ガタッ…


    芳村「いえいえ迷惑なんて…ぜひ、また来てくださいね。」


    カネキ「はい。ありがとうございました。」スタスタ


    カ ラ ン カ ラ ン……







    芳村「…」


    入見「なんか…」


    古間「不思議な子でしたねぇ…」


    芳村「…あぁ…そうだね。」


    トーカ「…なんで、あいつ…喰種に逢いたいんでしょうね。」


    芳村「…たしか…戦いたいとかいってたけどねぇ…」

    トーカ「何考えてるんでしょうね…喰種と戦いたいって…バッカみたい。」


    芳村「…」
  7. 11 : : 2015/03/05(木) 03:48:54



    カネキ「…なーんか…不思議な店員さん達だったなぁ…別におかしな所はないけど、こう…雰囲気が…少し妙だったなぁ…また今度行こう」スタスタ


    そうブツブツ言いながら自宅へ向かった


    カネキ「喰種…あってみたいなぁ…って何回も同じ事言ってるような気がするなぁ…」スタスタ


    カネキ「…」スタスタ



    カネキ「…あ」ピタッ


    カネキ「そういえば、ここ近道だった…通ろうかなぁ…でも…薄く暗いし…なんか出そう…まぁ、いいや、早く帰って寝たいし…通ろう!」スタスタ


    そう言って、カネキは路地へ入って行った。




    カネキ「うわ〜…ホント不気味だな…昼と夜でこうも違うんだなぁ……幽霊とか出そう。」スタスタ



    ガ タッ


    カネキ「!」ビクッ…


    カネキ「…」ソーッ…クルッ


    ネコ「ニャー…」タタタタッ


    カネキ「…なんだ、猫か…まったく…ビックリさせないでほしいよ。」ハァ…クルッ


    そう言って…前を向いた瞬間───



    ガ ッ !


    カネキ「…!」


    ─────何かに…ぶつかった。


    カネキ「…?」


    なんだ…これ?何にぶつかった?…壁?…いや、前に壁なんて無かった…それに…壁のように固くなかった…今、ぶつかったのは…こう…例えるなら……筋肉ムキムキ?の人にぶつかった様な……誰かにぶつかったのかな?…いや…でも、こんな時間にこんな所を誰か通るのか…??


    カネキ「…?」ソーッ


    カネキが恐る恐る顔を上げると──
    ───




    カネキ「…!」


    あ、人だった、男の人…ムキムキじゃなかった…ていうかここは人が以外と通るものなのかな?


    カネキ「あ…どうも。すいません」ペコリ


    カネキ「…」スタスタ


    謝り、さっさとその場を去ろうと歩き出した瞬間…




    ド ガ ッ ッ ! !



    カネキ「がっ!…!?」




    ヒ ュ ー ! !ド ガ ァ ァ ア ン!!




    カネキ「…ぁ…ッ…!」


    は?…なんだ?…何が起きた…!?


    僕…蹴られた?…蹴り飛ばされた…!?

    誰に…?…いや…あの場には僕ともう一人の男の人だけ。…って事はあの人に蹴り飛ばされた…?


    カネキ「ッ…!…」ムクッ


    男の人「…!?」


    僕が起き上がった事に驚いたんだろうか…まぁ、そんな事はどうでもいい…


    カネキ「ッ…あなた…いきなりなにするんで…す…か……!?」


    カネキは驚きのあまり…途中で声が途切れていた……



    カネキ「赤い…眼…!?」


    赤い眼って…喰種は眼が赤くなるらしいけど……


    それに、さっきの蹴り……いくら筋肉質な男性でも…普通に考えて人1人を蹴り飛ばす事は不可能…だが、目の前のこの男は…僕を蹴り飛ばした…それも数メートル…たしか…喰種は生まれつき人の数倍の身体能力や力(パワー)をもってる…だっけ?……てことは……まさか……まさか……






    カネキ「…まさか────!?」











    カネキ「────喰種ッ!?」
  8. 15 : : 2015/03/05(木) 17:55:22



    赤い眼に、人間離れした力(パワー)……喰種?喰種か?…本物!?…まじか……ヤバい…テンション上がってきたかも…!!


    カネキ「あ、あなた…喰種ですよね?」


    喰種「そうだが?」


    カネキ「……」


    ヤバい……これ…マジで喰種っぽいよ…喰種って本当に居たんだ……すごい


    カネキ「僕を喰うつもりですか?」


    喰種「ああ!…お前からはとても美味そうな匂いがする。ククッ」


    カネキ「…」


    カネキ「…でも…喰べられるわけには…いかないんだよ。」


    喰種「フッ!…人間ごときが喰種に勝てると思うなよ」



    カネキ「ふふ…」


    カネキは喰種を前にしても、臆するどころか…逆に…楽しさや、喰種と戦える嬉しさで笑っていた。


    カネキ「それは…やってみなきゃ───」パシィッ!


    カネキ「(まずは、様子見ってところかな…喰種がどれほど強いのか確かめよう)」


    カネキは下に転がっていた鉄パイプを取った。


    カネキ「──わかんないだろ!」ダンッ!


    カネキは地面を蹴って喰種の目の前まで来た。



    喰種「なっ!?(速っ!…嘘だろ!?…こいつ…まさか…!?)」


    カネキ「ふっ!」ブンッ!


    バ キ ィ ッ ! !



    カネキ「…!?」


    喰種を殴った鉄パイプはぐにゃりと曲がっていた。



    カネキ「はぁ!?…え?!何コレ!…え?…鉄パイプ…曲がってる…」



    喰種「チッ…そんなもん聞くわけねぇだろうが」


    喰種「さっきの動き……お前、…喰種なのか…?」


    カネキ「いえいえ…人間ですよ」ニィ…

    喰種「チッ…まぁ、どうでもいい…こっちは腹が減ってイライラしてんだ。さっさと喰わせろ!!」ダッ!



    カネキ「…ッ…」ダダッ!


    ヤバい!…これは…既に大ピンチだ…なすすべしってヤツ……鉄パイプで攻撃しても、効かないんじゃどうしようもないな…僕のパンチや蹴りが効くとは思えないし……ここは逃げる!



    カネキ「わけないだろ!!」ピタッ!クルッ!


    カネキ「はぁっ!!!」ブンッ!!



    喰種「バカが!!人間ごときのパンチが効くわけねぇだろ!!」


    ボ ゴ ォ ォ オ !


  9. 16 : : 2015/03/05(木) 17:58:15



    喰種「ぐぉ!?」ガクッ…



    カネキ「ッ…硬ッ…ってそれより…いった〜〜ッッ!?…まるで鉄を殴ってるみたいだ…いや、鉄より硬いのかな…」



    喰種「ぐっ…(なんだ今の威力は!…こいつ…ふざけやがって!…)」


    カネキ「まさかの…僕のパンチ効いてる?…(感激だ…!!…嬉しいっ!…ヤバいよ!メチャクチャ嬉しい!!!…つまり…効いたってことは…僕の力は喰種に通用するってことだ。…いや…でも…この喰種にはあんまり効いてないっぽいな…僕のパンチや蹴りで倒すには、あと何千回も殴らなきゃダメだ。そんな事してたら僕の手足が粉々になる……)」


    カネキ「とりあえず…もう一発!」シュッ!



    喰種「!」ババッ!


    カネキ「あ…避けられた…ッ」


    カネキ「けど…まだまだっ!」ブンッ!シュッ!


    喰種「…」スッ


    カネキ「…ッ」ヒュンッ!


    喰種「…」バッ


    カネキ「…ッ(全然…当たんない…なんだこれ…!!)」ブンッ


    喰種「…」バッ


    喰種「いい加減にしろ」ドゴォッ!


    カネキ「ぐっ…はぁっ…!?」


    カネキ「が…ゲホッ…ゴホッ…」ガクッ


    カネキ「ゲホッ…ゲホッ(重すぎる…!…これが喰種の力…くっ…やっぱ素手で勝つには無理があるのか?……あはははっ!いやいや…素手で勝つからこそ楽しいんじゃないか!!)」ムクッ!


    ガ ン ッ ッ!



    喰種「──ッッ!?」


    カネキは勢いよく起きがり自分の頭を喰種の顎にヒットさせた。



    カネキ「ッ…頭痛い…!」


    カネキ「ッ!」ブンッ!


    続いてカネキは喰種の顔面目掛けて拳を放った


    バ キ ィ ッ!


    喰種「ぐっ…!!」


    カネキ「ふっ!!」シュッ


    喰種「がっ…!!」


    カネキ「ハァっ!!」バキッ!


    喰種「ッ…ッ!…クソが!!」ブチッ!!


    カネキ「まだまだ─────」



    喰種「調子に乗ってんじゃねぇぇぇええええええええ!!!!」



    ズ ズ ズ ズ ズ ズ !




    カネキ「え…?」




    ! ? ! ? ! ?





    カネキ「なんッ…だ…アレは…!?」



    喰種「調子に乗りやがって!!そんなに死にたいか!?じゃあ今すぐ喰ってやるよ!!!」ズズズズズズズ



    カネキ「…ッ?!」


    アレは…なんだ?…尻尾…?…いや…尻尾にしては随分と図太いような…!!…あ、そういば…喫茶店の店員さんが…『あ、でも、背中の方から羽?みたいなのは出てましたよ』…とか言ってたな……まさか…その羽?とかは…喰種の特殊能力みたいな物なのか…っていうか…背中の方って全然違うじゃん!腰…より下の方から出てるし……いや…そんな事はどうでもいい…


    カネキ「(アレは絶対ヤバい!!)」


    カネキ「(とりあえず逃げるしかない!!)」ダダダッ!!



    喰種「逃がすか!!!」ダンッ!!



    カネキ「ッ…」



    喰種「死ねぇええ!!!」ブンッ!



    カネキ「ッ!(尻尾で攻撃してきた!!…なんだアレは…やっぱりただの飾りか何かではないのか)」





    ド ッ ガ ァァ ア ン ッ ッ!!!




    カネキ「ぐあっ!?」ズサァッ



    カネキ「ッ…ハァ…ハァ…」


    間一髪 避けたけど…衝撃で吹き飛ばされた…!!


    カネキ「う…わ…」



    あの喰種が尻尾で殴った所(地面)!…地面に……



    地面にクレーターが出来てるぞ!?



    カネキ「ッッ!!」ダダダダッ!!



    ヤバいヤバいヤバいヤバいヤバい!!アレはマジでヤバい!!喰らったら絶対死ぬ!?!
  10. 32 : : 2015/03/11(水) 23:35:01



    カネキ「ハァッ、ハァ……ッ」タッタッタッ!



    喰種「殺す殺す殺す!!」



    カネキ「く……ッ」



    カネキ「(マズイな、このままだといずれ追い付かれて喰われる。……逃げ切るのは無理だ。
    助けを呼ぶ? 誰に……警察? 喰種対策局?
    呼んだとしても、助けが来た頃には僕は死んでいる。
    ……僕が倒すしかないのか………どうやって倒すんだ?)」


    カネキ「(だめだ、どうしても妙案が浮かばない!)」


    カネキ「(やっぱり助け呼ぶべきなのか? だけど、今走ってる場所が何処なのかわからない以上、連絡は不毛。何か場所を特定できるような印はーーー)」


    ***


    あれから数十分、路地を抜ける訳にはいかないので(人が大勢いる為)、僕はずっと路地の奥を走り回っていた。
    奴は飽きもぜず僕を追い掛け回している。
    弱音を吐けば、体力の限界が近づいてきていた。


    喰種「はははぁ!鬼ごっこはもう終いか? ノロくなってきたなァ!」


    カネキ「あなたも執念深いですね。どこまでも追って来て」


    カネキ「…!!」ピタッ


    カネキ「行き止まり……!?」


    どうやら袋小路に迷い込んでしまったらしい。
    クソッ……逃げる事に夢中になっていたせいで、右、左とただ適当に走っていた。
    ちゃんと考えて走るべきだった……!


    カネキ「………」


    いや、いや、…落ち着け……
    こういう時こそ落ち着いて冷静に考えるんだ。そうすれば、曖昧だがここがどの辺なのかくらい多少わかるはずだ。

    喰種「はははっ。あーらら残念、終わりだな。さぁァ、喰わせろォ」


    カネキ「……、……、」



    喰種「どうしたぁ?ビビって声も出ねぇか? そりゃそうだ、ここは路地の奥。
    助けを呼んだって誰も来ちゃくれねぇもんなぁ!」


    カネキ「(よし。……解った)」


    喰種「クククッ…路地なんか走り回らないで表の方に出てれば逃げられたかもしれねぇのにな。いや、逃げれただろうな!はははははッ!どうせ、自分が路地を抜けて人が多勢居る所に行けば、俺が人間どもを殺しまくるとでも思ったんだろ?バカだな……これだから人間は」



    カネキ「………もう、“逃げるのは”やめだ」


    喰種「あぁ?諦めたか?」



    カネキ「これが何かわかりますか?」


    喰種「?」

    カネキ「……」ピッピッ、ポチ


    喰種「な、にを……?」


    トゥルルルル、トゥルルル、ガチャッ


    『はい。こちら、喰種対策局の者です。何かご用件─────』


    カネキ「すぅー」

    喰種「おい、なに深呼吸なんか……」


    カネキ「助けてえええええええっ!!」
  11. 33 : : 2015/03/11(水) 23:44:39

    『えっ!?』

    カネキ「(声を震わせろ、渾身の演技を!)」

    カネキ「た、助けて、助けてぇ! い、いい、今、ぼ、僕……ッ……ぁあっ…ぐ、喰種に襲われてて……だから、ぁぁ!?早く助けてくださぁぁあい!!」

    喰種「!?」


    『ほ、本当ですか!?』


    カネキ「は、早く助けてぇぇぇええええ!!!」

    『と、とりあえず 落ち着いてください!』


    カネキ「で、でも……喰種がもうこ、こっちまで(本当に早くしてくれ⁉︎)」


    喰種「て、テメェ、まさか……っ!」


    『落ち着いて。まずは現在の位置情報を教えてください! それを聞かないことには何も出来ません』


    喰種「まさか……CCGに……?」


    カネキ「(ご明察どおり)」にやり


    喰種「!」


    カネキ「え、えっと、場所はたぶん◯◯◯店 近くの路地の奥のだと思います」


    喰種「クソッ、その電話 切りやがれぇぇえッ!!」ダンッ!


    カネキ「!」


    喰種「らァアッ!!」ブンッ!


    カネキ「ッ!(また尻尾で攻撃か!)」


    カネキ「(けど、ギリギリ避けれる!)」


    僕は喰種の攻撃回避のため、後方に跳躍する。だが、ドンッと背中に硬いものかぶつかった。

    カネキ「はっ?」


    壁!? そうだった……!ここは行き止まりだって事すっかり忘れてた!
    マズい当たる。


    ド ツ ッ ッ!!


    僕はとっさに、左腕で尻尾での攻撃をガードした。
    当然、人間の盾など防御にもならなかった。僕の左腕は枝を踏むような音とともに粉砕した。


    カネキ「〜〜〜ッッッ!?!」


    痛い。痛い痛い痛い痛いイタイイタイ遺体居たい板井イタイ衣帯イタイ痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い。
    激痛が全身を駆け巡る。しかも、最悪なことに、持って行かれたのは腕だけではなかった。

    カネキ「ぁっ……」



    携帯落とした……


    コトッ……コロンコロン……



    カネキ「(は、早く拾わないと!)」




    『◯◯◯店の近くの路地……ですか……すみません、もう少し詳しく教えていただけ』

    喰種「ウルセェ!」

    バキィッ!


    カネキ「!」


    喰種「フッ、残念だったな。これでもう捜査官は来ない」


    カネキ「フッ」

    喰種「なに?」


    カネキ「フフッ、フフフハハハハハハハッ!!」

    喰種「トチ狂ったかクソガキ!?」


    カネキ「……何言ってるんですか?」


    喰種「ア?」


    カネキ「確かに話の途中でしたが……場所などの大事な事は教えることが出来ました……なので捜査官が絶対来ないとは言いきれませんね(もちろん強がりだ)」



    喰種「……それで?」


    カネキ「はい?」

    喰種「さっきはCCGに連絡されて焦ったが、冷静に考えれば……捜査官が来るとしても、ここまで来るには少し時間がかかる。お前を喰って、捜査官が来る前にさっさとこの場からずらかればいい」


    カネキ「(脳筋が冷静に分析をしてるんじゃない!)……僕がそれをさせるとでも?」


    喰種「フン、捜査官が来るまでねばるのか?やめておけ、お前じゃ俺には勝てねぇ」


    カネキ「……勝てますよ」


    喰種「やめておけ」


    カネキ「フフフフフッ! 僕になにも手が無いとでも!?……そう思った時点であなたの負けだ、僕にはまだ」


    喰種「やめておけ。死期が早まるだけだ」


    カネキ「……。」


    喰種「あぁ、そういえば、殺す前に気になっていたことがある。お前なんでこの場所がわかった?ただ闇雲に走っていただけのはずだが?」


    話してやる義理など微塵も無いのだが、少しでも時間稼ぎになるのなら、話すべきだ。そう思い立った僕はできるだけゆっくりと語り始めた。


    カネキ「………僕は結構、記憶力がいいんですよ(どうでもいい事はすぐ忘れるらしいけど)。僕は家に帰る途中、近道を通ろうとして、人気のない路地に入った。
    そしてあなたと遭遇し、逃走劇が始まった。その時僕は左折したのを覚えています。そのあとに、右、左、どっちに曲がったのかも覚えている。さらに月の位置から方位を調べ、よくよく考えた結果、僕は近道の場所から見て、ほぼ真っ直ぐ左の方にいると推測しました。それと、あなたから逃げてる時に僕はおよそ5キロほど走った……つまり僕は、あの近道の場所から左へ5キロ進んだ地点にいると推察したんです。実際会っているか定かではありませんけどね」
  12. 34 : : 2015/03/12(木) 02:10:00


    喰種「なるほど……その5キロ先のところには、電話で言っていた◯◯◯店があるってわけだな」


    カネキ「そうですね…」

    喰種「へえ……気になってたこともわかってスッキリしたし、もうお前にようは……ねぇ!」

    カネキ「……殺しますか?」


    喰種「あぁ、死ね────!」



    カネキ「…!」サ サ ッ!


    ド ガ ン ッ ! !


    喰種「…あの距離でよくかわしたじゃねぇか…」


    カネキ「……少しかすりましたが」




    喰種「そのまま、捜査官が来るまで攻撃を躱し続ける気か?…けっ!いつまで続くかなぁっ!!」ブォンッ!!


    カネキ「!」サッ!サッ!


    喰種「おらおらァアッ!!」


    カネキ「ッ!」フイッ、フイッ



    人間は身体能力で完全に喰種に劣っている。普通の人間が今の状況で生き延びるのは至難のわざ。……だけど、僕の身体能力は喰種と比べても比較的 劣っていない!だから、倒す事は無理でも攻撃を躱し続ける事は出来る!


    喰種「ちょこまか動きやがって!」ブンッ!



    カネキ「」スイッ


    カネキ「僕の番だ」ブンッ!


    ド ツ ッ !


    カネキ「(やっぱり硬いな)」

    喰種「そんなショボいパンチで倒せると思ってんのか!?ナメんなっ!!」ヒュンッ!


    カネキ「おっと!」


    喰種「チッ!(なんで当たんねぇんだよ!!クソが!)」


    カネキ「…」

    僕の攻撃が効いてないって事はないけど、ほとんどダメージ ゼロだな。僕が喰種を殴るのは、例えるなら……小学生(低学年)が大人を殴る感じ……


    なんで効かないんだろう。皮膚(?)が硬いのか?なら内部からの攻撃は?いや、まずどうやって内部から攻撃するんだよ……うーん……じゃあ、目や口はどうだ?粘膜とかなら効くかもしれない。


    カネキ「試してみようか……」


    カネキ「(どうやって攻撃する?指でブスッとするか?それとも、石か何かを投げて攻撃するか?……出来るだけ接近するのは避けた方がいいな…なら…石を喰種の目ん玉めがけてぶん投げる!)」


    喰種「はぁ?何1人でブツブツ言ってやがる?」


    カネキ「…」キョロ


    カネキ「!(あそこに丁度いい大きさの石があるな)」



    喰種「うラぁぁアッ!!」ブォンッッ!


    カネキ「ッ!クソッ!」タタタ!


    ド ガ ァ ァ ア ア ン ッ !


    カネキ「〜ッ!……危なかった」


    喰種「ケッ!」


    カネキ「あの、その尻尾で攻撃するのやめません?……それ反則だと思うんですよ……」スッ←そっと石に手を伸ばす




    喰種「はぁぁ?誰がやめるか──」


    カネキ「…!」パシッ


    喰種「よ!!」


    カネキ「ふ ッ !!」ビュンッッ!!


    カネキは2㎝ほどの大きさの石を取り、喰種の目へと投げた。



    喰種「なんっ!?」



    グ サッッ!



    カネキ「(どうだ……!)」


    ポ タ ッ、ポ タ ポ タ


    喰種「ッッ!!…」ポタッ


    喰種の目から血が流れていた。


    カネキ「……フ」


    喰種「て、テメェェエ」ビキビキッ
  13. 64 : : 2015/04/01(水) 09:39:15



    カネキ「(……粘膜は弱いのか)」

    喰種「クソ!」ズグズグ…


    傷が……!

    常軌を逸した治癒速度。
    厄介だな。
    もっと甚大なダメージを与えないと。
    小さい石で攻撃するんじゃダメだ。

    喰種「ウオオオオオ!」

    喰種が一直線に猛進してくる。


    カネキ「ほっ !」シュッ


    喰種「そんな突きが当たるかよ」サッ


    喰種「……喰わせてもらうぜッ!!」グ ワ ッ


    カネキ「!?」


    ガ ブ ッ ッ ! !


    カネキ「ぁぐァッ!?」


    喰種「」ムシャムシャ…


    カネキ「……ッ……」ドクドク…


    た、喰べられた……? 肩を……


    喰種「……ゴクン」

    喰種がカッと目を見開いた。
    次いでふるふると震えだす。

    カネキ「……?」



    喰種「うっっっめぇえええええええええええええええええええええええ!!!」

    溜めに溜めて吐いた一声がそれだった。
    眼光炯炯と僕を睥睨する。
    それはさながら、永き空腹からとき放たれた野獣。

    喰種「もっと……! もっと……ッ!!」


    喰種「もっとだぁぁああああああああああああアアァアァアアァァァァァァッ!!」

    ーーーー速いッ⁉︎

    喰種「もっと喰わせろぉォおオおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおッッ!!!!」ブォンッ!!



    ド ゴ ォ!

    カネキ「がッ……」

    骨の軋む音、肋骨から、枝が折れる音がする。


    喰種「オラァッ!!」ブンッ!



    カネキ「」サッ!



    喰種「うらぁっ!!」ブンッ!ブン


    なんだこのヒト!?急に動きが───


    喰種「ククククッ!!」ド ゴ ォッ!



    カネキ「ガはぁっ!…!?」


    カネキ「ッ…ごる……ぽゴホッ……」


    喰種「おらよっ!!」ド カ ッ!!


    カネキ「ぐ…っ!」



    喰種「ふっ!おらぁっ!」バキッ!ドゴッ!



    カネキ「がッ!…ああッ!ぐッ!?」


    喰種「ククククァッ」ドカッ!バキッ!ボゴッ!


    パワーもスピードも、さっきまでとは段違いだ……いったいどういうカラクリ?
    さっきまでは手を抜いていたのか?
    ……いや、そんな風には見えなかった。



    喰種「クハハハハァ……俺は今からお前を喰う」


    カネキ「だから、喰わせるわけない!」


    喰種「遅いんだよぉォォオ!!」ブォオオォオンッ!!



    カネキ「尻っ尾────……!」



    ド ッ ッ ゴ ォ ォ オ オ オ ンッ ッ!!



    カネキ「…ク…ッ…ソ…」ガクッ…



    ……最悪だ……捜査官は来ないし。
    恨んでもしょうがない、か。
    まだ電話してから、30分も経ってないんだから……。


    カネキ「」バ タ ッ



    喰種「ついに死んだか?ククッ」



    カネキ「し……で……ない」


    喰種「まだ生きてんのかよ。人間のクセにしぶとい奴だぜ」


    喰種「ま、どうせ生きてても動けないだろうけどな。おい?どうだ?ん? 動けるか〜?」げしっげしっ


    カネキ「……ァッ」


    喰種「念には念を、だ。もしも、突然動いて逃げたら面倒だからな……両足折っとくか」

    ごきっ、ばきごきがきっ!


    カネキ「〜〜〜〜ッッ!!」
  14. 65 : : 2015/04/01(水) 09:43:11


    バ キ バ キ バ キ バ キ



    喰種「ククッ」



    カネキ「ぐぁ……ぅ……ハァ…っ!」



    喰種「これでもう動けないな?」



    カネキ「ハァ…ハァ…ッ」


    喰種「さぁ…頂くとしよう…!」



    喰種「まずは…足からだ」ア〜ン



    ガブリッ!



    カネキ「うッ!…ッアアっ!」




    喰種「」クチャクチャ


    喰種「…」ゴクン



    ブワァァァアアァアッ!!



    喰種「これだっ!!この味だ!!今まで喰ってきたどの肉よりも美味いッ!!」



    カネキ「…っ」



    喰種「クックック…」



    喰種「」ガブッ!



    カネキ「ぐぁぁあぁッ!!」



    喰種「…」ピタッ


    カネキ「っ…ぐ…?」



    喰種「…生きたまま喰ってお前の苦しがる顔とか見ようと思ってだが…やっぱ止めだ…叫び声うるせぇし…殺して喰う事にするわ…」



    カネキ「…マジ…ですか…(死が早まった…叫ばなきゃよかった…ま、痛いんだから仕方ない…ははっ……)」




    喰種「ククッ…何か…言い残すことでもあるか…?…聞いてやるよ」



    カネキ「…」フッ




    カネキ「…いえ、なにも?」



    喰種「あっそ」シ ュ ッ ! !




    カネキ「ッ!(殺られる…!!)」




    ────── そ の 時




    パ ン ッ !





    銃声が鳴った。




    喰種「ぐああッ!?」



    カネキ「!!」



    カネキ「(な、なんだ?…銃声…?…もしかして……いや…だとしたら予想以上に…..早い…!!)」



    銃声が鳴った方から、30歳くらいの男性が2人こっちへ走って来た。




    捜査官A「!…だ、大丈夫か!君!』



    カネキ「!…あ…はい…なんとか(ラッキーだ!…助かった。捜査官!来てくれてありがとうございます!)」


    カネキ「で、でも…早かったですね」


    捜査官A「?なにがだ?」



    カネキ「え?だって連絡を受けて助けに来てくれたんじゃ……?」


    捜査官B「…いいや…我々は路地を歩いていたら、大きな音が聞こえたから来たんだ…」



    カネキ「大きな音?(!…あぁ…なるほど…あの尻尾での攻撃か…どちらにせよ、助かった!)」


    喰種「…チッ…クソッ」スッ←マスク




    捜査官B「!…あのマスク…!」
  15. 66 : : 2015/04/01(水) 09:57:54


    捜査官B「B+レート喰種『黒熊』だ!」


    カネキ「(B+レート? 黒熊? ……なんだろう)」



    捜査官A「B+だと……っ」


    カネキ「(B+……もしかして喰種の危険度?ならB+は強いのか?
    もし、A、B、Cのランクがあるのなら、Aが一番強いはず。僕が戦ってあの黒熊とかいう奴はB+レートということは、B以上A未満ってところだろうか?仮にそうだと仮定すれば、僕はけっこう戦えた方じゃないか?というか"黒熊"って、黒い熊のマスクをしてるから黒熊なのかな? 安直だなぁ、はは)」


    ってそんな事よりも知りたいことがあったんだ。喰種捜査官はどうやって喰種を倒してるのか……身体を改造して身体能力を上げてるのか?
    いいや、身体能力だけでは勝てない。
    喰種に普通の攻撃は通用しないから。
    やはり謎である。
    まぁ、答えはすぐにでるだろう。
    僕は捜査官たちを見やる。

    捜査官A「くっ、我々2人でこのレートの喰種を仕留めきれるか……⁉︎」


    カネキ「(んん?)」


    カネキ「あ、あの……」


    捜査官A「ん?……ど、どうした?」


    カネキ「僕、助かるんですよね?」

    捜査官A「…………」

    カネキ「(ええええぇえぇ⁉︎)」


    捜査官B「……こんなことを言いたくはないが、我々は本局の人間ではないので、喰種の戦闘には馴れていないんだ」


    捜査官B「だが、大丈夫。我々が必ずあの喰種を駆逐する!」



    カネキ「そ、そうですか」

    大丈夫だよね?
    捜査官の威勢に半信半疑で返事をする。

    黒熊がフッと嘲笑した。


    喰種(黒熊)「残念だったな、ガキィ! そいつらは"箱持ち"じゃねぇ」


    カネキ「箱持ち……?」


    捜査官A「……たしかに『クインケ』は持ち合わせていないが、なにも貴様らを葬れる道具はそれだけじゃないんだよ!」

    カチャッと腰から拳銃を引き抜く。


    捜査官B「ーー!」カチャッ

    隣の捜査官も同様に構える。


    喰種「!」

    カネキ「(銃……!なるほど、銃弾なら喰種の肉体をも穿つことができるのか)」


    喰種「ヘッ、合点。さっきはその銃で攻撃したのか!どうやらただの銃じゃねぇようだな」


    捜査官A「当然だ。我々、CCGは『Qバレット』と呼ばれる銃弾を使う。これには溶かした赫子が練り込んであるのさ。……貴様らと戦えるようにな!」

    言葉尻を張り上げ、捜査官は銃の引き金を引いた。

    喰種「しゃらくせぇ!」

    しかし黒熊は高速の銃弾を意に介せず、やすやすと掻い潜る。


    喰種(黒熊)「ウォラァッ!」ドカッ!


    黒熊は捜査官Aの腕ごと銃を蹴り飛ばし……その丸太のごときな赫子で捜査官Aの腹にトンネルを作った。

    捜査官A「ぐあゆはをおぉおっ!!」


    カネキ「な……!」


    捜査官B「捜査官Aェェエエ───ッッ!」
  16. 67 : : 2015/04/01(水) 09:59:18


    捜査官A「…ぐ…ぉ…ぁ」



    カネキ「ッ…(あんな太い尻尾で貫かれたんだ…あの人はもう……)」



    喰種(黒熊)「おらぁ!よそ見すんな!」ドガッ!



    捜査官B「ぐあっ!?」



    捜査官B「くっ…!」


    捜査官B「くそぉっ!!」バンッ!バンッ!バンッ!


    喰種(黒熊)「ククッ!全然当たんねぇなぁ!」サッサッサッサッ





    カネキ「く…(せっかく捜査官が来て安心したと思ったら…全然戦えてないじゃないか…!…このままじゃ、僕も、あの、捜査官も死ぬ…!)」




    カネキ「くそ…どうすれば…なにか…なにか無いのか!」


    カネキ「…!」チラッ



    カネキ「!」


    カネキ「これは…!」










    喰種(黒熊)「クククッ」



    捜査官B「くそぉ!くそぉ!!当たれ!!!」バンッ!バンッ!バンッ!バンッ!



    喰種(黒熊)「…ククッ」ダッ!



    捜査官B「うおおおお!!」パンッ!バンッ!パァンッ!



    捜査官B「うおおおおおお…」カチッ…カチッカチッ!



    捜査官B「そんな…嘘だろ!弾切れ……!?」



    喰種(黒熊)「終わりだな。」ヌッ!


    捜査官B「!?」


    喰種(黒熊)「フッ!」ズ パ ン ッ!




    捜査官B「ぁ……」バタッ…




    喰種(黒熊)「ったくよ…せっかく食事中だったってのに…とんだ邪魔が入ったもんだぜ。」


    捜査官B「」


    喰種(黒熊)「…フン…」スッ…グチャグチャ…


    喰種(黒熊)「…」ガブッ



    喰種(黒熊)「!ペッ!?……げぇ……やっぱ、あのガキ喰った後じゃクソまずく感じるぜ…」



    喰種(黒熊)「さて、食事を再開するか…」スタスタ






    カネキ「…」



    喰種(黒熊)「おい…?」



    カネキ「…」


    喰種(黒熊)「痛みで気を失ってんのか?…まぁ、無理もねぇか?…」



    喰種(黒熊)「気を失ってんだ。これで、痛みを感じずに死ねるぜ…ククッ、良かったなぁ。」




    喰種(黒熊)「じゃあ、また……いただきまーす…!」ア〜ンッ




    「死ぬのは、あなたです。」




    カ チ ャ ッ !






    喰種(黒熊)「……ア??」








    パ ァン!パ ァァ ン!パァァンッ!!






    カネキ「油断大敵……ですね。僕が気を失ってると思い込んで油断しているからこうなるんですよ。…あ、あと…右腕も折っておくべきでしたね…」




    喰種(黒熊)「…な…なんで……お前…が…じゅう……を……」



    カネキ「あれ?!…まだ生きてる…心臓とか頭を何発か撃ったのに…」



    喰種(黒熊)「…く……そ」



    カネキ「あぁ…なんで銃をもってるかですね…これはあなたがくれたんですよ…」


    喰種(黒熊)「…!?」


    カネキ「貴方があの時、捜査官(A)の銃を蹴り飛ばしましたよね…それで、その蹴り飛ばした銃が運良く、僕のところに転がってきたんですよ…」




    喰種(黒熊)「ち…く……しょ…」




    カネキ「さようなら」カチャ






    パ ァ ァ ァ ン ッ !






    喰種(黒熊)「」



    カネキ「…ッ…ふ〜…やった…倒したぞ…。…喰種を……!!」



    カネキ「!…ぁ…ヤバ…本当に気を失いそう…ッ…(両足骨折、左腕はもう、骨がバラバラに、あばらが数本…そして 肉も少し喰われたし…血も結構でてる。…これ…治るのにどれくらいかかるの!?)…いや、それよりも……このまま誰も来ないで、大ケガした状態でずっと寝てたら、僕死ぬんじゃ…?………」


    カネキ「チッ!くそ…携帯さえ壊れてなければ…!……!痛ッ…ぅ…ちょっと動くだけでも激痛が…」



    カネキ「…ッ…」



    カネキ「あぁー……」



    カネキ「……もぅ…ダメだ…」スーッ







    僕の意識はここで途絶えた。





  17. 91 : : 2015/04/15(水) 22:40:51



    カネキ「…」スー スー


    カネキ「…う…ん…?」



    目が覚めると、僕は病院のベッドで寝ていた。



    カネキ「…ここは…?」


    カネキ「…!!…痛ッツ…」ズキッ



    僕の腕と足にはギプスがはめてあり、顔などには絆創膏やガーゼがあった。





    カネキ「……あぁ、そういえば僕…あの時 意識を失って…..ここは、病院?…どこの病院だろう…?」



    コンッ コンッ



    カネキ「ん…?」



    ガ ラ ガ ラ ガ ラ〜〜



    カネキ「…?(誰か来た?)」


    カネキ「…!」



    嘉納「おや?…目が覚めたのかい。カネキくん。」


    カネキ「あ、はい…」



    カネキ「あ、あの…?」


    嘉納「あぁ、自己紹介がまだだったね。私はこの病院で働いてる嘉納という者だよ。」



    カネキ「…はぁ、どうも…(嘉納?…ってことは、ここは嘉納総合病院…?)」


    嘉納「それにしても、カネキくん…大変だったようだね。"喰種"に襲われたんだって?…」



    カネキ「あ、はい。…はは…」



    嘉納「君が病院に運ばれてきた時はビックリしたよ。左腕の骨はバラバラで、両足も骨折、肋骨も何本か折れてて、おまけに肉も少しカジられてたからね。」


    カネキ「あはは……」



    カネキ「あ、コレ、治るのにどのくらいかかります?」



    嘉納「そうだねぇ…全治3ヶ月以上はかかるかも知れないね…」



    カネキ「げぇ……学校とかあるのに……」


    嘉納「はは…もう少し良くなるまで休むしかないよ。しばらくは安静にしておかないとね。」



    カネキ「…はい。」




    嘉納「じゃあ、私はもう行くよ。何かあったら看護師に言うといい。」ガタッ


    カネキ「あー、あの、すいません。一ついいですか?」


    嘉納「ん?なにかね?」



    カネキ「誰がここ…病院まで僕を運んで来てくれたんですか?」



    嘉納「誰がって…救急車だよ。救急車を呼んだのは、捜査官の人達だと思うよ」


    カネキ「!…捜査官…?(もしかして、電話で呼んだ捜査官が…?)」



    嘉納「あぁ、捜査官と言えば、後で捜査官の人ががここに訪ねてくると言っていたよ。」


    カネキ「え?」
  18. 92 : : 2015/04/15(水) 22:45:42


    嘉納「それじゃあ」スタスタ




    ガラガラー



    カネキ「捜査官…何しに?…喰種に襲われたから…事情聴取とかだろうか?…」




    カネキ「はぁ…暇だな……」



    カネキ「なんか、本とか無いのかな…」


    カネキ「聞いてみるか…」ポチッ←ナースコール




    〜〜〜〜〜〜数分後〜〜〜〜〜〜〜



    コンコン コンコン



    「カネキ君?入りますよー」



    ガラガラガラーー



    カネキ「あ、どうも」



    看護師「どうしましたか?」



    カネキ「あー、ちょっと暇だったので…何か本とか無いのかなって…」


    看護師「本ですか?…本ならありますけど…」


    カネキ「あぁ、じゃあ、何でもいいので、何冊かもってきてもらってもいいですかね…?」



    看護師「はい。わかりました。」



    カネキ「あはは…どうも」


    看護師「じゃあ、少し待っててくださいね。」


    カネキ「はい」




    カネキ「はぁ、ほんと暇だぁ…」




    〜〜〜〜 その頃、学校は 〜〜〜〜





    ワ イ ワ イ ガ ヤ ガ ヤ



    ヒデ「…」


    ヒデ「(あれぇ?…おっかしいな…カネキの奴まだ来てない…)」



    ヒデ「(早く来ねえともうすぐで先生来ちまうぞ….)」



    ガラララ─────!


    ヒデ「あ…先生来た…」



    先生「おぉーし、みんな来てるなー」


    ヒデ「あ、あのー!先生ー!」



    先生「ん?どうした永近?」


    ヒデ「金木がまだ来てないんすけど…」


    先生「あぁ….その件で皆に伝えなければいけないことがある。」



    ザワザワ ザワザワ



    「なんだろうね?」


    「さあ?」




    先生「金木は昨日、喰種に襲われた。」



    一同「!?」



    ヒデ「ブ───ッ!?」



    ヒデ「ぐ、喰種!?」



    「まじかよ」


    「喰種って本当にいたんだ…」



    先生「喰種に襲われ、大怪我を負ったため、長い間学校を休む事になる。…皆も喰種には気をつけるんだぞ。それと…後で、友達はお見舞いに行ってあげなさい。」


    一同「はーい」



    先生「それと、最後にもう一つ…金木は喰種に襲われ…精神的なダメージも負っている。…なので、金木が帰って来た時、金木に喰種の事を聞かないように。わかったか!」


    一同「…はーい」



    ヒデ「…ッ!」ガタッ!



    ヒデ「クソッ!」タッタッタッ!!



    先生「お、おい!永近?!どこへ行く!!戻ってこぉぉい!!」



    ヒデ「…ッ!」タッタッタッ!


    ヒデ「カネキ…ッ!!」


    ───────────────────────



    ドドドドドドドッ!



    カネキ「!な、なんだなんだ!?」




    「カァーーネェーーキィーー!!」






    カネキ「!?……こ、この声は…ヒデ…?」




    ガシャァンッッ!!

  19. 93 : : 2015/04/15(水) 22:57:11



    ヒデ「で?来てみると…………なにコレぇ?!」



    カネキ「やあヒデっ…お見舞いに来てくれたの?あ、学校は?サボったの?あははっ」


    ヒデ「…『あはは』じゃねぇよッ!なに⁉︎なんなの!ピンピンしてんじゃん!元気じゃん!精神的なダメージとか負ってねえじゃんっ!」



    カネキ「へ?なに?精神的なダメージ?」


    ヒデ「…っ…先生が言ってたぞ…精神的なダメージがって……」


    カネキ「あっはっはっ!そんなのぜんぜんだよ…僕、さっきまでずっと寝てたからね。たぶん、病院の人が僕が目覚めたら精神的なダメージ?をおってるかもとか思って言ったんじゃない?」


    ヒデ「はぁ〜…んっだよそれ!心配して損したぜ……」


    カネキ「よし、ヒデも来てくれた事だし…本買ってきてくれたまえ」


    ヒデ「パシんなよ!」


    カネキ「はぁ〜…ごめんごめん…でも暇だなぁ…!!」


    ヒデ「ん?」


    カネキ「病院抜けだそっか!」


    ヒデ「はあ?やめとけよ…ってか動けんのかよ…」


    カネキ「まぁ…車椅子使えばなんとか」


    ヒデ「車椅子!?お前どんな怪我したんだよ!」


    カネキ「見ればわかるでしょ?両足とか左腕とか骨折しちゃったんだよ…」ハァ


    ヒデ「あぁ、ほんとだ…」


    カネキ「まぁ、そんな事どうでもいいからさ、早く車椅子持ってきてよ!」


    ヒデ「断る!病院の先生に怒られるぞ?」


    カネキ「もー!お願いだって!ね!」


    ヒデ「…」


    カネキ「…(>_<)」


    ヒデ「…だめだ!」


    カネキ「(;_;)…」シクシク




    ヒデ「だぁーー!もう!!…わかったよ。」スタスタ







    ヒデ「おーい、もってきたぞ〜」ゴロゴロ〜


    カネキ「ありがとう…ちょっと乗せてくれない?」


    ヒデ「まったく…世話がやけるな…」ヨイショ


    カネキ「あ、慎重にね!特に左腕。」


    ヒデ「あ、おう…!」ソーッ




    カネキ「よし!ありがとヒデ!」ポスッ


    ヒデ「へいへい…」


    カネキ「どっか行こうか」


    ヒデ「どこにだよ……」


    カネキ「じゃあ昨日いった喫茶店!」


    ヒデ「おう」



    カネキ「あ、ヒデ車椅子押してね」


    ヒデ「ったく!なんなんだよお前ッ!」


    カネキ「あははは」


    ヒデ「何笑ってやがんだよ…」ゴロゴロ


    カネキ「あ、病院の人に見つからないようにね」


    ヒデ「わかってるよ」ゴロゴロ










    ヒデ「はぁ…やっと病院抜け出せたぜ…超ヒヤヒヤした…こりゃ戻る時も大変そうだな…」ゴロゴロ〜



    カネキ「ははっ」


    ヒデ「まったく、人事だと思って…」





    カネキ「よし!じゃあ「あんていく」に着くまで暇だろうから…僕と喰種との壮絶な戦いの話をしてあげるよ!」


    ヒデ「ほーぅ、それは中々興味が……って…」


    カネキ「ん?」


    ヒデ「なーにが壮絶な戦いだよ!…ただボコられて大怪我しただけだろうが!…ったく」


    カネキ「ええ?、違うよ?喰種倒したの僕だよ。」



    ヒデ「…」


    カネキ「…?」



    ヒデ「……はぁ…強がんなくていいって…わかってるから。」


    カネキ「何をわかってるんだよ…僕が倒したってば!捜査官来たけどすぐ殺されちゃったもん…(ぅ…なんか思い出したらちょっと気持ち悪く)……」


    ヒデ「…ふ〜ん」


    カネキ「…はぁ…まぁ僕の話を聞いてよ」


    ヒデ「はいはい…」ゴロゴロ




    〜〜〜〜【その頃病院は】〜〜〜〜



    看護師「カネキくん。本持ってきましたよ〜」コンコンッ



    し 〜 〜 〜 ん…


    看護師「?…カネキくーん?」コンッコンッ



    しーーーーーーん



    看護師「もぅ…寝てるのかしら?…入るわよー?」ガララッ




    看護師「…え?」ドサ バサッ バサッ←本落とす



    看護師「せ…せ…ん」


    看護師「せ、せ、せ、先生ーーーーーーッ!!!カネキ君が!!!」



    嘉納「ど、どうしたのかね!?」タッタッタッ


    看護師「嘉納先生!!カネキ君が!カネキ君が!!!…カネキ君が居ませんッ!!」







    ────【あんていく】─────




    カラン カラン



    トーカ「…いらっしゃいませ。」


    「コーヒーひとつ」


    トーカ「.…コーヒーひとつですね…」


    「あー、こっち、コーヒーおかわりでー!」


    芳村「かしこまりました。」


  20. 94 : : 2015/04/15(水) 23:15:07

    ───────────────────────





    カネキ「それでね、最初は喰種を素手で倒そうと思ってたんだけどさ、全然効かなくて……」


    ヒデ「……お前がそこまでおバカだったとは……」


    カネキ「はは……心外だな。まぁ結局、無理だとわかったから諦めたんだよ」


    ヒデ「そりゃそうだ…」ゴロゴロ〜



    ヒデ「あ、もうすぐで着くぞ」



    カネキ「あ、うん。あ、それとね、人間度同様に喰種も粘膜は弱いんだって」


    ヒデ「粘膜? 目とかか? 」

    カネキ「うん」


    ヒデ「…っと……「あんていく」ついた、けど」ピタッ


    カネキ「ん?……あ」




    ヒデ「……どうやってこの階段上がるよ?」


    カネキ「じゃあ、ヒデ…僕をおぶってよ」


    ヒデ「お、おう。(こえぇ…こけたらどうしよう……)」


    ヒデ「…よ、よし、ほら乗れっ!」


    カネキ「じゃあよろしく」


    ヒデ「くっ…ぐぉ!」ズッシリ


    カネキ「重い?」


    ヒデ「まぁまぁ、だな」


    ヒデ「上るぞ…!」


    カネキ「うん…頑張ってね〜」


    ヒデ「他人事だからって呑気に言ってんな!…ッ」のそのそ



    カネキ「…」


    ヒデ「ッ…うおお!」ノソ…


    カネキ「ヒデ遅いなぁ…ほら!もっと頑張って!」ビシバシッ


    ヒデ「いややや無理だっつーの!」









    トーカ「……はぁ」


    芳村「悪いねトーカちゃん…今日も働かせちゃって…」


    トーカ「…いえ…」






    カ ラ ンッ



    芳村・トーカ「…!」





    カネキ「いいねヒデ、このコーヒーの薫り」


    ヒデ「ああ、そうだな…(疲れた。)」




    芳村「……いらっしゃいませ。」


    カネキ「はは…どうもです。」



    トーカ「⁉︎…(な、なんだあの体……包帯だらけじゃん……。あのあと事故にでもあったか?)」




    芳村「今日は……すごい格好をしているね……もしかして事故かな? 」


    カネキ「そうなんですよ、店長。聞いてください。僕、昨日家に帰る途中………」



    ヒデ「あ、カプチーノお願いね ♪ トーカちゃん!あと、珈琲も」


    トーカ「は、はい……」



    カネキ「……それでですね店長…僕、家に帰る途中……」




    カネキ「『喰 種 』 に遭っちゃったんですよ……!」


    芳村「……」


    トーカ「!?」



    芳村「ほ、ほんとうかい?」


    カネキ「ええ、ええ…本当ですよ、まったく。そのせいでこんな体になっちゃったんです」


    芳村「なるほど……」


    トーカ「(…なんで生きてんだ?)」



    ヒデ「ねぇねぇ、トーカちゃん!こいつさぁ、自分が喰種を倒したとか言ってんだけどどう思う?」


    トーカ「はぁ…?」


    芳村「……はは」


    カネキ「ヒデ!まだ信じてないのかよ! 本当に僕が倒したんだって」


    ヒデ「へー…」


    カネキ「いい加減信じてよ…倒したんだよ?銃でバーンってね」


    ヒデ「銃?」


    カネキ「うん。捜査官が持ってた銃」


    ヒデ「へ〜」


    トーカ「(ただの人間が喰種に勝てるわけないって…)」


    トーカ「カプチーノと珈琲です、どうぞ…」


    ヒデ「おっ!ありがとっ、ほらカネキ」


    カネキ「ああ、うん。」


    カネキ「…ふむ」ジー


    トーカ「……」ジリ…


    カネキ「そういえば、君、ここで働いてるのかな? ……この喫茶店って中学生でも働けるんですか?」


    芳村「いいや……私と彼女の両親は友人なんだけどね」


    トーカ「…」



    芳村「人出が足りないとき、たまにトーカちゃんにこうして、店のお手伝いをしてもらっているんだ」


    カネキ「なるほど。(というか、この時間は学校に行ってるはずだけど……もしかして学校行ってないのかな? )」



    カネキ「…ッ…⁉︎」ピリッ


    芳村「どうかしたのかい?」


    カネキ「ああ、いえ…ちょっと腕が痛くなっただけですよ」


    芳村「…そう。早く治るといいね」


    カネキ「はい。ありがとうございます」



    カネキ「珈琲いただきます」


    カネキ「…やっぱり他とは違いますね、ここの珈琲」


  21. 95 : : 2015/04/15(水) 23:17:52

    その頃、病院は───────


    嘉納「まったく、一体どこへ行ったんだカネキ君は!」


    看護師「病院はほとんど探してみましたがどこにもいません!おそらく、外に」


    嘉納「はぁ……安静にしておかないと早く治らないぞ、カネキくん」




    「あの、すみません」


    嘉納「はい……(……!)」


    「私達はこういう者です」


    嘉納「あぁ、……捜査官の」


    「ええ…それで、さっき金木研君の病室に出向いたのですが誰もいなかったので……どこにいるんでしょうかねぇ?」


    嘉納「その実は彼、今病院を抜け出していまして……」



    「クックックッ。どうやら、元気な子のようですねぇ。普通、喰種に襲われた人は精神的なダメージを負ったりするものですが」


    「真戸さん、居ないのであればまた明日来ましょう」



    真戸「そうだね亜門くん。では先生、また明日来ますので、次は逃さないようお願いしますよ。行こうか亜門くん」スタスタ


    嘉納「ははは……わかっていますよ」



    亜門「それでは」


    嘉納「えぇ、」








    亜門「真戸さん」タッタッタッ


    真戸「……彼、金木研君には聞かなければいけない事がある」


    亜門「はい」


    真戸「あの時──」


    〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



    カネキ「……もぅ…ダメだ…」スーッ



    カネキの意識がなくなって数十分後……





    タッタッタッタッタッタッ



    真戸『ふむ…連絡では◯◯◯店の路地の奥だと言っていたそうだが……誰もおらんな』




    亜門『真戸さんっ! こっちで人が4人倒れています!!』



    真戸『ふむ、そうか』スタスタ






    捜査官A『 』


    捜査官B『 』



    亜門『捜査官2人は死亡して間もないようです……それとこいつは』


    黒熊『 』


    真戸『我々が20区に来てから追っていた、黒熊か』



    亜門『ええ……こいつも死んでいます』



    亜門『そして、最後にこの少年。この子は気を失っているだけのようです』


    真戸『…』スッ


    カネキ『……』


    真戸『恐らく手足が折れているな……。それにこの右手に持っている銃。これはCCGの物で間違いない』

    亜門『……真戸さん?』

    真戸『……』


    〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜




    真戸「亜門くん」


    亜門「はい」


    真戸「もしかしたら、あの喰種(黒熊)を殺したのは金木研かもしれない」


    亜門「……そんな事ありえるのでしょうか? ただの中学生がAレート近い喰種を殺したなど」


    真戸「クククッ……さァね。だが事実なら『ただの中学生』は語弊になる」


    真戸「いずれにしても、明日わかることだよ」



    ──────────────
    ─────────



    カネキ「…」ゴクゴク


    カネキ「よし。ごちそうさまでした。ヒデー…もうソロソロ戻った方がいいと思うから…行こうか。」

    ヒデ「あ、おう。じゃあ、またねートーカちゃんっ、ああ、お金ここに置いときます。」チャリン


    トーカ「…は、はは」


    ヒデ「よし、カネキ…乗れ」


    カネキ「うん」ヨイショ


    ヒデ「よし。」スタスタ



    カネキ「じゃあ、また今度来ますねー」



    芳村「ふふ…」



    カランカラン


    そう言って、カネキとヒデは「あんていく」を出た。



    「ヤッホー…上りはキツイが下りは楽だな」


    「ちょっと、ヒデ…転けないでよ?」


    「あったりまえよー!」
  22. 109 : : 2015/04/23(木) 11:58:54


    トーカ「…」


    芳村「…ふむ…」


    トーカ「…?…どうしたんすか?」


    芳村「いや…今日、(喰種の)お客さんが仲間が何者かに殺されたと…いっていてね……」


    トーカ「……その殺した奴があの白髪だとでも?……そんなわけないでしょ…どうせあの白髪の言っていたことなんて嘘に決まってる…」



    芳村「……そうだね…」


    トーカ「…」



    芳村「ああ、それと言い忘れてたけど トーカちゃん」


    トーカ「…?」



    芳村「捜査官が2人…ウチの区来ているみたいだから…」


    トーカ「"白鳩"(ハト)が…!」


    芳村「うん。だから気を付けてね。」


    トーカ「…はい。」


    トーカ「……あれ、じゃあ、客の仲間の喰種殺したのって白髪野郎じゃなくて白鳩なんじゃ…?」


    芳村「…確かに…その可能性の方が高いかもね。」


    トーカ「…」

    ──────────────────────



    ヒデ「よし、もうまっすぐ病院戻っていいか?それとも、どっか行くとこあるか?」


    カネキ「いや、戻っていいよ」


    ヒデ「オッケー。」ゴロゴロ〜


    カネキ「そういえば、まだ昼前だけど、学校どうするの?」


    ヒデ「あ〜…」


    ヒデ「…これはヤバイな!」


    学校に戻る=先生に怒られる。

    家に帰ったら=親に怒られる。(学校から連絡来てるだろうから)




    ヒデ「うああああああ!!どうやっても怒られる道しかないんだけど!」


    カネキ「ご愁傷様ですー」



    ヒデ「くそぉ…!」


    カネキ「ヒデは必ず二度怒られるね」


    ヒデ「へ?」


    カネキ「今、学校戻ったら。先生に怒られるでしょ?。
    そして、学校終わって家に帰ってまた怒られる(母親に)。
    連絡いってるだろうから。」


    ヒデ「…」


    カネキ「そして、それが逆でも同じ…もし今、家に帰ったら親(母親)に怒られる。
    で、明日学校行ったら先生に怒られる。」


    ヒデ「……」




    ヒデ「クソォぉオ────ッ!!」



    ────────────────────────



    ヒデ「うぅ、最悪だぁ〜」ゴロゴロ〜



    カネキ「あ、やっぱり飲み物買いたいから、そこのコンビニ行ってくれないかな」


    ヒデ「あ…おう。てかさっき珈琲飲んだのにまた何か飲むのか。」ゴロゴロ〜


    カネキ「まあね」




    ヒデ「よし。俺、買ってくるからお前ここで待ってろよ。何がいい?」


    カネキ「う〜ん…じゃあ、コーヒー牛乳」


    ヒデ「了解〜」スタスタ


    カネキ「早くしてね〜」



    ヒデ「ああ〜」




    カネキ「…」


    カネキ「…」ボー


    カネキ「…あぁ〜…早く治らないかなぁ…この体色々不便だし。」



    カネキ「はぁ〜……」



    「おや」



    カネキ「…?」クル



    「…おぉ、明日ではなく今日会う事になるとは。ラッキーだね亜門くん」


    「はい!」



    カネキ「…」


    「金木 研君ですね?。少々お時間いただけますかな?ここは人目が多いので場所を変えて。」


    カネキ「はい(うわぁ…何かこの人怖いなぁ…はは)」



    ───────────────────────




    カネキ「それで…話とはなんですか?」


    「その前に、自己紹介が遅れました。私は喰種捜査官の…真戸という者だ。もう一人は私のパートナーの亜門くん。よろしく」


    亜門「よろしくお願いします。」ビシッ


    カネキ「喰種捜査官…!」

    ────────────────
    ────




    ウィ───ン



    ヒデ「おう!カネキ待たせたな!…って…あれ?カネキ?…」



    ヒデ「ッ…!」



    ヒデ「アイツ!…どこに…っ…!」ダッ!
  23. 110 : : 2015/04/23(木) 12:02:42




    カネキ「あっ!もしかして、僕が電話で助けを呼んでから来てくれた人達ですか?あれ?違います?」



    亜門「…(この少年…喰種に襲われたのに、まるで何事も無かったかのような顔をしている……)」


    真戸「いやいや。あっているよ。だが、我々が駆けつけた時にはもう終わっていたがね。」


    カネキ「はぁ…それで、救急車を呼んでくれたのもあなた方ですか?」


    真戸「ああ」


    カネキ「どうも、ありがとうございます。」


    真戸「なに、当然の事をしたまでだよ。」



    真戸「それでは本題に入ろう」



    カネキ「はいはい。事情聴取とかですか?」



    真戸「……」



    真戸「単刀直入に言おう。」




    カネキ「…!」



    真戸「あの喰種(黒熊)を殺したのは…….」




    真戸「君ですかな?」








    真戸「…金木 研くん。」




    カネキ「……なにを根拠にそんな事を?」



    亜門「…」





    真戸「 勘だよ 。」




    カネキ「…」



    カネキ「あ、あぁ…勘ですか。そ、そうデスか…」



    カネキ「って…勘って…ふざけてるんですか?…そんものなんの根拠にも…」


    真戸「いや?…ふざけてなどいない。なんなら、ほかにも……そうだな…君が銃を持っていたことなど……あとは〜…」



    カネキ「…」



    真戸「……」


    カネキ「…」





    真戸「最後にもう一度だけ。」






    真戸「喰種を殺したのは…君だろう?どうなのだね?」




    カネキ「はぁ〜……(んー、別に隠す必要なんてないか…)」





    カネキ「はい…確かに。」





    カネキ「僕が喰種を撃ち殺しました。」




    亜門「!」



    真戸「フッ…」




    カネキ「…ていうか、こんなの聞き出して一体どうするって言うんですか?…喰種を殺せたのだってマグレですよ〜」



    真戸「マグレで喰種は殺せないよ」



    カネキ「…」



    真戸「金木君。将来、喰種捜査官にならないか?」

    亜門「!…真戸さん…本気ですか!」


    真戸「あぁ」



    カネキ「はい?喰種捜査官に…?」


    真戸「そうだ…君ならきっといい捜査官になれる。」


    真戸「もちろん、無理にとは言わん…」


    カネキ「というか…喰種捜査官ってそんな簡単になれるものなんですか?」


    真戸「いや、簡単にはなれないだろうねぇ」


    真戸「喰種捜査官になるには、まずアカデミー(喰種捜査官養成学校)からだ。」


    カネキ「アカデミー?」


    亜門「…アカデミーとは、肉体強化を強化する為の訓練や、喰種について詳しく学んだりする場所だよ…」



    カネキ「…なんか、面倒くさそうですねー……」



    亜門「はは…」



    カネキ「それって、大人になってからじゃないとダメなんですか?」



    亜門「そうだな…」


    カネキ「ですよねー……」



    真戸「あぁ、…アカデミーじゃなくても…アカデミージュニアというとのもある…」



    カネキ「…ジュニア?」


    真戸「あぁ、簡単に言えば、そこは子供が行くところだよ……基本は、両親を喰種に殺され、引き取り手が居ない場合など、に入る。」



    カネキ「なるほど…」




    カネキ「まぁ、はい。考えておきます。」



    真戸「そうか。では、我々はもう行くとしよう。仕事があるのでね。時間取らせて悪かったね…」



    カネキ「いえいえ」



    亜門「では…」タッタッ


    カネキ「はい、頑張ってくださいね〜」アハハハ〜



    カネキ「…」



    カネキ「ふむ……」








    カネキ「喰種捜査官……ねぇ」

  24. 111 : : 2015/04/23(木) 12:23:10



    「うおいっ!!?カネキ!!ゼェーゼェー…」



    カネキ「!、あ…ヒデ。」



    ヒデ「おまっ…なに勝手にどっかいってんだよ!?ホントびっくりしたぞ!」


    カネキ「ごめんごめん。」


    ヒデ「はぁ……で?なにしてたんだよ……こんな人が少ないところで…」


    カネキ「うん?…いや、ちょっと知り合いの人と話してただけ…」


    ヒデ「ふーん…」


    カネキ「それより、ん!」っ


    ヒデ「あ、はいよ」っコーヒー牛乳


    カネキ「ありがと…」キュポッ



    カネキ「…」ズズズ



    カネキ「んー…おいしいね」ゴクゴク



    ヒデ「あー…飲み物も買ったし、もう病院戻っていいな?」



    カネキ「うん」



    ヒデ「よし。」ゴロゴロ〜〜



    カネキ「…」ズズー


    ────────────────────────




    ────【嘉納総合病院】────



    ヒデ「…よぉし…誰もいないな…?」キョロキョロッ


    カネキ「いいから、早く行きなよ」


    ヒデ「いやいや、見つかったら大変だぞ…!」ソーッ




    「あ──ッ!!」


    ヒデ「⁉︎」ビクッ



    カネキ「あ…」



    看護師「もう!!カネキ君!ダメじゃない!病院抜け出しちゃ!」



    カネキ「……だってヒデが無理矢理連れ出して……」



    ヒデ「え…!?」


    看護師「え?…そうなの?」


    カネキ「はい……僕は何度もやめたほうがいいって言ったんですが…車椅子 グイグイ押して外に連れ出されました。」



    ヒデ「?!?」


    看護師「…もう!ダメじゃないですか!!そんな事したら!」


    ヒデ「ええっ⁉︎」


    看護師「今度からはしないでくださいね…!!」


    ヒデ「あ、え、と……はい。すいません(なんで謝ってんの?)」






    看護師「ああ、それとカネキ君…」



    カネキ「はい…?」



    看護師「お母さんが来てたわよ…すっごく心配していたわよ。」




    カネキ「!……ああ。そうですか」




    看護師「じゃあ、私は嘉納先生にカネキ君が見つかったと言いに行くわね…」スタスタ




    カネキ「…」


    ヒデ「…って!カネキ!お前さっきはよくもやってくれたな!…」ゴロゴロ〜



    カネキ「あははっ」



    ヒデ「あははじゃねぇよ!…」ゴロゴロ〜



    カネキ「…」


    ───────────────────────



    【カネキの病室】


    ガラガララ〜〜



    ヒデ「…よしっ!到着ー!」ゴロゴロー

    カネキ「…」



    ガ タ ッ


    カネキ「…!」



    カネキ母「研…!!」



    カネキ「…母さん…」



    カネキ母「よかった…!」ダキッ


    カネキ「…」


    カネキ母「体…大丈夫?…こんなに怪我して…」ポロポロ


    カネキ母「ぐ、喰種に襲われたって聞いて……ッッ!?」


    カネキ「うん…大丈夫…心配してくれてありがとう…。」


    カネキ母「そ、そう……」

    母さんはホッとしたように胸を撫で下ろした。


    なんで…こんなに取り乱してるんだ?…確かに息子が死にそうになったとか…大怪我をしたとか聞いたら取り乱すだろうけど………



    カネキ「僕は、大丈夫だから…母さん、家に帰っていいよ?…仕事で疲れてるでしょ…少し休みなよ…」


    カネキ母「ううん…もう少しここに居るわ…心配だから…」



    カネキ「……そう。」



    カネキ「ちょっと、トイレ行ってくるね。」


    カネキ母「ええ…気をつけてね」


    カネキ「うん…」ゴロゴロー
  25. 116 : : 2015/04/25(土) 20:55:18
    ↑JAILの
  26. 123 : : 2015/04/29(水) 10:45:22


    カネキ「…」ゴロゴロ



    ヒデ「お、おいカネキッ…」タッタッ


    カネキ「ん?どうしたの?」



    ヒデ「いや〜…その、お前さ…母ちゃん嫌いなの?」


    カネキ「え?…ふふ…嫌いじゃなよ?」



    カネキは左手で顎を触り、少し微笑みながらそう言った。



    ヒデ「…そっか。」



    カネキ「…(…)」



    実際、嫌いじゃないのは本当だ。

    ただ…僕は、母の生き方が嫌いなんだ。

    「傷つける人より 傷つけられる人に…」


    愛をもって、やさしい気持ちで…損したっていい。優しい人はそれだけで幸せなの。

    昔、母さんは僕にそう言った。






    カネキ「…」ゴロゴロ〜



    ヒデ「あれ?トイレは?」


    カネキ「やっぱり、いい」





    ガラガラ〜〜



    病室に戻ると母は…椅子に座って仕事をしていた。



    カネキ「…」



    カネキ「なにやってるの?」




    カネキ母「んー…なにって…仕事よ…?」



    カネキ「…見ればわかるよ…いい加減にしないと…死んじゃうよ……」


    カネキ母「ふふ…なにいってるの…母さんは大丈夫よ。」



    カネキ「……そう」



    カネキ「…..また仕送り?」





    カネキ母「ええ…姉さんの旦那さん…借金つくったりとかして…お金に困ってるらしいの…なんとかしてあげないとね…」



    カネキ「…ッ」ギリッ



    カネキ「なんで…!」


    カネキ「伯母さんのこと迷惑だと思わないの…なんで無視しないの?」


    カネキ母「…迷惑なんておもってないわよ…」


    カネキ「…伯母さんの旦那さんが借金をつくっても、それはウチとは関係ないでしょ⁉︎…あっちの責任だ!…なのになんで…母さんがその為に働いてるの?!…というか…伯母さんの家は本当にお金に困ってるの?」


    カネキ母「なにいってるの…当たり前じゃない…」



    ヒデ「…」


    カネキ「……そう」


    カネキ「…」






    それから数十分後、仕事があるので母さんは病院を出て行った…どうやら、仕事を放って病院に駆けつけたらしい……

    母さんは出て行くとき
    「じゃあ、安静にしておきなさいよ…また来るから…」

    と言った

    僕は「うん」とこたえたあと…


    「…少しは休みなよ」と言った


    母さんは「うん…」と言っていたが…休まないだろう。







    カネキ「…」



    ヒデ「…どうしたんだ?…」


    カネキ「え?」


    ヒデ「…お前…母ちゃん好きか?」



    カネキ「……」


    カネキ「…母さんは好きだよ。けどね、母さんの生き方は好きじゃない…」


    ヒデ「生き方?」



    カネキ「うん…」


    「傷つける人より 傷つけられる人に…」


    愛をもって、やさしい気持ちで…損したっていい…優しい人は ただそれだけで幸せなんだと…昔母さんから教わった…

    母さんは…そんな「優しい人」を装って生きている…周りから見れば
    母さんは「優しい人」


    だけど実際は違うんだと思う…

    母さんは他人の事考えるフリをして
    結局自分の事しか考えてない。



    ヒデ「….?」



    カネキ「たぶん…母さんは、父さんの時のように…また誰かを失うのが怖かったんだ…だから自分を削ってまで周りに尽くしている…だから、お金に困ってる伯母さんの為に必死で働いてるんだ……姉を失わないように…」



    カネキ「……母さんは優しい人なんかじゃない…孤独を畏れる…ただの小心者だ」



    ヒデ「…」



    カネキ「…」



    「傷つける人より、傷つけられる人に…」

    カネキ「これは「優しい人」の生き方なんかじゃない…「弱い者」の生き方だ。」


    カネキ「…僕はそんな生き方はゴメンだ。
    そんな生き方は…しないし、したくない。…」


    ヒデ「カネキ……」


    カネキ「…」
  27. 124 : : 2015/04/29(水) 10:48:47


    ヒデ「…まー…その…なんだ…お前のやりたいようにするのが一番だぜ!」


    カネキ「うん。そうだね…」


    ヒデ「おう!」



    〜〜〜〜それから数十分後〜〜〜〜



    ヒデ「さて…俺はもうソロソロ…親に怒られに行きますかなー…」


    カネキ「はは…」



    ヒデ「じゃあ、またな、カネキ!」スタスタ


    カネキ「うん…また、来てねー」


    ヒデ「おうっ!あー、それと!早く退院しろよなっ!退院したら!一緒にビッグガール行こうな!奢ってやるぜ!」


    カネキ「うん…。ありがとう…楽しみにしてるよ」


    ヒデ「おう!」タッタッ






    カネキ「……寝よ。」ゴロン



















    それから数ヶ月後…僕の怪我は無事ほとんど治り。今日が退院の日。





    タクシー「…」ブロロロロー




    カネキ「…よいしょ」ストン



    嘉納「じゃあ…お大事にねカネキくん。」


    看護師「喰種には気をつけねて…また襲われたりしないように」



    カネキ「はい。ありがとうございました。」



    嘉納「ふふ…じゃあね。」



    カネキ「はい」バタンッ





    タクシー「」ブロロロロー



    ──────────────
    ─────────
    ─────




    ─────【カネキ家】─────




    ブロロロローー…バタンッ…!





    カネキ「よし。着いた….」



    カネキ「…」スタスタ





    カネキ「…」ガチャッ



    カネキ「…ただいまー…」




    し ──── ん……


    カネキ「ま、誰もいないよね。(母さん仕事だし)…」




    カネキ「…」ヴー!ヴー!


    教えーてよ♪教えーてよ♪その仕組m



    カネキ「あ、ヒデ…」ピッ




    ヒデ『ようっ!カネキッ!退院おめっ!』


    カネキ「うん…ありがとう。」


    ヒデ『さっそくだがどうする?ビッグガール行くか?』


    カネキ「あ、そういえば、前に退院したら奢ってやるっていってたね。ていうかヒデ…まだお昼でしょ。学校は?…」



    ヒデ『なに言ってんだ?今日は土曜だぞっ』



    カネキ「あれ?そうだっけ?…病院でずっと寝てたから…時間の感覚が……」


    ヒデ『そっか。で、どうするよ?やっぱ退院したばっかだからな…やめとくか?』



    カネキ「(ビッグガールか…そういば最近行ってないな…病院いたしね)うーん…じゃあせっかくの奢りだし、行こうかなぁ…病院ではあんまり美味しくない物ばかり食べてたし…」


    ヒデ『よし!オッケー』


    ヒデ『あ、それと俺…今 カネキんちの近くいるからさ、今から家行くけどいいか?』



    カネキ「うん」


    ヒデ『んじゃ、またな』


    カネキ「うん」




    〜〜〜〜〜〜数分後〜〜〜〜〜〜〜





    カネキ「…」ペラ…


    カネキ「…」ペラ…



    ピ───ンポ──ン!



    カネキ「あ、ヒデかな…」スタスタ




    カネキ「はーい」


    ガチャッ



    ヒデ「よっ」
  28. 125 : : 2015/04/29(水) 10:51:14


    カネキ「うん。あ、ちょっと待ってて、すぐ支度するから」


    ヒデ「お前な〜…普通、もうしとくもんだぜ?ははっ
    どうせお前のことだから本でも読んでたんだろ?」


    カネキ「よくわかったね…」


    ヒデ「まあな〜……待ってるから早くしろよ〜?」


    カネキ「あ、うん」タッタッ











    カネキ「お待たせー…」


    ヒデ「さ、行くか」


    ────────────────────────


    【ビッグガール(BIG GIRL!!)】




    ビックガール スタッフ達「いらっしゃいませー!」


    ヒデ「ビッグハンバーグふたつで!!」



    スタッフ「ビッグハンバーグふたつですね〜」


    スタッフ「少々お待ちください」






    ヒデ「うんうん。やっぱここのスタッフは可愛い子ばっかだなぁ〜…
    俺もここのスタッフの人達みたいな彼女がほしい…!」



    カネキ「ヒデは作ろうと思えば作れると思うよっ…」


    ヒデ「お前から言われると嫌味にしか聞こえないな!」


    カネキ「なんでだよ…」


    ヒデ「けっ!」


    スタッフ「お待たせしました〜ビッグハンバーグ二つです。」コト


    ヒデ「おおっ!キタキタッ」


    ヒデ「いっただっきまーす!」パクッ



    ヒデ「うめええええッ!」


    カネキ「ん」パク


    カネキ「うん。美味しいね…!」もぐもぐ

    ヒデ「ああ!」


    ヒデ「カネキー、食い終わったらどっか行こうぜ?」モグモグ


    カネキ「僕は別にいいけど、どこに行くの?…っていうか…ヒデ…食べながら喋るのやめなよ。…」



    ヒデ「うーん…ゲーセンとか?」


    カネキ「ふーん…僕、あんまり行ったことないから…行ってみたいかも…」


    ヒデ「じゃ、食い終わったらゲーセンいこう!」モグモグ



    カネキ「だから食べながら喋るなよ…」


    ヒデ「おー、わりぃわりぃ」


    カネキ「はぁ」






    ヒデ「ごちそさんっ!」



    カネキ「ごちそうさま」



    ヒデ「行くかゲーセン!」ガタッ


    カネキ「うん」



    そして、僕達はビッグガールを出て近くのゲームセンターへ向かった。



    ゲームセンターに向かってる途中…


    カネキ「…」スタスタ


    ヒデ「あー、暑いなぁ…」



    カネキ「うん…」



    月山「〜♪〜♪」ルンルン



    カネキ「…(うわっなんだこの人…)」ササッ



    ヒデ「…(なんか変な服着てるなぁ…)」ササッ



    月山「ンン〜…」


    カネキ「(変な人だ…関わらないほうがいいな…)」スタスタ



    ヒデ「…(関わらないほうがいいな)」スタスタ




    月山「…」スタスタ



    月山「…!」ピタッ



    月山「…」スンスンッ




    月山「ッ!!…フゥン…いい匂いだ。」

  29. 139 : : 2015/05/07(木) 22:06:59


    ───【ゲームセンター】────



    ウイィィ───ン…


    ガ ヤ ガ ヤ ガ ヤ ガ ヤ


    カネキ「っ…うるさいね」キーン


    ヒデ「まぁ、あんまりゲーセンこねー奴には、かなりうるさく聞こえるもんな」


    ヒデ「何して遊ぶかな……なんかやりたいのあるか?」


    カネキ「うーん……べつにないかな」


    ヒデ「ふーむ、とりあえず太鼓とかするか?」

    カネキ「うん、それでいいよ」




    ヒデ「どの曲にする?」



    カネキ「あ、じゃあこれかな」ドンッ




    月山「(どうやらこの素晴らしい香りは、あの少年から漂っているらしい。それにしても……今までの どの人間よりもいい匂いがする。不思議だな)」ジ──



    月山「いったいどんな味がするのか!」




    カネキ「…ん?」


    月山「(おっと)」サッ


    カネキ「…??」


    ヒデ「どうしたんだ?」



    カネキ「なんでもない。(誰かに見られてたような……?)」


    ヒデ「難易度どうする?」


    カネキ「これでいいよ」ドンッ


    ヒデ「げっ!?それオニじゃねぇか!お前、このゲーム初めてだろ? やめとけって!」


    カネキ「だいじょぶだよ」



    ヒデ「いや無理だろ〜…★結構あるぞ…」


    カネキ「いいってば、ね? ほらっ!ヒデも!」



    ヒデ「や、俺はむずかしいにしとくわ」ドンッ


    ***


    カネキ「あ、クリアできなかったな……」


    ヒデ「おしかったな……ドンマイ」


    カネキ「なんだか癪にさわる……ヒデ、来て早々悪いんだけど、ゲームセンターでちゃだめかな? 頭が痛くなってきたよ」


    ヒデ「もうちょい遊びたかったけど、まぁ仕方ないな……どっかほかいくか。案あるか?」


    カネキ「書店」


    ヒデ「……あぁ……言うと思った」
  30. 140 : : 2015/05/07(木) 22:12:15


    本屋サン。



    カネキ「ヒデもなにか買ったら? なんだったら僕がお勧めを教えようか?」

    ヒデ「うんにゃ……俺には小説とかより漫画の方が合ってるから遠慮しとく」



    カネキ「小説も面白いよ? 」



    ヒデ「じゃあ今度お前の好きな……たか、たか……高崎なんだっけ?」



    カネキ「高崎じゃなくて、高槻だよ、高槻泉だよ……何回言えば覚えるんだよ」


    ヒデ「わりぃわりぃ、その高槻泉の作品借してくれよ」


    カネキ「ヒデには合わないかもだぞ?……でもまぁ、わかった」



    〜〜〜〜数十分後。



    ヒデ「──ッ!…おっせーよ!?まだか!」



    カネキ「決まったよ」

    ヒデ「よぉーーし! レジだレジだ!」


    カネキ「わかったって。お金払ってくるからもう少し待ってて」タッタッ…


    ───────────────────



    カネキ「お待たせ」



    ヒデ「よっしゃ!行くか!」


    カネキ「次はどこ行くのさ…」


    ヒデ「今何時だっけ?」


    カネキ「4時(16時)だよ…」


    ヒデ「あんまり時間ねぇな。どうすっかなー…実際もう行くとこ残ってねぇよな」


    カネキ「帰る?」


    ヒデ「帰るか……」


    カネキ「そうだね」



    ヒデ「あぁ、…また今度あそぼうな。カネキ!それと喰種に気をつけろよ!」


    カネキ「うん。ヒデもね」


    ヒデ「あぁ!俺は大丈夫だぜ、喰種に遭ったら即逃走だからな」


    カネキ「あはは……走りじゃ勝てないと思うぞ」


    ヒデ「心配すんなって、逃げ足には自信あっから。お前は本当に気をつけろよな!」


    カネキ「肝に銘じておくよ」



    そして、僕とヒデは別れた。



    カネキ「……」


    帰り道。ゲームセンターに入った時から感じていた全身を舐め回すような視線は、消えず、そろそろ本気で鬱陶しく感じていた。



    カネキ「……あの」



    カネキ「いい加減、付いて来るのやめてもらえませんか?」

    はたから見れば、電柱に語りかける痛い人だろう。だけど、変質者のレッテルを貼ることはできない。僕は見えもしない透明人間を相手にしているわけではないんだから。
    電柱から、影が姿を覗かせる。



    月山「 まさか、気付いていたとは驚いたよ」


    カネキ「……?」


    月山「おっと失敬。自己紹介がまだだった。僕の名前は月山習、以後お見知り置きを」



    カネキ「はぁ…?どうも、金木です」


    月山「……」


    カネキ「(うん?……この人どっかで……うん? この服どこかで)」


    カネキ「それで……なんであとを付けてきてたんですか? 警察呼びます?」


    月山「いや、不快に感じたのならすまない。歩いていると偶然君とすれ違って……珍しいと思ってね」


    カネキ「(僕の髪のことを言っているのか?)」


    カネキ「ん?……すれ違って?……あぁ、貴方はあの時の変な格好をした人ですね」

    月山「フ、フフ……酷いじゃあないか金木くん」


    カネキ「すみません……さすがに無礼だったかもしれません」


    月山「いや、いいんだよ」


    月山「しかし……見れば見るほど美しい」ぼそっ


    月山「white(白)!」


    月山「bianco(白)!!」


    月山「bran(白)!!!」


    カネキ「What!?」びくっ


    月山「全てが真っ白……!」



    月山「これほど美(味)し(そうな)い人に僕は出会ったことがない!」


    カネキ「(あたま、だいじょうぶだろうか)」


    月山「(ああッ!今すぐにでも喰べたいッ!……がッ!! まだだ。 caImato!caImato僕!……フフ。金木くん、ゆっくりと美味しく頂いてあげるよ)」


    月山「そうだ、金木くん。君はさっき本屋に行っていたけど……君は、本が好きなのかな?」


    カネキ「はい。本は大好きです。(げ、見ていたのかよ)」


    月山「実は、僕も読書、本が好きなんだ。」


    カネキ「そうなんですね」
  31. 141 : : 2015/05/07(木) 22:14:51


    月山「本は素晴らしい。本の世界に没頭している間だけは
    自分が何者なのかも全て忘れられる
    辛く苦しい時に僕を支えてくれたのは、沢山のフィクションだった…」



    カネキ「…(へー…。)」


    月山「ちなみに、君は、どの作品が好き、どの作家の作品が好き。とかあるかい?」



    カネキ「そうですね…それなら
    僕は高槻さんの作品が好きですねぇ…!…文体は繊細だけど 芯には力強さもあって掴みどころのない作風にすごく惹きつけられます…」


    月山「おぉ…!…なるほど…高槻か…若いのに凄い人だよね。…僕もあの作風好きなんだ」



    月山「そうだ…!」



    カネキ「…?」


    月山「僕のお気に入りの場所があるんだ。本好きのマスターがやっているカフェなんだけどさ」


    月山「古書とコーヒーの匂いが いい塩梅にブレンドされて…とても落ち着く雰囲気なんだ。」


    カネキ「へ〜っ」



    月山「噂によると…高槻も来るとか…」


    カネキ「ええ?高槻さんが?」


    月山「うん。良かったらどうかな?今度の休日に…お勧めの本でも持ち寄って…」



    カネキ「…」



    カネキ「…(さて…どうするかなぁ…)」


    カネキ「うーん…」



    カネキ「残念ですが…お断りします。」


    月山「…」




    カネキ「──と…言いたいところですが…休日はなんの予定もなくて、家に黙って 居るのも嫌なので…いいですよ。行きましょうか。」



    月山「…!」


    月山「フ…そうかい!…ありがとう!…」


    カネキ「いえ…あ!…僕、もうそろそろ帰らないと…!…じゃあ、僕はこれで…」タッ


    月山「ああっ、ちょっと待ってくれ!…」



    カネキ「はいぃ?」


    月山「はい、これ…僕の連絡先が書いてある紙」っ



    カネキ「……どうも…」



    月山「じゃあ、またね。カネキくん。」



    カネキ「はい…」タッタッ





    タッタッタッタッ……





    月山「…」ニヤァ…!



    ────────────────────────



    カネキ「…(うーん…暇だから、つい行くと言ってしまった…
    あの人怪しすぎるよなぁ…あんな変な人と出かけたら…何がおこるか解ったもんじゃない。やっぱり断ろっかなぁ
    でも、もう行くって言ってしまったしなぁ……はぁ、行くしかないか…)」




    カネキ「…ただいまー」ガチャッ





    カネキ母「──おかえりなさい。」

  32. 142 : : 2015/05/07(木) 22:18:36


    カネキ「うん。ただいま母さん」スタスタ



    カネキ母「…」カチャカチャ…




    カネキ「…」



    家に帰ると、母はいつものように
    内職をしていた。




    カネキ「はぁ…母さん…少しは休んだの?」



    カネキ母「うん…」カチャカチャ…



    カネキ「….お腹すいてない?…何か作ろうか?」



    カネキ母「あら?…そう?…じゃあ、お願いしちゃおうかな…」



    カネキ「…うん。ちょっと待っててね。」


    カネキ母「ええ…」カチャカチャ…


    ────────────────────


    カネキ「はい。簡単な物だけど…」コトッ


    カネキ母「ありがとう。凄いじゃない!研…いつの間にか、こんなに料理できるようになってたのね。」



    カネキ「うん…まぁ。そこそこね…」



    カネキ母「じゃあ、せっかく作ってくれたんだし…冷めない内に食べようかしら…」


    カネキ「うん。どうぞ…」



    カネキ母「…」パク



    カネキ母「美味しい…!…」



    カネキ「そう?なら良かった…」



    カネキ母「ほんとにおいしいわ。ふふ…料理の出来る男の子はモテるわよ〜…」


    カネキ「ふふっ…」



    カネキ母「…」カチャカチャ



    カネキ「母さん…ご飯食べてる時くらい、仕事は止めなよ?。行儀悪いよ…?」


    カネキ母「うん。そうね…だけど…もう少しやってから…」



    カネキ「(やれやれ……)」



    〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
    〜〜〜〜〜〜


    カネキ母「ご馳走様…おいしかったわ…ありがとう…」


    カネキ「なら、よかった…」ガタ


    カネキ母「あ…お皿は母さんが洗うわよ…」


    カネキ「いいよこれくらい…母さんはゆっくりしてて…」



    カネキ母「…ええ…」




    カネキ「…」ジャァー…カチャカチャ


    カネキ「…」ゴシゴシ…キュッキュッ



    カネキ「…」チラ…




    カネキ母「…」カチャカチャ…



    カネキ「……」




    カネキ「───よし…食器洗い終わり…」
  33. 143 : : 2015/05/07(木) 22:19:47


    カネキ「…」スタスタ



    カネキ母「…」カチャカチャ…



    カネキ「…はぁ〜…!」


    カネキ母「……?…どうしたの?研。」



    カネキ「母さん。休みなって。」



    カネキ母「うん。わかってるわ」カチャカチャ



    カネキ「わかってないじゃないか…」



    カネキ「…ほら…!」ガシッ


    カネキ母「え…?」



    カネキ「…」スタスタ



    僕は母さんの腕を掴んで無理矢理寝室へ連れて行った…



    カネキ母「ちょっと…研!…何するの…?まだ仕事が…」



    カネキ「…仕事は僕がやっておくから…母さんは少し休んでなよ…」



    カネキ母「…でも」



    カネキ「休んでなって!!」


    カネキ母「!……」



    カネキ母「ええ…わかったわ ……」



    カネキ「うん。じゃあ、ちゃんと寝ててね。」スタスタ



    カネキ「…」スタスタ



    カネキ母「……」



    カネキ母「…….研。」



    カネキ「うん?…なに?」クルッ



    カネキ母「ありがとう」



    カネキ「…うん」



    カネキ「じゃあ、おやすみ。」



    カネキ母「ええ…」



    ────────────────────



    カネキ「さてと…これどうやって作るんだ?…え〜…と…」カチャ…



    カネキ「こうして?…あぁ、こうか!…よし。出来た…!」



    カネキ「これをあと何回も繰り返さなきゃいけないのか…まぁ、頑張りますよ…」カチャカチャ…カチャ…











    チュン チュン チュン …



    カネキ「zz……んん…!」


    カネキ「…あぁ…ねちゃってたか…ていうか…朝…」



    カネキ「…!」スンスンッ



    カネキ「ん…いい匂い…」



    カネキ母「あら、おはよう研。朝ご飯…もうすぐで出来るから待っててね。」ニコ



    カネキ「!」



    母さんの顔色が昨日よりも良くなってる気がする。どうやら昨日はグッスリ眠れたみたいだ。




    カネキ「(あ、そういえば、昨日のお昼 から何も口にしてないな……お腹すいた。…ん?…そういえば…
    母さんのご飯を食べるのは久しぶりかも。最近はほとんど自分で作ったりとかしてたし……)」グゥ〜




    カネキ母「はい。できたわよ」コトッ



    カネキ「…って…え……」



    目の前の皿においてあるのは僕の大好きな母の作ったハンバーグ……だけど…



    カネキ「朝からハンバーグって…はは…」



    カネキ母「嫌だった?…研、昨日は母さんの分のご飯だけで、研は何も食べてなかったから…お腹すいてるだろう思って……せっかくだから研の大好きなハンバーグを作ったんだけど……」



    カネキ「ううん。嫌じゃないよ。ありがと…」



    カネキ「じゃあ…いただきます。」



    カネキ母「召し上がれ」



    カネキ「…ん」ぱく




    カネキ「ふふ…」



    カネキ母「研?」



    カネキ「…とっても美味しいよ。」




    久しぶりに食べる母の手作りハンバーグは本当に とても美味しかった。




  34. 145 : : 2015/05/10(日) 19:20:47



    そして、一週間後────…




    カネキ「ふー…」



    今日は、あの変な人と出掛ける日。本について話し合ったりとか…まぁ色々かな?…



    待ち合わせ場所は…………





    カネキ「…………忘れた」



    カネキ「どうしよう……」




    一昨日─────…





    プルルルルルル



    教え〜てよ♪教えt



    カネキ「…知らない番号……誰だ?」ピッ



    カネキ「はい。もしもし…?」



    『こんばんは…夜分に失礼。金木くん。』


    カネキ「(この声)…えー…と…月島?さん?」


    月山『……ハッハッハッ…酷いじゃないか。月山だよ 月山習。』



    カネキ「あ、はい。すみません(あれ?、なんで僕の番号知ってるんだ?え?……ていうかそっちから電話かけてくるなら
    僕に連絡先教えた意味って)……」


    カネキ「そ、それで…なんの用ですか?」


    月山『ああ。この前、今度一緒に好きな本について語り合おうと言っただろう?』



    カネキ「あー、はい。」



    月山『明後日の土曜にどうかなと思って。君は…何か予定はあるかな?』


    カネキ「いえ、ないですけど」



    月山『よし。じゃあその日で決まりだ。…あぁ、それと 待ち合わせ場所場所は─────』




    カネキ「(あー、眠たくなってきた……)」ウトウト…



    月山『────だ!いいかな?』



    カネキ「は…い…◯◯◯ですね〜…」



    月山『ああ。…ではまたね金木くんッ!』ピッ



    カネキ「…zzZ〜…」スピー…

    〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



    カネキ「……電話するかなぁ…」



    カネキ「でもなんか やだなぁ……」



    カネキ「うーん…どこだったっけ…」



    カネキ「…うーん」



    カネキ「うーん…!」


    カネキ「!」ハッ!



    カネキ「…昨日ヒデと行ったゲームセンターだった気がする!…そうだ。きっとそうだよ。よし!」


    カネキ「遅れると失礼だから…さっさといこう」タッタッ…



    ────────────────────────




    カネキ「……居ない…」


    カネキ「ここじゃなかったのか!…」


    カネキ「じゃあどこだろ…?」



    カネキ「この前、月沼さんと逢ったところ?」


    ※月山です。


    〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

    カネキ『…───あの』ピタ…



    カネキ『いい加減…付いて来るのやめてもらえませんか?…』




    カネキ『出てきてください。誰なんです?』




    月山『フッ…いやぁ…まさか。気付いていたとはね。』スタスタ



    カネキ『…?』



    月山『───僕は月y』

    〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜




    カネキ「うーん…たぶん違うな。第一あんなところを待ち合わせ場所にするわけないよな…」



    カネキ「むむ…」



    カネキ「……!もうあそこしかない!…間違いない…あの本屋だ」タタタッ


    ──────────────────────



    カネキ「……居ない」


    カネキ「……どこだっけ…」


    「お〜い!」


    カネキ「あ…!」


    月山「…こんな所に居た。1時間待っても来ないから、何かあったのかと思って探してた所だよ。…」


    カネキ「すみません。月沼さん」



    月山「いや。…いいんだよ気にしなくて。(人間のクセにこの僕を待たせるとは…!)…それと僕の名前は月山だよ。」



    カネキ「あ、すみません月馬さん」



    月山「…」


  35. 148 : : 2015/05/12(火) 00:19:02


    ──────で……


    喫茶店に行くはずが、何故か僕は月なんとかさんに
    スカッシュやらテニスやらに付き合わされていた。



    カコーン! カコーン! カコーン!



    月山「フフッ…やるね。カネキくん!スカッシュはやった事があるのかな?」カコーン



    カネキ「いえ、初めてです…っ」カコーン



    月山「!なんと…凄いね。」カコーン


    カネキ「ありがとうございますッ…ふっ!」カコーン



    〜〜〜〜〜〜数十分後〜〜〜〜〜〜




    カネキ「ハァ…っ…ハァ」



    月山「フゥ〜…」キラーン



    カネキ「こんな暑い日にスカッシュとかするなんて…勘弁してくださいよ。結構汗かいちゃいましたよ…」



    月山「フフ…そういうが、結構楽しんでたじゃないか」


    カネキ「…まぁ、身体を動かすのは嫌いじゃないですからね。」


    月山「フフッ。身体を動かすのはいい事だ!」


    月山「さてと…では、例の喫茶店へ行こうか。」


    カネキ「そうですね」

    ─────────────────────────


    . 【喫茶店】


    「いらっしゃいませ」



    月山「アイスコーヒー2つ」



    カネキ「ふぅ〜…(涼しいな…)」


    月山「はぁ〜…今は運動したばかりで暑いから。アイスにしたが、君はそれでよかったかな?」


    カネキ「はい。僕も暑いので」パタパタ


    カネキ「そういえば、何でさっきは急にスポーツなんか…?」


    月山「んん?…フフッ…適度な運動は筋肉もほぐれていいエクササイズになるから
    この穏やかな時間をより引き立てるスパイスになると思ってね。」


    カネキ「はぁ…なるほど」



    カネキ「それにしても、この喫茶店は…本がたくさんありますね。」


    月山「そう。…読書するにはピッタリだと思わないかい?」


    カネキ「そうですね…」



    「お待たせしました」コト



    月山・カネキ「どうも」



    カネキ「…」カラン…



    カネキ「…ん」ゴクコク…


    カネキ「…冷たくて美味しいですね。」


    月山「そうだね」



    月山「──…そういえば、高槻氏は今日はお見えになっていないみたいだね…」


    カネキ「はい…残念です」


    月山「まぁ、高槻氏は結構有名な作家だからね。そう簡単には会えないさ…」


    カネキ「ですね…」


    月山「あ、そういえば、今日は僕のお勧めを持ってきたんだ」


    カネキ「へぇ…」


    月山「フランスの美食家…ジャン・アンテルム・ブリア=サヴァランはご存知かい?…」


    カネキ「う〜ん……」


    カネキ「あっ…『美味礼賛』ですか?」


    月山「おぉ、…既に読了していたとは…」スッ←本


    カネキ「ちょっと読んでいいですか?」


    月山「構わないよ」


    カネキ「どうも」ペラ…


    カネキ「…」


    月山「あ、ブレンド2つ」


    「はい」


    月山「君もいるだろう?」


    カネキ「あ、はい。」



    月山「…君がこれを読んだ感想は…どんなかな?」


    カネキ「そうですね…当時の時代背景もしれて面白いですね…行き過ぎた食の追求も面白い…」


    月山「そうそう!僕 そのページの一節が好きなんだ。」



    「失礼します」コト…



    カネキ「ありがとうございます」


    月山「ン〜…珈琲のいい匂いだ…」


    月山「…」コクコク…、


    月山「うん。美味しいね。」


    カネキ「ええ。確かに美味しですけど…僕は「あんていく」っていう喫茶店の珈琲の方が好きかなぁ…」


    月山「「あんていく」…!」


    カネキ「…?」


    月山「僕も「あんていく」の…あの芳村氏の珈琲好きなんだ…」


    カネキ「ですよね…!…「あんていく」の珈琲は本当に美味しいですよね」


    月山「ああ。素晴らしいよ。」



    そして、僕と月さんはこの後、色々と語り合った。





    月山「ハハッ…それで──…おっと…もうこんな時間じゃ無いか…」



    カネキ「あ、本当だ…」


    月山「そろそろ、出ようか?」ガタッ


    カネキ「そうですね」ガタ…



    月山「…ッ」ガッ



    月山「あっ、しまっ──」




    パリーンッ!!



    カネキ「(あちゃー…)」


    月山「ああっ!…しまった…僕としたことが…」


    「大丈夫ですか!」


    月山「すまない。コップを壊してしまった…」


    「いえ、それよりもお怪我は?」


    月山「大丈夫だよ…」


    「なら良かったです。」



    月山「あの、片ずけ…僕も手伝います…」


    「そうですか?…ありがとうございます」


    カネキ「あ、じゃあ僕も」


    月山「すまないねカネキくん。」


    「ありがとうございます」


    カネキ「いえ」スッ


    カネキ「…」カチャカチャ…


    月山「…」カチャ…
  36. 154 : : 2015/05/13(水) 02:46:40


    カネキ「よし。」


    「ありがとうございました。」



    月山「いえ、それよりも、壊してしまって…すみません。」


    「いえ、お気になさらず」


    月山「ありがとう」


    カネキ「では、行きましょう」


    月山「そうだね」スタスタ






    カネキ「これからどうします?」


    月山「そうだね…カネキくん。お腹はすいてないかい?」


    カネキ「あ〜…まぁ、結構すいてますね…珈琲とかしか呑んでませんし…」



    月山「これから夕食にしないかい?…僕の知ってる とても美味しいレストランがあるんたけど。」


    カネキ「じゃあ、そうしましょうか」


    月山「ああ…そのレストランはね…会員制の秘密の場所なんだ。僕の紹介があれば入れるよ!」



    カネキ「はぁ。…」スタスタ


    月山「君は…「こんな物が食べたい」…とかあるかな?」スタスタ



    カネキ「いえ、特には…」


    月山「僕のオススメがあるんだが…」


    カネキ「じゃあ、お任せします。」


    月山「そうか!それじゃあ、準備があるから早速行こう!」


    ────────────────────────



    カネキ「ここですか?」


    月山「ああ、そうさ。」


    カネキ「…(何で服変わってるの?)」


    カネキ「僕、私服なんですけど…いいんですよね…?」


    月山「大丈夫!君の分のスーツも用意してあるよ!」スタスタ



    カネキ「(まじか)」



    月山「やあ、どうも」


    「お待ちしておりました」



    月山「…」ヒソヒソ…


    「…かしこまりました。ご案内致しますので…どうぞこちらへ」


    月山「それじゃ、また後でね…カネキくん」


    カネキ「…?はい」


    カネキ「…(ここがレストラン?……怪しいレストランだな…あの変な人の紹介なんだから
    怪しいのは当然だろうけど…)」


    ────────────────────────






    ザァァァアアァァア───…



    カネキ「(あー…シャワー気持ちいい〜…)」



    カネキ「(って…なんでシャワーだよっ)」


    『少し汗をかかれてらっしゃるようですので…こちらのシャワールームをお使いください。』


    カネキ『…はい』



    ザァァァァアアー…



    カネキ「…」


    カネキ「(レストランで…シャワーなんて普通浴びるか?…まぁそりゃ、綺麗な方が僕はいいけど…)」







    カネキ「ふぅ〜!…さっぱりしたぁ」




    「では…お好きなのをお選びください」



    カネキ「(お好きなのって…全部サイズが違うだけで同じスーツじゃん…!)」




    カネキ「ん…これがピッタリかな」



    「では、食事の用意ができるまで
    あちらの部屋でお待ちください。
    荷物は全てこちらで預からせていただきます。」



    カネキ「はい…(はぁ…めんどくさっ!)」スタスタ



    カネキ「…はぁ〜」ガチャッ





    カネキ「…!(あ……他にも誰か居たのか…)」


    男(30か40ぐらいの)「あ、どうもー…!」



    カネキ「どうも…?」



    男「いやー、僕ら2人で待たされてたから心細くて…」



    男「私はこういう者です」っ名刺



    カネキ「…どうも…僕は金木といいます…」



    男「高校生…?」


    カネキ「ええ、まぁそんなところです…」


    男「学生なのにすごいお店知ってるんだねー…あちらの方もお若いのに」


    女(デブ)「……」


    カネキ「はは…知り合いの人に連れてきてもらったんです。」


    男「ああっ、僕もですよ!」


    カネキ「へ〜…」



    男「にしても…こんなに長い時間待たすなら一言あってもいいのに…」


    カネキ「?…どのくらい待ってるんですか?」


    男「うーん…数十分かな…」


    カネキ「……一緒に来た方とは別々に入りましたか?」


    男「ああ、うん」


    男「入口でね、スーツいるからって別室で準備しろって言われて連れてこられたけど?…その後シャワーとかも…」


    男「というか、メシ食いに来てシャワー浴びたのは初めてだよ。ハハッ」



    ガチャッ



    男「お?」


    カラカラ〜


    「失礼します。食前のコーヒーをお持ちしました。お待ちの間お召し上がりください…」
  37. 155 : : 2015/05/13(水) 03:01:35


    女「食事前にコーヒーやクッキーって…ご飯入らなくなるじゃない」ザクザクッ


    カネキ「(そういいながらも、食うのか…)」



    男「このクッキー…パサパサで味薄いなー…」


    カネキ「…」


    男「?…君はコーヒーのまないのかい?」


    カネキ「あ、まぁ、はい。」



    カネキ「(飲まないのではなく飲めないんだけど…さっき さんざん飲んだから……)」




    ガラガラ……



    「皆様…お待たせしました。どうぞこちらへ」



    男「おっ!」


    ────────────────────



    ギイィィイイイィ…ガシャン…!



    カネキ「…」



    カネキ「(なんだ?……ここ…テーブル一つに…椅子が三つ…そして…鉄板一つ…⁉︎)」


    男「ほぉー、いいねー!…趣あるー!」


    「こちらでお待ちください」スタスタ




    ガチャッ




    カネキ「(なんで…椅子が三つ?…月なんとかさんと一緒に食事するんじゃ…?…それに鉄板…何で鉄板だけポツンと置いてある?…
    料理を作るのを見ながら待つのか?…それにしたら…調理器具が一つも見当たらない…おかしい…!)」



    男「しかし、また待つのかよ!…いい加減 腹へったよー」


    カネキ「…」


    ガチャガチャッ!


    カネキ「…?」


    カネキ「どうしました?」


    女「鍵が閉まってるのよ……何よこれ出られないじゃない。」


    カネキ「鍵が?…」


    カネキ「(そういえば、僕らが通されてきた道は全部一本道で…窓がなかったな)…」



    カネキ「(そして、入口の施設…僕らが屋敷の外へ出ないように?)」





    カネキ「…….」



    男「一体何が出るのかねー…肉?さかな?楽しみだな…!」




    〜〜〜〜〜数分後〜〜〜〜〜









    ザザ…ザザ…ザ





    『大変お待たせ致しました…』





    ザザ…ザザァ…





    『晩餐の準備が整いました』




    男「おおお!きたか!」




    ガコンッ…ガガガー…




    カネキ「!(天井が開いていく…)」





    ガコンッ……!








    『───本日のディナーの…』








    『 3 人 で す ! 』






    カネキ「 ! 」




    女「!?」



    カネキ「さん…にん?」



    男「……ん?…え?…は?僕たち?!…⁉︎」



    ザワザワ ザワザワ ザワザワ



    「おお!…3人か…」



    「楽しみですわねぇ〜」





    『では、紹介していきます』


    『左の中年男性は…』



    男「えっ」ビクッ



    『忙しい合間にも、ジム通いを欠かさず…健康的に締まった肉体は噛み応えがありそうです』


    『レストランの料理を楽しみにしていたそうですが、まさか自分が晩餐の品目に並ぶとは夢にも思わなかったでしょうね。』



    『仲介はTK様です』



    TK「…」


    パチパチパチ〜





    『えー…続きましては…右側のデブ…おっと…失敬。先ほどとは対照的にデップリとしているメス肉です。』


    女「…ッ…⁉︎」



    『この人間は シャワーを拒否したため表面に余分な油脂が付着しておりますが…それは後ほど丸洗いで取り除きますので ご安心ください。』


    『仲介はPG様でございます。』



    PG「うっすうっす!」



    パチパチパチパチパ〜!


    女「宗太ッ!?」



    宗太「はいはい出部ちゃん」



    女(出部)「あたなっ!?騙したてたのねッ!これまでずッと!…結婚の約束は⁉︎今日のディナーだって…私てっきり…」ダラダラッ



    カネキ「(ちょっ⁉︎汗!汗!…こっち飛んでるって!)」ササッ



    宗太「わーお!すげーダシ出てる」


    宗太「悪いけど…俺、豚を恋愛対象にはみれねぇわー…面食いだし」



    女「だ……⁉︎」


    女「大体前から怪しいと思ってたのよ!!全然モノ食べないし辻褄の合わない嘘多いし!」


    宗太「へーほー」



    女「あんたが化け物だなんてとっくにバレてんだよ馬ぁぁぁ鹿!」



    宗太「えー…ブヒブヒブーブーと喚いておりますが…この日の為にバンバン食わせてぶっくぶっく太らせました。皆さんどうぞ…
    トロトロの脂を味わってください」



    女「くたばれクソ野郎ォォォォ──!ああーっ!ああああ!!」



    カネキ「…(あの…うるさいです黙ってくださいお願いします。」



    女「お前が黙れェェェ!!」



    カネキ「(あ、途中から声が…)」




    『そして!!…本日のメインは真ん中の少年!若い男性の肉です!これはまた
    なんとも美味しそうですね〜』



    カネキ「え!僕がメイン⁉︎」
  38. 156 : : 2015/05/13(水) 03:31:02


    「おぉー…若いな…15〜16くらいか?」


    「フフ…とっても美味しそうだわ…」



    『仲介はMM氏様です!』



    月山「フフッ…」



    「おお…MM氏」



    カネキ「ぁ…月なんとかさん(へんな仮面つけてる…)」


    月山「紳士淑女の皆様方。…皆様ならもう若い人間の肉体は何度も口にしている事でしょう。ですが!…
    そこの彼は…どーも…そこらへんの若い人間とは違う匂いを醸しています。(そしてカネキくん。僕の名前は月山だ。君わざといってるだろう…!)」



    「ほぅ?匂いとな?」



    「一体どんな…?」スンスンッ


    スンスンッ スンスンッ…




    カネキ「(なんで、こんな多勢のヒトに匂い嗅がれなきゃいけないの…?)」




    「ん!?…なんだこの匂いは!」



    「今まで嗅いだ事のない匂いですわ!」


    「とても うまそうだ!」



    「これは期待できるな!」



    「流石はMM氏!」



    月山「フフ!…それに…本日はしっかりと運動で汗を流させコーヒーも含ませました!…肉はほぐれ
    香り高い味わいを我々に提供きてくれる事でしょう!」


    月山「───さあ!」



    月山「究極の美食を楽しみましょう!」



    「オオオオオオオ!」



    「ブラボーッ!」




    カネキ「フフッ…ハハッ」



    男「う、うわー…手が込んでるなぁー…」





    『それでは…ディナーショーを始めさせていただきます』





    ガコンッ…ゴゴゴゴゴー



    カネキ「うん?…(まったく…今度はなんだ?…扉からなんか出てきたぞ……)」




    『本日のスクラッパー(解体屋)の登場です』



    スクラッパー「お…おお…お」



    スクラッパー「がんばります…よろしくおねがいします」




    ※タロちゃんではございません




    『それでは、スクラッパーの解体ショーをお楽しみください』




    男「はは…は」



    カネキ「どうしました?」



    男「これ…アレだよアレ!は、ハプニングレストラン!…そう!ど、ドッキリとかだよ…!」プルプルッ



    カネキ「….」


    カネキ「あの…たぶん…ドッキリとかじゃないと思うんですが…」



    男「そ、そそそんなわけないさ!」



    女「うううぅ…」


    男「そんなわけ…そんなわけない!!」



    カネキ「まぁ…とりあえず落ち着きましょう!ね?…」



    男「あ……ああ…」



    スクラッパー「…」ズンズン



    男「ひっ…」


    女「ッ…うぅ…」



    カネキ「(スクラッパー?とかいう人…デカイな…こっち歩いて来てるし…っていうか…腕にデカイ包丁持ってるんですけど…!)」



    スクラッパー「ふんっ!」ブンッ!



    男「うわああっ!?」


    ザンッ!!


    女「きゃあああーっ!!」



    男「あ、あぶねぇー!…」プルプル



    男「き、君!そんな物を振り回して!…危ないじゃないかっ!」ブルブル…



    「やれー!!そいつらの内臓をブチまけろー!」



    「がんばれー!スクラッパー!」



    カネキ「ん?…(あれ?…そういえば…あの上にいるヒト達って……喰種じゃんっ!!……うわ…マジか…今日はついてるな…ありがとう月なんとかさん
    …いや でもあれ全部が喰種なら
    僕死ぬな…流石に勝てないよ。また…逃げるしかないのか…?)」



    男「金木くん?!…どうする!?」


    カネキ「え?…ああ、はい。とりあえず出口を探して逃げましょう」


    男「そ、そうだね!」


    女「そんな物ないわ!!…全部外側から鍵がかけられてる…!外に出るには、壁を壊すしかないわ!…」



    カネキ「あ、そうですか。じゃあダメですね。僕ら死にます。」



    男「なっ!?」


    女「ちょっとあんた!!なにふざけたこと…!」


    カネキ「本当の事じゃないですか。壁なんて壊せるわけないし。」


    男「う…た、たしかに……」


    カネキ「まぁ、一つだけ助かる方法ありますけど……」


    女「え…!?」


    男「な、なんだそれは!」


    カネキ「あの喰種達 全員殺せば出られるんじゃないですか?…」


    男「……ッ…⁉︎」

    女「いやだ……死にたくない…死にたくない…!」


    カネキ「…」


    カネキ「(でも、本当に…外に出るには…喰種全部殺さないと出られないな…)」
  39. 160 : : 2015/05/13(水) 23:44:53


    カネキ「(うーん…でもなぁ…喰種に刃物はとおらないし…
    僕の攻撃じゃダメージあんまり与えられないし…)」




    スクラッパー「そぉれぇっ!!」ブンッ!



    カネキ「!」


    カネキ「わっ!…と」サッ



    男「だ、大丈夫かい!」




    スクラッパー「あえ?あたらない」ブンブンブンッ!



    カネキ「…」サッサッサッ




    「やれー!!スクラッパー!」



    「あのスクラッパー…仕事が雑だな。初心者か?」


    「そうだな…」




    スクラッパー「あぁぁあいっ!!」ザァンッ!!



    カネキ「あ、危ない危ない…」サッ!




    カネキ「(チッ…喰種を殺すには…まずコイツが…)」








    カネキ「───…邪魔だな」パ キ ッ








    スクラッパー「いいいあああ!!」ブンッ!



    カネキ「…」サッ


    カネキ「(コイツ…喰種?……それとも…)」





    「おいスクラッパー!メインは後にしろー!」



    「そうだそうだ!先に逃げてる2人をやれ!」



    スクラッパー「あい…」ズンズンッ




    カネキ「あっ、待て!」タッ



    男「う、うわあー?!」ダダッ



    女「こっちくんなっ!!」タダダダッ


    スクラッパー「まてー!」ダダダダダッ



    カネキ「(スクラッパー足早っ⁉︎)」





    スクラッパー「まてー!!」ダダダダダッ!!



    男「なんでこっち来るんだ⁉︎やめろ!やめてくれぇ!」タダダダッ





    スクラッパー「まって〜ッ!!」ダダダダダダダダ




    男「くぅ!…あがっ!?」ガツッ!



    男「うっ!やば…」ドテッ



    「はははっ転けたぞ!」



    「今だいけー!」



    スクラッパー「」ガ シ ッ !




    カネキ「ぁ…」



    男「う…⁉︎…はな…!離せ⁉︎離してくれ⁉︎」ジタバタッ



    スクラッパー「ギッコー」ギランッ



    カネキ「(ノコギリ…!)」



    スクラッパー「ギッコギッコ〜」ギリ



    男「⁉︎…お、おい…うそだろ!……やめ───」


    スクラッパ「ギコギコギコギコギコギコ〜」



    ジャコジャコ ギコギコ



    男「ッ⁉︎痛ッ!いたいいたい!!やめろやめてくれ!やめてくださいッ?!」




    スクラッパー「ギッコ…ギコギコ〜ッッ!!」




    男「うあッ⁉︎あ───ッ!!」






    ギコギコギコギコッ!…ぶ ち ん !




    男「!?ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!」





    カネキ「いっ…!?」



    女「ぁ…あ…」ガクガク





    スクラッパー「いっぽん〜」
    ぽいっ←腕





    「おぉ!キタぞ!」



    ザワザワ! ザワザワ



    「私にもくれ!」


    「私にも!」




    男「ぅ…ぁが…ぎ…ゃ」ピクピク…




    スクラッパー「…」ぬっ…



    男「ひ…ひっ…⁉︎…も、もうや」




    スクラッパー「…」ブンッ!






    ザ ク ッ !



    男「!?ぎゃあああめろぉぉぉぉおおおおおお!!!」



    グシャッ ザシュッ ズバッ ザシュザシュッ



    男「うううああ``あ``あ```あ``あ``あ``あ``あ``ああ``ああ``あ`……ぁ…」



    ザックザクッブシュリッザクッ!



    男「ぁ…ぁ…………」




    スクラッパー「それそれそれぇー!」



    男「」



    カネキ「う…(死んだ…?)」





    『はい!…早くも一体の解体が終わりました。回収スタッフが戻り次第
    オードブルを皆様にお取り分け致します。』





    スクラッパー「つぎー!」
  40. 161 : : 2015/05/15(金) 21:33:06


    カネキ「…」


    女「!?」


    カネキ「….えっと…出部さん?」


    女「…?」


    カネキ「遠くまで逃げてください…僕が時間稼ぐので(もうグロいの見たくないので)。」



    そういってカネキは出部の前に立った






    スクラッパー「のっこのっこのっこのっこ つぎのにく〜」ズンズン




    カネキ「(さ、どうしようかな…
    体格差はあるけど…ま、なんとかなるさ…)」



    女「…」スッ




    ド ン ッ !




    カネキ「⁉︎わっ!」ドテッ




    カネキ「(え?背中押された…蹴られた?)」



    カネキ「(だ、誰だ?)」クルッ



    女「あたしを助けたいなら…」



    女「アンタ 囮で先にしんでよ」



    カネキ「…」



    カネキ「(蹴ったのお前かよ!)」





    宗太「お〜いいね出部ちゃん〜」



    「ハハハ!見ろあの女!」



    「命が懸かればなんと醜い」



    宗太「そのクズっぷり!」



    宗太「S o G o od!」




    カネキ「(せっかく守ってやろうとしたのに それは酷い…)」




    ぬ ぬ っ



    カネキ「!」バッ



    ズドォォォン!



    カネキ「っく…」ザザササァ…



    カネキ「僕じゃなくてあっち狙ってくれません?…」





    月山「…うむ…やるねカネキくん?…だが…それもいつまで続くか…フフ」



    スクラッパー「んんん…めいんはあと めいんはあと」クルッ




    女「え…⁉︎なっ…」



    スクラッパー「めいんは あと…さきに こっちーっ!」



    カネキ「(あ…本当に狙った)」




    女「くそっ!…なんであたしが!」ダッ!




    スクラッパー「まって〜〜〜!」ドドドドドドドッ




    女「くっ…ふっ!…はっ!」




    「お、あの肥満女…意外と動けるぞ」



    宗太「あぁ…そういえば…出部ちゃん…」




    女「ふ、ふはっ!…私は…昔陸上やってたのよ!!…今はこんなでも あんな奴から逃げるなんて楽勝!」タッタッタッッ



    カネキ「(おぉ…そうなのか)」



    「しかしなぁ…早く捕まってくれんのか?…こっちはもうお腹がすいたぞ」


    「まったくだ」



    「どうせ、調理されるのだから…無駄な抵抗はやめたまえ」




    女「」タッタッタッ!




    スクラッパー「」ドドドドド




    『お〜っと!スクラッパーのオーナー…
    マダムB様からもエールが送られております!』




    マダムB「頑張って〜!!頑張ったらあとでご褒美あげるわよ〜!ほら走ってー!」




    スクラッパー「わかったー!」ドドドドドドドッ




    女「くっ…!」タタダダダッ!




    「2人ともすばしっこいな」



    「はやくしろー!スクラッパー!」



    「頑張れ〜」




    『ふむ…もうすぐでしょう』




    カネキ「…?(なにが…?」」




    女「はっはっふっふっ」タッタッ



    女「はっはっ…ふっ……⁉︎」




    女「!?」ドクンッ!




    女「ッ!?」ぐらり…ズサァッ





    カネキ「…!」



    女「っ…あ、…か…身体…が…」





    『ふふ…どうやら毒が効いてきたようです。』




    カネキ「(毒ぅ⁉︎)」




    女「ぐ、くそっ…動けよォ!」



    カネキ「(まじですかよ…ど、毒って…
    一体いつ……!!…あ、まさか…
    あのコーヒーかクッキーに…?
    … だとしたら……)」




    カネキ「(の、飲まなくて(食べなくて)よかった───っ…!!)」

  41. 168 : : 2015/05/18(月) 22:55:08


    『あぁ、それと…ご安心ください。
    胃は後ほど綺麗に洗浄致しますので』




    スクラッパー「ふんふんふん〜ンフー…」



    女「あ…ッ…こ、こないで…!」ズリ…ズリ…



    スクラッパー「つっかまえたー!」ガシィッ!




    女「は、はなぜぇ!…」ザザサザ



    スクラッパー「ま、ま、ま、まる…まる」グンッ←女持ち上げる




    カネキ「(た、助けないと!…(さっき蹴られたけど)」ダッ!




    スクラッパー「まー、まー、まるー」スタスタ



    女「いっ、嫌…!やめろォ!」




    カネキ「!」ピタッ



    カネキ「え…スクラッパー君?…なにを…(鉄板までもっていって……まさか…)」




    女「やめてぇぇええ!ああああ」




    スクラッパー「まーるやーき!」ドスッ!




    そういって熱々の鉄板に女(出部)を押し付けた




    ジュウウゥウウウゥ〜〜〜!!!




    女「ん``ん``あ``あ``あ``あ``あ``あ``あ``あ``あ``あ``あ``あ``────ッッ!!!」




    カネキ「(ぎゃあああああああああああアア────ッッ!!?)」





    「おいおい…シャワー浴びてないんだったら先に身体を洗わせろよ…」



    「あのスクラッパー…手順をわかっていないな」




    女「ばああああああああああああ」




    ジュゥゥウウウウ〜〜〜!




    女「づづゔゔゔゔぉ``ぉ``お``お``」





    カネキ「ぅ…(なんか臭ってきたぞ….なんだこの独特の臭い
    こ、これが人間を焼いた臭い…ゔ…またなんか臭ってきた…この臭い…髪の毛か…!)」




    女「ゔあ……ァ…ぁ…………」




    カネキ「ッ…!(生きたまま鉄板で焼いて 殺すとか..惨すぎだろ……)」






    スクラッパー「」クルッ



    カネキ「…!」



    スクラッパー「」



    スクラッパー「めいん」のしのし..



    カネキ「チッ…」







    月山「…さあ」




    月山「次は君の番だよ…」




    月山「カネキくん」





    カネキ「…」




    どうする…スクラッパーを倒しても
    上にいる喰種がみんな襲ってきたら
    勝ち目は ほぼ無い、ほぼっていうか…無いな。….…



    カネキ「(せめて…あの捜査官が持ってた銃があれば…..盗っとくべきだったな…)」




    スクラッパー「めいんっめいんっ」




    カネキ「(そもそも…こいつは喰種なのか?.…喰種と人間の見分け方なんてわからないしな……でも…)」



    スクラッパー「めいんっめいんっ」



    カネキ「(とても普通の人間には見えないな….…)」




    カネキ「まぁ.…喰種か人間か、なんて…すぐわかるさ…!」ダッ!




    月山「(中々速いね…)」


    スクラッパー「ん!」



    カネキ「(僕の攻撃が効けば「人間」、効かなければ「喰種」だ)」スッ…




    「お?なんだアイツ」



    「まさかスクラッパーと戦う気か?ハハッ」



    宗太「目の前で2人も人間殺されたっていうのに、勇敢だね〜」パチパチ





    カネキ「ッ…!」フッ!




    ド ガ ァ ア ァ ア ッ!!




    スクラッパー「ぐうぇぇえっ!」ズサァッ…



    月山「(フゥン?…人間にしては…中々良い蹴りだ)」



    スクラッパー「うぅ…いだい…」




    カネキ「!(この感じ…!効いてる。スクラッパーは人間か…!)」




    カネキ「(人間なら…殺すのは容易だ…ちょうどデカい武器もあるしね)」



    カネキ「(スクラッパーが持ってる巨大な鋸と巨大な包丁…使うなら包丁だな…まず、スクラッパーから包丁を奪い…そして……)」




    カネキ「(うん?…待てよ仮にも相手は人間だ。殺しちゃマズイよな…まぁ多少怪我させても問題無いよね。正当防衛だよ正当防衛)」



    カネキ「じゃあ…その腰にある包丁かしてもらおうか…!」ダッ



    スクラッパー「」ブンッ!




    カネキ「(攻撃が単調だな…これならスクラッパーは余裕で倒せる…)」サッサッ



    カネキ「…」スーッ



    カネキ「貰った」パシッ




    カネキ「…っ…結構…重いな…!」っ包丁



    スクラッパー「…?…それ…ぼくの…?」



    カネキ「そうですよ」


    スクラッパー「…かえせぇぇええ!」ダンダンダンッ




    カネキ「フッ…!」チャキッ

  42. 177 : : 2015/05/20(水) 17:33:29



    ガィンッ!ガキンッ!キンッ!





    カネキ「ッく…!」ガギィンッ!




    スクラッパー「あああああ!!」ブンブンブンブンッ




    カネキ「ッ…!(ただ適当に鋸振り回してるだけなのに…
    スクラッパーのパワーが強いから…攻撃が重い…!)」キンッキンッ!



    月山「(素晴らしいね。カネキくん。スクラッパーの攻撃をちゃんと防いでるじゃないか)」





    「おぉ、あの人間やるな」



    「いけー!スクラッパー!」



    「いけいけー!!」




    カネキ「(…でも…パワーだけじゃ勝てないよ。スクラッパー君)」ガィンッ!




    スクラッパー「ぐうっ!…」







    カネキ「次は僕の番だ…」ダッ!ブンッ!





    スクラッパー「ぐわっ!」スッ





    ガキイイィイインッ!!




    スクラッパー「ぐぐぐぐぐぐ…」



    カネキ「ふっ!」ザシュッ




    スクラッパー「あがッ…⁉︎」ブシュッ




    カネキ「ごめんね…フフ…でも殺しはしないさ」シュッ!




    スクラッパー「ふん!」ガギィン



    カネキ「(止めた…やるな…)」



    カネキ「ふ…っ!」ブォンッ!




    カネキ「ッ…ーー!」ガキンッガキンッ!キンッ!




    「スクラッパー…防戦一方だな」


    「大丈夫か?…あのスクラッパー…」


    「やはり、初心者では動きがダメだな…」





    月山「(…カネキくんが使っている
    包丁とスクラッパーの使っている鋸は両方とも同じ大きさ。
    しかもパワーはスクラッパーの方が完全に勝っているはず…
    なのに…スクラッパーの鋸だけが
    ボロボロだ…)」





    カネキ「ふっ!…はぁっ」ガキンッガキンッガキィンッ




    スクラッパー「ぐあ…ぐぅぅ…」ガキンッガキンッ




    鋸「」ボロッ…





    月山「どんな武器も…使い手次第という事か…..?」




    月山「君。」



    「はい?どうなされました?」



    月山「スクラッパーの鋸がボロボロだ…他のものはないかな?」



    「…それが….この前の解体ショーであのスクラッパーが全てボロボロにしてしまい…」



    月山「….ふむ」




    ガィンッ!ガキンッガキン!ギン!




    月山「…!」


    月山「あぁ、そういえば…アレがあっただろう?」




    「はぁ…確かにありますが…いいのですか?」



    月山「構わないさ。持って来てくれたまえ」



    「承知しました」


    ────────────────────────




    「お持ちしました。」スッ



    月山「ご苦労…スクラッパー君に渡してくれ…あぁ、使い方も教えてあげてくれ。」


    「はい。」






    ガィンッ!キィンッ!




    カネキ「…」ガキンッガキンッ



    スクラッパー「う、あ…ぁぅウ」ガキンッ…ガキンッ…




    カネキ「(重いなぁこの包丁そろそろ腕が疲れてきた……)」ガキンッ!…





    カネキ「ん…?」



    スクラッパー「あい?」



    「…」スタスタ




    カネキ「(…誰か歩いて来てる…
    なんだ?)」




    「…」スタスタスタ



    「…」



    スクラッパー「???」


    カネキ「(スクラッパーに何か用なのか…?)」



    「…これを」スッ




    カネキ「…?」






    ア タ ッ シ ュ ケ ー ス…...?






    スクラッパー「??なに?これ?」




    「このスイッチを…」




    スクラッパー「あい…?」




    「では…私はこれで」スタスタ




    カネキ「…(なんだったんだ?…
    アタッシュケース持たせて
    どっか行った…)」







    月山「フッフッフッ.…」



    カネキ「…?(なんだ…月ナントカさん…いきなり笑い出したぞ)」





    スクラッパー「??」カ チ ッ !





    ガ シ ャ ン ッ !バ キ バ キ キ キ!




    カネキ「…!?」





    ガ ギ ィ ン ッ ! ! !





    スクラッパー「」ジャキィィンッ!






    カネキ「な…っ!」





    なんだと…⁉︎…アタッシュケースみたいなのが.…刀に変化した?!





    カネキ「(いったい…どういう造りになって.…)」




    月山「フフフ……その武器」



    月山「『クインケ』なら…如何なる武器にも負けまい…!」





    カネキ「く、くい?…くいんけ?」




    スクラッパー「あああいい!!」ブオォッ!




    カネキ「ッ!」スッ




    月山「クインケは本来…」



    月山「喰種相手に使用する武器だがまぁいいさ…」





    スクラッパーの攻撃をカネキは巨大包丁で受け止めようとしたが…





    バ キ ン ッ




    カネキ「なッ?!」
  43. 195 : : 2015/05/23(土) 18:59:36


    スクラッパー「」ブンッ!



    カネキ「!…くそッ!」バッ!




    ズ ガシャァ ン ッ !





    カネキ「危なッ…」ズサァ…



    スクラッパー「うぅぅ…」



    カネキ「…まさか包丁が折れるとは…」





    月山「さぁ…どうするかな?カネキくん。君の武器は壊れてしまった」




    カネキ「…」




    カネキ「ふ…」



    カネキ「フフッ…あはははははッ」




    月山「む…⁉︎」




    カネキ「ははははっ…どうするって?…」



    カネキ「そんなの決まってるじゃないですか。」



    カネキ「月さん」



    月山「…!(月さんだと?)」



    月山「……なんだい…?」


    カネキ「…」


    カネキ「今日」




    カネキ「この場に居る喰種は──」





    カネキ「 死 に ま す 」







    月山「……なに…?」





    ザ ワ ザ ワ ザ ワ ザ ワ




    「ははっ、あの人間なにをいってるんだ?」



    「ふふふ…さあ?」



    「我々が死ぬ?追い詰められて、頭がおかしくなったか?」






    カネキ「月さん」



    カネキ「スクラッパーにクインケとやらを渡したのが間違いでしたね」



    月山「…!」



    カネキ「あなたは さっき…クインケは『喰種相手に使用する武器』だと言った。それはつまり、クインケなら喰種を殺せるってことですよね」



    月山「…」


    カネキ「ふふッ…」



    カネキ「僕がそれ(クインケ)を奪って」




    カネキ「あなた達(喰種)を殺しに来るとは考えなかったんですか…!」





    月山「!」




    一同「!?」




    ザワ ザワ ザワ ザワ ザワ




    「な、なんだと!?」


    「そ、そんなこと出来るわけが…⁉︎」



    「お、落ち着け!クインケを持ったところで我々を……この数の喰種をたったの1人で殺れるわけないだろ!」



    「そ、それもそうだな」


    「あ、ああ…」





    カネキ「……どうでしょうかねぇ」





    月山「フッ…それくらいの事…当然考えていたに決まっているだろう」



    月山「その上でクインケを渡したんだ。」



    月山「君とスクラッパーの力(パワー)はスクラッパーの方が上……奪い取れるかな?」



    カネキ「…それくらい簡単ですよ」



    月山「フゥン?……それに、別に君がクインケを奪ったところで何も問題はない。何故なら…」





    月山「今の君では僕を殺せないからさ」




    カネキ「……どういうことですか?…僕ではあなたを殺せない?僕があなたより弱いと言いたいんですか?」



    月山「フフッ…そんなことより」




    月山「ほら…スクラッパーが来てるよ」



    カネキ「…!」




    スクラッパー「」ザンッ!




    カネキ「…ッ!」バッ




    スクラッパー「」ズガァン



    カネキ「チッ…」



    カネキ「」ダッ!




    スクラッパー「!」




    カネキ「…これ…ください…っ!」ガシッ←クインケ



    カネキはスクラッパーが持っているクインケを奪おうとしたが




    スクラッパー「だめええええ」ググググッ




    「スクラッパー!絶対離すなー!」



    マダムB「はなしちゃダメよぉー!離さなかったらご褒美あげるわ〜!」



    スクラッパー「はなさないぃー!」ググググッ



    カネキ「…っ!」



    くそッ…強く握って離さない…
    どんだけ力あるんだよ…!




    カネキ「ほんと…お願いします…ッこれ くださいよ…っ!」グイグイッ




    スクラッパー「いやだー!!」グググッ
  44. 196 : : 2015/05/23(土) 19:05:34


    カネキ「く…っ…いい加減に…!」




    スクラッパー「ううう!手はなせええええ!」ジタバタジタバタッ!



    カネキ「ちょッ…と 暴れないでくださいよッ…危ないッ…だろ!」



    スクラッパー「うううううあああああああ!!」ブンッ!




    カネキ「ッ!…しまっ」




    ザ グ ッ !




    カネキ「ッ…ああッ!!」




    スクラッパーが暴れてクインケを振り回したせいで…カネキの足(太股)にクインケが刺さった。




    カネキ「ッ…!!」




    「おお!やったぞ!」



    マダムB「もっとやりなさぁ〜い!」



    月山「フフッ」




    スクラッパー「それそれそれそれええええええ」グジュッグジュッ!



    カネキ「ぐっ…ちょッ…やめ…!」ズキズキッ



    スクラッパー「それええええ」グリグリッ




    カネキ「ぐうッ!…いい加減に」



    カネキ「しろッ!」ドゴォッ!




    スクラッパー「あああいいいい」ズボォッ!



    カネキ「痛ッ…⁉︎」ダラダラ…





    スクラッパーが太股からクインケを抜いた瞬間、血がダラダラと出る。

    それと同時に甘い血の匂いが漂ってくる






    「おおおおおお!!」


    「なんていい匂いなんだ!」


    「す、素晴らしい!」


    「早く食したい!」




    月山「おぉ…素晴らしい!本当に素晴らしいよ!カネキくぅん!この香り…早く喰べさせておくれ!」





    カネキ「…っ…」ドクドク…




    スクラッパー「…」ズンズン




    カネキ「…仕方ないか……」ドクドク



    カネキ「…!」ダッ!




    カネキ「…ッ」



    走るたびに足に痛みが…




    カネキ「クインケを離してくれないなら…」




    カネキ「すみませんが────」





    カネキ「─────腕を折らせてもらいます」ダダッ!




    月山「ほぅ、腕を折る…そう来たか…」



    月山「だが!…そう簡単にいくかな?」



    スクラッパー「」ジャキッ




    カネキ「…!」ダダダッ




    スクラッパー「うういいいい!」ヒュンッ!



    カネキ「ふ…ッ」タンッ




    スクラッパーの(クインケでの)攻撃をカネキはジャンプし、回避…




    カネキ「ふッ!」グルンッ ビュッ!




    そのまま空中でスクラッパーの頭部に回し蹴りを くらわせた




    スクラッパー「あぐぐうっうう!」グラッ…グラグラ…



    カネキ「これで……!」ガシッ!


    そして、スクラッパーの(クインケを持ってる方の)腕を掴み───


    スクラッパー「う??」


    カネキ「ッ…」グリンッ



    手の平を返し───



    カネキ「」グイッ



    腕を上へ捻る、そして 肘関節部へ


    垂直に蹴りを────





    カネキ「どうだ…ッ!」







    バ キ ィ ! ! !







    月山「……見事」
  45. 212 : : 2015/05/27(水) 00:52:28


    スクラッパー「あぐううううううううううあいうぐう」ブラーン



    スクラッパー「うううううー…いだいいだいいいい!!」カランッ←クインケ




    マダムB「ああああああッ!離しちゃダメって言ったでしょぉ!?」



    スクラッパー「ううう…ごめんなさい……まま」





    カネキ「よしッ!」パシッ←クインケ



    カネキ「クインケ」



    カネキ「GET…!」



    カネキ「フフッ」ニヤリ…






    「お、おい…クインケ取られたぞ⁉︎」



    「な、なに…なんの問題もないさ……!」



    「アイツはここには来れないからな!」








    カネキ「…(さっき…スクラッパーにクインケを渡した奴が、向こうの扉から来たけど…あの扉の所から上へ行けるのか?…今は閉まってるけど…)」



    「そうだな!我々の居る場所とあの人間の居る場所は結構な高さがある登ってこれるわけがない」





    カネキ「(高さ…約10メートルほど…?…うん。問題ない )」







    カネキ「…ふっ…く…っ」




    ガ ッ ! ガ ッ ! ガ ッ ッ





    カネキ「(難しいけど……なんとか…)」ガッガッ




    「お、お、おい!!…アイツ」



    「壁にクインケを刺しながら登ってきてるぞ!?」



    宗太「おっほ〜!マジかよ〜…スゲー」


    月山「フ……下で黙って居れば…
    いずれは誰か来たかも知れないというのに
    そんな面倒なことをしてまで登って来ようとするとは…君はそんなに僕達を殺したいのかい?」



    カネキ「別に…っ…殺したいわけでは無いですけど……ここ(レストラン)から出るには あなた達を殺すのが一番手っ取り早いかなと…」ガッ




    月山「…」



    カネキ「…(というか…すごいなぁクインケッて…壁を刺せるなんて……頑丈だし、なんていい武器なんだ…!)」ガッ…ガッ





    「お、落とせ!赫子だ!赫子!」



    「だ、誰か!羽赫の奴!おとせ!」



    「よ、よし!」ズズズズッ←赫子(羽赫)




    カネキ「!」




    「落ちろっ!!」ババババババッ!




    カネキ「!うあああッ!!」ヒュー



    「よし!」



    「やったぞ!」


    「だが、また登ってきたら」



    「いや…あの人間にだって学習能力とやらはあるだろう」



    カネキ「(しまった…ッ…落とされた…!)」



    カネキ「(くっ…なんだ今の攻撃…この前みた喰種(黒熊)のヤツとは違ったな…)」




    カネキ「(しかし まいったな。また登っても落とされそうだし…
    どうするか…。)」




    カネキ「!」



    カネキ「あの扉…壊せるかな…?」




    カネキ「行ってみよう…」タッタッタッタッ




    「お、おいあの人間…扉のほうに向かってるぞ… !」


    「こっちくるんじゃないのか…!?」



    「心配はいりません。鍵なら閉めてあります」






    カネキ「…」タッタッタッ…




    カネキ「…普通の大きさの扉だな…」



    カネキ「…」コンッコンッ



    カネキ「…!」




    カネキ「そこまで厚くない…!これなら壊せる…!」ジャキッ

  46. 219 : : 2015/05/30(土) 12:47:14



    ドオオオォオォオオオンッ!!





    カネキ「よしっ、壊せた。 おそらくどこかに上へ行く通路とかがあるはず…」



    カネキ「…!」


    カネキ「あそこに螺旋階段?っぽいのがある…」



    カネキ「ここを登れば上へ行けるのか…!」タッ!




    カネキ「(螺旋階段って…のぼるの面倒だなぁ)…」タンタンタンタンッ



    ────────────────────────


    「おい!?上ってきてるぞ!?」



    「どうするの!?」



    宗太「ま〜ま〜…落ち着きましょうよ〜…出てくる所がわかってるんだから仕留めるのは簡単ッスよ〜」



    宗太「金木くん?が階段から上がってきた瞬間 赫子で一斉攻撃!これで終了っ!さっすが俺!」



    「な、なるほど!」


    ────────────────────────





    タンタンタンタンッ!



    カネキ「」タンタンタンッ



    カネキ「ッ !?」ズキンッ



    カネキ「!」



    さっきスクラッパーに刺された足が…!



    カネキ「…まぁ…こ、このくらいなら全然大丈夫さ…!」ダンダンッ




    カネキ「よし…もう少しだ」タタタタンッ!






    カネキ「よっし!」ダ ン ッ !






    カネキ「到着────」




    ババババババッ!ズドドッ!バンッズバババッ!





    カネキ「ぃッ────!?!」




    カネキが階段を上がった瞬間に羽赫の攻撃がカネキを襲って来た




    カネキ「ッ…!!」ガキンガキンガキンッ





    ガギンッ ガキンッ ガキンッ ガキンッ




    カネキ「くッ…!」ガキンガキンッ



    バババババババババババッ!




    ガキンガキンガキンッ






    ガ キ ィ ン ッ ! !




    宗太「わお!」




    カネキ「フ〜ッ 危なかった…!」




    「なにィ!?全て弾いただと!?」





    月山「(なんだと…⁉︎…いくら 金木くんが クインケを持っていて、常人の数倍の身体能力があるとしても……あれだけの攻撃を全て防ぐなんて…)」





    月山「…」



    金木くん。… 君は何者なんだい?





    カネキ「…さぁ、かかってきてください」クイクイッ




    「ナッ…ナメるなよ人間如きがああああァァッ!?」




    ザ シ ュ ッ ! !





    「ぐはァッ」バタッ




    「ひ、ひぃッ」



    「う、嘘だろ…!?」




    カネキ「……次」
  47. 228 : : 2015/06/06(土) 05:19:59



    ザ シ ュ ッ ザ シ ュ ッ ザ シ ュ ゥッ!!





    「が…ゔあ…」バタッ



    「キャアァァ…ぁ…ぁ……、…」バタッ



    「く…そ」バタッ



    「この私が…にんげん…ごと……き…に……」バタッ



    カネキがクインケを振り下ろす度に喰種の血が飛び散り、次々と喰種は倒れていく




    カネキ「ハハッ!」ザシュッ





    「ゔごぁ…!」バタン



    カネキ「ハハハッ!」ザシュッザシュッ




    「ぎゃ…」バタッ



    「が…ぐ…」バタッ




    「くっ…調子に乗るなよッ!?」ババババババッ




    カネキ「!おッ…と…!」ガキンッガキンッ




    「くっそぉおおおお!」ババババババッ




    カネキ「」ガキンッガキンッ




    カネキ「…⁉︎」ズキンッ




    カネキ「…ッ!」ガクッ…!



    足に痛みが走りカネキが膝をつくとまた羽赫の攻撃がカネキを襲ってくる……だが





    「!!…今だ!やれぇええ!!」



    「うおおおおおおお」



    「うおおらああああ!!」






    ババババババババババッ←羽赫の攻撃





    カネキ「チィッ!」ガシッ!!←死んだ喰種



    死んだ喰種「」



    死んだ喰種を盾にし、羽赫の攻撃をなんとか防ぐ




    グ サ グ ザ グ サ グ サ サ サ ッ !






    死んだ喰種「」ボタボタ…






    カネキ「……助かった」スッ





    死んだ喰種「」ドサッ…




    羽赫の攻撃で蜂の巣になった喰種をポイッと捨ると、カネキはすぐに立ち上がり喰種を狩りに走り出す





    「あ、あいつ…喰種を盾───」





    ザ シ ュ ン ッ




    「に……」ボトッ…←首





    カネキ「…フ〜…ッ」




    「ひ、ヒィッ!?」



    「な、なんなんだよぉ!…アイツは!?」



    「くそぉ!に、逃げろォォ!!」




    カネキ(あー…気持ち悪くなってきた……ゔええ…)




    カネキ「…」



    喰種が向こうに逃げて行ってるってことは
    あっちに出口が?
    あとを着いていけば外へ出られるかも知れないな。




    宗太「」ササッ


    カネキ「…ん?」チラ




    宗太「ありゃ、見つかっちった〜」



    カネキ「…」ブンッ!



    宗太「おっ〜とっとっと♪」サッ



    カネキ「…!」



    宗太「危ないな〜」



    カネキ「(このピエロマスクの奴……)」



    カネキ「(ほかの喰種とは違う)」





    カネキ「(たぶん…強い…!)」




    宗太「じゃ!皆逃げてったし俺も逃げようかね〜」タタタタッ




    カネキ「待…っ!」



    カネキ「いや…(別に…追う必要はないか…)」
  48. 229 : : 2015/06/06(土) 05:22:28


    カネキ「ん?…」




    そう言えば……あのヒト(月山)は…?





    月山「やあ」



    月山「ここだよ」



    カネキ「!」バッ



    月山「フフ…」



    カネキ「…」ジャキッ



    月山「いやぁ…しかし驚いたよ。君があれほどの強者だったとは」



    カネキ「…はい?…冗談でしょう?僕はまだまだ弱いです。」



    月山「フフッ…」




    カネキ「それより、あなたは逃げなくもいいんですか?」



    月山「フン…逃げる?…カネキくん。僕は少し怒っているんだよ?
    せっかくの晩餐を台無しにされてね」



    カネキ「そうですか」



    月山「…」



    カネキ「じゃあ、僕は帰りますので」タッタッ




    月山「ちょっと待ちたまえ!!」ビシッ



    カネキ「…はい?」ピタリ




    月山「僕が君みたいな美味な人間を逃すとでも思っているのかい?」



    カネキ「逃がしてくれないんですか?」



    月山「…」



    カネキ「………なら」





    カネキ「倒して行きます。」




    月山「フッフッフッ…悪いが…今の君では僕を殺るのはかなりhard(ハード)だよ」



    カネキ「…」




    月山「自分で言うのもなんだが…
    こう見えても僕は結構強いよ?」




    カネキ「(確かに…強そうだな…)」



    カネキ「(でも……)」ダダンッ




    月山「人間にとっては…君の動きはかなりの速さなのかもしれない」



    月山「だけどねカネキくん。喰種の僕にとってはそれは歩いているようなものさ!」



    カネキ「」タタタタッ!


    月山「む…!(スピードが上がった…!)」



    カネキ「フッ!」ザンッ!シュッ!



    月山「少々速度が上がったが…まだまだだね…!」サッ サッ




    カネキ「フッ…!!」ザ ン ッ !



    ビ リ ィ ッ



    月山「!…おっと…何て事をするんだ…服が破けてしまったじゃないか…!」




    カネキ「チッ…(このヒト…本当に強いぞ…!)」

  49. 235 : : 2015/06/07(日) 18:49:08
    期待っちょ
  50. 237 : : 2015/06/08(月) 00:30:00
    期待している
    完結まで頑張ってくれ
  51. 238 : : 2015/06/08(月) 01:51:13
    期待
  52. 244 : : 2015/06/12(金) 08:53:27


    カネキ「く…ッ!」シュッ!シュッ!


    月山「ほらほら!さっきからずっと空を切っているだけだよ!」サッサッ!



    カネキ「これならどうだッ!!」ヒュッ!ドカァッ!



    月山「フン」パシィッ



    月山「パワーはある。だが…そんな遅い蹴りでは擦りすらしない!」



    月山「もっと速く動けるはずの君が何故、そんなにノロノロとしているのか
    それは、君が足を負傷しているからだ。違うかな?」



    カネキ「…ッ」



    月山「わかっただろう?。君に勝ち目はない。負傷さえしていなければ、もっと良い勝負が出来ただろうね」



    カネキ「クソッ!」ヒュッッ!



    月山「やれやれ…」パシィッ



    月山「お手本を見せてあげよう。」スッ






    月山「これが…本物の蹴りッ!」ヒュッ!







    ド ガ ァ ッ




    カネキ「!?ぐ ッ は ァ ッ…!」




    カネキ「ぐっ…うぐ…ッ」ゴロゴロッ!





    カネキ「ゲホッ…ケホッ…!」




    月山「…」



    カネキ「ゲホッ…」ムクッ



    カネキ「月浜さん…」




    月山「……………フッ」



    月山「……」



    月山「………………いい加減にしたまえッ!?」



    月山「月沼だの月島だのと 何度も何度もヒトの名前を間違えて!?君!わざとだろう!?僕の名は月山ダァッ!」



    カネキ「そうですか。すみません。では……」



    カネキ「月山さん」





    月山「…!」




    カネキ「今から僕は……真面目に…本気で戦おうと思います。」





    月山「………フゥン?ハード(本気)になろうというのかい?」



    カネキ「………ええ…」



    月山「フン。ならば君はさっきまで全力では無かったと……そういうことか?」



    カネキ「まぁ…そうですね」




    月山「……」



    月山「フッ!ならばそのハードな力!僕に見せてくれたまえ!」



    カネキ「ええ…早くココ(レストラン)から出たいので…さっさと終わらせます…!」








    カネキ「…いきます」




    カネキ「────!」シ ュ ン ッ ! !




    その瞬間。月山の視界からカネキの姿が一瞬消えた…




    月山「!!!」




    カネキ「」タ タ タ タ タ ッ ! !




    は、速い…っ!…さっきまでとはまるで動きが違う!




    これは────────!



    カネキ「…ッ!」ザ ン ッ ! !



    月山「うッ…!」バ ッ !



    一瞬で間合いを詰めたカネキはクインケを縦に振り、一刀両断しようとするが、ギリギリで躱される



    月山「…ッ」



    あの動き…あの速さは……!喰種に勝るとも劣らない速さだ…



    月山「フ…ハハ…すごいじゃないかカネキくん。流石にこの僕も驚いたよ…」



    カネキ「……ありがとうございます」



    月山「フ……」ツゥー…




    月山「ん……?」スッ




    月山「……血…?」




    カネキ「…残念…かすっただけですか……」



    月山「…!」



    月山「…この僕に…かすったとはいえ攻撃を当てるとは…」




    月山「認めよう。君は本当に強い」



    カネキ「ありがとうございます…ッ!」ダンッ!




    カネキ「」ザ ン ッ !



    月山「…」サッ



    カネキ「」ブ ン ッ!



    月山「しかし…何故こうも速く動ける足は負傷していたはずでは…?」サッサッ



    カネキ「…ええ…痛いですが我慢して無理矢理 動かしてます」ブンッ!



    月山「なるほど…」サッ
  53. 245 : : 2015/06/12(金) 09:29:09

    カネキ「(…チッ…やっぱ躱されるな…どうする…)」



    カネキ「(一撃…とりあえず一撃はいれば一気に攻める事が出来るはず……)」




    カネキ「…」ブンッ!



    月山「…どうしたんだい?攻撃が当たっていないよ」サッ



    カネキ「……じゃあ」



    カネキ「これならどうですか?」スッ



    月山「?…何を…」


    カネキさクインケを自分の腕に当て



    カネキ「ッ…!…ふ…ッ!」ザシュッ



    そして腕を少し斬った。



    月山「!?」



    カネキ「…」ダラダラ…




    カネキ「どうぞ…ッ!」ビ ュ ッ !




    カネキはダラダラと流れてくる血を月山の眼におもいっきりかけた






    月山「なッ…!?」




    ビ チ ャ ッ




    月山「ぐウぅッ!?」





    月山「!?(しまったッ!!視界が…!!狙いはこれか…ッ!?)」






    カネキ「終わりです」ザ シ ュ ッ ! !







    ガ キ イ イ イ ィ イ ィ ン ッ ! !




    カネキ「?!」





    カネキが背後から月山を斬ろうとした瞬間…月山の背中から何かが出現し、攻撃が防がれた






    バ キ キ キ キ キ キ キ キ ッ ! !




    カネキ「!(剣…?!)」






    月山「君が本気で来るのなら」





    月山「 僕 も 本 気 で や ろ う…!」




    カネキ「…ッ!」






    月山「それが礼儀というものだろう」
  54. 254 : : 2015/06/19(金) 02:08:14


    カネキ「……それ…なんですか?」



    月山「ん?これかい?これは赫子というものさ…まぁ、知らないよね?」



    カネキ「赫子……?」



    月山「…そんな事より…血で顔が汚れてしまったじゃないか」フキフキ


    カネキ「…」


    月山「…!」




    月山「そうだ!…どんな味がするのかな?」ペ ロ ッ




    月山「────────ッ!?!?」




    月山「あああ──────ッ!!!」





    月山「なななんだこの味はァッ!!!」




    カネキ「!?!?」




    月山「柔らかな甘味とビターな酸味!!そしてこの芳醇な香り(ハァァアァァーモニイィィイィィー)!!」




    カネキ「」



    月山「ああ…素晴らしいの一言に尽きるよ!!それにしても…他の喰種が逃げてくれて良かった!」



    カネキ「…?…それは一体どういう…?」




    月山「フッ…だって…君を独り占め出来るじゃないか!
    こんな美味な物を……僕以外に喰べさせてたまるか…!! 」



    カネキ「…」



    月山「じゃあ…本気のバトルの続きをしようか…!」バキキッ



    月山「───!」ピキキッ!ギンッ



    月山「」ダンッ!



    カネキ「!!」



    月山の眼が赤黒くなったと同時に
    月山は地面を蹴り一気にカネキに詰め寄ってくる



    カネキ「…ッ!」




    あんな重そうな赫子?…を出しながら走ってるってのにスピードは全く遅くない…!




    月山「ハハァッ!」ブオオンッ!!





    カネキ「ぐぅッ!!(重…っ⁉︎)」ガキンッ!




    月山「フハハッ!無駄だよ!確かに防御は出来ている!だが…僕の赫子と君の持ってるCレートのクインケじゃあレベルが違う!すぐに君の武器は壊れる!」ブオン!ブオンッ!ブンッ!




    月山の攻撃をクインケで防ぐたびに腕に衝撃で腕が痛む



    カネキ「〜〜ッ!」ガキギンッ




    たぶんこのヒトの言うとおりだ…このままじゃクインケは壊れる…



    カネキ「(ここは一旦…)」タンッ




    一旦、距離を取るべく後ろへ飛んだ



    月山「ふむ……」



    カネキ「…」



    距離を取ったはいいが…どうする?僕は本気(マジメ)で戦っているのに…全く歯が立たない…正直、今の僕じゃ勝てる気がしない……



    カネキ「…(このまま戦い続けるのは得策じゃないな…だってもしもこの武器が壊れたら、もうおしまいだからね…)」



    カネキ「…やっぱ」ジャキンッ




    月山「!…来るか!」




    カネキ「逃げるよねッ!」ダダダダッ!



    月山「なっ!?…真剣勝負から逃げるとは…!…恥を知りたまえッ!!」



    カネキ「(いやいや…時には逃げることも大切なんですよ…特に
    勝ち目が薄いと思った敵と対峙した時はなおさらね…!)」ダダダダッ



    でも…ただ逃げるだけじゃ僕のプライドが許さない。だからせめて…キツイ一撃を入れてやる…っ!
  55. 268 : : 2015/06/21(日) 23:59:30


    カネキ「(何か無いか…?一撃当てれる方法は…!)」タッタッタッタッ


    月山「ッ!待ちたまえッ!!」タッ




    カネキ「ぐッ…!」ダダダダダッ


    僕は一撃当てれる策を練るため、とりあえず思いっきり全速力で走って月山さんから逃げた。

    勿論、足は悲鳴をあげている。

    走っていると血がピュッと少しだが出てくる


    カネキ「(これ大丈夫かな?…さっきから血、出過ぎじゃない?)」



    カネキ「(まぁ、まだ大丈夫か)」




    カネキ「…」タッタッタッタッ!


    カネキ「」チラ



    よし。大丈夫だ…なんとか月山さんとは離れられた…
    僕の足が遅かったら今頃死んでたな。
    このままどこかに隠れて作戦を───



    カネキ「!」



    いや、ダメだ…隠れる?そもそも隠れる場所がどこにある?

    僕はこのレストランの中がどういう造りになるってるのかなんて これっぽっちも知らない。

    例え隠れる場所があったとしてもアウトだ。確か喰種は嗅覚、聴覚やら…つまり五感が人間よりも優れているらしい。

    嗅覚や聴覚が優れているとしたら僕が隠れてても匂いや少しの音で居場所がバレてしまう



    カネキ「ッ…」タッタッタッタッ


    この足音も普通に聴こえてるだろう…足音を消して走らないとな…



    音はなんとか消せるけど問題いは匂いだ。こればっかりはどうやっても消す事ができない。(それに僕は良い匂いらしいし)




    カネキ「(どうする……何か…何か──────)」




    カネキ「そうだ…!」


    ────────────────────────





    月山「見失ったか…フッ、まぁ見えなくても匂いでわかるんだよカネキくん」



    月山「…」スンスン




    月山「…こっちか」タッタッタッ








    月山「」タッタッタッタッ




    月山「…匂いが近い…なるほど…そこの壁に隠れているんだね?」タッ…タッ…タッタッ



    月山「」ピタ



    月山「カネキくん……君の負けだ」スッ



    月山「…!?」



    そこに居たのはカネキ……ではなく



    カネキが着ていたスーツの一部だった



    月山「これは……」



    月山「…!」スンスンッ



    月山「!!…カネキ君の匂いがあちこちに…!」



    月山「…なるほど…カネキ君の匂いのついたスーツを少し切って、それをばら撒き、自分がどこにいるか解らなくさせたのか」



    月山「なるほど……やるねカネキ君…一本取られたよ。」



    月山「だが!もうこの手は通用しない!!僕にかかれば、君の匂いを『本物』か『偽物』かを嗅ぎ分けることなんて容易いことさ!」


    月山「確かにこのスーツにはカネキ君の匂いが付着している。だがその匂いの強さは本物には敵わない。」


    月山「つまり、一番強い匂いを放っているのが君(カネキ)だ!そして僕にはそれを嗅ぎ分けることが出来る!」



    月山「待っていたまえ。すぐに君を見つけ出す」ニヤァ
  56. 281 : : 2015/06/24(水) 21:55:22


    カネキ「これでよし…」




    死んだ喰種「」バタッ




    僕は死んでる喰種と自分が着ている服(パンツ以外)を着せ替えた。


    僕の服を死んだ喰種に


    そして死んだ喰種の服を僕が着たわけだ。




    少なくともこれで匂いで見つかる可能性はかなり少なくなっただろう。

    完璧だ




    あとはまぁ、どうやって一撃当てるかだけど…どうにか不意をつければ



    どこかに隠れて…月山さんが来た瞬間に飛び出して斬るっていうのは…無理があるか?




    カネキ「(…いや…うん。一か八かこれで行こう…面倒なことはしたくないし。これが一番シンプルな作戦だ)」



    カネキ「(……とはいったものの)」



    カネキ「(月山さんが来た瞬間って言っても、まずいつ来るかわからないしな…)」




    カネキ「う〜ん……」





    おびき寄せる……か。



    月山さんは多分。僕の服を小さく切って いろんなところに置いると気づいただろうな




    そうなると多分、この(死んだ喰種が着てる服の)匂いを辿ってくるだろう。
    一番僕の匂いが付いてると思うから。




    誘き寄せる。は、いいが……さて、どこに誘い込むかだな。これは大切だ


    場所によって勝敗が決まる可能性だってある。


    例えば、どっかの部屋に誘い込むとして……そこが何もない、何一つ物が置かれていない空間だとすれば。


    まず、攻撃が出来ない。部屋のどこかに隠れて、月山さんが入ってきたところを攻撃!……とか無理。

    何もない部屋のどこに隠れるの?


    …で

    その場合は…僕が部屋の入り口からそーっと入って後ろから攻撃するしかないが
    これも無理。何故なら完全に足音を消すことは不可能なので耳の良い喰種には即バレるから。


    そして勿論。匂いでもバレる。これは何もない部屋でなくとも同じだが…

    (ちなみに、月山さんが部屋に入った時、もしドアを閉めたらアウトだ。

    全く音を立てずにドアを開けるのは難しい。というか、ほぼ、99%無理)



    最後に…どうやって月山さんが部屋に入ったとわかる?


    月山さんが部屋に歩いてきてるとすれば。

    匂いなどで見つからないように。ぼくは結構遠くで待機していなければならない。


    遠くにいた場合、月山さんが来たなんてわからない。僕は喰種のように耳が良くないからだ。

    (あ、それと、仮に月山さんが部屋に入ったとわかったとしても

    遠くにいた場合は…結構距離がある訳だ。走ったらアウト。ゆっくり、そーっと歩いて行ってもアウトだね。そんな遠くにいて、のそのそ歩いていたら

    多分月山さん部屋から出ていっちゃう。最悪バッタリ鉢合わせる事だってあるかもしれない)



    カネキ「(以上のことから。何もない部屋に誘い込むのはダメということだ。)」
  57. 282 : : 2015/06/24(水) 21:56:12




    カネキ「あれ…というか、ここどこだろ…適当に走ってきたからなぁ」



    カネキ「階段はおりてないから2階のどこかだろうけど…とりあえずおりようかな…?」



    カネキ「そういえば…あの螺旋階段を上る前に…隣になんかあったような気がする…。」



    カネキ「(とりあえず、行ってみるか?…下に行くなら、月山さんに見つからないように行かないとな…)」



    カネキ「(多分、近くには居ないと思うから大丈夫だと思うけど…)」



    カネキ「上ってきた階段ってどこにあったけ…」スタスタ



    カネキ「こっちかな…?」スタスタ




    カネキ「…」ソーッ…



    カネキ「」キョロキョロ



    この辺には居ないっぽいな…



    カネキ「…慎重に進まないと」スタスタ(勿論足音は消してある)





    カネキ「おっと…!」ピタッ!




    曲がり角…!




    カネキ「(こーゆー所が一番危ない…)」




    カネキ「…」スッ



    カネキ「(足音は…聴こえないな…)」



    カネキ「(大丈夫か…?)」ソーッ



    僕はゆっくりと…顔を半分だけやって、誰もきていないか覗いた。




    カネキ「…よ、よし…誰もいない」




    カネキ「…(めちゃくちゃドキドキする……見つかったら終わりだ)」スタスタ



    カネキ「…ッ」スタスタ スタスタ



    ────────────────
    ───────────
    ─────



    それからしばらく歩いて、月山さんと遭遇する事なく無事、僕は階段の近くへと辿り着いた。



    カネキ「少し疲れたなぁ…ハァ」


    何故疲れたかというと…

    僕の服を着せた喰種を担いで来たから…。

    何故連れてきたのかって?それは誘き寄せるんなら必要でしょ?



    カネキ「着いたは良いんだけど……」



    カネキ「ゔっ…!」



    周りには喰種の死体がゴロゴロ転がっている。

    僕が殺ったやつだ



    カネキ「この臭い…〜〜ッ!?」



    カネキ「うぅ…」



    カネキ「(と、とりあえず離れよう!さっさと階段下りよう…っ!)」



    カネキ「ーーーッ!」タタタタッ




    カネキ「ぐ…」タンタンタンタンッ




    僕は全速力で階段を駆け下りた

    結構音を立ててしまったけど…多分、近くに月山さんは居ないから
    問題ないだろう。




    階段を下り、僕は…さっき螺旋階段の隣に何かあった気がする。と、言っていた所へ向かう




    カネキ「…(たしかこっちの方に…)」スタ…スタ…




    カネキ「…!」





    あったのは厨房……。




    おそらく、人間を調理するための場所だろう。


    ……このレストランに入って、僕を含む3人に毒入りのコーヒーを出され、僕以外の2人はそれを呑んだ


    ……そして、スクラッパーが調理してる時に司会の喰種が言っていた。


    『あぁ、それと…ご安心ください。
    胃は後ほど綺麗に洗浄致しますので』


    つまりは、そういう事…。この厨房は人間(食材)を調理したり、綺麗にするために存在する。



    カネキ「ふむ…まぁ、そんな事はどうでもいいとして…」


    カネキ「この厨房はいいな。…よし」


    カネキ「ここ(厨房)に月山さんを誘き寄せよう……!!」
  58. 292 : : 2015/06/27(土) 18:12:22


    カネキ「……作戦は整った」



    カネキ「あとは準備するだけ」



    カネキ「月山さん、たぶんこっち(厨房)に向かってきてるだろうから…」



    カネキ「急がないと…」タッタッ!




    僕は厨房を出て、螺旋階段を上り、また上へ行った。




    その理由は─────





    カネキ「……いっぱい転がってる…」




    カネキ「…2、4、6、8の10……」




    数は約20〜25体くらいだろうか。




    うわ〜…やったなぁ〜…




    カネキ「(こんなにたくさん倒してたとは……)」




    カネキ「いや…でも多い方がいいな…10体もいなかったらどうしようかと思ってたよ……」




    カネキ「とにかく早くしなきゃ…!」


    カネキ「ふん…ッ!」ガシッガシッ!



    喰種(死体)1「」


    喰種2「」




    カネキ「よい…しょっ!」ポイッ





    ボトッ ボトッ




    カネキ「よし…次」



    ボトッ ボトッ ボトッ ボトッ




    僕は、次々と…死んだ喰種を持ち上げては下へ落とす。…その作業を2階にいる喰種が居なくなるまでせっせと行っていた。




    ボトッ、ボトッ、ボトッ、ボトッ、ボトッ…!





    カネキ「ふぅ〜…!とりあえずは近くにいる喰種を全て落としたかな…かかった時間は10分ちょいか…」




    カネキ「落とすだけだったからね。まぁ、上出来かな…。」




    カネキ「……まだ月山さんは来てないっぽいな…よかった。」




    カネキ「でも…次やることが一番時間が掛かるんだよなぁ…」


    死体を落として、次に僕がやることは……その落とした死体を全て厨房へ運ぶ事。


    だが…どう考えても僕一人で20体以上の死体を運ぶのは時間がかかりすぎる。



    カネキ「さて…どうしたものか」





    「ううううう……まま…うぅ」




    カネキ「ぅん?(ママぁ?)」


    下から聞こえてきた泣き声のような物に気づき、顎を下げると




    カネキ「…?」チラッ…



    そこに居たのは





    カネキ「…スクラッパー君……?」





    スクラッパー「うぅぅ…ま…ま」




    カネキ「…」



    なんでまだこんな所に?


    というか生きてたのか…まぁ、腕を折っただけだから死にはしないよね




    カネキ「(さっきから、ママ、ママ、言ってるけど…ママっていうのはあのおばさん(マダムB)の事だよね)」



    カネキ「(置いて行かれたのか?それとも見捨てられたとか…?)」



    カネキ「(ま、どうでもいいけど。あのスクラッパーは使えるか)」




    カネキ「…」タンタンタンッ





    階段を下り、スクラッパーに歩み寄る



    スクラッパー「うぅっ……うう」




    カネキ「ねぇねぇ」チョンチョン




    スクラッパー「うっうぅ……あい…?」




    スクラッパー「うぅ…めいん?」




    カネキ「(メイン?……あぁ、たしかここでスクラッパー君と戦ってた時…メインとかなんとか言われてたっけ)」





    カネキ「…そんな事よりさ、ちょっと」





    カネキ「手伝ってくれないかな」ニッコリ
  59. 308 : : 2015/06/30(火) 18:56:46


    スクラッパー「あい…」ノシノシッ



    カネキ「うんうんっ。そう!そのままあっち(厨房)に運んで〜」



    スクラッパー「あい…」のしのし



    カネキ「(おお〜…流石にデカイだけあって力持ちだな。一気に4体も持てるとは…

    僕は2対が限界…無理しちゃうと足が……。)」



    カネキ「急いでね〜」



    スクラッパー「」タッタッタッ




    カネキ「んしょ…っ!」タッ…タッ…タッ


    ────────────────────────




    カネキ「よし…半分くらい運んだかなぁ…時間は6〜7分か…」



    カネキ「うん。十分早い!……スクラッパー君が居てくれて本当助かったよ」ポンポンッ



    スクラッパー「あい」



    カネキ「さーて…もう半分やりますか!」タッタッ!


    スクラッパー「あい…」ノシノシ






    カネキ「(それにしても…月山さん遅すぎないか?……まさか…近くで僕の行動を黙って見ているって事は無いよね…?)」





    カネキ「……」キョロ…



    うん…居ない…何をしているんだ?

    まぁ、まだ準備が出来てないから、早く来られると困るんだけどね。


    まだ来ないならそれでいい



    ──────────────────────────
    ─────




    ─────その頃月山は





    月山「ンンンンンッハアア!!」




    月山「スーハー…スーハー…!ああッ!?タマラナイッ!スーハー…スーハー…!スーハー…スーハー…!アアアアアアアアッ!!」



    カネキの血が付いたハンカチの臭いを嗅いで発狂していました。




    月山「ナんて良い香りなんだッ!!!スーハー…スーハー…!」



    月山「──────ッッ!!!!」





    月山「フ ォ ル テ ッ シ モ ォオォオ ! ! !?ヒイィィ!!」




    ────────────────────────





    カネキ「よっし!全部運んだぞー!」



    カネキ「長かった…!ここまで…!」



    スクラッパー「あい…!」



    カネキ「イエーイ!」スッ



    スクラッパー「あ〜い!」スッ




    パ チ ン ッ !




    僕たちは…元気よくハイタッチをした





    っと…おふざけはここまで。



    カネキ「次に…一箇所に集まってる死体をいろんな所に置くよ。いい?」



    スクラッパー「」コクコク





    カネキ「よし、じゃあ、それをこっちに置いて」



    スクラッパー「」ガシッ←死体持ち上げる



    スクラッパー「」スタスタ…ドスッ



    カネキ「よし!じゃあ、次はそこに」








    「それで、それはそこね」



    「あい…」




    「それもそこ」



    「あ、それもそこね」




    「で、それとそれはこっち」



    「あい」


    ──────────────────────────





    月山「むっハアぁあ〜…スーハー…」



    月山「ッ!!…僕とした事が…つい、ずっと臭いを嗅いでいた…!」





    月山「」くんくん



    月山「今行くよ!カネキくぅん!」ダッ!

    ────────────────
    ────────





    『よし…もう良いよ!ありがとうスクラッパー君』



    スクラッパー「あい」



    『危ないならどこか逃げといた方が良いよ』




    スクラッパー『あい』のしのし







    カネキ『…』




    さて…僕は今、なんと死体の山の中にいます。



    いや、ちょっと説明の仕方が悪かったな。




    死体に埋もれていると言えばわかりやすいかな。




    今、厨房はほぼ死体で埋め尽くされている…人がギリギリ3人入れるスペースだ。



    厨房はごちゃごちゃしてるから元々そんなに広くは無いんだけどね







    カネキ『(それより…まだ来ないのか。長時間こんな所にいたら……



    死体の臭いがヤバいし……それに


    汗をかいてしまう。…汗をかくのは不味い、臭いでバレる恐れがある…)』




    カネキ『(くッ…頼むから早くしてくれ…っ!)』





    カツッ…カツッ…カツッ…カツッ…!






    カネキ『……!!!』







    月山「フフ…♪」カツッ…カツッ











    ────────来た……!!
  60. 326 : : 2015/07/03(金) 05:51:46



    月山「…カネキ君の匂いは…」くんくん



    月山「こっちか……?」スタスタ





    月山「…匂いは下からだな…下に居るのか…」カツッカツッ







    月山「この階段をおりたすぐ隣の方から匂いがするな…」スタスタ




    月山「ふむ…確か近くに厨房があったな…そこに居るのかい。」



    月山「…」カツン…カツンッ…




    月山「…?」



    ……ずっと気になっていたが…なんだこの臭いは?


    カネキ君の匂いと混じって何か…異臭…?…そう、まるで…死体の臭い


    人間のものじゃない…この臭いは喰種…!?





    月山「フフ…♪」カツッ…カツッ




    月山「…何を企んで居るんだい?カネキくん」


    ────────────────────────




    ──────【 厨 房 】──────





    月山「失礼するよ…」スッ…



    月山は律儀にそう言い


    厨房に足を踏み入れた。





    月山「これは…ッ!」




    月山が見たのは厨房を埋め尽くすほどの死体。数にして約25。



    25体で厨房が埋まるか?…と思うかもしれないが、さっきも言ったように
    厨房はごちゃごちゃして元々狭い


    さらにこの厨房は普通の厨房よりも2〜3倍は狭く、しかも かなりごちゃごちゃしている。




    月山も死体が居るのだろうと考えてはいたが、流石にこの数は想定外だったようで かなり驚いている。



    (ちなみに厨房に入る時 足元にも死体が転がっていたので、月山はピョンッとジャンプして入った。)



    月山「死体が居ることは判っていたが、まさか ここまでいるとは…!」



    月山「(いや…まずこの数をあの短時間でどうやって運んだんだ…?)」




    カネキ『…』



    カネキ『(バレないように…心臓の音をおさえろ…!…呼吸も静かに…)』





    月山「フッ……まぁ…死体の事は置いておくとして…カネキくん。君はバカなのかい?」




    カネキ『(…?)』



    月山「君の浅はかな作戦など手に取るようにわかる。」



    月山「君は今、死体の中に埋まっているようだね。…どうせ…僕が隙を見せた瞬間に飛び出して攻撃しようなんて考えなんだろう。」



    月山「そんな事が上手くいくと思うのかい?」



    月山「君がここに死体を集めたのは臭いでどこに隠れてるのかバレないようにするためだろう。」



    月山「だけど、君の匂いは強い!」



    月山「僕にはわかる!そこら中から異臭が漂っている中、一つだけ全く別の香りが漂っていることに」




    カネキ「(…)」



    月山「つまり何が言いたいかわかるね?……」






    月山「バレバレだよ」ズズズズッ(赫子)





    月山「それで隠れているつもりかい?」ブンッ!




    肩甲骨より少し下の方から出した赫子、甲赫(剣)を




    一つの死体の山へ振り下ろした










    カネキ『……(フッ…)』




    それを見ていたカネキは…ニヤリ。と…小さく、静かに嗤った







    ザ グ シ ュ ッ !




    肉を、骨を、切った音が聴こえる






    月山「フフッ!…見つけたよ!カネキくん!!」




    スッ…と。死体の山からカネキの匂いがする腕が出てくる。





    月山「出てきたまえッ!!」ガシッ





    月山はその腕を掴み





    月山「ふ…ッ!!」グイッ!





    引き抜いた─────!







    月山「?!なに…っ!?」
  61. 327 : : 2015/07/03(金) 05:59:25



    月山が驚くのも無理はない。


    何故なら出てきたのはカネキではなく。喰種(死体)だったからだ。








    カネキ「(…隙が…できましたね)」







    月山「ど…!?どういうことだ…!」



    確かにあの匂いはカネキくんのモノだった…!


    なのに…!一体どういう…!?




    月山「ッ!……匂い…?」バッ!



    何かにきずいた月山はカネキの匂いがする死体を凝視する。


    そして気づく。死体から匂いがするのではない。

    するのは…服 からだ




    月山「!?」




    まさか…ッ!…自分が着ていた服を死体に!


    ということは



    こっちはフェイク…ッ!?!





    月山「じゃあ本物は─────」





    「見事に引っかかってくれましたね」





    月山「っ!!(後ろ!)」





    後ろを振り向くと、カネキがクインケで攻撃をしようとしていた。



    カネキ「…」チャキッ…!




    月山「…!?」




    月山「くッ…!」ブオオンッ!!




    一瞬思考が停止したが、すぐに再起動する。




    カネキ「フッ!!」ブォンッ!





    カネキがクインケ(剣)を振ると同時に月山も赫子(剣)を振った。





    ほぼ同時……だが





    月山「フハハッ!僕の方が一瞬速い…!」




    そう。月山はこれ以上ない程のスピードで攻撃をした。






    カネキ「………」






    カネキ「こういう時の為の死体ですよ」




    カネキ「…ッ」ガシッ!




    カネキは転がっている死体を瞬時に掴み

    また盾として使った





    月山「く…ッ!(死体を持ってきたのは盾として使う為でもあったのか…!)」




    月山「いや、だがそれだけでは僕の攻撃は防ぎきれないぞ…!」





    カネキ「わかっていますよ。ただ、ダメージを少しでも減らすことができればそれで十分です。」








    バ ゴ ォ オ オ グ シ ュ ウ ッ!





    死体(盾)が壊れる音



    そして




    バキバキバキィイイイッ!!




    盾と一緒に壊れる左腕。肉も抉れた。






    カネキ「ッが…!…ぐぁあッ」




    カネキ「ッ…!!(けど、致命傷は免れた。むしろこの程度で済んで良かったと喜ぶべきだ…っ!)」





    カネキ「ッ…!」ギュッ…!





    痛む手足を無理矢理 動かし、月山の懐へ入り込む。




    月山「しまっ───!?(不味い…ッ!)」



    月山は慌てて赫子で防御しようとするが





    カネキ「僕の方が速い」




    僕はクインケを強く握り締め、




    下から斜め上へ一直線に振り上げた







    ザ シ ュ ゥ ウ ウ ッ ッ ! ! !


  62. 328 : : 2015/07/03(金) 06:32:42



    月山「がッ…ぐ…ハ…ッアア!」




    カネキ「…」



    月山「(くっ…僕とした事が……ッ)」



    月山「(これほどの痛手を負うとは……)」




    月山「(霧島姉弟にカネキ君…今月で……2度目だな…)」









    月山「ぐ……カネキ…くん…後生だ」フラ…フラ




    カネキ「…!」




    月山「と…くち…」




    カネキ「…ッ」ズリ…




    月山「ひと…ち…」ぐらり





    月山「」ドサッ…





    カネキ「……すみません。」




    カネキ「そこら辺に転がってる死体か、自分の肉でも喰べててください」





    月山「」





    カネキ「…」フラ…フラ





    カネキ「…ッ」スタスタ…





    カネキ「(痛った…あーあ…左腕が…)」






    やれやれ。またか……。



    ───────────────────────────





    ───────数日後。




    ──── 【嘉納総合病院】 ────



    ガラガラ〜……





    カネキ「あ…ヒデ。お見舞いどうも〜」




    ヒデ「…」






    ヒデ「 ど う し て こ う な っ た」
  63. 330 : : 2015/07/03(金) 09:00:23
    ど う し て こ う な っ た
  64. 335 : : 2015/07/04(土) 01:05:08
    金木くんカッコいいな
  65. 336 : : 2015/07/04(土) 19:18:28
    期待
  66. 342 : : 2015/07/05(日) 20:08:08


    おもしろい!期待してます
  67. 343 : : 2015/07/06(月) 18:05:43
    続きを早く見たいです。
    期待!
  68. 344 : : 2015/07/06(月) 18:43:11
    続きはよ
  69. 347 : : 2015/07/07(火) 00:33:29
    続きを書くか続きを書くか、選べええええええええ(マジキチスマイル)
  70. 349 : : 2015/07/07(火) 06:37:42
    金木くんがクインケもったらエリュシデータにみえる
  71. 354 : : 2015/07/07(火) 23:52:56


    カネキ「あはは…また喰種に襲われちゃった〜。あ〜…腕痛い」




    ヒデ「だから『あはは』じゃねぇよ!」



    ヒデ「お前この前襲われたばっかだろ!どうなってんだ!?」




    カネキ「それがさ、なんと…僕ってとっても美味しそうな匂いがするらしいっ」




    ヒデ「………」



    カネキ「……」



    ヒデ「…」くんくん




    カネキ「…」



    ヒデ「しねぇよっ!!」バシッ



    カネキ「そりゃあヒデは喰種じゃないならね…しないでしょ。ていうか痛い。」




    カネキ「あ、そういえば僕ね 血、結構出てて危なかったんだ〜…」



    ヒデ「ったく…こっちはめちゃくちゃ心配してんのに、なんでお前はそうも能天気なんだ!」



    カネキ「さぁね」






    ヒデ「…はぁ。あぁ、カネキよぉ…そういやお前勉強大丈夫か?…結構遅れてんだろ?」



    カネキ「あ〜…そういば……ヒデ、ノート見せてくれないかな?」



    ヒデ「わかったよ…明日持ってくるわ」



    カネキ「うん。ありがとう」



    ヒデ「おう!」


    ──────────────────────────



    それから一週間後

    とりあえず僕は退院する事が出来た。




    ──────【学校】──────





    カネキ「はい。ヒデ。見にくかったけど、ノートありがと」スッ



    ヒデ「おうっ。あと一言余計だ」




    女子生徒A「あ、カネキ君!おはよう!久しぶりだね!」




    女子生徒B「怪我大丈夫!?」




    カネキ「ん?あ、うん。おはよう。怪我は大丈夫だよ。心配してくれてありがとう。」ニコッ




    女子生徒A・B「……/////」





    ヒデ「はは……モテモテだなぁおい!(ぢぐじょぉおおおおおおおおおおおお!!)」



    カネキ「あはは…」




    ガラガラ〜〜ッ!





    先生「おーし、皆 席に着いたかー!」スタスタ





    「「「はーい」」」




    先生「ん?おお!カネキ。久しぶり。怪我は大丈夫か?」



    カネキ「はい。おかげさまで」




    先生「そうかそうか。よし!それでは授業を始めるぞー」



    ────────────────────────




    ────【昼休み・屋上】────






    カネキ「フッ…フッ…フッ!」グッグッ





    ガチャッ…!




    ヒデ「おーい、カネキィ〜…って居た。」




    カネキ「あ、ヒデ」



    ヒデ「授業終わって教室出て行ったと思ったら、こんな所に居たのかよ。つーか屋上入ったらダメだろ?」




    カネキ「フ…バレなきゃいいんだよ」グッ…グッ




    ヒデ「お前なぁ……」



    ヒデ「…で?」



    カネキ「…?」バッ…バッ




    ヒデ「……何やってんだ…?」



    カネキ「見ればわかるでしょ?筋トレだよ筋トレ!」



    ヒデ「なんで筋トレなんかしてんだよ。つーか、片手で腕立てってすげーな……」



    カネキ「いやぁ、なんか鍛えなきゃと思って…」




    ヒデ「ま、まぁ、くれぐれぐれもマッチョにはなるなよ」



    カネキ「『ぐれ』が一つ多いよ。それと、僕はマッチョになるつもりは無いよ」ハハッ




    ヒデ「そうか。とにかく筋トレは一旦やめて昼飯食おうぜ!」



    カネキ「え、でも今日 僕弁当忘れちゃったんだよね。購買でも何も買ってないし。……う〜ん。今から行こうかな」




    ヒデ「ほらよっ」ポイッ(メロンパン&コーヒー牛乳)




    カネキ「!…あっちょっ!?…っと〜!…危ないなぁ!」パシッ




    ヒデ「俺様の奢りだ!」

  72. 355 : : 2015/07/07(火) 23:59:28


    カネキ「…ふふっ。ありがと」



    ヒデ「300円な」



    カネキ「奢りじゃなかったのっ?!」




    ヒデ「冗談だよ」



    カネキ「まったく…」ビリビリッ




    カネキ「じゃ、いただきます…」パクッ



    ヒデ「おう」





    ヒデ「あー、…そういや もうすぐで中学卒業だなぁ〜」モグモグ



    カネキ「もうすぐって…まだ半年以上はあるよ」モグモグ



    ヒデ「ばっかお前。半年なんてあっという間だぜ?」モグモグ



    カネキ「…たしかに」モグモグ




    ヒデ「高校生になったら彼女できっかなぁ〜」



    カネキ「さあ?できるんじゃない?」モグモグ



    ヒデ「お前なんかテキトーだな…ま、本格的な恋愛っつうのは高校生からだと思うんだよ!どう思うよ?」



    カネキ「知らないよ……あぁ、でも小説や漫画でも恋愛とかは高校生だよね…」



    ヒデ「だよなだよな!」



    カネキ「ていうか、ヒデは本当に彼女欲しいの?そういう事よく言ってるけど、1度も告白とかしたことないでしょ」モグモグ



    ヒデ「う〜ん。まぁ、欲しいのはまぁ事実なんだがなぁ〜…この人!ってのが中々居なくてなぁ〜…」



    カネキ「ふーん」モグモグ



    ヒデ「おまえは欲しくないのか!?」



    カネキ「う〜ん…欲しくな…」



    カネキ「くもない…」



    ヒデ「つまり欲しいと?」



    カネキ「いや、そういうわけでは…まぁ、一回くらいは女性とその…付き合ったりしてみたいかも?」



    ヒデ「ほうほう!」



    カネキ「でも、今はべつになぁ」




    ヒデ「ほーん…あ、そうだ!お前高校生になったらやりたい事とかねぇのか?部活に入りたいーとか」



    カネキ「いや、部活には入るつもりないかな。面倒くさいだけでしかない…」



    ヒデ「そっかー」



    カネキ「ん〜…やりたい事は…バイトかな」



    ヒデ「はぁ?バイトぉ?」



    ヒデ「お前、金欲しいのか?」



    カネキ「いや、バイトして…母さんを楽に…ね」




    ヒデ「……カネキ……」




    ヒデ「親孝行なやつだなぁ…!」ガシッ!



    カネキ「ハハ…」


    ───────────────────────




    キーン コーン カーン コーン




    ヒデ「おわっと!…チャイムなった!!つーか早く屋上出ようぜ!バレたらヤバい」



    カネキ「あ、そうだね。ヒデ、ごちそうさま」



    ヒデ「おう!ほら行くぞ!遅れたら先生うるせぇからな」タッ




    カネキ「うん」





    タッタッタッタッタッタタッ!



    ガラガラガラ〜ッ!!



    ヒデ「間に合ったかぁ〜!?」ゼェーゼェー…!



    カネキ「いや、これは…」




    先生「ギリギリ遅刻。アウトだ!それと廊下は走るな!まったく…」



    ヒデ「すいませーん!」



    先生「はぁ、さっと席につけ」




    ヒデ・カネキ「はーい」



    ───────────────────────





    キーン コーン カーン コーン!





    ヒデ「いよっしゃあー!学校終わったぜ!」スタスタ



    カネキ「ははっ、そうだね」スタスタ



    ヒデ「今日帰りどっかよって行くか?」



    カネキ「うーん…ごめんヒデ。僕は家で母さんの手伝いしたいんだけど…」



    ヒデ「おお〜そっかそっか。いい奴だなぁ!…じゃ、今日はここらで解散だな」



    カネキ「うん。またね。ヒデ」フリフリ



    ヒデ「おう!じゃあな!」ブンブン



    ───────────────────────




    ガチャッ…



    カネキ「ただいまー…」




    カネキ母「おかえりなさい」カチャカチャ…





    また仕事…か。




    カネキ「僕も手伝うよ…」




    カネキ母「いいのよ。研、腕怪我してるし…」



    カネキ「片手でも出来るよ。」カチャ…カチャ



    カネキ母「そう…ありがとう……」




    それから数時間…僕は母の仕事を手伝い、そして、夕飯を作って

    寝かせた。何も言わないと寝ないでずっと仕事をするから。





    カネキ「(はぁ、いい加減、本当に休んで欲しいよ……伯母さんはお金に困ってないよなぁ〜…
    母さんにそう言っておけばくれると思ってるからね。実際そうなんだけど。)」




    カネキ「(ああ〜!いい加減 頭にくるな〜!……こうなったら僕が直接伯母さんに…)」




    カネキ「よし…今度言いに行こう」
  73. 356 : : 2015/07/08(水) 00:04:42
    今日はここまでですね。


    今回はちょっとした日常回。

    女子生徒をデレさせてみましたが、なんかコレジャナイ感がありますね〜

    カネキにはモブにデレデレされるより、トーカやヒナミにされる方がしっくりきます。


    では、おやすみなさい〜
  74. 357 : : 2015/07/08(水) 00:38:57
    きたいしている
  75. 359 : : 2015/07/08(水) 17:01:37
    ヒナミのデレがみたい
  76. 360 : : 2015/07/08(水) 18:14:00
    >>359分かっていない
    デレなさそうな人をデレさせるそれがいい
  77. 361 : : 2015/07/08(水) 19:04:31
    ⏩360てことはアキラとか?
  78. 362 : : 2015/07/08(水) 21:58:17
    ヒナミも案外いけるかもよ?
  79. 364 : : 2015/07/09(木) 20:39:32
    間戸(父)がデレるとかか?
  80. 369 : : 2015/07/09(木) 23:07:09
    早く投稿してくれ
    月山になるわ
  81. 372 : : 2015/07/10(金) 16:35:22
    思いきってイトリとk((殴
  82. 373 : : 2015/07/10(金) 17:22:31

    >>369今からするよ!…月山になる…笑

    >>372じゃあ、もっと思いきって…ロマと……あ、いや…ダメだ。僕はロマはあまり好きではないんだ
  83. 374 : : 2015/07/10(金) 17:37:49



    僕は休日に、伯母さんの家、浅岡家へ行ったのだが…チャイムを押しても誰も出ては来なかった。


    近所の人が言うには、「家族で旅行に出かけた」だそうだ。

    くそっ…無駄足だった。

    しかも旅行?やっぱりお金になんて困って無いじゃないか。まったく


    また今度来ようと、その日は諦めて帰ることにした。







    カネキ「(暇だな…腕は…もう少しで治るかな…?)」スタスタ


    カネキ「(そういえば、ヒデ何してるかな…連絡する?…でも今日
    『おっすカネキ!今日遊ぼうぜ!』って言われたけど
    伯母さんの家に行くから断っちゃったからなぁ…一度断っておいてまた誘うってのもなー…)」



    カネキ「(でも、一人でどこか行ってもつまんないし……)」


    カネキ「う〜ん…」スタスタ


    色々と考えながら、人通りの多い街中を歩いていていると…


    ガ ッ



    カネキ「あっ…」


    あちゃ…人にぶつかってしまった…。



    カネキ「あ、すいません」



    「チッ…ったく…気ぃつけろ」


    カネキ「…、」


    ぶつかったのは…青っぽい黒髪が目立つ、小学6年か…いや。中学一年生?くらいの男の子だった。


    というか、ぼーっと歩いてた僕も悪いけど、普通 知らない人(年上)に向かって舌打ちとか『気ぃつけろ』とか言うって…

    今時の子供(若者)は生意気だなー……


    僕も今時〜〜〜〜のなんだけどさ…



    「こら、アヤト!勝手にどっか行ってんじゃ…な…い」



    少年の後の方から同じ青黒い(?)髪の1人の少女が走って来る。

    アヤト…とはおそらくこの少年の事だろう。


    うん。似てるな。姉弟かな?



    「うるせぇな姉貴」


    どうやら姉弟のようだ。



    ───────って…この人…。




    カネキ「あ…」


    「ぁ…」


    「…?」



    カネキ「…「あんていく」の…」



    たしか…名前は……霧島董香ちゃん…だったっけ…?



    トーカ「…どうも…」


    アヤト「あ?なんだよ姉貴。知り合いか?(こいつ、人間だろ…)」


    トーカ「…いや…知り合いって言うほどじゃ……ジイさんの店で2、3回顔を合わせた事があるだけ…」


    アヤト「ふん…」


    カネキ「(ジイさん?「あんていく」の店長の事だろうか…?
    …この人、なんというか、店にいた時と雰囲気が違うような
    あと弟君 目付き悪いよ。いや霧島ちゃんも悪いけど。)」


    アヤト「………」



    カネキ「!…どうかした?」



    アヤト「……別に…」


    カネキ「あ、もしかして変な髪とか思ってるでしょっ!これはいつの間にかなってたんだぁ〜…あはははっ!」



    アヤト「……」


    トーカ「あ、はは……」



    カネキ「そ、そういえば…2人はどこかへお出かけ…かな?」


    トーカ「あ、まぁ…」


    カネキ「あぁっ、ごめんね。こんな事聞いちゃって」


    トーカ「いや……べつに」


    カネキ「じゃあ、僕は行くよ。さようなら。また珈琲呑みに来るから」ふりふり〜



    トーカ「は、はぁ」



    アヤト「……アイツ」


    トーカ「ん?どうかした?」


    アヤト「べつに…(……何か似てんな……クソ親父……)」



    アヤト「チッ…」スタスタ


    トーカ「あっ、ちょっ待ちなって!」



    ──────────────────────────



    カネキ「あ〜…このまま帰ろうか……それとも…」


    カネキ「」ぐぅう〜


    カネキ「ぁ……もう昼か」


    カネキ「…よし」



    カネキ「…お昼ご飯食べて帰るかぁ〜っ…」
  84. 375 : : 2015/07/10(金) 17:42:02
    はい!今日はここまで!

    アヤト登場しましたね。


    イエーイ!ドンドンパフパフー!!


    (アヤト登場に)特に意味はありません。


    続きは明日ですね。僕、今 眠いのでもう眠らせてくだしゃい。おやすみなさい
  85. 376 : : 2015/07/10(金) 19:04:40
    寝るの早くない
    期待
  86. 377 : : 2015/07/11(土) 00:24:51
    期待
  87. 379 : : 2015/07/11(土) 08:04:27



    カネキ「はぁ…」



    カネキ「おやすみ。お母さん。」



    カネキ母「うん、おやすみやさい」



    今は、午前1時…真夜中だ。


    僕は眠ろうとせず ずっと仕事をしている母をなんとか布団に寝かせることに成功した。




    カネキ「…。」ソーッ



    母さんが布団に入ってしばらく経ったので、ちゃんと眠ったのか様子を見にきたが……


    カネキ母「」スー、スー…


    どうやらちゃんと眠りについたようだ。


    カネキ「…(よし…)」


    それを確認しすると、僕は寝衣から


    軽い服装───…動きやすい服に着替え、押入れの奥に隠しておいたアタッシュケースを持ち出して


    玄関へと足を運ぶ。


    トントン。と靴の先を地面に殴りつけ、黒い靴を履く


    そして、玄関を出て……



    カネキの姿は闇の中へと消えていった。



    ───────────────────────────



    カネキ「………」


    カネキは、真っ暗な裏路地で無防備に突っ立っていた。


    まるで…何かを待っているかのように。



    カネキ「………」




    カネキ「……」





    カネキ「───…」






    カネキ「………釣れた」





    呟いた瞬間、カネキの背後にヒト影が現れる…






    ザ ッ ザ ッ





    「グハハハッ…!旨そうな匂いだなぁ!」



    「夜遅くに子供がこんな所に居るとはな…そんなに喰って欲しいか?」







    カネキ「2…。」




    まぁ、大丈夫だろう───────




    カ チ ッ ! バ キ バ キ キ ン ッ! !
  88. 397 : : 2015/07/13(月) 10:45:45



    カネキ「…」



    僕はクインケを展開し…


    喰種へとクインケを構える



    喰種A「は……?」



    喰種B「なっ…クインケ!?ま、まさかこいつ…『白鳩(ハト)』!?」



    カネキ「?(鳩?)」




    喰種A「くっ、う、嘘だろ!…ちっくしょう!逃げろ───!!」



    叫びながら喰種達は走って逃げていくが…




    逃げられない。




    ザ シ ュ ッ ! !




    喰種A「ぐあああああああ!?!」バタッ




    喰種B「!?」




    カネキ「…」スタスタ…





    喰種B「ひ…ッ……(い、いや!落ち着け!相手はガキだぞ!?コイツが殺られたのだって後ろを向いてたからだ!)」



    喰種B「(そ、それに、俺はコイツ(喰種A)より強い!)」



    喰種B「俺が負けるわけ─────」




    ザ シ ュ ッ ! ! !




    喰種B「な……ぃ…?」バタンッ





    カネキ「…」





    カネキ「……弱いな…」




    月山さんはもっと強かった……



    この2人は僕が初めて戦った黒熊とか言う奴より弱いんじゃないか?





    カネキ「はぁ…」




    ザッ!




    カネキ「ん…」



    「今日の獲物はお前だぁ〜!!」




    おぉ、また現れた。


    あんまり強そうじゃないな…


    ま、でも…




    カネキ「…」ジャキッ…






    ────────────────
    ────────────
    ─────────
    ───────
    ─────
    ───
    ──







    それからも僕は、夜な夜な家を出ては路地裏へ行き


    喰種と戦っていた。



    それを続けて、約4ヶ月。



    ─────今は12月上旬。





    カネキ「…ふぅ…腕立て終了〜」



    カネキ「あ〜…疲れた…」


    最近はよく筋トレをしている

    マッチョにはなっていない。というかなりたくない。



    ─────いつも喰種と戦っていただけあって僕の身体は逞しい。





    4ヶ月もずっと喰種と戦っていた僕は、喰種との戦いに大分慣れ、強くなったと思う。


    今なら月山さん普通に倒せるかも……?


    いや倒せるな。うん。




    ちなみに最近では、20区を離れて他の区で喰種と戦闘している。




    他の区に行って判ったことは

    20区は穏やかだということ。


    他の区の喰種達は20区の喰種と比べるとかなり野蛮で凶暴────そして強かった。





    ガチャッ ギィィイィー



    カネキ「お…?」




    ヒデ「カネキィ〜!また屋上で腕立てかよ…誰かに見られたら変な奴だと思われるぞ…」



    カネキ「あっはは…それはちょっと嫌だな。」




    ヒデ「はぁ〜…さ、飯食おうぜ?」



    カネキ「あ、今日はお弁当持ってきたよ」



    ヒデ「そうかそうか。良かったー!忘れてたら俺の金が300円減るところだったぜ…」



    カネキ「はは」



    ヒデ「じゃ」



    「「いただきまーす」」



    ヒデ「そういやカネキ!もうすぐでお前の誕生日だなっ」モグモグ



    カネキ「あ…そういえばそうだ」モグモグ



    ヒデ「忘れてたのかよ!…まぁ、自分の誕生日を忘れることはあるよな」


    カネキ「うん」



    ヒデ「まぁ、そんな事は置いといてだな。お前、誕生日プレゼント何がいい⁉︎」




    カネキ「う〜ん。僕としては……本か本棚が欲しいな〜…」



    ヒデ「う〜ん…本棚かぁ…本棚は学生の俺にはちとキツいなぁ」
  89. 398 : : 2015/07/13(月) 10:48:13


    カネキ「はは、そんなに無理しなくていいよ。なんでもいいよ。貰えるだけで僕は嬉しいから」


    ヒデ「そうか?……じゃあやっぱ本だな」


    ヒデは申し訳なさそうに言った。



    カネキ「ああ。ありがとう」


    ***


    学校が終わり、放課後。



    ヒデ「よっしゃ帰るか!」ガタッ


    カネキ「うん」


    ヒデ「寄り道していくか?」


    カネキ「なら、ヒデ。僕の家来ない?母さん、久しぶりに会いたいって言ってたよ」


    ヒデ「カネキの母ちゃんが? んじゃ、ちょっくらお邪魔させてもらうかな」


    カネキ「うん」






    ヒデ「でさ、隣のクラスの奴が……って、おい!聞いてるか?」


    カネキ「あ、うん。聞いてるよ。吉田さんとヒデが付き合うことになったんだろ?」


    ヒデ「は? ちっげぇよ!やっぱ聞いてねぇじゃねぇか」


    カネキ「え、ごめん」


    ヒデ「ったく……お、もうすぐねお前んちだな。カネキの母ちゃんってこの時間はまだ仕事だろ?家いないんじゃねぇの?」


    カネキ「それが、今日は早めに終わるとかで」



    ヒデ「お、着いた」


    カネキ「カギはっと」ゴソゴソ


    カネキ「あった」

    ガチャリッ


    カネキ「ただいまー(靴がある。帰ってるな)」



    カネキ母「お帰り」



    母さんは、座布団に座ってゆったりお茶を飲んでいた。
    以前の母さんなら、絶対にありえないことだ。
    きっと仕事に勤しんでいただろう。

    なぜ、こうも寛げるようになったのかというと、2ヶ月ほど前に浅岡家(伯母さんの家)にもう一度訪れたとき(1度目は浅岡家が家族旅行に行っていて居なかった)
    伯母さんに我慢してきた言いたい事を曝け出したのだ。
    そして叔母の陰謀(お金になど困っていないこと)を摘発し、完全論破。極め付けは竦み上がるほどの脅し文句を吐き捨て、
    「お金を搾取するのはもうやめてください」とキツく言明した。
    以降、叔母さんはなりを潜め、お金の強奪をすることは無くなった。


    そんな三文劇の効果あって、母さんは日々の多忙から少し解放され、こうして穏やかなひと時を過ごしているのだった。


    カネキ母「あら、もしかして英良? 久しぶりね」


    ヒデ「お久しぶりッスおばさん! 」


    カネキ母「散らかってるけど、ゆっくりしていってね」


    ヒデ「うっす!」


    カネキ「はい、ヒデ。お茶」コトッ


    ヒデ「おお、サンキューな」


    カネキ母「そうだ。英良くん、研は学校でどんな感じなの?この子そういう事は全然話してくれなくて…」


    ヒデ「そっすね〜……特に違いはないと思いますけど、学校では優等生ですかね」


    カネキ母「そうなの?」

    ヒデ「はい。あ、でも結構前に喧嘩してましたね。カネキが圧勝でしたけど」


    カネキ母「ええっ⁉︎ 研!ダメじゃない喧嘩なんかしちゃ!クラスの子とは仲良くしなきゃ」



    カネキ「ああ、うん、そうだね」
  90. 399 : : 2015/07/13(月) 10:50:56



    ヒデ「ハハッ」


    カネキ「人が怒られてるのに笑わないでよ…」



    ヒデ「悪りぃ悪りぃっ」



    カネキ母「ふふ…それはそうと、もうすぐで研の誕生日ね。皆でお誕生日パーティーとかしたいわね」



    ヒデ「おおっ!いいっすね〜!」


    カネキ「い、いやぁ…しなくていいよ…恥ずかしいし…」



    ヒデ「な〜に言ってんだよ!やろうぜ!な?」


    カネキ母「そうよ?やりましょう」



    カネキ「ぇ〜…」





    結局、僕が折れて、渋々やる事になった。





    カネキ「ふっ…」




    ─────まぁ、いっか…。




    ────────────────────────




    その日の夜も、僕は戦っていた。




    ……喰種と。




    ガ キ ン ッ ガ ン ッ ザシュウッ!




    喰種「ぐぉッ!…」ガキンッ!




    カネキ「…(中々やるな…黒熊?よりちょっと強いくらいか。…まぁ、今の僕にとっては弱いけど…)」ブォンッ!





    ザ シ ュ ッ !





    喰種「ぐぼぁっ!…」フラァ…



    カネキ「…」スタスタ




    喰種「ッ…クソォッ!!何なんだよお前はッ!?頼むから見逃してくれよっ!?」




    カネキ「…!」




    喰種「くっそぉ!…せっかく13区から……【ジェイソン】から逃げる事が出来たってのに…!…チクショウッ!」



    カネキ「?……なんですか?…ジェイソン?」



    喰種「くっ…」



    カネキ「ジェイソンって?…教えてくれませんか?」



    喰種「な、なんで…」



    カネキ「教えてくれたら、見逃してあげます」


    喰種「⁉︎本当かっ!」



    カネキ「はいはい」



    喰種「わ、わかった。おしえる…」



    喰種「ジェイソン…って言うのは…13区の厄介者だ…あいつは…ジェイソンは」



    喰種「日々他人を痛めつけてる…拷問が趣味のイカれた野郎だ……」



    喰種「俺は、そいつに捕まって拷問されてたんだ……それで、なんとか俺は逃げ出す事が出来た…なのに…なのに!…お前のせいでまた死にそうに……」



    カネキ「ご、ごめんなさい。ちゃんと見逃してあげますから…」



    カネキ「それで、そのジェイソンというヒトは強いですか?」



    喰種「あ、…あぁ、強い…。アイツは、13区ではもう敵なしだ……」



    カネキ「…ありがとうございました…」



    カネキ「あ、もう行っていいですよ」




    喰種「あ、ああ……」タッ!







    カネキ「…『13区のジェイソン』…」








    カネキ「13区…か」

  91. 409 : : 2015/07/15(水) 16:39:08



    12月13日 (日曜)



    僕の誕生日まで、あと一週間…。






    ヒデ「は〜っ!遊んだ遊んだー」



    カネキ「そうだね」


    僕は今日、ヒデ一緒に出掛けて(遊んで)いた。

    主に、ゲーセンや、ヒデの買い物に付き合ったりとかだけど



    ヒデ「うは〜…まだ5時(17時)だってのに暗いな〜」



    カネキ「うん…そうだね。」






    今日、家を出た時は雲ひとつない、とても気持ちがいい晴れだったのに


    もうすっかり日が沈み、空は薄暗い。




    カネキ「少しお腹空いたね。何か食べない?」


    ヒデ「おお、そうだな。でも、食いすぎると晩飯がはいんねぇから、サンドイッチとか軽い物だな。」



    カネキ「うん、そうだね…じゃあ、行こうか。」





    カネキ「「あんていく」。」




    ────────────────
    ────────




    カランカランっと、心地いい音がドアから聴こえる。



    僕が「あんていく」へ入ると



    「いらっしゃいませ」



    と。優しい声がカウンターの方から聞こえてきた。



    声が聞こえてきた方を向くと、店長がニッコリと笑っていた。


    その隣には、「あんていく」の従業員、大人っぽい女性(入見さん)と…
    失礼だけど、大きい鼻が目立つ、猿みたいな男性(古間さん)が立っていた。




    あれ?…そういえば、あの子が居ないな。



    この前は、いた「あんていく」の
    もう1人の従業員。




    まぁ、あの子は…たまにお手伝いをしてるだけらしいから、毎日は居ないか。




    そう考えながらも、店内を見渡していると。


    視界の隅に、青い何かがチラついた。





    そこに目をやると。


    カネキ「…!」


    カウンター席で、1人の少女が珈琲を呑んでいた。




    霧島董香ちゃんだ。



    珈琲を呑んでるって事は、今日はお客さんとして来たのだろうか。



    何はともあれ、いつもの「あんていく」のヒト達が揃っているのを見て、僕は少し微笑んだ。



    そして、僕はそのヒト達に一礼しながら、僕とヒデはテーブル席に腰をおろした。





    カネキ「やっぱり、落ち着くね。ここは…」


    ヒデ「おお、そうだなー」




    カネキ「すみません。ご注文いいですか?」



    入見「どうぞ」ニコ



    カネキ「ブラックコーヒーふたつと───」



    ヒデ「おいおい!俺はブラックじゃなくてカプチーノ…あ、やっぱカフェオレ。」



    カネキ「じゃあ、ブラックコーヒーとカフェオレをひとつ。あと、このミックスサンドを二つお願いします。」



    ヒデ「おいおい、本当にサンドイッチかよっ。ま、いいけどさ」



    入見「ふふっ…少々お待ちください。」




    ヒデ「さてと…待っている間、俺はトーカちゃんとお喋りでもしてくるわぁー」



    カネキ「やめろ」がしっ




    ヒデ「ちぇっ!わーったよ!」




    トーカ「(はは……)」





    入見「お待たせしました。ブラックコーヒーとカフェオレ、ミックスサンドです」コトッ



    カネキ「あ、どうも」





    ヒデ「いただきー!」パクッ



    ヒデ「ほう…これは中々旨いな」



    カネキ「ん、本当だ…」




    トーカ「……(あんなののどこが うまいんだか…)」



    芳村「ふふ…」






    ヒデ「お、そうだ!…俺今日、勉強道具持ってきたんだ。カネキ!勉強教えてくれ!受験勉強だ!俺は勉強しないといけないんだぁ!」



    カネキ「あぁ、…そういえば、2月くらいに高校入試試験があったけ…」ら


    カネキ「よし、わかった。やろうか」



    ────────────────
    ────────




    カネキ「違う!そこはそうじゃない!こうだ!」


    ヒデ「お、おお、そうか!なるほど!」カキカキ



    ヒデ「んん?!こ、これは!?」



    カネキ「ん?あぁ、それは…ここをこうして、それでこうしてこうだ!」



    ヒデ「は、はぁ?意味ワカンねぇよ!どうやったらこれがこうなるんだ?!」



    カネキ「いや、だからここをこうしてだなぁ」




    ヒデ「だあああーっ!!もう意味わっかんねぇぇぇ!!」



    カネキ「ほらほら!まだ全然勉強してないよ!もっとかんばれー」



    ヒデ「うおおおおおおぉぉ…ぉぉぉおぉ…ぉぉ……ぉ…ぉ……ぉ………」




    ヒデ「」チーン





    その光景を見ていた「あんていく」の従業員達は つい「ふふっ」と笑みを漏らしてしまう。




    そして、それからヒデの勉強は2時間続いた。

  92. 410 : : 2015/07/15(水) 16:45:36



    ヒデ「……」スタスタ




    ヒデ「…」





    カネキ『じゃあね』



    ヒデ『おう!』



    カネキ『…』





    ヒデ「……?」スタスタ




    「あんていく」を出てヒデとカネキが別れたとき。



    別れ際のカネキの…いつもとは違う。どこが妙な後ろ姿を見て…
    ヒデは不思議に思っていた…




    ヒデ「なんだったんだ…?…」






    ヒデ「それに…なんだ…この胸騒ぎは……?」



    ヒデ「……」



    ───────────────────────




    カネキ「ただいま」




    カネキ母「おかえり。遅かったわね…もう7時よ?」



    カネキ「ごめん。ヒデと勉強してたら遅くなっちゃって」


    カネキ母「ふふっ、そう。でも、暗くなると危ないから気を付けてね。」



    カネキ「うん」




    カネキ母「晩御飯できてるから食べましょうか。」



    カネキ「うん。ちょっと手洗ってくるから先に食べてていいよ」


    カネキ母「ううん。待ってるわ」



    カネキ「あ、そう?じゃあ、待っててね」



    カネキ母「うん」



    ────────────────



    カネキ「お待たせ。」



    カネキ母「うん。それじゃあ、いただきます。」


    カネキ「いただきます」



    カネキ「あ、母さん。誕生日はハンバーグ食べたいな」


    カネキ母「ふふっ。誕生日にハンバーグかぁ…わかったわ!母さん、腕によりをかけて美味しいハンバーグを作るわ。」



    カネキ「ありがとう…!」




    ────────────────────────────
    ────────
    ────
    ──



    晩御飯を食べて、お風呂に入って、母さんは寝た。




    【22:00】




    そして、僕はいつものように、寝衣から外出ようの服へ着替え…



    家を出た。




    向かう場所は…




    【13区】。僕は…アタッシュケースを強く握り締め。歩を進める。



    何故13区へ行くのか…それは興味が湧いたから。


    「喰種」…今まで、何事にもあまり関心を示さなかった僕が、唯一興味を持ったモノ。



    そして……13区には強いヤツがいると聞いた僕は、強い好奇心に駆られ…



    自然と僕をその場所へと運ばせた。












    ───────【13区】───────






    カネキ「……」




    着いた……。


    ………夜。なのに少し明るい。




    今日は満月が出ている。




    空を見上げていると、僕の目の前に、月の光でできた、真っ黒な、長い影が現れる。









    カネキ「………あなたは」






    「ん?…僕の事知らない?」





    カネキ「…」






    「────「13区のジェイソン」。なんて呼ばれてるけど…」










    ここから、物語は大きく動き始める。












    ────── ”悲劇”が始まる。
  93. 428 : : 2015/07/17(金) 22:58:55



    ヒ ュ ン ッ ! フ ォ ン ッ !!




    薄暗い路地に、風を斬る音が静かに鳴り響く。



    カネキ「…ふっ!」シュッ!



    ヤモリ「…君…だれ?」サッ



    僕は今、「13区のジェイソン」を名乗る喰種と戦っている。



    ヤモリ「人間だよね…白鳩(ハト)?」




    カネキ「白鳩?なんですっ?それっ?(なんか前にも聞いたな…)」



    僕は一旦攻撃を止め、「ジェイソン」から距離をとり、話を始める。



    ヤモリ「……(こいつ………嘘を吐いてるようには見えないな…。
    でも、何故 捜査官でもないのにクインケをもっていやがる…?)」



    ヤモリ「君…何者だい?」



    カネキ「そんなこと聞かれても、なんて答えれば良いのかイマイチわかりませんが、この場合、人間?…かな」



    ヤモリ「…」



    カネキ「…」



    ヤモリ「ま…どっちでもいいけどね。僕…今拷問してた奴に逃げられてイラついてるんだよ。」



    ヤモリ「君、なんかムカつくし、捕まえて拷問してェ、じっくり殺してあげるよォ!」




    カネキ「(ほんとにイカれてるっぽいな…)…やってみろよ」




    ヤモリ「」シュンッ




    ジェイソンが消えた…否。消えたように見えた。




    カネキ「(速い…けど。これならまだ見える…!)」





    ヤモリ「」シュンッ




    ジェイソンは一瞬でカネキの背後に回り、クインケを壊そうと蹴りを繰り出す。




    ブ ォ ン ッ ! !




    カネキ「(後ろ…!…狙いはクインケか…!)」




    させるか、とばかりにクインケを持つ腕をバッ、と横にやる。

    次の瞬間、ジェイソンの蹴りは空振りし、フォンッという風を蹴る音だけが鳴った。





    ヤモリ「!?(見えていたのか…⁉︎)」



    カネキ「そう簡単には、壊せませんよ。」



    ヤモリ「……中々やるね…」







    カネキ「……。」





    ヤモリ「……」






    沈黙が続く…







    カネキ「……」チャキッ




    クインケを再度 構えるカネキ。





    ヤモリ「…」





    カネキの前で強い殺気を放っているジェイソン。







    そして、その長いようで短い沈黙は…





    ビュオォオォ───ッ!!




    強い風と同時に破れた。





    カネキ「──!」ダッ!




    ヤモリ「」ダンッ!




    両者が地を蹴り、間合いを詰める。



    再び戦闘が始まった。




    ヤモリ「 オラァ!!」ブンッ



    カネキ「…っ」サッ




    カネキ「」フオンッ!



    ジェイソンの拳をカネキは首を横に曲げて回避、そして、すぐに反撃。クインケを振るう。



    ヤモリ「…!」サッ


    それを躱し、ジェイソンはまた攻撃をする。


    しかし、カネキもまたそれを回避し
    攻撃。






    その凄まじい攻防がしばらく続いた。







    そして


    最初に攻撃を与えたのはカネキだった。




    カネキは激しい戦闘の中、相手の動きをよく観察していた。




    ヤモリ「オラッ!!」ブゥンッ!ブンッ!!



    カネキ「(右(蹴り)左(パンチ)。…斜め右下蹴り…右パンチ…斜め左下蹴り…右蹴り。攻撃パターンは多いが。同じ事を繰り返している?…)」




    カネキ「(…なら、次は右?)」



    ヤモリ「」ブンッ!



    カネキ「!(右だ…次は左…)」



    ヤモリ「」ブンッ!



    カネキ「!(左!)」サッ



    そして、相手の次の動きを先読みしていき…


    カネキ「(じゃあ、次は斜め右下、右。そして、斜め左下。この斜め左下の攻撃をする時わずかだが他の攻撃より動作が遅い。そこを突けば…!)」



    ヤモリ「フンッ!」ブォンッ



    来る…!…斜め左下!ここだ!



    カネキの刀(クインケ)は赤黒い閃光を放ち…




    ザ シ ュ ッ ! ! !



    見事にジェイソンを捉えた。
  94. 429 : : 2015/07/17(金) 23:08:36



    ヤモリ「ッ!…グゥ…!」




    右側の横腹を左手で抑え、動きを止める。



    だがそれも一瞬で、すぐに再生が始まっていた。




    カネキ「少し…浅いか。」



    フラついている今がチャンスだ。


    僕はすぐに攻撃を再開させる



    カネキ「フッ…!」ザシュッ!



    ヤモリ「グ…ぉ!」



    斬って、斬って、斬って、斬りまくる。



    ジェイソンの体はすでに裂傷まみれだ



    だが、急所を狙ってもギリギリのところで避けられる。攻撃も…当たりはするが浅い。

    流石は強喰種。…そう簡単には殺らせてくれないか。



    それにジェイソンは全然本気じゃない。

    何故なら…まだ出していない。




    ヤモリ「クソがあああああ!!調子に乗ってんじゃねぇぞォ!」




    短気なヒトだ…




    カネキ「……出さないんですか?」




    ヤモリ「ああ!?」




    カネキ「赫子」





    ヤモリ「!」




    カネキ「…」





    ヤモリ「フハハハハ!!お前程度に赫子を使うわけねぇだろうがァ!?」






    カネキ「そうですか」







    じゃあ、さよならです。






    ズバアァアァァァァアッ!!!








    ヤモリ「 歯 ?… … は ?」




    何が起きたかわからない。という顔をしたヤモリは


    上半身から流れ出る大量の血に気づき、顎を下にやる。



    ヤモリ「ッ!?!…な……て…めぇ」




    ヤモリの右胸…いや、右肩から左脇腹までが斜めに斬り裂かれていた。





    ヤモリは最初こそ怪訝な表情を浮かべ、何が起きたかわからなかったが…



    理解した瞬間…怒りが爆発した。





    ヤモリ「ッ!…ッ!…ッアアッ!?」


    ヤモリ「許さねぇ…調子に乗ってんじゃねぇよォッ!!ぶち殺してやるッ!?拷問して、拷問して、拷問して、ブッ殺す───ッ!!」




    ヤモリは親指で人差し指を押し


    バキッと指を鳴らせた。




    バ キ キ キ キ ィ ッ ! !





    その音とともにヤモリの腰部から紫っぽい色をしたギザギザの悍ましい赫子が姿を現わす。







    カネキ「…ッ…(うぉ…ついに本気…いやキレてるぞ…コレはヤバそうだな。)」



    カネキ「(赫子は2本。腰の方から出るタイプか…)」



    カネキ「(傷が塞がる前にケリをつけたいけど……)」





    ヤモリ「殺す──ッ!!」




    そう叫びヤモリはカネキへと突進してくる。




    ヤモリ「ッアア!」




    ギザギザの赫子を動かし、すごい速さでカネキへと伸びてくるソレ(赫子)を



    カネキは身体を軽々と動かしながら避けていく。



    自分の横を通り過ぎる赫子をクインケで切り落としながら


    慎重にジェイソンへと近づいて行くカネキ。



    ヤモリ「グ…ッ!クソがッ!!」




    だが、斬り落とされても すぐに赫子は再生し、今度は2本同時に襲いかかってくる




    カネキ「ッ!」タッ!



    僕は走る速度を速め、横から伸びてくる赫子を高くジャンプして回避。

    そのままジャンプの勢いでジェイソンの目の前まで近づいた。




    カネキ「喰らえッ!」



    クインケを振ろうとした瞬間、



    ヤモリ「ハハァッ!」ニヤァッ



    突如、ヤモリの腰からもう一本の赫子が姿を現した。




    カネキ「なッ…にッ!?」




    まずいッ!!今は空中…!躱せないッ…!?





    ザシャアァァァッッ!!





    カネキ「くあぁッ!!」



    クインケでガードしようとしたが、時既に遅し。


    ギザギザの赫子が僕の横っ腹を削っていった。

  95. 441 : : 2015/07/21(火) 18:17:02



    カネキ「ッ!!」ガクッ



    そのまま地面に膝をつきながら、横腹を抑えながら、悶える…



    痛い痛い痛い痛い…!




    そんなことを心の中で叫んでいると





    いきなり、腹に強い衝撃が起きた。






    カネキ「⁉︎…かはッ⁉︎」



    一瞬視界がボヤけたが直ぐに戻り。


    何が起きたのか目を見張ると…


    カネキ「!?」


    ──────地面が、遠い…⁉︎



    それにこの浮遊感はなんだ…!?


    どんどん地面が遠くなって…





    いや違う!僕が上がっているんだ


    おそらく…ジェイソンに蹴り飛ばされたのだろう。





    カネキ「(くっ…!)」



    今度は地面が近づいて─────




    落ちる…この高さ…!?




    ヤバ────…これ死…





    ヤモリ「フンンッッ!!」ズパアァァアンッ!




    僕が地面に落ちる瞬間に


    ヤモリに横から赫子でぶっ叩かれた。



    カネキ「───ッ!!」



    だが、次はなんとかガードに成功し、致命傷は免れたものの、僕の身体は横に3〜4m吹き飛ばされ



    地面にゴロゴロッと転がった。




    カネキ「───ッハァ!…ゲホッゲホッ!…」





    くっ…息が…苦しい…っ!





    カネキ「ゲボッ…!(くっそ!くそ!…ダメージが少し大きい……ジェイソン。甘く見すぎていた…!)」



    カネキ「(少し回復するまで……戦わないで逃げたて隠れた方がいいか…?)」



    カネキ「(いや、ダメだ…ここには死体やかわりの服なんてない…月山さんの時みたいに上手くはいかない…。直ぐに見つかってしまう)」




    カネキ「(けど、このまま黙ってたら、殺される。)」



    とにかく一旦距離を取らないと。





    ヤモリ「もう終わりだ…拷問の時間だよ…」




    ジェイソンがのそのそと近づいてくる。



    カネキ「(人が多い街まで行ければそこからは流石に追ってこないだろう。…ここは路地だがそこまで奥の方じゃない。…街の方まであまり距離はない。)」



    なら……




    カネキ「ッぁあ!」ダ ッ ッ !




    僕は足に力を入れ、思いっきり地面を蹴り、転けそうなくらい全速力で走った。





    ヤモリ「!!逃がさねェェ!!!」




    直ぐにヤモリもカネキの後を追う。





    カネキ「ッ!」



    走るのがちょっとキツい…!怪我のせいか…横腹がヒリヒリして痛い…





    街の方まで約1キロちょい…


    僕の100m走が、11〜12秒…1キロ(1000m)で普通に計算すると、120秒(2分)。


    1キロとちょっとあるから150秒(2分30秒)ってところか…?


    それくらいなら、なんとか怪我をしてても走れる…




    カネキ「──!」


    カネキ「(150秒…。全力で走って逃げ切ってみせる…っ!)」



    カネキはさらに走る速度を上げる。



    ヤモリ「待ちやがれクソがぁあアアッ!!」



    カネキ「チッ…!」



    追いつかれて…



    カネキ「(たまるかっ!)」



    僕は人が多い街中を目指して、路地の曲がり角────複雑な場所をどんどん走っていった。




    ヤモリ「ォォォオオオ!!」バキキキキキキキッ!!




    カネキ「…!!」




    僕が走っている後ろでジェイソンが赫子を出し、後ろから攻撃してくる。



    ヤモリ「オオオオッ!」ブォンッ!ブォンッ!ブォンッ!





    カネキ「ッおおッ…!」サッ…!サッ…!


    僕は走りながら左右に移動し攻撃を避ける。



    ヤモリ「クソガアアァァあッ!!」ブォンッブォンッ!!!




    カネキ「ッ…はッ!」ズバンッ!




    そして、殴って、蹴って、…切り落とす。




    ヤモリ「ウウッ…!」




    カネキ「っ…?(気のせいか…?…クインケの切れ味が悪くなってるような…)」





    ヤモリ「ッ!クッソガキがあ!!これ以上俺をイラつかせんじゃねえぞォ!!」

  96. 442 : : 2015/07/21(火) 18:19:30


    カネキ「ッ…うおおおっ!!」




    くっそ!!急げ…!



    距離はあと、約500m(メートル)…!


    100メートルまで近づけばジェイソンは追ってこないはずだ!

    だから実質、400m!





    カネキ「はっ…ハハッ!なぁにがイラつかせんじゃねえぞだ!あんたが勝手にイラついてるだけだろっ!!」




    ひえぇぇ〜!なんで挑発まがいの事してんの僕〜ッ!



    ヤモリ「んだとテメェ!!」




    カネキ「(ッ…やっぱり、よけい怒らせちゃったよ…!)」




    ヤモリ「俺から逃げられると思うなよ‼︎‼︎」




    カネキ「〜〜〜〜ッ!!」ダッ!!




    もうすぐだ!!走れ…!あと300m!




    ヤモリ「死ねェエエ!!!」



    絶叫にも近い叫び声をあげながら、三本の赫子を絡めさせ始める。




    やがてそれは一本の、ギザギザの大きい太い 赫子へと形成された。




    カネキ「…!?」



    カネキ「(そんな事が出来るのか!?)」



    ヤモリ「オラアァァアアッ!!!」




    ブオォオオオオンッッ!!!





    カネキ「!…う…ッ!!」




    後ろから迫る巨大な赫子に対し、僕は走っている足を止めずにクインケを構える。


    赫子が当たる間際、さっと、体をずらし、足を止め…すれ違いざまクインケを逆手に持ち…

    下から斜めに赤黒い刃をおもいっきり振り上げた。




    カネキ「おおおおおおおッ!!!!」



    ザ シ ュ ウ ウ ッ ! ! ! !





    ヤモリ「グああああああッ!!?」



    赤黒い光とともに赫子が断たれ、その巨大な赫子はボトッ、と音を立てて地面へと落ちた。



    そして、直ぐに僕は地を蹴り走り出した。




    ヤモリ「ッぐおお…ッ!」




    ヤモリ「ガキぃイィいいい!!!」ダンッ!



    それに続きジェイソンもまた地を蹴り走りだす。




    !?



    なんて速さだ!…ヤバい…!



    カネキ「っおおおおお!!」ダダダダッ!




    あと少しなんだ…!追いつかれるわけには行かない…!




    あと────150m…ッ!!!

  97. 456 : : 2015/07/23(木) 11:24:23



    カネキ「────!」





    あと、100mッ!!




    いける…!この距離なら…逃げきれる…!




    そう思った……だけど…ジェイソンはすぐ後ろ…カネキと約5mの距離まで近づいていた。





    カネキ「なっ…!(うそだろ!!ヤバい…ヤバいヤバいヤバい!)」






    ヤ バ い ! ! ! !





    カネキ「ッ!!」




    あと75m…!





    街の方に近づくにつれ、ジェイソンも近づいて来る。


    僕とジェイソンの距離は…3m……



    今赫子で攻撃されれば躱せる自信が無い。





    カネキ「ぐぐ…ーーーッ!!」タッタッタッタッ!





    ヤモリ「(!?…チッ…人間が多勢いるところにもうすぐでつく……だがァ!その前に殺せる(捕まえられる)けどなァ!)」






    カネキ「(あと…50m!!)」





    ヤモリ「ウオオオオオ───ッ!!!」バキキキキキッ!





    カネキ「(赫子…⁉︎)」





    あと50mのところでジェイソンが赫子を出現させる。


    僕との距離は2mちょい…



    躱せる訳がない……ッ!!





    ヤツのギザギザで荒々しい赫子は、もう…僕のすぐ後ろまで迫っている……



    けれど、僕は懸命に走った…






    でも……心の奥底で、少し諦めていた…




    遠い。あと数十mのはずなのに…遠過ぎる。


    確かに走っている。けど、ちっとも距離が埋まっている気がしない。



    距離は縮まっているどころか延びている気さえしてきた。




    それにどうやら、横腹の傷が広がっているようだ。

    真っ赤な血がダラダラと垂れている……





    ……詰んだか……。







    そう、心の中で呟く…



    もう限界に近い。逃げきれない…



    そんな情けないことを考えていると…





    ブ──────ッ!!!!!!






    カネキ「!?」




    ヤモリ「は…!?!?」





    ドゴオォオオオォォォオオオッッ!!!




    まるで諦めるなと言われているかのように…



    鼓膜が破れそうな程の大きな音が聞こえた。そのすぐ後に

    また凄まじい衝撃音のようなモノが真後ろから聞こえてくる。





    カネキ「ッ!?」




    バッ!と後ろを振り向くと…そこには プシュ〜…と煙をあげながら壁に衝突している車(タクシー)が僕の目に映った。



    横から飛び出してきたのだろうか?…いや、飛び出して来たのは僕か…?



    カネキ「ぁ…ッう…!」




    パッと車の中を見ると…中には運転手が1人と、助手席に女性が1人、そして後部座席に子供(少女)が1人。計3人。
    奇跡的な事に中の人は無事のようだ…




    カネキ「!」



    そこでふと、アイツの姿が無い事に気がつく。


    居ない。ジェイソンが……どこだ…!?




    周囲に目を配ると、後ろに居たはずのジェイソンの姿が無かった。



    すると、「ぐうう…!」と唸り声のようなモノが数m横から聴こえてくる。


    僕が首をパッと横にやると


    そこにはジェイソンが転がっていた




    車に轢かれて飛ばされたのか…!



    いや…もう少し僕が遅かったら ああなってたのは僕だったかもしれない…
  98. 457 : : 2015/07/23(木) 11:35:38



    カネキ「!!(しめた!今の内に逃げるしかない…ッ!)」



    そう強く思った僕は再び走り出した。



    今の内に逃げる…!



    逃げる……



    逃げる……筈なのに…


    走っていると、どんどん走る速度が落ちて行き……やがて僕の足は止まった。



    カネキ「………」





    今の内に……なんだ?



    逃げる?……



    いいのか?逃げて



    おそらくジェイソンは…喰種は車に轢かれたくらい屁でもないはずだ…



    ジェイソンは…短気だ…すぐにキレる。



    ヤツの怒りはさっきまで僕に向いていた

    だけど…ジェイソンは車に轢かれた。
    そしてすごくイラついてるだろう。


    ならその怒りは誰に向く?僕?違う。轢いた人にだ。



    今ここで僕が逃げるという事は、その人達を見捨てる…殺す事と同じじゃないのか?。



    どうする…?…助ける?…出来るのか?

    いや、助ける必要なんて…赤の他人じゃないか


    でも……



    「きゃあああああああ!!!」




    カネキ「ッ!」タッ!



    さっきまで助けるか考えていた事など投げ捨てて、


    僕の体は勝手に動いた。





    助ける…っ!そう。他人…だけど、あの時車が来なかったら死んでたかもしれない。

    そうだ…仮にも僕は命を助けてもらったんだ…!




    ヤモリ「クソがああああ!イライラすんなァ!テメェらから先に死ぬかァ!?アア!?」




    ヤモリが車ごと中の人達を殺そうと

    赫子を上から下に振り下ろす。


    中の人達は怯えて何も出来ない様子だ。



    カネキは疾く疾く風のように。文字通り疾風の如く駆けだした。




    カネキ「やめろぉおおっ!!!」



    僕は走る勢いを利用しながら飛んだ。そして横から飛び蹴りをジェイソンの横っ腹に打ち込んだ。



    ヤモリ「!?ぶっぼがぁっ!?」



    僕の蹴りがジェイソンの横っ腹に吸い込まれた瞬間、バキバキッと骨を折るような感触が足から伝わってくる。



    次にはジェイソンは横方へと吹っ飛んでいた。



    それを見ていた車内の人達は目を見開いて呆然としている。


    そんな事はお構い無しに僕は叫んだ




    カネキ「車は動きますか!?早く逃げてッ!!!」



    それまで ぽかんとしていたタクシーの運転手の人は正気を取り戻したようにハッとし、車が動くか確かめる。



    「動きます…!」



    カネキ「じゃあ早く逃げてください!!ここは危険ですッ!」



    「あっ、あぁ…!ありがとうございます…っ!」


    そう一言礼を言って車を動かして逃げるように去って行く。


    逃げるように…って…いや逃げたんだろう。



    カネキ「…!」



    車が僕の横を通り過ぎようとしていた時
    後ろの席に乗っていた1人の少女と目が合う。



    その瞳は…どこか哀しそうに僕を見つめていた。



    心配…してくれてるのかな…?



    そう思った僕は、少し微笑しながら

    口だけを動かして「大丈夫だよ」と言った。



    それが伝わったのか、少女もどこか心配そうに、でもニッコリと笑った。



    カネキ「はぁ…」


    何やってるんだ僕。あの時逃げれば助かったかもしれないのに。

    でも、間違ってはいないと思ってる…
  99. 460 : : 2015/07/23(木) 16:53:53


    ヤモリ「ッ…」



    カネキ「…!」



    ヤモリ「くっ…アッはハはハはハはッ!!?」



    ヤモリ「ここまで僕をイラつかせたのは君が初めてだよ……」



    ヤモリ「怒りを通り越して笑えてくる……」



    カネキ「……」



    ヤモリ「絶対に拷問してコロしてやる……」



    カネキ「……チッ…!何でアンタは…他人を傷付けたがる…クズが…!」



    ヤモリ「……聞きたいかァ?何で俺が他人を痛めつけて悦べるのか」


    カネキ「…いや…お前の話しなんか聞きたく…」


    ヤモリ「いいから聞けよ…なァ!?」


    カネキ「…」


    ヤモリ「クックッ…あれは…俺がまだ『ジェイソン』と呼ばれる前の事だ。」



    ヤモリ「そんな昔の事じゃない。今でもあの時の事はしっかり記憶に残っている。まるで最近の事のように。」



    ヤモリ「俺はある時ヘマをしてなァ…23区にある「喰種収容所」へ送られたんだ。」


    ヤモリ「13区の諸事情に詳しかった僕は情報を引き出す為に殺処分されずに生かされた。
    当時は「ピエロ」が台頭してたからその関係だった。」


    ヤモリ「まぁ、それで、その収容所にさ
    ネジのぶっ飛んだ捜査官が居て、僕は拷問されたよ。人間のクセにイカれてた。ちょうど今の僕みたいなものかな。」


    ヤモリ「僕はその時知った。」



    この世の全ての不利益は


    当人の能力不足で説明がつく。



    ヤモリ「弱者は蹂躙される。侵され犯され冒される」



    カネキ「…!」



    ヤモリ「長く辛い拷問生活が続くと痛みから逃げる術を必死で考える…それこそ、「必死」でね」


    ヤモリ「僕は自分が「ヤモリ」という喰種ではなく、拷問する側の捜査官だと思い込む事にした。」



    ヤモリ「するとやがて…不思議なものでね
    痛みを与えられているのか与えているのか…

    まるで自分と相手がひとつになったような
    奇妙な一体感を覚えた」


    ヤモリ「そしてある時生まれた 一瞬の隙が…現実に自分たちの立場を逆転させた」


    ヤモリ「ハハァッ…小一時間ではあったけど…
    自分が本当に人間になったような気分だった」


    ヤモリ「あの時の興奮が忘れられない」



    ヤモリ「それからというもの、僕の最大の趣味が「拷問」になった。
    拷問の仕方、喰種の痛めつけ方とかもその時に得た知識だ」


    ヤモリ「そして、最近では自分なりに どうすればより楽しめるかを日々追求している」



    カネキ「……」



    ヤモリ「これでわかったかな?僕がなぜ拷問好きになったか」



    カネキ「わからないな……」



    ヤモリ「まぁ、所詮、喰種と人間は分かり合えない。」



    カネキ「……!」


    カネキ「どうでしょうね……」



    ヤモリ「ハハッ、無理に決まってるだろ」




    カネキ「まぁ、あなたとは分かり合えないでしょ────」





    「おお〜〜〜〜い!!!」



    「神アニキィ〜〜!!」
  100. 533 : : 2015/07/27(月) 10:47:09



    ヤモリ「!…ナキ!」



    カネキ「⁉︎(ジェイソンの仲間!?いや…兄貴(?)だから…弟…?…ッどちらにせよ状況が悪くなったのに変わりわない)」




    ジェイソン一人ならまだ逃げれる望みはあった…けど、アイツが来てそれは完全に無くなった



    あの神アニキとか叫んでるヤツは
    十中八九ジェイソンの仲間。

    つまり、アイツとジェイソンで僕を殺りに来たら、2対1。あのバカっぽい奴の強さにもよるが、ほぼ敗け(死)だ。



    ナキ「ちゃんとおつかいしてきたぜ〜!」



    ヤモリ「……そうか…」


    ヤモリ「間違ってねぇだろうな…?」


    ナキ「おう!ベンチ?とガシャガシャンッ!てヤツとガチャガチャキンッ!てヤツだろ!?」



    ヤモリ「ベンチじゃなくて。ペンチだ…あと、最後のふたつ意味わかんねぇぞ…」



    カネキ「……(バカか…)」



    ヤモリ「チッ、ちょっと見せろ」



    ナキ「ん?おお、ほらよ!」



    そう言ってナキ…という喰種(?)は買ってきた物が入っている袋をジェイソンに渡す。



    ヤモリ「んだこれ…ああ!?ペンキにヅラ、…それになんだこのクソみてぇな面は……お前ふざけてんのか?」


    ナキ「ええ!?間違ってたのか!すまねぇ!」



    ヤモリ「(どう間違ったらこんなもん買ってこれる…クソ…)…!…ったく…ん、…ペンチはちゃんと買ってるじゃねぇか」



    ナキ「おお!まぁ、俺はやれば出来る子だからな!」


    ヤモリ「フッ…」



    ヤモリ「…」スッ




    ヤモリは袋からペンチを取り出し、カネキの前で、ガキンガキンッと嫌な笑みを浮かべながら見せてくる。



    カネキ「…」


    目の前に出されたペンチとヤモリを一緒に睨みつける。



    ヤモリ「コイツでお前の手足の指を捻じ切ってやるよォ!」


    カネキ「…」


  101. 534 : : 2015/07/27(月) 10:48:13


    ナキ「ん?アニキ、誰だコイツ?」


    ナキ「んん……?」くんくん


    ナキ「めちゃくちゃうまそうなにおいがするぞ!」



    ヤモリ「あとで喰わせてやる」


    ナキ「そういえばオレ腹減ってんだった!いま喰いてぇ!」


    ヤモリ「喰うのは後だっつてんだろうが。こいつを捕まえて拷問するからさ。ちょっと手ェかせナキ」


    ナキ「わかった!」


    カネキ「やっぱり二対一……ッ」



    ナキ「ヒャッホーウ」バキキキ



    カネキ「(赫子……しかも肩から。…………思い出したくもないヒトの顔が出てくる)」



    \ HAHA!/


    『どるちぇ』

    『うぉーどゔる!』

    『ノンッ♪Non♪のん!』



    ナキ「よそ見してんじゃねえぞ!シラガ野郎オォ〜〜」


    頭の中で月山さんの顔を思い浮かべていると、ナキと呼ばれる喰種が大剣のような赫子を振っきた。


    カネキ「シラガじゃない」

    咄嗟に頭を下げ、攻撃を躱し叫ぶ。


    ナキ「シラガだろうが!おばかさぁん!」




    あれ……このヒト、そこまで強くない……?


    ナキ「おぅらっ!」ブォン!


    いや、攻撃が単調なんだ。



    ナキ「あーーっ! しまった!赫子出したせいでスーツやぶっちまったーーア!」




    ヤモリ「……ナキ。ふざけてねぇで真面目にやれ。油断するなよ」


    ナキ「俺がこんなシラガ野郎に負けるわけねぇぜ」


    ヤモリ「ったく。俺は右からいく、お前は左から攻めろ」

    ナキ「リョォーかい」


    カネキ「……」

    まずい。
    ジェイソンはナキという喰種のバカっぷりを相手に頭を冷やしたのか、口調に怒気が薄れている。
    ヒトは怒りが出ると衝動的な行動をとりがち。僕としてはなるべくそう動いてくれたほうが楽なのに。
    ジェインは、落ち着いている。
    下手には動けないぞ……!


    ナキ「…ん?ひだりってどっちだっけ?赫子が出る方?」


    ヤモリ「出ない方だ」


    ヤモリとナキが、人差し指を親指で押し鳴らす。
    瞬間、二人は同時に襲いかかった。
    ヤモリは素手で、ナキは赫子。



    カネキ「……!?」

    動きが同調している。穴のない連携。
    戦う事に慣れているのか?

    違う。ジェイソンが上手く合わせてるんだ。

    ヤモリ「オラァッ!」

    ナキ「グチャミソにしてやる!」


    一人は的確にマトを狙い、一人はただ闇雲に攻撃を仕掛けてくる。

    カネキ「(なんてやりずらいんだ……!)」


    前と後からくる猛攻に僕も、そしてクインケも耐えられない。
  102. 548 : : 2015/07/29(水) 14:00:37



    カネキ「ッうぅ!…!」



    ヤモリ「終わりだ…!」バキキキッ!






    ジェイソンが2本、赫子を出した。


    そして、1本は右から、もう1本は左から、ジェイソン、ナキは正面、後ろから…


    同時に襲いかかった。




    カネキ「────⁉︎(どうする!?逃げきれない…上!?いや、そんな飛べるわけがない…!
    下…?ダメだ通れない…!)」




    そんな事を考えてる今も、赫子、拳はカネキへと迫って来ている。



    カネキ「っ!!(右!?いや、右も左も赫子だ!当たればヤバい…後ろも赫子……正面は……!)」



    僕は、赫子の攻撃の左、右、後ろ、この道を捨て、1番安全な正面の拳を選んだ。



    直後、土手っ腹に拳が食い込んだ。




    カネキ「ごっ…ぶッ!?」


    ヤモリ「ナキィッ!今だァっ!!」




    ナキ「おうよ!!!」





    カネキ「っ!?しまった…?!」



    ガ キ ィ イ イ イ ィ ィ イ ン ッ!!




    ヤモリの合図とともにナキが赫子でカネキのクインケを弾き飛ばす。


    飛ばされたクインケはくるくると空中で弧を描きながら地面へと突き刺さった




    カネキ「っ…!」



    武器を失ったカネキは目を見開く。

    …頬からツゥーと垂れてきた汗が顎まで伝っていき、地面に落ちた…。



    ヤモリ「クインケをなくしたお前は…ただの雑魚(ゴミ)だ」




    バキィイイイッ!!


    僕が硬直していると、急に顔面に衝撃が走った


    カネキ「っっ!!?」



    僕は顔を殴られたと悟る。反撃しようとするが、力が入らない…



    すかさず右頬にまた同じような衝撃がカネキを襲った。



    ナキ「ハハッ!どうした!シラガ野郎!かかってこいよ!」バキッバキッ!



    カネキ「っ!…っ!」




    ヤモリ「ハハハッ!アハハハハハハハハッ!!?」



    右から、ナキ、左からジェイソンに殴られ続ける。




    カネキ「っ!!ッ…!っ!?」



    血が混ざり合った唾液を飛ばしながら、何度も右から左から繰り出される殴打に…カネキは何も出来ずにただ 仰け反る。




    カネキ「っ!っ!?が…ッ…づっ!?」





    そして、強烈な一撃が鳩尾に入った。
  103. 549 : : 2015/07/29(水) 14:08:24



    カネキ「──!?がッ…ばッ?!!?」



    視界が歪む…カネキは吐血しながら、地面に体をぶつけた



    ヤモリ「フッ…くたばったか。死んじゃいねぇ。ナキ、こいつを連れて行くぞ。」



    ヤモリ「人間を拷問してもすぐ壊れてつまんねぇが、暇潰し程度にはなる。それにコイツはムカつくからな。
    なるべく苦しめて殺してやる」



    ナキ「了解だぜ〜…!…っとその前にヤモリのアニキ。ちょっと一口喰っていいか?!腹へって腹へって。」



    ヤモリ「…少しだ。喰いすぎるとコイツが死ぬからな(あと、拷問するところが減るから)…ぜってぇ喰いすぎんじゃねぇぞ」


    ナキ「おお!任せとけ!」



    ナキ「じゃ…」


    腹の音を鳴らしながらナキはカネキへ タタタッ、と近づいていく。




    ナキ「さ〜て…どこ喰うか迷うぜ。足か?いやでも男の足は気持ち悪りぃな。よし!腕にしよう!」



    カネキ「っ…」



    ナキ「いッただッきま〜すッ!」






    口を大きく開け、カネキの腕にカブりつこうとする。




    だが。






    「ノンッ♪ノンッ♪ノンッ!!!」




    ヤモリ「あ?」


    ナキ「あ!?」



    カネキ「っ!…あ、あなたは──」




    「ムッシュ。その手と口を退けたまえ。彼は僕の友人(獲物)だ。
    手を出すこと(僕以外が喰うこと)は許さない!」





    僕が窮地に追い込まれていると、思いもしなかっ人物、まったく予想外のヒトが現れた




    カネキ「つ、…月山…さん……!?」


    月山「やあ!bonsoir(こんばんは)カネキくん。久しぶりだね」



    カネキ「っ…!」



    月山「フフッ…君みたいな子が…こんな夜遅くに外を出歩くなんて、危ないじゃないか?」


    月山「その通り危険な目に遭っていたわけだが。しかし!安心したまえ!この僕が来たからには、もう大丈夫!」



    カネキ「な、なんで…あなたがここに…?…確かにあの時……」


    月山「なに…野暮用で近くに来ていてね。音がしたから来てみたらこれだ。それと、僕が生きているのは……君のアドヴァイスに従ったまでさ」



    カネキ「アド…バイス…?」



    カネキ「─!まさか…」







    カネキ『……すみません。』




    カネキ『そこら辺に転がってる死体か、自分の肉でも喰べててください』







    カネキ「本当に…自分の肉を……?」



    月山「Yes。人間の肉ほど力にはならなかったが…それでもなんとか命を繋ぎとめる事は叶った!」



    月山「そして、意外な発見。」


    月山「僕は結構、美味しかった。いやぁ、普段 良いモノを口にしていると
    肉質も良くなるんだね。また一つ知識が深まったよ」



    カネキ「(ダメだ…完全に死んだ…月山さんは僕を喰おうとしてる。ってことはあちら(ヤモリ)側につくんじゃないのか?…いや……)」



    月山「心配しなくても僕は君の味方だよ」



    カネキ「なぜ…味方を?あなたは僕を喰おうとしてたでしょう」



    月山「それはそれ、これはこれだよ。それに、そこの変な輩にカネキくんを喰べさせてなるものか!」


    カネキ「…ッ」


    月山「それに!僕たちは死闘を繰り広げた仲!いわば戦友じゃないか!」





    カネキ「…」



    月山「友を救うのは当たり前のことだと思わないかい?」



    カネキ「……そうですね」




    月山「フフッ」



    カネキ「今は、猫の手も借りたいところです。月山さん、力を貸してください」


    月山「勿論。」



    カネキ「ただ、余計なマネはしないでくださいね」



    月山「…フフ…わかっているさ」




    ナキ「さっきからごちゃごちゃうるせぇな!?」



    ヤモリ「チッ…話はすんだかァ?」




    月山「そう慌てるものではないよ」



    月山「はい。カネキくん」



    そう言って、月山は、地面に突き刺さっていた、クインケを僕に手渡した。



    カネキ「どうも」チャキ…!




    月山「では、共闘といこうか!」
  104. 567 : : 2015/07/31(金) 19:45:27



    月山「さて……」


    カネキ「…」



    月山が味方についても、そこまで状況が変わるわけじゃない。確かに月山は頼もしい。


    けど、今は2対2だ。…こっちが2であっちが1じゃないと勝つのは難しい。



    月山「あちらも2人だね。これは必然的に僕らが、どちらと戦うか決めたければいけないのだが…」


    月山「君は、どちらを相手にする?僕の意見だと…負傷している君がジェイソンを相手にするのは非常にハードだと思う。
    だがら、僕がジェイソンを相手にし、君がもう一人と戦った方が安全だと思うのだが?……」


    月山さんが言っていることはもっともだ。




    カネキ「そうですね。それでいきましょう。」



    月山「了解。できれば援護をするよ。できればね……相手はあの凶悪な喰種、「ジェイソン」。
    僕を倒した君がやられたんだ。僕がどれくらい持ちこたえられるか……」


    カネキ「はい。…追い詰められたのは、油断しました……不覚です。」



    そう。ジェイソンを甘く見ていた。

    それが結果、命取りになったのだ。


    カネキ「あなたなら大丈夫でしょう。僕もできれば援護します」



    月山「では…GOッ!」



    僕達は走った。敵へ。



    月山「先手必勝ッ!」バキキキキッ!



    月山が赫子を出し、その大剣をジェイソンに振りかぶる。



    ヤモリ「チッ…」



    ガキィイイイイインッ!



    ヤモリはそれを赫子でガード。


    火花を散らしながら、金属音に似た音が鳴り響く。



    ヤモリ「どけェ!!キザ野郎ッ!」



    月山「Non、それはできないな」






    ナキ「ぁん?」



    カネキ「あなたは僕が相手します」チャキッ!


    ナキ「ハハハッ!そんなしょぼいくいんけでおれのパワハラ(パワフル)な赫子に対抗できると思ってんのかぁ?」



    カネキ「…(パワハラだと…?)」




    ナキ「ウアチョー!!!」ブォンッ!



    カネキ「…!」サッ



    単純すぎる……。





    カネキ「ふッッ」ザ シ ュ ッ !




    ナキ「ぐわばぁっ!?」





    ナキ「ぎぃやぁあああアッ!!?いでええええ──────ッ!!?」



    斬撃を喰らったナキは、大声で叫びながら、地面にゴロゴロ転がり 悶えている。



    カネキ「!」



    隙だらけ…というか隙しかない。これじゃあどうぞ殺してください、と言ってるようなもの。

    だが、カネキはこの好機(チャンス)を逃さず、躊躇いなくトドメをさそうとする。




    次の瞬間、「ぐうっ!」と、背後から月山の声が聞こえる。




    カネキ「…!」





    今なら援護できるか。



    カネキ「っ!」ダッ!







    カネキ「っ!…」






    安易に近づくのはよくないか…


    僕は走り出していた足をその場で止め、次に刀(クインケ)を逆手に持ち直す。



    カネキ「…」



    そして、…ゆっくりとジェイソンに剣先の照準を定め…




    カネキ「そ…れっ!!」



    ビュッ!、と風を切り裂く音が聞こえ、その刀は飛んだ。

    月山さんに当たらないように、僕は刀(クインケ)を矢を放つようにヤモリ目掛けて放った。









    ガィンッギイインッ!ブシュウッ!




    月山、ヤモリ、互いの赫子がぶつかり合う。



    月山「っ…(さすがは、悪名高い「ジェイソン」。強い。それに、非常にタフだ)」ガァアンッ!ギンッ!



    ヤモリ「チッ!邪魔だァッ!キザ野郎ーーッ!!」



    月山「フゥン…品がないねェ…」



    ヤモリ「あぁんッ?!(チッ…ふざけた野郎だが、中々やる…甲赫のくせにスピードも他より速え…)」



    月山「(相手は鱗赫…僕の甲赫とは相性が最悪…。しかも、彼はスピードもパワーも僕を上回ってる。)」



    月山「(さて、どうしたもの───)」



    そうこう考えてる時、思考が遮られる。

    月山は前方から鋭く、疾く飛んでくる刀に気づき、目を見張った。



    その後ろでは、カネキが刀を投げた体勢のまま、口だけを動かし
    『(ジェイソンに)気づかれないでください』と
    言っている気がした。



    月山はその言葉を受け取り、完璧に平静を装ってみせた。







    そして、疾く、鋭く 放たれた刀(矢)は

    空中で赤黒い軌跡を描きながら、

    ヤモリを射貫いた。
  105. 568 : : 2015/07/31(金) 19:48:39



    ヤモリ「っっ!??…?は、…!?」




    五感が人間よりも優れている喰種(ヤモリ)は、刀との距離が僅か1mというところで、何かが近づいてきていると直感で感じ取り

    咄嗟に全身を横へ移動させたが

    間に合わず、胸の真ん中にそれ(刀)は突き刺さった。




    ヤモリ「ーー!?…っっ!!」



    ヤモリ「テんメェ…ガキィ!?!」




    カネキ「チッ…(心臓を狙ったはずなんだけど、ズレた…ズラされた…か。)」






    ナキ「スキありィーーーッ!!!」ブウウンッ!!



    突然、復活していたナキが、起き上がり、赫子を振ってくる



    カネキ「っ…!」




    月山「おっと!」ガキイインッ!



    ナキ「どけーーー!!アメリカぁぁあ!!」




    月山「『アメリカ』はやめたまえ。僕は“美食家”!」




    月山「君は少し黙っていてくれ」フッ!




    ザ ン ッ ッ





    ナキ「ぎょええええええ!!!?」ゴロゴロッゴロゴロッ!




    ナキ「いてええええ!マジいてええぇ!?痛すぎて泣けてくるーーーッ!?」ジタバタッ





    月山「やれやれ…」



    カネキ「…すみません…助かりました」



    月山「お安い御用さ」




    月山「それより……君は思い切った行動をしてしまったね。」



    カネキ「ええ。失敗でした。心臓を貫いていればよかったんですが…
    外したせいで、クインケもあちらの手に……」



    月山「…一旦、引くかい?」


    カネキ「いえ、逃げきれないと思います。戦うにしてもクインケが必要なので(なくても戦えないことはないが…)」



    月山「フムフム…」



    月山「では、僕がクインケを取ってこようじゃないか…!」



    カネキ「…いえ、その必要はないです。僕が直接取りに行きます」



    月山「ム?…大丈夫なのかい?」



    カネキ「ええ…体も少し回復してきました。」


    月山「…直接取りに行く…ということは。君がジェイソンを?」



    カネキ「はい。数分感の間ならなんとか動けます。その間に僕がジェイソンを倒します。」



    月山「…そうか」



    カネキ「その間、ナキ…そこの喰種を食い止めていてもらえませんか?」



    月山「of course(もちろん)!任された…!」

  106. 580 : : 2015/08/02(日) 17:41:41




    ナキ「オラアアアアッ!!シラガぁぁぁ!!!」



    ナキが涙目になりながらカネキに飛びついてくる。




    ガキイィィィイイィンッ!!




    月山「ノン!…ムッシュ。君の相手はこの僕、月山習に任された!通さないよ」



    ナキ「オレはそんな名前じゃねぇぞアメリカぁぁぁ!!!」



    月山「フゥン…僕も、アメリカではないんだけどね」




    ─────────────────────





    カネキ「…」



    ヤモリ「ガキィ…!」



    カネキ「10…いや、5。」



    ヤモリ「あぁ?」



    カネキ「5分で終わらせる。」




    ヤモリ「ナメてんのかァ?5分で終わるのはお前だ…!…クックック、5分どころか1分で終わらせてやるよォ!!」





    カネキ「…」シュンッ…!




    ヤモリの言葉など無視して、カネキは足に力を込め、地をめいっぱい蹴った。



    ヤモリ「なんっ…!?」



    一瞬、ヤモリの視界にからカネキが消えた。



    自分でも驚くほど疾いスピードで地面の上を駆け抜けている。




    3秒も満たずに間合いを詰めたカネキは、クインケを持つ腕を後ろに引き…そして、ヒュッ、と突き出す。

    次の瞬間…肉を突き刺す感触が伝わってくる。
    刀は…ヤモリの腹を刺突した。




    ヤモリ「グ…ッ⁉︎」




    それを防ごうと、咄嗟に腕を前にやったものの、防げるはずもなく…

    腕を貫通してヤモリの腹に突き刺さった。




    カネキ「…!」




    カネキはすぐに腹から刀を引き抜き、次の攻撃を仕掛ける。

    刀を抜く瞬間…ピシッ、という音が聞こえた気がしたが、構わず次の攻撃を続けた





    ヤモリ「っ!!」




    カネキ「今ッ!僕の持ちいる全ての力を以って ジェイソンッッ」




    カネキ「お前を撃つ─────!!」







    それを告げた瞬間、凄まじい速度で刀を上から振り下ろす。





    ザ ン ッ !





    ヤモリ「グ…て…メェッ?!!!」




    次は下から




    ヤモリ「ッウグッあアッ!?」





    ズ バ ァ ッ ! !




    そして、横。あるいは斜めから 喰種(ヤモリ)の頑丈な肉体を斬りつける。




    ザ ァ ン ッ ! ズァンッ!!!





    ズバパバババンッッ!!!





    ヤモリ「グゥオッ…⁉︎」





    ヤモリ「ガッ…!ああッ!?」





    夜の路地裏で、少年はその眼光を輝
    かせ、赤黒の刀を光らせる。





    ザシュゥッ!!ザシュッ!ザシュゥゥッッ!




    息も継がせぬ猛攻に…ヤモリはただ。
    斬撃を受け、傷口から溢れ出る鮮血をほとばしらせながら、苦痛に声を荒げる事しかできない。




    カネキ「うおぉぉぁぉおおあぁぁぁぁぁああッ!!!!」





    ザシュンッザシュンッザシュンッ!!!





    ヤモリ「ッッッ!!!?」




    その…獲物を屠らんとする 鬼気迫る少年の表情に、ヤモリの全身からドッと汗が出てきて止まらない。



    さっきから、ヤモリの視界に映っているのは、少年(ガキ)の顔、赤黒い光しか見えない刀、そして、自分の体から飛び散る汗と血。




    ヤベぇ……!?!




    次に、ヤモリは完全に乱心しする。





    ヤベェ ヤベぇ やべぇ やべェ ヤべえ!!





    このままじゃ、俺…死──────




    『死』。…その言葉が脳裏をよぎった







    ヤモリ「ふ……っ」




    カネキ「…!」





    ヤモリ「ざ け ん な ァ !!!」




    怒気のこもった声で叫び散らしながら…人差し指を親指で強く押し
    バキッと、鳴らす。そして、眼の外側の白い所は黒く、中心の黒は赤に変色し…

    今日、何度目とも知らない赫子を出した。

    その赫子は…ヤモリの怒りを表すように、大きくうねっている




    ヤモリ「オレが死ぬッ!?殺されるだと…お前みたいなガキに!!ふざけんなァァアッ!!!」



    ヤモリ「強者が喰い 奪う! それは俺だッ!この俺だ!!」


    ヤモリ「全てを喰われ 全てを奪われ 蹂躙される弱者がテメェェだァ!!!シラガ野郎ッ!!!」






    カネキ「……一つ。勘違いをしている」




    ヤモリ「……!?」





    カネキもまた。人差し指に親指を当て







    … パ キ ッ ッ !









    カネキ「強者は……」









    カネキ「僕だ」ゾォォォオオオッ

  107. 585 : : 2015/08/02(日) 22:51:14



    カネキ「僕が強者で、お前は弱者。」



    カネキ「蹂躙されるのは…ジェイソン。アンタだ…!」





    返り血を全身に浴びたカネキは、服は赤黒く、そして、髪の半分が真っ赤に染まっていた。




    カネキ「───!」ダァンッ!



    血塗れの少年は…一直線に敵の懐に入り込む。



    ヤモリ「っ!!グゥオオオオッ!」



    少年(カネキ)が放つ凄まじいまでの殺気に、ヤモリは戦慄く。だが…
    それも一瞬で、すぐに敵を迎え討たんと横に赫子を薙ぎ払う。






    ガキギイィィィイインッ!




    クインケ(赫子)と赫子が火花を放ち、激突した。




    キイィィイイィンッ!!!




    放たれる斬撃。疾く鋭い攻撃がヤモリの眼前を通過する、一度防いでも、次には2度の斬閃が迫り来る。




    ヤモリ「っっ!?」




    疾え…ッ…!?!




    喰種の動体視力、身体能力を以ってしても、追いつけない、捉えきれない。

    反応が…遅れている。



    正面で向き合ったと思えば、白と赤の髪が疾走し、視界から消えたと思えば、懐へ、側面へ、死角へ、視界外へ回り込み…怒涛の斬撃の嵐がヤモリを襲う。



    防戦を強いられ、反撃が許されない。


    ヤモリ「て…メぇ…ッ…!!」




    カネキ「ふッッ」ザンッ!ヒュンッ!シュッ!





    おかしい…っっ!?なんだこれ…!?




    手数はこっち(ヤモリ)が倍近く上の筈だ……カネキは刀を1本しか使ってない。なのに…カネキからは
    あり得ないほどの斬撃が繰り出される。



    ヤモリの眼に複数本の刀が映った。



    ヤモリ「!?…!」


    いや…幻覚だ…。速すぎる。
    奴の剣が。そう、その速さで…

    残像を生み出している。


    まるで…武器を2本…いや3本扱っているかのような…それ程までの剣速。







    カネキ「…ッ!」


    カネキの腕は…悲鳴をあげている。だが、止まらない。止まれない。


    ザシュッ!ザシュシュッザシュッ!




    もう、何度斬りつけただろうか…


    数え切れないほどだ。なのに、倒れない。

    異常なまでにタフなのか…


    それも…ある。けど…一番は…





    火力……不足…。




    いや…だがダメージは確実に与えている。このまま行けば倒せる。



    問題は……それまで、このクインケは持つのか……?




    さっきから…ほんの僅かだが…ピシリ、と…ヒビが入っていることに気づく。





    たのむ……もってくれ……!




    ─────────────────────────────
    ──────





    月山「(カネキくん…驚くべきスピード…すごい戦いだ。)」



    ナキ「や、ヤモリのアニキィ!?」


    少し離れた場所から月山はそれを見守っていた。

    隣にいるナキは、ジェイソンのやれれている姿に動揺を隠しきれていない。




    ナキ「あんのクソシラガ野郎──!!」ダッ



    ナキがジェイソンの元へ駆けつけようとするが…もちろん。




    ザァアァンッ!!



    ナキ「ぐうおおおっ!!?」



    ナキの正面に月山の赫子が叩きつけられる。

    叩かれた地面はドゴォッ、と音を立て割れている。




    月山「それをさせる僕ではない。」




    ナキ「どけぇ!!神アニキがヤベェだろうが!?」



    月山「(やれやれ)」



    月山「ムッシュ」


    ナキ「そんな名前じゃねぇっつってんだろうが!!」



    月山「君の慕う兄は…そんなに簡単に負けてしまうほど弱いのかい?」


    ナキ「そんなわけねぇだろ…馬鹿かァ!?」



    月山「……ならば、見守っていなければ、彼に失礼だろう?」





    ナキ「!?」ハッ!




    ナキ「そうだな!!ヤモリのアニキがあんなシラガ野郎に負けるはずがねぇ!!」



    月山「Idiot!(お馬鹿)」
  108. 586 : : 2015/08/02(日) 22:56:19


    ──────────────────────────



    ヤモリ「なんなんだテメェはァァ!?」



    戦慄と動揺を重ね叫ぶ。だが、今のカネキにはそんな言葉は耳に入らず、
    ただひたすらに刀を振るう。




    ヤモリ「クッソガああア!!図に乗ってんじゃねえぞガキガアア!!!」




    斬られてばかりで…流石のヤモリも完全に頭に血がのぼり、半ばヤケクソに拳をカネキに突き出す。



    だが、そんな攻撃が当たるはずもなく、カネキは即座に膝を畳む。


    次の瞬間、カネキの真上をヤモリの腕が通過した。



    と、同時に…カネキは刀を下から上へ空中に円弧を描きながら振り上げた。




    ズ バ ン ッ ! !




    血しぶきとともにヤモリの右腕が宙を舞った。





    ヤモリ「────ッッ!!?」






    カネキ「───!」





    今だ…!一気にたたみかけるッ!!






    カネキ「づああッ!!」




    葡萄色の大閃が宙を切り裂き、受け止めるジェイソンの赫子を脅かす。




    ヤモリ「グ…ッ…ウオオオオッ」




    力で、押されそうになるが、カネキは負けじとジェイソンの赫子に食い込んでいる刀にさらに力をこめる。




    ヤモリ「グッソガああアッ!!」




    カネキ「おおあぁぁああ!!!」





    ザ グ ン ッ ! !






    全体重を乗せた刀は、見事にジェイソンの赫子を両断した。




    だが…





    ピ シ ピ シ ッ…バ キ ン ッ! ! !






    その直後…クインケは力尽き…
    刃が根本からバキン、と音を立て折れた。





    カネキ「────」





    一瞬、時が止まったように感じた…






    カネキ「はっ………?」






    ヤモリ「…」ニヤァァァ!!






    正面にいるジェイソンの顔が、盛大に歪んだ…

  109. 591 : : 2015/08/03(月) 05:47:52



    ヤモリの腰から勢いよく2本のギザギザの赫子が飛び出す。



    ヤモリが舌舐めずりをするような顔をして、赫子をカネキに向ける。







    「カネキくんッ!!?」






    横から、月山さんの声が小さく、だけどハッキリと聴こえた…





    カネキ「───…」





    この時…世界がゆっくりと、スローで動いている様に見えた…



    月山さんが、ゆっくりと走ってきている…

    それをナキがゆっくりと追いかけている姿…



    そして、正面では、ゆっくり…ゆっくりと、2本の赫子が僕に向かってきていた。






    これなら躱せる。と思った。



    だけど…僕の動きも遅い……なんだこれ…



    全てが遅い。ゆっくりだ。






    あれ……これって死ぬ直前に起こる現象じゃ………?






    カネキ「…っ」









    ────────! ! !











    いや………違う。僕は死なない…!







    次の瞬間……僕の体感速度が正常に戻った。





    ジェイソンの赫子がさっきのノロいスピードではなく、速い速度で向かってきいる。





    カネキ「…ッ!!!」





    僕は…今だ宙に浮かんでいる 刃物────クインケの刃のをくっきりと視界に捉える。





    空中から、地面落ちようとしているそれ(刃)を…





    カネキ「っ!!」






    口を開けて、ガッチリと歯でつかむ。





    ヤモリ「なっ…!?」





    完全に勝ちを確信していたヤモリはまさかの、予想外の抵抗に驚愕する。






    カネキ「これで────」






    カネキ「最後だッ」ギラッ





    ヤモリ「〜〜ッッ!!?いい加減くたばりやがれえええええええ!!!!」





    カネキ「(それはこっちのセリフだ)」





    ジェイソンの攻撃と僕の攻撃。

    当たるのはほぼ同時だ…






    相討ち覚悟……










    カネキ「(なわけないだろッ…!)」







    けど…腕の1本くらいはくれてやる。







    ヤモリ「ウオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!」






    ザグググジュウウウッ!!






    カネキ「ぐ…ッうううウッ!!!」





    僕はジェイソンの攻撃を、腕を犠牲に凌ぎ…







    カネキ「あぐッ…ああああああああああああああああああああああああああああッッ!!!!」








    ズ バ ア ァ ァ ア ァ ッ ! !








    首ごと頭を振り、渾身の力を振り絞って…ジェイソンの赫子が出ている部分。






    腰付近を歯で掴んでいる刃で掻っ捌いた






    ヤモリ「 ア ア ア アッ!!!? 」





    カネキ「ッ…ハァ…ハァ…」ポロッ





    決着がついて、安堵すると同時に脱力し、咥えていた刃を地に落とす




    カランッカラン…






    ヤモリ「ごばッ…ガバァッ!?…ガフッ…」





    ヤモリ「て……め…ゲゴォッ…赫…ゴポォッ!!…」






    ヤモリ「カク…ホウ……を…」






    ヤモリ「」ガクッ……








    月山「───…!」





    月山「ッ…フフ。(まったく、ヒヤヒヤさせる…)」





    ナキ「か……神アニ…ヤモリのアニ……キ?」








    月山「……」スタスタ…





    月山「さぁ、カネキくん……早くここから去ろう…」




    カネキ「はい…」






    ナキ「アニキィィイイイ!!」ダダダダッ!!





    カネキ「…」





    月山「…行こう」





    カネキ「ええ…」





    僕と月山さんは、叫ぶナキを一瞥し、
    なんとも言えない表情を浮かべ…その場を後にした









    ナキ「アニキッ!?」





    ヤモリ「」





    ナキは大声で呼びかけた。…だが、当の本人からは何の返事もない。





    ナキ「ヤモリのアニキィ!!?ハァ!?嘘だろ!?俺にジョークなんて通じねぇぞ!!」




    ナキ「おい!!おいッ!!?」ユサユサッ



    ナキ「なんとか言ってくれよぉ!!ヤモリの神アニキィ!!?」ボロボロ…


  110. 592 : : 2015/08/03(月) 05:53:25



    ──────────────────────────





    月山「カネキくん!腕は大丈夫なのかい!?」



    月山「(いま襲うか…?いや…しかし…万が一にも…)」



    大丈夫かい?と優しい言葉とは裏腹に月山はいま喰おうかと、
    なんとも、くだらない事を考えていた。




    カネキ「ええ…意外と大丈夫でした…ラッキーでしたね…」



    月山「そうか。それはよかった!」



    カネキ「今日は、助けてくれてありがとうございました。…助かりました。」



    理由はどうあれ、助けてくれた事には感謝しているので、一応、礼は告げた。



    月山「フフッ、気にしなくていい!当然の事をしたまでさ!」




    カネキ「どうも…」





    カネキ「…」スタスタ




    カネキ「……」




    カネキ「……フッ」



    月山「…?」



    カネキ「やっぱり。死ななかったっ」



    月山「…フゥン?どういうことだい??」


    カネキ「いえ…こっちの話ですよ…」



    月山「…?」




    カネキ「…」




    スローにはなったけど、走馬灯は……見えなかったから。





    ──────────────────
    ──────────
    ────




    ナキ「クソッ!!クソッタレェ!!許さねェぞォオ!?あのクソシラガやろう……!」




    ナキ「俺が絶対ブッ殺してやる────!!!」





    ヤモリ「……ガ……はっ」





    ナキ「っ!?!?!?」





    ナキ「あ、あああアアアニキぃ!!?」




    ヤモリ「ナ…キ……」





    ナキ「アニキ……生きてたぁぁぁぁぁアァァア〜〜〜!!!!!」





    ヤモリ「……ニ…ク」




    ナキ「っ!!?」ガバッ!





    ナキ「肉だなぁ!?わかったッすぐに持ってくる!待ってろよ!!」ダダダダッ!!






    ヤモリ「(あの…ガキガァ…赫包を狙いやがった…だが…俺の赫包は3つだ馬鹿野郎が…!!)」





    ヤモリ「ク…く……くッ……ククッ」






    許さねえェェ…!!!!






    あのシラガ野郎…俺をここまでコケにしやがって……





    絶対に許さねェ…!




    殺す…コロす コロス…殺ろス……




    ぶっ殺す…ッ!!!






    ただで死ねると思うな…お前の全てを奪い…
    地獄以上の苦しみを味わせてやる………!!!!






    ──────────────────
    ──────────



    月山「カネキくんッ、腕は大丈夫かい⁉︎」


    カネキ「骨折かな?これくらいで済んだのは幸運ですね」


    月山「ジェイソンも君の攻撃を受けて大分弱っていたからね…」

  111. 603 : : 2015/08/04(火) 20:34:14





    カネキ「ええ…」



    ん?治療費とかどうするって?それは勿論…


    月山「そうだっ!カネキくん、治療費は僕がだそうじゃないか!(傷物にでもなったら僕が!困る)」


    カネキ「い、いえ…流石に悪いですよそれは」


    月山「心配しなくていい。こう見えても、僕の家は結構な家柄なんだ」



    カネキ「……じゃあ、お言葉に甘えて」



    よっしゃ!








    12月16日。


    カネキの誕生日まで…あと4日。



    カネキ「はぁ〜…」


    ジェイソンと戦って3日が過ぎた。

    とりあえず腕はもう大丈夫(痛いけど)



    やれやれ…としか言えない。


    喰種と戦うたびにこんなに怪我するんじゃ たまったもんじゃない。

    もう何回目だよ。



    …あれ、冷静になって考えてみるとそんな多くないような…3回くらいか?


    いや、多いよね……というか、腕より横腹の方が痛い気がする…。


    カネキ「……、」


    あー…痛い。でも本当にこの程度で済んだのにはビックリだ…


    あのまま、負けてたら…僕は拷問されていたのかな…?



    カネキ「……?」


    「拷問」……その言葉を聞くと。なんかこう…モヤモヤする。なんだろう……



    先生「で あるからして〜〜〜〜」




    カネキ「(あ……そういば、もうすぐ高槻泉の新さ────)」



    バ シ ン ッ !



    カネキ「いたっ」


    そんな事を考えていると、急に頭に衝撃訪れた。


    先生「こーうらカネキぃ〜…!授業中だぞ、ぼっーとして…話聞いてたか?」


    教科書で叩かれたのか〜…初めて叩かれたよ


    カネキ「あぁ、すみません。気をつけます」


    先生「まったく…次はちゃんと聞いてるんだぞ」


    カネキ「はい」



    ヒデ「……」








    ヒデ「カネキ、お前腕どうしたんだよ…?」


    帰る途中…ヒデが問い詰めるように訊いてくる…


    カネキ「ん……あはは」


    なんと答えればいいのか迷った結果…笑うしかなかった。


    ヒデ「お前…なんか危ねえ事してねぇだろうな……?」



    カネキ「…大丈夫だよ」



    ヒデ「……そっ…か」



    ヒデはそれ以上は詮索してこなかった。
    でも…ヒデは鋭い。薄々なにか勘ずいてるだろうな……


    まぁ、でも……しばらく喰種と戦う事はないかもしれない…

    クインケが壊れちゃったから…
    はてさて……どうしようかな。


    クインケの代品になりそうな物を脳内で探っていると、ヒデが興味深い話を出してきた。


    ヒデ「そういや……この前お前に借りた高槻の本読んだけどよ」


    カネキ「えっ、本当⁉︎」


    ヒデ「お、おう!」

    予想以上の食いつきぶりに、思わず引き気味になるヒデ。


    カネキ「そ、それで、どうだった!」

    ヒデ「ん?お、おお……ええ〜〜と!……よ、読む前はアレだったが…読んでたら意外と面白いな、これなら俺でも読めるぜ!」

    本当のところ、序盤までは何とか読めていたのだが、これが中々に難解で、最後まで読了するのに何日も費やしてしまったのだが……それは言わないでおこうとヒデは決めた。楽しめたか楽しめなかったかは、半々だ。中々ブラックだった。


    カネキ「やっぱりっ? うん、高槻さんの作品は面白いよね…!」


    ヒデ「そうだな〜(棒になってねぇかな?)」


    カネキ「うんうん」


    カネキはいつになく上機嫌だった。


    それも、一緒に好きな本の事を話す相手が出来た事が嬉しいのだろう。


    そんな少年(カネキ)の姿をみて、ヒデはふっ、と笑みをこぼした。



    カネキ「ヒデはどの辺が好き?」


    ヒデ「うーん…あれだな…手紙のトリックは「おーっ」ってなった」

    本当は理解するのにとんでもない時間を(ry


    カネキ「あぁっ、あれは僕もハッとしたよ」





    「それでさ」


    「あぁ、あれな〜…」


    「やっぱり、高槻さんのミステリーは他のとは一味違うよ」


    「おぉ、そーだなー」









    「…………」



    本の話に夢中になっていた僕は…







    ──この時……背後から僕等を視ている存在に気付けなかった…………

  112. 604 : : 2015/08/04(火) 20:39:40






    ───────────────────────────
    ───────
    ───






    1 2 月 2 0 日 (日曜日)






    誕生日 当日…。






    この日……事件は起きた……。









    この日も…”いつも“のように、平和な1日が始まる…







    ピリリリリリリリリッ!






    いつものように、目覚ましの五月蠅い音に目を覚まし…







    カネキ「…ふあぁ〜…」むにゃむにゃ…






    「研ー?起きたー?」






    カネキ「起きたよー」









    ジャァー…バシャバシャッ








    カネキ「はぁ〜」






    顔を洗って。







    カネキ「いただきます」モグモグ






    いつものように朝ご飯を食べ…





    カネキ母「今日は待ちに待った誕生日ね〜」






    カネキ「いや、そんな待ってないけど」






    カネキ母「もうっ!そんな事言わない!」





    カネキ母「今日はぱあっと!パーティしましょう」





    カネキ「パーっとなんてしなくていいよ…」






    カネキ母「ふふっ…楽しみね」






    カネキ「はは…」








    カネキ「ごちそうさまっ…じゃあ、いってきまーす」








    カネキ母「行ってらっしゃい」






    カネキ「…!」






    カネキ母「?どうしたの?」






    カネキ「あ、あぁ…いや……なんでもない。じゃ、行ってきます!」








    いつものように…学校へ行く。












    ガラガラァ〜…






    ヒデ「おう!カネキ!おっはようさん!」






    カネキ「うん、おはよう」







    そして、また…いつものように、ヒデと挨拶をして、授業が始まる。







    先生「じゃ、授業始めるぞー!」






    一同「はーい!」












    ヒデ「でアイツがさぁー、女子のスカートをめくったんだよ、 ハハハッ!」






    カネキ「うぁぁ…すごい勇気があるね……はは…」





    ヒデ「だよなー…俺にはムリムリ」






    昼休みには、お弁当を食べながら、くだらない話で盛り上がる。






    そして、いつものように学校が終わり…







    同じ帰路を通って帰る。







    ヒデ「あっ!今日は何時にカネキん家来ればいい?」






    カネキ「7時前には…来ればいいかな」





    ヒデ「りょーかい!ハハッ プレゼント楽しみにしてろよー!」






    ヒデ「じゃあっ!また後でなぁー!」タッタッ






    カネキ「うん!!楽しみにしてるよ!じゃあ、また…!」






    いつもの場所でヒデと別れる。






    そう。……ここまでは…








    “いつも”の 「日常」だった…。





  113. 605 : : 2015/08/04(火) 20:44:59





    カネキ「…」ガチャッ





    家につき、僕は玄関のドアを開け……「ただいまー」…と。確かに言った。






    だけど…いつも なら聞こえるはずの「おかえり」が聴こえない…






    カネキ「…?」






    少し、訝しげな表情をしたが、
    まぁ、こんな時もあるだろうと家に入る。





    カネキ「(寝てるのかな…?)」







    廊下を歩いて部屋い近づくにつれ…








    異変に気付いた。








    カネキ「……」ド ク ン ッ !











    な ん だ…?…こ の 臭 い…









    カネキ「っっ!?」







    この異臭は…なんだ…?






    カネキ「っ?!?!」ドックン ドックン







    いや……カネキは知っている。





    この“臭い”の正体を……






    カネキ「ッ…!!」








    考えたくもない事が脳裏を掠めた






    カネキ「ッ!!」





    嘘だ……






    嘘だ…そんなわけないッ……嘘だ…!…嘘だ…!!









    嘘 だ ッ ! ! !






    カネキ「ッッ!!!!」







    ド ォ ン ッ ! !






    血相を変えながら、勢いよく部屋のドアを蹴り破る








    カネキ「────」







    心臓が凍りついた…







    僕の目に映るのは…目を背けたくなるような…最悪な光景。…






    部屋中には真っ赤な赤い血が飛び散っており、






    用意してある…白いケーキが…赤いケーキに変わり果てている。







    なんだこれ…なん……だこれ……







    カネキ「なんだよこれッッ…!!?」







    すると…

    視界の隅に…何かが映った






    カネキ「!?」




    恐る恐る…目を凝らしてみると それは……






    カネキ「………う……で…?」







    腕のみが転がっている…






    カネキ「は……」






    誰の腕……とは聞くまでもない…母さんのだ。






    カネキ「母…さん…」





    一気に身体中から汗がぶわっと出てくるのを感じる






    カネキ「なんで……腕だけ…母さんはッ」






    どこにも見当たらない母さんの姿を、首を左右に振り、体を動かしながら必死に探す。



  114. 606 : : 2015/08/04(火) 20:51:40








    すると…






    ガ ッ と…何かに躓いた。






    カネキ「ッ……」









    下を見たくても…見たくなかった……






    カネキ「ーッ…ハァ…ハァ…」ドクンドクンッ








    見たら…いけない気がする……








    カネキ「ッ…ッ…!」ガクガク








    だけど……全身を震わせながら…


    ゆっくりと頭が下がっている。








    やめろ……見ないでくれ…見るなよ


    ……見るな……やめろよ…








    そう叫んでるのに…止まらない








    見るなよッ…やめろよバカあぁッ!!!!









    バッ!…と頭を下げ、下を見る…










    ─────見てしまった…










    カネキ「………」








    ガクッと…床に膝をついた。







    カネキ「……はは…っ…ははは」









    空笑いをするしかなかった……







    カネキ「……」







    そこには……






    血を流しながら…仰向けで無惨に横たわっている母の姿があった








    カネキ「…………」








    頭の中で…何かが崩れ落ちる音がした






    ─────────────────────────





    ヒデ「〜♪」




    今日は友達(親友)の誕生日だ…



    友達の誕生日なのに、ヒデは自分の事のように楽しみにしながら、プレゼントを手に


    カネキの家へ小走りで向かっていた。




    ヒデ「ケーキ楽しみにだな〜!」





    ヒデ「高槻の新作買ったからカネキ喜ぶだろな〜」





    家から数十分歩いて、親友の家に着いた。



    ヒデ「おーいっ!このオレが来たぞ〜!カネキ〜」





    ピ─ンポ─ン !





    そう叫びながら、ヒデは家のチャイムを押す。






    ヒデ「?…えぇ?いねぇのか…?買い物?」



    そう思いながら、もう一度チャイムを鳴らす。




    だが、何秒経っても誰も出ない。
    中からも何も聞こえない。




    ヒデ「うーん?…やっぱ買い物かぁ?…仕方ねぇ。ここで待っとくか…」




    そうやってドアの前に腰を下ろした時に



    今更ながらドアが開いていることに気づく。



    ヒデ「開いてる……おいおい 不用心だな…」





    ヒデ「本当に誰もいねぇのか…?」





    ヒデ「ちょっと…お邪魔しまーす……」ギイィ…





    ヒデ「…」サッサッ…ソーッ






    ヒデ「(流石に泥棒ってことはねぇよな)」





    ヒデ「…」スタスタ…





    べチャッ…





    ヒデ「おわっ!?…何か踏んだか!?」





    慌てて足の裏を見る。




    ヒデ「なんだこれ…?…赤…」






    ヒデ「まさか……血か…?」

  115. 608 : : 2015/08/04(火) 20:54:35
    通報よ!!通報!!((威圧

    期待です!
  116. 609 : : 2015/08/04(火) 21:03:47
    何と言うことだ...

    期待
  117. 610 : : 2015/08/04(火) 21:04:59




    ヒデ「…」バッバッ




    よく見れば…廊下のあちこちに血が付いている…




    ヒデ「おいおいっ!なんだこりゃぁ!」








    何事かと電気が付いている部屋に走りながら近づく…





    ヒデ「(なんだこの妙な臭いは……)」




    いや、そんなことより…





    ヒデ「誰かいんのかっ!!」





    蹴り破られたようなドアを視認し、声を張り上げながらヒデは部屋に突入した。






    ヒデ「…ッッ!!?!?」







    部屋に入った瞬間、言葉を失った。







    部屋のいたるところには血が飛び散っており、



    いろんな家具や物が滅茶苦茶に壊れている。




    タンスは角が砕け、押入れなどの襖は穴だらけ。




    ケーキや料理が置いていあるテーブルは真っ二つに割れており、



    食べ物やケーキは血で真っ赤に染まっていた。







    カネキ「……」






    ヒデ「っ!!かっ、カネキッ!?一体どうし…た……!?」







    ヒデが何が起きたのか全く理解できずに唖然としていると…





    少し離れたところで





    カネキ(親友)が膝をついたまま何かを抱えている姿が目に映った。





    すぐにカネキの元へ行き、何があったのかを聞こうとした時、カネキが抱えているものを見て……絶句する。






    ヒデ「はあッ?!…なッ…おい!?カネキッ!なんだこれ!!」





    カネキの肩を揺すりながら、問いただす。





    カネキ「……」






    返事は何もなかった。





    それどころか、カネキの目からは完全に生気が失われ、虚ろな目をしていた。






    ヒデ「っ!(一体誰が…!!)」







    カネキ「……ぼ……の…い……だ」






    ヒデ「っ?!」





    カネキ「ぼくの……せいだ…」





    ヒデ「は、はあっ?カネキッ何言って」





    カネキ「僕のせいだッ!!!」





    カネキ「僕のせい…!僕が…僕が…僕があんなことしなければ…!」





    カネキ「僕があんな愚かな事をしなければこんな事にはならなかった……ッ!!」





    カネキ「僕せいで……僕のせいで……僕が……母さんを殺した……」






    カネキ「僕がッ…僕が……」






    ヒデ「バカッ!!落ち着けカネキッ!!冷静になれ!!」





    カネキ「ヒ…デ…落ち着いてるじゃないか……」





    ヒデ「いいや…今のお前を落ち着いてるとは言えねぇ…」





    カネキはフラッと立ち上がり…歩いて行く…





    ヒデ「!?おまっ!どこ行く気だよ!?」








    カネキ「……ごめん…少しの間…一人に……」






    ヒデ「…………」







    ギイィィイイ…ガチャンッ…








    ヒデ「…………」






    ヒデ「………クソッ」









    ヒデ「……」ピッピッ…







    プルルルルッ…ガチャッ








    ヒデ「もしもし…警察の方ですか……?………すいません。実は───」




  118. 612 : : 2015/08/04(火) 21:45:08




    ピ ー ポ ー ピー ポ ー……






    ザ ワ ザ ワ ザ ワ ザ ワ ワーワー





    「なんだなんだ?」





    「なんか事件か?」






    「なんでも…誰かが殺害されたとか…」





    「えっ、マジで!??」





    「まじかよ…こええー…」







    ヒデ「……」




    警察1「あなたは…この方のご家族で?」




    ヒデ「い、いえ…その人の息子さんの。友達ッス…」




    警察1「?…では…そのお友達…この人の息子さんは…今どこに?」





    ヒデ「あ……その…一人にしてほしい…って…」




    警察1「…そうですか…」





    ヒデ「何かわかりましたか…?」





    警察1「……実はこれは……喰種による犯行かと…」




    ヒデ「えっ……」




    警察1「先ほど、CCGに連絡を取ったので…もうすぐで捜査官の方々が来ると思います……」





    ヒデ「喰種…って…(マジかよ…)」





    警察2「来られました!」




    警察1「そうか…!」





    ヒデ「…!」





    真戸「どうも」




    亜門「遅れて申し訳有りません」




    真戸「言ったとおり…部屋の中の物は何も触っていませんね?」




    警察1「はい!」



    真戸「では、亜門くん。早速調べよう」



    亜門「はいっ!」




    ヒデ「…」




    真戸「ん?君は…」




    ヒデ「…あ、その」




    真戸「ちょっと邪魔になるから下がっていなさい」




    ヒデ「はい…」


    ──────────────────────────





    亜門「…」





    真戸「ふむ…中々に酷い有様だな…」




    亜門「なぜ…ここまで散らかしたのでしょうか…」




    真戸「さあな…喰種(クズ)の考えなど我々にはわかるまい」





    亜門「…それもそうですね…」





    真戸「さぁ、早く調べるぞ亜門くん」





    亜門「はいっ」




    そう言って、2人は、部屋を隅々まで調べ回る。





    亜門「真戸さん…」





    真戸「あぁ…喰種の体液も、赫子痕も残されている。これは喰種の犯行で間違いないだろうな。」





    亜門「しかし…この女性からは…捕食されたようなあとは有りません。」





    真戸「喰べずに…家を散らかし、殺す。これは何か他の目的があったと考えるべきだろう」




    亜門「はい…あとは…この女性の殺され方が……」





    真戸「…爪ははがされ指を折られていて、腕も切断されている。」





    亜門「まるで、拷問でも……」






    亜門「!!」バッ









    真戸「クククッ…どうやら…大物が出たようだな…」






    真戸「この赫子痕に…拷問されたと思われる傷跡」












    真戸「「ジェイソン」か」

  119. 614 : : 2015/08/04(火) 22:31:00

    ────────────────
    ─────────
    ───────
    ────
    ──


     灰色の雨空がたれこめていた。天が、泣いている。墓所はいつにもまして陰鬱だった。
    もしかしたら、時は怠けているのかもしれない。
     僕はまたここにいる。きっと、誰にも見せられないような沈鬱な表情で。
     亡霊みたいに、墓の前に陣取る。
     

     母さんが死んだ。
     あれから何日が過ぎただろうか。
     今日が何曜日で、何日なのか、理解が及ばない。日付の感覚が鈍った。


    葬式には行ったっけ……覚えてない……


     母さんが死んで… …僕はひとつ驚いたことがあった。

     不思議と、殺した相手に対して、怒りや憎しみといった類の感情が湧かなかったのだ。
     泣き叫ぶわけでもなく、悲嘆に暮れることもなかった。


     そう、ただひとつ抱いたモノがあるとすれば、悔恨だ。後悔だ。

    母さんは僕の所為で ……死んだのだから。
     僕のせいで死んだんだ。

     誰が母さんを殺したかなんて……おおよその見当はついている。


     真に母を殺したのは、他でもない僕だ。


    『この世の全ての不利益は 当人の能力不足』


     僕が喰種と戦ったりなんかしなければ母さんが死ぬことなんてなかった。
     止められない、抑えられない異常なまでの戦闘衝動。そんな狂気が、どうしてか、僕の中に芽生えている。


     全て僕の所為。
     僕が愚かだったから。
     僕が喰種と戦わなければ……

     あのときだって、僕がもっとはやく家に帰宅していれば助けられたかもしれない。
     僕があのとき、“アイツ”をちゃんと殺せていれば、こうなることはなかった。

     弱すぎる。

     なにも守れない。

     僕は、僕を責めることしかできなかった。
     



    「母さんが死んだ」口ではこう言ってていても、現実感がなかった……。
     本当に死んだのか?
     本当に居なくなってしまったのか?
     本当は生きてるんじゃないのか?
     当たりまえのように存在していたものがないことへの違和感は、日を追い募った。 今まで、ずっと一緒に居たんだ。 母さんが死ぬなんてありえない。
     きっと今 家に帰れば 「おかえり」と言って出迎えてくれる。── などとさえ思う節があった。
     でも、死んだ。もう会うことはできない。


    『行ってらっしゃい』

     それが、母さんから聞いた最後の言葉。あれから、家ではずっと一人だ。  母が死んでから、僕は母との会話をいつも思い出す。


    カネキ「誕生日パーティー……楽しみだったのになあ…………」

     みじかな者、大切な者の死は…こんな感じなのか。
     小さいころ、もしも「ヒデや母さんが死んだら」というのを想像をした事がある 。
     その時は悲しくなり、涙が出そうになった。
     実際に死んでもそんな感じだろうと思っていた 。
     けれど違った。
     ただ、茫漠としていて、現実感が無いだけだった。

     あれから僕の心には、ぽっかりと穴が開いてる気がする。



    カネキ「……、……」


     どれほどの時間が経っただろうか。
     僕はずっと、何時間も、何十時間も、母さんの墓の前にぼーっとつったっていた。
     足繁く墓地に通っているのは、懺悔のつもりか。

    カネキ「……」

     何かを喋るわけでもなく、何かを思うわけでもない。
     ただの傀儡のようにその場でうつむき、立っているだけ。
  120. 628 : : 2015/08/05(水) 18:47:46

     ぽつっ……、ぽつっ、ぽつ、ぼつぽつ


     雨が、滂沱と降りはじめる。


    ポツッ…ポツッポツッ…ポツッ



    ザザァァァアァァアアアアアッッ

     まるで、泣けない僕の代わりに、泣いてくれているみたいだった。
     服や髪が濡れても、不思議と僕はその場を動く気になれない。



     ふいに、僕にかかっていた雨が途切れた。足元に翳りが現れる。
     顔を横にやると、そこには親友であるヒデがいた。

    ヒデ「風邪ひくぞ」


     そう一言言って、僕に傘をかぶせてくれる。
     ヒデはそれ以上なにも言わなかった。
     だけど、嬉しかった。雨から守ってくれる傘。それを担ぐ存在がいることが。
     母がいなくなって、一人になったと思い込んでた。
     僕は馬鹿だ。僕にはまだ支えてくれる味方がいる。ヒデがいる。一人じゃ、ないんだ。

    カネキ「……ありがとう」


     そうだ、いつまでもうじうじなんてしていられない。
     あの日から一度も笑わなかったカネキが、莞爾として微笑んだ。
     それをみて、ヒデは満足そうに口の端をもちあげた。





    「失礼……金木研くん、で間違いないですか?」


    ヒデ「……!」


    カネキ「あなたたちは……」


    真戸「お久しぶりです。喰種捜査官の真戸です」


    亜門「亜門です」




    真戸「この度は……突然あのような事件が起こり大変でしたでしょう。胸中、お察しいたしますよ」


    亜門「……」


    カネキ「……それで、なにか?」


    真戸「ええ、お話をさせていただきます。聞いてはいるとおもいますが、あなたのお母様を殺害したのは〝喰種〟です。現在も捜査を続けております」

    カネキ「……」


    真戸「あなたのお母様に手にかけた喰種は、もう調べが付いています。ジェイソンという非常に危険度の高い喰種です。
  121. 629 : : 2015/08/05(水) 18:50:35


    カネキ「……」




    真戸「これについては、全力で我々が力を尽くし、駆逐する所存です


    真戸「さて。それでは、最後のお話です」


    カネキ「……なんでしょう」




    真戸「──金木 研くん。貴方には、2つの選択肢があります」



    ──────────────
    ────────
    ──────
    ───
    ──




    ヒデ「カネキ……どうするんだ?」


    カネキ「ヒデ……僕、行くよ」


    ヒデ「……そうか。ったく、お前が居なくなっちまったら俺は晴れてぼっちだぜ」


    カネキ「……ごめんね」


    ヒデ「気にすんなよ。たまに連絡くれりゃいいさ、これ絶対な! うさぎは寂しいと死んじゃうんだからよ!」



    カネキ「うん、ヒデ、それ迷信……」


    ヒデ「へ? ははっ……まあなんだ、元気でやれよ」

    カネキ「うん、ありがとう。……ヒデ、支度があるから、僕は家に戻るよ」

    ヒデ「おう、ほらよ傘」

    カネキ「でも、ヒデが」

    ヒデ「いいんだよ! 俺は雨に濡れたい年頃なんだよ。それよりも、お前は最近体調管理とかヤバそうだったから、しっかり食って寝ろよな」


    カネキ「……ああ、わかったよ。それじゃあ、傘借りるね」


    ヒデ「おう!」









    ヒデ「はぁ〜……ったく、俺には何にも出来ねぇのか……?」


     遠のく友人の背中を見つめながら、ヒデは嘆きを洩らした。

    ───────────────────────────





    カネキ「…」スタスタ…





    “アイツ”の次のターゲット…母さんの次は…ヒデを襲うかもしれない。





    大切なものは僕が守らないと…






    「ジェイソン」…ヒデは殺させない。
  122. 630 : : 2015/08/05(水) 18:54:03




    カネキ「…」スタスタ…





    カネキ「…!」




    真戸「やぁ、カネキくん。待っていたよ」




    カネキ「えっと…真戸さん…?」





    真戸「よし…それではさっそく行こうか。手続きなどはもう終わっている」






    カネキ「はい。お願いします」





    真戸「君は第二に行くことになった」




    カネキ「第二…?」



    真戸「そう…あそこは主に問題のある子が優先るんだが」




    カネキ「えっ!…僕…何か問題が…?」



    真戸「全てがそうというわけでは無いということだよ…君は偶然そこになっただけだよ」




    カネキ「は、はぁ…」






    真戸「おっと…話しているうちに着いたようだよ」






    ガヤガヤ ガヤガヤ




    カネキ「(なんか元気そうな子がいっぱいいそう…)」





    「おや、真戸上等」




    真戸「あぁ、こんにちは」




    カネキ「この方は?」ヒソ…



    真戸「あぁ、いわゆる先生というやつさ」



    カネキ「あぁ、なるほど」




    「そちらの子が?」



    真戸「ええ、よろしくお願いしますよ」



    カネキ「金木 研です。よろしくお願いします」



    「礼儀正しくていい子ですね。よろしく」




    真戸「さて…私は仕事があるのでこれで失礼します。じゃあねカネキくん」




    カネキ「ありがとうございました!」




    僕がそういうと、真戸さんは、手を振りながら去っていった。




    カネキ「…」


    ────────────────────────────
    ─────────
    ──────
    ───






    真戸『2つの選択肢があります』





    カネキ『2つの…選択肢…?』




    真戸『ええ…前に話したのを覚えていますか?』



    カネキ『なんの事…でしょうか…?』




    真戸『CCGでは…通常業務以外に…喰種被害に あい
    両親を失った孤児を引き取る事があります』




    カネキ『あぁ…あの話ですか…』




    真戸『そう…君はお母様を喰種に殺害されましたね。調べたところ、君にはお父様がいないそうで…』




    真戸『でも、親戚の方はいらっしゃいますね』





    カネキ『……(伯母さん……)』





    真戸『親戚の方は引き取ってくれるそうですが……その方が言うには…貴方の行きたい方へ行かせたいそうです』





    真戸『アカデミー(ジュニア)生になり…これからの未来、喰種と戦うか…または」




    真戸『親戚の家に行き、平和に暮らすか。あなたが決める事です。どちらにしますか?』





    ヒデ『っ……カネキ…』




    カネキ『……』




    真戸『……』



    亜門『……』







    カネキ『………行きます。アカデミーへ』




    ───────────────────────────




    「では…入ろうか」




    カネキ「…はい…!」




    ガラガラ ガラガラ〜!





    カネキ「(さっきまで騒いでたのに一気に静かになったな…)」





    「よし…皆!!紹介する!今日から君達とともに、この第二アカデミージュニアで学んでいく事になった金木 研くんだ!」




    一同「……」






    カネキ「……」




    「わー…髪真っ白ー」





    「玲みたいー」





    玲(什造)「……」





    クロナ「…」




    ナシロ「…」





    「さぁ、君からも何か一言」





    カネキ「えっ…あ、はい。えっと」




    カネキ「改めて。金木 研です。よろしくお願いします…!」






    「仲良くするんだぞ!」







    一同「はーい!!」









    ここから……
    僕の捜査官人生が始まる──────















    (完)
  123. 666 : : 2015/08/08(土) 20:03:32
    http://www.ssnote.net/archives/38113

    ↑続編です!!よければ見てください!

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1025

バカナス

@1025

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