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このSSは性描写やグロテスクな表現を含みます。

この作品は執筆を終了しています。

The Reluctant Triangle ー気乗りしない三角関係 (※シリアスあり)

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  1. 1 : : 2013/10/26(土) 04:46:36
    *注意事項*
    勉強の息抜きに書いていきます
    プロットは書きながら考えます
    …ので、お話の進行はとってものろいです
    相変わらず更新時間は奇行種です

    タイトルと本作の内容はアニメ版の某挿入歌とは関係ありません(たぶん)

    今まで「メガネ兵長!シリーズ(http://www.ssnote.net/series/5)」を書いてきましたが
    今回のお話とは全く関係ありません
    メガネ兵長待ちの方、ごめんなさい笑

    腐化の可能性は否めません


    それでもいいよー!っていう人は、れっつすくろーる!!
  2. 2 : : 2013/10/26(土) 05:29:31

    ー第50回壁外調査2日前ー

    ー調査兵団本部・ハンジの研究室ー

    ハンジ「ふい〜」

       「そろそろ出かける準備しないとな〜っと♪」るるるん♪

    モブリット「…そうですね」

         「リヴァイ兵長が迎えにこられるんでしたっけ?」

    ハンジ「そだよ」

       「それから壁の上に登って旧市街の視察」

       「状況次第では、旧市街に降りて巨人たちがどれくらい集まっているのかを確認する」

       「場合によっては、今度の壁外調査での護衛班の編成に修正が必要かもしれないからね」

    モブリット「…本当に、お二人だけで大丈夫なんですか?」

         「その… 万が一、ということもありますし」

    ハンジ「アハハ!」

       「キミはほんとに心配性なんだな〜」

    モブリット「…」

    ハンジ「そういえば、キミさ、」

       「ウチにきてどれくらいだっけ?」

    モブリット「えっと…」

         「明後日で、ちょうど1ヶ月になります」


  3. 3 : : 2013/10/26(土) 05:40:06

    ハンジ「ふうん」

       「…そっか」

       「まあ、この1ヶ月慣れない仕事も多かったことだろうし、」

       「今日はゆっくり休むといいよ」

       「もうすぐ壁外調査だしね」

    モブリット「はい…」

    ハンジ「…ぷっ」

       「そう心配そうな顔しないでよ」クスクス…

       「これも通常任務のうちの一つだし」

    モブリット「でも…」

    ハンジ「だいじょーぶだよっ!」ふふふ

       「前回、前々回はリヴァイとミケの担当だったし」

       「…ていうか、」

       「あいつらばっかりズルいと思わない!?」

       「巨人たちに会える数少ない任務の1つなのにさっ」

       「私だけのけ者にすんなっつーの!!」ぷんぷん


    モブリット(ハンジ研究室に配属されてから1ヶ月近く経つけど…)

         (…わからない……)


  4. 4 : : 2013/10/26(土) 05:40:51
    いつもご利用ありがとうございます。
    今後ともSS Noteをよろしくお願いします。
  5. 5 : : 2013/10/26(土) 05:46:21
    な、namusyakaさん!!!
    え、え!?むしろありがとうございます!!
    …うわあああーーッ、ありがとうございますぅぅぅっ!!!
  6. 6 : : 2013/10/26(土) 05:47:58
    し、支援…

    (うわあ、この喜び方のあとでの支援とか自殺行為でしかないだろ、僕)
  7. 7 : : 2013/10/26(土) 05:50:13
    進撃の猿人さん
    へ!?なんでですか??うれしいっすよ!!!
    勉強時間とSS書いてる時間が逆転しない程度に頑張ります笑
  8. 8 : : 2013/10/26(土) 06:16:00
    期待!
    勉強頑張って下さい。
    私も今日と明日模試です…
  9. 9 : : 2013/10/26(土) 06:23:30

    モブリット「え、と…」

         「そのミケ分隊長は、同行されないんですか?」

    ハンジ「ん〜?ミケ〜?」

       「あいつは運搬物資班の担当してて」

       「今回、ちょっと資材の調達に難儀してるんだってさ」

       「今頃、商工会のお偉いさん方との調整に骨を折ってるんじゃないかな〜」

       「だから今回はリヴァイと私の2人で担当ってわけ」

    モブリット「…はぁ」

         「そう、ですか…」


    ハンジ「でもさ〜」

       「巨人たちと会えるのはいいんだけどさ〜」

       「リヴァイとペアで任務っていうのも、同じくらい骨が折れるよね〜」はぁ〜ぁ〜

    リヴァイ「…誰と組むと骨が折れるって?」

    モブリット「ひ…っ!!?」

         (リ、リヴァイ兵長!?)

         (いつ入ってきたんだ!?全然気づかなかった…!)

    リヴァイ「ふん…」

    ハンジ「リヴァイ!」

       「ちょっと、来るの早いって〜」

       「まだ準備できてないし!」

    リヴァイ「…なんだったら俺1人で行ってもいいんだぞ」

    ハンジ「やだやだやだ!!」

       「それだけは絶対にダメ〜〜〜ッ!」

       「私も巨人に会いたいぃぃ〜ッ!!」

    リヴァイ「うるせえな」

        「だったらさっさと支度しやがれ」

        「1分だけ待ってやる」

    ハンジ「ぎゃ〜〜〜っ!!」

    ガサガサ ゴソゴソ バタバタ…


  10. 10 : : 2013/10/26(土) 06:24:34
    アロマさん
    ありがとうございます!お互い、頑張りましょうww
  11. 11 : : 2013/10/26(土) 06:37:31

    リヴァイ「…」

    モブリット「…」

         (う、うあぁぁぁ…ッ!!)

         (リ、リヴァイ兵長だ…)

         (そういえば、まともに話したこと無いな…)ドキドキ

    チラッ

    リヴァイ「…オイ」ギロッ

    モブリット「へっ!?」ドキーンッ

         「は、はい!!?」

    リヴァイ「お前、見ない顔だな」

        「ここで何してる?」

    モブリット「…え」

         「は、あ、自分は、一応、ハンジ分隊長の補佐で…」

         「1ヶ月前に配属されたばかりなんですけど…」

    リヴァイ(…!)

        「あぁ… そうか」


        (…前任のヤツが)

        (前回の壁外調査で死んじまったからな)


  12. 12 : : 2013/10/26(土) 06:53:24

    ーーー
    ーー


    ハンジ「ごめ〜ん!」

       「お待たせ〜ッ!」

       「じゃ、行こうか!!」

    リヴァイ「ああ」

    ハンジ「ほら、キミも!」

       「研究室の鍵閉めちゃうから、出てって!」

    モブリット「あ、はい…!」

    ガチャン

    …カチャリ

    ハンジ「これでよし、と!」


       「じゃ、行ってくるね〜♪」

    モブリット「お、お気をつけて!!」

    ハンジ「はいは〜い」


    リヴァイ「…」チラ

    モブリット「…ビクッ」


    ハンジ「ふっふ〜ん♪」

       「リヴァーイ!」

       「早く早くーーーッ!!」

    リヴァイ「…ハァ」

        「オイ、ピクニックに行くんじゃねえんだぞ…」カツ…

    コツ コツ コツ…



    モブリット「…」   ポツン…


  13. 13 : : 2013/10/26(土) 06:58:54
    やべえ超軽い気持ちで始めたのにすげえ重い方向に向かってるぜ…
    ちなみにハンジさんの性別ですが、中の人的には完全に中性です
    ので、お好きなように捉えてもらっていいですよ!
    とりあえず、今日はここまでっす
  14. 14 : : 2013/10/26(土) 11:19:12
    面白い!!
    期待してます!
  15. 15 : : 2013/10/26(土) 16:12:10
    期待
  16. 16 : : 2013/10/28(月) 02:07:37
    3k猫さん
    ちょいシリアスですが、楽しんでもらえると嬉しいです^^

    アロマさん
    ありがとうございます!
  17. 17 : : 2013/10/28(月) 02:09:51
    ー修正ー
    ・護衛班→援護班(憲兵団じゃないんだから…)
    ・運搬物資班→補給物資運搬班(読み直したら支離滅裂な語順だときづきました…)

    続き投下しますねー
  18. 18 : : 2013/10/28(月) 02:12:56
    期待
  19. 19 : : 2013/10/28(月) 02:14:36

    ーモブリットの回想ー

    ー約1ヶ月前ー

    ー調査兵団・整備室ー

    モブリット「ああ、なるほど…」

         「シャフトの取り付けが微妙に歪んでしまっているんだ」

         「ここをはめ直せば…」カチャカチャ… パチンッ 

         「…これでよし、と!」

    ゲルガー「おおお〜!」

        「さすがだな、モブリット!」

    モブリット「ハハ…」

         「大した事じゃないよ」

    ゲルガー「いやあー、助かったぜ!」

    ケイジ「俺たちも、もっとしっかりしないとな」

    「これくらいモブリットに頼らなくても、処理できるようにならねえと」

       「…来月からおまえもいなくなっちまうことだし」

    モブリット「…!」ズキン

         「ま、まだ、正式な辞令が出たわけじゃないから…」

    ゲルガー「…おい、やめろよ」

        「しんみりしちまったじゃねえか…」


        「そんなことより、今夜はぱーっと飲みに行こうぜ!?」

        「な!!」

    ナナバ「はぁ… あんたはまた…」


  20. 20 : : 2013/10/28(月) 02:15:50
    アニマックスハートさん
    ありがとうございます!
    たぶん、ちょっと長くなると思いますが最後までお付き合いくださいww
  21. 21 : : 2013/10/28(月) 02:20:17

    ガチャ

    キイィィー…

    ナナバ「!」

       「全員、作業やめ!」

       「起立!!」

    ガタガタッ

    ナナバ「エルヴィン団長に、」

    「敬礼ッ!!!」

    一同「「ハッ!!!」」ザッ

    ビシーッ

    エルヴィン「諸君、直ってくれ」

         「…ナナバ」

    ナナバ「はっ」

    エルヴィン「ぼそぼそ…」

    ナナバ「は? …ええ、了解です」

       「モブリット!」

    「団長が君に用があるそうだよ」

    モブリット「!?」

       「…あ、ハッ!」

    エルヴィン「…君がモブリットか」

       「私についてきたまえ」


  22. 22 : : 2013/10/28(月) 02:26:28

    ー団長執務室ー

    モブリット(直々に、団長が僕を名指しだなんて、一体何の話だろう…)

       (異動の件に関して、かな…)

       (それにしては随分と…)

    エルヴィン「まあ、かけたまえ」

    モブリット「ハッ!」

       「し、失礼します…」 カタ…

    エルヴィン「…君は、前回の壁外調査からの帰還後、」

       「技巧部への異動願いを提出しているそうだね」

    モブリット「…はい」

       (やっぱり、そのことか…)

    エルヴィン「…理由を聞かせてもらえないか」

    モブリット「それ、は…」

       「自分の戦闘力では、仲間の足手まといになる、と痛感して…」

       「それならば、より自分の能力を活かせる技巧部で、少しでも役に立てればと…」

    エルヴィン「だが、君は数度にわたる壁外調査を経験し、生還した…」

       「単刀直入に言おう」

       「兵団に残ってくれないか」

    モブリット「え…!?」

    エルヴィン「巨人の恐怖に屈した者は、二度と巨人に立ち向かうことはできない」

       「残念だとは思うが、去る者は追わないさ…」

       「だが、君の場合、どうもそのことが異動を志願する理由ではなさそうだ」

    モブリット「いえ…!」

       「巨人を実際に目の当たりにしてきたからこそ、自分は…っ」

    エルヴィン「では、なぜ、前回以前の壁外調査後にそうしなかった?」

    モブリット「…そ、それは、」

       「以前は、経験の欠如を言い訳に、自分の不甲斐なさから目を背ける事ができました…」

       「でも、今は、もう…」


  23. 23 : : 2013/10/28(月) 02:35:04

    エルヴィン「そうか…」

       「だが、もちろん」

       「こちらも無条件でこんなことを提案しているわけではない」
         
       「君が兵団に残るというのならば、来月から、現在の所属班から別の班に転属してもらう」

    モブリット「え…」

         「一体、誰の班に…?」


    エルヴィン「…ハンジ・ゾエの直轄班だ」

    モブリット「ハ、ハンジ分隊長の…!?」

    エルヴィン「というより、ハンジの副官を担当してほしい」

    モブリット「…は?」

       「な、なぜ、自分が…!!?」

    エルヴィン「ハンジには分隊長だけでなく、巨人の生態研究の統括という非常に重要な役職にもあたってもらっている」

        「実際かなりの激務なんだが、困ったことに、現在その副官のポストが空席でね」

       「…兵団は常に人材不足だ」

        「本音を言えば、人材の流出は最小限に食い止めたい」

         「そして、君ならば、適任だと判断した」

    モブリット「そ、そんな…」

       (分隊長の副官なんて大役、僕なんかにこなせるわけが…!)


  24. 24 : : 2013/10/28(月) 02:39:03

    エルヴィン「これは、階級飛ばしの大昇進とも言えるわけだが、…君の不安もわからないではない」

         「よって、今後1ヶ月間はその使用期間とする」

         「1ヶ月後の壁外調査まで、ハンジの補佐を担当てみてくれ」

         「その結果次第で、今後の身の振り方を考え直してほしい」

         「…どうだ?」

    モブリット「自分など…」

         「一度は兵団から退く決意をしたような自分などに…」

         「今更、何ができるのか、正直、わかりません…」


  25. 25 : : 2013/10/28(月) 02:43:54

    エルヴィン(やはり、ダメか…)

    モブリット「でも、後ろ髪を引かれるような何かを感じていることも、確かなんです」

         「それが何かは、自分でもわからないんですけど…」

         「そんな中途半端な気持ちのまま、今、兵団を離れるわけにはいきませんから…」

    エルヴィン「…!」

    モブリット「と、とりあえず…」

         「1ヶ月、考えさせてください」

    エルヴィン「…そうか」 フ…


         「よろしく頼む」


    ーーー
    ーー




    コツ コツ コツ…

    モブリット(あれからもう1ヶ月が経とうとしている…)

         (正直、以前に比べたら倍以上忙しいけど…)

         (仕事のやりがいはすごく、ある)

         
         「でも、なぁ…」

         (…問題は、)

         (ハンジ分隊長とうまくやれてる気がしないってこと、なんだよな…)

         (明日までに、兵団に残るか、正式な異動願いを出すか、決めないと)


         (壁外調査…か……)

         「ハァ… どうしよう…」


  26. 26 : : 2013/10/28(月) 02:47:05
    修正
    エルヴィン「ーーー、ハンジの補佐を担当してみてくれ」

    あと、ワードからコピペしたらおもっくそズレました
    これは修正できないっす… 申し訳ない
    というわけで、途中読みにくい箇所がありますがご了承ください
    ペコリ。。

    続きはまた今度!
  27. 27 : : 2013/10/28(月) 03:02:58
    おっと…
    使用期間×
    試用期間○
    日本語ってむつかしいね…(;´д`)
  28. 28 : : 2013/10/29(火) 00:31:26

    ートロスト区壁上ー

    ヒュオォォーーー…

    ハンジ「うっひょ〜!! いるいるぅ〜♪」

    リヴァイ「…」

    駐屯兵「…」

    ハンジ「うっわ!!リヴァイ、見てよ、あれ!」

       「あの鐘楼をよじ上ってる8m級、奇行種じゃね!?」キャッキャ♪

    駐屯兵(あんたが一番奇行種だよ…)

    リヴァイ「ふん… 結構集まってきているようだな」

    ハンジ「ど、どうする…?」ハァハァ

       「下に降りてみようか!?」フーフー

    リヴァイ「奇行種も数体確認できる」

        「ウチの援護班2班でこの数はキツいかもな」

        「駐屯兵団の精鋭部隊にも出張ってもらうことになりゃ…」

    ハンジ「下に降りて視察しないと、だね!?」(※注:各班の担当区画を振り分けし直すため)

    リヴァイ「まァ…」

    ハンジ「よっしゃ!!!」パシュッ

       「ひゃほ〜〜〜う!!」ヒュイーーーン

    駐屯兵「!?」ビクッ

       「あ、あの…!?」

    リヴァイ「チ…ッ」

        「ハンジの野郎、先走りやがって…」

        「すぐに戻る」

    パシュッ

    ヒュイーン…
  29. 29 : : 2013/10/29(火) 00:41:58

    ハンジ「アハハハハ…ッ!!」パシュゥゥゥ… ヒュイーン ヒュイーン…


    リヴァイ「…?」

        (なんだって視察程度であんなにガス吹かしてやがんだ?)

        (おかしい…)

        「オイ!」

        「止まれ、ハンジ!!」

        「飛ばし過ぎだ!」


    ハンジ「ハハハ…」

    リヴァイ「クソが…ッ」

        (それじゃあ死角から接近する巨人に気づけねえだろうが!)

    パシュッ パシュッ

    ヒュイィィーーーッ!


    リヴァイ「アイツ、ぶん殴ってやる…!」


        「…ハッ!?」


    ズシ…ン…


  30. 30 : : 2013/10/29(火) 00:49:22

    リヴァイ「右だ!!!ハンジ!!」

    巨人「がぁぁぁぁ…!!」

    ガシュッ

    リヴァイ「な…ッ!!」

        (捕まったか…!?)

    ガンッ ゴロゴロゴロ…ッ

    リヴァイ「ハンジ!!」

        (地面に叩き付けられ…!)


    ハンジ「カ…ッハ…!」

    リヴァイ(とりあえずは生きてやがる…)


        「チッ!!」ギロッ

    パシュ…ッ ヒュイーン…

    リヴァイ「こっちだ、このウスノロが!!」チャキ…ッ

        「ふっ!」

    シャキッ シャキーンッ

    ザグッ!!


    巨人「ぐ、ごぉぉ……ォ…」ミシミシ…ッ 


    ドシーーーンッ


    シュゥゥゥーー… 


  31. 31 : : 2013/10/29(火) 01:02:10

    リヴァイ「ハンジは…!?」シュタッ

        「!! チ…ッ!」

        「あいつ動けねえのか!?」タンッ

    パシュッ ヒュイィィーーーン…


    ガシッ 

    リヴァイ「クソが…ッ」ギリッ

    …グンッ …ヒュイーーーン…


    ダンッ

    ハンジ「…ハ、ハ」

    リヴァイ「…!?」

        (完全に瞳孔が開いてる…!!)


        「オイ、ハンジッ!!」ユサユサ

        「てめえ、しっかりしろ、このクソメガネ!!!」ガンッ(頭突き)

    ハンジ「!!」

       「…ッつ…ぁ…」


  32. 32 : : 2013/10/29(火) 01:12:46

    リヴァイ「てめえ、自分が何したか、わかってんのか!?」


    ハンジ「…え…… リ…ヴァイ……?」クラ…ッ


       「は… ごめ…」


    リヴァイ「…こんなところでゆっくりしてるわけにはいかねえ」

        「とにかく、一旦、壁の上に戻るぞ」

        「立てるか?」


    ハンジ「ん…」グッ…

       「!」ズキッ


       「あー…」


       「うん、大丈夫!」

    リヴァイ「うそつけ」

    ハンジ「ほんと、ほんと!だーいじょーぶだってば!」

       「一瞬、痛いかなーと思ったけど」

       「ほらっ!」スタッ


    リヴァイ「…」

    ハンジ「…ね?」


    リヴァイ「…俺の後ろにつけ」

        「遅れんじゃねえぞ」チャキ…

    パシュ……ッ


  33. 33 : : 2013/10/29(火) 01:14:03
    効果音ばっかww みなさんの想像力頼りですみません(汗)
  34. 34 : : 2013/10/29(火) 01:32:12

    ー団長執務室ー

    エルヴィン「…それで、左の肋骨2本骨折と、左足首の捻挫、か」

         「報告が遅いと思っていたが、まさか、そんなことになっていたとは…」

    ハンジ「…ごめん」

    リヴァイ「謝ってすむ問題じゃねえだろ」

    ハンジ「わかってる…」

    リヴァイ「駐屯兵団への精鋭部隊要請の件は俺がやっておく」

        「だが… どうする、エルヴィン」

    エルヴィン「ああ…」

         「今回の作戦にハンジが参加できないとなると、計画に少なくない修正が必要だ」

    ハンジ「ちょ、ちょっと待ってよ!」

       「私なら平気だから!!」

    リヴァイ「まともに立体機動できねえ上官ほど現場で邪魔な存在はねえ」


        「…言わせんな」

    ハンジ「ク…ッ」

    エルヴィン「ハンジ、お前は今回の作戦からは引いてもらう」

         「これは決定事項だ」

         「…今は、とにかく休め」


    コンコン…ッ

    エルヴィン「…来たか」

         「入りたまえ」


  35. 35 : : 2013/10/29(火) 01:53:06

    ガチャ

    モブリット「失礼しますっ!」ハァ ハァ…

    ハンジ「キミ…! なんで…」

    エルヴィン「私が呼んでおいた」

         「悪いな、休んでいたところをわざわざ来てもらって」

    モブリット「いえ!それより分隊長は…!!」


    エルヴィン「…今回の壁外調査からは外れてもらう」

         「モブリット、君もだ」

    モブリット「え…!?」

    エルヴィン「今日のところは、ハンジを自室まで連れて行って休ませてやってくれ」

    ハンジ「それくらい…!」

       「1人で戻れるよ!」

    エルヴィン「ハンジ、言われたようにしろ」

         「いいな」


    ハンジ「…わかった」

    エルヴィン「詳細が決定し次第、通達する」

         「…それまで待機だ」


    ハンジ「…了解」

       「キミ、行くよ」

    モブリット「は、はい…」

         「あ、肩掴まってください」

    ハンジ「いい」

       「大丈夫だから…」ヒョコ…


    モブリット「…」



    カツ… カツ… ーーー


  36. 36 : : 2013/10/29(火) 03:47:09

    エルヴィン「…しかし」

         「参ったな…」


    リヴァイ「…」

        「エルヴィン」

        「1つ、気にかかっていることがある」

    エルヴィン「どうした」

    リヴァイ「…覚えてるか」

        「いつか、ハンジの巨人話に付き合わされたときのことだ…」



        ハンジ『…やるよ』

           『私はやる』



           『憎しみを糧にして攻勢に出る試みはもう何十年も試されたーーー』

           『私は既存の見方と違う視点から巨人を見てみたいんだ』

           『空回りで終わるかもしれないけど…ね』



           『でも…』

           『私はやる』


  37. 37 : : 2013/10/29(火) 03:54:15

    エルヴィン「ああ、確かにそんなことを言っていたな」


         「…それがどうした」


    リヴァイ「…じゃあ、」

        「アイツは…」


        「巨人への憎しみを、欠片も持ち合わせてねえってのか?」

    エルヴィン「…!」


    リヴァイ「アイツは、いつからか巨人に対して異常なまでの…」

        「それも、愛情と言っても過言じゃねえ執着を見せるようになった」


        「だが、もしも、巨人への憎しみをわずかにでも抱えたままだとすれば…」


        「…アイツの心は、その歪(ひず)みに耐えきれるのか?」


  38. 38 : : 2013/10/29(火) 07:19:52

    エルヴィン「…無意識、だろうな」

    リヴァイ「ああ… 自分の意識の預かりしらねえ範囲のこととなると、厄介だな」


        「今日の視察も、最初からどことなくおかしいとは感じていたんだが…」


    エルヴィン「あいつがおかしいのはいつものことだ」


    リヴァイ「…とはいえ、判断が遅れた」

    エルヴィン「リヴァイ おまえが気に病むことじゃない」

         「前任の副官のこともある」

    リヴァイ「チ…ッ」


        「副官といえば…」

        「アイツは使えそうなのか?」

        「俺には、ただの優男に見えたが…」

    エルヴィン「ああ、モブリットのことか」

         「まぁ、な… 個人的には期待しているよ」

         「どうあれ、今は、彼に任せておくしかないだろう」


    リヴァイ「ふん…」

        「おまえがそう言うなら、そうなんだろ」

    エルヴィン「ハハ… そういうことにしておいてくれ」


         「…2時間後にハンジを除く幹部で会議を開く」


    リヴァイ「了解だ」


  39. 39 : : 2013/10/29(火) 07:40:28

    ーハンジの自室ー

    モブリット(…初めて、ハンジ分隊長の部屋に入ったけど)

         (研究室とまるで大差ない…)

         (ベッドの上まで書類が散乱してる…)


    ギシッ

    ハンジ「ク…ッ」

    モブリット「大丈夫ですか!?」

         「ゆ、ゆっくり…」

    ハンジ「わかってるって…」 ギシ…


       「っしょ、と…」

       「ふぅ…」 ズキ…ッ

       「!」

       (深呼吸するだけで、痛む…) 


    モブリット「分隊長…?」

    ハンジ「ほんとに、もう… 大丈夫だから」


    モブリット「…じ、じゃあ!」

         「痛み止めを飲むのに、水と、何か食べるもの、もらってきますね」

         「すぐに、戻りますから…」 コツ…


    ハンジ「…」


  40. 40 : : 2013/10/29(火) 22:56:03

    カチャ

    パタ…ン…

    モブリット「はぁ…」 フイ…

         「…!!」

         「リヴァイ兵長!」


    リヴァイ「…ハンジの様子は?」

    モブリット「ええと、ちょうど今、なんとか横になられたところで…」

    リヴァイ「そうか…」


        「おまえ、今ちょっと顔貸せ」

    モブリット「え…?え…っと、はい…」

         「…あ、でも、分隊長に痛み止めを飲んでいただくために、飲み物と軽食をもらいに食堂へ行かないといけないんですが」

    リヴァイ「構わん」

        「行くぞ」


    モブリット「は、はぁ…」


  41. 41 : : 2013/10/29(火) 23:07:09

    ー食堂ー

    リヴァイ「…つーわけだ」

        「現状、そこんとこをふまえた上で、」

        「俺たちが壁外に出てる間、アイツの面倒をみるやつが必要だ」

        「…おそらく、アイツは今、かなり不安定な精神状態にあると考えていい」


    モブリット「…!」

         「自分などに、そんな複雑な任務が務まるでしょうか…」


    リヴァイ「できそうかどうかじゃねえだろ…」

        「やれ…」

        「やるしかねぇだろ」

        「こんな状況だ…」

        「おまえもそれに死力を尽くす以外にやることはねぇはずだ」

        「必ずやり遂げろ」


    モブリット「し、しかし…」

         「自分はまだ正式な副官ですらないわけで…」

         「第一、自分は技巧部への異動願いを…」

    リヴァイ「あぁ…!?」ギロッ

    モブリット「…!」ビクッ


  42. 42 : : 2013/10/29(火) 23:22:34

    リヴァイ「てめえ、この期に及んでまだそんな世迷い言を言ってんのか」

        「…モブリット アイツの世話はお前が責任を持て」

        「上がそう言ってんだ」

        「俺はお前を信用したわけじゃない」

        「アイツを裏切ったり騙したりすればすぐに俺が殺…」ゲフン… 

        「俺が許さねえ」

    モブリット(…!?)

         (いま、殺すって言った…!!?)

    リヴァイ「誰も文句は言えんハズだ…」

        「お前以外に適役がいないからな…」


    モブリット「…」ゴクリ…


    リヴァイ「認めるわけねえだろ」

        「お前の調査兵団辞団なんてな…」


  43. 43 : : 2013/10/29(火) 23:29:26
    すごいいいです!
    期待!
  44. 44 : : 2013/10/29(火) 23:33:53
    駆逐委員さん
    コメ感謝です!
    お久しぶりですねww 
    ちょっとシリアスですが、最後までお付き合いいただけると嬉しいです
  45. 45 : : 2013/10/29(火) 23:41:01

    ーハンジの自室ー

    モブリット「あの、何か食べれそうですか…?」

    ハンジ「…うん」

    モブリット「といっても、夕食の片付けがとっくに終ってしまっていて、」

         「パンにイチゴのジャムとマーガリンを塗ったものくらいしか…」

         「あ、でも、先に水飲まないと…」

    ハンジ「ぐぅ〜〜〜…」は…っ!


    モブリット「! …そ、そうですよね」

         「昼から何も食べてないんですもんね!」

         「どうぞ」 そ…

    ハンジ「あ、ありがと…」


       「はむ…」もぐ… もぐ… …ごく…ん

       「ぱく…っ」もぐもぐ…

       「はぐっ」もぐもぐもぐ…

       「……う…っ」じわ… 

       「むしゃ…っ」もぎゅもぎゅ…っ

       「うぅ…っ ひぐ…っ」もぎゅもぎゅ… ごく…ん 

    ポタ…ッ

    モブリット「ハ、ハンジ分隊長…!?」

    ハンジ「ック… ヒック…!」ポタタタッ…

       「〜〜〜…っ、うわあああああん!!!」

       「うぅぅ〜… あああぁぁぁぁぁーーー……っ!!」


  46. 46 : : 2013/10/29(火) 23:51:15

    ーーー
    ーー


    モブリット「…」さすさす…

         (だいぶ、落ち着いてきた、かな…)


         「お水、飲めそうですか…?」

    ハンジ「ック… ん…」

       「あ…りが …と」コクコク…

    モブリット「…お薬も、飲んじゃいましょうか」

    ハンジ「うん…」


    サラサラ…  ゴキュ ゴキュ…

    ハンジ「…っ おぇ…!にが…」ゲホッ ゴホ…ッ

    ズキ…ッ!

    ハンジ「ク…ッ!」


    モブリット「すぐに痛みも引きますから…」さすさす…

         (痛々しいーーー…)


         「……すみません」


    ハンジ「は…?」

       「なんで、キミが謝るわけ…」

    モブリット「あ、いえ、ただ何の役にも立てなくて…」

         「その、申し訳ないなって、思って…」


    ハンジ「…」


       「キミさ…」

       「来月から技巧に異動するんでしょ…?」


  47. 47 : : 2013/10/30(水) 00:12:35

    モブリット「え…」

    ハンジ「迷惑かけて悪かったね」

       「もう、下がっていいよ」

    モブリット「ちょ、待ってください!」

         「ま、まだ、正式にそうと決めたわけでは…」


    ハンジ「…じゃあ、どうするの?」

    モブリット「それは……」


         (リヴァイ『俺が許さねえーーー…』)


         「…と、とにかく!」

         「今回の壁外調査が終了するまでは、自分は分隊長の補佐ですから!」


    ハンジ「…リヴァイに、なんか言われただろ」

    モブリット「…!」ギクッ

    ハンジ「ハハ…」

       「わかりやすいね、キミ…」


       「はぁ… ごめん、疲れちゃった…」

       「寝る」 

    モブリット「あ、はい…」

    シュル…  パサ… 

    モブリット(あ…)ドキ…ン…

         (髪おろしたところ、初めて見た…)


    ハンジ「…ひとりに、してもらっていいかな」

    モブリット「は…っ!」

         「も、もちろんです…っ」ガタッ
         

         「…おやすみなさい」



    ーーー
    ーー

  48. 48 : : 2013/10/30(水) 02:33:50
    支援
  49. 49 : : 2013/10/30(水) 07:49:25
    >>48
    ありがとうございます!!
    のろまモード全開ですが…orz 楽しんでもらえれば幸いです!
  50. 50 : : 2013/10/30(水) 22:42:54

    ー深夜ー

    ハンジ「はぁ… はぁぁ…」 

       「…く…っ」 

       「はあぁ… あぁぁぁーー…っ!」


       「…ハッ!?」がばっ

    ズキッ!

       「アァ…ッ!」クッ

       「ッハァ ハァ ハァ……」


    リヴァイ「急に動くな、バカ」

    ハンジ「…!」

       「リヴァ…イ…? なに、して…」

    リヴァイ「様子を見に来ただけだ」

    ハンジ「…」

       (こんな、真夜中に…?)


    リヴァイ「うなされてた」

    ハンジ「らしいね…」

       「情けないとこ、見られちゃったな」

    リヴァイ「…熱のせいだろ」

        「気にすんな」 ちゃぷちゃぷ… ギュッ

        「ほら、これ額にのっけとけ」

        「ねえよりましだろ」ペシャ…

    ハンジ「! つめた…」


       「…ねえ、」

       「あの子になんか言ったでしょ?」

    リヴァイ「…別に」

    ハンジ「あっそ…」

       「はぁ〜 タオルきもちいー…」


    リヴァイ「…寝ろ」

    ハンジ「ん…」


  51. 51 : : 2013/10/30(水) 22:48:01


    ハンジ「…リヴァイ?」

       「あの、さ…」


    リヴァイ「…なんだ」


    ハンジ「…私」

       「やっぱ、間違ってる、のかな…?」


    リヴァイ「…何言ってやがる」

        「らしくもねえ」

    ハンジ「ハハハ… ほんとだね」 スゥ…


       「でも、さ…」 

       「なんで、だろ…?」 ポタ…


       「…心が、」 …ヒ…ック…

       「粉々に砕けてしまいそうなんだ…っ」 ック… ヒック…



    リヴァイ「…ばかやろう」 さす さす…



    ーーー
    ーー


  52. 52 : : 2013/10/30(水) 22:54:40

    ハンジ「すー… すー……」

    リヴァイ「ハンジ…?」


        「…寝付いたか」


    キィー…

    リヴァイ「あ…?」クルッ


    モブリット「え…っと、あの…」

    リヴァイ「おまえ、まだいたのか」

    モブリット「…」


    リヴァイ「ち…っ」



    ーー時を遡ること、数十分前ーー

    ーハンジの自室前・廊下ー

    カツ カツ カツ…

    ちゃぷ…ん…


    『コツ コツ コツ…』

    モブリット(あれ…?)

         (誰か、後ろから着いてくる…?)

         (ま、まさか、おばk…!?) ヒィィ〜… 


         (…って、そんなわけないだろ!!)

         (よ、よし…)クルッ


         「…!」


  53. 53 : : 2013/10/30(水) 23:02:05

    モブリット「リ、リヴァイ兵長!!」

         「こんな時間に、一体、どうしたんですか!?」

    リヴァイ「それはこっちのセリフだ」

        「てめえこそ、ここで何してやがる」


    モブリット「じ、自分は…」

         「ハンジ分隊長のケガの具合からして、」

         「今夜は、おそらく発熱するだろうと思って、」

         「その、コレを…」ちゃぷんっ


    リヴァイ「…」

        「貸せ」


    モブリット「…はい?」

    リヴァイ「そいつをこっちに寄越せっつってんだよ」


        「…俺がやっておく」

    モブリット「いや、でも…」

    リヴァイ「あぁ?」ギロッ

    モブリット(ヒィ…ッ!!)

         (お、お化けより怖い…!)


  54. 54 : : 2013/10/31(木) 00:37:42

    モブリット「じ、じゃあ… お願いします……」

    リヴァイ「…ふん」ちゃぷ…ん…

        「おまえは部屋に戻れ」コツ…

    コツ コツ…


    モブリット「…」 ポツン…





    ーーー
    ーー


    リヴァイ「…さっきの会話も聞いたのか」

    モブリット「す、すみません…!」

         「どうしても、その、気になって…」


    リヴァイ「…まァ、いい」

        「あとは、おまえに任せてやる」カタ…ン

    モブリット「は、はい!」


    リヴァイ「…ふん」 カツ カツ カツ…


    キィーー…   パタ…ン……


  55. 55 : : 2013/10/31(木) 00:42:52
    お…っとっと… 

    めたんです
  56. 56 : : 2013/11/01(金) 00:30:25

    ーーー
    ーー


    モブリット「はぁ……」 キシ…ッ


         (…ハンジさん)

         (やっぱり、自分には、わかりません…)


    ハンジ「すー… すー……」


    モブリット(本当は、あなただってすごく苦しいハズなのに、)

         (どうして、いつもあんな明るく気丈に振る舞えるのか)

         (どうして、そうまでして戦い続けるのか)


         (…どうすれば、)

         「あなたに頼ってもらえる兵士になれるのか…?」


  57. 57 : : 2013/11/01(金) 20:31:27
    いやーー良いねーー!
    期待ぃぃぃぃぃ!
  58. 58 : : 2013/11/02(土) 05:53:39
    3k猫さん
    おおおおおお!ありがとうございますです!!がんばりまっす!
  59. 59 : : 2013/11/02(土) 06:00:11

    ー翌朝ー

    チチチ……

    ハンジ「ん… ふぁ…ぁぁ……」ズキ…!

       「…っ! いててて…」

       「…そっか」

       「バカ、やらかしちゃったんだっけか…」


    ガチャ… パタン

    モブリット「…あ!」

         「おはようございます、ハンジ分隊長!」

         「起きられてたんですね」


    ハンジ「ん… いま、起きたとこ」

    モブリット「じゃあ、ちょうどよかったです」

         「朝食、持ってきました」

         「お腹空いてますよね?」

    カチャン

    ハンジ「…たぶん」

    モブリット「…ええと、」

         「もし食べるのが辛いようでしたら、スープだけでも冷める前に召し上がってもらえるといいんですけど」


    ハンジ「うん… いただきます」 カチャ…   

       「ズズ…  ズズズ…」

       「ぱく… もぐもぐ…」


  60. 60 : : 2013/11/02(土) 06:34:05

    モブリット(ほ…っ)

         (よかった、食欲はあるみたいだ…)


         「りんご、剥きますね」カタ…

    ハンジ「ん…」 パサ…

       (…ああ、もう、髪の毛じゃまだな) 

       (髪留めどこだっけ…)


       (…いいや、めんどくさい、耳にかけとこ) サラ…

    モブリット「…!」ドキ…ッ

         (う…っわ!!)かぁぁぁぁ…っ


         「…えっと!」

         「ああ、なんて美味しそうなりんごなんだろう!!アハハー!」


    ハンジ「…は?」


    モブリット「い、いえ!」

         「なんでもないです…」


    ハンジ「?」

       「…もぐもぐ」


    モブリット「…」 ショリ…

         (と、取り乱した…っ!!) ショリショリ…

         (落ち着け、落ち着くんだ、自分!!) ショリショリショリ……


  61. 61 : : 2013/11/02(土) 06:41:24

    モブリット「…」ショリショリ…

    ハンジ「…!」

       「キミ、それ…」

    モブリット「え? …ああ」

         「はい!剥けましたよ、りんご!!」 ちょこん!

    ハンジ「剥けましたって、これ…」


       「…うさぎさん?」

    モブリット「です、です!」


    ハンジ「…」


    モブリット「あ、え…っと…」

         「やっぱ、ダメ、でしたかね…?」

    ハンジ「いや… いいんだけど…」


       「…ぷっ」

       「くっくっくっ…」

    モブリット「ハンジ、さん…?」

    ハンジ「…っは!」

       「あはははは!!」

       「…はははっ! …いたっ」 

       「ふぐ…っ ぷふーっ!!」

       「あははは…」


  62. 62 : : 2013/11/03(日) 01:32:21
    支援
  63. 63 : : 2013/11/03(日) 01:32:46
    支援
  64. 64 : : 2013/11/04(月) 23:01:01
    >>62さん 
    あああさん
    支援大大大感謝です!! 数時間のうちに投下しますので!w
  65. 65 : : 2013/11/04(月) 23:04:37
    待ってる力"-ノ ノ ヽ" |/...((φ('ー'*)
  66. 66 : : 2013/11/05(火) 00:32:52
    >>65さん
    ありがとーございます!
    今から再開します♪
  67. 67 : : 2013/11/05(火) 00:35:59

    モブリット「???」

    ハンジ「あはは… お…っかし…!!」

       「ふふふ… あはは…」  


       「……はぁ」

       「ちょっと、やめてほしいんだけど!!」

    モブリット「え…、え!?」

    ハンジ「こっちは肋骨折れてんだっつーの!」 シャクッ

    モブリット「す、すみません…!」

    ハンジ「まったく、もう!」シャクシャク… 


       (うさぎさんって…)

       (普通しないでしょ!)ゴクン


       (変なヤツーーー…)


    モブリット「あの…」

          「こんな話、聞かされてもしょうがないと思われるかもしれないんですけど…」


  68. 68 : : 2013/11/05(火) 00:44:26

    ハンジ「…いいよ」 シャク…

       「なに?」


    モブリット「その…」

         「自分には、4つ下に妹がいたんですが…」


    ハンジ(…"いた"、か……)


    モブリット「…ちょっと男まさりで、両親や自分の言う事なんてききやしなくて」

         「でも、肺が弱くて、すぐに風邪を引いてはこじらせるやつだったんです」

         「それで、どうしても食欲がないときには、りんごをうさぎ型に剥いてやると、息を切らしながらも、喜んで食べていました」

         「…子供心に、自分が剥いたりんごのうさぎをあいつに食べてほしくって、必死に剥き方の練習をしたんです」

         「僕が訓練兵団に入団した年の夏に、やっぱり夏風邪をこじらせて亡くなりましたけど…」


    ハンジ「…そう」

    モブリット「あ… す、すみません!」

         「困りますよね、こんな話…」


         「ただ、分隊長には、早く元気になってもらえたらいいな、と思って…」


  69. 69 : : 2013/11/05(火) 00:57:41

    ハンジ「…ん」

    モブリット「…じ、じゃあ、」

         「食器、返してきますんで!」

         「それと、忘れないうちにお薬も飲んでおいてください」

    カシャン


    ハンジ「…え?」

       「あ、ああ…」


    モブリット(…?)

         「必要なものがあったらなんでも言ってくださいね」


    ハンジ「…ああ」

       「今は大丈夫」

       「ありがと」


    モブリット「では…」


    ガチャ…   バタン


    ーーー
    ーー




    ハンジ「早く、元気に… か…」


       「…だからって、」

       「こんなところで、ただ寝てるわけにはいかない」


  70. 70 : : 2013/11/05(火) 01:05:12

    ー食堂ー

    ナナバ「やあ、モブリット!」

    モブリット「ナナバさん!おはようございます」

    ナナバ「ハンジ分隊長の容態はどう?」

    モブリット「ええと、食事はしっかりと取られていますよ」

    ナナバ「そう、それはよかった」


       「…ちょうどいいところに来てくれたよ」

       「エルヴィン団長に君を呼んでくるように言われていてね」

    モブリット「はぁ…」

    ナナバ「一緒に来てもらえるかい?」

    モブリット「え、えぇ…」

         「?」


  71. 71 : : 2013/11/05(火) 01:13:55

    ー団長執務室ー

    エルヴィン「呼び立ててすまない」

    モブリット「いえ…」 チラ…

    リヴァイ「ふん…」

    エルヴィン「ナナバ」

         「ご苦労、任務に戻ってくれ」

    ナナバ「はっ!」ピシッ

       「失礼いたします」

    ガチャ  パタン…


    モブリット「・・・」

         (なんでリヴァイ兵長までいるんだろう…)


    エルヴィン「ハンジの様子はどうだ?」

    モブリット「自分には、比較的、安定してきたように見受けられますが」

    エルヴィン「そうか…」


         「モブリット」

         「状況は、1ヶ月前とは違う」

         「…君の今後の身の振り方のことだ」

         「考えを聞かせてもらいたい」


  72. 72 : : 2013/11/05(火) 01:25:32

    モブリット(…?)

         (なぜ、今、団長はこんなことを聞くんだーー…?)


         「自分としては、このまま兵団に残る所存で…」

    エルヴィン「…そうだな」

         「言い方を換えよう」

         「リヴァイも、聞いてくれ」

         「今回の壁外調査終了後、私はハンジに退団を勧告するつもりでいる」

    モブリット「!!?」

    リヴァイ「…!」

    エルヴィン「…そのことを踏まえた上での、君の考えが知りたい」


    モブリット「そんな、いくらなんでも急すぎます…!」


    エルヴィン「…ハンジは分隊長に昇格してからまだ1年に満たない」

         「私としても、ハンジには兵団の一翼として、まだまだ頑張ってもらいたいと思っているんだ」

         「だが、このままでは、あいつが保たないばかりか…」

         「兵団としての秩序が乱れる恐れがあると判断した」

    リヴァイ(なるほどな…)

        (だが…)


        「エルヴィン、お前の言いたいことはわからんでもないが…」

    エルヴィン「待て、リヴァイ」

         「もう少し聞いてくれ」


  73. 73 : : 2013/11/05(火) 01:35:17

    エルヴィン「…そうは言っても、」

         「これは、現段階での私の個人的な見解にすぎないし、」

         「未だ、幹部会議に提案する準備もできてはいない」


         「だから、君の意見はそれを見極めるための判断材料といったところだ」


    モブリット「え…?」


    エルヴィン「…ハンジ・ゾエという人類反撃の糧を失う代償の大きさばかりじゃない」

         「あいつとは長く戦ってきた」

         「情が妨げになって判断を誤る可能性が多分にある」

         「それは、リヴァイや他の幹部たちも同様だ」


    リヴァイ「チ…ッ」


    エルヴィン「あいつがまだここで戦っていけるのか、どうか……」

         「…その確証がほしい」


  74. 74 : : 2013/11/05(火) 01:51:04

    モブリット「団長…」

    エルヴィン「期限は、我々が壁外調査から帰還するまで」

         「それ以上は待てない」

         「そして、もし、それまでにその確証が得られない場合には、」

         「…兵団の秩序の確保を優先する」

          「そうなれば、次回の壁外調査に臨むにあたり、早急に新しい分隊長の選出を執り行う必要もある」

         「…君も、当初の希望どおり、技巧部へ異動してもらうことになるだろう」


    モブリット「そんな…」

         「それほど重要な判断を、自分が冷静に下せるとは思えません」

    エルヴィン「なに、そう難しく考えてくれるな」フッ

         「君がなんと言おうと、最終的な判断とその責任は全て私が負う」

         「君の身の保証も含めて」


    モブリット「ゴク…ッ」


         「…わかりました」


    エルヴィン「ありがとう」

         「…引き続き、ハンジの看病を任せる」


  75. 75 : : 2013/11/05(火) 02:00:24

    ーハンジの自室前ー

    コツ コツ…

    モブリット(…ハァ)


    リヴァイ「・・・」


    モブリット(こ、怖い…)



    …こんこん

    モブリット「ハンジ分隊長、モブリットです」

         「遅くなってすみません!」

    しーん…
         
    モブリット「…あれ?」

         「お手洗いかな?」

    リヴァイ「ふん…」

        「大方、ぐーすか寝てやがんだろ」
        
        「オイ入るぞ、クソメガネ!」

    ドカッ!

    モブリット「あ、ちょっと!!

    バターン!!

    モブリット「…!」

         「…い、いないみたいですね」

         「やっぱり、お手洗いじゃ…」


    リヴァイ「…ふん」コツ コツ…  ピタッ

        「!」


        「…おまえは、クソのためだけに、」

        「わざわざ戦闘服を着用するか…?」


  76. 76 : : 2013/11/05(火) 02:10:05

    モブリット「…!!?」

         「そ、そんな…!」

         「分隊長は、一体どこに…!?」

    リヴァイ「チ…ッ」

        「俺は、今すぐ任務に向かわねえといけねえ…」ギリッ


        「…オイ、モブリット」

        「何がなんでもアイツをここに連れ戻して、ベッドに縛り付けておけ」

    モブリット「でも、兵長…!」

    リヴァイ「落ち着け」

        「そして考えろ」

        「お前のその大したことない頭でな」

        「死にたくなきゃ必死に頭回せ」

    モブリット(・・・!?)ビクッ

    リヴァイ「アイツが行く場所なんざ限られてる」

    モブリット「そ、そうか…!」


    リヴァイ「行け」

    モブリット「は、はい!」 サッ

    ダダダ…



    リヴァイ(クソッ、こんなときに…!!)


        「ハンジ…!」


  77. 77 : : 2013/11/05(火) 02:41:35
    投下待ってました!
    続き期待します
  78. 78 : : 2013/11/05(火) 22:44:13
    駆逐委員さん
    ありがとーございますです!
    しばらくしんどいエピソードが続きますが頑張って読んでください笑
  79. 79 : : 2013/11/05(火) 22:51:02

    ーーー
    ーー



    モブリット「ハァ ハァ…」 タッタッタッ…

         (浴室、厩舎、整備室、書庫、医務室… どこにもいなかった…)

         (今日の訓練に参加するわけがないし…)

         (巨人の実験施設かな… でも、あそこはいま、収容されている巨人がいないから、ただの更地…)


         (とにかく、次は、研究室…!)

         (お願いだ、いてくれ!)

         (ハンジさん!!)


    タッタッタッタッタッ……


  80. 80 : : 2013/11/05(火) 22:59:16

    ーハンジの研究室前ー

    モブリット「ハァ ハァ…」 ゴクリ…

    カチャ…

    モブリット(鍵が…! 開いてる!!)

    ガチャッ!

    モブリット「ハンジさん!!?」

    ハンジ「ビクッ!」 バサバサッ

    モブリット(いた…!!)

         「よ、よかったぁ〜…」へなへな…

    ハンジ「アハ… め、めっかっちゃった……」 コソッ

    モブリット「アンタね…っ!」キッ

         「めっかっちゃった、じゃないですよ!!」スクッ

         「大体、こんなところで何してるんですか!?」コツ…

         「勝手にベッド抜け出して!」コツコツ…

         「戦闘服まで持ち出したりなんかして!!」ズイッ

         「本当に、心配したんですからね!?」ガシッ

    ハンジ「う…」 クシャ…ッ

    モブリット「はぁ…」

         「ハンジさん、部屋に戻りましょう…?」

    ハンジ「は、放して…」

    モブリット「ダメです!」

         「あんた、いい加減、自分の状況を理解してくださいよ!?」ギュゥッ

    ハンジ「ちょ、痛…っ」

    モブリット「ハッ!?」

         「す、すみません…!」パッ…


  81. 81 : : 2013/11/05(火) 23:10:21

    ハンジ「…勝手に部屋を抜け出したことは謝る」

       「エルヴィンには、自室で待機だって言われて、」

       「それが、事実上の外出禁止令だってことも、よくわかってるよ」

    モブリット「じゃあ、なんで…」

    ハンジ「それでも、私には確かめなくちゃいけないことがあるんだ」

       「頼む、見逃してくれないか?」


    モブリット「…ダメです」

         「理由も教えてもらえないのに、そんなことできるわけないでしょう?」


    ハンジ「どうして…」

       「私のことなんか、放っておけばいいのに…!」

    モブリット「それ、あと一度でも言ったら本当に怒りますよ」


    ハンジ「…っ」

       「もう… 十分怒ってるって…」

    モブリット「ハンジさん」


    ハンジ「…」


       「…キミさ、」

       「優しいよね…」


  82. 82 : : 2013/11/05(火) 23:18:44

    モブリット「は…? 今はそんなこと言ってる場合じゃ…」

    ハンジ「うん、優しいよ」

       「優しくって、そんで、すげえいいヤツだ!」

       「訓練兵時代とかそれで損したクチだろ?」

       「いたいた、そういうやつ!わかるわ〜」アハハッ

    モブリット「…」

    ハンジ「ハハ、ハ…」


       「……」


       「…だけど、」 (だからこそ…)


       「やっぱり、キミは、技巧に異動した方がいい」

       「ここでやっていくには、あまりに…」

       「優しすぎる」


  83. 83 : : 2013/11/05(火) 23:26:44

    ハンジ「…キミは優秀だと思うよ」

       「この一ヶ月、ほんとによく働いてくれた」

       「でも…」


       「エルヴィンやリヴァイのヤツに何言われたか知らないけどさ」

       「一度は辞めるって決めたんだろ?」

       「だったら、自分の意志に従えばいい」

    モブリット「…ッ!」

         「ハンジさんっ!!!」

    ハンジ「ビクッ!」


    モブリット「あなたって人は…っ」


         「…リヴァイ兵長やエルヴィン団長は関係ありません」

         「確かに、一度は上からの命令だと言われて、応じるしかないよな、なんて思ったりもしましたけど…」

         「今は、ちゃんと自分の意志で、兵団に残ることに決めたんです!」


         「だから…」

         「もう、そんな突き放すようなこと、言わないでください」

  84. 84 : : 2013/11/05(火) 23:42:20

    ハンジ「は… わ、わけわかんない…」

       「…っ、わかんないよ!なんのために…!?」


    モブリット「それは…」

         「たぶん、あなたの喜ぶ顔がもっと見たいから、なんだと思います…」


    ハンジ「は…?」


    モブリット「…よく笑う人だなあ、と思ってました」

         「悲しいことや苦しいことだってたくさん抱えているハズなのに、」

         「どうして、いつもあんなに明るくいられるんだろうって、いつも不思議でした」

         「それは、今でもよくわからないけれど…」

         「でも、やっぱり僕はハンジさんにはできるだけ笑っていてほしい」


         「…だから、」

         「あなたのためにできることなら、何だってしたいんです」

         「僕は、あなたの役に立ちたい」


         「…ハンジさん」

         「僕を、頼ってはもらえませんか?」



    ハンジ「…」


       「…じゃない」



    モブリット「え…?」


    ハンジ「私は…」

       「キミの死んだ妹じゃない」


  85. 85 : : 2013/11/05(火) 23:49:44

    ハンジ「キミは、キミの妹と私を重ね合わせてる」

       「妹に頼られたかったように私に頼られたい」

       「妹に喜んでもらいたかったように私に喜んでほしい…」

       「りんごのうさぎだってそうだろ」

       「そうやって、一度失ったモノを別のモノで埋め合わせることで、自分を慰めたいんだよ」


       「…私は、キミの思い出の国の住人じゃない」

       「キミの助けはいらない」


       「…どいてくれ」 カツ…


    スルッ


    モブリット「・・・」


    カツ カツ カツ…


  86. 86 : : 2013/11/06(水) 00:12:02

    ートロスト区ローゼ門壁上ー

    ヒュオオォォォーーー…


    ピクシス「うむ… 承知した」

        「ウチにもなかなか筋のいい奴らがおる」

        「なァに、心配には及ばんわい」

    リヴァイ「…助かります」

    ピクシス「ハーッハッハッ!!!」

        「人類最強と誉れ高いリヴァイ兵士長に口説かれてしもうてはのう!」

        「断りようがないというもんじゃ」

    リヴァイ「…恐れ入ります」


    ヒュゥゥーーー…


    ピクシス「ときに…」

        「ハンジはどうしておる」

    リヴァイ「…!」

        「アイツなら、自室で大人しく療養させていますが…」

        「…昨日は、お騒がせして申し訳ありませんでした」

    ピクシス「よい」

        「そうか… まあ、あの負傷ではろくに動けまいが…」

        「しかし、さすがは分隊長と言ったところか」

        「巨人の不意打ちをくらって生き延びるとは」


        「…失いたくはないのう?」


    リヴァイ「…」

        「ありえません」 ギラ…ッ


    ピクシス「…フ」

        「そうじゃな」


        「おしゃべりはこの辺にしておこう」

    リヴァイ「…失礼します」コツ…


    コツコツ…



    ピクシス「…リヴァイめ、いい眼をしよるわい」


        「ハッ ハッ ハッ…!」


  87. 87 : : 2013/11/06(水) 00:31:17

    ーハンジの研究室ー

    モブリット(……)


         (分隊長の言うとおりなのかも、しれない…)

         (何やってるんだ、自分は…)


         「はぁ…」


    カサ…

    モブリット「ん…?」


         「これは… 第49回壁外調査、生態研究班報告書……?」

         「前回の報告書の下書き、か…」


         (…そういえば、)

         (さっき、ハンジさんはここで何をしていたんだ…?)


         (確か、何かの書類を探していたような…?)


         (…もしかして、この報告書を…?)



    ーーー
    ーー


    モブリット「…そうか……!」クシャ…


         (今は、自分のことなんてどうでもいい…ッ!)ギリッ

         (ハンジさんを追いかけないと…!!)スク…ッ

    ダダダダダ……


  88. 88 : : 2013/11/06(水) 00:45:15

    ートロスト区壁上・旧市街視察地点ー

    ハンジ「あーあ」

       「やっちゃったー…」


       「やっぱ、ちょっと、言い過ぎたかな?」

       「でもまァ、あれだけ言えば、さすがにもう追いかけてこないでしょー」


       「…いい子なんだけどな」


       「だからこそ…」


       「…仕方ないよね、私なんかと一緒にいたら碌なことにならないもの」



    ヒュゥゥーー…


    ハンジ「…」

       「あのとき…」

       「何も言えなかった」

       「ねえ、なんて言えばよかった…?」

       「私は… なんて言えば…」


  89. 89 : : 2013/11/06(水) 01:01:22
    次からハンジの回想編を投下しますが、グロテスクな表現を含みます。ご注意ください。
  90. 90 : : 2013/11/06(水) 01:02:43

    ーハンジの回想ー

    ー第49回壁外調査・復路ー

    ガラガラガラ…ッ

    巨人「ぐえぇぇ…ェェ……」ギシギシ… 


    パカラッ パカラ…ッ

    ハンジ(ふ、ふふふ…っ)

       (計画通り!!!) にぃ…っ

       (5m級の巨人一体の生け捕りに成功した…!)

       (帰還したら、実験の準備で大忙しだ!!)グフッ グフフフ…ッ


       (・・・)

       (払った代償は少なくはないけれど…)

       (だからこそ、彼らの為にも…)

       (この実験を有益なものにしなければいけないんだ)ギュッ


       「ハッ!!」 ピシャーッ!!

    パカラッ パカラッ…


  91. 91 : : 2013/11/06(水) 01:12:18

    ートロスト区郊外・巨人生態実験施設ー

    ガラガラガラ…

    巨人「ぐぇっ ぐえぇぇ…っ」

    ハンジ「よしっ」

       「予定通り、固定強化作業に移行する!」

    作業兵「「はっ!!」」


    巨人「…ぐえぇーーっ! ぐえぇええぇェェッ!!」


    ハンジ「…?」

       「様子がおかしい…」

       「待て!総員、一旦巨人から離れろっ!!」

    作業兵「「!!?」」 

    ズダダダダダ…ッ!!!


    巨人「ぐぇぇ…ッ!」

      「ぐえェェォゥえぇェェーッ!!!」

    ガボッ ゲボゴボボボ…ッ

    ドロロッ ドシャ…ッ!!


    ビチャビチャ…

    ヌチャ…… 



    ーーー
    ーー

  92. 92 : : 2013/11/06(水) 01:42:05

    シュゥゥーー…

    ハンジ「う…ッ!!」

       「…こ、これは……!?」


       (消化器官を持たない巨人はーー…)

       (満腹になるとーー…)


    作業兵たち「う、わああああぁぁーーーーーッ!!!」

         「ぐ…ッ!! がっ、はァ…ッ!」ビチャビチャ…

         「お、オレも、もうダメだ…ッ!!!」ドサッ ゥオエェェー……

    ザワザワ…ッ!

    ハンジ「ハッ!?」

       「ま、まずい!」

       「このままじゃ、秩序が乱れる…ッ!!」クッ


       「みんな!落ち着くんだ!!」

       「私の班と駐屯兵団の応援班で巨人の固定強化作業を続行!」

       「残りの者は吐瀉物の撤去作業にあたれ!」



    作業兵「「…はっ!!」」

    バタバタ…



    ーーー
    ーー

  93. 93 : : 2013/11/06(水) 01:50:38

    ハンジ「ふう…」

       「固定強化の方はこれで終了っと…」

       「あとは…」チラ…ッ


    ザッ ザッ ザッ…

    ハンジ「みんな、ご苦労さま」

    作業兵「…分隊長」

       「感染予防の消毒作業と、遺体の判別作業まで終了しています」

       「あとは、検死、及び移送作業となりますが…」

    ハンジ「わかった」

       「今日はもう日も暮れてしまったからね」

       「残りの作業は明日にしよう」

    作業兵「了解です」


       「こちらが、判別可能な者のみですが、戦死者名簿です」カサ…

    ハンジ「ああ…」

       「……4名、か」


       「…はっ!?」

    作業兵「…ええ」

       「分隊長の副官も、その中に…」


    ハンジ「そん、な……」 


       「ク…ッ」ギリリ…


       「…どれ、かな?」

    作業兵「…!」

       「や、やめておいた方が……!」


    ハンジ「…わかった」


       「どっちにしろ、全員の最後を見届けなくては」

    作業兵「ハ、ハンジ分隊長…!?」

    ザッ… ザッ…  ジャリ……

    ス…ッ

    バサ…ッ


    …グ、チャ………


    ハンジ「…!!」


    ブーン ブーー…ン…


  94. 94 : : 2013/11/06(水) 06:50:26
    待ってました!
    ハンジさん・・・
  95. 95 : : 2013/11/06(水) 22:58:07
    >>94さん
    ありがとうございます!お待ちいただいております…申し訳ないw
    最悪のシーンで中断してしまってすみませんでした(滝汗)
  96. 96 : : 2013/11/06(水) 23:07:13

    ハンジ「・・・・・・」


    作業兵「…分隊長」

    ハンジ「今日は撤収だ」

       「…みんなにそう、伝えてくれ」

    作業兵「は、ハッ…!」 タタタ…ッ


    ハンジ「・・・・・・」


    ー調査兵団寮・洗面所ー

    ザーーー…

    ジャブジャブジャブ…

    ハンジ「ぷ、はァ…」 パシャ…


       「私は、やる… そう決めた…」

       「だから、巨人を憎んだって、しょうがない」

       「…わかってる」

       「今は、前に進まないと」

       「…だけど」


  97. 97 : : 2013/11/07(木) 05:07:51

       「…」

       「すまない」


       「…」

       「ありがとう…」



       「…ちがう」


       「ちがう…!」

       「ちがう、ちがう、ちがうッ!!!」

    ガンッ!!

       「どうしてっ!!?」


       「…言葉が、見つからないんだーーー……」





    ーーー
    ーー




    ハンジ「はぁ…」

       「やっぱ、わかんないや…」


       「考えても、考えても…」


  98. 98 : : 2013/11/07(木) 05:21:53

    ヒュオオォォォーーー…ッ


    ハンジ「…さぶ」 ブルッ


       「…っ」 じわ…

       「わかんないよ…!」 ぐす…

       「もう、どうすればいいのかなんて…!」 ぎゅぅ…っ





    『…ーさ〜ん!』

    『…ーーンジさ〜んッ!!』


    ハンジ「…え?」


    モブリット「ハンジさぁーんッ!!!」タッタッタッ…

    ハンジ「キミ…!」ガタッ

    モブリット「や、やっと、見つけた…ッ!!」


  99. 99 : : 2013/11/07(木) 05:33:17

    モブリット「ハァ ハァ…ッ!!」

         「探しましたよ、ほんとに!!」

    ハンジ「なんで… キミ…」

    モブリット「なんでって…」

         「言ったじゃないですか!」

         「僕はあなたの役に立ちたいんです!!」


    ハンジ「は…?」

       「バカ、じゃないの…?」

       「私、キミにあんなひどいこと言ったのに…?」


    モブリット「ハァ… やっぱり…」

         「ひどいこと言ったって自覚あるんですね?」

         「じゃあ、キチンと謝って、反省してください」


    ハンジ「…キミ、」

       「自分が何言ってるかわかってないだろ…?」

       「私の副官なんかになったら、きっとまたすぐに死んでしまう…!」

       「な、んで…だよ…っ」

       「大人しく、技巧に移ればいいじゃないか!!」


  100. 100 : : 2013/11/07(木) 05:50:28

    モブリット「…ハンジさん」

         「人は、あなたの副官になるから死ぬわけじゃない」

         「いつかは、死ぬんです」

         「僕だって、死にたくなんかないけど…」

         「どうせ死ぬなら、誰かの役に立って死にたい」

         「僕は、調査兵団の兵士ですから」


    ハンジ「この、分からず屋…ッ」

    モブリット「…それは、お互い様です」

         「あなたは、いま、こんなところで油を売っていていい人間じゃないってこと、わかってるんですか?」

         「文句なら後でいくらでも聞きますから…」

         「…今日はもう、帰りましょう?」


    ハンジ「…っ」 ギリリ…

       「…はぁ」


       「わかったよ」

       「私の負けだ」




    ーーー
    ーー



  101. 101 : : 2013/11/07(木) 17:04:00
    期待&支援!
  102. 102 : : 2013/11/07(木) 21:18:31
    モブリットさん優しいな~
    がんばってください!
  103. 103 : : 2013/11/08(金) 00:10:41
    3k猫さん
    ありがとうございます!がんばりますので!!

    >>102さん
    コメ感謝です!
    本スレはモブリット氏の優しさによって成り立っておりますww
  104. 104 : : 2013/11/08(金) 00:21:39

    ーローゼ門付近壁上ー

    リヴァイ「あとは、ウチの援護班と合流してから、旧市街の再視察…」

        「で、本部に戻るだけだな…」


        (…モブリットはハンジのやつを捕まえたんだろうな……)

        (…アイツ、今、どこで、なにしてやがんだ……)


        「チ…ッ!」

        「さっさと片付けるしかねえか…!」

    コツコツコツ…


    リヴァイ「…ん?」


    駐屯兵二人組「…ーーらしい」

          『そりゃ、本当か!? すげえな…!』

          『さすが、調査兵団の分隊長だ』

          「ああ、昨日あんな大怪我したばかりだってのにな」

          『明日の壁外調査にも参加するのか?』

          「さあな…」

    リヴァイ「!!」

        「オイ、お前ら!」

    駐屯兵「!?」ビックゥーーーッ!

       「リ、リヴァイ兵士長!!?」

    リヴァイ「今の話、詳しく聞かせろ…!!」

    駐屯兵「は、はぁ…?」


  105. 105 : : 2013/11/08(金) 00:40:11

    ーーー
    ーー


    ー壁上・旧市街視察地点付近ー

    コツ コツ コツ…

    モブリット「…はい!?」

    「そのケガで、壁を登るのに立体機動したって…!?」

    「あんた、どんだけ無茶するんですか!!!」

    ハンジ「うるっさいなぁ…」

    「だって、ちょっと巨人を眺めながら考えごとしたかっただけなんだもん」

    「いちいち管轄の駐屯兵団に許可なんて申請してたら、誰かが連れ戻しにくるのなんてスグだってわかってるし…」

    モブリット「だからって…!!」


    バシュッ

    ガチィ…ッン…!

    ギュュィィーーーッ!!


  106. 106 : : 2013/11/08(金) 00:53:54

    ハンジ「ん?」

    モブリット「あ…!!」


    リヴァイ「ふ…っ!」 シュタ…ッ


    モブリット「リ、リヴァイ兵長!?」

         「どうしてここが…?」


    リヴァイ「フーーー…ッ!」ギロッ

        「てめえ、歯ァ食いしばれ…!」ヒュ…ッ

    モブリット「…!?」


    バキャ…ッ!!!


    モブリット「がッ…ふ……ッ!!?」ドサ…ッ!

    ハンジ「はっ!?」

       「ちょ、なにすんだよ!!?」

    モブリット「…ッか…ハ……!」

    ハンジ「だ、大丈夫!?」サッ

       「どういうつもりだよ、リヴァイ!!」

       「しっかり鳩尾(みぞおち)に蹴りいれやがって!」

    リヴァイ「どういうつもりかだと!?」ギロッ

        「そいつはオレが聞きてえな!」

        「いきなりいなくなったと思えば… こんなところで何してやがんだ!!」

        「お前は、どれだけの人間に心配かけてるかわかってんのか!?」


  107. 107 : : 2013/11/08(金) 01:56:27

    ハンジ「…!」

       「そ、それは……」

       「…だからって、それは彼を殴る理由になってないだろ!?」

       「殴るなら私を殴ればいい!」

    リヴァイ「わかりきったことをピーピー喚くな」

        「…今のは、ソイツのけじめの分だ」

        「安心しろ」

        「てめえの分はケガが治ってからだ」

    モブリット「ぐ…っ!」

         「ハァ… ハァ…」

         「い、いいんです、分隊長…!」

         「僕が、自分の責任を全うできなかったんですから、当然です…」

    ハンジ「な…ッ い、いいわけないだろ!?」

    モブリット「兵長…!」

         「…すみませんでした」

    リヴァイ「次はねえぞ」

    モブリット「はい」


  108. 108 : : 2013/11/08(金) 02:06:58

    リヴァイ「…ハンジは俺が連れて帰る」

        「いいな」グイッ!

    モブリット「え…!?」

    ハンジ「ちょ、引っ張るなよ!」

       「服が破けちゃうだろーが!」ジタバタ

    リヴァイ「うるせえ」

        「服なんてどーでもいいだろーが!」ガシッ


        「モブリット、いつまでうずくまってるつもりだ」チャキッ

        「さっさと立て、情けねえ」スイ…ッ

    ハンジ「な…ッ!!?」

       「ば、バカ!降ろせって!!!」ジタジタッ!

    モブリット(立体機動しながら、お、お姫様抱っこ…!!?)

         (どれだけ器用なんだ、この人…!?)

    リヴァイ「お前は黙って俺にしがみついてろ」パシュッ パシュ…ッ

        「振り落とされねえようにな…っ」 タンッ! 

    ふわ…っ

    モブリット「ちょっと、待…っ!!」ズキ…ッ

         「うぐ…っ」


    ハンジ「はわわわわっ!!」ギュッ!

    リヴァイ「・・・」


    ヒュイィィーーー……


  109. 109 : : 2013/11/08(金) 03:43:02

    ーハンジの自室ー

    ハンジ「ぐす…っ」

    リヴァイ「まァ、こんなもんだろ」

    モブリット「ちょ、リ、リヴァイ兵長…」

         「いくらなんでも、本当にベッドに縛り付けるなんて…」

    リヴァイ「当然だ…」

        「お前はハンジ自身を掌握できていない」

        「お前が寝ぼけてハンジに出し抜かれたとして」

        「すでに拘束されてりゃ問題ねえだろ」

    ハンジ「うぇ〜〜〜ん…っ」

    リヴァイ「これはハンジの身柄を監視する者に俺が提示する条件の一つ」

        「守るべきルールだ」

    モブリット「そ、そんな…」

    リヴァイ「いいか、モブリット」

        「俺たちが壁外から帰還するまでコイツをしっかり見張っておけ」

        「ハンジの身になんかあったら、今度こそただじゃおかねえからな…」ギロッ

    モブリット「は、はい…!」


  110. 110 : : 2013/11/08(金) 04:05:53

    リヴァイ「チ…ッ」

        「もうこんな時間か」

        「…会議に招集されているから俺はもう行かなきゃならねえが、」


        「ハンジ」


    ハンジ「な、なに…?」


    リヴァイ「…頼むから、」

        「無茶だけはすんな」


    ハンジ「…ごめん」


    リヴァイ「それはどっちだ」


    ハンジ「…ッ!」

       「だぁーーーーーッ!!もううるさいなぁ!!!」

       「しない!しないよ!!しませんよーーーっだ!!!」

       「どう、これで満足!?」

       「はぁ、はぁ…っ!」


    リヴァイ「…ふん」 クルッ

        「まァ、な」 コツ…

    コツ コツ…


    ガチャ… バタン


  111. 111 : : 2013/11/08(金) 04:19:23

    ハンジ「〜〜〜…っ!」

       「あんのバカリヴァイ!!」

       「お前が一番私の身になんかしてるんだっつーの!」

    モブリット「ハ、ハンジさん!それ言っちゃダメですって!!」

    ハンジ「だって本当のことじゃないか!」

       「モブリットだってそう思うだろ!?」

    モブリット「!」

    「…ハンジさん、」

    「いま…」

    ハンジ「ふんっ!」

       「何が守るべきルールだよ、勝手に決めんなっつーの」

       「大体、あんな壁くらい1人で降りれるし…」ぶつぶつ…



    モブリット「…くすっ」


  112. 112 : : 2013/11/08(金) 04:31:41

    ー翌日(第50回壁外調査当日)ー

    ーハンジの自室ー

    ハンジ「あー」

       「動けないぃぃー」

    モブリット「動いちゃダメです」


    ハンジ「お仕事したいよぉぉー」

    モブリット「だからダメですってば」


    ハンジ「だって、これじゃあ暇すぎて死んじゃうぅぅー…」


    モブリット「…はぁ」

         「心配なのはわかりますけど…」

         「少し落ち着いてください」


    ハンジ「そんなこと言ったって…」


       「…」

       「自分が壁の外に行ってるときは、」

       「作戦の実行と、帰ってくることだけに夢中で気づかなかったけど…」


       「…待つのって、」

       「こんなにしんどいんだね…」



  113. 113 : : 2013/11/08(金) 17:53:31
    やっと追い付きました!!支援!!!!!
  114. 114 : : 2013/11/08(金) 22:45:02
    へいちょかわいいよぉ//さん
    来てくださったんですね!大感謝です!!

    今日は命に代えてでも完結させ…られたら、いいなぁ……
  115. 115 : : 2013/11/08(金) 22:50:38

    モブリット「…そうですね」

    ハンジ「待ってたら、帰ってくる?」

    モブリット「帰ってきます」

    ハンジ「…待っても待っても、帰ってこなかったら?」

    モブリット「…帰ってきますよ」


    ハンジ「…でも、」

       「私は、何人もの兵士たちを、彼らを待つ人の元へ帰してやれなかった」

    モブリット「…」

    ハンジ「待っても、待っても、帰ってこない兵士たち」

       「もう二度と戻ってきやしない彼らに…」

       「私はどんな言葉もかけてやれない」


       「…見つからないんだ」

       「ずっと、ずっと考えているのに……」



    モブリット「…やっぱり、」

         「ハンジさんでも巨人は憎いんですね」


    ハンジ「ん…」

       「どうだろ…」

       「…君には、私が、巨人を憎んでいるように見える?」

    モブリット「う〜ん」

         「どうですかね…」

         「巨人の研究をしているときのハンジさんは、それはもうすごく生き生きしていて、そんな風には全然見えませんけど…」

         「…」

         「いえ、やっぱり見えません」

    ハンジ「…ぷっ」

       「なんだよ、それ」くすくすくす…


  116. 116 : : 2013/11/08(金) 23:03:21

    ハンジ「…そうなんだ」

       「正直、巨人のことを考えているときは、すごく楽しい」

       「一つのことがわかっても、その度に新しい謎が現れる」

       「真実は、いつも手のひらの中にあるような気がするのに、それを見ることは決してできない…」

       「でも、いつか必ず、私がその正体を暴いてみせる!」


       「…そう、こんなに充実している瞬間なんて他にはない」

       「そして、そこに巨人への憎しみがあるとは自分でも思えなくてね」

       「あるのは、ただ、知りたい、というどうしようもない好奇心なんだ」

    モブリット「ええ…」

    ハンジ「…なのに、」

       「ときどき、巨人に喰われて死んでいった仲間を思い出すと、」

       「ひどく塞いだ気持ちになってしまう」

    モブリット「…巨人を憎む気持ちを持つことは、当然のことですよ」


    ハンジ「…だけど、私は、」

       「私だけは、それじゃダメなんだよ…」

       「このままじゃ、ダメなんだ…」


    モブリット「…」


         「ハンジさん」

         「例えば、僕が巨人に喰われて死んだとして」

         「そのことが原因で、ハンジさんが巨人の研究をやめてしまったら、」

         「僕は、ハンジさんになんて言うと思いますか?」


  117. 117 : : 2013/11/08(金) 23:37:00

    ハンジ「なに、それ…」

    モブリット「僕じゃなくたっていいんです」

         「エルヴィン団長や、リヴァイ兵長、ミケ分隊長にナナバさん、死んでしまった兵士たち…」

         「きっと、みんな同じことを言うはずです」


         「ふざけるな!」

         「…って」


    ハンジ「…」


    モブリット「巨人の生態研究なんて、誰にでも出来る任務じゃない」

         「とても重要で難しい仕事だ」

         「それは、あなたが望んでやっていることで、みんなもそれをあなたに託している」


         「…ハンジさんに、巨人を憎ませようと思いながら死んでいく人なんて、どこにもいませんよ」


    ハンジ「あ…」



    モブリット「…それに、」

         「僕は、やっぱり帰ってくると思いますよ」


  118. 118 : : 2013/11/08(金) 23:40:48
    見ていて楽しいです
    頑張ってください!
  119. 119 : : 2013/11/09(土) 00:23:04
    >>118さん
    ぬおおおん!!ありがとうございます〜ッ!
    元気でたーーー!(←エネルギー切れかけてた)
  120. 120 : : 2013/11/09(土) 00:38:55

    ハンジ「え、なに?」

    モブリット「壁外で死んでいった兵士たちです」

         「調査兵団が、壁の外から帰還するたびに、」

         「何度でも、何度でも、」

         「一緒に帰ってくる」


         「ひとりひとりの兵士が、自由の翼の一羽根なんです」

         「自分1人じゃ壁の外になんか飛び立てないけど」

         「一枚一枚の羽根が集まって一翼になり、そして両翼になり…」

         「そうして、やっと、飛び立つことができる」


         「兵団が帰還する度に、帰りを待つ人たちは思うはずです」

         「帰ってきた、って」

         「…どれだけの悲しみに苛まれようとも、」

         「兵士たちを心から誇りに思うことでしょう」


         「だから、私たちが戦い続ける限り、待っても待っても帰ってこない、なんてことはありえません」

    ハンジ「!」

    モブリット「帰ってきます」

         「待ちましょう」

    ハンジ「モブリット…」


       「うん」

       「そうだね」


  121. 121 : : 2013/11/09(土) 03:46:00

    ー日没から数時間経過…ー

    ハンジ「〜〜〜…ッ」

       「遅い!」

    モブリット「・・・」

    ハンジ「もう兵団が壁外から帰ってきてから、ずいぶん経つのに何の音沙汰もないだなんて!」

       「エルヴィンは何やってるんだ」

       「なにかしら連絡をよこしてくれてもいいのに!」

    モブリット「そ、そうですね…」

    ハンジ「ったく!」イライラ


    モブリット「・・・」

         (もしかして、何かあったのかな…)

         (それとも、ハンジさんの処分について話し合いでも行われているとか…?)

         (ああ、どうしよう、このまま何にもできないうちに処分が決まってしまったりしたら…)


    ハンジ「…モブリット」

       「ちょっと、外の様子、見てきてくれないか?」

    モブリット「ええ…」

         「さすがに、気になりますよね」


         「じゃあ、少しだけ…」 ガタッ


  122. 122 : : 2013/11/09(土) 04:01:46

    『ドタドタ…』

    モブリット「…?」


    リヴァイ『…バカいえ』

        『ノックなんて必要ねえだろ』

    エルヴィン『おいおい、リヴァイ!』

    ドカッ!

    バターン! 

    ハンジ&モブリット「「!?」」

    リヴァイ「オイ、帰ったぞ」

        「大人しくしてたんだろーな、クソメガネ!」

    ハンジ「リヴァイ!」

    エルヴィン「やあ」

         「報告が遅れてすまないね」

    モブリット「エルヴィン団長…」

    エルヴィン「だいぶ、顔色もいいみたいだな、ハンジ」

    ハンジ「まあ、おかげさまで…」


       「それで、どうだったの?」

    エルヴィン「ああ」

         「作戦は滞りなく終了したよ」

         「元々予定されていた分の物資が確保できなかったこともあるが、」

         「計画の規模を縮小したことで、犠牲者もかなり少ない数ですんだ」

    ハンジ「そう…」

       「私の班は…?」

    エルヴィン「今回は、ナナバの班と合流してもらった」

         「負傷者が2名ほどでているようだが、全員、無事に帰還したとの報告を受けている」

    ハンジ「よかった…」ほ…っ


  123. 123 : : 2013/11/09(土) 04:18:40

    ハンジ「…本当にすまない」

       「次回の遠征までには、きちんとケガも治して、万全の状態で臨むから」


    エルヴィン「…」

         「ハンジ」

         「そのまえに、1つ、質問に答えてくれ」

    リヴァイ「…」ピク…ッ

    モブリット「…?」

    ハンジ「な、なに?」

    エルヴィン「正式な副官として、モブリットを着任させるか、否か」

         「すべては、お前次第だ」

         「…どうする」

    ハンジ「!」


       「…私は、」

       「彼を、正式な副官として迎えたい」


    モブリット(ハンジさん…!)


    エルヴィン「そうか…」フ…

         「安心したよ」


         「これで、ハンジの首を斬らずにすむ」


  124. 124 : : 2013/11/09(土) 04:40:14

    ハンジ「…はい?」

    リヴァイ「ふん…」 (ほっ…)

    モブリット「だ、団長!! それじゃあ…?」

    エルヴィン「ああ、ハンジにはこれからも分隊長として兵団で活躍してもらう」

         「異存はないな?」

    モブリット「もちろんです…っ!!」

    リヴァイ「当然だ」

    ハンジ「なになに?何の話??」


    モブリット「よ、よかった…!」

         「ほんとに…」じわ…


         「でも、どうして…?」

    エルヴィン「…そうだな」

         「ハンジがハナから、副官を採用することに乗り気じゃないことはわかっていた」

         「彼の名前を呼ぶことを意図的に避けていたことからも、それは明白だ」

         「…前任の副官のこともある」

         「この数ヶ月間、葛藤に苦しんだことだろう」

         「だが、仕事の量や性質上、副官の存在は必要だと思われる」

         「だから、どうしてもハンジには乗り越えてもらわなければならなかったんだ」


         「…もし、副官の採用を否定するようならば、私は本気でハンジに退団を勧告するつもりでいたよ」

    ハンジ「私が… 退団!?」

       「リヴァイとモブリットは、このこと知ってたの…?」

    モブリット「…はい」

    リヴァイ「まァな」

    ハンジ「そんな…」


    エルヴィン「モブリット」

         「私は、確証がほしいと、そう言ったね」

    モブリット「え、ええ…」

    エルヴィン「そして、君は確かにそれを私に与えてくれた」

    モブリット「僕が…?」

    エルヴィン「ハンジの答えが、その全てだ」


    リヴァイ「チ…ッ」

        (…俺より、ずっと多くのことを考えてやがる、ってわけか)


    エルヴィン「モブリット、改めて、君に心から敬意を払う」

         「これからも、よろしく」

    モブリット「は… はいっ!!!」


  125. 125 : : 2013/11/09(土) 06:30:36

    ハンジ「なんだよ!」

       「みんな、そんなに大切なことを、私に隠してたのか!?」

    リヴァイ「バカ」

        「…言えるわけねえだろ」

    ハンジ「そう、だけど…!」


       「…っ」

       「人の気も、知らないで…!!」じわっ

    リヴァイ「!?」

    モブリット「…ハンジさん、今日一日中ずっと、とても心配されてたんです」


    ハンジ「…知らないだろ!?」

       「何の知らせもないまま、ただ帰りを待つことしかできないことが、」

       「どれだけ辛いかなんて…!」


    リヴァイ「だから、お前はバカだってんだ」

        「必ず帰ってくるに決まってんだろうが」

    ハンジ「うるさい!」

       「そんなこと、言われなくたってわかってるよ!!」

       「だけど、私はもうイヤだ!」

       「待ってるだけだなんて…」


       「…だから、」

       「私は、戦う」

       「これからも一緒に戦わせてくれ」


  126. 126 : : 2013/11/09(土) 06:41:41

    ーーー
    ーー



    ー数ヶ月後ー

    ー第51回壁外調査・開門直前ー

    ザワザワザワ…

    ハンジ「くぅ〜ッ!!

       「夢にまでみた、久しぶりの壁外調査だ!」

       「今日はどんな巨人に会えるかな〜」

       「奇行種なんかいたらもう最ッ高なんだけどなぁ〜!」

    リヴァイ「ふん… 奇行種ならここに1人いるがな」

    ハンジ「え!?」

       「どこどこ?」

    リヴァイ「…お前だ」

    ハンジ「は!?」

       「何それ、どういう意味だよ!」

    リヴァイ「そのままの意味だ」

    モブリット「ははは…」

    ハンジ「こら!笑うな、モブリット!!」


  127. 127 : : 2013/11/09(土) 06:53:23

    エルヴィン『開門、30秒前!!』


    ハンジ「…!」


       「…ねえ、リヴァイ」

       「モブリットも、聞いてくれ」

    リヴァイ「…後にしろ」

    ハンジ「お願い」

       「ただ、聞いてくれればいいから…」

    モブリット「・・・」

    ハンジ「私は思うんだ」

       「本当は…」

       「私たちに見えている物と実在する物の本質は…」

       「全然違うんじゃないかってね」


       「言葉や態度が、心の中にあることとは必ずしも同じではように」


    エルヴィン『10秒前!!!』


    ハンジ「…今まで、甘えてばかりで、」

       「心配ばかりかけて、ほんとに、ごめん」


    リヴァイ「・・・」

    モブリット「ハンジさん・・・」


  128. 128 : : 2013/11/09(土) 07:00:13

    ハンジ「帰ってこよう、必ず!」キッ


       「…そんで、」

       「私のこと、また心配してよね!!」にひひっ

    リヴァイ「!?」

    モブリット「はい!!?」


    ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…ッ!!

    エルヴィン『開門!!!!』

         『進めええぇェェーーーッ!!!』

    ドドドドドドドドドドドドドドドッッッ!!!!!!



    リヴァイ「ハンジのやつ…!!」

    モブリット「ハンジさんったら…!」


    リヴァイ「チッ!気乗りしねえが…」

        「てめえ、覚悟しとけよ、ハンジ!!」

    モブリット「イヤだけど、しょうがないや…」

         「それが自分の仕事ですからね!!」


    ハンジ「…クスッ」



       「ひゃっほーーーう♪」





    ーおしまいー
  129. 129 : : 2013/11/09(土) 07:17:01

    ーおまけー

    リヴァイ「オイ、モブリット」

    モブリット「はい」

         「なんでしょう、リヴァイ兵長」

    リヴァイ「その奇妙なリンゴの削ぎ方を教えろ」

    モブリット「ええ、いいですけど…」

         「…!」

         「じゃあ、そのかわりに、」

         「立体機動しながら、お姫様抱っこする方法を教えてください」


    リヴァイ「チッ」

        「…そんなもん知ってどうする」

    モブリット「兵長こそ… どうするつもりなんですか」


    リヴァイ&モブリット「「・・・・・」」バチバチッ!!



    ハンジ(何やってんだあいつら…)

       (男同士で見つめ合って… ハッ!?)


       「まさか、ホモォ…!!?」


    ーおしまいー
  130. 130 : : 2013/11/09(土) 07:27:33

    ーおまけ(没ネタ)ー

    リヴァイ「オイ」

        「調子に乗るなよ、モブリット…」

    モブリット「はい!?」

    リヴァイ「副官だかなんだか知らねえが、」

        「お前みたいな小便臭いガキがハンジに付きっきりになるなどーーー…」    

    ハンジ「ねー リヴァイー」ひょこっ
       
       「次回の実験計画書なんだけどねー」

    リヴァイ「どきっ」ガリッ!

    モブリット(あ…)

    リヴァイ「…ろーひら(どうした)」ズキズキ


    ハンジ「…いや、」

       「むしろ、どーしたの?」



    ーほんとに、ほんとに、おしまい。ー
  131. 131 : : 2013/11/09(土) 07:45:08
    はい。やっとです。完結しました。
    グロやシリアスを乗り越えて、ここまで読んでくださったみなさま、道半ばで励ましてくださったみなみなさま、
    本当にありがとうございました。

    いかがでしたでしょうか。
    感想などをお寄せいただけると、中の人はとても喜ぶと思います。…ので、よければぜひ。

    最後にもう一度、貴重な時間をこのssと共に過ごしてくださった貴方へ。厚く御礼を申し上げます。ぺこり
  132. 132 : : 2013/11/09(土) 12:56:52
    リヴァイとモブリットさんよかった・・・
    りんごとお姫様だっこww

    楽しく切ないssありがとうございました!
  133. 133 : : 2013/11/09(土) 14:45:45
    よかった
  134. 134 : : 2013/11/09(土) 16:49:10
    溢れんばかりの拍手をめたんさんに送ります。

    めたんさんの話はすべて神作品!
    ものすごく好きだったです!!
    いや〜やっぱハンジはいい!
    リヴァイとモブリットの対話ににやけてしまった///

    次回作も楽しみです^^
  135. 135 : : 2013/11/09(土) 20:36:50
    めたんさんの話全部素晴らしいですっ////

    次回作も期待しまくります(*^^*)//
  136. 136 : : 2013/11/10(日) 01:48:41
    >>132さん
    なかなかない組み合わせですよねww
    そして、モブリットの主人公具合が半端ないというwww
    いえいえ、こちらこそ読んでくれてありがとう!

    >>133さん
    コメ感謝です!!
    楽しんでいただいたみたいで嬉しいです!
  137. 137 : : 2013/11/10(日) 01:57:00
    ユンジさん
    うわぁ〜〜〜っ!ありがとうございます!!!そこまで言ってもらえるとは…
    コメント見て泣きそうになったの初めてですょ…(;_;)
    私もこのスレを書いていてハンジがもっと好きになりました〜♪

    へいちょかわいいよぉ//さん
    全部読んでくださったんですか!?す、すごい…っ!!
    もうほんとにほんとにありがとうございます!
    がんばりまーーーっす!!
  138. 138 : : 2013/11/10(日) 01:59:31
    今さら感半端ないんですけど大切なところなので、、修正です…
    ハンジ「言葉や態度が、心の中にあることとは必ずしも同じでは"ない"ように」

    あーーーここで脱字とか、、まじ死にてぇーーーwwww
  139. 139 : : 2013/11/10(日) 02:50:24
    めちゃ良かったです!リヴァイの嫉妬がかわいかったwww
  140. 140 : : 2013/11/10(日) 02:54:03
    凄いよかった~~!めたんさんの作品を読むのがいつもたのしみです 感謝です!!
  141. 141 : : 2013/11/10(日) 03:30:50
    >>139さん
    まじすか〜〜〜!いやぁ、ありがとうございます!!
    今回は、全体的に、自分としてもかなりしんどいお話だったのですが、
    リヴァイが嫉妬するシーンは、書いていて癒されましたww

    駆逐委員さん
    おおう!!なんとか期待に応えられましたかね!?
    そう言ってもらえると、また頑張りたくなってしまいます♪
    むしろ、こちらこそ大大大感謝ですよ〜〜〜ッ!
  142. 142 : : 2014/03/22(土) 16:10:19
    めたんさんの作品を読むのは初めてでドキドキでした!!
    もう!内容も素晴らしくて…愛されているハンジさんが最高でした!
    兵長とモブリットの戦いがもっとみてえええええ!!
    素晴らしい神作品をありがとうございます!!(感動泣き
  143. 143 : : 2014/03/23(日) 10:12:24
    卿さま
    わぁ・・・!
    ずいぶん昔(?)に書いた作品なのに読んでくれてしかもコメントまで残してくれてどうもありがとう!!
    最近は全く書けてないけど、また続編とか新作書けたらぜひぜひ読んでくれると嬉しーです。ぺこり

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