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八幡「転校生が来た?」小町「うん!その2!」

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  1. 1 : : 2014/02/13(木) 15:13:31

    http://www.ssnote.net/archives/9407


    前作の六ルートです





    小町「お兄ちゃんおかえりー」


    八幡「あぁ…ただいま」


    俺は家に帰ると真っ先にソファーに寝転がった



    小町「先週に続いて今週もお疲れだね」


    八幡「まったくだ…」
  2. 2 : : 2014/02/13(木) 15:14:53


    先週は2人にいきなり告白された


    その時点で俺の頭はキャパオーバーだったわけだが

    返答を保留にした結果
    こうして今週2人とデートする事になったのだ




    小町「お兄ちゃんは…六ちゃんと鈴鹿ちゃん、どっちと付き合うの?」


    八幡「分からん。一回デートしただけで決められねぇだろ」


    小町「ま、それもそうだよね」


    それに今回のはデートと言って良いのかも怪しい
  3. 3 : : 2014/02/13(木) 15:24:09

    鈴鹿とはデートと言うより、一方的に買い物に付き合わされた感じがするし


    六とは一緒にずっとフードコートでお喋りをしていただけだ


    デートと言うには少し遠いかもしれない



    小町「お兄ちゃん的には、今のところどっちが優勢なの?」

    小町が面白がって質問してくる


    八幡「まぁ…どっちも一長一短だな」

    小町「え、どゆこと?」
  4. 4 : : 2014/02/13(木) 15:27:18

    八幡「鈴鹿はけっこうお嬢様タイプで、自分勝手っぽい横暴な所があるが、
    その分会話も弾むしリードしてくれる事もある。ある意味気を遣わなくて済む」


    小町「ふむふむ、六ちゃんは?」


    八幡「六はな…鈴鹿と正反対で我を通そうとせず、俺に合わせようとしてくれる。だから逆に無理させてないか不安になる時がある。良い子なのは変わりないが…」


    小町「へぇ…お兄ちゃんにしてはちゃんと見てるんだね」


    八幡「まぁな」


    小町「そっか、なるほどなるほど…」



    八幡「話は終わりだな。んじゃ俺は風呂入ってくるわ」


    小町「はーい」



    小町「(お兄ちゃんが揺らぐのはまだ少し先かな…)」

  5. 5 : : 2014/02/13(木) 15:38:04




    翌日



    教室




    小町「六ちゃん、おはよー!」


    六「おはよう、小町ちゃん!」


    小町「ところでさ、一昨日のお兄ちゃんとのデート、どうだった?」


    六「ちょっと小町ちゃんっ!?」////


    『デート』という言葉に周りの視線が六と小町に集まる
  6. 6 : : 2014/02/13(木) 15:40:44


    男子A「で、デート…?」

    男子B「相羽さん…が?」

    女子A「うっそー!六ちゃん彼氏いたの?」

    女子B「詳しく聞かせてー!」




    六「あうぅ…」


    六がとても困った顔で戸惑う


    小町「皆ちょっとゴメン」


    そこで小町が六を連れて教室から出る



    六「小町ちゃんのばかぁ…っ」

    六は少し泣きそうになっていた

    小町「ごめんごめん、まさかあんなに皆が食いついてくるなんて思ってなくて…」


    ほんの少しだけ皆の反応を楽しみにしていた小町だが
    それを言うと六が怒りそうだったので黙っておく事にした
  7. 7 : : 2014/02/13(木) 15:46:15




    小町「ここまで来れば大丈夫かな」

    六「もうっ、小町ちゃん気をつけてよね!」


    小町「ご、ごめんね。それで、デートどうだったの?」


    六「どうって…楽しかったよ?」


    小町「お兄ちゃんが失礼な事とか、しなかった?」


    六「ぜ、全然!そんな事なかったよ!」


    小町「良かった…。あ、それでね、お兄ちゃんにも昨日、デートの事聞いてみたんだ」


    六「え!?…その、お兄さん…私の事何か言ってなかった…?」


    六がとても不安そうな顔で小町に尋ねる
  8. 8 : : 2014/02/13(木) 15:59:03

    小町「えっとね、六ちゃんは『我を通さず周りに合わせれるのが長所だ』って感じの事を言ってた。けど…」


    六「けど…?」


    六が若干泣きそうになっている

    恐らくこの後なにか駄目出しされるのだろうと不安になっているのだ


    小町「『その分、無理させてないか不安になる』ってお兄ちゃんは言ってたよ」


    六「え?」


    駄目出しかと覚悟していたが
    返ってきた言葉は、八幡が自分を心配してくれているというものだった
  9. 9 : : 2014/02/13(木) 16:00:39

    小町「お兄ちゃんは六ちゃんが無理してないか心配なんだと思う」


    六「私が…無理を?」


    小町「周りに合わせるって事は、自分の意見を押し殺してるって事だから…それをお兄ちゃんは心配してるみたい」


    六「…お兄さんが…」


    小町「だから、六ちゃんはもう少しわがまま言ってみても良いかも。多分その方がお兄ちゃんも安心すると思うし」


    六「…うん!次からは…もう少しだけ、自分の意見を…出してみるね!」

    小町「うん!六ちゃんその意気だよ!」


    そして校舎に予鈴が鳴り響いた


    六「あ、そろそろ教室戻らないと」


    小町「そうだね、行こっ」


    2人は教室へ向かう


    この後、休み時間の度に六が質問攻めされたのは言うまでも無い
  10. 10 : : 2014/02/13(木) 16:03:02





    六の部屋



    六「ふぅ…」


    六は自分の部屋のベッドの上に横たわった


    なんとかクラスの皆には、小町の冗談という事で誤魔化す事ができた


    けれど、当然それで納得していない人も何人かはいるだろう



    六「今日は疲れたなぁ〜…」


    携帯を開く
  11. 11 : : 2014/02/13(木) 16:07:18

    六「(一昨日デートで…今週の休日もデートなんて流石に迷惑だし…やっぱりやり過ぎだよね…)」



    六と八幡がデートしたのは一昨日の土曜日だ

    確かに今週もデートとなると間隔が短過ぎるだろう


    しかし今日あんな話をされてしまえば、早くもう一度会いたいと思ってしまうのも仕方の無いことかもしれない
  12. 12 : : 2014/02/13(木) 16:13:05


    六「(お兄さんが…あんなに私を心配してくれたなんて…)」


    六は何度も八幡の優しさに触れている
    その度に胸が熱くなり、鼓動も早くなっていった

    今もまた同じで顔も赤くなっている


    六「嬉しいなぁ…」


    六「(メールくらいなら…してもいいよね…)」


    アドレス帳から八幡の名前を選択する


    六は20分程、文章を考えて送信ボタンを押した


    八幡は基本返信が遅い
    しかしこのメールの返信を待っている時間も、六にとっては幸せな時間だった
  13. 13 : : 2014/02/13(木) 16:18:29




    八幡の部屋





    八幡「ん、メール?…六からか」


    携帯を開きメールを確認する


    そこには何の変哲もない
    普通の文章が書いてあった

    ただの世間話のような内容だ


  14. 14 : : 2014/02/13(木) 16:26:38


    特に考えず返信しようと思ったが
    ふと小町の言葉が頭をよぎる


    八幡「(…そういや、小町に俺からも六を遊びに誘えとか何とか言われてたっけな…)」



    カレンダーを見る


    昨日のデートの経験からして、学校の前日にデートに行くのは地雷という事を学んだ


    行くなら土曜日だが…それだと一昨日のデートから一週間しか間隔が空いていない事になる


    流石に迷惑か…


    そう思ったが、一昨日のデートがデートと言える物じゃなかったのも事実だ


    八幡「小町にも言われたし…一応声かけてみるか」


    俺は六にメールの返信をした

  15. 15 : : 2014/02/13(木) 16:30:10




    六の部屋



    六「あ、お兄さんからメールだ♪」


    八幡からのメールを意気揚々と確認する



    六「え…っ」////


    六は目を疑った


    なぜならメールには『今週の土曜日に遊びに行かないか』といった内容の文章が書かれていたからだ
  16. 16 : : 2014/02/13(木) 16:37:14

    六は一瞬夢かと思ったが、頬をつねり、現実である事を確認する


    六「お兄さんから、お誘いのメールが来るなんて…っ」


    六は喜びのあまり、自然に口元が緩み、にやけてしまう


    小町から聞いていたように、八幡は基本休日は家から出ないらしい

    そんな八幡から遊びの誘いが来るというのは、六にとって予想できない出来事であり、同時に凄く嬉しい出来事でもあった


    すぐさま六は了承の返信をした


    六「ふふ、今週の土曜日が楽しみだなぁ…」

  17. 17 : : 2014/02/13(木) 18:26:19
    面白いです。
    続きが気になります。
  18. 18 : : 2014/02/13(木) 20:12:12
    頑張ります(^^)
  19. 19 : : 2014/02/13(木) 20:31:29
    支援!
  20. 20 : : 2014/02/13(木) 22:26:01
    期待
  21. 21 : : 2014/02/14(金) 00:18:33
    とても面白いです!
  22. 22 : : 2014/02/14(金) 00:28:03



    土曜日




    俺が待ち合わせ場所に着くと
    六は既に待ち合わせ場所で待っていた

    八幡「(これでも少し早めに家を出たんだがな…)」


    八幡が少し驚いていると
    六がこちらに気づいたようで、手を振りながら近づいてくる


    六「お兄さん!こんにちは!」


    八幡「あぁ、待たせて悪いな」


    六「い、いえ!私もさっき着いたばかりですよ」


    八幡「そっか…。それじゃ早速だけど、行くか」


    六「はい!」


    俺たちは早速映画館に向かった

  23. 23 : : 2014/02/14(金) 00:29:25




    映画館





    八幡「なんか、観たい映画とかあるか?」


    特に何を観るかなど決めてなかったので、六に意見を求める


    六「え、いえ…私はお兄さんが決め……」


    六が何かを言おうとした
    しかし途中で言葉を止める



    八幡「六?」


    六「え…と」


    六は少しだけ考えて

  24. 24 : : 2014/02/14(金) 00:31:34

    六「私、あれが…観たい、です。いいですか?」


    八幡「…え」


    六「ダメ…でしたか?」


    六が俺の顔を覗き込む

    俺はそれを見てハッと我に返った


    八幡「…あ、あぁ!すまんちょっとボーッしてた。んで、どれだって?」


    六「ふふ、変なお兄さん。私が観たいのは、あれです」


    八幡「ラブストーリーか」


    六「いいですか?」



    八幡「あぁ、構わない」


    六「良かった」

    そういって六は安心したように
    ニッコリ笑った


    八幡「…っ」///


    六「お兄さん?」


    八幡「え、いや、何でもねぇよ。じゃあチケット買うか」

    六「はい!」
  25. 25 : : 2014/02/14(金) 00:33:18


    八幡「(…驚いたな…)」



    六が俺に合わせるのではなく
    自分の意見を主張した


    それが意外で、少しの間ボーッとしてしまった


    それに、その後に見せた笑顔に
    不覚にも…





    俺たちはチケットを買い、劇場に入った


    そして映画が始まる


    しかし映画の内容はあまり頭に入ってこなかった


  26. 26 : : 2014/02/14(金) 00:35:27





    六「映画、面白かったですね!」


    八幡「あ、あぁ」

    と言っても本当にクライマックスしか覚えていない
    それ以外は違うことに気を取られていて、頭に入ってこなかったからだ


    六「まさか最後があんな展開になるなんて思ってもみなかったですよー」


    八幡「そ、そうだな」


    最後しか知らないから、あんな展開以外にどんな展開になる可能性があったのか分からない


    だが楽しんでもらえたみたいで良かった


  27. 27 : : 2014/02/14(金) 00:36:30


    八幡「さて、それじゃ昼飯でも食いに行くか」


    六「そうですね!」



    俺は携帯で近くのファミレスを検索する


    そして2人で決めたファミレスへ向かった


  28. 28 : : 2014/02/14(金) 00:37:05




    ファミレス





    八幡「うそ…だろ…?」


    俺は幻覚でも見てるのだろうか

    俺は六とファミレスに入った
    そこで見たのは…


    「あんた…あたしの誘いは断ったくせに、六ちゃんとはデートするなんて良い度胸してるじゃない」


    六「鈴鹿…ちゃん」


    そう、大連寺鈴鹿だった

  29. 29 : : 2014/02/14(金) 00:37:56

    鈴鹿「まさかこんなとこで会うなんてね」


    八幡「それはこっちのセリフだ」


    鈴鹿「で?なんであたしのデートの誘いは断ったのよ!」


    八幡「先週のデートで日曜日にデートするのは地雷だと分かったんだよ。だから日曜日は完全休業する事に決めた」


    鈴鹿「何よそれ!」


    八幡「仕方ねぇだろ!月曜日めちゃしんどかったんだぞ!」


    鈴鹿「ほんとヘタレ!ムカつく!」

    八幡「お前は少し落ち着きを覚えろ!」


    鈴鹿「うっさいわね」
  30. 30 : : 2014/02/14(金) 00:39:05

    八幡「それで、お前は何してんだ?」


    鈴鹿「友達と勉強会よ」


    八幡「勉強会?」


    鈴鹿「なによその『お前勉強すんの?』みたいな顔は!?」


    八幡「そんな顔してんだよ」


    鈴鹿「あたしだってこう見えて、ちゃんと勉強するわよ」


    八幡「へぇ、意外だな」


    六「あの、お兄さん…」


    六に名前を呼ばれ、六を放ったらかしにしていた事に気づく
  31. 31 : : 2014/02/14(金) 00:41:34


    八幡「あ、六悪いな。話し込んじゃって。つーわけで鈴鹿、俺らは違うとこで飯食う事にするわ」


    鈴鹿「…え?ここで食べてかないの?」


    八幡「うーん、まぁ、今日は六とのデートだからな。出来れば2人きりでいたいし」


    六「/////」カァッ


    鈴鹿「…っ、なによ」ボソ



    鈴鹿「あっそ!じゃあね」


    八幡「あぁ、またな」


    六「鈴鹿ちゃん、またね」


    鈴鹿「…うん、また…」



    俺たちはファミレスを出て違う店を探した

  32. 32 : : 2014/02/14(金) 00:42:35


    八幡「まさか…よりにもよってあいつに会うとはな…」

    六「ほんと、すごい偶然ですよね」


    八幡「まったくだ…」



    六「…」


    八幡「どした?」


    六「…あの、ありがとう…ございました」


    八幡「え?」


    六「その…鈴鹿ちゃんと会った時……2人きりでいたいって…言ってくれて…」


    八幡「あぁ…別に…」


    自分で言ったことだが、少し恥ずかしくなってきた


    六「凄く…嬉しかったです」


    八幡「お、おぅ…」
  33. 33 : : 2014/02/14(金) 00:45:42



    六「(だって…てっきりお兄さんのことだから、鈴鹿ちゃんがいてもあのまま、あそこでご飯を食べるって…言い出しそうだったから…)」


    八幡「そ、それより違うファミレス探さねぇとな」



    六「…あ、あの!」


    八幡「どうした?」


    六「お兄さんが良ければ、その…私の家に…来ませんか?」


    八幡「…え?」


    六「私の家ならここから近いですし…お兄さんさえ…嫌でなければ…」


    八幡「え、と…それは…」


    六「やっぱり、嫌ですか?」


    八幡「嫌…じゃないんだが…」


    六「わ、私料理少しくらいなら出来ますよ!」


    八幡「いや、問題はそこじゃ…」

  34. 34 : : 2014/02/14(金) 00:47:37


    六「うぅ…」


    六が悲しそうに目を伏せる



    八幡「…わ、分かったよ!行く、行くから!」


    六「ほんとですか!!」


    八幡「あ、あぁ」


    六「やった!じゃあ、行きましょう!」


    そうして六が笑いながら俺の手を引く

    いきなりの六のテンションの変化に戸惑ったが、六の笑顔を見れて少し安心した



    それからしばらく歩き、六と俺は六の家に着いた

  35. 35 : : 2014/02/14(金) 00:49:31




    六の家




    六「えと、では用意しますので適当に座って待ってて下さい」


    八幡「いや、手伝うぞ?」


    六「い、いいですよ!私に任せておいて下さい!」


    八幡「そうか?なら…待ってるな」


    六「はい!」


    そう言って六は台所へ行き、料理を始めた

  36. 36 : : 2014/02/14(金) 00:50:18


    ここからでも六が料理をしている姿は見える


    エプロンもつけており、まさしく家庭的は女の子といった感じだ



    包丁の扱いにも慣れているようで、じゃがいもの皮を綺麗に剥いていく


    本人は少しと言っていたが、かなりの腕前だと思う



    そんな六の料理を様子を眺めていると
    あっという間に料理が出来上がった

  37. 37 : : 2014/02/14(金) 00:53:54


    六「お待たせしました…」


    六がカレーを持ってきてくれた


    八幡「おう、ありがとな」


    目の前に出されたカレーは
    見るからに美味そうだ


    八幡「いただきます」


    六「はい!召し上がれ!」


    スプーンでカレーをすくい
    口へ運ぶ


    八幡「!」


    六「どう…ですか?」


    八幡「うん…美味い。凄く美味いよ」

    六「ほんとですか!?」


    八幡「あぁ、ほんとに…」


    見た目から美味しいのは予想できていたが
    実際食べてみると予想以上だった
  38. 38 : : 2014/02/14(金) 00:54:49

    六「良かったです」

    六が安心した様子で微笑み
    自分もカレーを食べる


    八幡「料理…上手いんだな」


    六「あ、ありがとうございます…。お兄さんに褒められて、嬉しいです」


    八幡「…」


    六「どうしました?」


    八幡「あのさ…六…」


    六「なんですか?」


    八幡「…お前は…どうして俺のこと、好きになったんだ?」


    六「え?」


    突然の質問で、六が驚きの声をあげる
  39. 39 : : 2014/02/14(金) 00:59:23

    八幡「いきなり悪い。でも、少し気になってな」


    六「でも急にどうして…?」


    八幡「だって考えてみたら…俺なんて何の取り柄も無いぼっちだし、良いとこなんて何もねぇだろ?なのに六みたいな子がどうして俺を…」


    六「そ、そんなことないです!」


    言い終わる前に六が机を叩き
    身体を前に乗り上げて否定してきた


    八幡「え?」


    六「お兄さんには良いところいっぱいありますよ!どうしてそんな悲しい事を言うんですか!?」


    八幡「いや、でもな…」


    六「やめて下さい!私が好きになった人を…それ以上悪く言わないで下さい!それがお兄さん自身の事でも…っ」


    八幡「六…」


    六の目に涙が浮かぶ
  40. 40 : : 2014/02/14(金) 01:03:07

    まさかここまで六が感情を表に出すとは思ってもみなかったため
    正直かなり驚いた


    六「お兄さんは…とても優しいじゃないですか…」


    六はそう言うと、ゆっくり口を開いた



    六「初めて会った時も、見ず知らずの私を怖い人達から…助けてくれた」

    六「ショッピングモールに着いた時も、私を気遣って…飲み物も買ってきてくれて…、雪ノ下さん達と会った時も、私を心配して声をかけてくれた」


    六がポロポロと涙を零しながら言葉を続ける
  41. 41 : : 2014/02/14(金) 01:06:05

    六「鈴鹿ちゃんと…仲直りできたのも、お兄さんのおかげでした。それから、今日だって歩いてる間、私の歩くペースに合わせて、ゆっくり歩いてくれた」


    六「今思いついただけでも…こんなにたくさんありますよ?お兄さんには、人を思いやる優しさがあります。だから…良いところが無いなんて…そんな事言わないで下さい」


    六まだ涙を流していたが
    確かに微笑んでいた


    六「見てる人は…見てるんですからね。私がお兄さんを好きになったのは…そういうお兄さんの優しさに触れてきたからです」


    八幡「…そう、か…ありがとな…」


    六がこんなにも真剣に自分を見ていてくれていたなんて
    思ってなかった

    だから純粋に嬉しかった


    そして気づいた

    一つの答えを
  42. 42 : : 2014/02/14(金) 01:08:39



    八幡「六、明日…空いてるか?」


    六「明日ですか?空いてますけど…」


    八幡「…少しでいい、会えないか?」


    六「…はい、大丈夫です」


    八幡「ありがとう。なら明日…そうだな、詳しい内容は後でメールするわ」


    六「分かりました」



    八幡「んじゃ…今日はこれで帰ることにするわ。カレー美味しかった。ごちそうさま」


    六「はい!では…また明日」


    八幡「あぁ、また明日な」



    俺は六の家を出て、そのまま自分の家へ向かった
  43. 43 : : 2014/02/14(金) 01:11:56



    俺は家に着くと、すぐさまシャワーを浴び、自分の部屋に入った


    そしてベッドに寝転がり天井を見上げる



    八幡「明日…か」


    呟いて、覚悟を決める


    俺は携帯を開き鈴鹿に電話をかけた


    これで後戻りはできない




    終わりくらいは、自分で決める


  44. 44 : : 2014/02/14(金) 01:13:54





    翌日





    六と会うの約束をしているのは12時だ


    しかし俺は9時に家を出ていた


    そう、鈴鹿に会うためだ




    六と決着をつけるなら、鈴鹿ともちゃんとケリをつけないといけないからだ



    そして10時過ぎに鈴鹿との待ち合わせ場所に着く

  45. 45 : : 2014/02/14(金) 01:17:58


    八幡「こんな早くに悪いな」


    鈴鹿「別に…いいわよ。それより…昨日のあの電話、答えは…ちゃんと出したみたいね…」


    八幡「あぁ」




    鈴鹿「……まぁ、答えは…もう大体予想がついてるわ…。でも、聞いてあげる」


    八幡「鈴鹿…」


    鈴鹿「何情けない声出してんのよ。あんたが覚悟を決めたんなら…あたしだって…それを受け止めないと、いけないでしょ…」


    そう強がってはいるが、声は震えていた


    鈴鹿はもう分かっているのだろう
    俺の口から、なんて答えが出てくるのかを


    それが分かった上で、鈴鹿は俺に会う事を了承してくれたんだ


    八幡「鈴鹿、本当にありがとう。俺の答えを、聞いてくれ」


    鈴鹿「…はい…」


    俺は、ハッキリ告げた

  46. 46 : : 2014/02/14(金) 01:19:38



    八幡「俺は、六の事が好きだ。だから、お前とは付き合えない」



    鈴鹿「…」


    分かっていても、覚悟していても
    そのショックはやはり大きかったようだ


    フられる悲しみ、痛みを八幡は何度も経験してきた

    それがツラくて一度は恋愛から逃げた


    そんな思いを今、鈴鹿は痛感しているのだろう


    けれど鈴鹿は、その傷を負う事を知っていたのに、俺と六のために逃げずに…向き合ってくれたんだ


    感謝をしても、しきれない

  47. 47 : : 2014/02/14(金) 01:22:33



    八幡「お前に好きだって言われた時、凄く嬉しかった。これは本当だ」


    鈴鹿「あ…当たり前…でしょ…っ。私に好きなんて言われたの…この世にあんた以外いないっての…!ほんと、光栄に思いなさいよね!」


    俺の答えを聞いて、ショックを受けても
    鈴鹿は逃げずに受け止めてくれた


    それどころか、俺に気を遣わせないように、今も気丈に振舞ってまでくれている


    こんな女の子に好きになってもらえたことが
    本当に嬉しいと感じた


    だからこそ、俺も情けないところは見せられない


  48. 48 : : 2014/02/14(金) 01:27:29



    八幡「鈴鹿、本当にありがとうな!」


    俺は、笑って鈴鹿にお礼を言った


    鈴鹿「…」


    鈴鹿は少しの間、無言だったが
    少しずつ微笑んで


    鈴鹿「ちょっとはマシな面になったじゃない。ま、あたしが惚れた男だしね、それくらい度胸があって当然よ」


    八幡「はは、そうだな」


    鈴鹿「ふん、六ちゃんの前であんな情けない顔すんじゃないわよ?」



    八幡「あぁ、分かってるよ」


    鈴鹿「分かったなら、ほら、さっさと六ちゃんのとこ行ってあげなさいよ」


    八幡「…本当に最後までありがとな。んじゃ、行ってくる」


    鈴鹿「うん、行ってらっしゃい」


    鈴鹿が手を振ってくれたので、こちらも手を振り返す

    そして俺は六との待ち合わせ場所に向かった
  49. 49 : : 2014/02/14(金) 01:29:39





    鈴鹿は遠くなっていく八幡の後ろ姿を眺めていた


    そして八幡の姿が見えなくなった頃…



    鈴鹿「う…うぁ…ぁああ…っ」


    鈴鹿の目から大粒の涙が零れ落ちた


    鈴鹿「あぁ…う…ぅ……あ…」


    足から力が抜け
    その場に座り込んでしまう


    今まで押しとどめていた感情の波が抑えられなくなる


    そして

    ついに決壊する
  50. 50 : : 2014/02/14(金) 01:33:06


    鈴鹿「うわぁぁ!ああぁぁあ!!うっ…ああぁ…っ!」



    鈴鹿は泣き叫んだ


    涙が溢れ出して止まらない




    八幡の前では泣き顔を見せない
    それが鈴鹿が決めた覚悟だった


    弱いところを見せたくなかったから

    そしてなにより自分の涙で、好きな人の、八幡の覚悟を邪魔したくなかったから



    それから鈴鹿はしばらく泣き続けた




    こうして鈴鹿の初恋は幕を閉じた

    しかし鈴鹿は全く後悔はしていなかった


    初恋の相手が八幡で良かったと

    八幡の事を好きになって良かったと

    フられた今でもそう思っているから…

  51. 51 : : 2014/02/14(金) 22:28:02






    俺は待ち合わせ場所に着いた


    しかし、どうやら六はまだ来ていないようだ



    八幡「やっぱ少し早かったか…」


    時刻は11時40分

    約束の時間の20分前だ


    俺は来る途中に買ったMAXコーヒーを飲んだ
  52. 52 : : 2014/02/14(金) 22:31:27


    鈴鹿とは、ちゃんとケジメをつけた

    これで、後ろ髪を引かれる事なく
    六と向き合える


    ちゃんと想いを伝えられる



    鈴鹿はちゃんと俺と向き合って、全てを受け止めてくれた

    そして最後まで自分の弱さを見せなかった


    そんな姿から勇気をもらった


    ならば俺もちゃんと前を見なければいけない

    立ち止まっちゃ、ダメなんだ




    ふと視界に六の姿を捉える



    八幡「いくか…」



    俺は六の元へ歩き出した


  53. 53 : : 2014/02/14(金) 22:34:30


    八幡「六」


    六「あ、お兄さん」


    八幡「その、今日は呼び出して悪かったな」


    六「いえ…それで、今日はどうしたんですか?」


    八幡「…どうしてもお前に伝えたい事があるんだ」


    六「伝えたい…こと?」


    八幡「あぁ、だから…聞いてくれるか?」


    六「……はい」


    六は一瞬驚いた様子だったが
    俺の顔を見て察したのだろう

    了承してくれた




    そして俺は六に、自分の本心を告白した
  54. 54 : : 2014/02/14(金) 22:36:18
    まってました^ - ^
  55. 55 : : 2014/02/14(金) 22:38:56


    八幡「俺は…お前の事が、六の事が好きだ。だから、良かったら俺と付き合って欲しい。お願いします」


    俺は深く頭を下げた



    そのため六が今どんな顔をしているのかは見えない


    しかし


    微かに…嗚咽を漏らすような声が聞こえてきた
  56. 56 : : 2014/02/14(金) 22:43:19


    恐らく泣いている…のだろうか


    俺がそっと顔をあげると
    六は推測通り、泣いていた


    だがその泣いている顔からは悲しみといったマイナスの要素は感じられなかった



    なぜなら六は泣いて涙を流していたにも関わらず、優しく微笑んでいたからだ


    そして六は一言だけ
    泣きながらも返事をくれた



    六「はい!喜んで!」

  57. 57 : : 2014/02/14(金) 22:45:05


    その時の六の顔は涙で濡れていて
    お世辞にも可愛いと言える様なものではなかった


    しかしその笑顔は
    どんな事をしてでも、これからずっと守っていきたいと、そう思えるような
    とても魅力のある笑顔に思えた



    六はその一言だけを言うと、また涙が溢れ出してきたのか
    黙りこんでしまった


    俺は六に近づき、そっとその頭を胸に抱き寄せた


    そして頭を撫でながら


    八幡「これから、よろしくな」


    それだけ言った




    すると六も一言


    六「こちらこそ…っ」


    そう涙声で返してくれた



    俺はその後も六の頭をずっと撫で続けていた
  58. 58 : : 2014/02/14(金) 22:47:03


    それから少しして、泣き止んだのか、急に六が顔を上げた


    そして



    六「お兄さん…私もお兄さんが…いえ、八幡さんが…大好きです」


    八幡「六…んっ!?」



    六が急に俺の顔を引き寄せ
    俺の唇と自分の唇を重ねた



    八幡「」/////

    六「」/////



    数秒その状態が続いたが
    六がそっと唇を離す

  59. 59 : : 2014/02/14(金) 22:58:56


    六「…今の、私の…ファーストキス…ですよ…」

    そう言う六の顔は真っ赤になっていた


    六「次は、八幡さんから…して下さいね?」


    六は満面の笑みでそう言った



    八幡「…あぁ…次はな…」


    そう言って俺はもう一度、六を抱きしめた




    俺はもうこの笑顔を手放さない

    ずっと守っていこう


    そう心に誓った


  60. 60 : : 2014/02/14(金) 23:34:19





    数ヶ月後





    小町「お兄ちゃん早く起きてー!」


    八幡「…う〜ん、今日は休日だぞ小町〜…」



    小町「何寝ぼけてるの!?今日は私達の卒業式だよ!」


    八幡「卒…業式……あぁあ!?」



    小町に言われて思い出す

    今日は小町と六の卒業式の日だ!

  61. 61 : : 2014/02/14(金) 23:35:07


    小町「お兄ちゃんも急いで用意して!」


    八幡「お、おう」


    休日だと思って完全に油断していた

    俺は急いで着替えて寝癖を直し、荷物をまとめる





    小町「用意できた?」


    八幡「あぁ」


    小町「よーし、じゃあ行こう!」




    俺と小町は中学校へ向かった

  62. 62 : : 2014/02/14(金) 23:36:59


    中学校に着くと、先生達に保護者席へ案内された


    それから数十分ほど待って
    やっと式が始まる




    八幡「(にしても眠ぃ…)」



    自分の代の時も感じた事だが
    卒業式というのは暇過ぎて眠たくなる


    特に卒業証書授与の時が拷問に近い


    俺は何度もあくびをしながらも
    寝ずに最後までちゃんと起きていた



    そして式が終わり、教室に生徒たちが戻っていく



    俺は校舎の外で小町と六を待つことにした
  63. 63 : : 2014/02/14(金) 23:38:42



    それから外でしばらく待っていると、校舎から生徒たちが出てきた


    その中から小町と六を探す



    八幡「(…人が多すぎるな…)」


    少し落ち着くまで、どこかで休もうかと考えていると


    「あ、八幡さーん!」


    後ろから声をかけられた



    この声は…

  64. 64 : : 2014/02/14(金) 23:43:17


    八幡「よ、六」


    六「八幡さん来て下さったんですね!」


    やはり六だった
    俺の事を見つけて話しかけてくれたようだ



    八幡「六、卒業おめでとう」


    六「ありがとうございます!」


    八幡「高校は、俺らの学校に合格したんだよな」


    六「はい!ですからこれからは、もっと一緒にいられる時間が増えますね!」


    六が本当に嬉しそうといった様子で話す


    八幡「あぁ…そうだな」




    六「これからもずっと…一緒にいましょうね。八幡さん」


    八幡「もちろんだ。それと…六。いきなりだけど…この前の約束、今果たすな」


    六「…え?」




    俺はそっと六に顔を近づけ

    唇を重ねた

  65. 65 : : 2014/02/14(金) 23:49:35


    六「は…八幡…さん」/////


    八幡「次は俺からするって、言ってただろ?」



    六は少しの間、顔を赤くしてうつむいてしまった

    しかし…


    六「…やっぱり、私は八幡さんが大好きです!」


    笑顔でそう言ってれた




    八幡「俺も六が大好きだよ。だからずっと一緒にいような」


    俺も、自分の気持ちをもう一度伝えた



    六「はい!これからも…ずっと、ずっと」


    八幡「あぁ」


    俺は六の手を強く握った

    六も俺の手を握り返した



    もうお互い、何があっても離れないと
    その決意をあらわにして






  66. 66 : : 2014/02/15(土) 01:04:40

       .r::;r、:::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
       i::r'   `""'' ‐''"  ヽ::::::i
    .  li!          ,: i:::::l
      .lir       ,. _  r'::::;!
       ミ ,r:_:、:. ' .:::::;:_:ヽ.: l::/-
       ll! ´`.':  :::、:`.'ヾ:: Y  !
       li  .: .:: :::、:::`::'   / '/
    . ̄ ̄ l.    、__ノ :.   i` ´
      r' l  ,___  ;   ! ` ー-
      i  ヽ       `  ,:l!
     .l   ヾ 、 .T  _,  /!
     l.    ヽヽ´` , r' ;':!
     l      ヽ.' ̄ヽ  l

      イチオッツ[M. Yiziotts]
      (1927~1988 ドイツ)





  67. 67 : : 2014/02/15(土) 01:09:33
    比企谷 おい…なんだこれ…
  68. 68 : : 2014/02/15(土) 01:12:11
    良SSでした!
    次回作に期待!!
  69. 69 : : 2014/02/15(土) 01:30:59
    イチオッツに笑っちゃいました(^^)
  70. 70 : : 2014/02/15(土) 04:28:09
    結局自分と八幡をすり替えて自分と好きなラノベキャラとラブコメしたかっただけやんけ... たのむから鈴鹿ルートも頼む
  71. 71 : : 2014/02/15(土) 04:47:50
    鈴鹿ルートも考えてますので楽しみにしてて下さい!
  72. 72 : : 2014/02/15(土) 06:12:08
    鈴鹿ルートが楽しみ過ぎます!
  73. 73 : : 2014/02/15(土) 09:51:58
    ハーレムルートも書きやがれください
  74. 74 : : 2014/02/15(土) 11:48:22
    八幡ではないな
  75. 75 : : 2014/02/15(土) 14:37:21
    最高でした!!
    次回作も期待してます!
  76. 76 : : 2014/02/15(土) 22:38:47
    八幡ぽくないのは仕方無いだろ
    2人に告られたり色々あったんだから
  77. 77 : : 2014/02/18(火) 07:34:24
    あの状況でてをふる二人を想像できないおれはアホですか?
  78. 78 : : 2014/02/18(火) 07:49:52
    いや、鈴鹿はフラれて泣いて、それで八幡に迷惑をかけたくなかったって書いてるから
    ただ強がってて、八幡もその意を汲んだのかと
  79. 79 : : 2014/02/19(水) 02:35:00
    一応そのつもりで書きました
    詳しく説明して頂きありがとうございます


    皆さんも感想ありがとうございます
    次回作も楽しみにしていて下さい!
  80. 80 : : 2014/02/24(月) 04:02:25
    ニヤニヤ(=^ェ^=)
  81. 81 : : 2014/02/24(月) 15:40:25
    続編が欲しいなあ 
    六と雪乃たちとの話し合い
    修羅場!期待
  82. 82 : : 2014/03/03(月) 12:18:53
    ↑と同感
  83. 83 : : 2014/03/23(日) 14:33:19
    ↑↑と同感
  84. 84 : : 2014/03/24(月) 03:36:30
    この投稿は削除されました。
  85. 85 : : 2014/05/05(月) 09:27:52
    ↑↑↑↑と結婚した
  86. 86 : : 2014/05/06(火) 04:20:59
    >>85
    嘘にもほどがある
  87. 87 : : 2017/08/15(火) 15:12:46
    面白いです
  88. 88 : : 2017/12/13(水) 10:45:45
    六さんの作品をたくさん読みましたが、終わってねーのがあんだよ(T_T)
    pixivのやつ、完結してくださいm(__)m
    八色のやつです。
    むしろ、八色姉のやつです。

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mui

@mui

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