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このSSは性描写やグロテスクな表現を含みます。

この作品は執筆を終了しています。

勇者「俺はまた星を渡る」ep1=神と魔王と青=

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  1. 1 : : 2014/02/11(火) 22:49:45
    初めての勇者・魔王であり、オリジナルに挑戦です。
    既出だった場合はすみません。
  2. 2 : : 2014/02/11(火) 22:51:34
    元々一つだったこの世界は、神の手により、7つに散らばることとなった。

    神は云った。
    「様々な種族が、その意見や文化の違いから争うことになるならば、それぞれが幸せに暮らす世界を作る」と。

    神の考えは概ね正しかった。
    それぞれの種族は争うことなく、平和に暮らすことが出来たから。

    神は満足し、自らの仕事は終わったと判断。
    宮殿の奥にて深い眠りについた。




    それから数千年。

    平穏は、魔王の登場と共に崩れ落ちることとなった…。

    魔王は元々、神の部下だった。
    しかし、並々ならぬプライドと野心が、彼の心に悪を生み出した。

    ……分かれた世界を行き来できる“マスターキー”を、神から奪ったのだ。

    魔王は争いのある世界を望んだ。
    全ての種族に恐怖を。絶望を。

    その結果、わずか数年で全ての世界が魔王と、魔王の生み出した魔物によって支配されてしまったのであった。

    これはとある星の、とある種族の物語……。
  3. 3 : : 2014/02/11(火) 22:52:45
    種族:ヒューマンが住むこの星は《アース》。

    豊かな緑とそこそこに発展した技術、そして最大の特徴である海(大量の塩水)があるここは、恵まれていただろう。

    …………だがそれも、数年前までの話。

    海も森も、今ではれっきとした魔物の住処であり、発展した技術も魔物には通じず、ヒューマンは形見の狭い生活を強いられていた。


    それでも、ヒューマンの中には、魔王軍への反乱をもくろむレジスタンスや、ギルドが設けられていた。

    魔物の討伐を主としている彼らに、ヒューマンの希望は託された。

    どんな状況下でも剣を振るい、魔法を唱える彼らを人は、勇気ある者として、勇者と呼んだ。


    〈ギルド:ブレイバー〉

    青年「………」

    青年(このところ、ギルドにも人が増えたなぁ…)

    青年(おかげで討伐の依頼が全然回ってこないや)

    青年は、少し前からギルドで働いている勇者だった。
    170cm程の背。クリッとした目の色は黒く、髪は黒。前髪は目ぎりぎりにかかっていて、全体的には普通の長さか。


    青年 ♂
    【戦闘タイプ:アタッカー】


    青年は新品の剣を手入れしながら、ギルドの端っこでちょこんと座っていた。

    ギルドの中心は名うての剣士等が居るため、正直行きにくい。
    話している内容も、ドラゴンの討伐等で、この前畑を荒らす大イノシシをやっとこさ倒した程度では話にならない。


    青年(いいなぁ……鎧が輝いてら)

    青年はお金がない。
    そのため装備は銅の剣に皮の鎧と皮の盾。

    ただでさえ貴重な鉄で出来た武具を、弱者に渡す道理はない。

    お金持ち=依頼を多くこなしている=強さの象徴。

    この等式が青年にとっての大きな壁として君臨していた。

    青年「…………はぁ…」

    ポケットを漁っても濁った小銭がジャラジャラと音をたてるのみ。

    このままでは今日の晩飯も怪しい。

    とはいえ、依頼の貼ってある掲示板にも、青年の手に届くモノは無く………。

    再び、ため息を吐いた。
  4. 4 : : 2014/02/11(火) 23:13:07
    ぶひい!期待ブヒィ!
    頑張ってください!!
  5. 5 : : 2014/02/11(火) 23:17:43
    バタン!!

    老人「た、大変じゃー!!」

    一同「!」

    青年(なんだ……?)

    ギルドの入り口に、大きな人集りが出来た。
    青年はなんとか後ろの方で背伸びしてみるが、前の剣士達に押されて何も見えない。

    黄金剣士「おい、じいさん、どうしたんだ」

    黄金の剣に、黄金の鎧をまとった剣士が、老人の前にしゃがみ込んだ。

    老人は目を見開き、青白い顔で云った。

    老人「このギルドに!魔王軍が来る!!」

    黄金剣士「!!」

    ギルド内「ざわざわ……」

    青年(魔王軍が!?このギルドに!?)

    白銀剣士「おもしれぇ!いっちょやってやろうじゃん!」

    黒金剣士「あのガーゴイル、今度こそぶっ殺してやる!」

    ガーゴイルは、《アース》を牛耳っている魔物である。
    ここでの魔王軍とはガーゴイルが指揮する軍のことを指す。

    黄金剣士「それで……その魔王軍はいつ来るんだ」

    老人「明日正午にやって来るらしいのじゃが……」

    若い剣士「おいちょっと待てよ!」

    若い剣士は人混みをかき分けて老人の元にやってくると、その胸ぐらを掴みあげた。

    老人「ぐ………」

    若い剣士「さっきから聞いてりゃぁ!お前その情報どこから仕入れたんだよ!」

    老人「た、たまたま通りかかったら…魔物が…話していて…」

    若い剣士「何がたまたまだよ!お前こそ!魔物がばけてるんじゃねぇのか!?」

    老人「ぐ……そんなことは………」

    黄金剣士「おい、もうやめろ。いずれにせよ、戦わなければならない相手だ」

    若い剣士「そ、そうですけど……」

    黄金剣士「じいさん、失礼した。無礼は許してくれ」

    老人「うぅ……」

    若い剣士「……悪かったな」

    老人は弱々しい足取りで、ギルドを去った。
    そして去ったと同時に、ギルドの受付嬢が掲示板に分厚い束となった依頼書を貼りだし、叫んだ。

    受付嬢「標的はなんとあの魔王軍!!これに勝てば支配も終わり、私たちは再び平和を手にします!集え!本当の勇者達!!」

    ギルド内「オオオオオオオオオオオ!!!」

    男達が、競うように依頼書をはがして行く。依頼を受けるという意味だ。

    その中で、青年は見た。
    自分と同じくらいの年の女の子が、依頼書をはがしたのを。

    青年(……!)

    青年はやっと薄れた人混みから抜けだして、依頼書を一枚はがすと、その女の子の後を追った。
  6. 6 : : 2014/02/11(火) 23:19:11
    女の子がギルドの扉に手をかけたところで、青年は女の子に声をかけた。

    青年「あの……」

    女の子「………」

    女の子は無言で振り返った。
    やはり年は近そうだ。
    肩までかかった茶色い髪が艶を放っていて、キョトンとした表情でこっちを見ている。

    青年「あ、ナンパじゃないよ!」

    女の子「何かしら……」

    青年「君……剣を持ってないのに…魔物と戦えるの?」

    女の子「……私の生まれた村では、魔物を倒すのに剣なんて使わないわ」

    青年「剣なんて使わない…?それじゃあどうやって倒すの?銃?大砲?爆弾?」

    女の子「………ごめんなさい。予定があって、急いでいるから…」

    女の子は頭を下げると、行ってしまった。

    青年(………不思議な子だなぁ…)

    少なくとも、今日まで見たことのない子だった。

    受付嬢「あの子のこと、気になるの?」

    青年「うん…………ってうわっ!?」

    受付嬢「なによー。そんなに驚かなくても」

    青年「いや………あはは……」

    受付嬢「不思議な子よ。今日登録してきたばかりの新人さんだけど。今になって登録だなんて、よっぽど仕事がしたかったのか、売り飛ばされたかよね。ただでさえ、もうヒューマン自体が少ないから」

    青年「うーん……」

    受付嬢「まぁそれにほら。明日魔王軍が来るっていうし、盛大にお出迎えしなきゃねぇ。黄金剣士も張り切ってるわ!」

    青年「あはは……俺もがんばらないと」

    受付嬢「そーよ。せめて雑魚の魔物くらいは相手にしてくれないとね!」

    青年「わかったよ…」

    適当に返事をして、青年もギルドを後にした。
  7. 7 : : 2014/02/12(水) 20:06:48
    〈宿泊施設〉


    青年「はぁー」ゴロン

    青年はベッドに倒れ込むようにダイブすると、ゴロッと仰向けになるように転がった。

    ギルドに登録すると無料で利用できる宿泊施設が、青年の寝床である。

    ブタ小屋と言われても納得の出来るその部屋は狭く、汚い。

    置いてある物もベッドのみで、気の利いたインテリアがあるわけでもない。

    青年(それでも野宿よりはマシだろう…)

    青年は枕元にある本を取って、表紙を天井に向けて広げた。

    青年(この本を読むのも最後になるかもしれないしなぁ……)

    そう、明日の戦いで命を落とすことも十二分にあり得る。

    それでも、ギルドの連中は好戦的である。
    チャンスと捉え、各自剣を磨いたり、模擬戦をしたりして、明日の魔王軍戦に臨んでいる。

    青年も、魔王軍は憎い。
    だからこそ入ったギルドだし、いつかは戦うことになる相手だとわかってはいる。

    青年(俺が戦わなくても……黄金剣士とか、白銀剣士がなんとかしてくれそうだけど)


    黄金剣士 ♂
    【戦闘タイプ:ディフェンダー】

    彼は本当にうまい。
    何がうまいかって、攻撃を受けない技術だ。

    ドラゴンを相手に無傷で帰ってきたときはさすがに度肝を抜かされた。

    何度も模擬戦を挑まれているところを見たことがあるが、誰も一撃も入らずに敗れていく。

    あの剣士を見ると、やはり勝つためには攻撃を受けないことだと再確認させられる。

    彼を目標にする人も多く、現時点でギルド内最強と名高い。

    青年(まじで魔王軍に勝っちゃうかも……)
    だんだんと、気分が明るくなってきた。

    そうと決まったら、素振りでもしないと落ち着いてられない。

    青年は本を投げ出して、剣を取り、外に飛び出した。
  8. 8 : : 2014/02/12(水) 22:26:34
    き、期待です
  9. 9 : : 2014/02/14(金) 01:31:11
    〈模擬演習場〉

    ここはギルドのすぐ隣に位置する広場である。
    物は何も置かれてないが、剣士同士がよく模擬戦を行っているため、見物が目的の剣士も相まって人は多い。

    …それは、今日も例外じゃなかった。

    白銀剣士「おりゃあ!」ガン!!

    相手の剣士「うわーっ!」ゴロゴロ

    観衆「おぉー!」ザワザワッ

    青年(うわっ!白銀剣士だ!)

    白銀剣士「決戦は明日だぞ!俺と戦えないで魔物と戦えるわけがあるかぁ!?どんどん挑んで来いよ!」

    観衆「シーン……」

    青年(あんだけ実力の差があって、誰も挑むわけないって……)

    白銀剣士「ちっ!腰抜け共が!」

    白銀剣士は吐き捨てると、腰にぶら下がっているひょうたんを取り、口に近づけた。

    青年(酒……まだやめてなかったんだ)

    白銀剣士「おいおい!本当に居ねえのかよ!」

    観衆「………」

    白銀剣士「…………しょうがねえ」

    そう云って、彼は観衆を見渡すと…こっちの方を見て、ニヤリと口元を緩めた。

    ………嫌な予感がした。

    白銀剣士「お前だ」

    観衆「!」

    白銀剣士が云った方向に、観衆全員が振り向いた。

    ………その場に居る全員の視線が、痛い。

    ある者は安堵し、ある者は期待で目を輝かせている。

    青年「………はぁー……」

    白銀剣士「おい!はやく来い!」

    青年はしぶしぶ観衆をかき分けて、白銀剣士の前に立った。
    両者お辞儀をし、剣を構える。

    白銀剣士「お前、まだ新人だな。剣の持ち方が型にはまってない」

    青年「!」

    白銀剣士「まぁ逃げなかっただけマシさ。手加減してやる。ほら、そっちから来いよ」

    青年(うわぁ………)

    隙がない。
    やはり白銀剣士の名は、伊達ではない。


    白銀剣士 ♂
    【戦闘タイプ:バーサーカー】

    攻めて攻めて攻めまくる。
    攻撃こそ最大の防御。
    鬼神の如き攻撃は、この世で最も硬いと言われている、ロンズデーライト簡単に貫く…らしい。
    黄金剣士と並んで、ギルド内の矛と盾と言われている。


    そんな彼が、俺に先手を譲っている。

    青年(勝敗は目に見えてるんだ。でも、恥をかきたくもないしなぁ……)

    観客「ワァァァァア!!」

    青年(みんなも剣士なのに……)

    白銀剣士「おい!模擬戦中によそ見とは何事だ!」

    青年「わ、す、すみません!」

    青年(やってやる……俺の全力で!)
  10. 10 : : 2014/02/17(月) 00:00:14
    青年はフッと息を吐き、一気に近づくと、剣を横に凪ぎ払った。

    ……いや、凪ぎ払おうとした。

    正確には、凪ぎ払おうとする途中で相手の剣に止められた。

    青年「あっ」

    止められたことを認識した頃には、俺の身体は上半身と下半身を逆さにして空中に放り出されていた。

    ドサッ!

    観衆「はっはっはっはっ!」ドッ

    青年「…………」

    白銀剣士「………お前、明日どうするんだ?」

    …こっちが聞きたくなってきたよ。


    ──────────


    ~2時間後~

    青年「ッ!」

    青年はまたも宙を舞った。

    白銀剣士「どうした!立て!」

    青年(も、もう無理だって…)

    白銀剣士「そんなんじゃあ明日はただのお荷物だぞ!お前だってあの魔王軍にせめて一矢報いたいだろう!」

    青年「そ、そうですけど……」

    白銀剣士「………」

    白銀剣士「ともかくもう一度だ!」

    観衆(まだやるのか…そろそろ青年がかわいそうだ)

    青年「ぐ…」

    青年は剣を杖代わりにして立ち上がる。
    身体はすでにボロボロだが、その目に宿った闘志は消えていなかった。

    白銀剣士(迫力だけなら、一級品だな…)

    青年「いきますっ!」

    もう何度も踏み出した一歩を、再び踏み出した。

    白銀剣士も構えをとる。

    青年は、今度は剣を突き出した。

    白銀剣士は冷静に剣で受け止め、カァン!っと弾いた。

    青年は剣が弾かれた力で斜めに持って行かれるのを、必死に堪えた。

    その結果、ボディががら空きとなる。

    白銀剣士「はっ!」

    ズドッ!

    白銀剣士の蹴りが、腹部にめり込んだ。

    青年「ぐふっ!」

    あまりの激痛に顔を赤くし、どっと汗を噴き出しながら、両膝から地面に着く。

    青年「がはっ……」

    観衆「………なぁ、もういいんじゃないか?」

    白銀剣士「…………」

    白銀剣士(俺と戦うことも拒んだ臆病者共が…)

    白銀剣士「おい、立て」

    白銀剣士は無理矢理青年を起こすと、「もう帰っていい」と云って、足早に去っていった。

    青年「…………」

    剣を拾い、青年も自室へと戻った。

    来たことを、後悔しながら。

  11. 11 : : 2014/02/18(火) 17:33:59
    〈ギルド:白銀剣士個室〉


    ギルドの家畜小屋並な宿泊施設も、白銀剣士クラスとなれば話は別になる。

    部屋は清潔に保たれており、一度ベルを鳴らせば専用の研ぎ師がやってくる。

    広さも青年が利用してるそれの倍以上であり、シャワールームも完備。

    白銀剣士は鎧と兜を脱ぎ捨てると、早速シャワールームに入った。

    白銀剣士「ふぅ…」

    白銀剣士はギルド創立から居た古株である。
    当時はまだ皮の鎧でその身を包み、銅の剣を振るっていた。
    戦闘スタイルは今と変わらない、「攻撃こそ最大の防御」。

    無我夢中で魔物を倒し、気がついたら白銀の鎧を身にまとえる程の剣士になっていた。

    白銀剣士は現在28才。まだまだ現役である。

    白銀剣士(ふぅー…)

    模擬戦の汗を、お湯で軽く流す。
    この世の中で二つある、癒しの時間である。

    シャァァア………


    ──────────


    シャワーを浴びたら、次は決まりの酒である。
    これだけはやめられない。二つ目の癒しの時間。

    栓を勢い良く飛ばして、豪快にボトルから口に運ぶ。
    程良い苦みと炭酸がスカッと気分を爽快にさせてくれるこの感覚が、たまらなく好きだった。

    ボトルを口から離し、ようやく一息ついたところで今日の模擬戦を振り返った。

    白銀剣士(あの男……いい目だったな)

    ああいう奴はたまにいる。
    プライベートと戦闘をきっちり分ける奴…ってところか?いや、戦闘になると急に真剣になる奴、だな。

    ああいう目をする奴は決まって強い。
    黄金剣士もああいう目をする。

    白銀剣士(………腕はまだまだなのが惜しいな…もう少し早く見つけていれば、成長を楽しめたかもしれない)

    白銀剣士(………まぁ、なにはともあれ明日だな。明日が俺たちの最期になるかもしれないんだから…)


  12. 12 : : 2014/03/11(火) 22:36:25
    支援ですよ!頑張ってください!
    胸熱で超続き気になるンゴですが無理せずにファイティンです!
  13. 13 : : 2014/03/12(水) 06:44:58
    >>12
    ありがとうございます!
    とても長くなりそうなので、少しずつ書いていきますね!
  14. 14 : : 2014/03/12(水) 08:04:06
    翌朝

    ギルド内の空気はいつにもなく張り付いていた。
    いつもは酒ばかり飲んでいる剣士達も剣を磨き、青白い顔でブツブツと何かを呟いている。

    「俺はやれる……俺は死なない……」

    「大丈夫……愛してるよメアリー……」

    青年も、そんな彼らを見て心臓の動悸が止まらなくなっていくのがわかった。

    青年(………)ドキドキドキ

    落ち着かない。
    もう今は戦いのことしか考えられない。
    そうなると、青年の身体を支配するのは恐怖だった。

    死のイメージだけが頭の中を覆い尽くす。消しても消しても、また蘇って侵略に来る。

    青年(だめだっ!)

    パチン!

    両頬を両手で叩き目を覚ます。

    青年(とにかく精一杯!俺にできることをやるんだ!)

    気合いを入れ、ギルドを見渡すと、昨日見た女の子が目に入った。

    壁際に背もたれしている彼女の元へ青年は近づき、声をかけた。

    青年「……おはよう」

    突然声をかけられたからか少し間があったが、「おはよう」とあまり力のない声が返ってきた。

    青年「君は……怖くないの?」

    女の子「小さい頃から、魔物と戦っているから……」

    青年「小さい頃から…か。すごいね」

    女の子「私の村では普通のことよ」

    青年「あっ!昨日も言ってたね。君の村って?」

    その質問をしたところで、女の子の表情が険しくなった。

    凍てつくような視線が、青年に送られる。

    この時青年は悟った気がした。
    女の子が過ごして来た過酷な日々を、そしてその運命を。

    カーーーーン  コーーーーン

    バン!

    響きわたる鐘の音とともに、1人の男が息も絶え絶えに入ってきた。

    男「来たぞ……魔王軍がすぐそこまで!!」
    剣士達「!」ガタッ

    ギルド内に居る剣士全員が、剣を取った。

    青年「………」ゴクッ

    剣士達の、今まで見たことのない表情に思わず息を飲む。

    ふと隣を見ると、女の子が居ない。
    どうやら先に行ってしまったようだ。

    青年(……俺も行かないと!)

    受付嬢「みんな!がんばってね!!」

    受付嬢のエールを背に受け、剣士達は、ギルドの扉を開けた。
  15. 15 : : 2014/03/17(月) 14:04:18
    ギギィ……



    外に出ると……すぐに分かった。
    いつもは見渡す限り何もない土地に、違和感。

    「キィー…キィー…」

    「グルルルル………」

    まるで聞いたことの無い鳴き声。
    視界に広がる恐怖の具現。
    圧倒的な存在感。

    青年「………これが…魔王軍……!」

    若い剣士「やっと戦える……魔王軍と……!」

    黒金剣士「ふんっ。あれが自慢の魔王軍かよ。随分少ねぇじゃん」

    黒金剣士がそう云うと……魔物の群が大きく左右に別れた。

    剣士達「!」

    そして、魔物達がひざまずく。

    なおも中心に立っている魔物に、敬意を払うように……。

    ……そして、その魔物が口を開いた。

    ???「お前らを全滅させるには十分すぎる数だろ?」

    黄金剣士「………ガーゴイル」

    剣士達(…!こいつがあのガーゴイル!)

    ガーゴイル「クク、久しぶりだな黄金剣士」

    黄金剣士「今日でお前の支配も終わりだ」

    ガーゴイル「終わり…?ククク、そうか。貴様の中では、たったそれだけの人数でこの軍勢を相手に勝つことができると?」

    黄金剣士「違うなガーゴイル。勝たなきゃいけないのさ!」

    黄金剣士が右手をあげた。
    それと同時に、後方で控えていた男達が一斉に火を着けた。

    大男「てーーーーーッ!!」

    ドーーーン!!ドーーーン!!

    用意された大砲の弾が、まったく同じタイミングで弧を描きながら、魔物の群に突っ込んで行く!

    魔物「キィー!」

    身構える、が、それは悪手!
    群の真ん中にズドンと落ちた砲弾は爆発。辺りの魔物を文字通り消滅させていく!

    受付嬢「今日のために出血大サービス!料金はこちらが負担します♪」

    大男「だ、そうだ!どんどん撃てー!!」

    若い剣士「っしゃ!俺らも続くぞー!」

    他の剣士「オォー!」

    と、剣士達が剣を掲げ、群に歩を進めた時には!

    キィン!キィン!

    ………ズズゥーン……。

    若い剣士「な、なんだ?」

    目の前に居たはずの群が、ただの肉の塊へと変化していた!

    一斉に地に伏せた魔物達が起こした砂煙に、うっすらと浮かび上がったのはよく知るシルエットだった。

    白銀剣士「…続くのが遅すぎんじゃねぇか?」

    剣士達「………オォー!!」

    若い剣士(化け物だ……どっちが魔物かわかんねぇな)
  16. 16 : : 2014/03/18(火) 07:27:14
    「ウオオォォォォォオオオオ!!!」

    カーーン!キィィン!
    ドーーン!!ドーーン!!

    スパァッ!

    「ぐぁっ!」

    「! てめぇよくも!オラァ!」

    ザクッ!!


    ━━━━━━━━━━


    青年「ハァ……ハァ……」

    青年(これは…もちろんわかってなかったわけじゃないけど……)

    戦争…本当に、戦争じゃないか……。

    何も無かった平地が火の海へと変貌し、死体が目立っていく。

    絶え間ない断末魔と大砲の音。

    青年はただただそこに立ち尽くしていた。

    青年(死にたくない……)

    昨日まで酒を飲んでいた剣士達の死体が、青年の足下をすくわせた。

    「グルルルル……」

    青年「!」

    女の子「………」

    青年(やばい!魔物があの女の子を襲おうとしてる!)

    素早く背中に手を回し、剣を掴む。
    が、足は前に進もうとしない。

    青年(動け!動け!)

    動かない。
    青年の意志とは逆に、その足は頑なに動こうとしなかった。

    青年(くそっ!ここに来て何びびってんだよ!)

    そうこうしている内に、虎模様の魔物が女の子に飛びかかった!

    青年「危ない!!」

    手を伸ばした────その時!

    女の子「………ハッ!」

    女の子が、何かを唱え、手の平をその魔物に向けると!

    虎模様の魔物「グォォォー!!」

    青年「燃えたっ!?」

    そして、虎模様の魔物は炭となって消えてしまった。

    青年「い、今のは!?いきなり魔物が燃えるなんて!」

    さっきまでは動かなかった足で、女の子に駆け寄る。

    女の子「……今はそんな話より、魔物に集中しないと…」

    青年「あ…そ、そうだよね…」

    青年も落ち着きを取り戻し、剣を握り直す。

    青年(………よし、いける。とにかく俺に出きることをやるんだ!)

    魔物「ワオーーン!」

    青年「来い!俺が相手だ!」
  17. 17 : : 2014/04/06(日) 09:43:32
    青年「うおおっ!」

    目の前の魔物に向けて、刃を大きく横に凪ぎ払う。

    ブン!

    青年(くっ!当たらないか!)

    魔物は大きくバックステップを踏むと、低く構えて威嚇した。

    魔物「グルルルル……」

    その魔物は、巨大化した熊の様な見た目をしていた。

    青年は自分の3倍はあろう巨体に腰が引けそうになるが、なんとかグッと堪えた。

    女の子(……足が震えてる。きっと、このレベルの魔物と直接戦ったことがないのね)

    女の子は少し考えてから、青年を庇うように前に出た。

    青年「!」

    女の子「あの熊は無理ね。私が相手になるわ」

    熊「グルルルル………」

    なおも威嚇を続ける熊。

    女の子(舐められてるのね……)

    女の子はそれでも冷静に、両手を前に突き出し、そして、唱えた!

    女の子「“始まりの知恵”(ファイア)!」

    青年「!」

    そして、突き出された両手に赤色の魔法陣が形成されると、その魔法陣からバスケットボール程の大きさをした火球が姿を現し、熊に向かってものすごい速さで飛んでいった!

    ヒュン!

    ドン!

    熊「!?」

    見事に命中した箇所から、熊の身体は燃え始めた!

    青年「な、なにが起きたんだ!?これがさっきの虎を倒した炎!?」 

    女の子「私達はこれを魔法と呼んでるわ…」

    青年「魔法……?」

    女の子「そう…。……でも詳しい説明は後」

    青年(……侮っていた。女の子なんて可愛らしいもんじゃない。目の前に居るのは魔法を操って戦う少女なんだ…)

    (女の子→以下、少女)

    ガーゴイル(ほう…魔法を使える奴がまだ居たとはな)

    ガーゴイルは背中に生えている羽を優雅に動かし、空中からこの戦争を観戦していた。

    黄金剣士「ガーゴイル!私と戦え!」

    ガーゴイル「………おぉ…腕を上げたようだな」

    ガーゴイルは黄金剣士の周りを埋め尽くす魔物の死骸を見て感嘆した。

    ガーゴイル「いいだろう。お前は戦う資格がある」

    ガーゴイルはゆっくりと下降し、静かに地面に足をつけた。

    黄金剣士(このプレッシャー…あの時以上だ)

    ガーゴイル「ふふ、お前になら本気を出せそうだ」

    その笑みを形容するなら…悪魔。

    黄金剣士の頬を一粒の汗が走った。
  18. 18 : : 2014/04/29(火) 00:11:53
    現時点でギルド最強の剣士、黄金剣士が唯一勝てなかった魔物、ガーゴイル。

    そのベースは、鬼

    頭には二つの小さな角が生えており、背中には大きな二枚の翼。

    人よりも少し高い背丈から、黄金剣士を見下ろす。

    黄金剣士「………」


    ガーゴイル「……ハハハ、怖いか。怖いか黄金剣士!」

    黄金剣士「恐怖に屈しない…それが我ら勇者!」

    ガーゴイル「見事ッ!」

    ガッ!!

    黄金剣士の剣と、ガーゴイルの爪がぶつかり合う!

    青年「! (始まったか!)」

    少女「目標はガーゴイル!あいつを倒さないと…!」

    青年「そ、そうだな!よし!」

    2人がガーゴイルに向かって走る!…が!

    「おぉっと!」

    大きな魔物が、行く手を塞ぐ!

    プリン「プルプルプル!この先には行かせん!」

    プルプルとした赤いゼラチン質の身体を揺らしながら、2人に近づく!

    青年「…そこをどけっ!」

    バッ!

    青年が剣を振るう!と!

    ズププ……!

    青年(っ!なんだ!吸い込まれていく!)

    プリン「俺は攻撃を吸収するんだ……これが俺自慢の『大食漢』(ゼラチン・ボディ)!」

    青年「くっ!(引っこ抜けない…なら!)」

    青年「少女!頼む!」
  19. 19 : : 2014/05/06(火) 14:11:33
    おもろいな!バトロワの方も頑張って‼︎
    期待♪
  20. 20 : : 2014/05/06(火) 14:17:34
    >>19
    いつも本当にありがとうございます!
    精一杯がんばります!
  21. 21 : : 2014/05/10(土) 16:39:33
    少女「任せて…!」

    両腕を突きだし、高速で、しかし焦らず魔法を最後まで詠唱すると、再び火球が生み出され、プリンの身体を燃やし尽くす!

    プリン「ブルワァァァァア!!!」ゴォォオ!!

    青年「よし、倒した!」

    燃えるプリンから炎が移らないよう少し下がり、小さくガッツポーズをとる。

    少女「…剣、いいの?」

    青年「あ…」

    そうだ。剣まで燃えてしまったのだ。
    せっかくの新品だったのに…。青年は少し涙目になった。

    青年「っでも!今はそんな場合じゃない!」

    まだ各地でみんなが戦ってる!俺も加勢しないと!

    青年は落ちていた剣を拾って、近くに居た魔物に向かって走って行った。

    少女「私も……!」

    少女も加勢しようとした、その時、少女は一度辺りを見渡した。

    そして、ある一点にピントを合わせると、苦い顔をして、しかしやらねばならないと拳を強く握り、魔法の詠唱を始めた。


    ━━━━━━━━━━


    ドォオオオオオン!!


    轟音が鳴り響き、火薬の香りと共に周辺の魔物がばたばたと倒れていった。

    それは、大砲の影響ではない。

    熱風の中心に居る人物…彼こそがその原因であり、現在ギルド内で3番目の実力者。

    黒金剣士(ちっ、雑魚ばっかじゃねぇか)


    黒金剣士 ♂
    【戦闘タイプ:アタッカー】

    いつか誰かが云った。

    今でこそギルド最強は黄金剣士だが、近い将来、最強の座に居るのは黒金剣士だと。

    黒金剣士は青年と同い年である。

    が、その実力は決して同じではない。

    数多のドラゴンを倒して来たギルド随一のドラゴンバスターである彼だが、もっとも注目すべきはそこではない。

    …彼の持つ剣にこそ、最大の秘密がある。

    魔物「キシャァァア!!」

    黒金剣士「…何が精鋭だよ」

    ズバッ!

    黒金剣士「たった一振りで終わりじゃねぇか」

    子鬼弟「クソッ!あいつ強いぞ!」

    子鬼兄「なぁに、俺らが左右から挟み込めば!」

    全く同じタイミングで、二匹の子鬼が黒金剣士に左右から飛びかかる。

    黒金剣士「…はぁ」

    黒金剣士は溜め息を吐くのと同時に

    タンッ

    その場で自分の身体を軸にし、剣を振り回すように一回転。

    …だが、その剣は子鬼達にかすめることすらなかった。

    子鬼弟(バカだ!焦ってタイミングをミスったな!)

    子鬼達は完全に勝利を確信し、鋭い爪を構えるが

    それを、油断と呼ぶことは…


    ドォオオオオオン!!


    死と共に、知ることとなる。

    黒金剣士「ったく、もう一回ガーゴイルとやりてぇんだけどな」

    唾を吐き捨て、再び前方に現れた魔物に剣先を向けた。

    いや、剣と言うにはあまりに巨大。

    歴史上使いこなした人物はいないとされるそれを容易く扱う姿こそ、黒金剣士が天才と呼ばれる所以。

    もはや使い手がいないとされたその使いにくすぎる武器は、ついに彼の持つ物一つとなった。

    剣と銃を一体とした、その武器の名は…ガンブレード……!!
  22. 22 : : 2014/05/11(日) 16:05:16
    ガンブレードだとっ!
    一瞬FFが浮かんだw
    剣と銃とかかっこよすぎる!!
    期待♪
  23. 23 : : 2014/05/11(日) 17:08:53
    >>22
    鋭いですね!ガンブレードの元ネタはFFですw
    ありがとうございます!
  24. 24 : : 2014/05/14(水) 19:19:09
    一方、黄金剣士は、ガーゴイルを相手にほぼ互角の戦いを繰り広げていた。

    しかし、それはあくまで客観視した場合である。

    その裏にある駆け引きなど、知るよしもない……。


    黄金剣士「……ハァ…ハァ…」

    黄金剣士(わざと盾を狙っているのか…)

    ガーゴイルと黄金剣士は、すでに一度戦った間柄である。

    その時は黒金剣士も居たのだが、 ガーゴイルの底知れぬ実力の前に、撤退を余儀なくされた。

    黄金剣士(あの時よりは成長したつもりだが、やはり強い!)

    黄金剣士の盾は、ガーゴイルの爪を受け止める度に大きく消費させられていた。

    盾自身にも耐久力はある。その限界がいつ来るのかは…

    ガキィン!!

    黄金剣士(くっ……!)

    誰よりも、黄金剣士が知っていた。

    ガキィン!!ガキィン!!

    反撃をする暇を与えないそれは…攻撃こそ最大の防御という言葉を具現化させたような猛攻。

    …いざその時が来てみれば、それはあっけない程あっという間だった。

    パキ……バリイィン……!!

    盾が粉々に砕け散り、それがガーゴイルの不敵な笑みを隠すように宙を舞う。

    黄金剣士「っ!」

    が、それは!黄金剣士にとって、最大のチャンス!!

    ブォン!!

    ガーゴイル「!」

    散った破片に紛れ、剣を思いっ切りガーゴイルに向かって突き出す……が!

    ガキィィイ!!

    黄金剣士「………!」

    ガーゴイル「…なるほど。このタイミングを狙っていたわけか」

    ……黄金剣士にとって、それは最後とも言えるチャンスだった。

    盾を破壊した瞬間…次の行動が最も読みやすく、そして隙がある瞬間…そこを狙った剣が、容易く受け止められてしまったこと。

    それは剣士として、非常に屈辱的。

    黄金剣士の戦意が、見る見る失われていく


    ガーゴイル「…ふふ、そうショックを受けなくてもいい。中々の一撃だった」

    黄金剣士「……殺せ」

    ガーゴイルの刃物のように鋭く尖った爪が、黄金剣士に振り下ろされ……

    白銀剣士「おい!」

    キィン!

    ……ることはなく、それは弾き返された。

    ガーゴイル「……」

    白銀剣士「へっ」

    黄金剣士「白銀剣士!」

    白銀剣士「下がってろ!」

    黄金剣士「………!」

    白銀剣士「ガーゴイル…お前が死んでくれれば、この世界は平和になるんだ」

    ガーゴイル「ならば、まだ死ねないな」

    白銀剣士「あぁそうかい!」

    キィイン!!

  25. 25 : : 2014/05/15(木) 20:55:57
    白銀剣士カッコええ!!
    めっちゃええタイミングやん!
    期待♪
  26. 26 : : 2014/05/26(月) 20:07:06
    白銀剣士はガーゴイルに剣を向けると、そのまま走り出した。

    いつもと変わらない、攻撃こそ最大の防御。

    …皮肉なことに、ガーゴイルの戦闘スタイルと酷似していた。

    ガキィン!

    ガーゴイルの鋭く尖った爪が、白銀剣士の剣と火花を散らす。

    もはや鉄より固いその爪。ダメージを負ったのは、剣の方だった。

    白銀剣士(ちっ…不利なもんだ)

    泣き言を押し殺して、白銀剣士は再びガーゴイルに飛びかかった。


    ━━━━━━━━━━


    青年「はぁ…はぁ…」

    ドォーン!!ドォーン!!

    大砲の音も少なくなって来た。

    これは砲撃部隊が減っているのか、それとも弾が無くなってきたのか。

    いずれにせよ、この戦争にも終わりが近づいていることだけは、なんとなくその場の空気で伝わっていた。

    青年(魔物もだいぶ減ってきた…)

    最初からみんなで力を合わせ、敵と正面衝突したらここまで互角に戦えるのか。と、青年は少し自らの種族に感心した。

    …その一方で、やはり魔物に自らの種族が追いつめられていたことを、再確認させられたのであった。

    若い剣士「助け……くれ……死にたく…な………」

    ドラゴン「グォォオオオオ!!」ブン!!

    グチャ!!

    男剣士「う…うぁぁ!」

    青年(…ドラゴン……)

    青年は、ドラゴンを見るのは初めてだった。

    噂には聞いていた。
    人間よりも高い知能、鉄より堅い鱗、それだけで一つの武器である巨体、長い尻尾は一撃必殺の威力であり、ブレスもまた強力無比。

    …知っている限り、最強クラスの魔物である。

    が、今ではめっきりと個体数を減らしたドラゴン。(商業目的の乱獲、密猟が主な原因とされる。ドラゴンバスター達が競うように討伐していた結果ももちろんあるのだろうが)

    今目の前に居るドラゴンは1匹。
    こちらには何人かドラゴン狩りを経験した剣士が居る。

    青年(いつもギルドの中心で酒を飲んでた連中に任せれば…大丈夫だろ)


    ━━━━━━━━━━


    少女「………ハァ……ハァ……」

    プリンR「なんだ、もうへばったのかい?」

    プリンS「プルプルプル!食べちゃうぞ♪食べちゃうぞ♪」

    プリンT「女の子の肉、あんま食べたことないから楽しみかも」

    大男「やめろぉおお!」

    プリンU「あれ、いいの?この女の子以外がココに来ちゃって」

    プリンV「食べていいよ。お腹いっぱいだし」
    v
    プリンU「あい」パクン!!

    少女「──ッ!」

    プリンR「いやー君強かったよ。AからQまで殺されちゃったし。僕達プリンから死者が出るのっていつぶり?」

    プリンT「あのほら、前に変な双子相手にした時」

    プリンU「あぁー、あの子達強かったね。変な味したけど」モチャモチャ

    プリンV「食うか喋るかどっちかにしなよ…」

    …プリン達の会話に対する苛立ちで、なんとか両手を前に突き出す少女。

    少女「…あなた達は…ここに居るみんなの中で、私にしか倒せない……」

    その責任感だけが、このプリンの群れを見つけた時、少女自身を動かしたのだった。
  27. 27 : : 2014/05/26(月) 20:07:36
    >>25
    ありがとうございます!
  28. 28 : : 2014/06/01(日) 20:52:11
    少女頑張って!プリンなんか消しとばしてまえ!!
    期待♪
  29. 29 : : 2014/07/03(木) 02:30:07
    少女「だから…っ!」

    一心不乱に、壊れたラジオのように、ただただ魔法を狂ったように唱え続けた。

    ファイア!ファイア!ファイア!ファイア!ファイア!ファイア!ファイア!ファイア!


    プリンR「あっ」ボッ

    プリンS「プルッ!?」ボォ

    プリン?「プ、プギャー!?」ボォォオオ

    プリン?「あぁ……あぁ…」ボォォォ

    プリンというプリンを、視界に入った順番から燃やしていった。

    プリン同士の見分けがつかなくなっても、完全に消えるまで、炎を撃ち続けた…。


    少女「はぁ……はぁ………」

    落ち着きを取り戻して、改めて感じる“孤独”。
    少女の周りに、立っている生き物は居なかった。


    ━━━━━━━━━━


    青年「……は?」


    青年もまた、“孤独”を感じていた。

    バキ……バキ……

    強靱な顎と、鋭利な歯が、戦っていた仲間達を、まるでマネキンのような、おかしな方向に体を曲げていく。

    青年「嘘…だろ…?」

    ついには、立っているのは青年1人になっていた。

    …この時、青年は初めて「こんなの、死んだ方が楽だ」と胸の奥で叫んだ。

    その声が反響し、喉を通って口に出る頃には、「嘘だろ?」に変わっていた。

    ふと足下に目をやれば、戦死した仲間達の一部(パーツ)が広がっていた。

    頭に降りてくる「死」の文字は、近くない未来の暗示か。ドラゴンの目は海より深く、暗く、じっと青年を見つめていた。

    鼻息が顔を通過する。熱い。思わず我に返った、が、ドラゴンはすでに大きく口を開けていて、青年の上半身を覆いつくそうとしていた。

    青年「! うわあぁあ!!」

    低くかがんで、前にダッシュ。「死」をくぐり抜けると、落ちていた剣を咄嗟に拾い、振り返った。

    …生への執着が、青年の闘志に花を咲かせたのか。

    青年「………やるだけやるんだ……頼れるのは…俺……俺だけ…!」

    止まらない足の震え。振り返るドラゴンの視線。嬉しそうに尻尾を地面に叩きつけると、重たい音と共に砂埃が舞い散った。

    青年「………フゥー………フゥー……!」

    バクン!バクン!バクン!バクン!

    心臓がいつもより活発に仕事をしている。高鳴る鼓動とは裏腹に、頭の中は非常に鮮明。落ち着いていた、自分でも驚く程に。

    ドラゴン「…ギャォォオオ!」

    来た!

    青年「うおおおおおおお!!」

    地均しを起こしながら襲いかかるドラゴンに合わせるように、青年は剣を振りかぶっ───

    ドォォオン!

    ドラゴン「ギャォォッ!」グラッ…

    青年「!」

    爆発音。しかし大砲とは違う。

    青年は振りかぶった剣が地面を打ったところで、前を見上げた。

    青年「………ガンブレード…?」

    視界に入った物の名称を口に出す。

    そしてそれは当たっていた。

    黒金剣士「…ドラゴン、か。まだ居たとはな」

    グルルゥ…

    低いうなり声。ドラゴンは少し距離を置いたところから、黒金剣士に向けて威嚇する行動をとった。

    しかし、黒金剣士、動じず。

    青年(…これが、ギルド内1の…ドラゴンバスター…)

    黒金剣士「まだ大物は残ってるんだ。モブには退場してもらうぜ」



  30. 30 : : 2014/07/04(金) 13:50:53
    黒金ナーイスッ!

  31. 31 : : 2014/07/21(月) 03:48:12
    黒金剣士は颯爽と剣を構え、剣先をドラゴンに向ける。挑発しているかのような態度に、青年は思わず「やめろ」と声が出そうになったが、黒金剣士の目を見てやめた。

    青年(ドラゴンを…ドラゴンと思っていない?)

    意外と的確かもしれない。

    黒金剣士が走る。さっきまでの「死」に向かって。

    しかし不思議なのは、黒金剣士がドラゴンと対峙した途端、空気が変わったこと。今それを傍観している青年だけが気づいた。

    あれほど存在感を「死」が「死」と言うには可愛らしすぎる程、小さくなっていたのだ。

    黒金剣士「うおぉお!」

    ドラゴンと一寸程の距離まで近づいた。狙うは大木のような足。

    ドラゴンはついばむようにして黒金剣士を追うが、届かず。いや、届かせず。

    青年(リーチを把握してる…!)

    バサッ!

    鋼鉄の鱗が、皮膚ごと飛び散った。鮮血が黒金の鎧にかかっていく。

    ドラゴンは足踏みをし、痛みを逃がそうとすると同時に黒金剣士を狙う。が、これまた見切りよりも一歩早いタイミングでかわす。

    バサッ!

    再び、分厚い皮膚の切れる音がした。

    ドラゴンの赤い皮膚は、すでに赤い肉へと変貌しつつある。

    青年はこの戦闘…と言えるかわからない一方的な作業を見て、ある光景を連想した。そうだ、アレに似ている。まな板の上で跳ねる魚と、それを見て微笑むコックの姿に。

    ドラゴン「ギャァァオ!」

    ドシィィン…

    気づけば両足が肉の塊になり、たまらずダウン。勇ましい鳴き声も泣き声の様に聞こえる。

    黒金剣士「ハッ!」

    ドスッ!

    ドラゴンの、首が落ちた。

    黒金剣士「ふん…こんなもんじゃ満足できねぇよ」

    目にかかりそうな黒髪を風になびかせながら、幼さの残る顔でそう呟いたのが聞こえた。


    ━━━━━━━━━


    白銀剣士(…ちとキツいな)

    白銀剣士の周りには、すでに使い物にならない程ボロボロになった剣が散乱していた。

    黄金剣士「なんと硬い爪だ…」

    ガーゴイル「ふふふ、もう来ないのか?」

    白銀剣士「ぬかせ」

    ヒュッ!

    ガーゴイル「!」

    ガッ!!

    白銀剣士「……ッ」グググ…

    剣と爪が、再びぶつかり合い火花を散らした。

    ガーゴイル「はは、まだ後ろを取る元気があるか」

    白銀剣士「フッ!」

    ガキィン!!

    剣を引き、素早く離れる。
    鮮やかすぎるヒット&アウェイであるが、ヒットがあまりにも軽すぎた。

    白銀剣士(一発だ…一発でも入りゃあ…!)

    白銀剣士は再び動き出した。
    さっきまで白銀剣士が立っていた場所に、風が吹く。

    ガーゴイル(見えた!)

    しかしガーゴイルはそれを見切り、爪を向ける…が!

    ブン!

    ガーゴイル「!」

    その爪は空を…正確には白銀剣士のうっすらとした残像を切り裂いた。

    白銀剣士「こっちだ!」

    ズバッ!

    黄金剣士「!」

    入った。ガーゴイルの傷一つなかった身体に、一筋の切り傷が!

    しかし、

    白銀剣士(浅い…!)

    斬った瞬間、ガーゴイルは気づき、跳んだ。そのため傷は浅く、追撃もできず。白銀剣士はやむなく構え直した。

    白銀剣士(今のよりもっと…もっと速く動かないといけねぇのかよ…!)

    フラ…

    白銀剣士「!」

    白銀剣士(チッ…酒が切れてきやがった)ユラ…

    ガーゴイル「…ここまでか?」

    黒金剣士「まだだガーゴイル」

    ガーゴイル「!」

    ドォン!

    …バサッ…バサッ……

    黒金剣士(かわされたか…)

    ガーゴイル「…ガンブレードの剣士だな」バサッ…バサッ…

    黒金剣士「情けねぇな黄金剣士、白銀剣士。矛と盾の名が泣くぜ」

    黄金剣士「やめろ…お前の適う相手じゃない」

    黒金剣士「それが情けねぇって言ってんだよ!いつも盾の向こうで、安全に逃げた臆病者が!」

    黄金剣士「…!」

    黒金剣士「来いよガーゴイル。今日がお前の命日で…俺がトップになる日だ」
  32. 32 : : 2014/07/21(月) 04:12:26


    ━━━━━━━━━━

    青年「………」

    青年は動かなくなったドラゴンを、じっと見下ろしていた。

    深く沈んだ黒い瞳は輝きを失っており、さっきまで元気に仲間を殺していたとは思えない程、「生」を感じさせなかった。

    青年(…あのドラゴンも、子供扱い…)

    ドラゴンが倒れ、魔物も残すところ後わずかになってきた。

    少し離れたところではまだ雄叫びと鳴き声が交差している。大砲の弾は底をついたようで、少し静かになったが。

    青年(…俺は、自分で思った以上に無力みたいだ……)

    少女「そんなこと…ないわ」

    青年「! 君は…生きてたのか」

    少女「あなたこそ。私ももう限界だけど…」

    少女は明らかに疲労していた。いつ倒れてもおかしくない、そんな空気をまとっていて。

    青年「…君、人の心がわかるの?」

    少女「あなたの背中が言ってただけ」

    青年「………」

    少女「あなたは無力じゃない…この戦いでも生き残ってる。それは才能よ」

    青年「でも…まったく魔物を倒してないし、いつもかばわれてばっかりで、足手まといにしかなってないよ…」

    少女「……あなたには不思議な力を感じる。予言するわ。この世界を救えるのはきっとあなたよ」

    青年「…!」

    少女「魔物の総大勝、まだ残ってるわよね」

    青年「! まさか…」

    少女「そのまさかよ…」ダッ

    少女は、青年が口を開く前に走り出した。一直線に、細い脚を働かせて。限界の身体に鞭を打って。

    青年「………」

    絶対無理だ。無駄死にするのがオチだ。そう思っていた。

    しかし、少女の自信ありげな表情と…そして、あの言葉。

    青年(…よし!)

    何度も失いかけた物を、再び取り戻して

    青年は、地を蹴った。


    ━━━━━━━━━━


    ガーゴイル「面白い奴だ…」ククッ…

    ガーゴイルは翼を羽ばたかせながら、不敵に笑った。

    まさに悪魔と言う言葉がぴったりだが、黒金剣士は動じない。

    黒金剣士「まずはその翼からか…」

    ガシャン…!

    黒金剣士は鎧を外した。鈍い音が広がり、黄金剣士と白銀剣士はその様子に目を疑った。

    黄金剣士「な…鎧を外すなんて!自殺行為だ!」

    黒金剣士「これがあったら…高く跳べないだろ?あんたは戦場で動き回ることなんてないからわからないだろうけどな」

    黄金剣士「…!!」

    白銀剣士(おいおい…さすがにそれは俺でも…)

    ガーゴイル「…ハハハ!本当に面白い奴だ!」
  33. 33 : : 2014/08/01(金) 23:44:44
    黒金剣士「その翼…切り落としてやるよ…」グググ…

    鍛え抜かれた鋼鉄の筋肉を一気に圧縮し、溜める。

    もはや美しくすらあるそれは、一気に伸縮するとバネのようになり、その反動で黒金剣士は飛び上がった。

    ダッ!

    ヒュゥゥウウウ……

    黒金剣士「よぉ」

    あっという間にガーゴイルと同じ地点まで到達。

    ビルにして3階分程度の高さ。ガンブレードを持ってここまで跳べたことをガーゴイルは心の中で賞賛した。

    しかし、

    白銀剣士(無茶だ!空中は奴のテリトリー!そこにたどり着けたとしても、あいつに攻撃を当てることは困難を極める!)

    白銀剣士の心配をよそに、黒金剣士はガーゴイルに向かって剣を振りかぶった。

    ガーゴイル「見事!」

    そして、一気に振り下ろす!

    ブォオン!!

    剣を振り下ろした勢いで、黒金剣士の上半身と下半身が逆さまになる。

    黄金剣士「…ここまでよくやったが…」

    ガーゴイルは振り下ろす直前で翼を羽ばたかせ、後退。これにより、ガンブレードのガンまでを考慮した射程から一気に離れた。

    白銀剣士「あの体勢じゃ受け身も取れねーじゃねぇか!!」ダッ!

    落ちてくる黒金剣士を受け止めようと、白銀剣士が走る、が!

    クラ……

    白銀剣士「!」

    黄金剣士「くっ…間に合うか!」

    黒金剣士「まだだぜ」

    黄金剣士・白銀剣士「!!」

    空中で、黒金剣士が確かにそう呟いた。

    黒金剣士「うぉらぁ!」

    白銀剣士(振り下ろしたままの体勢から、何かしようとしている!?)

    黒金剣士「ガンブレード……フルバースト!!!」

    掛け声と共に、ガンブレードの中に眠る全ての火薬が!!

    ドオォォオオオオオオン!!!

    一気に爆発!!そして!!

    黒金剣士「うおおおおおお!!!」

    白銀剣士「! そうか!爆発の推進力で、一気にガーゴイルまで!!」

    ガーゴイル「!」

    黄金剣士(…本物の天才だ。俺はとっくに、抜かれていたらしい……)

    黒金剣士は、ジャンプした時から頭の中でこの光景を思い描いていた。

    最初の攻撃は、かわされて当たり前。

    本命は次。爆発の推進力による奇襲!!

    黒金剣士(この速さで斬りつければ!さすがのガーゴイルも地上に落とすことはできる!!)

    そして、今。

    その光景が現実になろうとしていた!

    通常では絶対に考えられない速さでの空中移動。

    ガーゴイルは完全に油断していた。故、ガードを取れず。

    黒金剣士は一直線に、計算通りにガーゴイルへ…!

    黒金剣士(いけ…!)

    そして、剣を持つ手に力を込める!

    ドンッ!!

    黒金剣士「……!」

    その時、黒金剣士の体に何かが当たった。

    当たったのは、もちろん…

    ガーゴイル「…ぐっ」

    ガーゴイルだった。

    黒金剣士の背中が、ガーゴイルの腹部にヒット。

    いくら天才とは言え、あの状態で剣を振ることまでは達成できなかった。

    しかし、体当たり自体は中々堪えるようで、ガーゴイル自身羽を折り地上へと降りたった。

    飛んでいることに、負担を感じたようだ。

    黒金剣士(クソ…後一歩だったか!)

    すでに弾は切れ、重いだけの剣と化したガンブレードに、ガンブレードの価値はなく。

    黒金剣士の勝算は、だいぶ薄くなってしまった。

    ガーゴイル「………やるな、ガンブレードの剣士」

    黒金剣士「……もうやることはねぇけどな」

    ガーゴイル「ここまで追い詰められたのは、初めてだよ……素直に力を認めよう」

    黒金剣士(嬉しくねぇよ…殺されちまうんだから)
  34. 34 : : 2014/08/02(土) 21:58:22
    ガーゴイル「……正直、ここまでデキるとは思わなかった。私の部下は全滅だ」

    黒金剣士「…こっちだって、もう戦える力は残ってねぇよ……」

    白銀剣士「なさけねー話だ…ったくよ………これほど無力を呪った日はねぇ」

    黄金剣士「…どんなに賞賛されようが、この戦いは、勝たなくては意味がなかった」

    ガーゴイル「しかし、本当だ。敬意を評して…一瞬で引導を渡してやる」

    ギラ…!

    太陽に反射して、爪が怪しく輝く。

    その輝きは、命を奪う輝き。

    キラッ!

    そしてもう一つ!それとは全く違う輝き!

    ガーゴイル「!」

    青年「とりゃ!」

    ブンッ!

    ヒョイッ

    青年「わ…!」

    ドテーン!

    白銀剣士「………あいつ、昨日の……」

    青年「……いてて」

    少女「立って、青年。あいつを倒すの!」

    ガーゴイル「…これはこれは、可愛い勇者達が居たものだ」

    青年(………対峙してみて、わかる…圧倒的なオーラ……実力差……!!)

    青年(俺じゃ10年かかっても越えられないような剣士達が、簡単に負けるような相手……!)

    青年(そして…俺達が倒さなければならない相手!!)

    青年「うおおお!!」ダッダッダッ!!

    ガーゴイル「……」ハァ

    ブォン!

    青年の、今出来る最大限の力を込めた、一振り!

    それを!

    パシッ…!

    青年・少女「!」

    まるでポテトチップスのように、指二本で掴んで受け止めた。

    ガーゴイル「……貴様に、私と戦う資格はない…!」

    ググググ……!

    青年(なんて力だ!まったく進まない…それどころか!押し返されてる!)

    少女「チャンス!」

    バッ!

    黄金剣士「…君、その構えは!」

    少女「“始まりの知恵”(ファイア)!!」

    ボオン!

    高速で撃ち出された火球!そして直撃!

    少女「やった!」

    青年「わわっ!」

    青年は剣を手放し、急ぎ足でガーゴイルから離れた。

    青年「すげぇ…!」

    メラメラと燃え上がる炎は、勝利を象徴しているかのように ガーゴイル「はぁ!!」

    全員「!」

    ブワッ!!

    …炎が、散った。その中から無傷のガーゴイルが顔を出す。

    少女「…何度だって撃つ!」

    ガーゴイル「やめておけ…それが貴様のためだ」

    少女「……やってみなくちゃ!」

    黄金剣士「よせっ!」

    ガッ!

    少女「っ!放して!」

    黄金剣士「わかっているだろう!」

    少女「!! あなた…そう言えば魔法を知って…」

    黄金剣士「…悔しいが、あいつの言うとおりだ」

    少女「………」

    少女は、体から何かが抜けたように膝から崩れ落ちた。

    少女「…っ!ごめん…!」

    青年(えっ!?そうしたら…後戦えるのは…)

    青年(………俺だけ、か……)
  35. 35 : : 2014/08/03(日) 13:07:06
    期待です
  36. 36 : : 2014/08/05(火) 13:47:58
    >>35
    ありがとうございます!
  37. 37 : : 2014/08/06(水) 13:20:42
    ガーゴイル「………この世界も、つまらない物になったな……」

    青年を見て、そう言った。

    ガーゴイルの青年を見る目は、まるでゴミを見るような、濁りきった目だった。

    青年「……うるせぇ。何がつまらないだ。全部……お前のせいで!」

    ガーゴイル「ふむ、なるほど」

    ガーゴイルは頷き、右手を真上に挙げると

    バシッ!!

    少女「! 青年!」

    青年を勢いよく弾き飛ばした。

    ゴロッ ドッ ドサッ

    青年「………」

    少女「しっかりして!」

    少女が駆けより、青年の上半身を起こす。

    …まだ息があった。

    少女はほっと胸をなで下ろした。

    青年「……まだ!」

    ダッ!

    少女「青年!」

    青年「ガーゴイル!俺はま… ドガッ!

    青年「………だ……」

    ズゥウン!!

    ガーゴイルの右足が、青年を数メートル、勢いよく吹き飛ばした。

    吹き飛ばされた先で砂煙が立ちこめる。

    少女「青年──っ!」

    青年「……ハァ…ハァ……」

    ガーゴイル「…まだ立ち上がるか」

    青年「…………」ヨロ…

    黒金剣士「あいつ…実力差もわかんねぇのか!」

    白銀剣士「…いや、違う……」

    黒金剣士「!」

    白銀剣士「あいつは……ああいう奴さ」

    黒金剣士「…?あんな奴、ギルドでも見たことなかったが…」

    白銀剣士「そりゃそうさ。俺も昨日知ったからな」

    黒金剣士「はぁ!?なんでそんな無名が…今まで生き残ってんだ!?」

    白銀剣士「だから、ああいう奴なんだよ」

    黒金剣士「………」

    白銀剣士「あの目、わかるだろ?」

    黒金剣士「目……?」

    白銀剣士「黄金剣士と同じ目をしてやがる」

    黄金剣士「!」

    白銀剣士「ま、今はあいつだけになっちまったけどな」

    黄金剣士「…どういうことだ?」

    白銀剣士「あきらめない…目さ」

    黄金剣士「………」

    白銀剣士「お前は盾を壊されたら戦うことをやめた。そしてお前も…弾が無くなったら戦うのをやめた」

    黄金剣士・黒金剣士「………」

    白銀剣士「俺も、酒ばっか飲んできたせいでもう体が動かねぇ」

    ピンッ

    白銀剣士は腰にぶら下げていたボトルを開け、クイッとその中身を喉に流し込んだ。

    白銀剣士「だが…あいつは違う。剣もなく、体はボロボロ。おまけに弱い。それなのにまだガーゴイルに挑んでやがる………あっ、また飛ばされた」

    ドォン!

    青年「…………うぅっ…」

    少女「青年…もうやめて…もう充分だから…」

    少女「私が悪かった…私が…!」

    いつの間にか、少女の目に玉のような涙が溜まっていた。

    その涙の中身は「後悔」。

    少女は青年に心を許しつつあった。
    それは昨日、初めて出会った時から、何故かこの人は信用できると脳が…心が勝手に判断を下したからだった。

    少女「………」グスッ

    黄金剣士「……そうか……」

    ドォン!

    何度目か、青年が地に伏せた。

    そして、また立ち上がった。

    黄金剣士「あいつは、俺達にないモノを持ってる…いや、俺達に元々はあったモノ、か」

    コクリ

    白銀剣士が無言で頷いた。

    黄金剣士「……そうか。そうだな…!」

    そして微笑みながら、黄金剣士が立ち上がった。

    ガタッ

    それに続いて白銀剣士、黒金剣士も立ち上がる。

    少女「!」
  38. 38 : : 2014/08/06(水) 14:08:53

    少女「あなた達……」

    白銀剣士「影響されちまったのさ。まだまだ青臭いガキにな」

    黒金剣士「まだやれることはあんだろ。こっちは5人もいんだ」

    少女「…!」

    黄金剣士「確かに、忘れていた。勇気ある者が勇者。そういう意味では彼こそが真の勇者だろう」

    白銀剣士「あぁ。なら俺達はお供の三剣士だ」

    黒金剣士「なんつーバランスの悪ぃパーティーだよ…ま、付き合うけどね」

    黄金剣士「我々の心を取り戻してくれた勇者に敬意を評して!」

    ジャキン!

    3人が、それぞれの剣を構えた。

    黄金剣士「行くぞ!」

    少女「待って!」

    三剣士「!」

    黒金剣士「んだよ、なんかあんのか!?」

    少女「………もしかしたら……」

    三剣士「……?」

    少女(……もうそれしかない)

    少女「あなた達が、本当に彼を…信用して、尊敬しているなら!」

    黄金剣士「……なにをするつもりだ。若き魔法使い」

    少女「……ある魔法を試すわ……一度も成功したことがなかったけれど…」

    パンッ!

    少女は胸の前で手を合わせると、目を閉じた。

    ブワッ…!

    すると、明らかに少女の周りに力が集まっていく。



    ガーゴイル「!」

    そしてそこまでの気配であれば、ガーゴイルが見逃すはずもなく。

    ガーゴイル「なにをしようとしているっ!」

    ガーゴイルが少女に向かって走ろうとする……が、足に何かが絡まって進まず。

    ガーゴイル「!」

    青年「…前の…手は…俺だ……」

    ガーゴイル「ぬぅぅうう!!」



    黄金剣士「……しかし、火炎の魔法は効かなかった……」

    少女「魔法はなにも……直接攻撃するためのモノだけではないわ……」

    白銀剣士「……!あいつ、時間を稼いでくれてるぞ!」

    少女「……!」

    黒金剣士「何するつもりだよ!早くしねーと…」

    少女「…大丈夫!」

    ドォン!

    少女「!」

    青年「ぐぅ……」

    黄金剣士「っ!しっかりしろ!」

    少女「みんな動かないで…!そのまま…!」

    ガーゴイル「……何をするかは知らんが、させるわけにはいかないのでな」

    ガーゴイルの手が、少女に伸びた。
  39. 39 : : 2014/08/06(水) 20:27:31
    少女「っ!」

    すぐそこにまで迫った命のカウントダウン。

    しかし、少女は驚きこそしても脅えはしなかった。

    青年「まだっ!」

    ガッ!

    青年を、信じていたから!

    青年「少女…お前の自信の裏付け……見せてくれよ……!」

    少女「任せて!」

    青年が、ガーゴイルを押さえつける。

    すでにふらふらなはずの体で、必死に!

    ガーゴイル(っ……まだこんな力が…!)

    ガーゴイル「無駄な抵抗は…よせ!」

    ズサァッ!

    青年「ぐぁっ!!」

    鋭利な爪が、青年の背中を切り裂いた。

    ぷつっと切れた皮膚から、血が流れる。

    青年「くっ………まだだ!」

    ガーゴイル「……!」

    ガーゴイル(この目…こいつは!レベルからして私に適う道理などないが、今!ここで殺さなくては!)

    少女「できた!」

    パァッ!


    三剣士「!!」

    少女「剣士の皆さん、ちょっと痛いかも…!」

    少女が正面に両手を向けた。宿された白い光がゆらゆらと揺れて、それはとても暖かそうだった。

    そして、少女の手からそれは撃ち出された!

    ヒュン! ヒュン! ヒュン!

    三つに別れた光の球が!

    黄金剣士「むっ」

    白銀剣士「おぉっ」

    黒金剣士「!」

    三剣士に、吸い込まれていく…!

    パァーー…!!

    黄金剣士「こ、これは…!!」



    ……ガーデニア・ゴルドー。

    アーロン・シルヴァート。

    ジョー・スコール。

    あなた達三人の魂を……

    カナリア・ルル・マギカの名において……


    アオギリ・ユウタに力を貸すことを命じます!!


    カッ────!!

    閃光。そして──



    それとほぼ同時に、ガーゴイルの爪が、青年の心臓を貫かんとして振り下ろされた!!
  40. 40 : : 2014/08/06(水) 21:41:55
    カーン!!

    ……パリィン

    青年「………!?」

    青年(俺…無事なのか!)

    青年「!」

    青年(………なんか、身体が重い!?)

    ズシッ

    青年は身体の重さに違和感を覚えつつ、何故か嫌な感じがしなかった。

    なんというか…それは頼れる重みだった。

    ?『…おい、まだ戦えるな?』

    青年「!」

    ?『頼んだぞ若き勇者よ。俺達のことをフルに活用できるのは君だけだ』

    ?『頼むぜ…まだあきらめてねぇんだろ?』

    青年「は…は!?」

    至るところから声がする。
    それもすごく近く…って、手に何か握っている。

    それはどこか見覚えのある…ズッシリとしたフォルム…。

    ?『操作は任せろ。お前には難しいからな』

    青年「……?」

    ガンブレードが…しゃべった?

    ?『そうだ。俺がガンブレードだ』

    青年「……え?」

    黒金剣士『俺がお前の武器になってやるって言ってるんだ!』

    青年「え…えぇー!!?」

    黒金剣士『それだけじゃねぇ!今さっき攻撃を弾いたのも…』

    ?『ふふ、こんな姿になってしまったが、黄金剣士だよ』

    左手をみると、その手には黄金色の頑強そうな盾がしっかりと握られていた。

    青年「え…え!」

    ?『さっきから「え?」しか言ってねぇじゃねぇか。ほら、さっさと戦うぞ』

    そして今度は、まるで自分自身に話かけられているように、身近なところからの声。

    …まさか、重みの正体は。

    白銀剣士『そうだ。俺がお前の鎧だ』

    青年「────ッ!!」

    少女「はぁ…はぁ…うまくいった……!」

    青年「少女!これ…!」

    少女「大丈夫!あなたには今三剣士の意志が宿っているの!そしてそれらをモチーフにした『武器』が、三剣士そのものよ!」

    青年「……す、すごい…!これなら!」

    ガーゴイル「ぬぅ…」

    ガーゴイルは弾かれた爪を見て、苛立ちを明らかにした。

    ガーゴイル「こしゃくな手を……所詮は私に負けた者共よ……」

    白銀剣士『いくぞ』

    青年「うぇっ!?」

    ブォン!!

    その鎧は、まるで風のように素早く、優雅な走りを実現させた。

    その速さ故、ガーゴイルの目には残像のみが映った。

    そして…!

    ガーゴイル「!」

    ガンッ…!

    ガーゴイルの身体が、吹き飛ばされた。

    ドォン!!

    ガーゴイル「……!?」

    青年「すごい速さ…なんだこれ!」



    受付嬢「何コレ…圧倒してる!?」

    少女「! 無事だったんですね…!」

    受付嬢「えぇ…でも、これは…あの子!?」


    白銀剣士『風の中を泳ぐ鎧…ウインド・スイマーってとこかな』

    黒金剣士『まんまじゃねぇか』

    ガーゴイル「ぐぉぉおおおお!!」

    青年「! (もう目の前まで!)」

    黄金剣士『大丈夫だ』

    ガキィン!!

    ガーゴイル「がぁっ!」

    青年「すごいっ!攻撃した方にダメージが…!」

    黄金剣士『ふふ…俺は盾を失ったが、君には俺という盾がある!存分に使いなさい。勇者を守れるなら本望だ!』

    青年「はいっ!」

    白銀剣士『ギルド最強の盾自らが盾になるとは……』

    黄金剣士『…名前はないのか?』

    白銀剣士『つけてほしいか?…うーん……パーフェクト・イージスでどうだ!』

    黄金剣士『悪くない』クスッ

    ガーゴイル「ぐぅ……なぜ……なぜ……!」

  41. 41 : : 2014/08/06(水) 22:16:22


    黒金剣士『やるぞ、青年』

    青年「はい」

    チャキッ

    ブォン!

    まさしく風と等しいスピードで、一気にガーゴイルの懐まで侵入した。

    そのことにガーゴイルが気づいたのは、ガンブレードがガーゴイルの腹部を切り裂いた時だった。

    ガーゴイル「!!」

    黒金剣士『まだまだ』

    ドォオオン!!

    ガンブレードが火を吹いた。

    傷口が熱く燃え上がる感覚…ガーゴイルは思わず叫んでいた。

    ガーゴイル「ウォォオオオオオ!!」

    黒金剣士『いくぜっ!』

    ザシュッ!ザシュッ!ザシュッ!ザシュッ!ザシュッ!ザシュッ!ザシュッ!ザシュッ!

    激しい斬撃のラッシュ!そして!

    ドォオオン!!

    とどめと言わんばかりの銃撃!

    ガーゴイルは、今まで経験したことのない痛みに、完全に思考が追いついていなかった。

    白銀剣士『おぉ、完璧だ』

    黒金剣士『んで、俺の名前は?』

    白銀剣士『オプティマス・ファイアだな』

    黒金剣士『ふーん』ニヤッ

    青年「すごい…すごい…すごい!!」

    黒金剣士『おっと、これは紛れもなくお前の力だぜ。確かに複雑な操作は俺達がしてる。だがな、あくまで本体はお前だ』

    青年「…はい!」

    ガーゴイル「…………」

    ………悪夢だ……この私が…魔王が……ここまで一方的に……。

    何故だ…ヒューマンは滅ぼすのが容易い種族だったはず……どうして………。

    瀕死寸前、虫の息となったガーゴイル。

    正直、あまりにも圧倒的な戦闘に青年が一番驚きを隠せなかった。

    そして、自分が魔王を倒すことにも…。

    黄金剣士『あと一歩だ』

    青年「はい……」

    ガーゴイル(私は………まだ……)


    バサッ!

    青年「!」
  42. 42 : : 2014/08/06(水) 22:35:29

    ガーゴイルがとった行動。それは戦局を見ればごく自然なことだった。

    青年「! 飛んだ!」

    白銀剣士『チッ…逃げる気だ!』

    黄金剣士『白銀剣士、追うぞ』

    白銀剣士『わかってる!だが、走れないところまで飛ばれちまったら……』

    バサッ…バサッ…

    ガーゴイルはその間にも羽を羽ばたかせた。

    黒金剣士『…大丈夫さ』

    黄金剣士・白銀剣士『!』

    黒金剣士『青年!ちょっと踏ん張れよ!』

    ガシャン!

    青年「な、何を!」

    黄金剣士『まさか…ここからの銃撃か!しかし、いかんせん距離が…!』

    黒金剣士『大丈夫だ。俺は普通のガンブレードじゃねぇ』

    キュゥウウウ………

    オプティマス・ファイアの銃口に強力な熱と光が集まっていく。

    じっくりと集まっていくエネルギー。それがどれだけ膨大なモノか想像するのは容易かった。

    黒金剣士『フルバースト…改!!』

    ドォォオオオオン!!!

    ──放たれた膨大なエネルギーは

    ヒュン!!

    レーザー光線のように、細く、圧縮された線となって

    空中を飛行するガーゴイルの胸の部分を的確に貫いた。

    ガーゴイル「かっ……ばかなっ……」

    青年「……よしっ!」

    黒金剣士『へへっ。出来ると思ったんだ…俺なら』

    黄金剣士『…ガーゴイルが、落ちていく』

    ドォン!

    ガーゴイルが地に落ちた。

    ウインド・スイマーのスピードでそこまで走ると、そこには確かにガーゴイルの姿があった。

    青年「………」

    ガーゴイルの目は、もはや生気を一切感じさせない白一色。

    舌がだらしなく垂れており、辺りにはガーゴイルのモノと思われる血が散乱していた。

    そして、無数の切り口に紛れて胸にぽっかりと空いた穴は、特に存在感を放っていた。

    青年「………勝った」

    受付嬢「……………私……夢を見ているのかしら………」

    少女「…………」グスッ

    少女の目には、さっきとは違う内容…「喜び」の涙が玉のように溜まっていた。

    ボワン!

    そして、魔法は解ける。

    黄金剣士「終わったな…」

    白銀剣士「あぁ………」

    黒金剣士「…………おめでとう、勇者」

    青年「………俺が……うぅっ……」

    黄金剣士「まったく、勇者が泣き虫ではお供の三剣士は泣くに泣けないじゃないか」

    白銀剣士「……とか言って、背向けんなよ黄金剣士」

    黄金剣士「…ふふっ。こんなに嬉しいことがあるか」

    黄金剣士「ヒューマンは……魔王に勝ったのだ!!」

  43. 43 : : 2014/08/06(水) 23:03:56
    受付嬢「そうよ!もうみんな今は泣いちゃいなさい!!」

    白銀剣士「……ったく、なんもしてねぇくせによ」ヘヘッ

    白銀剣士は顔を隠すように、ボトルを取り出して口に当てた。

    黒金剣士「おい、俺にも飲ませろよ」

    白銀剣士「ガキにゃ早いさ」

    この時、誰が泣いていたかは確かではない。だが、全員が歓喜していたことだけは、絶対に確かなモノだった。

    暖かいムードだ。

    死んだ仲間達も報われる。

    それを表しているように、空は青く、広く、眩しかった。

    「…ほっほっ。さすがじゃな…」

    全員「!」

    背後からの声に、全員が振り向いた。

    そこにいた者は…見覚えがあった。

    受付嬢「昨日の…おじいさん…」

    「ほっほっ。覚えていてくださったか」

    黄金剣士「じいさん。来てくれたのか」

    「…ほっほっ……」

    ザァッ…!

    青年「!」

    突然、おじいさんの体が何かに後ろから引っ張られるように後ろに伸びた。

    そして、皮が破れるような音がしたら

    おじいさんの中から…別人が姿を現した。

    黒金剣士「…なんだ?」

    ?「驚かせて申し訳ない」

    その別人は丁寧に謝罪をすると、会釈をした。

    別人の格好は明らかに変人だった。

    白い全身タイツに申し訳程度のフリフリが付いていて、頭には黄色い輪っかが乗っている。

    背中からは、羽のような物も伺える。

    (魔物か?)

    全員がそう思った。

    ?「いえ!魔物ではありません…と言うか、敵ではありません。その証拠に、今日の襲撃を教えたじゃありませんか」

    白銀剣士「……確かにな」

    ?「私は天使。神の使いの者です」

    受付嬢「て、天使!?神!?」

    天使「はい。今世界が大変なことになっているのです」

    俺達は天使の話を聞いた。

    神とか…マスターキーとか、他の世界とか。正直ガーゴイルを倒して浮き足立っている俺達の頭では到底理解できそうもない話だった。

    少女「…それで、どうしてあなたがここに?」

    天使「私は他の世界…我々は“星”と呼んでいますが、それを渡るマスターキーのスペアを持っています。そうして他の星を渡り、魔王の手から救ってきました」

    天使「けれど今回はそうもいかず、私の仲間は全滅。残った私はヒューマンに化けてどうにかヒューマンを勝たせようと動いたのです」

    青年「………」

    天使「そして、結果的にあなた達は勝つことができました。これでこの星は救われます」

    黄金剣士「…よかった」

    天使「…しかし、まだ各星に散りばめられた魔王達が残っています…」

    白銀剣士「つまり、まだガーゴイルのような奴が居ると…」

    黒金剣士「《アース》みたいにか…」

    天使は無言で頷き、続けた。

    天使「なので、是非共あなた達の力をお借りしたい…!!」

    全員「!」
  44. 44 : : 2014/08/06(水) 23:21:20

    天使「恥は承知です!ですが、あなた達の力が必要なんです…!」

    受付嬢「か、神はどうしてるのよ!」

    天使「宮殿の奥にて眠りについておられます……起こそうにも、その宮殿には神が放った護衛の聖獣達が居て近づけず、まったく手の施しようが…」

    受付嬢「そうは言ったって…こっちはやっと!やっと平和になったのよ!!?平和を満喫する時間すらないわけ!?」

    天使「時は一刻を争います…どうか…!」

    黄金剣士「わかった」

    天使「!!」

    黄金剣士「今度こそ、本当の勇者を目指そう。一からのスタートだが、そういうのもおつなモノだろう」

    白銀剣士「俺もだ」

    黒金剣士「……まぁ、暇だしな」

    受付嬢「…正気?」

    黄金剣士「確かにここは平和になった。だが、他が平和でないのなら、それは真の平和と呼べるだろうか?裕福な層が、貧困な層を見て見ぬ振りし続けた、かつての《アース》そのものではないか」

    受付嬢「……今は違うわ」

    黄金剣士「ではこれから同じになる。真の平和でないならば、後ろめたさが残る」

    白銀剣士「同意だ」

    黒金剣士「…」コクッ

    受付嬢「……」

    少女「…私も、何か力になれるなら!」

    受付嬢「あなたまで…」

    青年「………」

    受付嬢「………あなたはどうするの?」

    青年「…俺は……行きます!」

    受付嬢「!」

    黄金剣士「当然だな」

    天使「では、星の扉を開放いたします」

    天使はそう言って、懐から☆の形をした鍵を取り出した。

    青年(あれがマスターキー…)

    そして、何もない空間にその鍵を当てて、回した。

    すると…ガチャリ、という音と共に、何もなかった空間が扉の形にくり抜かれていて、扉のように開いた。

    青年はその光景に思わず息を飲んだ。

    天使「…どうぞ、好きな星へ。私は魔王の討伐を確認しだいそちらに向かいます…」

    青年「………!」

    扉の向こうには、不思議な空間が広がっていた。

    黒をベースとした中に、様々な輝きがまばらに配置されている。

    不思議だが、とても綺麗だ。思わず見とれてしまった。

    受付嬢「……変わってるわね、あなた達って」

    白銀剣士「褒め言葉さ」

    黄金剣士「…よし、俺はあそこにするぞ」

    天使「…?俺は!?まさか、全員別々に…?」

    黄金剣士「? 当たり前だろ?」

    白銀剣士「そりゃ、少しでも早く救うならな」

    黄金剣士「決まりだ」

    シュゥー…!

    そう言い残して、黄金剣士の体が扉の中へ消えていった。

    天使「…トホホ」
  45. 45 : : 2014/08/06(水) 23:29:28
    白銀剣士「よし、俺はこっちだ」

    シュゥー…!

    黒金剣士「じゃあな、戻ってきたら模擬戦でもしようぜ」

    青年「いや…相手になりませんよ…」

    黒金剣士「んなことねぇぜ。じゃあな」

    シュゥー…!

    受付嬢「…ほんと、みんなどうして…」

    天使「本当、どうしてですよ…これじゃあ仕事が増える」メソメソ

    青年「…少女は、どうするの?」

    少女「あなたと同じところにする」

    青年「っ!///」

    少女「…そういうことじゃなくて。あなた一人じゃこれから先やっていけないでしょってこと」

    青年「あ…うん」

    少女「正直ね…」

    受付嬢(…もう、二人ははっきりしないわね)

    青年「じゃあ…俺が選ぶよ」

    天使「……」

    青年「ここ…にしようか。比較的安全そうな気がする」

    少女「安全なんて今更ないわよ…まぁ、いいわそこで」

    受付嬢「…寂しくなるわ。私は他の生き残りを探して待っているから。必ず帰ってくるのよ!!」

    青年・少女「うん!」

    シュゥー…!







    《アース》
    平和奪還!

    TO NEXT PLANET………
  46. 46 : : 2014/08/07(木) 00:16:49
    ep2…
    http://www.ssnote.net/archives/21235
  47. 47 : : 2014/08/07(木) 23:26:44
    おもしろかった
  48. 48 : : 2016/06/03(金) 21:05:24
    流石です!乙

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naoranaiyo

風邪は不治の病@秋のコトダ祭り

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