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このSSは性描写やグロテスクな表現を含みます。

この作品はオリジナルキャラクターを含みます。

「エレン・イェーガーの奇妙な冒険」第2話

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  1. 1 : : 2018/10/10(水) 01:40:21
    「エレン・イェーガーの奇妙な冒険」の第2話です。


    前回が170レスで約半日の出来事を描くという超グダグダスレでしたので、今回はテンポ良いのを書く事心がけたい(書けるとは言ってない)


    前回はミカサやアルミンのスタンド能力が詳しく書かれてなかったけれど、今回の第2話で明らかになります!


    よければ読んでってやって下さい。



    以下の要素に注意


    ・ジョジョキャラは出てこないよ。もしエレン達がスタンド能力を身につけたら……って話です。


    ・キャラ崩壊、及び全く世界観が違うので注意。


    ・オリジナルキャラ、及びオリジナルのスタンドといったとんでもなく恥ずかしいモノが登場してしまいます。3年後の黒歴史です、きっと。


    ・舞台はヨーロッパにあるどっかの架空の王国で現パロ。1970年代くらいのイメージ(適当)。10年前まで大きな戦争をやっていたという設定で(規模としては第二次世界大戦くらい)。
  2. 2 : : 2018/10/10(水) 01:43:47
    第1話「サヴェジ・ガーデン作戦(炎の庭へ向かえ!)」
    http://www.ssnote.net/archives/59914


    この続きです!
  3. 3 : : 2018/10/10(水) 12:29:05
    期待して待ってますぞ(*・ω・*)wkwk
  4. 4 : : 2018/10/10(水) 19:44:44
    >>3
    期待ありがとうございます!
  5. 5 : : 2018/10/10(水) 19:44:48
    第2話「ミカサ・アッカーマンは猫が好き」



    ーーーー



    ゲネェラとの闘いから5日後……とある教会



    ゴォ-ン…


    ゴォ-ン…


    神父さん「天にまします、我らの父よ」


    ミカサ「……」


    シクシク…


    神父「御名を崇めさせたまえ」


    アルミン「……」


    ウゥッ…センセイ…グリシャセンセイ…!!


    神父「御国を来たらせたまえ」


    エレン「……」


    ウゥッ…ウゥッ…!!


    神父「今……貴方の元にまた一つ、人の子が還りました」


    神父「広き懐にその魂を迎い入れ、永遠の安らぎを与えたまえ……!」



    ゴォ-ン…


    ゴォ-ン…



    ーーーー


    ーー


  6. 6 : : 2018/10/10(水) 20:01:04
    …………


    ガヤガヤガヤ…!!


    おばさん「グリシャ先生……まさか『火事』で亡くなられただなんて……苦しかったでしょうに……」


    エレン「いえ……父も、これだけ多くの人に囲まれて喜んでいると思います。
    今日は、皆さん……俺の父さんの葬儀に来てくれて……本当にありがとうございます」ペコッ…


    アルミン「……」


    老人「わしゃァ、グリシャ先生にゃあホントォーに、お世話ぁなったよ……
    あんときゃあ、もうほんとにダメだと思ったけど……先生が助けてくれたんじゃ……」


    ミカサ「……」


    アメリア「……グリシャ先生……あたしのせいだ……!あたしが……あの時、一人で逃げたから……」グスッ…グスッ…!!


    エレン「アメリア……」


    アメリア……ゲネェラとの闘いの際に、人質に取られた少女である。


    エレン「そんな事ないよ」


    アメリア「でもぉぉっ……!あだじが……!」グズグズ……!!


    エレン「父さんは、自分で選んだんだ。自分じゃなくてお前が助かるべきだ、ってな。
    父さんは『医者』だ……そうなる事は……とっくの昔から覚悟できてたはずだ」


    エレン「父さんは、自分の仕事を最後まで全うしたんだ」


    アメリア「うぅっ……!」グスッ…グスッ…!!


    エレン「だから泣くな、アメリア。それは父さんがお前にして欲しい事じゃない。
    笑って……その目を見えるようにするために前向きに生きろよ」ダキッ…


    アメリア「うえぇぇぇぇん……!エレンお兄ぢゃぁぁぁぁん………ッ!」グズグズ…!!


    エレン「……」ポンポン…



    エレン(そうだ……父さんは覚悟を決めていたはずだ。ゲネェラと対峙した……最初の頃から、とっくに……!
    復讐の過去との決着をつけるってだけだったんだ……この事は……きっと……)チラッ…


    ミカサ「……」


    アルミン「……」
  7. 7 : : 2018/10/10(水) 20:12:05
    …………


    葬儀が終わって……アルレルト家


    エレン「……はァーッ。つっかれたァー……!!!」ポサッ…!!


    アルミン「お疲れ、エレン。はい、お茶淹れたから」スッ…


    エレン「……さんきゅ」ズズゥ-ッ…!!


    ミカサ「……」


    エレン「……」コトッ…


    エレン「ふぅ……」ゴロン…!!


    アルミン「……お葬式。いっぱい来てくれてたね」


    エレン「……顔だけは広かったからな、医者やってただけに」


    ミカサ「……ごめんなさい……!私が家に残っていれば……こんな事には!」


    エレン「やめろよ、ミカサ。父さんは分かってたんだよ、多分……心の中のどこかでな」


    ミカサ「……何を?」


    エレン「過去との決着をつける時を、だ。それが偶々、あの時だったっつー……ただそれだけだ。
    ゲネェラってのはきっと……父さんの過去の罪が人の形をとって現れた……そういう存在だったんだ……」


    ミカサ「……!」
  8. 8 : : 2018/10/10(水) 20:28:35
    アルミン「……2人の『死』の事は……?警察に取り調べられてたんだろ?」


    エレン「あぁ。そうだよ、クッソ。あんの野郎ォ達……!今日の早朝5時から、葬儀が始まるギリギリの時間までなァー。仕事だから仕方ねぇのかもだけどよォー。もう本当に疲れたよ……眠ィ……!」フワ-ア…!!


    ミカサ「……」


    エレン「あぁ……それで……ゲネェラと父さんの事は『焼死』っつー事にしたよ」


    エレン「2人で揉めあって……そんで偶々、ライターか何かが庭の木々に引火して……それに巻き込まれて死んだっつー……そういうシナリオ」


    アルミン「焼死、ねぇ……突っ込みどころあり過ぎだよ……」


    エレン「ンな事言ったって仕方ねェだろ?一般人に『スタンド』は見えねぇんだからよ。
    『凶暴化した仮面のガキに、腹パン一発でブチのめされましたー』だなんて……誰が信じるんだよ?」


    ミカサ「……その少年は?どうなったの?」


    エレン「……ゲネェラの『エンドレス・ウォー』の能力が途切れたから、当然仮面から解放されて……家から500mの地点で気絶してたらしい。
    目が覚めた後は凄まじい『筋肉痛』に襲われ……警察の取り調べを受けるも、その半日の記憶が無くて……結局釈放された。
    そりゃそうだ。コイツはムリヤリ操られていたんだからな」


    ミカサ「……そう」
  9. 9 : : 2018/10/10(水) 20:50:12
    アルミン「それでさ……エレンの能力……『空間の裂け目へと瞬間移動する』ってスタンドなんだけどさ……」


    アルミン「まだ全然イメージが湧かないんだ。どんな感じなんだい?その……空間の裂け目ってのは……?」ニガワライ


    エレン「んーッ……別にどーのこーのってワケじゃあないんだがよォー……」


    エレン「こう……俺のスタンドが持っている『ナイフ』を投げるだろ?」


    エレン「そんで傷を作るワケだが……その瞬間に『あ、この傷の中に俺は出たり入ったり出来るな』って……感覚で分かるんだ」


    ミカサ「でも……常識的に考えて人は『傷口』なんかに入れない。小さいもの」


    エレン「だから、そこがスタンド能力なんだろうがよー。お前頭固ェなァー……『腹筋』固いのは羨ましいけどさ」


    ミカサ「……」ズゥン…!!


    アルミン(また一言余計な事を)


    エレン「まぁ……ともかく俺のスタンドのナイフで付けた傷口は『空間の裂け目』なんだ。そう考えてくれ。
    そして、裂け目を認識した瞬間に、俺はその裂け目の中に『潜んでいる』。俺と傷口との間にどんなに距離があろうとだ」


    アルミン「『空間の裂け目』ってのは、どんな空間なの?広いのかい?自由に動け回れるのかい?」


    エレン「ンーッ……動き回れるも何も……そういう観念は無いっつーか……!どこまで行っても『真っ暗闇』だから、どうせどこに居ても同じっつーか……」


    ミカサ「傷口の中って広いのね」


    エレン「だから、それはスタンド能力で生み出した『空間の裂け目』なんだっつーの……異次元空間なんだよ……
    んで、出たいと思ったタイミングで『傷口の外』に出現できる」


    ミカサ「??? 不思議……」


    アルミン「君の能力も大概だけどね……」


    ミカサ「アルミンこそ」
  10. 10 : : 2018/10/10(水) 21:12:42
    アルミン「エレン以外のモノを瞬間移動させる事は?」


    エレン「俺の『触っているモノ』であれば何でも傷口の中に送る事が出来るぜ。あんまり、大きい物は無理だが……」


    ミカサ「そっか……じゃないとエレンが瞬間移動した時、素っ裸になってしまうものね。触れてる『服』も一緒に送ってもらわないと……」フム


    エレン「変な事だけ理解良いな、お前」


    アルミン「じゃあ例えば今ここにリンゴがあるけど……これ『だけ』を瞬間移動させる事は?」


    エレン「あぁー……実はソレはまだ難しい。俺自身も一緒に『空間の裂け目』の中に入ってねぇと……コントロールが難しいみたいなんだ」


    アルミン「ふぅーん……」


    ミカサ「まだ研究が必要ね」


    エレン「だな」



    アルミン「それにしても……」


    アルミン「死にゆくグリシャ先生から、スタンド能力を『引き継いだ』なんて……不思議な話もあるもんだね」


    ゴゴゴゴゴ……!!


    エレン「……」
  11. 11 : : 2018/10/10(水) 22:39:16
    エレン「能力自体は変質したけどな。『炎の能力』から『瞬間移動』に……
    きっと、俺と父さんの『心の形』が違うからだ」


    ミカサ「……心の形」


    エレン「それと、父さんは走馬灯の中でこうも言っていた。
    『お前に『憤怒の罪』を引き継がせる』……ってな」


    エレン「『憤怒の罪』……恐らく口ぶりからしてスタンド能力の事を指してるんだろうが……結局、最後まで詳しい事は聞けずじまいだった。一体何の事なんだ……?」


    ゴゴゴゴゴゴ…!!


    アルミン「『憤怒の罪』……か。パッと聞いた所だと、ソレは『七つの大罪』の事だね」


    エレン「七つの……大罪?……何だソレ!?アルミンお前、詳しく知ってるのか!?」


    アルミン「お、落ち着いてよ、エレン。僕が知ってるのはあくまでも世間一般で知られている範囲の『七つの大罪』の事だし、ソレがスタンド能力と関係あるとは限らない。もしかして、ただのコジツケかも……」


    エレン「……!」


    アルミン「まぁ……ともかく一般の間で知られている『七つの大罪』ってのはカトリックで定められたモノで……」


    アルミン「この7つの欲望は確かに人が生きていくためには必要な物なんだ。
    だけど、ソレにどっぷり浸かってしまうと人としてダメになっちまうらしい」


    ミカサ「……酒とかタバコみたいなもの?」


    アルミン「ま、まぁ……言葉の端を捉えればそうだと言えなくもないね……規模的な意味で全然違うけど……」


    エレン「ふぅーん……ソレで?『七つの大罪』っていうぐらいだ。当然、『憤怒の罪』以外にも6つあるんだろ?」



    アルミン「あぁ、『憤怒の罪』の他に……


    『色欲の罪』


    『嫉妬の罪』


    『暴食の罪』


    『怠惰の罪』


    『強欲の罪』


    『高慢の罪』


    ……これら7つが、その原罪と呼ばれてる」
  12. 12 : : 2018/10/10(水) 22:54:43
    エレン「……確かに、どれか1つでも欠けてたら人間として不自然っつー感じだな……あり過ぎてもダメだけど」


    ミカサ「エレン……それじゃあ他に、そういう『七つの大罪』の名前を冠するスタンド使いは知らないの?」


    エレン「知らねぇよ……!俺も突然、父さんに憤怒の罪が云々って言われただけで、俺自身がソレだっていう自覚すらまだ無いんだ……!
    あの野郎、死に際にカッコつけたかっただけかもしれねぇぞ?勝手に変な名前付けて……」


    アルミン「いや……あのグリシャ先生に限ってソレは無いよ。
    何か伝えたい事があって……敢えて、引き継ぐ能力の事を『憤怒の罪』と呼んだんだ……
    多分、エレン以外にも他に『6人』……同じようなスタンド使いが、この世のどこかにいる……」


    エレン「……!」


    ミカサ「いるとして、ソイツらは味方なの……!?それとも敵なの!?」


    エレン「だから分かんねぇってんだろ……」ハァ…


    アルミン「そうだね……まだ、今の所は何も分からないよ……」
  13. 13 : : 2018/10/10(水) 23:15:02
    エレン「それから、父さんを殺しにやってきたゲネェラだが……ヤツは、こう言ってた」


    ーーーー


    ゲネェラ「オメェが、その『憤怒の罪』を息子に受け継がせちまったらよォォォーッ!俺の『仕事』の方がパーじゃねぇかよォォォーッ!」


    ゲネェラ「『憤怒の罪を抹殺せよ』っつーよォォォッ!!!せっかくの依頼がよォォォーッ!!!」


    ーーーー


    エレン「ヤツはあの時、『憤怒の罪』とは何かを知っている風だった」


    ミカサ「……というより、その口ぶり……『憤怒の罪を抹殺せよ』……!
    グリシャ先生が狙われたのは……何者かの依頼という事……?」


    エレン「あぁ、その可能性が高い」


    アルミン「……!」


    エレン「もちろん、ヤツには『復讐』という意図もあったのだろうが……体裁上では何者かに依頼された『仕事』として、俺の父さんは殺されたんだ。
    ゲネェラは自分との利害が一致したから、その仕事を引き受けた」


    ゴゴゴゴゴゴ…!!


    エレン「そして、俺の父さんが狙われた理由としては……それは父さんが『憤怒の罪』と呼ばれるスタンド使いだったからなんだろう。何故、それが狙われているのかは分からないがな……」


    アルミン「でも、待って……!『憤怒の罪』であるという事が狙われる理由なのだと言うなら……ソレを引き継いだ君は……!」


    ミカサ「……まさか」


    エレン「あぁ……俺は『憤怒の罪』を引き継いだ。それはつまり、次に狙われるのは俺という意味だ」


    ミカサ「……ッ!」ギリッ…!!
  14. 14 : : 2018/10/10(水) 23:18:38
    金銀の方は休みですか?
  15. 15 : : 2018/10/10(水) 23:34:51
    >>14
    「童貞に恋愛物書く資格はねぇんだよッ」……というのは建前で、本当は全く思いつかんからです。どう話広げていきゃいいんだろ……DTには思いつかないョ……!
    もっと言えば、今はこっちの方が書きたいからっつー……身勝手な理由です。


    ごめんなさい!一週間に一回くらいは更新できるようにしていきたいです……
  16. 16 : : 2018/10/10(水) 23:35:09
    エレン「それから、ヤツはこうも言ってた」


    ーーーー


    ゲネェラ「この素晴らしいスタンド能力を授けて下さった『あのお方』に示しが付かねぇじゃねえかよォォォッ!!!」


    ーーーー


    アルミン「!?……能力を与えられた、だって!?そんな事が……!」


    ミカサ「……スタンド能力を何らかの形で与える事の出来る人間がいるという事……?」


    エレン「そうだ。その能力を与えたヤツこそが、憤怒の罪を殺すように頼んだ『依頼主』なんだろう……!」


    ゴゴゴゴゴゴ……!!


    アルミン「つまり、ゲネェラという男は雇われたシタッパ……!
    そして、ソレを依頼した『組織』は強大で……しかも、スタンド能力を与える事ができるというなら!……その内部は能力者だらけだ……!」



    エレン「恐らく、な……まだ確信ではないが。
    それで……今までの事を踏まえてここからが『本題』なんだが……」


    ミカサ「……?」


    アルミン「……」







    エレン「––––––ミカサ、アルミン……俺はこの街から出ていく」



    アルミカ「!?」
  17. 17 : : 2018/10/11(木) 22:06:08
    ミカサ「エレン!?今なんて……!」


    エレン「だから言った通りだ。俺は、この街から出て行かなくてはならない」


    アルミン「……本気なの?」


    エレン「あぁ……!」


    アルミン「……ッ」


    ミカサ「どうして!?この街から出ていくなんて……」


    エレン「……お前らも分かるだろ?さっきまで、喋ってた事がどういう事かよぉー……!」


    アルミン「……!」


    エレン「コレだけは……マジでヤバいんだよ。もはや、どうしようもない事だ……」


    エレン「ゲネェラに能力を与えたという『組織』は、何でか知らねぇが……『憤怒の罪』という力を付け狙っているらしい。
    俺もソレを父さんから『引き継いだ』……俺も狙われる……俺がこの街にいたらお前らに……皆に迷惑が掛かる」


    ミカサ「……ッ!」


    エレン「頼む……分かってくれ。俺の育ったリヴァンプルや、お前らを傷付けたくねェ……!
    きっと俺がこの街に留まったままだと、またあのゲネェラみたいなヤツらに狙われて……同じような事が起こる……!人も死んだ……俺は、この街を守りたい」


    エレン「だから出ていく。そもそも家が全焼しちまったからって、いつまでもアルミンの家に世話になってるワケにはいかねぇからな……」ハハッ…


    アルミン「そんな事……」


    ミカサ「……」
  18. 18 : : 2018/10/11(木) 22:21:08
    ミカサ「……えぇ。分かった、エレン……貴方の考えは」


    エレン「……そうか」


    ミカサ「とてもよく、ね」


    アルミン(ミカサ……)


    エレン「じゃあ……」スッ…


    ミカサ「……でも!」


    ガシッ


    エレン「……ッ!何だよ……」


    ミカサ「出ていくのなら、私も連れて行って。エレンを狙う奴らがいて、アナタがソレから逃げなくちゃいけないのなら……私がソイツらをぶっ飛ばす」



    エレン「ミカサ……」


    ミカサ「……」


    エレン「……奴らは恐らく、アルミンの推測通り『能力者だらけの組織』だ。
    俺と一緒に行ったら絶対にただじゃすまねぇ……!絶対にお前らは巻き込まねぇ、って決めたんだ。
    『憤怒の罪』は俺の問題だからな」


    ミカサ「でも……!」


    アルミン「……ミカサ」ポン


    ミカサ「……!」バッ…


    アルミン「落ち着いて……とりあえず、ここはエレンの意見を尊重しよう」コソッ…


    ミカサ「……アルミンがそう言うなら」ボソッ…


    パッ…


    エレン「……」
  19. 19 : : 2018/10/11(木) 22:32:39
    エレン「それに俺は逃げるんじゃない、逆だ。俺を狙ってやって来る『敵』がいるっつーなら……俺はソイツらを逆にブチのめして『情報』を聞き出す」


    エレン「『憤怒の罪』……『七つの大罪』……そして俺を狙ってる組織の目的は何なのか、ってな」


    アルミン(無茶だ……いくらエレンがスタンドを身に付けたから、って……そんなの……!)


    エレン「それで謎が分かって……俺を狙ってるっつー組織の『親玉』を倒して全部が終わったんなら……この街に戻ってくる。
    だから心配すんなよ」ニカッ


    ミカサ「エレン。でも……!」


    エレン「あーあー……!相変わらず心配性過ぎんだよ、オメェはよぉー……安心しろ、って。
    『マジにヤバい』っつー時は、お前らの事呼ぶからさ……だから大丈夫だ」


    ミカサ「……本当?」


    エレン「あぁ……!」


    アルミン(……いや、嘘だ。エレンはきっと意地でも僕らを危険な目に遭わせないつもりで……)
  20. 20 : : 2018/10/11(木) 22:42:52
    ミカサ(エレン……!)ギュッ…!!


    ミカサ「分かった……」


    エレン「……」


    ミカサ「エレンが、そこまで言うんだったら……信じる」


    エレン「ミカサ……!」


    アルミン「ハァ……!仕方ないな。エレンの家族であるミカサが、そう言うんだったら……僕も認めるよ、君がこの街から出て行くこと」


    エレン「アルミン……!……本当にありがとう」



    アルミン「その代わり、一つ条件」


    エレン「……何だよ?」


    ミカサ「無事に、この港街に帰ってきて。ただそれだけ」



    エレン「お前ら……!」


    アルミン「……」


    ミカサ「……」


    エレン「あぁ、約束するぜ」ニカッ
  21. 21 : : 2018/10/11(木) 22:51:49
    …………


    ミカサ「それで……この街から出て行くんだったら『寝泊まり』する所は?」


    エレン「は?」


    アルミン「『は?』じゃなくてさ。この街から出て行くんだったら当然、どこか別の場所に住むって事だろ?
    つまり『住む所』はどこ、って話だよ」


    エレン「あ、あぁ……『貸家』とかそういう話、か……」ニガワライ


    アルミン「って、エレン。その反応まさか……!」


    エレン「あは、あははは……!」


    ミカサ「考えてなかったのね……!この街から出て行くっていうのに……」


    エレン「いやぁ……うっかり、うっかり」


    ミカサ「うっかりで済ませられる話じゃない」ギロッ


    エレン「最後まで心配掛けて、本当すみません」ペコォ-ッ…

    エレン(とにかく『この街から出て行く』って事に頭がいっぱいで考えてなかったんだよ……)
  22. 22 : : 2018/10/11(木) 23:16:21
    アルミン「はぁーっ……まぁ、エレンの事だから、そんな気はしてたけどさァー……」


    エレン「クッ……!やっぱり俺ってそういうイメージかよ!?」


    アルミン「ともかくそれなら、まず君が住む為の『貸家』を探さなきゃね……他の町のどこかの……」


    ミカサ(……!)


    ミカサ「アルミン、それなら……」


    エレン「?」


    ミカサ「明日、私たちも一緒について行って……エレンの住む場所を探しに行こう」


    エレン「ちょっ……お前……何勝手に……!」バッ…!!


    アルミン「あぁ、それ良いんじゃない?」


    エレン「! アルミンまで……!あのなぁ……俺はもうガキじゃねぇんだから、自分の住む場所くらい一人で……!」


    アルミン「いやいや。そういう意味じゃなくてさ、『思い出づくり』だよ」


    エレン「思い出づくり……?」


    アルミン「ほら。君がこの街を出て行くんだったら、コレが君と過ごせる最後の機会だし……」


    エレン「だけど……!」


    アルミン「最近、3人でどっか他の所に遊びに行く事も無かったろ?観光ついでに、さ」


    ミカサ「それにエレン……一人で本当に部屋なんて選べるの?
    さっきもあんな調子だったし……」ジロォ-ッ…!!


    エレン(うっ……!言い返せねぇ……!)タラリ…!!



    エレン「……あ〜……!あ〜……!分かったよ」


    ミカサ「!」


    エレン「俺は暫く、この街に帰って来ないワケだし……
    俺だって、お前らと離れるのは寂しいよ!だから、その……『最後の思い出づくり』……だ」ボソッ…


    アルミン「良かった、決まりだね……それじゃあ明日、昼になる前にはここ出ようか。エレンの『部屋探し』。」


    ミカサ「えぇ」コクッ


    エレン(クソッ……だが、やっぱり『住む場所』をダチに手伝ってもらうだなんて恥ずかし過ぎんだろ……ガキじゃあるまいしよぉ〜!)
  23. 23 : : 2018/10/11(木) 23:56:22
    ミカサ「それから一人で暮らしていくんだったら『お金』が必要。仕事の事も考えなくちゃ」


    エレン「あぁ……確かにな。なるほど」ポン


    アルミン「君ねェー……ッ!」ハァ-…


    エレン「お、おい。そんなに怒るなよ!
    暫くは、父さんの残してくれた『遺産』があるんだからさ……さっきの葬式の時、こっそり叔父さんが教えてくれた」


    ミカサ「でも、だからって……」


    エレン「分かってるよ!ちゃんと考えてる、って……」


    アルミン「本当……?」


    エレン「あぁ、本当だよ!そうだな……スタンド能力使って『何でも屋』とかどうだ?
    普通のヤツに出来ない事も出来るしなぁー」ニコニコ


    ミカサ「エレン……」


    エレン「おっ、だろ?良い考えだろ?」


    ミカサ「違う。もっと真面目に考えて」ギロリ


    エレン「……あっ、はい……スミマセン……!」シュンッ…


    ミカサ「もう……」


    エレン(結構本気だったんだけどな……)ドンヨリ


    アルミン「あはは……」
  24. 24 : : 2018/10/12(金) 00:30:12
    ミカサ「……本当に大丈夫なの?エレン……これからアナタ一人だなんて……『狙われている』という事抜きにしても不安」


    エレン「……あ〜、もう……!さっきから……!うっせェな、オメェは!俺の母さんかよォォーッ!」ダァ-ッ!!



    ミカサ「……ううん、エレンのお母さんはカルラさん」


    エレン「!」


    エレン「……」


    ミカサ「そして、私たちの父さんはグリシャおじさん……いつまでも、いつまでも……」


    エレン「……!」


    アルミン「……」


    ミカサ「だけど私は貴方の家族。友達とか恋人でもないし、兄弟じゃないけど……それでもエレンと私は家族だよ」


    ミカサ「例え離れたとしても……それだけは忘れないで。
    あなたがこの街を出て行って……死んでしまったとしても……私は貴方の墓を建てないから」


    エレン「……!」


    ミカサ「だから死なないで。自分一人で苦しみを背負い込めばいいだなんて……絶対にそんな事考えないで」


    エレン(……ミカサ)


    エレン「……」グッ…!!



    エレン「……あぁ、分かったよ」


    ミカサ「えぇ」ニコ


    アルミン「……」



    エレン「さて……」スクッ…


    エレン「明日も早いし……俺、もう寝るわ。まだ6時だけどよぉ……本当、朝から……サツの取り調べで寝不足……!」フワ-ア…


    アルミン「あははっ、そうだね。ゆっくり休んで」クスッ


    エレン「飯もいいや。俺の夕飯、明日の朝の分って事でいいよ」スタスタ…


    ミカサ「えぇ、お休みなさい」


    エレン「おう、お休み……」フワ-ア…


    スタスタ…


    エレン「……」チラリ


    ミカサ「? どうかした?」


    エレン「いいや……別に。また明日な」


    エレン(……あぁ、アルミン。お前の言う通りだったな)スタスタ…



    バタン…




    エレン「一度失わないと、大切な物の有り難みは分からない、か……」ボソッ…
  25. 25 : : 2018/10/12(金) 21:16:50
    アルミン「……」


    ミカサ「……」


    アルミン「……さて、じゃあ僕たちは夕食にしようか。はい、食器運ぶの手伝って」


    ミカサ「……えぇ、アルミン」カチャッ…


    アルミン「今日は肉料理だよぉー」スタスタ…


    ミカサ「消費期限、過ぎてなかった?」カチャカチャ…


    アルミン「多分大丈夫。賞味期限なんて、だいたい日付にちょっぴり余裕持たせてるからね。
    ホントーにヤバいのは『5日』超えた辺り」


    ミカサ「……試した事あるの?」


    アルミン「子供の頃に謎の好奇心でね……アレが一番お腹壊した、うん。
    どーして小ちゃい時って好奇心が泉のように湧き出てくんだろうね。ナメクジに何分以上、シオ掛け続ければ完璧に消滅するかとか、さぁー……」ペラペラペラ…!!


    ミカサ「それは多分あなただけだと思う……」


    アルミン「え、本当?まぁ昔っから無駄な探究心ばっか持ってるって言われるけどさ。
    ……ちなみにナメクジは『8分50秒』で消滅した、跡形もなく」


    ミカサ「き、聞いてない」ヒキッ…


    アルミン「そう?まぁ、とにかくここ5日は買い物なんて行く暇なかったし……肉はしょうがないよ。
    期限切れ『4日』はまだまだ大丈夫だよ」


    ミカサ「そう、4日…………ってウソ、4日!?
    さっき5日が限界って言ってなかった!?」


    アルミン「いや……でも、まだ5日経ってないよ?5日経たなきゃ全然食べられる……データ第一!」


    ミカサ「誤差があるでしょ!」
  26. 26 : : 2018/10/12(金) 21:34:04
    ………


    カチャカチャカチャ…


    ミカサ(けっきょく肉料理……)モグモグ…


    アルミン「な?食べれるだろ?」モグモグ…


    ミカサ「ま、まぁ……うん」


    カチャカチャ…


    ミカサ「……ところで、アルミン」


    アルミン「んン〜……?」モグモグ…


    ミカサ「……私、本当にアルミンの家にいたままでいいのかな」


    アルミン「……う〜ん」モグモグ…


    ミカサ「エレンはリヴァンプルを出ると言った。だから私も……いつまでも泊めてもらうワケには……」


    アルミン「ん〜ん……!」モグモグ…


    ミカサ「……ねぇ!アルミン」


    アルミン「いや……僕は別に構わないけどさ君はそもそも、そんなつもりないだろ?」ニッ


    ミカサ「……!」

    ミカサ「どうして分かったの?」


    アルミン「家族じゃないにしてもさぁ〜……これでも10年近く友達付き合いしてきたんだから」


    ミカサ「……ふふっ」クスッ



    アルミン「ミカサ……エレンに付いて行くつもりなんだろ?」
  27. 27 : : 2018/10/12(金) 22:09:11
    ミカサ「……えぇ」コク


    アルミン「やっぱり……口ではエレンに賛成してても……あのミカサが、そう簡単に折れるはず無いと思ったよ。
    僕たち3人の中で一番頑固だもの」


    ミカサ「それはアルミンもでしょ?」


    アルミン「まぁね……多分、君と同じ考えだよ」


    ミカサ「……エレンがこの街じゃない何処かに住むと言うなら……私もその街に住んで彼を守るつもり」


    アルミン「守る、って……どうやって?見つかったら、きっとエレン怒るよ?」


    ミカサ「そ、それは……こっそり」


    アルミン「……ん?」


    ミカサ「だから……こ、こっそり……」


    アルミン「…プフッ」プルプル…!!


    ミカサ「なっ……!」カァッ…///


    アルミン「ミカサ……!『こっそり』って君……それは流石に……くくっ……!……無理があるだろ……くっ……!」プルプル…!!


    ミカサ「もう……///分かってる!分かってるから笑わないで!」


    アルミン「ご、ごめんごめん……つい……!」クククッ…!!


    ミカサ「……確かにこんなの馬鹿みたいだなんて分かってる」


    アルミン「……」


    ミカサ「でも、馬鹿みたいだけど……これしか思いつかないの、もう……
    エレンを狙っている能力者の組織だなんて……そんなの……」


    アルミン「……うん、ハッキリ言って無謀だ。そんな奴らに一人で闘うなんて……」


    ミカサ「……ッ!どうしたら……エレンを守れるの……?」グッ…!!
  28. 28 : : 2018/10/12(金) 23:17:10
    アルミン「……僕が考えてたのはさ、もっと別の事だよ」


    ミカサ「……別の方法……?エレンを守る……」


    アルミン「あぁ……えっとね、ミカサ。僕たちがいくらスタンド使いだからって……僕ら3人で、その『組織』とやらには敵わないと思うんだ」


    ミカサ「……!?そんな事ない。私は強い……アルミンだって!」


    アルミン「いいや、無理だよ。さっきエレンも言ってただろ?
    奴らには、スタンド能力を与える事が出来る人間がいる……
    ソイツがいる限り『組織』の戦力は無限だ……とても僕らじゃ敵わない」


    ミカサ「……ッ。じゃあ……どうするの……!?」


    アルミン「……ミカサ……君はさ、不思議に思わないかい?」


    ミカサ「……?何を?」


    アルミン「何人もの凶悪なスタンド使いを従えた『組織』があると言うのに……この街……いや、この地方一帯は平和過ぎるんだ」


    アルミン「本来なら、この能力者だらけの世界。グリシャ先生を殺したゲネェラみたいな男がしょっ中暴れ回っているはずなんだ……でも、この地方は平和そのもの……」


    ミカサ「でも……それは『悪意ある能力を無効化するスタンド』が、空に浮かんでいるからでしょ?」


    アルミン「だけど、その効能が弱まっている日もある。
    そういう都合の良い時に限って、奴らが黙っている訳がないんだ……何か理由があって奴らは好き勝手出来ない……
    ソレは何故だと思う……?」


    ミカサ「!……まさか」



    アルミン「そう。この地方には……スタンド能力を『犯罪』に使う人間に、対抗する人達がいるはずなんだ!」


    ミカサ「……!」



    ゴゴゴゴゴゴゴ……!!


    アルミン「まぁ……陳腐な言い方だが……『正義の味方』がいる。その『組織』に対抗出来るだけの力……スタンド能力を持った『もう一つの組織』!
    だから、この地方は平和なんだ……!」


    ミカサ「……警察?」


    アルミン「まさか。彼ら公的機関が、スタンド能力を使って大っぴらに活動してる訳はない……
    きっと一部の人間しか知らない組織だ」



    アルミン「『悪役(ヴィラン)』が暴れるのに対して『英雄(ヒーロー)』がいるのと同じように!
    この地方一帯にもいるはずなんだ……強大な悪の抑止力となっている……正義の味方が」


    ミカサ「!……エレンを、そのスタンド使い達の『仲間』に入れてもらえば……!」


    アルミン「あぁ、エレンを守ってくれるかもしれない……!
    逆に言えば、『憤怒の罪』を狙ってくる奴らから身を守る為には……その人達の『仲間』になる他、道は無い!」


    ミカサ「……!」


    ドドドドドドドド…!!


    アルミン「……でも、あまり期待しないでよね?『もしかしたら』そういう人達がいるかも……それくらいに考えていた方が良いよ。
    あくまでも、コレは僕の妄想の域を抜け出せていない……子供じみた『if』の話なんだから……」


    ーーーー


    …………
  29. 29 : : 2018/10/12(金) 23:43:25
    …………


    ーーーー



    同刻……イェーガー家・庭園



    ザッ…!!ザッ…!!ザッ…!!



    ……そこは先日のゲネェラとグリシャとの戦いですっかり燃え尽きてしまった、イェーガー家の庭園だった。


    庭木や芝生は全て灰となり……ソレが『白いカーペット』と化した、殺風景な景色がただそこにある。



    そんな、もはや何も無くなった……訪れる意味も無いはずの庭園に、大柄な男が『2人』……



    「……ふむ」ザッ…ザッ…!!


    「……コレは……すごい火力だったんだろうね……」ザッ…ザッ…!!



    月の光を受けて、歩いていた。



    一人は、金髪で短い髪をした……筋肉質で肩幅の広い、気の良さそうな男。



    もう一人は、黒い髪をしていて……大柄ではあるが、それよりも『ヒョロ長い』といった印象を与える、気弱そうな目元をした男だった。



    名はそれぞれ『ライナー・ブラウン』、『ベルトルト・フーバー』という。



    彼らは何かの目的があって、この灰と化した夜の庭に入り込んだらしい。
  30. 30 : : 2018/10/13(土) 00:17:47
    ライナー「……ここで、グリシャ・イェーガーとゲネェラ・ルーザスが死んだ、か……」ザッ


    ベルトルト「……あぁ。その事件が起こったのは5日前。
    『突然、グリシャの家を訪れて来たゲネェラという名の男(本職不明)。彼らは久し振りに再開し、何か揉め合いになった。そして、その末にライターの火が庭の草木に燃え移り……二人とも焼死』……ここまでが今朝の新聞の記事だね」


    ライナー「記事と言うよりかは『シナリオ』だろ。
    いや……その文面だけを見れば、確かに何ら不自然な所は無い……地方の新聞の隅にでも普通に載ってそうなありふれた事件だ」


    ベルトルト「だけど、ここ数日……僕たちが『聞き込み』をして……そして実際にこの『現場』に来たら状況は変わった。
    この事件は何か奇妙だ」


    ゴゴゴゴゴゴ……!!


    ライナー「……まず、見せてもらったグリシャとゲネェラの死体……まるで『何者かにボコボコに殴られたかのような跡』があった……!
    いや、もはや『何者か』というより化け物にタコ殴りにされたような凄まじい負傷だ……グリシャに至っては土手っ腹に穴まで空いていた」


    ベルトルト「だけど彼らの死因はあくまでも『焼死』という事……そこが奇妙だ。
    確かに火傷の跡はあったけどソレは、ほんの僅かだ。
    火事に襲われたというよりも……『凄まじいパワーで攻撃された負傷跡』……!
    こっちの方が、どう考えても直接の『死因』だ。
    それなのに何故か死因は『焼死』……」


    ライナー「……そういや、この火事も誰かが消火して収まったわけじゃないんだろ?」


    ベルトルト「うん。この近所に盲目の女の子がいて……その子が呼んで来た母親に聞いてみたら、こう言った。
    『火事は一人でに消えたんです……雨も降ってた訳じゃないのに。まるで魔法みたいに』……ってね。
    そして調べてみても……その日の、リヴァンプルの火災件数は『0件』だった……つまり、この街の消防機関が駆けつける事なく、この炎は消えたんだ」


    ライナー「……『一人でに消えた炎』と『化け物に襲われたかのような傷跡の死体』……!」



    ライナー「コレは、もはやここに『スタンド能力』の存在が無かったと考える方が不自然だな」


    ゴゴゴゴゴゴゴ……!!


    ベルトルト「……あぁ」コクリ
  31. 31 : : 2018/10/13(土) 01:04:07
    ライナー「……それで?警察の取り調べを受けた、っつー……死んだグリシャの息子……『エレン・イェーガー』は何て言ってんだ?」


    ベルトルト「さっき僕が喋った内容と同じだよ……彼は『自分の父とゲネェラは焼死した』と……そう答えたんだ」


    ライナー「……へぇー。ソイツぁ胡散くせぇなぁ……!」


    ベルトルト「……!まさか彼を疑ってるの!?」バッ!!


    ライナー「まぁな。とは言っても、その可能性が『ある』ってだけだ……!この事件の真相として考えられる可能性は2つ。

    1つ目は、エレン・イェーガー……コイツ『のみ』がスタンド使いで……何らかの理由があって2人の男を殺した。自らの能力を使ってな。

    そして2つ目。当事者である……ゲネェラとグリシャ。コイツら2人がスタンド使いで、お互いに『殺し合い』をし……そして2人ともくたばった。


    ま、いずれにせよ『スタンド』とか不思議な力が絡んでるのは確定事項だ。
    そうなっちまったらよォ……ここで、この事件から引き下がる訳にはいかなくなったって事だ。
    『不思議な事件』が起きちまったら……そうなれば俺たちの組織……『ライデンシャフト』の管轄だからなぁ……!」


    ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……!!


    ベルトルト「で、でも……例えエレン・イェーガーが『スタンド使い』だとして……!
    警察に『2人の死因は焼死だ』と嘘をついてたしても、彼が犯人だとは限らない!」


    ライナー「あぁ、確かにな……何せ、警察だとか一般人には『スタンド能力』だなんて認識できない訳だからな。
    『超能力で2人は死にました』と正直に言ったところで警察は信じないだろう」


    ベルトルト「だったら……」


    ライナー「だが、しかしだ。エレンが『クロ』だという可能性も捨てきれない。
    どんなスタンドかは知らんが……その能力を使えば、2人が勝手に争って死んだかのように見せる事も出来るかもしれないんだからな」


    ベルトルト「はぁ……!まぁね。分かってたよ……結局、今回もやるしかないのか……こんな非効率な……!」スッ…!!


    ライナー「まぁまぁ。良いじゃねぇか、別に。こんな田舎の港街に来て……それが無駄足じゃなかったんだ。
    やり甲斐のある仕事が見つかった、って事だ」


    ベルトルト「あぁ、分かってるよ」


    ライナー「それに、この仕事が終わったら俺たちの本拠地、『ディレスデン』に帰って3日振りのクリスタの温もりに触れられるんだ。
    そう考えるとやる気が湧いてくるだろう?」


    ベルトルト「……君って本当、いつもソレだよなぁ」ハァ…


    ライナー「お?何だ、その溜息は!愛する者をいつも胸の中に思い浮かべ任務に望む事は大事だぜ?
    何せ『何がなんでも生き延びてやるッ!』って気持ちになるからな!」ガハハッ!!


    ベルトルト「……!そんなセリフ……死んでもユミルの前で言わないようにね?」


    ライナー「……当たり前だろ、恐ろしい。お前と2人きりの時だけだ……こんなアホらしい事言うのは……!」ブルルッ…!!


    ベルトルト「……そう。なら良いんだ……ともかく目の前の仕事だよ」


    ライナー「そうだ!仕事、仕事……!」



    ライナー「……ゴホン!……何にせよ、この事件の『真相』について知っているのは『生き残った者』……すなわちエレン・イェーガーしかいねぇ……!
    つまり俺たちは明日、彼に『接触』をしなくてはならない」


    ライナー「しかし彼が『凶悪なスタンド使い』だという可能性も十分にある……そうなると生半可な『接触』ではこっちが危険だ。だから少々、手荒かもしれんが仕方ない……!」


    ゴゴゴゴゴゴ……!!


    ライナー「俺たちは明日ッ!エレン・イェーガーを『再起不能』にした上で接触を試みる!手心は一切加えない……『疑わしきは敵だと思え』!
    ……それが俺たちの組織、『ライデンシャフト』の掟だ!」ドン!!



    ーーーー


    …………
  32. 32 : : 2018/10/13(土) 09:39:49
    …………


    ーーーー



    翌日……



    ガタンゴドン…


    ミカサ「……」


    ガタンゴトン…


    アルミン「……」


    シュボォォォォ-ッ…!!


    エレン「Zzz……!ムニャ……」グ-スカ


    ガタンゴトン…!!


    アルミン「はぁ……朝もギリギリまで寝てたくせに……汽車ん中でもかよ」


    ミカサ「相当、疲れていたのね……」


    アルミン「あぁ、でもそろそろだ」


    ミカサ「えぇ……」スッ…


    エレン「……Zzz!!」グカ-ッ…!!


    ミカサ「エレン、エレン」ユサユサ…!!


    エレン「んあ……!?」パチッ…


    ミカサ「起きて」


    エレン「……?……あぁ、そうか……俺……汽車に乗って『部屋探し』……行ってるんだった」ウトウト…


    ガタンゴドン…ガダンゴドン…!!


    エレン「……!」パチクリ…

    エレン「ふわーあ……!よく寝た……」ノビ-


    ミカサ「そろそろ到着する……目的地に」


    エレン「あぁ……そうみてぇだな。俺が寝てから何分くらい?
    結構、景色が変わってるっつーか……内陸の方に来んのは久々だかんなー」チラッ…


    エレンが車窓の方に目を向ける……


    周囲はそびえ立つ山々に囲まれていて、その谷間を線路が走っているようだ。


    その景色は、普段港街に住んでいる彼らにとっては少し新鮮なモノだった。


    ゴトンゴトン…!!シュポォ-ッ…!!


    エレン「……何かすっげぇ遠くに来ちまったみたいな感じだな」
  33. 33 : : 2018/10/13(土) 10:00:13
    アルミン「そうでもないよ。君が寝てから、まだ一時間半しか経ってない……って、90分も寝てれば十分か。
    はい、リヴァンプルの駅で買ってきたクッキー食べる?」カサッ


    エレン「おう……って、あァーーッ!?」


    ミカサ「? どうかした?クッキー好きでしょ?」


    エレン「あぁ、大好きだよクッキーはなぁーッ。でもどうして、あと2個しかないんだよ!3人で平等に分けて食おうって言ったじゃねぇーかよ、お前らッ!」


    アルミン「でもエレン……クッキーいる?って聞いても黙ってたし」


    エレン「寝てたからだよ!クッソ、俺まだ1つも食べてねぇのによぉー……!」ガックシ…


    ミカサ「だって、そのまま食べないで荷物になったら嵩張るし……邪魔くさいじゃない」


    「……ニャオ」スッ…


    エレン「邪魔クセェってお前……そんくらい、すぐ食うよ……好きだしな。
    バクバクと……それくらいの個数ならよォー……」ブツブツ…


    アルミン「はいはい、分かったから……クッキーの何個かでそんなに拗ねるなよ。
    はい、どうぞ」カサッ…


    エレン「ん……」スッ…



    「ニャ-…!!」バッ


    エレン(……猫?うおわっ。飛びついてくんぞコイツ……!)


    パシィッ!!


    エレン(……!?クッキー取られた!)


    猫「にゃお」ストッ


    アルミン「! うわ、ビックリした……」


    ミカサ「……!」


    エレン「ク、クッキー返せッ!」

    エレン(……つーか、それよりだ。どうして猫が『汽車』の中にいるんだ……?)


    猫「ニャ-」フリフリ…
  34. 34 : : 2018/10/13(土) 10:53:52
    「おーい!そこのお前ーッ、大丈夫かァー!」

    「……」


    タッ…!!


    エレン「ん?」クルッ…


    車両の前の席の方から、2人の大柄な男がエレンの元に駆け寄ってくる。


    一人は『金髪』で、もう一人は『黒い髪』……


    そう。昨日の晩、イェーガー家の燃え尽きた庭跡に立ち入っていたライナー・ブラウンとベルトルト・フーバーである。


    ライナー「はぁ……はぁ……!すまねぇな。俺がちょっと目ェ離した隙に」ハァ…ハァ…!!


    ベルトルト「……」


    エレン「……この猫、アンタらのか?」


    猫「ニャ-」


    ライナー「……!」


    エレン「……おい?」フリフリ…


    ライナー「……あ、あぁ!すまない。ボーっとしてた」


    エレン「アンタから話しかけて来たんじゃないか」


    ライナー「ハハハ……ワリィって。そんで、まぁ……その猫は俺ののようなモンだ」


    アルミン(ような……?)

    アルミン「どうして猫なんか汽車に?
    いえ、別にそういうルールも無いし、可愛いですけど……ただ、あまり普通じゃないでしょ。汽車に猫乗せるだなんて」


    ベルトルト「あぁ……それはね、実は僕らこの猫の飼い主って訳でもなくて」


    ミカサ「?」


    ライナー「駅のホームで偶々見かけてな。人懐っこくて可愛いから、途中でつまもうと思って買った『ササミ』あげちまったんだ。
    そしたら懐かれてよォー……汽車の空いた窓から俺たちと一緒に入り込んで来やがった」


    アルミン「微笑ましいですね。猫も汽車を使ってお出掛けなんてするんだ、無賃乗車。
    ノラ猫ですか?」


    ライナー「首輪がついてねぇから多分そうだ。
    オマケに人間様の食いモンを遠慮なくガツガツ奪って行くんだから、大した度胸なのか、俺らの事ナメきってんのかのどっちかだな」


    エレン「ははっ……違いねぇな」クスッ
  35. 35 : : 2018/10/13(土) 11:11:39
    ライナー「待ってろよ、このクソ猫。今、アンタから奪った『クッキーの袋』取り返してやっからな」グッ…!!


    エレン「あぁ、それなら別にもう良いよ。猫のかじった後のクッキーなんて食いたくねぇし」


    ライナー「おぉ?そうか?」ピタッ…


    アルミン「それより、君たちはどこ行くの?」


    ライナー「あっ、あ〜……!う〜む……質問を全く同じく返して悪いんだが、お前たちはどこに行くんだ?」


    アルミン「? 別に構いませんけど……」


    ミカサ「私たちは『モーリス』の町に行くところ」


    ベルトルト「モーリス?僕たちもそこ行くんだよ、奇遇だなぁ」


    アルミン「! へぇ、本当ですね」ニコッ



    『モーリス』の町……


    エレン達の住む港街『リヴァンプル』から南下し……内陸の山岳地帯の斜面にある町。


    あまり近代化が進んでおらず、伝統的な『木組みの家』が連なる町並みの、小さな田舎である。


    なぜ彼ら3人が、この町にエレンの『貸家』を探しに来たのかというと……


    それは目立たないからである。


    エレンは『憤怒の罪』を受け継いだ身として、謎のスタンド使い達の『組織』に狙われる運命に陥った。


    それならば人が少なくて、自分がいても被害が出にくい『田舎町』に住もうという所に意見が落ち着いたのだ。
  36. 36 : : 2018/10/13(土) 11:26:19
    ミカサ「それより……あなた達の猫、逃げて行くけど……追いかけなくていいの?」ユビサシ


    猫「ニャ-ッ」トテトテトテ…!!


    ライナー「あッ、本当だぜ!待ちやがれッ……ほら、行くぞベルトルト」


    ベルトルト「う、うん」


    ダッ…!!


    2人は車両の更に奥へと、猫を追いかけて走り去って行った……


    エレン「……」ジィ-ッ…

    エレン(あの猫……)


    アルミン「……それにしてもノラ猫なのに、人間に物怖じしない……何というか図太い猫だったね」ハハッ…


    ミカサ「でも、可愛かった……」ウットリ


    アルミン「えぇ……!?君ってそーゆー……動物とか愛でちゃうヤツだったっけ?
    イメージ違うなぁ……」


    ミカサ「えぇ、だって……あのキッとした愛想の悪い目付き……エレンみたいで可愛いもの」ポッ


    アルミン(結局そこに落ち着くのか)ガクッ


    ミカサ「猫に限らず可愛いモノは何でも好き……あの柔らかそうな肉球……プニプニしたかった。
    きっとアルミンの頰みたいに……!」


    アルミン「分かった!分かったから汽車で恥ずかしい事言わないでッ!///」


    ミカサ「? 私は何も恥ずかしくないけれど」


    アルミン(はぁー……ま、何だかんだとミカサも乙女って事だよな。
    猫を好きだ、って理由に僕ら2人をねじ込むのは何か違う気がするけど……)



    エレン「……!」ジィ-ッ…!!


    ミカサ「……そういえばエレン……さっきから何を見つめているの?
    さっきの2人の背中見て……ゴミでも付いてたの?」


    エレン「いや、別に……」クルッ…



    エレン「ただデカい兄ちゃん達だったなぁ、って……そう思ってただけだ」


    ミカサ「? そう」
  37. 37 : : 2018/10/13(土) 11:56:59
    ーーーー



    ゴドン…ゴドン……ゴドドン……!!シュポォ-ッ…



    彼ら2人は、汽車の一番端……つまり乗り込む為の扉を開けて外に出た、乗り込み部分の足場に立っていた。



    ライナーは落下防止の柵に腰をかけ、ベルトルトはソレに向かい合うように扉を塞いでいる。


    シュポォーッ……!と汽笛が鳴る度に、煙が彼らの真上にある青空をすすけさせて流れ去る。


    ライナー「ふぅ……一芝居完了、っと」


    ベルトルト「ね、ねぇライナー……いくら彼らに聞かれてはいけないからって……こんな狭い所、危ないよ……僕たちただでさえデカいんだから。
    落っこちちゃうよ……!時速70kmだよ?」


    ライナー「……」


    ゴトン……ゴトンゴドン!!


    ライナー「……はあァ〜〜……ッ」スクッ…


    ライナー「ベルトルト、お前なぁ……臆病過ぎんだよ、いっつもいっつも……ちょっと汽車の外に出たらソレか?
    俺たちが、いつもこなしてる任務に比べちゃそれくらい……って、いや。ただの子供でさえ怖がらねぇよ、こんな事」


    ベルトルト「で、でもさァ〜……例え『0.001%』でも減らして置くべきだと思うんだよ……回避できるリスクはさ」オドオド…


    ライナー「……ま、お前のその病的過ぎるくらいに慎重な性格は俺も頼りにしてるんだがな……」


    猫「ニャ-…!!」



    彼ら2人が追いかけていた『子猫』……子猫は、先程とは打って変わって大人しく、ライナーの足元にチョコンと座っているだけだった。


    猫の口元には未だエレンから奪った『クッキーの袋』が咥えられたままで、封が開かれておらず、一口も食べていなかった。


    いや、そもそも『食べる』必要は無いのだ。



    ライナー「さて……」



    何故なら……!



    ライナー「俺の猫……いや、俺の『スタンド』が見えていたという事は……ヤツら3人とも全員スタンド使いだ……!
    それは明らかだ」


    ゴゴゴゴゴ…!!


    ベルトルト「……そうだね」コクッ…


    猫「ニャ-…」
  38. 38 : : 2018/10/13(土) 12:34:17
    ベルトルト「でも……彼らは本当に『凶悪なスタンド使い』なのか?ただの子供って感じ……
    調べてみても、あの港街の学校に通うごく普通の高校生って事しか分からなかったしね。
    3人とも15歳……」


    ライナー「『普通』は装えるからな。公共の場で如何にも悪者ッ!……って感じの事はしねぇだろうが。
    いや……俺たちが普段相手してる組織……『ティッフェローネ』のプッツン野郎達は例外だがな」


    ベルトルト「アイツらは……ね。平気で子供にヤク流すし、ついでに自分にも打つようなヤツらだから……そりゃそうなんだろうけどさ。
    使う『スタンド能力』も気色悪いし」


    ゴトン…ゴトン….!!


    猫「ニャ-ッ…!!」スリスリスリ…!!


    ライナー「おっと、そうだった……お前の事を忘れてたな」スッ…


    猫「ニャッ!!」ゾッ…!!


    ライナーが、擦り寄ってくる自身のスタンドに手をかざす。すると……


    猫「ニャ…ウニャ…」ゾワワァ-ッ…!!


    その触り心地の良さそうな、茶や白の混じった毛並みは、銀色のツルツルとした無機質な質感に変化していき……


    サァ-ッ…!!


    目からは生物特有の瞳の輝きが消え、テカテカとした『鉄の猫』のような姿となった。


    鉄猫『にゃおん』
  39. 39 : : 2018/10/13(土) 12:39:00
    ベルトルト「……それで、彼らにはどう接触しようか?」


    ライナー「……俺のスタンドは『猫』のヴィジョンをしている。しかも皮膚の質感や模様を自由に変えられる……
    つまり『尾行』だ」


    ベルトルト「!」


    ライナー「俺のスタンドを使ってイェーガー達を尾行し、そして人気の無くなった所で攻撃を仕掛ける。
    例え、ヤツらに俺のスタンドが見つかったとしても『ただの猫』。何て事はない……どこにでもいるような猫の姿にカモフラージュしてる。怪しまれる事はないだろう」


    ベルトルト「なるほど……賛成だよ」


    ライナー「……よぉ〜し、よしよし」ナデナデ…


    鉄猫『ニャ-…ゴロゴロ…!!』


    ライナーが鉄猫の喉を撫でてやると、ソイツは気持ち良さうに唸る。


    鉄猫『ニャ…ニャニャ…!!』ピシッ…ピシピシッ…!!


    しかし、その内に奇妙な事が起こった。


    撫でられた鉄猫の顔が『ジグソーパズルのピース』のようにゾワゾワとヒビ割れてきている。


    ピシ…ピシピシ…!!


    そして、その亀裂は徐々に首から下へと広がっていき……


    鉄猫『ニャ…!!』バラァッ!


    亀裂が完璧に分裂し、鉄猫は一つ一つの細かい、『鉄で出来たジグソーパズルのピース』のようになって散らばった。


    バラバラバラ…!!


    そして……


    ピトピトピト…!!


    『鉄のピース』は、床と全く同じ質感と模様に化け、同化した。


    ライナー「行け、エレン・イェーガー達を追跡しろ」


    『にゃー……っ!』


    ビュンッ…!!



    床から猫の甘い声がして……ソレは地面を波打つように、汽車の中に入っていった。
  40. 40 : : 2018/10/13(土) 12:54:33
    ぽさっ……!


    ライナー「……」ヒョイ


    ライナーは、鉄猫のさっきまで咥えていた『クッキーの袋』をつまみ、そうして中身を口に放った。


    ライナー「んっ、美味い!これアイツらの街で造ってるクッキーか?見た事ねぇや。
    ……ま、クリスタの焼いてくれた菓子の方が美味いがな」サクッ…サクッ…!!


    ベルトルト「またその話か……その押しの強さを1/10でも彼女の前で発揮すれば、何か変わるかもしれないのに」


    ライナー「んなもん、ユミルがいるのに無理に決まってんだろ。あー、おっかねぇ」


    ベルトルト(だよねー……)


    ライナー「それはともかくとして他の奴らにも何か土産買ってくりゃ良かったな……
    せっかく、リヴァンプルにまで調査に来たってのによぉー」


    ベルトルト「……あ、でも『モーリス』には確かサシャとコニーが今、仕事に来てるんじゃなかった……?
    もしかしたら途中で会うかも……」


    ライナー「そういや、そうだったな。2人にも俺たちのを手伝って欲しい所だが……まぁ、その必要はないだろう」


    ライナー「グリシャとゲネェラについての『真相』は俺たちだけでエレン・イェーガーから聞き出す。
    頼んだぜ、相棒」


    ベルトルト「こちらこそ」ニッ



    ゴトン……ゴトンゴトン……!!



    ーーーー


    …………
  41. 41 : : 2018/10/13(土) 19:15:18
    …………


    ーーーー



    『モーリス』の町––––到着


    プシュゥ-…!!



    エレン「おぉっ!」タッタッ…!!


    ミカサ「……」


    エレン「レンガ造りの通路に、建ち並ぶ木組みの家……おとぎ話みてぇな町だな!」


    アルミン「風光明媚だねぇ。山に囲まれて人も少ない」ホンワカ


    エレン「なぁ、まずどこ行く?そこの小高い丘に展望台があるっつーから行ってみようぜ!」ワクワク…!!


    ミカサ「ダメ。今日はエレンの貸家を探しに来たんだから」ガシッ


    エレン「はぁッ!?せっかく来たんだぜ?お前らは、もう殆ど来ねぇかもなんだから遊んどけよ!」


    ミカサ「『不動産屋』行って、目星が付いてから」


    エレン「……オメェって昔っからそういうところあるよな」シラァ-ッ


    アルミン「あはは……!まぁミカサの言う事は正しいし……終わったら観光にしようよ?」


    エレン「……へいへい。分かったよ」


    スタスタ…!!






    ライナー「……」コッソリ

    ライナー「……行ったな」


    ベルトルト「うん……」


    ライナー「よし……尾けろ」


    鉄猫『ニャ-…!!』タッ…!!
  42. 42 : : 2018/10/13(土) 19:45:53
    ーーーー



    不動産屋



    担当さん「––––っとおォ……それでは本日はリヴァンプルの方から?大変だったでしょう、ワザワザ遠くから!港街だから山の中にある町って新鮮でしょォ?何より毎日美味しい山菜がすぐ食えるのがいい、金にモノ言わせて産品集めてる都会の市場ってのは『新鮮!新鮮!』と叫んでいてやがるけど、どう考えても産地で獲れたてのを食べるのには敵わん訳ですからねェェーッ。リヴァンプルの魚料理も新鮮で美味しいでしょう?でも今日は是非、ここの直産料理食べてって下さいな。私もそれに惚れ込んでワザワザ都会から越して来た口ですからねぇ。というか、もしかしたらあなた方もそうでしょう?でもそれだけで住む場所決めるってのは如何なモンですかねぇーっ、て感じもしますけどまぁせっかくのお客さんなので何も言いますまい。ようこそようこそ『モーリス』の町へ〜……あ、申し遅れましたけどワタクシ、こういう名前のものでペチャクチャ––––」ペラペラペラペラペラペラ…!!


    アルミン「は、はぁ……」ニガワライ…


    エレン(は、話がナゲェ……!)


    ミカサ「……」ドヨン…!!



    担当「……ですから部屋選びというのは人生を決めるのにも等しい事でして、それを本日はワタクシが云々……あ、それより今お茶が入りましたよ。はい。どーぞ、どーぞ、どーぞォ……」ニコニコ


    アルミン「ど、どうも」コトッ…


    ミカサ「ありがとうございます」ズズッ…!!


    エレン(……アッチ!)カタン…!!
  43. 43 : : 2018/10/13(土) 20:23:48
    担当「それで本日はどのような部屋をお探しで?」ニコニコ


    エレン「あぁー……えっと。そうっすねェー……!」


    エレン(俺はあくまでも組織から狙われている身だからな……)


    エレン「あまり人の寄り付かない……人通りの少ない所ってありますかね?」


    担当「人の寄り付かない……?」


    エレン「はい、なるべく来ない方が良いです。
    近所に家とかもなくて……」


    担当「う〜ん……そういう所、あるにはありますけどねェ〜……お客さん、どういう意味です?」


    エレン「えっ?何が」


    担当「まさか、そんなジメジメした所に住んで……何か変な事考えてるんじゃあないでしょーねぇー……国家転覆とか……!」ジロッ…!!


    エレン「ま、まさか!そんな事……な、なぁアルミン!」アセアセ


    アルミン「え、えぇ。そうですよ!彼はそんな事考えてませんよ……!」アセアセ


    担当「ふぅ〜ん……じゃあ何の為にィ?」ジロジロ…


    エレン「うぐっ……!」

    エレン(い、言えねぇ!『俺を狙っている超能力者の組織がいて……ソイツらと戦う事になった時、周りに人がいない方が被害が出ないから』だなんて……絶対に言えねぇ!)


    アルミン(言えたとしても、頭のおかしな自由人の戯言だと決めつけられるのがオチだ!
    絶対に貸してくれないぞ、そんな奴に!)


    担当「どうなんですかねェー……ウチとしては『信頼第一』でやってますので、血生臭い事をして汚さないで欲しいんですがねぇー」


    エレン(そして『血生臭い事』にならないとも断言出来ねぇッ!)


    担当「そうなれば敷金とかも関係ありませんよォォ〜〜〜?」


    エレン「え、えーとっスねぇー……!」


    ゴゴゴゴ…!!


    ミカサ「あの……」スッ…


    エレン(ミカサ!?)バッ!!


    担当「んン〜?」


    ミカサ「彼が、そういう人気のない静かな所で暮らさなくちゃいけないのは理由があるんです」


    エレアル(ミカサァァァ!)パァ…!!
  44. 44 : : 2018/10/13(土) 20:45:08
    ミカサ「その……彼、少し『心』の方が弱くて……あまり人目につく所で暮らしたくないんですよ」


    エレン(え?)


    アルミン(え?)


    担当「はぁ……極度の人見知り、と?」


    ミカサ「はい、このモーリスの町に越すのもその為です。静かな所でひっそりと暮らして……それで徐々に人付き合いを始めていこう、と。そういう事です」


    担当「それはそれは……」


    エレン(おいテメェ、ミカサ!何て事言ってくれたんだよ!)


    アルミン(う、う〜ん……でも一応は同情を買えたワケだし……)


    担当「すみません……私ときたら、何も知らずに……人の心の領域にズカズカと……」シュンッ


    エレン「あ、いやいや!だからってそんなに卑屈にならなくても……!」

    エレン(アイツめ、人を陥れるような事を……!)チラッ…


    ミカサ「……!」グッb


    エレン(いや、何も『グッb』じゃねぇから!確かに誤魔化す事できたから、文句は言えねぇけどさァ!)


    担当「そうだ。最近、この町に美人なカウンセラーの先生が越して来たんですよ」


    エレン「へ、へぇ。じゃあ気が向いたら、行ってみますよ。あはは……!」

    エレン(ほら見ろ!?何かスッゲー気ィ使われてるッ!)
  45. 45 : : 2018/10/13(土) 21:23:31
    担当「えぇーっと……人通りがなるべく少ない所、と」カキカキ


    担当「他に何か希望は?」


    エレン「そうですね……なるべく広い方が良いですけど、何だったら一番狭い部屋でも構いません」


    担当「なるほど、なるほど……」カキカキ


    エレン「……と、まぁだいたいコレくらいの条件満たしてれば大丈夫ですよ」


    担当「ん〜ん……!」


    エレン「? どうしました?」


    担当「『条件を満たしてれば』ってですねぇ、お客様。
    『人通りの少ない、町の中心から離れた所にある小さな貸家』だなんて……条件どころか、質素過ぎますよ?」


    エレン「その、あんまり余裕ないんで……コッチの方が……」ニガワライ


    担当「あっ……あぁ〜〜!そ、そういう事でしたか、失礼しましたァ〜〜〜……すみません、私ときたら、さっきからお客様に……」


    エレン「い、いえ」

    エレン(俺の方からすれば、金に全く余裕がねぇワケだからなァ〜……!なるべく出費は抑えてぇんだよ……例えボロ部屋でも……!)


    担当「それで……家賃は何円くらいから、ご希望ですゥゥ〜……?」


    エレン「あっ、えっと……それは……」ギクッ…


    エレン(ア、アルミン、ミカサ〜……!お前たちの方から言ってくれぇ〜〜……!)チラッ…


    アルミカ「……!」プイッ…


    エレン(テ、テメェらぁぁぁ……!せっかく付いて来てくれたのによォー!こういう時の為なんじゃねぇのかぁぁぁ……!?)ギリギリ…!!


    アルミン(い、いや。だってあの値段は……!)


    ミカサ(エレンが住むわけだから……エレンが言うべきだと思う。うん……)


    担当「? 何円からですかァ?コレくらい条件に拘らないと結構見つかると思いますが」


    エレン「え、えっと……それは……!」


    担当「?」


    エレン「い……『一万円』から……とか」


    ※世界観が変になるけど、便宜上『円』表示にさせていただきます。


    担当「……あのォ〜……すみませんン〜。もう一度、お伺いしても?」


    エレン「で、ですから一万円……」


    担当「はぁ……一万円……!」


    エレン「……」ドキドキドキ…


    アルミン「……!」


    ミカサ「……」ドキドキ…!!


    担当「ふぅむ……」ペラッ



    エレン(だ、駄目かああァァァ……!?)ドキドキドキ…!!


















    担当「……山に小屋でも建てて暮らしては如何ですか?」



    エレン(やっぱり駄目だったああァァァ!!!)
  46. 46 : : 2018/10/13(土) 21:48:59
    エレン「で、ですよね!やっぱり、そんな……いくら質素だからって月『一万円』だなんて!
    そんな貸家あるわけないですよねぇー……!」


    アルミン(……流石に駄目だったか)


    ミカサ(……でも雑用仕事しか出来ない子供だと、払えるのはコレくらいが限界……!)


    担当「あのォ〜……失礼ですけど、お客さん……パッと見たところ、まだ学生さんくらいの年齢ですよねェ〜?」


    エレン「は、はい」


    担当「ふむ……この歳で苦労して『貸家』を探して……!何かあったのでしょうが聞きますまい。
    た・だ……!」チョイチョイ


    エレン「?」

    エレン(顔そっちに近づけろ、って事か?)


    ズイッ


    担当「おほん……良いですか?」ヒソヒソ…


    エレン「? は、はい……」

    エレン(……どうしたんだ?)


    担当「ここだけの話ですねェェ〜〜……!お客様だけに!特別な物件を紹介したいんですよォォ〜〜……!」ヒソヒソヒソ

    エレン「!」


    アルミン(ん……)ピク


    エレン「!? そ、それはどんな……?」


    担当「シィッ……!声が大きいですよ……!
    そして、その物件というのはですねェー……お客様の提示した条件で何と『一万円』ポッキリ!」ヒソヒソ…

    エレン「!?」


    ミカサ(これは……)


    担当「あと何軒か残ってるんですよ……!今から見に行きますか?ここだけの話……ッ」


    アルミン「あ、あのね?……エレン、これは」ヒソッ

    エレン「行きます!」ガタッ


    アルミン(えぇ〜……気付いてないよ、この人。どう考えてもアッチ方面の関連で胡散臭いでしょ)


    担当「そーですか、そうですか!
    それなら話は早いですね!さぁ!早速行きましょう」ニコニコ


    エレン「はい!……ほら、お前らも行くぞ!?何でそんな青白い顔してんだよ?」キョトン


    アルミン「だ、だからね?エレン……」


    ミカサ「いや、アルミン。まだそうだと決まったわけじゃ……」


    エレン「?」
  47. 47 : : 2018/10/16(火) 18:59:18
    ーーーー

    ザッ…!!


    担当「さぁ……着きましたよォ。町中から離れて更に静かでしょう?」


    エレン「おぉーッ!この建物、丸々一軒全部借りれるんですか?」


    担当「勿論ですとも。家賃は月8500円……」ニコリ


    エレン「マ、マジすかッ!?俺こんな特別な待遇してもらっていいのかなァァ〜?」ジィィ-ン…!!


    アルミン「ん……これは」


    ミカサ「あ、あれ?思ってたより普通……」


    アルミン(もっとおどろおどろしい如何にもな物件だと思ったんだけどな……)


    担当「さぁさ、中へどうぞ」スッ


    ガチャリ


    エレン「お邪魔しまーす!」スタスタ…


    アルミン「……中も思ったより広いですね」スタスタ


    担当「しかしシャワーは付いてませんよ?水回りはトイレと台所だけ。
    まぁ、何か容器にお湯を溜めて身体を洗う形になりますね……」


    エレン「そ、それでも値段に比べりゃ全然便利だぜ!」
  48. 48 : : 2018/10/16(火) 19:30:46
    ミカサ「それにエレン、見て。これ……天井が妙に狭いなと思ったら上が『ロフト』になってる。
    このハシゴを使って登るみたい」ギシギシ…


    エレン「小さい頃、木の上に作った秘密基地みてぇでカッケェな!」


    担当「気に入って頂けましたか?貸家の外観以上に機能的な収納ができますよ?」ニコニコ


    ミカサ「確かに……エレン、片付け苦手だから良いんじゃない?
    上に取り敢えず不要な物だけを置いておけば、後から纏めて捨てれる訳だから……」ポン


    エレン「う、ウッセェな!ほっとけよ」


    ミカサ(でも……やっぱり何かおかしい。こんな良い部屋が、一万円以下だなんて……きっと何か裏があるはず……)


    エレン「……あれ?そういやアルミンどこ行った?一緒に部屋に入ったはずなんだがな」キョロキョロ


    ミカサ「! そういえば……」
  49. 49 : : 2018/10/16(火) 19:32:23
    スタスタ…


    エレン「おーい。アルミン?」ヒョコ


    アルミン「……!」


    エレン「?どうしたんだよ」

    エレン(何だ……?トイレの前で立ち止まって……)


    アルミン「あ、あわ、あわあわ……!」ガタガタガタ…!!


    エレン「黙ってないで何か答えろよコノヤロー。もしかして小便か?
    でも、まだ借りた訳じゃないのに勝手にしちゃっていいのかな……」


    アルミン「あ、あの……質問、良いですか……?」


    担当「? はい。人生と恋の相談以外なら、何でも答えて差し上げますよー」


    アルミン「そ、そうですか。ありがとうございます。なら……!」スッ…!!


    アルミンはトイレの扉を開けて、その小部屋の『壁』を指す。そこには……!


    エレン「……!?」



    アルミン「この……壁にですね。なぁんか妙だなぁッ……ていうか、その……色が少し黒っぽく見えて……他の場所の壁と色が違うんですよね……!
    『シミ』って言うんですか?そして、その『シミ』の形が……」


    エレン「ヒッ……」


    ミカサ「『人の形』に……なってる?」ゾクゥ-ッ…!!


    ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…!!


    アルミン「これって謂わゆるアレですよね?事故物っ」

    担当「あァ〜〜……違いますよ?コレはですねェ、ここにずぶ濡れた『人形』を置いたようでしてねー……取れないんですよ、はい。
    家賃が安いのもソレが理由です」ニコッ


    エレン「いや、でも血ィみたいな色のも飛び散ってんだけど!?
    人形置いてただけなら、ゼッテェもっと家賃高ェだろ!?」ビクゥッ!!


    担当「まぁまぁまぁまぁ。他にも色々な物件がありますので……よろしければ、そちらの部屋の方も見に行きませんか?」


    アルミン(うわっ。何事も無かったかのようにスルーしたよ)


    ミカサ(やっぱり『そういう』部屋だったのね。まぁ、予想は出来てたけど……)


    エレン「うぅっ……くそ……どおりで値段が……ブツブツ……!」ドヨン


    アルミン(そして君は、ようやく気付いたのか……)



    担当「どうしたんですか、皆さんン〜?早く行かないと回り切れませんよ〜?」ニコニコ
  50. 50 : : 2018/10/16(火) 19:57:26
    ーーーー



    その後も次々に『貸家』を紹介してくれたが、しかし……


    エレン達の予想した通り、行く貸家の先々で『不気味なモノ』の存在が見え隠れした……!



    ーーーー



    それは壁に点々と貼られた『東洋風のお札』だったり……!


    アルミン「な、なんか……色々、お札とか貼ってますけど……?」


    担当「穴が空いちゃいましてねぇ。ソレを隠すためのモノです」ニコリ



    ーーーー



    小さな庭の奥に見え隠れする『十字架の墓石』……!


    エレン「うわああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああッ」ガタガタガタ…!!


    担当「そんなに驚かないでください。昔ここに『お化け屋敷』があったんです……あっと勘違いしないで?
    『リアル』な方じゃありませんよ……?」ニコッ



    ーーーー



    更には、壁に掛けられた『女の人が叫んでいる不気味な絵画』であったりもした……!


    担当「こちらァ備え付けになっております」ニコニコ…!!


    ミカサ「うそ!ただの高級な絵画じゃないんでしょう!?だとしたらこんなに安いはず無いもの!」ビクビク!!


    エレン「ムリヤリ壁から剥がそうとすると、勢い余ってガラスに突き刺さって死ぬんだろう!?」


    アルミン「それで、この絵画の中に引きずり込まれるパターンだね……これは。
    この女の人の後ろに描かれてる『背景の男達』……助けを求めるみたいに、こっち側に手を伸ばしてる……」


    担当「あぁ……そういえば前に見た時より『背景の男達』が増えてる気がしますね……うぅむ……おかしーな」ハテ?


    エレン(もうやだ……)フラッ…
  51. 51 : : 2018/10/16(火) 20:29:26
    ーーーー



    担当「さて……これで条件に当てはまる全ての物件を回りましたが……いかがでしたか?」


    エレン「どう、って……アンタ……!」


    アルミン「何かもう……色々、疲れた……ていうか逆に慣れちゃうよね、うん」


    ミカサ「これ……やっぱり全部『事故物件』ですよね?」


    担当「……バレちゃいましたか」


    エレン「バレるよ!むしろ、どうしてバレねぇと思った!?」グオオォッ!!


    担当「ぶっちゃけたところですねェ。えぇ、そうですよ。ハイ。
    アレ全部、ヤベェ貸家です」ニコッ


    アルミン「やっぱり……」


    担当「相当、生活に困っているようでしたから紹介したのですが……やはりダメでしたかね?」


    エレン「すんません……流石にパス……!」ドヨン


    担当「ちなみに最初の『黒いシミ』は元住人の男が自殺した跡のモノです。暑い夏の日だったんでね、しばらく男は見つけられず……死体が倒れ込んだそこに『シミ』が残ったのです」


    ミカサ「……!」ゾォ-ッ…!!


    担当「その前にも、そこに住んでた売れっ子小説家がカッコつけて窓から身を乗り出したら『転落死』したり、一見幸せに見えた家族が同時に『心中』してたり……!
    以降、その貸家は『住めば死ぬ呪われた家』と呼ばれてるんですよ」


    エレン「テメェ殺す気かッ!?」ヌガァッ!!


    担当「嫌だなァ。流石にこの家に住もうと言ったんなら止めるつもりでしたよ」ニコニコ


    アルミン(本当かなあ……?)


    エレン「じゃあ何で紹介したんだよ……!」ブツブツ…
  52. 52 : : 2018/10/16(火) 21:10:09
    ミカサ「何にせよ、『一万円以下』の物件だと全部こんな感じなんですよね?」


    担当「まぁ……はい。そうですねェ〜……流石に、そのお値段だと『訳あり物件』じゃないと厳しいかもしれません」ニガワライ


    エレン「はァ〜〜……ッ!そうだよなぁ、やっぱりそんな都合の良い話、あるわけねぇよなぁ……!」


    アルミン「それなら、もうちょっと条件緩めて案内してもらおうか」


    エレン「だな」クスッ


    「ニャオ…」ヌッ…


    ゴゴゴゴゴ…!!


    担当「かしこまりました。それならばとっとと、この貸家から離れましょうか。
    『鍵』をかけて……ガチャリ!と……」チャリン


    担当「それでは行きましょう」ニコッ


    「ニャ-ッ!!」ダッ…!!


    パシィッ……!


    担当「次は二万円の物件から……って、アレ?アレ?アレアレレェェ……?
    私……今、確かに貸家に『鍵』をかけて……その後、人差し指に引っ掛けてましたよね?
    でも、おかしいなぁ……どっかに落っこしたみたいで……!」キョロキョロ…!!


    エレン「……!いや、落としたんじゃねぇ……アルミン、あれ……!」スッ…


    ゴゴゴゴゴゴゴ…!!


    猫「にゃお」チャリチャリ…!!


    アルミン「猫に奪われたんだ!不動産屋さんの手から……貸家の『鍵』を」


    エレン「アイツ、確か『汽車』の中で俺のクッキー奪ってった猫だよな!?クッソ……何度も何度も……俺たちの事、追いかけ回してんのかぁ?」


    ミカサ「いや、エレン……よく見て。あの猫は別の子。
    汽車の中でクッキーを奪ったのは『ぶち模様』の雑種ネコだったけど……この子は『黒猫』……さっきのとは違う」


    エレン「あっ……」


    黒猫「ニャ-…!!」フリフリ…!!


    その猫は確かに、汽車の中で見た雑種のネコとは違う種類のモノであった。


    ビロードのような毛並み……その中に2つ埋め込まれた黄色い宝石の瞳が、こちらを見つめている。


    エレン「本当だ……違う猫。畜生如きに色々モノ盗られて災難だっつーのは変わんねぇがよぉ」

    エレン(しかし……何だ?確かにコイツは、汽車のヤツと別モノだったが……何か、似ているような……)


    担当「あれぇ……どこに落としてしまったのだろう?『鍵』は確かに持っていたはずなのになぁ……まるで独りでに鍵が逃げていったみたいに……」ブツブツ キョロキョロ…
  53. 53 : : 2018/10/18(木) 20:55:32
    黒猫「にゃおーっ!」タッ!!



    エレン「しまっ……!」バッ!!


    ミカサ「逃げられる……鍵を持ったまま」


    アルミン「不動産屋さん!待ってて下さい、今すぐあの猫から『貸家の鍵』を取り返してきますから……
    なきゃ困るでしょう?」クルッ


    担当「えっ?え?あのォ、お客様ァ〜?か、鍵はですねェー、別に……!」


    黒猫「ニャニャ-ッ…」タタタァ-ッ…!!


    タタタタタァ-ッ…!!


    エレン「追いかけるぞ、お前ら!」ダッ


    ミカサ「えぇ」コクッ


    担当「その……ですからね?お客様?」


    エレン「テメェ待ちやがれぇ、ドロボー猫がぁぁァァ!!」ダダダダダダッ…!!


    ミカサ「……」ダダダダダッ…!!


    アルミン「絶対に取り返しますから、待ってて下さいね!」タッ!!



    ダダダダダダダダダダダ……!!



    担当「……で、ですからねぇ……その鍵じゃあなくっても『合鍵』があるから別に平気なんですが……!」


    担当「……って、お客様聞いてねぇや。行っちゃった」ポツ-ン…


    シィィィィィィン…


    担当(それにしてもあの子ら……『猫』が鍵を盗って行ったとか言ってたけど……『猫』だなんて近くにいなかったぞ?
    事故物件だとか刺激の強いモノ見せ過ぎて、変なの見ちゃったんじゃあないのかァァァ?反省反省……)
  54. 54 : : 2018/10/18(木) 21:24:59
    ーーーー



    エレン「待ちやがれえぇぇェェッ!!!」ダダダダダッ…!!


    ミカサ「くっ……!」ダダダッ…!!


    アルミン「はぁッ……!はぁ……!追いつか……ないね……!なかなか……!」ゼヒッ ゼヒッ…!!


    黒猫「ニャ-ッ」スタコラサッサ-


    ダダダダダダダダダ……!!


    エレン達は『鍵』を奪った猫を追いかけ、町の外れの小さな土手道を走っていた。


    両側には果樹園が迫っており、林檎や柑橘類の木々で作られた天然のトンネルの中を追いかけている形となっていた。



    ピシッ!!ビシビシッ…!!


    エレン「くっそ!木の枝とか葉っぱが引っかかって走りにくい!」ムキィ-!!


    アルミン「はぁ……はぁ……!それでもまだちゃんと道なりに逃げてくれてる分ありがたいよ。
    小さい隙間だとかに入られると、僕らには追いかけられないからね……気ィ使われてるみたい」ハハハ…


    エレン「だったらそもそも鍵なんか盗むな、っつー話だろ!
    俺たちと鬼ごっこでもしたいってのかァーーッ!?」


    ミカサ「それはそれで、ちょっと可愛いかも……」


    エレン「何も可愛くねぇーよ!ただの人間ナメ腐ったネコだよッ!!」


    ダダダダダダダダダ……!!


    黒猫「ニャ-ッ!!」バッ!!



    アルミン「!?そんな事よりマズイよ!あれ見て!」ダダダダッ…!!


    猫はエレン達より、一足早く果樹園の土手道を抜け、その先に横たわる大きな道路を渡ろうとしていた。


    そして、その先には……


    ミカサ「……住宅街!」


    黒猫「ニャ-ッ…!!」タタタタ…


    エレン達は走っている内に果樹園を抜け……そして、ついには『モーリス』の町の隅っこにまで至った。


    大抵の観光地において、地元住民が大勢暮らすための『住宅街』というものは町の中心部から少し離れた、スペースの取りやすい場に作られる事が多い。


    そして、そのバックには背の高い木々が……つまり、住宅街を抜けると『森林』につながっているという事である!


    アルミン「この道路を渡らせて『住宅街』に行かせてしまえば、通路が複雑になって追跡が難しくなる!
    奥に森林があるのもマズイ!」


    エレン「つまりアレか?路地の複雑な住宅街に逃げられる前の『道路を渡りきるまで』の地点で取っ捕まえろ、っつー意味か?」
  55. 55 : : 2018/10/19(金) 08:29:48
    黒猫「ニャ-ッ!!」バッ


    ブオォ-ン…


    エレン「クッソ……!もう道路を渡り始めたぞ……」タタタ…!!


    老婆「……」ヨロヨロ…


    ブオォ-ン…!!


    道路では当然車両が走っていて、それをかわしながら猫は逃げていく……


    黒猫「ニャオ-…!!」スタタタ…!!


    ブロロロ…!!


    運転手「んあァッ!?何だ猫ぉぉぉッ!?」キュイイィッ!!


    突然目の前を横切った猫に驚き、そこを走っていた『トラック』の運転手は急にブレーキをかける!


    それによってトラックは大きくバランスを崩した!


    運転手「うおっ……!?うおおぉぉぉ!?」ギャリギャリギャリ…!!

    トラック『……』フラッ…


    エレン「!?……おい、アレまずいんじゃねぇのか!?」タタタタタッ…!!


    ミカサ「えぇ。あのままだと、あのトラック横転するッ!」タタタタッ…!!



    そして、トラックが横転してしまうだろう先には……


    老婆「……?フエ?……なぁんか大きい音がしてるよーじゃが……気のせいかね?耳鳴りが酷いのォォ〜〜……」ヨロヨロ…


    運転手「クッソ、テメェどきやがれババァ〜ッ!!別に俺はお前をペシャンコに轢いちまっても一向に構わねぇが、この俺を犯罪者にするつもりかァァァ〜〜ッ!?
    猫が悪いんだよ、あの猫がァァァ〜〜!うおおぉぉぉッッッ!!!止まりやがれ、このポンコツ中古車がよォォォォォォォォォッッッ!!!」キキキキィ--ッ…!!


    老婆「……?」ヨロヨロ…

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Anjelina

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