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このSSは性描写やグロテスクな表現を含みます。

この作品はオリジナルキャラクターを含みます。

「エレン・イェーガーの奇妙な冒険」第2話

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  1. 1 : : 2018/10/10(水) 01:40:21
    「エレン・イェーガーの奇妙な冒険」の第2話です。


    前回が170レスで約半日の出来事を描くという超グダグダスレでしたので、今回はテンポ良いのを書く事心がけたい(書けるとは言ってない)


    前回はミカサやアルミンのスタンド能力が詳しく書かれてなかったけれど、今回の第2話で明らかになります!


    よければ読んでってやって下さい。



    以下の要素に注意


    ・ジョジョキャラは出てこないよ。もしエレン達がスタンド能力を身につけたら……って話です。


    ・キャラ崩壊、及び全く世界観が違うので注意。


    ・オリジナルキャラ、及びオリジナルのスタンドといったとんでもなく恥ずかしいモノが登場してしまいます。3年後の黒歴史です、きっと。


    ・舞台はヨーロッパにあるどっかの架空の王国で現パロ。1970年代くらいのイメージ(適当)。10年前まで大きな戦争をやっていたという設定で(規模としては第二次世界大戦くらい)。
  2. 2 : : 2018/10/10(水) 01:43:47
    第1話「サヴェジ・ガーデン作戦(炎の庭へ向かえ!)」
    http://www.ssnote.net/archives/59914


    この続きです!
  3. 3 : : 2018/10/10(水) 12:29:05
    期待して待ってますぞ(*・ω・*)wkwk
  4. 4 : : 2018/10/10(水) 19:44:44
    >>3
    期待ありがとうございます!
  5. 5 : : 2018/10/10(水) 19:44:48
    第2話「ミカサ・アッカーマンは猫が好き」



    ーーーー



    ゲネェラとの闘いから5日後……とある教会



    ゴォ-ン…


    ゴォ-ン…


    神父さん「天にまします、我らの父よ」


    ミカサ「……」


    シクシク…


    神父「御名を崇めさせたまえ」


    アルミン「……」


    ウゥッ…センセイ…グリシャセンセイ…!!


    神父「御国を来たらせたまえ」


    エレン「……」


    ウゥッ…ウゥッ…!!


    神父「今……貴方の元にまた一つ、人の子が還りました」


    神父「広き懐にその魂を迎い入れ、永遠の安らぎを与えたまえ……!」



    ゴォ-ン…


    ゴォ-ン…



    ーーーー


    ーー


  6. 6 : : 2018/10/10(水) 20:01:04
    …………


    ガヤガヤガヤ…!!


    おばさん「グリシャ先生……まさか『火事』で亡くなられただなんて……苦しかったでしょうに……」


    エレン「いえ……父も、これだけ多くの人に囲まれて喜んでいると思います。
    今日は、皆さん……俺の父さんの葬儀に来てくれて……本当にありがとうございます」ペコッ…


    アルミン「……」


    老人「わしゃァ、グリシャ先生にゃあホントォーに、お世話ぁなったよ……
    あんときゃあ、もうほんとにダメだと思ったけど……先生が助けてくれたんじゃ……」


    ミカサ「……」


    アメリア「……グリシャ先生……あたしのせいだ……!あたしが……あの時、一人で逃げたから……」グスッ…グスッ…!!


    エレン「アメリア……」


    アメリア……ゲネェラとの闘いの際に、人質に取られた少女である。


    エレン「そんな事ないよ」


    アメリア「でもぉぉっ……!あだじが……!」グズグズ……!!


    エレン「父さんは、自分で選んだんだ。自分じゃなくてお前が助かるべきだ、ってな。
    父さんは『医者』だ……そうなる事は……とっくの昔から覚悟できてたはずだ」


    エレン「父さんは、自分の仕事を最後まで全うしたんだ」


    アメリア「うぅっ……!」グスッ…グスッ…!!


    エレン「だから泣くな、アメリア。それは父さんがお前にして欲しい事じゃない。
    笑って……その目を見えるようにするために前向きに生きろよ」ダキッ…


    アメリア「うえぇぇぇぇん……!エレンお兄ぢゃぁぁぁぁん………ッ!」グズグズ…!!


    エレン「……」ポンポン…



    エレン(そうだ……父さんは覚悟を決めていたはずだ。ゲネェラと対峙した……最初の頃から、とっくに……!
    復讐の過去との決着をつけるってだけだったんだ……この事は……きっと……)チラッ…


    ミカサ「……」


    アルミン「……」
  7. 7 : : 2018/10/10(水) 20:12:05
    …………


    葬儀が終わって……アルレルト家


    エレン「……はァーッ。つっかれたァー……!!!」ポサッ…!!


    アルミン「お疲れ、エレン。はい、お茶淹れたから」スッ…


    エレン「……さんきゅ」ズズゥ-ッ…!!


    ミカサ「……」


    エレン「……」コトッ…


    エレン「ふぅ……」ゴロン…!!


    アルミン「……お葬式。いっぱい来てくれてたね」


    エレン「……顔だけは広かったからな、医者やってただけに」


    ミカサ「……ごめんなさい……!私が家に残っていれば……こんな事には!」


    エレン「やめろよ、ミカサ。父さんは分かってたんだよ、多分……心の中のどこかでな」


    ミカサ「……何を?」


    エレン「過去との決着をつける時を、だ。それが偶々、あの時だったっつー……ただそれだけだ。
    ゲネェラってのはきっと……父さんの過去の罪が人の形をとって現れた……そういう存在だったんだ……」


    ミカサ「……!」
  8. 8 : : 2018/10/10(水) 20:28:35
    アルミン「……2人の『死』の事は……?警察に取り調べられてたんだろ?」


    エレン「あぁ。そうだよ、クッソ。あんの野郎ォ達……!今日の早朝5時から、葬儀が始まるギリギリの時間までなァー。仕事だから仕方ねぇのかもだけどよォー。もう本当に疲れたよ……眠ィ……!」フワ-ア…!!


    ミカサ「……」


    エレン「あぁ……それで……ゲネェラと父さんの事は『焼死』っつー事にしたよ」


    エレン「2人で揉めあって……そんで偶々、ライターか何かが庭の木々に引火して……それに巻き込まれて死んだっつー……そういうシナリオ」


    アルミン「焼死、ねぇ……突っ込みどころあり過ぎだよ……」


    エレン「ンな事言ったって仕方ねェだろ?一般人に『スタンド』は見えねぇんだからよ。
    『凶暴化した仮面のガキに、腹パン一発でブチのめされましたー』だなんて……誰が信じるんだよ?」


    ミカサ「……その少年は?どうなったの?」


    エレン「……ゲネェラの『エンドレス・ウォー』の能力が途切れたから、当然仮面から解放されて……家から500mの地点で気絶してたらしい。
    目が覚めた後は凄まじい『筋肉痛』に襲われ……警察の取り調べを受けるも、その半日の記憶が無くて……結局釈放された。
    そりゃそうだ。コイツはムリヤリ操られていたんだからな」


    ミカサ「……そう」
  9. 9 : : 2018/10/10(水) 20:50:12
    アルミン「それでさ……エレンの能力……『空間の裂け目へと瞬間移動する』ってスタンドなんだけどさ……」


    アルミン「まだ全然イメージが湧かないんだ。どんな感じなんだい?その……空間の裂け目ってのは……?」ニガワライ


    エレン「んーッ……別にどーのこーのってワケじゃあないんだがよォー……」


    エレン「こう……俺のスタンドが持っている『ナイフ』を投げるだろ?」


    エレン「そんで傷を作るワケだが……その瞬間に『あ、この傷の中に俺は出たり入ったり出来るな』って……感覚で分かるんだ」


    ミカサ「でも……常識的に考えて人は『傷口』なんかに入れない。小さいもの」


    エレン「だから、そこがスタンド能力なんだろうがよー。お前頭固ェなァー……『腹筋』固いのは羨ましいけどさ」


    ミカサ「……」ズゥン…!!


    アルミン(また一言余計な事を)


    エレン「まぁ……ともかく俺のスタンドのナイフで付けた傷口は『空間の裂け目』なんだ。そう考えてくれ。
    そして、裂け目を認識した瞬間に、俺はその裂け目の中に『潜んでいる』。俺と傷口との間にどんなに距離があろうとだ」


    アルミン「『空間の裂け目』ってのは、どんな空間なの?広いのかい?自由に動け回れるのかい?」


    エレン「ンーッ……動き回れるも何も……そういう観念は無いっつーか……!どこまで行っても『真っ暗闇』だから、どうせどこに居ても同じっつーか……」


    ミカサ「傷口の中って広いのね」


    エレン「だから、それはスタンド能力で生み出した『空間の裂け目』なんだっつーの……異次元空間なんだよ……
    んで、出たいと思ったタイミングで『傷口の外』に出現できる」


    ミカサ「??? 不思議……」


    アルミン「君の能力も大概だけどね……」


    ミカサ「アルミンこそ」
  10. 10 : : 2018/10/10(水) 21:12:42
    アルミン「エレン以外のモノを瞬間移動させる事は?」


    エレン「俺の『触っているモノ』であれば何でも傷口の中に送る事が出来るぜ。あんまり、大きい物は無理だが……」


    ミカサ「そっか……じゃないとエレンが瞬間移動した時、素っ裸になってしまうものね。触れてる『服』も一緒に送ってもらわないと……」フム


    エレン「変な事だけ理解良いな、お前」


    アルミン「じゃあ例えば今ここにリンゴがあるけど……これ『だけ』を瞬間移動させる事は?」


    エレン「あぁー……実はソレはまだ難しい。俺自身も一緒に『空間の裂け目』の中に入ってねぇと……コントロールが難しいみたいなんだ」


    アルミン「ふぅーん……」


    ミカサ「まだ研究が必要ね」


    エレン「だな」



    アルミン「それにしても……」


    アルミン「死にゆくグリシャ先生から、スタンド能力を『引き継いだ』なんて……不思議な話もあるもんだね」


    ゴゴゴゴゴ……!!


    エレン「……」
  11. 11 : : 2018/10/10(水) 22:39:16
    エレン「能力自体は変質したけどな。『炎の能力』から『瞬間移動』に……
    きっと、俺と父さんの『心の形』が違うからだ」


    ミカサ「……心の形」


    エレン「それと、父さんは走馬灯の中でこうも言っていた。
    『お前に『憤怒の罪』を引き継がせる』……ってな」


    エレン「『憤怒の罪』……恐らく口ぶりからしてスタンド能力の事を指してるんだろうが……結局、最後まで詳しい事は聞けずじまいだった。一体何の事なんだ……?」


    ゴゴゴゴゴゴ…!!


    アルミン「『憤怒の罪』……か。パッと聞いた所だと、ソレは『七つの大罪』の事だね」


    エレン「七つの……大罪?……何だソレ!?アルミンお前、詳しく知ってるのか!?」


    アルミン「お、落ち着いてよ、エレン。僕が知ってるのはあくまでも世間一般で知られている範囲の『七つの大罪』の事だし、ソレがスタンド能力と関係あるとは限らない。もしかして、ただのコジツケかも……」


    エレン「……!」


    アルミン「まぁ……ともかく一般の間で知られている『七つの大罪』ってのはカトリックで定められたモノで……」


    アルミン「この7つの欲望は確かに人が生きていくためには必要な物なんだ。
    だけど、ソレにどっぷり浸かってしまうと人としてダメになっちまうらしい」


    ミカサ「……酒とかタバコみたいなもの?」


    アルミン「ま、まぁ……言葉の端を捉えればそうだと言えなくもないね……規模的な意味で全然違うけど……」


    エレン「ふぅーん……ソレで?『七つの大罪』っていうぐらいだ。当然、『憤怒の罪』以外にも6つあるんだろ?」



    アルミン「あぁ、『憤怒の罪』の他に……


    『色欲の罪』


    『嫉妬の罪』


    『暴食の罪』


    『怠惰の罪』


    『強欲の罪』


    『高慢の罪』


    ……これら7つが、その原罪と呼ばれてる」
  12. 12 : : 2018/10/10(水) 22:54:43
    エレン「……確かに、どれか1つでも欠けてたら人間として不自然っつー感じだな……あり過ぎてもダメだけど」


    ミカサ「エレン……それじゃあ他に、そういう『七つの大罪』の名前を冠するスタンド使いは知らないの?」


    エレン「知らねぇよ……!俺も突然、父さんに憤怒の罪が云々って言われただけで、俺自身がソレだっていう自覚すらまだ無いんだ……!
    あの野郎、死に際にカッコつけたかっただけかもしれねぇぞ?勝手に変な名前付けて……」


    アルミン「いや……あのグリシャ先生に限ってソレは無いよ。
    何か伝えたい事があって……敢えて、引き継ぐ能力の事を『憤怒の罪』と呼んだんだ……
    多分、エレン以外にも他に『6人』……同じようなスタンド使いが、この世のどこかにいる……」


    エレン「……!」


    ミカサ「いるとして、ソイツらは味方なの……!?それとも敵なの!?」


    エレン「だから分かんねぇってんだろ……」ハァ…


    アルミン「そうだね……まだ、今の所は何も分からないよ……」
  13. 13 : : 2018/10/10(水) 23:15:02
    エレン「それから、父さんを殺しにやってきたゲネェラだが……ヤツは、こう言ってた」


    ーーーー


    ゲネェラ『オメェが、その『憤怒の罪』を息子に受け継がせちまったらよォォォーッ!俺の『仕事』の方がパーじゃねぇかよォォォーッ!』


    ゲネェラ『『憤怒の罪を抹殺せよ』っつーよォォォッ!!!せっかくの依頼がよォォォーッ!!!』


    ーーーー


    エレン「ヤツはあの時、『憤怒の罪』とは何かを知っている風だった」


    ミカサ「……というより、その口ぶり……『憤怒の罪を抹殺せよ』……!
    グリシャ先生が狙われたのは……何者かの依頼という事……?」


    エレン「あぁ、その可能性が高い」


    アルミン「……!」


    エレン「もちろん、ヤツには『復讐』という意図もあったのだろうが……体裁上では何者かに依頼された『仕事』として、俺の父さんは殺されたんだ。
    ゲネェラは自分との利害が一致したから、その仕事を引き受けた」


    ゴゴゴゴゴゴ…!!


    エレン「そして、俺の父さんが狙われた理由としては……それは父さんが『憤怒の罪』と呼ばれるスタンド使いだったからなんだろう。何故、それが狙われているのかは分からないがな……」


    アルミン「でも、待って……!『憤怒の罪』であるという事が狙われる理由なのだと言うなら……ソレを引き継いだ君は……!」


    ミカサ「……まさか」


    エレン「あぁ……俺は『憤怒の罪』を引き継いだ。それはつまり、次に狙われるのは俺という意味だ」


    ミカサ「……ッ!」ギリッ…!!
  14. 14 : : 2018/10/10(水) 23:18:38
    金銀の方は休みですか?
  15. 15 : : 2018/10/10(水) 23:34:51
    >>14
    「童貞に恋愛物書く資格はねぇんだよッ」……というのは建前で、本当は全く思いつかんからです。どう話広げていきゃいいんだろ……DTには思いつかないョ……!
    もっと言えば、今はこっちの方が書きたいからっつー……身勝手な理由です。


    ごめんなさい!一週間に一回くらいは更新できるようにしていきたいです……
  16. 16 : : 2018/10/10(水) 23:35:09
    エレン「それから、ヤツはこうも言ってた」


    ーーーー


    ゲネェラ『この素晴らしいスタンド能力を授けて下さった『あのお方』に示しが付かねぇじゃねえかよォォォッ!!!」』


    ーーーー


    アルミン「!?……能力を与えられた、だって!?そんな事が……!」


    ミカサ「……スタンド能力を何らかの形で与える事の出来る人間がいるという事……?」


    エレン「そうだ。その能力を与えたヤツこそが、憤怒の罪を殺すように頼んだ『依頼主』なんだろう……!」


    ゴゴゴゴゴゴ……!!


    アルミン「つまり、ゲネェラという男は雇われたシタッパ……!
    そして、ソレを依頼した『組織』は強大で……しかも、スタンド能力を与える事ができるというなら!……その内部は能力者だらけだ……!」



    エレン「恐らく、な……まだ確信ではないが。
    それで……今までの事を踏まえてここからが『本題』なんだが……」


    ミカサ「……?」


    アルミン「……」







    エレン「––––––ミカサ、アルミン……俺はこの街から出ていく」



    アルミカ「!?」
  17. 17 : : 2018/10/11(木) 22:06:08
    ミカサ「エレン!?今なんて……!」


    エレン「だから言った通りだ。俺は、この街から出て行かなくてはならない」


    アルミン「……本気なの?」


    エレン「あぁ……!」


    アルミン「……ッ」


    ミカサ「どうして!?この街から出ていくなんて……」


    エレン「……お前らも分かるだろ?さっきまで、喋ってた事がどういう事かよぉー……!」


    アルミン「……!」


    エレン「コレだけは……マジでヤバいんだよ。もはや、どうしようもない事だ……」


    エレン「ゲネェラに能力を与えたという『組織』は、何でか知らねぇが……『憤怒の罪』という力を付け狙っているらしい。
    俺もソレを父さんから『引き継いだ』……俺も狙われる……俺がこの街にいたらお前らに……皆に迷惑が掛かる」


    ミカサ「……ッ!」


    エレン「頼む……分かってくれ。俺の育ったリヴァンプルや、お前らを傷付けたくねェ……!
    きっと俺がこの街に留まったままだと、またあのゲネェラみたいなヤツらに狙われて……同じような事が起こる……!人も死んだ……!
    俺は、この街を守りたい」


    エレン「だから出ていく」


    ミカサ「……!」


    エレン「そもそも家が全焼しちまったからって、いつまでもアルミンの家に世話になってるワケにはいかねぇからな……」ハハッ…


    アルミン「そんな事……」


    ミカサ「……」
  18. 18 : : 2018/10/11(木) 22:21:08
    ミカサ「……えぇ。分かった、エレン……貴方の考えは」


    エレン「……そうか」


    ミカサ「とてもよく、ね」


    アルミン(ミカサ……)


    エレン「じゃあ……」スッ…


    ミカサ「……でも!」


    ガシッ


    エレン「……ッ!何だよ……」


    ミカサ「出ていくのなら、私も連れて行って。エレンを狙う奴らがいて、アナタがソレから逃げなくちゃいけないのなら……私がソイツらを倒す」



    エレン「ミカサ……」


    ミカサ「……」


    エレン「……奴らは恐らく、アルミンの推測通り『能力者だらけの組織』だ。
    俺と一緒に行ったら絶対にただじゃすまねぇ……!絶対にお前らは巻き込まねぇ、って決めたんだ。
    『憤怒の罪』は俺の問題だからな」


    ミカサ「でも……!」


    アルミン「……ミカサ」ポン


    ミカサ「……!」バッ…


    アルミン「落ち着いて……とりあえず、ここはエレンの意見を尊重しよう」コソッ…


    ミカサ「……アルミンがそう言うなら」ボソッ…


    パッ…


    エレン「……」
  19. 19 : : 2018/10/11(木) 22:32:39
    エレン「それに俺は逃げるんじゃない、逆だ。俺を狙ってやって来る『敵』がいるっつーなら……俺はソイツらを逆にブチのめして『情報』を聞き出す」


    エレン「『憤怒の罪』……『七つの大罪』……そして俺を狙ってる組織の目的は何なのか、ってな」


    アルミン(無茶だ……いくらエレンがスタンドを身に付けたから、って……そんなの……!)


    エレン「それで謎が分かって……俺を狙ってるっつー組織の『親玉』を倒して全部が終わったんなら……この街に戻ってくる。
    だから心配すんなよ」ニカッ


    ミカサ「エレン。でも……!」


    エレン「あーあー……!相変わらず心配性過ぎんだよ、オメェはよぉー……安心しろ、って。
    『マジにヤバい』っつー時は、お前らの事呼ぶからさ……だから大丈夫だ」


    ミカサ「……本当?」


    エレン「あぁ……!」


    アルミン(……いや、嘘だ。エレンはきっと意地でも僕らを危険な目に遭わせないつもりで……)
  20. 20 : : 2018/10/11(木) 22:42:52
    ミカサ(エレン……!)ギュッ…!!


    ミカサ「分かった……」


    エレン「……」


    ミカサ「エレンが、そこまで言うんだったら……信じる」


    エレン「ミカサ……!」


    アルミン「ハァ……!仕方ないな。エレンの家族であるミカサが、そう言うんだったら……僕も認めるよ、君がこの街から出て行くこと」


    エレン「アルミン……!……本当にありがとう」



    アルミン「その代わり、一つ条件」


    エレン「……何だよ?」


    ミカサ「無事に、この港街に帰ってきて。ただそれだけ」



    エレン「お前ら……!」


    アルミン「……」


    ミカサ「……」


    エレン「あぁ、約束するぜ」ニカッ
  21. 21 : : 2018/10/11(木) 22:51:49
    …………


    ミカサ「それで……この街から出て行くんだったら『寝泊まり』する所は?」


    エレン「は?」


    アルミン「『は?』じゃなくてさ。この街から出て行くんだったら当然、どこか別の場所に住むって事だろ?
    つまり『住む所』はどこ、って話だよ」


    エレン「あ、あぁ……『貸家』とかそういう話、か……」ニガワライ


    アルミン「って、エレン。その反応まさか……!」


    エレン「あは、あははは……!」


    ミカサ「考えてなかったのね……!この街から出て行くっていうのに……」


    エレン「いやぁ……うっかり、うっかり」


    ミカサ「うっかりで済ませられる話じゃない」ギロッ


    エレン「最後まで心配掛けて、本当すみません」ペコォ-ッ…

    エレン(とにかく『この街から出て行く』って事に頭がいっぱいで考えてなかったんだよ……)
  22. 22 : : 2018/10/11(木) 23:16:21
    アルミン「はぁーっ……まぁ、エレンの事だから、そんな気はしてたけどさァー……」


    エレン「クッ……!やっぱり俺ってそういうイメージかよ!?」


    アルミン「ともかくそれなら、まず君が住む為の『貸家』を探さなきゃね……他の町のどこかの……」


    ミカサ(……!)


    ミカサ「アルミン、それなら……」


    エレン「?」


    ミカサ「明日、私たちも一緒について行って……エレンの住む場所を探しに行こう」


    エレン「ちょっ……お前……何勝手に……!」バッ…!!


    アルミン「あぁ、それ良いんじゃない?」


    エレン「! アルミンまで……!あのなぁ……俺はもうガキじゃねぇんだから、自分の住む場所くらい一人で……!」


    アルミン「いやいや。そういう意味じゃなくてさ、『思い出づくり』だよ」


    エレン「思い出づくり……?」


    アルミン「ほら。君がこの街を出て行くんだったら、コレが君と過ごせる最後の機会だし……」


    エレン「だけど……!」


    アルミン「最近、3人でどっか他の所に遊びに行く事も無かったろ?観光ついでに、さ」


    ミカサ「それにエレン……一人で本当に部屋なんて選べるの?
    さっきもあんな調子だったし……」ジロォ-ッ…!!


    エレン(うっ……!言い返せねぇ……!)タラリ…!!



    エレン「……あ〜……!あ〜……!分かったよ」


    ミカサ「!」


    エレン「俺は暫く、この街に帰って来ないワケだし……
    俺だって、お前らと離れるのは寂しいよ!だから、その……『最後の思い出づくり』……だ」ボソッ…


    アルミン「良かった、決まりだね……それじゃあ明日、昼になる前にはここ出ようか。エレンの『部屋探し』。」


    ミカサ「えぇ」コクッ


    エレン(クソッ……だが、やっぱり『住む場所』をダチに手伝ってもらうだなんて恥ずかし過ぎんだろ……ガキじゃあるまいしよぉ〜!)
  23. 23 : : 2018/10/11(木) 23:56:22
    ミカサ「それから一人で暮らしていくんだったら『お金』が必要。仕事の事も考えなくちゃ」


    エレン「あぁ……確かにな。なるほど」ポン


    アルミン「君ねェー……ッ!」ハァ-…


    エレン「お、おい。そんなに怒るなよ!
    暫くは、父さんの残してくれた『遺産』があるんだからさ……さっきの葬式の時、こっそり叔父さんが教えてくれた」


    ミカサ「でも、だからって……」


    エレン「分かってるよ!ちゃんと考えてる、って……」


    アルミン「本当……?」


    エレン「あぁ、本当だよ!そうだな……スタンド能力使って『何でも屋』とかどうだ?
    普通のヤツに出来ない事も出来るしなぁー」ニコニコ


    ミカサ「エレン……」


    エレン「おっ、だろ?良い考えだろ?」


    ミカサ「違う。もっと真面目に考えて」ギロリ


    エレン「……あっ、はい……スミマセン……!」シュンッ…


    ミカサ「もう……」


    エレン(結構本気だったんだけどな……)ドンヨリ


    アルミン「あはは……」
  24. 24 : : 2018/10/12(金) 00:30:12
    ミカサ「……本当に大丈夫なの?エレン……これからアナタ一人だなんて……『狙われている』という事抜きにしても不安」


    エレン「……あ〜、もう……!さっきから……!うっせェな、オメェは!俺の母さんかよォォーッ!」ダァ-ッ!!



    ミカサ「……ううん、エレンのお母さんはカルラさん」


    エレン「!」


    エレン「……」


    ミカサ「そして、私たちの父さんはグリシャおじさん……いつまでも、いつまでも……」


    エレン「……!」


    アルミン「……」


    ミカサ「だけど私は貴方の家族。友達とか恋人でもないし、兄弟じゃないけど……それでもエレンと私は家族だよ」


    ミカサ「例え離れたとしても……それだけは忘れないで。
    あなたがこの街を出て行って……死んでしまったとしても……私は貴方の墓を建てないから」


    エレン「……!」


    ミカサ「だから死なないで。自分一人で苦しみを背負い込めばいいだなんて……絶対にそんな事考えないで」


    エレン(……ミカサ)


    エレン「……」グッ…!!



    エレン「……あぁ、分かったよ」


    ミカサ「えぇ」ニコ


    アルミン「……」



    エレン「さて……」スクッ…


    エレン「明日も早いし……俺、もう寝るわ。まだ6時だけどよぉ……本当、朝から……サツの取り調べで寝不足……!」フワ-ア…


    アルミン「あははっ、そうだね。ゆっくり休んで」クスッ


    エレン「飯もいいや。俺の夕飯、明日の朝の分って事でいいよ」スタスタ…


    ミカサ「えぇ、お休みなさい」


    エレン「おう、お休み……」フワ-ア…


    スタスタ…


    エレン「……」チラリ


    ミカサ「? どうかした?」


    エレン「いいや……別に。また明日な」


    エレン(……あぁ、アルミン。お前の言う通りだったな)スタスタ…



    バタン…




    エレン「一度失わないと、大切な物の有り難みは分からない、か……」ボソッ…
  25. 25 : : 2018/10/12(金) 21:16:50
    アルミン「……」


    ミカサ「……」


    アルミン「……さて、じゃあ僕たちは夕食にしようか。はい、食器運ぶの手伝って」


    ミカサ「……えぇ、アルミン」カチャッ…


    アルミン「今日は肉料理だよぉー」スタスタ…


    ミカサ「消費期限、過ぎてなかった?」カチャカチャ…


    アルミン「多分大丈夫。賞味期限なんて、だいたい日付にちょっぴり余裕持たせてるからね。
    ホントーにヤバいのは『5日』超えた辺り」


    ミカサ「……試した事あるの?」


    アルミン「子供の頃に謎の好奇心でね……アレが一番お腹壊した、うん。
    どーして小ちゃい時って好奇心が泉のように湧き出てくんだろうね。ナメクジに何分以上、シオ掛け続ければ完璧に消滅するかとか、さぁー……」ペラペラペラ…!!


    ミカサ「それは多分あなただけだと思う……」


    アルミン「え、本当?まぁ昔っから無駄な探究心ばっか持ってるって言われるけどさ。
    ……ちなみにナメクジは『8分50秒』で消滅した、跡形もなく」


    ミカサ「き、聞いてない」ヒキッ…


    アルミン「そう?まぁ、とにかくここ5日は買い物なんて行く暇なかったし……肉はしょうがないよ。
    期限切れ『4日』はまだまだ大丈夫だよ」


    ミカサ「そう、4日…………ってウソ、4日!?
    さっき5日が限界って言ってなかった!?」


    アルミン「いや……でも、まだ5日経ってないよ?5日経たなきゃ全然食べられる……データ第一!」


    ミカサ「誤差があるでしょ!」
  26. 26 : : 2018/10/12(金) 21:34:04
    ………


    カチャカチャカチャ…


    ミカサ(けっきょく肉料理……)モグモグ…


    アルミン「な?食べれるだろ?」モグモグ…


    ミカサ「ま、まぁ……うん」


    カチャカチャ…


    ミカサ「……ところで、アルミン」


    アルミン「んン〜……?」モグモグ…


    ミカサ「……私、本当にアルミンの家にいたままでいいのかな」


    アルミン「……う〜ん」モグモグ…


    ミカサ「エレンはリヴァンプルを出ると言った。だから私も……いつまでも泊めてもらうワケには……」


    アルミン「ん〜ん……!」モグモグ…


    ミカサ「……ねぇ!アルミン」


    アルミン「いや……僕は別に構わないけどさ君はそもそも、そんなつもりないだろ?」ニッ


    ミカサ「……!」

    ミカサ「どうして分かったの?」


    アルミン「家族じゃないにしてもさぁ〜……これでも10年近く友達付き合いしてきたんだから」


    ミカサ「……ふふっ」クスッ



    アルミン「ミカサ……エレンに付いて行くつもりなんだろ?」
  27. 27 : : 2018/10/12(金) 22:09:11
    ミカサ「……えぇ」コク


    アルミン「やっぱり……口ではエレンに賛成してても……あのミカサが、そう簡単に折れるはず無いと思ったよ。
    僕たち3人の中で一番頑固だもの」


    ミカサ「それはアルミンもでしょ?」


    アルミン「まぁね……多分、君と同じ考えだよ」


    ミカサ「……エレンがこの街じゃない何処かに住むと言うなら……私もその街に住んで彼を守るつもり」


    アルミン「守る、って……どうやって?見つかったら、きっとエレン怒るよ?」


    ミカサ「そ、それは……こっそり」


    アルミン「……ん?」


    ミカサ「だから……こ、こっそり……」


    アルミン「…プフッ」プルプル…!!


    ミカサ「なっ……!」カァッ…///


    アルミン「ミカサ……!『こっそり』って君……それは流石に……くくっ……!……無理があるだろ……くっ……!」プルプル…!!


    ミカサ「もう……///分かってる!分かってるから笑わないで!」


    アルミン「ご、ごめんごめん……つい……!」クククッ…!!


    ミカサ「……確かにこんなの馬鹿みたいだなんて分かってる」


    アルミン「……」


    ミカサ「でも、馬鹿みたいだけど……これしか思いつかないの、もう……
    エレンを狙っている能力者の組織だなんて……そんなの……」


    アルミン「……うん、ハッキリ言って無謀だ。そんな奴らに一人で闘うなんて……」


    ミカサ「……ッ!どうしたら……エレンを守れるの……?」グッ…!!
  28. 28 : : 2018/10/12(金) 23:17:10
    アルミン「……僕が考えてたのはさ、もっと別の事だよ」


    ミカサ「……別の方法……?エレンを守る……」


    アルミン「あぁ……えっとね、ミカサ。僕たちがいくらスタンド使いだからって……僕ら3人で、その『組織』とやらには敵わないと思うんだ」


    ミカサ「……!?そんな事ない。私は強い……アルミンだって!」


    アルミン「いいや、無理だよ。さっきエレンも言ってただろ?
    奴らには、スタンド能力を与える事が出来る人間がいる……
    ソイツがいる限り『組織』の戦力は無限だ……とても僕らじゃ敵わない」


    ミカサ「……ッ。じゃあ……どうするの……!?」


    アルミン「……ミカサ……君はさ、不思議に思わないかい?」


    ミカサ「……?何を?」


    アルミン「何人もの凶悪なスタンド使いを従えた『組織』があると言うのに……この街……いや、この地方一帯は平和過ぎるんだ」


    アルミン「本来なら、この能力者だらけの世界。グリシャ先生を殺したゲネェラみたいな男がしょっ中暴れ回っているはずなんだ……でも、この地方は平和そのもの……」


    ミカサ「でも……それは『悪意ある能力を無効化するスタンド』が、空に浮かんでいるからでしょ?」


    アルミン「だけど、その効能が弱まっている日もある。
    そういう都合の良い時に限って、奴らが黙っている訳がないんだ……何か理由があって奴らは好き勝手出来ない……
    ソレは何故だと思う……?」


    ミカサ「!……まさか」



    アルミン「そう。この地方には……スタンド能力を『犯罪』に使う人間に、対抗する人達がいるはずなんだ!」


    ミカサ「……!」



    ゴゴゴゴゴゴゴ……!!


    アルミン「まぁ……陳腐な言い方だが……『正義の味方』がいる。その『組織』に対抗出来るだけの力……スタンド能力を持った『もう一つの組織』!
    だから、この地方は平和なんだ……!」


    ミカサ「……警察?」


    アルミン「まさか。彼ら公的機関が、スタンド能力を使って大っぴらに活動してる訳はない……
    きっと一部の人間しか知らない組織だ」



    アルミン「『悪役(ヴィラン)』が暴れるのに対して『英雄(ヒーロー)』がいるのと同じように!
    この地方一帯にもいるはずなんだ……強大な悪の抑止力となっている……正義の味方が」


    ミカサ「!……エレンを、そのスタンド使い達の『仲間』に入れてもらえば……!」


    アルミン「あぁ、エレンを守ってくれるかもしれない……!
    逆に言えば、『憤怒の罪』を狙ってくる奴らから身を守る為には……その人達の『仲間』になる他、道は無い!」


    ミカサ「……!」


    ドドドドドドドド…!!


    アルミン「……でも、あまり期待しないでよね?『もしかしたら』そういう人達がいるかも……それくらいに考えていた方が良いよ。
    あくまでも、コレは僕の妄想の域を抜け出せていない……子供じみた『if』の話なんだから……」


    ーーーー


    …………
  29. 29 : : 2018/10/12(金) 23:43:25
    …………


    ーーーー



    同刻……イェーガー家・庭園



    ザッ…!!ザッ…!!ザッ…!!



    ……そこは先日のゲネェラとグリシャとの戦いですっかり燃え尽きてしまった、イェーガー家の庭園だった。


    庭木や芝生は全て灰となり……ソレが『白いカーペット』と化した、殺風景な景色がただそこにある。



    そんな、もはや何も無くなった……訪れる意味も無いはずの庭園に、大柄な男が『2人』……



    「……ふむ」ザッ…ザッ…!!


    「……コレは……すごい火力だったんだろうね……」ザッ…ザッ…!!



    月の光を受けて、歩いていた。



    一人は、金髪で短い髪をした……筋肉質で肩幅の広い、気の良さそうな男。



    もう一人は、黒い髪をしていて……大柄ではあるが、それよりも『ヒョロ長い』といった印象を与える、気弱そうな目元をした男だった。



    名はそれぞれ『ライナー・ブラウン』、『ベルトルト・フーバー』という。



    彼らは何かの目的があって、この灰と化した夜の庭に入り込んだらしい。
  30. 30 : : 2018/10/13(土) 00:17:47
    ライナー「……ここで、グリシャ・イェーガーとゲネェラ・ルーザスが死んだ、か……」ザッ


    ベルトルト「……あぁ。その事件が起こったのは5日前。
    『突然、グリシャの家を訪れて来たゲネェラという名の男(本職不明)。彼らは久し振りに再開し、何か揉め合いになった。そして、その末にライターの火が庭の草木に燃え移り……二人とも焼死』……ここまでが今朝の新聞の記事だね」


    ライナー「記事と言うよりかは『シナリオ』だろ。
    いや……その文面だけを見れば、確かに何ら不自然な所は無い……地方の新聞の隅にでも普通に載ってそうなありふれた事件だ」


    ベルトルト「だけど、ここ数日……僕たちが『聞き込み』をして……そして実際にこの『現場』に来たら状況は変わった。
    この事件は何か奇妙だ」


    ゴゴゴゴゴゴ……!!


    ライナー「……まず、見せてもらったグリシャとゲネェラの死体……まるで『何者かにボコボコに殴られたかのような跡』があった……!
    いや、もはや『何者か』というより化け物にタコ殴りにされたような凄まじい負傷だ……グリシャに至っては土手っ腹に穴まで空いていた」


    ベルトルト「だけど彼らの死因はあくまでも『焼死』という事……そこが奇妙だ。
    確かに火傷の跡はあったけどソレは、ほんの僅かだ。
    火事に襲われたというよりも……『凄まじいパワーで攻撃された負傷跡』……!
    こっちの方が、どう考えても直接の『死因』だ。
    それなのに何故か死因は『焼死』……」


    ライナー「……そういや、この火事も誰かが消火して収まったわけじゃないんだろ?」


    ベルトルト「うん。この近所に盲目の女の子がいて……その子が呼んで来た母親に聞いてみたら、こう言った。
    『火事は一人でに消えたんです……雨も降ってた訳じゃないのに。まるで魔法みたいに』……ってね。
    そして調べてみても……その日の、リヴァンプルの火災件数は『0件』だった……つまり、この街の消防機関が駆けつける事なく、この炎は消えたんだ」


    ライナー「……『一人でに消えた炎』と『化け物に襲われたかのような傷跡の死体』……!」



    ライナー「コレは、もはやここに『スタンド能力』の存在が無かったと考える方が不自然だな」


    ゴゴゴゴゴゴゴ……!!


    ベルトルト「……あぁ」コクリ
  31. 31 : : 2018/10/13(土) 01:04:07
    ライナー「……それで?警察の取り調べを受けた、っつー……死んだグリシャの息子……『エレン・イェーガー』は何て言ってんだ?」


    ベルトルト「さっき僕が喋った内容と同じだよ……彼は『自分の父とゲネェラは焼死した』と……そう答えたんだ」


    ライナー「……へぇー。ソイツぁ胡散くせぇなぁ……!」


    ベルトルト「……!まさか彼を疑ってるの!?」バッ!!


    ライナー「まぁな。とは言っても、その可能性が『ある』ってだけだ……!この事件の真相として考えられる可能性は2つ。

    1つ目は、エレン・イェーガー……コイツ『のみ』がスタンド使いで……何らかの理由があって2人の男を殺した。自らの能力を使ってな。

    そして2つ目。当事者である……ゲネェラとグリシャ。コイツら2人がスタンド使いで、お互いに『殺し合い』をし……そして2人ともくたばった。


    ま、いずれにせよ『スタンド』とか不思議な力が絡んでるのは確定事項だ。
    そうなっちまったらよォ……ここで、この事件から引き下がる訳にはいかなくなったって事だ。
    『不思議な事件』が起きちまったら……そうなれば俺たちの組織……『ライデンシャフト』の管轄だからなぁ……!」


    ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……!!


    ベルトルト「で、でも……例えエレン・イェーガーが『スタンド使い』だとして……!
    警察に『2人の死因は焼死だ』と嘘をついてたしても、彼が犯人だとは限らない!」


    ライナー「あぁ、確かにな……何せ、警察だとか一般人には『スタンド能力』だなんて認識できない訳だからな。
    『超能力で2人は死にました』と正直に言ったところで警察は信じないだろう」


    ベルトルト「だったら……」


    ライナー「だが、しかしだ。エレンが『クロ』だという可能性も捨てきれない。
    どんなスタンドかは知らんが……その能力を使えば、2人が勝手に争って死んだかのように見せる事も出来るかもしれないんだからな」


    ベルトルト「はぁ……!まぁね。分かってたよ……結局、今回もやるしかないのか……こんな非効率な……!」スッ…!!


    ライナー「まぁまぁ。良いじゃねぇか、別に。こんな田舎の港街に来て……それが無駄足じゃなかったんだ。
    やり甲斐のある仕事が見つかった、って事だ」


    ベルトルト「あぁ、分かってるよ」


    ライナー「それに、この仕事が終わったら俺たちの本拠地、『ディレスデン』に帰って3日振りのクリスタの温もりに触れられるんだ。
    そう考えるとやる気が湧いてくるだろう?」


    ベルトルト「……君って本当、いつもソレだよなぁ」ハァ…


    ライナー「お?何だ、その溜息は!愛する者をいつも胸の中に思い浮かべ任務に望む事は大事だぜ?
    何せ『何がなんでも生き延びてやるッ!』って気持ちになるからな!」ガハハッ!!


    ベルトルト「……!そんなセリフ……死んでもユミルの前で言わないようにね?」


    ライナー「……当たり前だろ、恐ろしい。お前と2人きりの時だけだ……こんなアホらしい事言うのは……!」ブルルッ…!!


    ベルトルト「……そう。なら良いんだ……ともかく目の前の仕事だよ」


    ライナー「そうだ!仕事、仕事……!」



    ライナー「……ゴホン!……何にせよ、この事件の『真相』について知っているのは『生き残った者』……すなわちエレン・イェーガーしかいねぇ……!
    つまり俺たちは明日、彼に『接触』をしなくてはならない」


    ライナー「しかし彼が『凶悪なスタンド使い』だという可能性も十分にある……そうなると生半可な『接触』ではこっちが危険だ。だから少々、手荒かもしれんが仕方ない……!」


    ゴゴゴゴゴゴ……!!


    ライナー「俺たちは明日ッ!エレン・イェーガーを『再起不能』にした上で接触を試みる!手心は一切加えない……『疑わしきは敵だと思え』!
    ……それが俺たちの組織、『ライデンシャフト』の掟だ!」ドン!!



    ーーーー


    …………
  32. 32 : : 2018/10/13(土) 09:39:49
    …………


    ーーーー



    翌日……



    ガタンゴドン…


    ミカサ「……」


    ガタンゴトン…


    アルミン「……」


    シュボォォォォ-ッ…!!


    エレン「Zzz……!ムニャ……」グ-スカ


    ガタンゴトン…!!


    アルミン「はぁ……朝もギリギリまで寝てたくせに……汽車ん中でもかよ」


    ミカサ「相当、疲れていたのね……」


    アルミン「あぁ、でもそろそろだ」


    ミカサ「えぇ……」スッ…


    エレン「……Zzz!!」グカ-ッ…!!


    ミカサ「エレン、エレン」ユサユサ…!!


    エレン「んあ……!?」パチッ…


    ミカサ「起きて」


    エレン「……?……あぁ、そうか……俺……汽車に乗って『部屋探し』……行ってるんだった」ウトウト…


    ガタンゴドン…ガダンゴドン…!!


    エレン「……!」パチクリ…

    エレン「ふわーあ……!よく寝た……」ノビ-


    ミカサ「そろそろ到着する……目的地に」


    エレン「あぁ……そうみてぇだな。俺が寝てから何分くらい?
    結構、景色が変わってるっつーか……内陸の方に来んのは久々だかんなー」チラッ…


    エレンが車窓の方に目を向ける……


    周囲はそびえ立つ山々に囲まれていて、その谷間を線路が走っているようだ。


    その景色は、普段港街に住んでいる彼らにとっては少し新鮮なモノだった。


    ゴトンゴトン…!!シュポォ-ッ…!!


    エレン「……何かすっげぇ遠くに来ちまったみたいな感じだな」
  33. 33 : : 2018/10/13(土) 10:00:13
    アルミン「そうでもないよ。君が寝てから、まだ一時間半しか経ってない……って、90分も寝てれば十分か。
    はい、リヴァンプルの駅で買ってきたクッキー食べる?」カサッ


    エレン「おう……って、あァーーッ!?」


    ミカサ「? どうかした?クッキー好きでしょ?」


    エレン「あぁ、大好きだよクッキーはなぁーッ。でもどうして、あと2個しかないんだよ!3人で平等に分けて食おうって言ったじゃねぇーかよ、お前らッ!」


    アルミン「でもエレン……クッキーいる?って聞いても黙ってたし」


    エレン「寝てたからだよ!クッソ、俺まだ1つも食べてねぇのによぉー……!」ガックシ…


    ミカサ「だって、そのまま食べないで荷物になったら嵩張るし……邪魔くさいじゃない」


    「……ニャオ」スッ…


    エレン「邪魔クセェってお前……そんくらい、すぐ食うよ……好きだしな。
    バクバクと……それくらいの個数ならよォー……」ブツブツ…


    アルミン「はいはい、分かったから……クッキーの何個かでそんなに拗ねるなよ。
    はい、どうぞ」カサッ…


    エレン「ん……」スッ…



    「ニャ-…!!」バッ


    エレン(……猫?うおわっ。飛びついてくんぞコイツ……!)


    パシィッ!!


    エレン(……!?クッキー取られた!)


    猫「にゃお」ストッ


    アルミン「! うわ、ビックリした……」


    ミカサ「……!」


    エレン「ク、クッキー返せッ!」

    エレン(……つーか、それよりだ。どうして猫が『汽車』の中にいるんだ……?)


    猫「ニャ-」フリフリ…
  34. 34 : : 2018/10/13(土) 10:53:52
    「おーい!そこのお前ーッ、大丈夫かァー!」

    「……」


    タッ…!!


    エレン「ん?」クルッ…


    車両の前の席の方から、2人の大柄な男がエレンの元に駆け寄ってくる。


    一人は『金髪』で、もう一人は『黒い髪』……


    そう。昨日の晩、イェーガー家の燃え尽きた庭跡に立ち入っていたライナー・ブラウンとベルトルト・フーバーである。


    ライナー「はぁ……はぁ……!すまねぇな。俺がちょっと目ェ離した隙に」ハァ…ハァ…!!


    ベルトルト「……」


    エレン「……この猫、アンタらのか?」


    猫「ニャ-」


    ライナー「……!」


    エレン「……おい?」フリフリ…


    ライナー「……あ、あぁ!すまない。ボーっとしてた」


    エレン「アンタから話しかけて来たんじゃないか」


    ライナー「ハハハ……ワリィって。そんで、まぁ……その猫は俺ののようなモンだ」


    アルミン(ような……?)

    アルミン「どうして猫なんか汽車に?
    いえ、別にそういうルールも無いし、可愛いですけど……ただ、あまり普通じゃないでしょ。汽車に猫乗せるだなんて」


    ベルトルト「あぁ……それはね、実は僕らこの猫の飼い主って訳でもなくて」


    ミカサ「?」


    ライナー「駅のホームで偶々見かけてな。人懐っこくて可愛いから、途中でつまもうと思って買った『ササミ』あげちまったんだ。
    そしたら懐かれてよォー……汽車の空いた窓から俺たちと一緒に入り込んで来やがった」


    アルミン「微笑ましいですね。猫も汽車を使ってお出掛けなんてするんだ、無賃乗車。
    ノラ猫ですか?」


    ライナー「首輪がついてねぇから多分そうだ。
    オマケに人間様の食いモンを遠慮なくガツガツ奪って行くんだから、大した度胸なのか、俺らの事ナメきってんのかのどっちかだな」


    エレン「ははっ……違いねぇな」クスッ
  35. 35 : : 2018/10/13(土) 11:11:39
    ライナー「待ってろよ、このクソ猫。今、アンタから奪った『クッキーの袋』取り返してやっからな」グッ…!!


    エレン「あぁ、それなら別にもう良いよ。猫のかじった後のクッキーなんて食いたくねぇし」


    ライナー「おぉ?そうか?」ピタッ…


    アルミン「それより、君たちはどこ行くの?」


    ライナー「あっ、あ〜……!う〜む……質問を全く同じく返して悪いんだが、お前たちはどこに行くんだ?」


    アルミン「? 別に構いませんけど……」


    ミカサ「私たちは『モーリス』の町に行くところ」


    ベルトルト「モーリス?僕たちもそこ行くんだよ、奇遇だなぁ」


    アルミン「! へぇ、本当ですね」ニコッ



    『モーリス』の町……


    エレン達の住む港街『リヴァンプル』から南下し……内陸の山岳地帯の斜面にある町。


    あまり近代化が進んでおらず、伝統的な『木組みの家』が連なる町並みの、小さな田舎である。


    なぜ彼ら3人が、この町にエレンの『貸家』を探しに来たのかというと……


    それは目立たないからである。


    エレンは『憤怒の罪』を受け継いだ身として、謎のスタンド使い達の『組織』に狙われる運命に陥った。


    それならば人が少なくて、自分がいても被害が出にくい『田舎町』に住もうという所に意見が落ち着いたのだ。
  36. 36 : : 2018/10/13(土) 11:26:19
    ミカサ「それより……あなた達の猫、逃げて行くけど……追いかけなくていいの?」ユビサシ


    猫「ニャ-ッ」トテトテトテ…!!


    ライナー「あッ、本当だぜ!待ちやがれッ……ほら、行くぞベルトルト」


    ベルトルト「う、うん」


    ダッ…!!


    2人は車両の更に奥へと、猫を追いかけて走り去って行った……


    エレン「……」ジィ-ッ…

    エレン(あの猫……)


    アルミン「……それにしてもノラ猫なのに、人間に物怖じしない……何というか図太い猫だったね」ハハッ…


    ミカサ「でも、可愛かった……」ウットリ


    アルミン「えぇ……!?君ってそーゆー……動物とか愛でちゃうヤツだったっけ?
    イメージ違うなぁ……」


    ミカサ「えぇ、だって……あのキッとした愛想の悪い目付き……エレンみたいで可愛いもの」ポッ


    アルミン(結局そこに落ち着くのか)ガクッ


    ミカサ「猫に限らず可愛いモノは何でも好き……あの柔らかそうな肉球……プニプニしたかった。
    きっとアルミンの頰みたいに……!」


    アルミン「分かった!分かったから汽車で恥ずかしい事言わないでッ!///」


    ミカサ「? 私は何も恥ずかしくないけれど」


    アルミン(はぁー……ま、何だかんだとミカサも乙女って事だよな。
    猫を好きだ、って理由に僕ら2人をねじ込むのは何か違う気がするけど……)



    エレン「……!」ジィ-ッ…!!


    ミカサ「……そういえばエレン……さっきから何を見つめているの?
    さっきの2人の背中見て……ゴミでも付いてたの?」


    エレン「いや、別に……」クルッ…



    エレン「ただデカい兄ちゃん達だったなぁ、って……そう思ってただけだ」


    ミカサ「? そう」
  37. 37 : : 2018/10/13(土) 11:56:59
    ーーーー



    ゴドン…ゴドン……ゴドドン……!!シュポォ-ッ…



    彼ら2人は、汽車の一番端……つまり乗り込む為の扉を開けて外に出た、乗り込み部分の足場に立っていた。



    ライナーは落下防止の柵に腰をかけ、ベルトルトはソレに向かい合うように扉を塞いでいる。


    シュポォーッ……!と汽笛が鳴る度に、煙が彼らの真上にある青空をすすけさせて流れ去る。


    ライナー「ふぅ……一芝居完了、っと」


    ベルトルト「ね、ねぇライナー……いくら彼らに聞かれてはいけないからって……こんな狭い所、危ないよ……僕たちただでさえデカいんだから。
    落っこちちゃうよ……!時速70kmだよ?」


    ライナー「……」


    ゴトン……ゴトンゴドン!!


    ライナー「……はあァ〜〜……ッ」スクッ…


    ライナー「ベルトルト、お前なぁ……臆病過ぎんだよ、いっつもいっつも……ちょっと汽車の外に出たらソレか?
    俺たちが、いつもこなしてる任務に比べちゃそれくらい……って、いや。ただの子供でさえ怖がらねぇよ、こんな事」


    ベルトルト「で、でもさァ〜……例え『0.001%』でも減らして置くべきだと思うんだよ……回避できるリスクはさ」オドオド…


    ライナー「……ま、お前のその病的過ぎるくらいに慎重な性格は俺も頼りにしてるんだがな……」


    猫「ニャ-…!!」



    彼ら2人が追いかけていた『子猫』……子猫は、先程とは打って変わって大人しく、ライナーの足元にチョコンと座っているだけだった。


    猫の口元には未だエレンから奪った『クッキーの袋』が咥えられたままで、封が開かれておらず、一口も食べていなかった。


    いや、そもそも『食べる』必要は無いのだ。



    ライナー「さて……」



    何故なら……!



    ライナー「俺の猫……いや、俺の『スタンド』が見えていたという事は……ヤツら3人とも全員スタンド使いだ……!
    それは明らかだ」


    ゴゴゴゴゴ…!!


    ベルトルト「……そうだね」コクッ…


    猫「ニャ-…」
  38. 38 : : 2018/10/13(土) 12:34:17
    ベルトルト「でも……彼らは本当に『凶悪なスタンド使い』なのか?ただの子供って感じ……
    調べてみても、あの港街の学校に通うごく普通の高校生って事しか分からなかったしね。
    3人とも17歳……」


    ライナー「『普通』は装えるからな。公共の場で如何にも悪者ッ!……って感じの事はしねぇだろうが。
    いや……俺たちが普段相手してる組織……『ティッフェローネ』のプッツン野郎達は例外だがな」


    ベルトルト「アイツらは……ね。平気で子供にヤク流すし、ついでに自分にも打つようなヤツらだから……そりゃそうなんだろうけどさ。
    使う『スタンド能力』も気色悪いし」


    ゴトン…ゴトン….!!


    猫「ニャ-ッ…!!」スリスリスリ…!!


    ライナー「おっと、そうだった……お前の事を忘れてたな」スッ…


    猫「ニャッ!!」ゾッ…!!


    ライナーが、擦り寄ってくる自身のスタンドに手をかざす。すると……


    猫「ニャ…ウニャ…」ゾワワァ-ッ…!!


    その触り心地の良さそうな、茶や白の混じった毛並みは、銀色のツルツルとした無機質な質感に変化していき……


    サァ-ッ…!!


    目からは生物特有の瞳の輝きが消え、テカテカとした『鉄の猫』のような姿となった。


    鉄猫『にゃおん』
  39. 39 : : 2018/10/13(土) 12:39:00
    ベルトルト「……それで、彼らにはどう接触しようか?」


    ライナー「……俺のスタンドは『猫』のヴィジョンをしている。しかも皮膚の質感や模様を自由に変えられる……
    つまり『尾行』だ」


    ベルトルト「!」


    ライナー「俺のスタンドを使ってイェーガー達を尾行し、そして人気の無くなった所で攻撃を仕掛ける。
    例え、ヤツらに俺のスタンドが見つかったとしても『ただの猫』。何て事はない……どこにでもいるような猫の姿にカモフラージュしてる。怪しまれる事はないだろう」


    ベルトルト「なるほど……賛成だよ」


    ライナー「……よぉ〜し、よしよし」ナデナデ…


    鉄猫『ニャ-…ゴロゴロ…!!』


    ライナーが鉄猫の喉を撫でてやると、ソイツは気持ち良さそうに唸る。


    鉄猫『ニャ…ニャニャ…!!』ピシッ…ピシピシッ…!!


    しかし、その内に奇妙な事が起こった。


    撫でられた鉄猫の顔が『ジグソーパズルのピース』のようにゾワゾワとヒビ割れてきている。


    ピシ…ピシピシ…!!


    そして、その亀裂は徐々に首から下へと広がっていき……


    鉄猫『ニャ…!!』バラァッ!


    亀裂が完璧に分裂し、鉄猫は一つ一つの細かい、『鉄で出来たジグソーパズルのピース』のようになって散らばった。


    バラバラバラ…!!


    そして……


    ピトピトピト…!!


    『鉄のピース』は、床と全く同じ質感と模様に化け、同化した。


    ライナー「行け、エレン・イェーガー達を追跡しろ」


    『にゃー……っ!』


    ビュンッ…!!



    床から猫の甘い声がして……ソレは地面を波打つように、汽車の中に入っていった。
  40. 40 : : 2018/10/13(土) 12:54:33
    ぽさっ……!


    ライナー「……」ヒョイ


    ライナーは、鉄猫のさっきまで咥えていた『クッキーの袋』をつまみ、そうして中身を口に放った。


    ライナー「んっ、美味い!これアイツらの街で造ってるクッキーか?見た事ねぇや。
    ……ま、クリスタの焼いてくれた菓子の方が美味いがな」サクッ…サクッ…!!


    ベルトルト「またその話か……その押しの強さを1/10でも彼女の前で発揮すれば、何か変わるかもしれないのに」


    ライナー「んなもん、ユミルがいるのに無理に決まってんだろ。あー、おっかねぇ」


    ベルトルト(だよねー……)


    ライナー「それはともかくとして他の奴らにも何か土産買ってくりゃ良かったな……
    せっかく、リヴァンプルにまで調査に来たってのによぉー」


    ベルトルト「……あ、でも『モーリス』には確かサシャとコニーが今、仕事に来てるんじゃなかった……?
    もしかしたら途中で会うかも……」


    ライナー「そういや、そうだったな。2人にも俺たちのを手伝って欲しい所だが……まぁ、その必要はないだろう」


    ライナー「グリシャとゲネェラについての『真相』は俺たちだけでエレン・イェーガーから聞き出す。
    頼んだぜ、相棒」


    ベルトルト「こちらこそ」ニッ



    ゴトン……ゴトンゴトン……!!



    ーーーー


    …………
  41. 41 : : 2018/10/13(土) 19:15:18
    …………


    ーーーー



    『モーリス』の町––––到着


    プシュゥ-…!!



    エレン「おぉっ!」タッタッ…!!


    ミカサ「……」


    エレン「レンガ造りの通路に、建ち並ぶ木組みの家……おとぎ話みてぇな町だな!」


    アルミン「風光明媚だねぇ。山に囲まれて人も少ない」ホンワカ


    エレン「なぁ、まずどこ行く?そこの小高い丘に展望台があるっつーから行ってみようぜ!」ワクワク…!!


    ミカサ「ダメ。今日はエレンの貸家を探しに来たんだから」ガシッ


    エレン「はぁッ!?せっかく来たんだぜ?お前らは、もう殆ど来ねぇかもなんだから遊んどけよ!」


    ミカサ「『不動産屋』行って、目星が付いてから」


    エレン「……オメェって昔っからそういうところあるよな」シラァ-ッ


    アルミン「あはは……!まぁミカサの言う事は正しいし……終わったら観光にしようよ?」


    エレン「……へいへい。分かったよ」


    スタスタ…!!






    ライナー「……」コッソリ

    ライナー「……行ったな」


    ベルトルト「うん……」


    ライナー「よし……尾けろ」


    鉄猫『ニャ-…!!』タッ…!!
  42. 42 : : 2018/10/13(土) 19:45:53
    ーーーー



    不動産屋



    担当さん「––––っとおォ……それでは本日はリヴァンプルの方から?大変だったでしょう、ワザワザ遠くから!港街だから山の中にある町って新鮮でしょォ?何より毎日美味しい山菜がすぐ食えるのがいい、金にモノ言わせて産品集めてる都会の市場ってのは『新鮮!新鮮!』と叫んでいてやがるけど、どう考えても産地で獲れたてのを食べるのには敵わん訳ですからねェェーッ。リヴァンプルの魚料理も新鮮で美味しいでしょう?でも今日は是非、ここの直産料理食べてって下さいな。私もそれに惚れ込んでワザワザ都会から越して来た口ですからねぇ。というか、もしかしたらあなた方もそうでしょう?でもそれだけで住む場所決めるってのは如何なモンですかねぇーっ、て感じもしますけどまぁせっかくのお客さんなので何も言いますまい。ようこそようこそ『モーリス』の町へ〜……あ、申し遅れましたけどワタクシ、こういう名前のものでペチャクチャ––––」ペラペラペラペラペラペラ…!!


    アルミン「は、はぁ……」ニガワライ…


    エレン(は、話がナゲェ……!)


    ミカサ「……」ドヨン…!!



    担当「……ですから部屋選びというのは人生を決めるのにも等しい事でして、それを本日はワタクシが云々……あ、それより今お茶が入りましたよ。はい。どーぞ、どーぞ、どーぞォ……」ニコニコ


    アルミン「ど、どうも」コトッ…


    ミカサ「ありがとうございます」ズズッ…!!


    エレン(……アッチ!)カタン…!!
  43. 43 : : 2018/10/13(土) 20:23:48
    担当「それで本日はどのような部屋をお探しで?」ニコニコ


    エレン「あぁー……えっと。そうっすねェー……!」


    エレン(俺はあくまでも組織から狙われている身だからな……)


    エレン「あまり人の寄り付かない……人通りの少ない所ってありますかね?」


    担当「人の寄り付かない……?」


    エレン「はい、なるべく来ない方が良いです。
    近所に家とかもなくて……」


    担当「う〜ん……そういう所、あるにはありますけどねェ〜……お客さん、どういう意味です?」


    エレン「えっ?何が」


    担当「まさか、そんなジメジメした所に住んで……何か変な事考えてるんじゃあないでしょーねぇー……国家転覆とか……!」ジロッ…!!


    エレン「ま、まさか!そんな事……な、なぁアルミン!」アセアセ


    アルミン「え、えぇ。そうですよ!彼はそんな事考えてませんよ……!」アセアセ


    担当「ふぅ〜ん……じゃあ何の為にィ?」ジロジロ…


    エレン「うぐっ……!」

    エレン(い、言えねぇ!『俺を狙っている超能力者の組織がいて……ソイツらと戦う事になった時、周りに人がいない方が被害が出ないから』だなんて……絶対に言えねぇ!)


    アルミン(言えたとしても、頭のおかしな自由人の戯言だと決めつけられるのがオチだ!
    絶対に貸してくれないぞ、そんな奴に!)


    担当「どうなんですかねェー……ウチとしては『信頼第一』でやってますので、血生臭い事をして汚さないで欲しいんですがねぇー」


    エレン(そして『血生臭い事』にならないとも断言出来ねぇッ!)


    担当「そうなれば敷金とかも関係ありませんよォォ〜〜〜?」


    エレン「え、えーとっスねぇー……!」


    ゴゴゴゴ…!!


    ミカサ「あの……」スッ…


    エレン(ミカサ!?)バッ!!


    担当「んン〜?」


    ミカサ「彼が、そういう人気のない静かな所で暮らさなくちゃいけないのは理由があるんです」


    エレアル(ミカサァァァ!)パァ…!!
  44. 44 : : 2018/10/13(土) 20:45:08
    ミカサ「その……彼、少し『心』の方が弱くて……あまり人目につく所で暮らしたくないんですよ」


    エレン(え?)


    アルミン(え?)


    担当「はぁ……極度の人見知り、と?」


    ミカサ「はい、このモーリスの町に越すのもその為です。静かな所でひっそりと暮らして……それで徐々に人付き合いを始めていこう、と。そういう事です」


    担当「それはそれは……」


    エレン(おいテメェ、ミカサ!何て事言ってくれたんだよ!)


    アルミン(う、う〜ん……でも一応は同情を買えたワケだし……)


    担当「すみません……私ときたら、何も知らずに……人の心の領域にズカズカと……」シュンッ


    エレン「あ、いやいや!だからってそんなに卑屈にならなくても……!」

    エレン(アイツめ、人を陥れるような事を……!)チラッ…


    ミカサ「……!」グッb


    エレン(いや、何も『グッb』じゃねぇから!確かに誤魔化す事できたから、文句は言えねぇけどさァ!)


    担当「そうだ。最近、この町に美人なカウンセラーの先生が越して来たんですよ」


    エレン「へ、へぇ。じゃあ気が向いたら、行ってみますよ。あはは……!」

    エレン(ほら見ろ!?何かスッゲー気ィ使われてるッ!)
  45. 45 : : 2018/10/13(土) 21:23:31
    担当「えぇーっと……人通りがなるべく少ない所、と」カキカキ


    担当「他に何か希望は?」


    エレン「そうですね……なるべく広い方が良いですけど、何だったら一番狭い部屋でも構いません」


    担当「なるほど、なるほど……」カキカキ


    エレン「……と、まぁだいたいコレくらいの条件満たしてれば大丈夫ですよ」


    担当「ん〜ん……!」


    エレン「? どうしました?」


    担当「『条件を満たしてれば』ってですねぇ、お客様。
    『人通りの少ない、町の中心から離れた所にある小さな貸家』だなんて……条件どころか、質素過ぎますよ?」


    エレン「その、あんまり余裕ないんで……コッチの方が……」ニガワライ


    担当「あっ……あぁ〜〜!そ、そういう事でしたか、失礼しましたァ〜〜〜……すみません、私ときたら、さっきからお客様に……」


    エレン「い、いえ」

    エレン(俺の方からすれば、金に全く余裕がねぇワケだからなァ〜……!なるべく出費は抑えてぇんだよ……例えボロ部屋でも……!)


    担当「それで……家賃は何円くらいから、ご希望ですゥゥ〜……?」


    エレン「あっ、えっと……それは……」ギクッ…


    エレン(ア、アルミン、ミカサ〜……!お前たちの方から言ってくれぇ〜〜……!)チラッ…


    アルミカ「……!」プイッ…


    エレン(テ、テメェらぁぁぁ……!せっかく付いて来てくれたのによォー!こういう時の為なんじゃねぇのかぁぁぁ……!?)ギリギリ…!!


    アルミン(い、いや。だってあの値段は……!)


    ミカサ(エレンが住むわけだから……エレンが言うべきだと思う。うん……)


    担当「? 何円からですかァ?コレくらい条件に拘らないと結構見つかると思いますが」


    エレン「え、えっと……それは……!」


    担当「?」


    エレン「い……『一万円』から……とか」


    ※世界観が変になるけど、便宜上『円』表示にさせていただきます。


    担当「……あのォ〜……すみませんン〜。もう一度、お伺いしても?」


    エレン「で、ですから一万円……」


    担当「はぁ……一万円……!」


    エレン「……」ドキドキドキ…


    アルミン「……!」


    ミカサ「……」ドキドキ…!!


    担当「ふぅむ……」ペラッ



    エレン(だ、駄目かああァァァ……!?)ドキドキドキ…!!


















    担当「……山に小屋でも建てて暮らしては如何ですか?」



    エレン(やっぱり駄目だったああァァァ!!!)
  46. 46 : : 2018/10/13(土) 21:48:59
    エレン「で、ですよね!やっぱり、そんな……いくら質素だからって月『一万円』だなんて!
    そんな貸家あるわけないですよねぇー……!」


    アルミン(……流石に駄目だったか)


    ミカサ(……でも雑用仕事しか出来ない子供だと、払えるのはコレくらいが限界……!)


    担当「あのォ〜……失礼ですけど、お客さん……パッと見たところ、まだ学生さんくらいの年齢ですよねェ〜?」


    エレン「は、はい」


    担当「ふむ……この歳で苦労して『貸家』を探して……!何かあったのでしょうが聞きますまい。
    た・だ……!」チョイチョイ


    エレン「?」

    エレン(顔そっちに近づけろ、って事か?)


    ズイッ


    担当「おほん……良いですか?」ヒソヒソ…


    エレン「? は、はい……」

    エレン(……どうしたんだ?)


    担当「ここだけの話ですねェェ〜〜……!お客様だけに!特別な物件を紹介したいんですよォォ〜〜……!」ヒソヒソヒソ

    エレン「!」


    アルミン(ん……)ピク


    エレン「!? そ、それはどんな……?」


    担当「シィッ……!声が大きいですよ……!
    そして、その物件というのはですねェー……お客様の提示した条件で何と『一万円』ポッキリ!」ヒソヒソ…

    エレン「!?」


    ミカサ(これは……)


    担当「あと何軒か残ってるんですよ……!今から見に行きますか?ここだけの話……ッ」


    アルミン「あ、あのね?……エレン、これは」ヒソッ

    エレン「行きます!」ガタッ


    アルミン(えぇ〜……気付いてないよ、この人。どう考えてもアッチ方面の関連で胡散臭いでしょ)


    担当「そーですか、そうですか!
    それなら話は早いですね!さぁ!早速行きましょう」ニコニコ


    エレン「はい!……ほら、お前らも行くぞ!?何でそんな青白い顔してんだよ?」キョトン


    アルミン「だ、だからね?エレン……」


    ミカサ「いや、アルミン。まだそうだと決まったわけじゃ……」


    エレン「?」
  47. 47 : : 2018/10/16(火) 18:59:18
    ーーーー

    ザッ…!!


    担当「さぁ……着きましたよォ。町中から離れて更に静かでしょう?」


    エレン「おぉーッ!この建物、丸々一軒全部借りれるんですか?」


    担当「勿論ですとも。家賃は月8500円……」ニコリ


    エレン「マ、マジすかッ!?俺こんな特別な待遇してもらっていいのかなァァ〜?」ジィィ-ン…!!


    アルミン「ん……これは」


    ミカサ「あ、あれ?思ってたより普通……」


    アルミン(もっとおどろおどろしい如何にもな物件だと思ったんだけどな……)


    担当「さぁさ、中へどうぞ」スッ


    ガチャリ


    エレン「お邪魔しまーす!」スタスタ…


    アルミン「……中も思ったより広いですね」スタスタ


    担当「しかしシャワーは付いてませんよ?水回りはトイレと台所だけ。
    まぁ、何か容器にお湯を溜めて身体を洗う形になりますね……」


    エレン「そ、それでも値段に比べりゃ全然便利だぜ!」
  48. 48 : : 2018/10/16(火) 19:30:46
    ミカサ「それにエレン、見て。これ……天井が妙に狭いなと思ったら上が『ロフト』になってる。
    このハシゴを使って登るみたい」ギシギシ…


    エレン「小さい頃、木の上に作った秘密基地みてぇでカッケェな!」


    担当「気に入って頂けましたか?貸家の外観以上に機能的な収納ができますよ?」ニコニコ


    ミカサ「確かに……エレン、片付け苦手だから良いんじゃない?
    上に取り敢えず不要な物だけを置いておけば、後から纏めて捨てれる訳だから……」ポン


    エレン「う、ウッセェな!ほっとけよ」


    ミカサ(でも……やっぱり何かおかしい。こんな良い部屋が、一万円以下だなんて……きっと何か裏があるはず……)


    エレン「……あれ?そういやアルミンどこ行った?一緒に部屋に入ったはずなんだがな」キョロキョロ


    ミカサ「! そういえば……」
  49. 49 : : 2018/10/16(火) 19:32:23
    スタスタ…


    エレン「おーい。アルミン?」ヒョコ


    アルミン「……!」


    エレン「?どうしたんだよ」

    エレン(何だ……?トイレの前で立ち止まって……)


    アルミン「あ、あわ、あわあわ……!」ガタガタガタ…!!


    エレン「黙ってないで何か答えろよコノヤロー。もしかして小便か?
    でも、まだ借りた訳じゃないのに勝手にしちゃっていいのかな……」


    アルミン「あ、あの……質問、良いですか……?」


    担当「? はい。人生と恋の相談以外なら、何でも答えて差し上げますよー」


    アルミン「そ、そうですか。ありがとうございます。なら……!」スッ…!!


    アルミンはトイレの扉を開けて、その小部屋の『壁』を指す。そこには……!


    エレン「……!?」



    アルミン「この……壁にですね。なぁんか妙だなぁッ……ていうか、その……色が少し黒っぽく見えて……他の場所の壁と色が違うんですよね……!
    『シミ』って言うんですか?そして、その『シミ』の形が……」


    エレン「ヒッ……」


    ミカサ「『人の形』に……なってる?」ゾクゥ-ッ…!!


    ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…!!


    アルミン「これって謂わゆるアレですよね?事故物っ」

    担当「あァ〜〜……違いますよ?コレはですねェ、ここにずぶ濡れた『人形』を置いたようでしてねー……取れないんですよ、はい。
    家賃が安いのもソレが理由です」ニコッ


    エレン「いや、でも血ィみたいな色のも飛び散ってんだけど!?
    人形置いてただけなら、ゼッテェもっと家賃高ェだろ!?」ビクゥッ!!


    担当「まぁまぁまぁまぁ。他にも色々な物件がありますので……よろしければ、そちらの部屋の方も見に行きませんか?」


    アルミン(うわっ。何事も無かったかのようにスルーしたよ)


    ミカサ(やっぱり『そういう』部屋だったのね。まぁ、予想は出来てたけど……)


    エレン「うぅっ……くそ……どおりで値段が……ブツブツ……!」ドヨン


    アルミン(そして君は、ようやく気付いたのか……)



    担当「どうしたんですか、皆さんン〜?早く行かないと回り切れませんよ〜?」ニコニコ
  50. 50 : : 2018/10/16(火) 19:57:26
    ーーーー



    その後も次々に『貸家』を紹介してくれたが、しかし……


    エレン達の予想した通り、行く貸家の先々で『不気味なモノ』の存在が見え隠れした……!



    ーーーー



    それは壁に点々と貼られた『東洋風のお札』だったり……!


    アルミン「な、なんか……色々、お札とか貼ってますけど……?」


    担当「穴が空いちゃいましてねぇ。ソレを隠すためのモノです」ニコリ



    ーーーー



    小さな庭の奥に見え隠れする『十字架の墓石』……!


    エレン「うわああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああッ」ガタガタガタ…!!


    担当「そんなに驚かないでください。昔ここに『お化け屋敷』があったんです……あっと勘違いしないで?
    『リアル』な方じゃありませんよ……?」ニコッ



    ーーーー



    更には、壁に掛けられた『女の人が叫んでいる不気味な絵画』であったりもした……!


    担当「こちらァ備え付けになっております」ニコニコ…!!


    ミカサ「うそ!ただの高級な絵画じゃないんでしょう!?だとしたらこんなに安いはず無いもの!」ビクビク!!


    エレン「ムリヤリ壁から剥がそうとすると、勢い余ってガラスに突き刺さって死ぬんだろう!?」


    アルミン「それで、この絵画の中に引きずり込まれるパターンだね……これは。
    この女の人の後ろに描かれてる『背景の男達』……助けを求めるみたいに、こっち側に手を伸ばしてる……」


    担当「あぁ……そういえば前に見た時より『背景の男達』が増えてる気がしますね……うぅむ……おかしーな」ハテ?


    エレン(もうやだ……)フラッ…
  51. 51 : : 2018/10/16(火) 20:29:26
    ーーーー



    担当「さて……これで条件に当てはまる全ての物件を回りましたが……いかがでしたか?」


    エレン「どう、って……アンタ……!」


    アルミン「何かもう……色々、疲れた……ていうか逆に慣れちゃうよね、うん」


    ミカサ「これ……やっぱり全部『事故物件』ですよね?」


    担当「……バレちゃいましたか」


    エレン「バレるよ!むしろ、どうしてバレねぇと思った!?」グオオォッ!!


    担当「ぶっちゃけたところですねェ。えぇ、そうですよ。ハイ。
    アレ全部、ヤベェ貸家です」ニコッ


    アルミン「やっぱり……」


    担当「相当、生活に困っているようでしたから紹介したのですが……やはりダメでしたかね?」


    エレン「すんません……流石にパス……!」ドヨン


    担当「ちなみに最初の『黒いシミ』は元住人の男が自殺した跡のモノです。暑い夏の日だったんでね、しばらく男は見つけられず……死体が倒れ込んだそこに『シミ』が残ったのです」


    ミカサ「……!」ゾォ-ッ…!!


    担当「その前にも、そこに住んでた売れっ子小説家がカッコつけて窓から身を乗り出したら『転落死』したり、一見幸せに見えた家族が同時に『心中』してたり……!
    以降、その貸家は『住めば死ぬ呪われた家』と呼ばれてるんですよ」


    エレン「テメェ殺す気かッ!?」ヌガァッ!!


    担当「嫌だなァ。流石にこの家に住もうと言ったんなら止めるつもりでしたよ」ニコニコ


    アルミン(本当かなあ……?)


    エレン「じゃあ何で紹介したんだよ……!」ブツブツ…
  52. 52 : : 2018/10/16(火) 21:10:09
    ミカサ「何にせよ、『一万円以下』の物件だと全部こんな感じなんですよね?」


    担当「まぁ……はい。そうですねェ〜……流石に、そのお値段だと『訳あり物件』じゃないと厳しいかもしれません」ニガワライ


    エレン「はァ〜〜……ッ!そうだよなぁ、やっぱりそんな都合の良い話、あるわけねぇよなぁ……!」


    アルミン「それなら、もうちょっと条件緩めて案内してもらおうか」


    エレン「だな」クスッ


    「ニャオ…」ヌッ…


    ゴゴゴゴゴ…!!


    担当「かしこまりました。それならばとっとと、この貸家から離れましょうか。
    『鍵』をかけて……ガチャリ!と……」チャリン


    担当「それでは行きましょう」ニコッ


    「ニャ-ッ!!」ダッ…!!


    パシィッ……!


    担当「次は二万円の物件から……って、アレ?アレ?アレアレレェェ……?
    私……今、確かに貸家に『鍵』をかけて……その後、人差し指に引っ掛けてましたよね?
    でも、おかしいなぁ……どっかに落っこしたみたいで……!」キョロキョロ…!!


    エレン「……!いや、落としたんじゃねぇ……アルミン、あれ……!」スッ…


    ゴゴゴゴゴゴゴ…!!


    猫「にゃお」チャリチャリ…!!


    アルミン「猫に奪われたんだ!不動産屋さんの手から……貸家の『鍵』を」


    エレン「アイツ、確か『汽車』の中で俺のクッキー奪ってった猫だよな!?クッソ……何度も何度も……俺たちの事、追いかけ回してんのかぁ?」


    ミカサ「いや、エレン……よく見て。あの猫は別の子。
    汽車の中でクッキーを奪ったのは『ぶち模様』の雑種ネコだったけど……この子は『黒猫』……さっきのとは違う」


    エレン「あっ……」


    黒猫「ニャ-…!!」フリフリ…!!


    その猫は確かに、汽車の中で見た雑種のネコとは違う種類のモノであった。


    ビロードのような毛並み……その中に2つ埋め込まれた黄色い宝石の瞳が、こちらを見つめている。


    エレン「本当だ……違う猫。畜生如きに色々モノ盗られて災難だっつーのは変わんねぇがよぉ」

    エレン(しかし……何だ?確かにコイツは、汽車のヤツと別モノだったが……何か、似ているような……)


    担当「あれぇ……どこに落としてしまったのだろう?『鍵』は確かに持っていたはずなのになぁ……まるで独りでに鍵が逃げていったみたいに……」ブツブツ キョロキョロ…
  53. 53 : : 2018/10/18(木) 20:55:32
    黒猫「にゃおーっ!」タッ!!



    エレン「しまっ……!」バッ!!


    ミカサ「逃げられる……鍵を持ったまま」


    アルミン「不動産屋さん!待ってて下さい、今すぐあの猫から『貸家の鍵』を取り返してきますから……
    なきゃ困るでしょう?」クルッ


    担当「えっ?え?あのォ、お客様ァ〜?か、鍵はですねェー、別に……!」


    黒猫「ニャニャ-ッ…」タタタァ-ッ…!!


    タタタタタァ-ッ…!!


    エレン「追いかけるぞ、お前ら!」ダッ


    ミカサ「えぇ」コクッ


    担当「その……ですからね?お客様?」


    エレン「テメェ待ちやがれぇ、ドロボー猫がぁぁァァ!!」ダダダダダダッ…!!


    ミカサ「……」ダダダダダッ…!!


    アルミン「絶対に取り返しますから、待ってて下さいね!」タッ!!



    ダダダダダダダダダダダ……!!



    担当「……で、ですからねぇ……その鍵じゃあなくっても『合鍵』があるから別に平気なんですが……!」


    担当「……って、お客様聞いてねぇや。行っちゃった」ポツ-ン…


    シィィィィィィン…


    担当(それにしてもあの子ら……『猫』が鍵を盗って行ったとか言ってたけど……『猫』だなんて近くにいなかったぞ?
    事故物件だとか刺激の強いモノ見せ過ぎて、変なの見ちゃったんじゃあないのかァァァ?反省反省……)
  54. 54 : : 2018/10/18(木) 21:24:59
    ーーーー



    エレン「待ちやがれえぇぇェェッ!!!」ダダダダダッ…!!


    ミカサ「くっ……!」ダダダッ…!!


    アルミン「はぁッ……!はぁ……!追いつか……ないね……!なかなか……!」ゼヒッ ゼヒッ…!!


    黒猫「ニャ-ッ」スタコラサッサ-


    ダダダダダダダダダ……!!


    エレン達は『鍵』を奪った猫を追いかけ、町の外れの小さな土手道を走っていた。


    両側には果樹園が迫っており、林檎や柑橘類の木々で作られた天然のトンネルの中を追いかけている形となっていた。



    ピシッ!!ビシビシッ…!!


    エレン「くっそ!木の枝とか葉っぱが引っかかって走りにくい!」ムキィ-!!


    アルミン「はぁ……はぁ……!それでもまだちゃんと道なりに逃げてくれてる分ありがたいよ。
    小さい隙間だとかに入られると、僕らには追いかけられないからね……気ィ使われてるみたい」ハハハ…


    エレン「だったらそもそも鍵なんか盗むな、っつー話だろ!
    俺たちと鬼ごっこでもしたいってのかァーーッ!?」


    ミカサ「それはそれで、ちょっと可愛いかも……」


    エレン「何も可愛くねぇーよ!ただの人間ナメ腐ったネコだよッ!!」


    ダダダダダダダダダ……!!


    黒猫「ニャ-ッ!!」バッ!!



    アルミン「!?そんな事よりマズイよ!あれ見て!」ダダダダッ…!!


    猫はエレン達より、一足早く果樹園の土手道を抜け、その先に横たわる大きな道路を渡ろうとしていた。


    そして、その先には……


    ミカサ「……住宅街!」


    黒猫「ニャ-ッ…!!」タタタタ…


    エレン達は走っている内に果樹園を抜け……そして、ついには『モーリス』の町の隅っこにまで至った。


    大抵の観光地において、地元住民が大勢暮らすための『住宅街』というものは町の中心部から少し離れた、スペースの取りやすい場に作られる事が多い。


    そして、そのバックには背の高い木々が……つまり、住宅街を抜けると『森林』につながっているという事である!


    アルミン「この道路を渡らせて『住宅街』に行かせてしまえば、通路が複雑になって追跡が難しくなる!
    奥に森林があるのもマズイ!」


    エレン「つまりアレか?路地の複雑な住宅街に逃げられる前の『道路を渡りきるまで』の地点で取っ捕まえろ、っつー意味か?」
  55. 55 : : 2018/10/19(金) 08:29:48
    黒猫「ニャ-ッ!!」バッ


    ブオォ-ン…


    エレン「クッソ……!もう道路を渡り始めたぞ……」タタタ…!!


    老婆「……」ヨロヨロ…


    ブオォ-ン…!!


    道路では当然車両が走っていて、それをかわしながら猫は逃げていく……


    黒猫「ニャオ-…!!」スタタタ…!!


    ブロロロ…!!


    運転手「んあァッ!?何だ猫ぉぉぉッ!?」キュイイィッ!!


    突然目の前を横切った猫に驚き、そこを走っていた『トラック』の運転手は急にブレーキをかける!


    それによってトラックは大きくバランスを崩した!


    運転手「うおっ……!?うおおぉぉぉ!?」ギャリギャリギャリ…!!

    トラック『……』フラッ…


    エレン「!?……おい、アレまずいんじゃねぇのか!?」タタタタタッ…!!


    ミカサ「えぇ。あのままだと、あのトラック横転するッ!」タタタタッ…!!



    そして、トラックが横転してしまうだろう先には……


    老婆「……?フエ?……なぁんか大きい音がしてるよーじゃが……気のせいかね?耳鳴りが酷いのォォ〜〜……」ヨロヨロ…


    運転手「クッソ、テメェどきやがれババァ〜ッ!!別に俺はお前をペシャンコに轢いちまっても一向に構わねぇが、この俺を犯罪者にするつもりかァァァ〜〜ッ!?
    猫が悪いんだよ、あの猫がァァァ〜〜!うおおぉぉぉッッッ!!!止まりやがれ、このポンコツ中古車がよォォォォォォォォォッッッ!!!」キキキキィ--ッ…!!


    老婆「……?」ヨロヨロ…
  56. 56 : : 2018/10/23(火) 09:07:23
    ミカサ「あのお婆さん……全然気付いてない!このままだとトラックの横転に巻き込まれる!」タタタッ…!!


    アルミン「大丈夫。僕に任せて」ズズッ…!!


    エレン「!?」


    そう言って踏み出したアルミンの腕には……赤黒くゴツい鎧のヴィジョンが重なっていた。


    そのため本来、貧弱であるはずの彼の腕が極端に逞しくなったように見えた。


    エレン(アルミン……自分の右腕にスタンドを重ねて発現させてる……!
    そうだ!確かにアルミンの『物に意思を与え操る』能力なら……!)



    アルミン「『テナメント・ファンスター』……!」ズギュンッ…!!


    ボボボボボ…!!


    アルミンの、指先に『炎のようなオーラ』が集中し……!


    アルミン「行けっ!宿るのは、あのトラックだ!
    トラック自身に考えて行動をする事ができる『意思の力』を与えるッ!」ボワッ…!!


    そう言って、アルミンは指先に宿ったオーラをトラックに向かって、発射した!


    ビュンッ…!!


    オーラは炎のようにトラックに燃え移り、やがてその全体を覆った!


    ゴゴゴゴゴゴ…!!


    トラック『……ウウオオォ…!!』ピクッ


    ググ…ググググ…!!


    運転手「……!?ウオ、ウオォ?な、何だ……!?トラックが一人でに体勢を立て直しているよーな……」


    トラック『うおぉぉぉしゃあぁぁぁぁ……!』ググググググ…!!


    老人「……?」キョロキョロ


    トラックと老婆との距離がもはや、5mも無くなる……そして次の瞬間!


    ドグワァッ!!


    トラック『WOOSHAAAAAAAA!!』ビョギョンッ!!

    運転手「えっ……」フワァ…!!


    何と!アルミンの放ったオーラに包まれたトラックは、まるで『命を持った一つの生き物』であるかのように!


    しっかりと、自分の意思を持って自らの車体を跳躍させ!カエルのように老婆を飛び越えたのだッ!!!



    どぐわっしゃああぁんッ!!!


    トラック『ウシャアアァァ…!!』ブロロロロロ…!!

    運転手「な、何だったんだ今のはぁぁぁ……俺のトラックが急に明確な『意思』を持ったみてぇに一人でに飛び跳ねやがったぞおぉぉ……!?
    まぁ、何にせよ俺は人殺しじゃねぇ……助かったぁぁ……!」ホッ…!!


    老婆「……ふえぇぇ?何が起こったんじゃ?今、ワシの頭ん上を何かが飛び越えんかったかね……?ま、気のせいじゃろ。耳鳴りが酷いんじゃ」フラフラ…



    トラックは老婆を飛び越えた、約6mの地点に着地し、そのまま走り去って行った……!


    ブロロロ…!!



    アルミン「ふぅ……『テナメント・ファンスター』。
    『魔炎』を解除……!」フッ…!!


    アルミンがそう唱えると、走り去るトラックを包んでいた、炎のようなオーラは消えた。


    あのトラックに宿った『意思の力』は消えたという意味だ。
  57. 57 : : 2018/10/23(火) 19:21:43
    黒猫「にゃーっ」タタタタッ…!!


    エレン「チッ!事を起こした張本人は知らんぷりしてやがる……人騒がせな猫が……!」ダダダダダ…!!


    ミカサ「ッ!……今、トラックに手こずってた間にもう猫は、道路を渡り切ってる……!」ダダダダダ…!!



    黒猫「……ニャオォ」ピョンッ


    猫は、その口元に『鍵』を咥えて逃げ回り……そして、とある民家のレンガ塀へと飛び乗った。


    アルミン「このまま、塀の下に降りられたら……『住宅街』の方に逃げられる……!」ダダダダダダ…!!


    エレン「いいや、逃げられないぜ」スッ…


    アルミン「!」


    エレン「何故なら、俺がすぐヤツの所に追いつくからだ……!」ズズズ…!!


    エレン(もう十分な距離に『マト』があるからな……丁度いい所によぉー)


    エレン「『ミスファイア』!」ズギュンッ!!

    ミスファイア『……』ユラァ…!!


    エレン(ヤツの登った塀の高さ……その背後に丁度いい『庭木』が生えている!
    この距離ならば……十分『ナイフ』は届く。ナイフを庭木にブッ刺して瞬間移動の能力が使えるッ!)


    ミスファイア『オラァッ!』ブンッ!!


    ヒュッ…!!


    エレンのスタンド能力……『ミスファイア』が投擲したナイフは、彼の目がけた箇所に向かってピンポイントに放たれた!


    猫はそのナイフが自分の元に向かっているのではないとタカをくくっているのか、呑気にアクビなどをしている……!


    投擲されたナイフは、いよいよ庭木へとグッサリと突き刺さろうとしてる。


    しかし……!



    ––––––ガキイイィィィンッ……!


    エレン「……!?」

    エレン(コレは……!?)


    ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…!!


    ナイフが刺さらないだと……!?あの庭木に……!
    ナイフがブッ刺さらずに、弾かれた……!?


    エレン(馬鹿な……!あの庭木が、そんなに硬いワケがねぇのに……!)


    黒猫「……」


    エレン(この距離から投げたナイフが刺さらないワケねぇのに……!)


    黒猫「…ニャ-」クルゥ-ッ…!!


    エレン「……!?」


    ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……!!


    エレン(おい……ちょっと待てよ……!あの猫……!?何だ、アレ……?空洞……?)


    黒猫「ウニャオ-ッ…!!」ノビィ-…ッ!!


    エレン「……ッ!」ズサッ…

    エレン(……あ、あの猫……嘘だろ……!?アイツの本来、右目があるはずの場所に……穴が空いている……だと!?)


    ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……!!



    エレン(見間違いじゃねぇ!あの黒猫……顔に一部分だけ、穴が空いているッ!
    まるで『ジグソーパズルのピース』みてぇな形をした……穴が……ッ)



    ドドドドドドドドドドドドドドドドドド!!!



    黒猫「にゃおん」バッ!!


    エレン「––––ハッ!」


    アルミン「しまった……!塀の下に逃げられた……コレは厄介な事になったね」ハァ…ハァ…!!


    ミカサ「……!」ハァ…ハァ…!!
  58. 58 : : 2018/10/23(火) 19:40:05
    エレン「なぁ……おい……!」クルッ


    ミカサ「……?」


    エレン「今の……お前らも見てたか?」


    アルミン「はぁ……はぁ……!あぁ、見てたよ。確かに今、君の放ったナイフは、あの木に刺さらなかった……!
    多分、投擲のパワーか距離が十分じゃなかったんだろう……失敗だった!」


    エレン「違う!……いや、それも不思議だが……それよりも不気味だったろうがよ……あの猫の顔に『穴』が空いてたっつーのはよぉ……!
    それなのにピンピンしてた!」


    アルミン「……?なに?猫の顔に穴が空いてた?」


    ミカサ「……?エレン、話が見えない……」


    エレン「……ッ!?お前ら見てなかったのかよ!」


    ミカサ「え、えぇ……ごめんなさい。必死で……」


    エレン「確かに、あの猫の顔には穴が空いてたぜ!
    丁度、『ジグソーパズル』の1ピース分みたいな形をした穴がなぁーッ。そして、穴の中身を覗いたら、中身は何にもない……空っぽの『空洞』だった……!
    アイツはジグソーパズルのピースで構成された、中身が空洞な猫なんだよ!」


    アルミン「……ッ」


    ミカサ「……」


    ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……!!


    アルミン「エ、エレン?君さぁ……疲れてるんだよ」


    エレン「なっ……!」


    ミカサ「アルミンの言う通り。さっき、あの不動産屋さんに色々と不気味なモノ見せられたから……きっと変な物でも見えたに違いない。
    猫の顔にジグソーパズルのピースみたいな穴が空いてるだなんて……」


    エレン「で、でもよぉー……俺は確かに……!」アタフタ…


    アルミカ「……」ジッ…!!



    エレン(うっ……!何だよ、その目は。『見えないはずのモノが見えてかわいそーに。きっと気が違えてしまったのね』とでも言いたげな、その目は……!)タラリ…


    エレン「……わ、分かったよ。キモい事言ってすまなかった。
    ……あぁ、そうだよ!アレは確かに俺の見間違いだ。猫の顔に穴なんて空くはずがねぇ」


    アルミン「エレン……」ホッ…


    エレン(……何か釈然としねぇな。そういう風に疑われればよぉー……もしかしたら『見間違いだったかも』って思えてきちまうじゃねぇか……
    いや、実際そうだったんだろうな……)
  59. 59 : : 2018/10/23(火) 20:13:19
    エレン「……それよりだ。どうする……?あの猫、住宅街の中に逃げちまったぞ。鍵を持ったまま……!
    アルミンの言う通り、住宅街の道は複雑だ。猫みてぇな小柄な身体でしか通れないような隙間も沢山ある……!」


    アルミン「……あの猫を見つける事が出来るかは分からないけど……
    とりあえず、また僕の能力の使い所だ」スッ…!!


    ぽさっ……!


    アルミンは自身のリュックから一冊の『本』を取り出し、そうして先ほどまで猫がいたレンガの塀の上へと置いた。


    アルミン「ジュール・ヴェルヌの『海底二万哩』……小さい頃、お爺ちゃんに古本屋で買ってもらったんだ。しかも初版。
    ……ま、そんな事はどうでもいいんだけどさ」


    アルミン「『テナメント・F(ファンスタ-)』……!」

    テナメント・F『……』ズッ…!!


    アルミンの身体から生き霊が抜け出るように……彼のスタンドは出現した。


    『テナメント・ファンスター』は先ほどと違って、今度はしっかりと全身像が把握できた。


    ソイツは上半身だけしかなくて赤黒い、ゴツゴツとした鎧のような姿をしていた。


    テナメント・F『……WOOSHAAAAA』ユラァ…!!
  60. 60 : : 2018/10/23(火) 20:40:07
    ミカサ「……その『本』に意思を与えて、猫を探させに行くのね?」


    アルミン「あぁ。本の身体なら身軽だし、猫しか入れないような隙間でも探せるかもしれない。
    それに、この小説は僕の愛読書だ。だから僕によく『懐いている』し、命令に忠実なんだ」


    テナメント・F『……』ボワァッ…!!


    『テナメント・ファンスター』のゴツゴツとした小手甲冑の指先に炎のようなオーラが宿る。


    アルミンは、そのオーラの事を『魔炎』と呼んでいた。


    『テナメント・ファンスター』は『魔炎』を、アルミンの用意した本に押し付けた。
    すると……!


    ボワァッ…!!


    本『……!』ピクッ…!!


    本『……ウオシャアアァ』バサバサ…!!


    『魔炎』の宿った本には、同じく『意思の力』も宿り、微弱に動き出す。


    やがて本はチョウチョのように、自らのページを羽ばたかせ、フヨフヨと浮遊を開始した。



    ばっさ…ばっさ…ばっさ……!



    アルミン「不動産屋さんから貸家の鍵を奪った一匹の『黒猫』がいる。
    追跡してくれないか?」


    本『……リョ…了解……!マ、マママ……マスタァー……!探検ならこの『キャプテン・ネモ』にお任せを……!
    WOOSHAAAAAAAA……!!!』ヒュンッ…!!


    ばっさ…ばっさ…ばっさ……!



    命令を受けたアルミンの愛読書……『海底二万哩』は、鍵を奪った黒猫を探しに行った。


    エレン「……お前の能力、本当に便利だよな。
    物に『意思』を与えて、生き物みてぇに操るだなんてよぉ」


    アルミン「ううん、そうでもないよ。厳密に言えば僕の『テナメント・ファンスター』は物に『意思』を与えるという……ただそれだけの能力だ。
    僕の命令を聞いてくれるかどうかは分からない」


    ミカサ「確か、今の本みたいに……アルミンに大事に使用されていた物であれば従順なのよね?懐いてるから」


    アルミン「物にも『個性』があるからね。ちなみにアイツは『海底二万哩』の小説だから……自分の事を主人公のネモ船長に当てはめてる」


    アルミン「……さて。そんな事より、僕らも無駄口叩いてないで黒猫を探さなきゃ」


    エレン「おう!」
  61. 61 : : 2018/10/23(火) 20:48:47
    【スタンド名】 テナメント・ファンスター


    【本体】 アルミン・アルレルト(17歳)


    【形状】上半身だけの赤黒くゴツい鎧の姿


    【タイプ】守護霊型


    【能力】 物に意思を与える不思議な炎のオーラ、『魔炎』を操る。(この炎は能力のイメージとしてのヴィジョンで実際の炎のような特性は持たない)
    アルミンはその『魔炎』に包まれた物に命令し、使役する。また、物にも個体差や性格があり必ずしも言う事を聞いてくれる訳ではないらしい。テレパシーのような力で物と会話する事も可能。

    元ネタはクイーンのアルバム『シアーハートアタック』から『Teniment Funster』。


    破壊力-B スピード-B 射程距離-D
    持続力-D 精密動作性-E 成長性- D
  62. 62 : : 2018/10/23(火) 21:00:41
    現在公開可能な情報




    【モーリス】


    ・エレン達の住むリヴァンプルから南下した、内陸の山岳地帯にある田舎町。


    ・町はあまり近代化が進んでおらず、伝統的な木組みの家が連なり、道なりにレンガが敷かれた、おとぎ話の町を思わせる町並みだ。
  63. 63 : : 2018/10/28(日) 19:48:11
    【スタンドのステータス】


    ・『破壊力』や『スピード』、『射程距離』などの6項目を、A〜Eの五段階評価で示したものです。
    本ssでは以下のように評価していきます。


    ・『破壊力』……そのスタンドヴィジョンの持つ純粋なパワー。
    能力によって派手な破壊力を生むスタンドもいるが、この場合も『素の破壊力』を基準として評価する。


    ・『スピード』……スタンドヴィジョンが動く速さ、身軽さ、攻撃速度の総評。


    ・『射程距離』……スタンドヴィジョンを本体からどれくらい離して活動させる事が出来るか。
    これが高ければ高いほど、パワーやスピードが落ちる事がほとんど(遠隔操作型)。逆に射程が短くなると、その分パワフルなスタンドを操れる(近距離パワー型)。

    能力射程とは異なる。例えば『ザ・ワールド』の時止め能力射程は全世界にも及ぶが、スタンド自体は10mしか動かせない。
    そういう意味での評価。以下が評価の目安である。

    A(50m以上)

    B(20m〜49m)

    C(10m〜19m)

    D(4m〜9m)

    E(3m以下)

    なし(本体から離れられない)


    ・『持続力』……スタンドヴィジョンを持続して出現させていられる、目安の時間。
    能力の効能自体の持続力ではない。


    ・『精密動作性』……スタンドを本体の意思によって操る際、どれだけ自身の思った通りに動かす事が出来るか。
    『遠隔自動操縦型』や『固有の意思を持ったスタンド』は本体の意思によって操る訳ではないので、このステータスが低い場合が多い。


    ・『成長性』……本体の精神が成長したり、変質する事によって、その『心の形』たるスタンド能力も変わってしまう事がある。
    このステータスが高ければ高いほど、スタンドが成長するケースが多い。
  64. 64 : : 2018/10/28(日) 20:18:08
    【スタンドのタイプ】


    ・自分なりにスタンド能力というものを解釈してみて、それぞれスタンドの【タイプ】を考えてみました。
    【タイプ】の項目は、本ssのスタンド紹介のコーナーにも、たった今加筆修正しておきました。
    一応例として、ジョジョ本編に出てくるスタンドを提示してしますが、あくまでも自分なりの解釈ですので、『これ、ちゃうんやないの?』ってのが在れば教えてください。受け答えします(コメ稼ぎ)。
    【タイプ】は全6種類です。


    ・『守護霊型』

    自身の意思を以って『守護霊』のように自由に動かす事が出来るタイプ。痛覚や視覚を本体と共有している場合が殆ど。
    というか大体は、このタイプのスタンドだ。

    例)『スタープラチナ』、『クリーム』、『エコーズ ACT1』


    ・『自動操縦型』

    本体の意思で動かす事が出来ない。『ロボット』のように、予め決められた条件によって活動する。
    決められたプログラムでしか動けないが、その分パワーも強く、しかも遠くでも活動できるのが特徴。
    本体と感覚を共有しない場合が多い。

    例)『シアー・ハート・アタック』、『ブラック・サバス』、『ボーン・ディス・ウェイ』


    ・『半自動操縦型』

    基本的には『自動操縦型』のスタンドだが、本体の目に届く範囲であれば、本体の意思で操る事が出来るタイプ。

    例)『ハイウェイ・スター』、『セックス・ピストルズ』、『グーグー・ドールズ』


    ・『同化型』

    同化したモノに超常的な力を与える『付喪神』的なスタンド。
    物質と同化する事で本領を発揮するタイプであるため、スタンド自体のパワーやスピードは無いに等しい。
    そのため生身のスタンドヴィジョンを見せる事も滅多にない。殆どが同化して現れる。そもそも独立してヴィジョンを出現させる事が出来ないのかも。

    またスタンドと同化した物質は、他のスタンドに触れる事が出来る。

    例)『ストレングス』、『サーフィス』、『フー・ファイターズ』


    ・『装着型』

    スタンドヴィジョンを、『スーツ』や『鎧』、または『武器』のように装着するタイプ。
    スタンドパワーによって、本体自身の身体能力を高める。

    例)『エンペラー』、『ホワイト・アルバム』、『キャッチ・ザ・レインボー』


    ・『現象型』

    特殊効果が発現している場所に佇んでいるだけのスタンドヴィジョンのタイプ。謂わば、能力の『イメージ像』。
    コイツは能力のイメージとしてのヴィジョンであり実体ではないため、実際に攻撃する事は出来ない……が、このスタンドもパワー自体は低いので、特に何をしてくるというわけでも無い。
    ただ能力があるだけ。

    例)『タスク ACT1』、『シビル・ウォー』、『オゾン・ベイビー』
  65. 65 : : 2018/10/29(月) 00:37:51
    ーーーー


    〜10分後〜


    本『クケッシャアァァ〜〜……!』バッサバッサ…!!


    エレン「! おい、アルミン」


    アルミン「……帰ってきたみたいだね、意思を持たせた本が」


    ミカサ「ど、どうだったの……?鍵を咥えて逃げた猫は見つかった?」バッ


    本『ウオシャアアアアアァァァッ!!学のねぇビッチが俺様に口ヲ聞いてんじャアねぇぜッ!』バッサバッサ…


    ミカサ「なッ……!」


    本『コノ私に『意思』を与えて下さったのは、他ならぬアルミンの能力ダゼエェ〜ッ。
    マスター以外の命令は受け付けねェェ〜〜……ッ。S・H・I・T」バッサバッサ…


    ミカサ「〜〜……ッ!!!……………〜〜〜〜ッッッ!!!」プルプル…!!


    アルミン「ちょっ……コラ!ミカサに何て事言うんだよッ!」


    エレン「あははっ。相も変わらず、お前の愛読書は口ワリィな」


    アルミン「歳だけ喰った『初版本』だからね……プライドだけは高いんだ」ハァ-…!!


    ミカサ「……別に慣れてるけど」グスッ…!!


    アルミン「ほ、本当にごめんね。
    ……それで?猫は見つかったのかい?」


    本『勿論だ、マスタァ〜〜……あんクソ猫はよォォ〜……!
    今いる、ここの『住宅街』を抜けて……その先にある郊外の『森林』へと逃げて行ったぜェェ』バッサバッサ…


    エレン「!?」


    ミカサ「森林……それってマズイんじゃ……!」


    アルミン「森林のどこへ?最後まで見てきたのかい?」バッ!!


    本『WOOSHAA……!あんま焦んなってよ、マスターッ!
    大丈夫ダッ。猫は、その森の中にある『屋敷』ン中に入って行った。スッゲェ、ボロのッ!多分人がいねぇ……廃墟だろ〜なぁ〜……
    だからソコに居るはずだぜぇぇ』


    ばっさ、ばっさ……!


    ミカサ「……!」


    アルミン「屋敷か……なるほど、ありがとう。
    『魔炎』解除」


    本『ウオシャアァアアアァァァ…!!』フッ…


    本『』ポサッ…!!


    アルミンが唱えるのと同時に、本に宿っていた『意思』が消え、そのままただの小説に戻って地面に落ちた。


    アルミン「……」ポンポン…


    エレン「廃墟の屋敷、か……」


    アルミン「恐らく猫は、その屋敷を寝ぐらにしてるんだろう。
    そこに帰ったって事は今日の所は、これ以上外に出歩かないって事じゃないかな?」


    ミカサ「じゃあ、向かうとしたら森の中にあるっていう……その『屋敷』ね」


    エレン「ハアァァァ〜〜ッ。面倒クセェな……ぶっちゃけよ。まぁた歩くのか……!
    何でこんな事になったんだ?あの猫が『空き家の鍵』をとったからだよ、クソが」


    アルミン「思ったより手こずっちゃったね」


    エレン「せっかく観光もしようと思ったのによぉ……!こんなんじゃただ猫に振り回されてるだけじゃねぇかッ!
    とっとと、ふん捕まえて町に戻ろうぜ……」


    ザッ….!!



    ーーーー


    …………
  66. 66 : : 2018/10/29(月) 21:44:18
    …………


    ーーーー


    森林の中……とある、屋敷跡



    ……キョオ-キョオ-!!……キョオ-キョオ-!!



    エレン「ふぅ……ここか……!」ザッ…!!


    アルミン「着いた……は、良いんだけど。それよりもここ……!」


    屋敷『』ボロ-ン…!!


    ミカサ「すっ……すっごいサビれてる」


    アルミン「……!」


    エレン「スッゲェな、コレ。メチャクチャ広いけど、レンガの外壁にツタやら何やらがビッチリ……」


    ザッザッ…!!


    エレン「ホラ。コレとかゼッテェ、ヤベェやつだろ?
    真っ赤でよぉぉ〜〜っ……毒々しい。美味しそーに見えるけど、実は食べたらダメな『木ノ実』だろ?コレ……」ジィ-ッ…!!


    アルミン「……それは『イチイ』の木ノ実だね。赤くて……壁一面に張り付いてる。
    その中でも『ヨーロッパイチイ』」


    エレン「ふぅーん……」ソロ-ッ…


    アルミン「あっ、と。あんまり触れないでね?
    『イチイ』は猛毒1位ッ!」


    エレン「!? や、やっぱ毒なのかよッ……!」ピタッ!!


    ミカサ「ち、因みに触るとどうなるの……?」


    アルミン「んーッと……そうだな。まず……」



    アルミン「泡吹いたり」

    エレン「……泡吹いたり?」


    アルミン「全身にプツプツが出来て、痒くて堪らなくなったり」

    ミカサ「痒くなったり?」


    アルミン「呼吸困難になったり」

    エレン「呼吸困難になったり……?」



    アルミン「内臓組織がズタズタに壊されて……」

    ミカサ「……壊されて?」



    アルミン「究極的には死んだりする」

    エレン「死んだりする……」



    エレミカ「……!」ゾォ-ッ…!!
  67. 67 : : 2018/10/29(月) 22:11:06
    エレン「……俺、アルミンと友達で本当に良かったと思ってる」スタスタ…


    ミカサ「同じく……」スタスタ…


    アルミン「まっ。近付かなければ何て事は無いから大丈夫さ。それよりも早く屋敷ン中……
    僕ら、猫を追ってここまで来たんだ」スタスタ…



    アルミン「お邪魔しまァーす」スッ…


    ガチャッ!!


    エレン「……って、誰も居ないけどな」


    ギイィィィィ-ッ….!!
  68. 68 : : 2018/11/02(金) 13:05:40
    すみません。エレンやミカサは15歳という設定でしたが、今後の都合上17歳に変更します。
    他のキャラの過去を書く場面を考えているのですが、その過去をだいたい15歳という風にすると、自然だなと考えたからです。
  69. 69 : : 2018/11/03(土) 01:45:42
    3人は扉を開けて、薄暗い屋敷の中に入る……


    ザッ…!!


    エレン「うっ……やっぱ、中もそんな綺麗な感じじゃねぇーな。
    酷いワタ埃だ……クモの巣も」ケホッ ケホッ…


    ミカサ「……でもここが廃墟になる前は多分、かなり身分の高い『貴族』が住んでたんだと思う。
    内装自体は豪華だもの……老朽化してるけど」


    エレン達が屋敷に入ると、そこは真っ先に『大広間』となっていた。


    白黒のチェスの盤面のようなタイル床に、埃にまみれた『レッドカーペット』が敷いてある。


    レッドカーペットはそのまま、広間の正面にある大きな『Y字型階段』へと繋がっている。
    階段を登った先の二階までは『吹き抜け構造』になっているため、一階の広間からでもよく見渡せた。


    一階の広間からはそのまま奥に廊下が続いており、どうやらそのまま屋敷をグルリと一周出来るようになってるらしい。



    アルミン「猫はどこに隠れてるのかな?まぁ別に『鍵』自体が見つけられれば猫なんてどうでもいいんだけど……
    取り敢えずこのまま一階の廊下を道なりに進んで行って、一周してみよう」


    エレン「……えぇー、でも小部屋とかも沢山あるぜ?」


    ミカサ「小部屋は探す必要がない」


    エレン「は?何でだよ」


    ミカサ「何故って……あんな小さな猫、部屋の扉を開けれる訳がないじゃない。
    まぁ、部屋の扉が開いてるんだったら話は別だけど……」


    エレン「あ……そっか」


    アルミン「廊下の奥は薄暗いから明かりを点けていこう。
    屋敷備え付けの『照明ランプ』はもう電気が通ってなくて、点かないみたいだけど」


    エレン「……じゃ、じゃあどうすんだよッ!?」


    アルミン「マッチ持ってきたからダイジョーブだよ。古風に燭台が等間隔に並んでるから……それに点けながらいこう」ボシュッ


    ミカサ「さすが、アルミン。用意がいい」


    エレン「ぐぬぬ……何か、さっきから俺だけ良い所ねぇっつーかよぉ〜……!
    今回かなりマヌケなキャラになってねぇかァ〜〜……?」グヌヌ…!!


    アルミン「君……自分のキャラとか計算するタイプだったの?何かムカつくな……」


    エレン「いや!別にそういうワケじゃねぇけど……ホラ!
    さっきもネコを追い詰めた時さ……『ミスファイア』の投擲したナイフが木に刺さらなかったし……

    あそこでナイフが刺さってたら『瞬間移動』でネコヤローをフン捕まえて、鍵も取り返せてたのによ……こんな気味ワリィ屋敷に入る事も無かったぜぇー」シュン…


    アルミン「何だ、その事まだ気にしてたのか。
    それだったらしょうがないよ。そりゃ君は最近始めて能力に目覚めたんだし……失敗する事だってあるさ」


    ミカサ「あまり落ち込まないで」


    エレン「んン〜……本当にそうだったら良いんだがよ……」


    エレン(しかし、やはり落ち着いて思い返してみても……あの時、俺のナイフが木にぶち当たった時の感覚……
    妙に『硬かった』ような……まるで、木に『鉄の板』でも張り付いてたみてーに……!
    だから俺のナイフは刺さらなかった?)


    ゴゴゴゴゴゴ…!!


    エレン「……まさかな」ボソッ


    アルミン「ん、何か言った?」


    エレン「いいや、何でもねぇ。
    それより早く行こうぜ!こんな不気味な所、早く脱出だ」タタッ…


    ミカサ「もう……待たせてたのはエレンじゃない」ハァ…


    タタッ…
  70. 70 : : 2018/11/03(土) 02:21:09
    ーーーー


    スタスタ…


    エレン「……暫く、歩いてみたが」スタスタ…


    ミカサ「……見つからない。猫も……鍵の方も」スタスタ…


    エレン「オメェ、ちゃんと探してんのかよ」


    ミカサ「もちろん。廊下の端から端まで……隅から隅まで。
    そういうエレンこそ……大雑把だから」


    エレン「お、俺だってちゃんと探してるっての!
    でも見つからん!」


    アルミン「僕もダメだ」ハァ…


    ミカサ「……アルミン」チラッ


    アルミン「『テナメント・ファンスター』の能力で、物に意思を与えて会話出来るようにしてるけど。でも……」


    壺『……WOOSHAA!!ネコ、ダァー!?そんなモン暫く見てねェぜェー、何せここ廃墟だしよォォ。
    ましてや『鍵を咥えた猫』だなんて知らねーッ。見てねぇぜェーッ』ピョンピョン…!!


    アルミン「……まぁ、この通りだし。手がかりは何も無し。少なくとも、ここら辺には猫がいないって事だ」


    ミカサ「……壺が喋ってる、って凄くシュールな光景」


    壺『つーかオタクら何?何でこんな所いんの?コンナ寂れた廃墟にヨォー。いやー、それにしても人が来るだなんてヒサシブリだネ。何年振りカナーッ。アッ俺はネ、メチャクチャ高級な壺っツー事でここの家の奴らからソコソコ気に入られていたんだけど、没落してからは人が来ねーのナンノって。昔はネェー、綺麗な花なんかこの口ン中入れてねェー、華やいでたっツー感じだけど、最近は本当誰も来ねーもんなー。だからアンタらみたいな奴らが来て、しかもオシャベリ出来るだなんてよォー……!』ペチャクチャペチャクチャ…!!


    アルミン「……」スッ…


    壺『おっ?』


    アルミン「能力解除……」ピシッ…


    壺『ウオシャアァ…マッテ,マダシャベリ…タ…!!』


    フッ…!!


    壺『』カララァ-ン…!!



    エレン「うわっ。無慈悲」


    アルミン「どうやら廃墟の中にある物は、暫く人間に構ってもらえてなかったから……『意思』を与えるとオシャベリになるみたいだね。
    でも可愛そうだけど、これ以上話しても有益そうな情報は得られそうに無いし……キリが無いよ」シレッ


    ミカサ「……」


    アルミン「それに今の僕らがネコを探している事には全く役に立たないけど……面白い情報も聞き出せたしね」


    エレン「? 何だよ」


    アルミン「今は廃墟になった、この屋敷に住んでた……昔の貴族家の名前だよ」


    ミカサ「!」
  71. 71 : : 2018/11/03(土) 02:43:22
    アルミン「『レイス家』って、言うらしい」


    ミカサ「……レイス家」


    エレン「聞いた事もねーな」


    アルミン「そりゃそうさ。どうやら彼らは貴族とは言えども、このモーリスの町一つの土地だけしか持ってない……そこまで有力な家じゃなかったらしいしね」


    アルミン「しかも、ここら一帯は山岳の地形だからね。ひっそりとした環境だ。
    こういう山奥の町に引きこもる事で、他の有力貴族から目を付けられないよう地道に勢力を伸ばしてきたんだろう」


    エレン「貴族っつーだけで十分羨ましいっての」ケッ


    アルミン「そうかなぁ……?現にこうして住んでた屋敷は廃墟と化して、一族もろとも没落してる訳だからね。
    僕は質素でも、平和な庶民がいいよ」


    ミカサ「……レイス家はなぜ滅びたの?」


    アルミン「……さぁ?あの壺からは、それ以上情報は引き出せなかった。
    でも、この屋敷に『電気』が通ってた痕跡を見ると少なくとも結構最近までは存在してたみたいだね……」


    エレン「……『大戦』の後のゴタゴタで滅んだとか、か……?」


    ミカサ「まぁ、何にせよ私たちには関係ない。
    今は猫が奪った『鍵』を取り返して、不動産屋さんに返す……それが第一優先」


    エレン「だな」
  72. 72 : : 2018/11/05(月) 18:48:40
    ゴロゴロゴロ…!!


    エレン「!」ビクッ…!!

    エレン「な、何だァ……?この音」


    アルミン「ン……雷、じゃないかな?もしかすると……」


    ゴロゴロゴロ…ザアアアァァァァッ……!!


    ミカサ「本当ね……よく耳を澄ませてみると……雨音も聞こえてくる……」


    ザアアアアァァァァァァッ……!!


    エレン「うぅッ……!昔、貴族が住んでいたボロ屋敷に、雷……クッソ。不気味だな……!」


    アルミン「確かにね。ちょうど、そこの小部屋の中とかさぁ……そーいう雰囲気じゃない?」


    エレン「は……?どういう意味だよ?」


    アルミン「いや、だからさぁ。その……ありそうだなぁ、って。
    首吊ってそのまま風化しちゃった白骨とか、さぁー……!」


    ゴロゴロゴロ…ビシャアッ!!


    エレン「へ、変な事言うんじゃねぇよ馬鹿!おっかねぇだろーがッ!」ビックゥ!!
  73. 73 : : 2018/11/05(月) 18:49:47
    アルミン「あはは……ごめん、ごめん。何か、さっきの不動産屋さんに感化されちゃったのかなァ?」


    ミカサ「……アルミンは元々、オカルト好きだものね……」


    エレン「ったく……!」ハァ…!!


    アルミン「いーや、でもさぁ。あながち間違った話でもないかもよ?
    僕ら、元々は猫を追いかけてこの屋敷までたどり着いたんだ。昔っから、猫に導かれて不思議な場所にたどり着いたって物語はよくあるだろ?古典的だけど」


    エレン「……ッ!」ゾ-ッ…!!


    アルミン「……エレン?」

    アルミン(あッ……やば……!ちょっと怖がらせ過ぎたかな?)タラリ…


    エレン「……ッ」ダッ!!


    アルミン「えっ……!」



    エレン「……!」ダダダダダダ…!!


    アルミン「ちょ、ちょっとエレン!」


    ミカサ「急に走り出したら危ない!
    まだ、廊下の先には明かりを灯してないんだから……!」


    エレン「う、うるせぇよッ!よく考えたらこの屋敷、アルミンの言う通り『事故物件』なんだろ!?何も起こらねぇハズがねぇんだッ。出る!何か出るに決まってる!!!
    俺は、こんな薄気味悪ィ場所とっとと出るッ!!!」ダダダダダダダダ…!!


    アルミン「えッ……いや、でも!まだ、ここら辺全然探してないし……!」


    エレン「鍵なんてもうどうでもいいぜ!俺は一刻も早くこの屋敷から脱出してェ!!!」ダダダダダダ…!!


    アルミン「ッ……!もう……!」

    アルミン(まぁ、変に怖がらせてしまった僕も悪いけど……!)


    ミカサ「エレンを一人で行かせるわけにもいかないし……私たちも行こう」


    アルミン「あぁ」コクッ…!!


    ダッ…!!
  74. 74 : : 2018/11/05(月) 19:24:47
    ーーーー


    ダダダダダダダダ……!!


    エレン「クッソオォォォ……!!!あの猫のせいだぜぇぇ!!
    こんな不気味な屋敷に迷い込んじまったのはよォォォォ!!!」ダダダダッ…!!


    アルミン「ま、待ってってば、エレン……!落ち着いて……!」ゼヒッ ゼヒッ…!!


    ミカサ「……待って、アルミン……!さっきから燭台に明かりを灯さないで走っているのに、だんだんと『明るく』なってきている。という事は……」



    ダダダダダ…!!


    パァッ……!


    エレン「ハァ……ハァ……ハァ……!」ピタッ…!!



    エレン達が薄暗い廊下を抜けるとそこは、この屋敷で最初に足を踏み入れた場所である『大広間』であった。



    エレン「やっと戻ってこれたぜ。最初の大広間に……」


    ミカサ「結局、廊下は一周して……屋敷の一階は全部回った事になるのね」


    アルミン「あぁ、もう……!さっきエレンが慌てて走っていた間の区間に鍵があったかもしれないのに……!」


    エレン「だから鍵なんて、もうどうだっていいだろ?不動産屋さんにはよォー、『鍵を咥えた猫を追いかけたけど、結局逃しちゃいました』って正直に言えば良いんだぜ。
    そもそも鍵を取られたのは、あの担当のオッサンなんだからさ……別に俺たちの責任じゃないだろ?」


    アルミン「で、でもさぁー……一度、任せてって言ってしまった以上は何だかさ……!」


    エレン「だからって、こんな気味のワリィ場所にいつまでもいれっかよ。
    なァー……?アルミンのさっきの話だと、この屋敷に住んでた貴族……『レイス家』だっけか?ソイツら絶対、相続争いか何かの内輪揉めで滅んだんだって……!この屋敷で行われた、血で血を洗う内輪揉めッ……!
    ゼッテェ何か出てくるってよぉー……!」ブルブル…!!


    アルミン「いや、だから……僕が『何か出るかも』って言ったのは単なる冗談なんであって……君がそこまで怖がるとは……」


    エレン「お前はオカルト方面に対して強いかもしれねぇが、俺がそーいうの苦手だって知ってんだろ!?幼なじみなんだしよーッ!」ガクブル…!!


    アルミン「ご、ごめん……でもさ、僕ら全員『スタンド使い』なんだから大丈夫じゃないかな?
    似たようなモンだろ?スタンドも幽霊もさ……」


    エレン「何も似てねェーよ!似て非なるモノだよ、多分ッ!
    だいたい幽霊って、スタンドで倒せるのかァァ〜〜ッ?」


    アルミン「そ、それは……」


    ドヤドヤ…!!



    ミカサ「……ちょ、ちょっと二人共」オドオド…



    エレン「〜〜……ッ!」ペチャクチャペチャクチャ…!!

    アルミン「……〜〜ッ!」ペチャクチャペチャクチャ…!!



    ミカサ「……き、聞いてない。二人共、言い合い始めると周り見えなくなるから……」ハァ…



    ミカサ(でも……アルミンの言う通り……一度、任せてと言った以上は鍵を見つけたいし…………って、ん?)チラッ



    キラキラキラ…!!


    ミカサ「あ、あれは……」



    ミカサがふと、目を向けたその先……その視線の先には、キラキラと『鍵』が光を受けていた……


    そう、彼らが探していた……猫に奪われた『鍵』であった。
  75. 75 : : 2018/11/05(月) 19:53:07
    ミカサ「エレン、アルミン!」タッ…!!


    エレン「あ?」


    ミカサ「あった……『鍵』」チャリン…!!


    エレン「!?」


    アルミン「あ、あれ……?どこにあったの?」


    ミカサ「そこの……玄関の扉のすぐ側にある柱の影。普通に落ちてあった」


    エレン「ん……なんつーか……」


    アルミン「『灯台下暗し』って感じだね……あまりに入ってすぐの所だったから……そこは詳しく探してなかったもんね」

    アルミン(わざわざ屋敷を一周して、探したのに……)


    エレン「そーいや、猫の野郎は?あんだけ走り回らせやがって……
    そこら辺にいなかったか?」キョロキョロ…


    ミカサ「……さぁ?この鍵を奪ったのは単なる気まぐれで……飽きたから捨ててしまっただけかもしれない」


    アルミン「本当に人騒がせな……」ハァ…


    エレン「ムカつくが……まぁ、いいか。何はともあれ、鍵は無事取り返せたんだしよぉー。
    よし!早く鍵返しに行こーぜ……」クルッ…


    ミカサ「……いや、待って。エレン」スッ…


    エレン「? 何でだよ、ミカサ。こんな不気味な屋敷に、もう用なんてないだろ?
    まさか、こんなジメジメした場所に長く居たいとか根暗な事言わねぇよな?」


    ミカサ「……私だってこんな所、長く居たいわけじゃないけど……」


    エレン「? じゃあ何なんだよ」


    アルミン「エレン、そこの大窓から外の様子見てみなよ……」


    エレン「あ?外の様子、だぁ……?」



    スッ…
  76. 76 : : 2018/11/05(月) 20:37:10
    –––––––––––ザアアアアアアァァァァァァーーーーーーーーーッッッ!!!!



    エレン「……ッ!」


    アルミン「いつの間にこんなに降ってたのかな?酷い雨だ」


    ミカサ「この豪雨の中、ワザワザ濡れて町中に戻る必要はない。
    まだ時間にも余裕はあるし……少しこの屋敷で雨宿りさせてもらってから、ここを出よう」


    エレン「いや……でもよ……ホラ!せっかく猫から取り返した『鍵』はどーすんだよッ。
    あの担当のオッサンも、俺たちが早く戻って来ないと心配するぜ!?」


    アルミン「それも大丈夫……ミカサ、ちょっと鍵貸して」


    ミカサ「えぇ、アルミン」スッ…


    アルミン「ありがと」チャリッ


    エレン(? 何するんだよ……?)


    アルミン「……」ズズッ…!!


    アルミンはミカサから鍵を受け取り、ソレを握りしめ……そして、拳を開いた。


    すると……


    鍵『グギ…グギギギ…!!』ボワァッ…!!


    アルミンのスタンドのオーラをまとった『鍵』が、呻き声をあげていた。


    アルミン「『テナメント・ファンスター』。鍵に意思の力を与えた」
  77. 77 : : 2018/11/05(月) 21:18:23
    鍵『グギギギィィィィ…………!あんのクソ猫めがアァァァッ……!急に僕を、こんな汚らわしい屋敷に攫いやがってェ!
    早くハウスに帰って、ふて寝してやるうゥゥッ!!!』グググ…!!


    ヒュンッ!!!


    エレン「おわわッ!」バッ…!!


    そう言い残して鍵は一人でに屋敷の窓から飛び出していった……!



    アルミン「これであの鍵は、僕らが持って行かなくても『不動産屋』に帰れる。きっと、『彼』もこんな訳の分からない場所に連れ去られて不機嫌だったろうからね……」


    ミカサ「私たちはこの豪雨が止むまで、屋敷で雨宿りさせてもらおう」


    エレン「うっ……!で、でもよぉー……だからってこんなに不気味な所に長居する事ねぇだろーが……!」


    アルミン「……エレン、そんなに怖いの?」ジィ-ッ…!!


    エレン「べッ、別に怖かねぇよ!ただ『不気味』だってだけだ!」


    ミカサ「じゃあ今から雨が止むまで、屋敷内で各自自由行動にする?」


    エレン「えっ……」


    ミカサ「私……さっきの猫、探したい。捕まえて……肉球プニプニしたい」


    アルミン「あぁ、ソレ良いね!僕もちょうど、ここに残って写真が撮りたいと思ってたんだ。ほら、カメラ持ってきた。
    『ナニカ』写るかもなァ〜〜……!」ウフフ…


    エレン「えっ……ちょっ……お前ら……!」アタフタ


    ミカサ「それじゃあね、エレン。また後で……
    雨があがったら、ここの大広間に集合って事で」スタスタ…


    アルミン「うん、またね」フリフリ


    スタスタ…!!


    エレン「えっ……お前ら……行くの……?一人で?」


    アルミン「うふふ……撮れるかなぁ、『心霊写真』……」スタスタ…

    ミカサ「肉球…肉球…肉球…肉球…プニプニ…!」スタスタ…


    エレン「うッ……!」ジリッ…!!

    エレン(い……嫌だッ!こんな薄気味悪ィ所に一人きりなんてよォォー……!)


    スタスタスタ…!!


    エレン「……あぁ、分かったよ!言えばいいんだろ、言えば!」


    ミカサ「……」ピタッ

    アルミン「……」ピタッ


    エレン「めちゃくちゃ怖いからッ!スッゲェ怖いッ!
    だからお願いしますから俺の事、一人にすんなッ!仲間だろーが、テメェラッ!!!」



    アルミン「……最初から、素直に怖いと言ってれば良いものを」


    ミカサ「……怖がってるエレン、可愛い」ニヤニヤ


    エレン「お前らって本当……!」ハァ…!!

    エレン(クッソ……俺がオカルト苦手なのを、とことんからかいやがって……)ギリッ…!!



    アルミン「それじゃあこの大広間で待つのも手持ち無沙汰だし……どっか一つ『小部屋』借りて、そこで休ませてもらおうか」


    エレン「あぁ、チクショウ……早く帰りてェ……!」ブツブツ…!!



    ーーーー


    …………
  78. 78 : : 2018/11/05(月) 22:10:23
    …………


    ーーーー



    屋敷内、謎の部屋……



    ゴゴゴゴゴゴゴゴ……!!



    鉄猫『ニャ-…!!』ヌッ…!!


    ライナー「おぉ……よしよし、戻って来たな」スッ…


    ベルトルト「ライナー、お疲れ様」


    ライナー「あぁ……ひとまずは、な。これで第1段階は終了だ。
    『エレン・イェーガー達をこの屋敷内におびき寄せた』……!」


    ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……!!


    ベルトルト「ライナーのスタンドに『鍵』を奪わせて、彼らに追いかけさせ……そして、ここまでおびき寄せた、か。
    そういえば鍵は返してあげてよかったの?」


    ライナー「アレはあくまでも、奴らをこの人気のないフィールドにおびき寄せるための『エサ』だからな。別にもう必要はないから、捨てておいた。
    ここなら、他の一般人に迷惑をかける事なく奴らと遠慮なくやり合える」ニッ


    ライナー「そしてこれは、ついでにだが……奴らの能力はだいたい、俺の猫スタンドを逃走させている最中に把握した。

    一人目……エレン・イェーガーのスタンドは、木の幹に向かってナイフを投擲してた。それだけが能力なのかは分からないがな」


    ベルトルト「……遠距離型の能力と考えていいのか?いや、あるいは……」

    ベルトルト(まだ能力を何か隠しているのか?)


    ライナー「二人目……アルミンとか言ってたキノコ頭の能力は『物に意思を与え、操る事』」


    ベルトルト「!? 何だって……?それは本当か、ライナー……だとしたらかなり厄介な敵に……!」


    ライナー「俺のスタンド越しに観察したから本当だ。
    奴のスタンドから放出する『オーラ』……アレに包まれたトラックは、まるで急に自分の意思を持ったかのように呻き出し、そして生き物みてぇに跳躍した」


    ベルトルト「……!」


    ライナー「そして、3人目……ミカサとかいうベッピンさんだが……コイツの能力は分からなかった。
    コイツの能力を引き出すように立ち回って、確認する事は出来なかった……すまない、ベルトルト」


    ベルトルト「い、いやそんな事ないよ。ライナー!
    君がワザワザ自分のスタンドを使って、おびき寄せてくれたから……今の好機があるんだよ!」アセアセ

    ベルトルト(そうだ……彼らの能力を確認出来たのだって、ライナーのおかげだ。
    スタンド戦において、相手の能力を知っている事は大きなアドバンテージになる……何故なら、その能力への対策を練れる訳だからね。

    しかし一方で、エレン・イェーガー達は僕ら2人の能力を全く知らない……!
    そうだ、これは完璧に勝てる『形』だ……!)
  79. 79 : : 2018/11/05(月) 22:16:52
    ベルトルト「それに比べて僕は……情けないよ。臆病だし、泣き虫だし……君の背中にくっついて闘ってるだけだ。
    だから他の仲間からも『腰巾着』って呼ばれるんだ……』ブツブツ…!!


    ライナー「……また、そうやってジメジメしやがって」ハァ…


    ベルトルト「ご、ごめん……!」


    ライナー「いや、いいんだ。謝んな。確かにオメェは臆病だし……病的なくらい慎重だし……ジメジメした性格をしているが、逆に考えるんだ。
    それがお前の一番の『長所』だろ?」


    ベルトルト「ライナー……」

    ベルトルト「それ、褒めてるの?」


    ライナー「褒めてるっての!例えば見てみろ、今日の天気」ガラァッ…!!



    ザアアァァァァァァァッッ……!!!



    ベルトルト「……雨だ。ジメジメしてる。僕みたいだ」


    ライナー「あぁ、そうだ。雨ってのはジメジメしてる。フツーの奴らならこんな天気、憂鬱でしょーがねぇだろうがよー……」


    ライナー「だが、ベルトルト。こういう天気の日……『雨の日』なら、お前のスタンド能力はフルパワーで使えるだろ?」


    ベルトルト「……!」


    ベルトルト「……まぁね」



    ゴゴゴゴゴゴゴゴ……!!



    ライナー「だろぉ?お前は確かに、地味で目立たねぇ……まぁ、いわゆる根暗って奴だろうが、だからこそソレが良いんだぜッ。
    根暗だからこそ、他の奴らが『マイナスだ』と思うものを、有益に使う事が出来る。『嫌な雨の天気』を自分の味方につける事が出来る!」


    ベルトルト「……ライナー」


    ライナー「そういう所なんだぜ。俺がチームのリーダーをやってて……お前を『右腕』にしてんのはよォォーッ」


    ベルトルト「そうだ……!」スクッ…

    ベルトルト(臆病で、心配性で、慎重な……『後ろ向き』な性格でもいい。
    だからこそ、僕は世の中の『マイナスな物』の性質が分かるし、武器にする事が出来るッ!)



    ゴゴゴゴゴゴゴゴ……!!



    ライナー「作戦は『第2段階』に入ったぜ、ベルトルト。もはや逃げ場の無くなったエレン・イェーガー達を囲い込み……奴らを『再起不能』に追い込む!
    そして俺たちは、イェーガーから『グリシャとゲネェラの死の真相』について聞き出さなくてはならないッ!!!」



    ーーーー


    …………
  80. 80 : : 2018/11/09(金) 19:01:40
    …………


    ーーーー



    屋敷内、一階……とある部屋。エレン達……



    …ザアアアァァァッ……!!



    エレン「……」セッセ セッセ…!!


    アルミン「……」


    エレン「……」オリオリ…!!


    ミカサ「……」


    エレン「……」キュッキュッ


    アルミン「う〜ん……あれから、かれこれ一時間は待ってるけど……」


    ……ザアアァァァァァァァ……………ッ!!!


    ミカサ「止まないわね、雨」


    アルミン「だね」


    アルミン「……そして、エレンは」チラッ…


    エレン「あ?」セッセ セッセ…!!


    アルミン「何をしているんだい……?さっきから、一人で机に向かって……忙しそうに」


    エレン「見りゃあ分かんだろ。『テルテル坊主』作ってる。
    ……よし、5つ目完成」キュッ


    ザアアアァァァッ……!!


    ミカサ「……」


    エレン「こんな気色ワリィボロ屋敷に何時間も、雨宿りだなんてたまったモンじゃねぇよッ。
    コイツら吊るして、『晴れさせる』。そしたら、こんな所とっとと脱出だぜ!
    ホレ!オメェらも手伝えよ」ヒョイッ…!!


    アルミン「え……あ、あぁ。うん、そういう事……」スッ…


    ミカサ「まぁ……どうせ暇だし」


    アルミン(……ていうか、雨を止ませる為に『テルテル坊主』って……)プッ…


    ミカサ(エレン……可愛い)
  81. 81 : : 2018/11/09(金) 19:25:33
    エレン「目標は100個だかんな!しっかり『雨が止む』ように想いを込めて作れよ!」セッセ セッセ…!!


    アルミン(そんだけ作ってたら、その間に雨あがりそうだけどなぁ……)


    ミカサ「それにしても……テルテル坊主って、何でこういう風なの?」


    アルミン「? 『こういう風』って?」


    ミカサ「布に丸い物をくるんで……それを『人』に見立てるっていうのは分かる。
    でも『吊るす』のは?何でワザワザ……
    作って飾ってるだけじゃダメなの?」


    エレン「確かになー。だが、そんな事はどうだって良いだろうが。『吊るす』って言ったら『吊るす』んだよ。そういうモンなんだぜ、きっと」


    ミカサ「だから……それが何で『そういうモン』なのか、って」


    アルミン「予想だから何とも言えないけど、テルテル坊主のルーツは『生贄』だからじゃないの?」


    ミカサ「イケニエ?」


    アルミン「ほら、テルテル坊主ってさ。こーやって窓際に吊るしてみるとさぁ……」スッ…


    テルテル坊主「」プラ-ン


    アルミン「首に紐括って自殺してるみたい」


    ミカサ「あぁ……確かに」ポンッ


    エレン「……!」ピタッ


    アルミン「大昔、豪雨が続いて水害を被った土地とかでさぁ、大雨を鎮める為の生贄だったんだよ。きっと。
    神さまの生贄として人を何人か吊るして、ね。『テルテル坊主』はその名残」


    ミカサ「あ、ありそうな話……」フム…


    エレン「……ッ!」ガクガクガク…!!


    アルミン「それで生贄として吊るされた人の怨念が、『テルテル坊主』に乗り移って人間達に復讐をしたり……なーんてね、ククク」


    エレン「……」ピタァ-ッ…!!


    アルミン「……って、あ……しまった」


    ミカサ「エ、エレン……?大丈夫?コレはただの作り話で……」アセアセ…


    エレン「……よし、お前ら。テルテル坊主作るのはそろそろ止めよーぜ」ポイッ


    アルミン(あっ、テルテル坊主捨てた)

    ミカサ(あんなに大事にしてたのに捨てた!)
  82. 82 : : 2018/11/09(金) 19:58:08
    エレン「……チェッ。暇つぶしも兼ねての事だったのによー」


    アルミン「ぼ、僕余計な事言っちゃったかな」


    エレン「別に良いっての。そりゃ俺だってテルテル坊主で雨が止むだなんてマジに信じてる訳じゃねぇーし……
    ただの気休めと暇つぶし」ゴロン


    そう言って、エレンは薄汚れたソファーに寝転がった。


    アルミン「……だねぇ。雨もいつ止むか分からないし。今日の所はもしかしたら、エレンの『部屋探し』無理かもね……時間的にもさ」


    ミカサ「だったらモーリスの宿にでも一泊すれば良い。お金は多めに持ってきたし……明日も休日」


    アルミン「ていうか、この豪雨が深夜まで続くとすると雨宿りどころか、ここで一泊する事になりそうだけどね」ニガワライ


    エレン「ハァ!?ソレだけはゼッテェ嫌だかんな!例えどんなに嵐になろーと、夕方までには絶対ここ出るからな!」


    ミカサ「でも、ここ……廃墟とは言え『設備』としては十分だし、一泊くらいなら出来ると思う」


    アルミン「この部屋は、客人のための『宿泊部屋』だったのかな?ベッドもあればソファーもある。
    確かに汚いけど……僕、使い捨てのブルーシート持ってきたから大丈夫だよ。これを敷けばいい」ヒラッ


    エレン「……お前って本当用意いいな」


    ミカサ「シャワーと水道もあって……『水』は通ってるみたいだし」


    エレン「マジかよ?電気は通ってなかったのに、『水道』は通ってるのか?」


    ミカサ「えぇ。さっき調べてきた。部屋の入り口側にシャワー室がある」コクッ


    エレン「へぇ……」

    エレン(まぁ、確かに……流石は元貴族家の屋敷っつーか……内装自体は豪華なんだよな。
    ボロいし不気味だけど……)


    ミカサ「だから大丈夫。万が一の場合は、ここで一泊できる」


    エレン「……いや。だからって……!そういう問題じゃねぇーだろうがよぉ……!」ブツブツ…!!


    アルミン「あはは。大丈夫だって!夜になったって幽霊なんて出ないから!」


    エレン「……昼でさえ、この物々しさなんだぜ?お前……ソレが夜になったらよぉー……もう……!」ブルルッ…!!


    アルミン「それに僕……一度は廃墟に泊まってみたいと思ってたんだよね」ワクッ


    エレン「それはオメェの都合じゃねぇか!」
  83. 83 : : 2018/12/01(土) 15:41:30
    ザアアアァァァァァァッ……!!


    エレン「! ん……?」チラッ


    ミカサ「? どうしたの?エレン」


    エレン「いや……何か、急に雨音が強くなった気がしてな」


    ザアアアァァァァァァッ……!!


    アルミン「……そう?確かに、東南アジアのゲリラ豪雨がずっと降り続けてるみたいに凄い勢いだけど。これ以上に降るものかな?
    あ、いやでも確かにさっきより少し強くなったよーな」


    ……ザアアアアアアァァァァァァァ----ッ…………!!


    エレン「まぁ、別にどっちでも良いけどよ」

    エレン(どうせ、この豪雨も通り雨みてぇなもんだろうし。流石にここで一泊しなくちゃならねぇ、って事にはならないだろ)


    エレン「つーか、よく見るとそこにテレビ置いてるじゃねぇか(かなり古い型だけども)。
    暇だしチャンネル回せよ。この豪雨の情報も分かるかもしれねぇ」


    ミカサ「……さっきも言ったけど、電気は通ってない。
    水は通ってるけど」ハァ…


    ザアアアアアアアアアアアァァァァァァァッ……!!


    エレン「あっ……そういやそうだったな」ポリポリ


    アルミン「付けてみれば?砂嵐(スノーノイズ)の中から、髪の長い女の人でも出てくるかもよぉ?」ククク


    エレン「いや……だからさ……頼むから、そういうのやめてくれねぇか?
    少なくとも今日はよォ……」ハァ…


    ミカサ「私もそう思う。そろそろエレンが可哀想……」stop!!


    アルミン「うっ……ご、ごめん。調子に乗り過ぎた」シュン…

    アルミン(そうだよね……僕が悪かった。エレン……ただでさえオカルト苦手なのに、今日は事故物件やら廃墟やら……)


    ザアアアアアアアアアアアァァァァァァァッ……!!


    アルミン(それに、たった5日前……グリシャ先生が死んだばかりなんだ。心が疲れているに決まってる。
    エレンもミカサも気丈に振る舞ってるけど、それを良い事に僕ときたら、幽霊やら何やらって下らない事ばっかり……いくら自分の趣味だからって調子に乗りすぎた)


    ザアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアァァァァァァアアアァッッッ…!!


    アルミン(自粛しなきゃな……)スクッ…




    ーーーーザアアアアアアアアアアアアアアアァァァァァッッッ…………!!!!




    アルミン「……ん?」クルリ…




    ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ………!!!
  84. 84 : : 2018/12/01(土) 15:58:30
    ザアアアァァァァァァッ……!!


    アルミン「ね、ねぇ。二人共……」


    エレミカ「?」


    アルミン「さっきから僕たちは『もの凄い豪雨だなぁ』って思ってたかもしれないけど違うよ。
    これは屋敷の外からだけの音じゃない。中からもだ。中からも水の打ちつける音が聞こえる」


    ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……!!


    エレン「ん……」

    ミカサ「言われてみれば」スッ…



    ーーージャアアアアアアアアァァァァァ……ッ!!



    エレン「確かにそうだな。耳を澄ましたら聞こえてきたぜ。
    部屋の入り口側の方からも、音が聞こえてくる」


    アルミン「さっき水が出るかどうか試してた時、シャワーでも止め忘れたかな?」


    ミカサ「確か私が止めたと思うけど。ごめんなさい、覚えてない」


    アルミン「いくら廃墟とは言えども、水を無駄にする訳にはいかないし。僕、確かめてくるよ」スッ…


    エレン「おっ。サンキューな、アルミン」


    アルミン「うん」
  85. 85 : : 2018/12/03(月) 11:26:38
    スタスタ…


    ジャアアアアアアァァァァァ……………


    アルミン(……これ最初に調べた時、止め忘れてそのまま放ったらかしにしてたって事は相当だよな。
    一時間半近くはシャワー出しっぱ、って事か。ここが廃墟じゃなかったら、かなり水道料金取られてるなぁー)スタ…スタ…


    ジャアアアアアアアアアアアアアアアアァァァァッ………!!


    アルミン(ていうか僕ン家は大丈夫だっけか?水道閉め忘れてなかったっけな。遠出すると、こういう事が気になってしょうがないんだよねぇ)スタ…スタ…



    アルミン「さて……」ピタッ


    シャワー室の前だけど……



    ……ジャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアァァァァァァァァァッッッッ!!



    何だか、やけに水の流れる音がデカイな……シャワーってこんなに勢い良く出るものか?



    ーーージャアアアアアアアアアアアアア………ッッ!!!!!



    アルミン「……」



    ドドドドドドドドドドドド………



    アルミン(まるで、シャワー室の中に雨でも降ってるみたいだ……!)スッ…



    ガチャッ…………!



    アルミン「…………ッ!?」バッ



    ドドドドドドドドドドドドドドドド!!!



    ……これはッ…………!?
  86. 86 : : 2018/12/03(月) 11:37:28
    ……


    「エレンッ、ミカサァーッ!こっちにきてくれ!早くッ!」




    エレン「!」バッ


    ミカサ「アルミンの声!?」


    エレン「シャワー室の方からだ……何かあったのか?行こうぜ」


    ミカサ「えぇ!」コクッ


    ダッ……!!




    ドドドドドドドドドドドドドドド……!!


    バンッ!


    エレン「アルミン!どうした?何があったんだ?」バッ


    アルミン「エレン……ミカサ……」スッ…


    ミカサ「!?……何……?これ……誰の仕業……?」




    ジャアアアアアアアアアアアアアアァッ!!!



    アルミンが指差した先……小部屋に取り付けられているシャワー。


    それを見て2人は驚愕した……!



    ドドドドドドドドドドドド……!!


    エレン「何だァ……?シャワーを止め忘れたどころじゃあねェー……!
    シャワーが水を供給されているパイプ自体から『切断』されているだとおォォォッッッ!!!?

    そして切断された所から勢いよく……滝が岩を打ちつけるみてぇに!滅茶苦茶に溢れ出しているぞおおぉぉぉッ!?」



    ドォーンッ!
  87. 87 : : 2018/12/03(月) 11:48:11
    ドジャアアアアアアアアァァァァッ……!!


    アルミン「道理で音が激しいと思ったんだ……!パイプごと『何者か』によって切断されていて、そこから水が溢れ出しているッ……!」


    ミカサ「『何者か』って……ソイツは誰?この部屋に誰かが入ってくる気配は無かった。そしてソイツは何のためにこんな事を……?
    いや、それよりも!この部屋には私たちしか居なかった。
    なのに何者かが侵入して『このパイプを(理由は分からないが)切断したッ!その事が一番重要……!」ゴクッ…!!


    エレン「そうだぜ、アルミン!この部屋には俺たちしか居なかったんだぜ!?
    まさかお前、また俺ン事からかうつもりでこんな下らない事したんじゃあねぇだろうなぁー?」


    ドドドドドドドドドドド!!


    アルミン「だとしたら、僕はよほど性悪な人間だねぇー……ッ!……いや、今この場合においてだけは僕の性格が悪いってだけで解決すれば良かったよ……!

    この事が示す事実は……何か不気味だぞ……!『この部屋には僕ら3人……それ以外にも何者かが潜んでいる』ッ!」


    ドドドドドドドドドドドドドドドド……!
  88. 88 : : 2018/12/03(月) 12:10:40
    エレン「クッソ!居るとしてよォーッ……ソイツはナニモンだぁーッ?何のためにパイプを切断して水を溢れさせた?そんな事して何か得になんのか?
    まさか本当に幽霊のイタズラとかじゃねぇだろうなぁ……?」ブルブル…!!


    ジャバババババババァァァァッ……!!


    アルミン「まさか……幽霊なんて馬鹿馬鹿しいよ……!」


    ピシッ…ピシピシッ…!!


    ミカサ「……?」


    アルミン「幽霊はパイプを切断するだなんて、そんなパワフルなイタズラはしないだろうしね……」


    ピシッ……ビシッビキッ……!!


    ミカサ(何か……)


    ビキビキビキビキビキィィィィッ!!!


    ミカサ(何かマズいッ!)


    ドドドドドドドドドドドド!!!




    …キラッ


    ミカサ「!」バッ!!

    ミカサ「アルミンッ!何か来るッ!避けてッ!!」


    ヒュンッ…




    アルミン「え?」サクサクサクウゥッ…!!


    ミカサ「!?」




    ドドドドドドドドドドドド……!




    エレン「アルミン!?オメェどうしたんだ、その目ッ!?一瞬で血塗れに……ッ!!!」


    アルミン「うぐッ……うぐわアアアアアァァァァッ!!!」ダラアアァァッ…!!


    ツ-…!!


    ドドドドドドドドドドドド……!



    アルミン「な、何が……何が起こったんだ!?一瞬過ぎて分からなかった……!一瞬で僕の右目に何かが刺さって、そうして血が出てきたッ」ブシュウッ…!!


    ミカサ「私は見えた……!」


    ジャバババババババァァァァッ……!!


    ミカサ「『氷柱針(ツララバリ)』……!」


    エレン「……は?」


    ミカサ「パイプから溢れ出して勢いよく叩きつけられている水滴……その飛沫がアルミンの所までに飛んでいく途中で『固体化』して……それが氷柱針のように目玉に突き刺さった」


    エレン「あッ……!」


    ドドドドドドドドドドドド………!



    エレンがアルミンの目をよく観察してみると、確かにそこには刺さってあった……!


    超極小の……まるで裁縫に使うマチ針のような氷柱針が何本もッ!アルミンの右目を突き刺しているッ!


    アルミン「うぐッ……!」ベチャア



    その氷柱針はやがて溶解し……血と混ざり合い、血涙のようにアルミンの頬を流れ落ちた……!
  89. 89 : : 2018/12/03(月) 12:28:33
    ジャバババババババァァァァッ……!!


    エレン「うおおぉッ!アルミイイィィンッ!」


    ミカサ「待ってて!今すぐ手当を……!」バッ!!


    アルミン「いや……これくらい大した事ないよ……ちょっぴり眼球がしみるけど、アハハ……!左目は無事だから何とか大丈夫」ズキズキ


    エレン「クッ!」


    ピキッ…ビキビキッ…!!


    アルミン「ハッ……!」バッ!!

    アルミン「僕の事よりッ!そんな事より早くッ!!!またアレが来る……!
    また飛沫が針のように固形化して襲ってくる!」


    ヒュンヒュンヒュンッ!!


    ミカサ「! 2人とも!早くシャワー室から出て扉を閉めてッ!」



    エレン「おう!」ダッ…バタンッ!!



    ドガドガドガドガドガアァァァァッッ!!!



    エレン「……ッ!」


    アルミン「はぁ…はぁ…!」


    ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド!!


    エレン「何とか扉を閉めて逃げれた……が、この勢い……かなりヤベェぞ……!
    このままだと、こんなボロい木製の扉…氷柱針に壊される……!長くは持たねぇぞ……!」



    ミカサ「『水飛沫が針のように固体化して私たちを襲ってくる』というこの不可解な現象」


    アルミン「間違いない。僕らは今、スタンド攻撃を受けているッ!」


    ドドドドドドドドドドドドドドドドド……!
  90. 90 : : 2018/12/03(月) 12:38:52
    ミカサ「誰が!?何のためにッ!?」


    エレン「んな事ァ今どうだっていいだろうがッ!そして、言わんこっちゃねぇぇ……ッ。見ろ……やっぱりこの扉、全然役に立たねぇ。盾としてなあぁ……!」チラッ…!!


    アルミン「えっ……」


    エレン「シャワー室内で暴れ回ってる氷柱針が扉を破壊してくるぞおおぉぉぉッ!お前ら伏せろおおおォッ!」バッ!!


    ドガッ…ドガッ…バキバキッ……!!


    ドオオオオオオオォォォォッッッ!!!


    シャワー室の扉が破壊され!氷柱針がエレン達を襲いに飛来するッ!!!


    ヒュンヒュンヒュンッ!!!


    アルミン「ッ!うわああああァァァァッ!!」ザシュザシュザシュウゥッ!!


    ミカサ「クッ……!」ピュッ…!!


    エレン「うおっ……!うおおおぉっ……!」ビシュッ!!ビシュビシュッ!!


    ヒュンヒュンヒュンヒュンッ…!!


    エレン(ダ……ダメだ!飛んでくる氷柱針の数が多過ぎる……!伏せたくらいじゃあ躱せねぇ)
  91. 91 : : 2018/12/03(月) 13:18:48
    エレン「もう外が土砂降りの大雨だとか言ってる場合じゃねぇよなぁ?今すぐ、この部屋から出るぞ!早く扉を開けろ!」バッ!!


    ミカサ「もうすでに試みてる!だけど……!」


    ガチャッ!!ガチャガチャッ!!


    ミカサ「これもまた『何者か』ッ!何者かによって鍵に細工をされている!扉を開ける事が出来ないッ!」


    エレン「……ッ!だったら、とっとブチ壊せッ!
    お前のスタンド能力……『アルカディア』で!!」


    ミカサ「……!」


    ヒュンヒュンヒュンヒュンッ…!!


    ミカサ「クッ……!」

    ミカサ(こうしている間にも後ろでは氷柱針が飛び回ってる……いくら廃墟とは言え、あまり物を壊すような乱暴はしたくなかったけど……止むを得ない)グッ…!!


    ミカサ「『アルカディア』ッ!」


    ズギュンッ!!




    『……』ズズズウ…!!


    『アルカディア』……そう名付けられたミカサのスタンド能力は、彼女の背後に圧倒的な存在感を放って佇んでいた。



    『アルカディア』は、その使い手である17歳の少女、ミカサ・アッカーマンのしなやかで繊細な身体には不釣り合いな、屈強な姿である。



    全長2メートル程の完全な人型スタンドで、そのスマートながらもがっしりとした骨格を覆う筋肉は隆々として逞しい。



    黒髪は荒々しく逆立ち、体表には螺旋をモチーフとした装飾で彩られている。


    両手に装着しているグローブの甲は岩石のようにゴツゴツとていた。


    その外見は、まるで究極の肉体美を追求したギリシア彫刻作品群のようであった。



    『アルカディア』の横にミカサが並ぶと、まるで彼女は屈強な戦士によって守られる可憐で、か弱い少女のように思えるが実は違う。


    その雄々しいスタンドの姿は彼女の精神のヴィジョンでもあり、そして彼女自身の肉体に凝縮されている圧倒的な戦闘力の表れでもあるのだ。
  92. 92 : : 2018/12/03(月) 13:54:35
    ミカサ「『アルカディア』!扉を破壊してッ!」


    アルカディア『SYYAAHッ!!』ブンッ…!!


    ガキイィンッ…!!


    アルカディア『……』


    ミカサ「……?」

    ミカサ(扉が壊れない……?)


    ゴゴゴゴゴゴ…!!


    ミカサ「いや、そんな事……もう一度ッ!」


    ブンッ…!!



    しかし……!



    ガキイイィィィン……ッ!



    ミカサ「何で!?壊れないッ?こんな廃墟の扉……こんなボロボロの……木造で、しかも腐りかけのッ!こんな扉ッ!」


    アルカディア『SYYYYYYAAAAAAAAAAAAAAAHHHHHHHHH!!!』ヒュンヒュンヒュンヒュンッ…!!


    ガキガキガキィッ!!ガキイイイイイィィィンッ!!!!


    ミカサ「何故!?どうして壊れないの!?こんなにも喰らわせているというのにッ!!!」


    ドドドドドドドドドドドド………!



    エレン「ミカサァ!早くしろッ!これ以上は無理だッ!耐えられねぇッ!
    さっきから俺とアルミンのスタンドを使って、襲ってくる氷柱針を撃ち落としているがッ!ガードし切れねぇッ!ガード出来ない分は少しずつ負傷をしている!」ザシュウッ…!!


    アルミン「早く扉を破壊してくれッ!」ビシュッ…ビシュビシュッ…!!


    ミカサ「やっている!だけど……!」


    アルカディア『SYYYYYYAAAAAAAAAAAAAAAAAAAHHHHHHHHH!!!』ドゴドゴドゴドゴォッ!!



    エレン「ッ!?嘘だろ……!」


    アルミン「ミカサの攻撃が……!」


    ガギガキガキイィィィンッ!!!


    エレン「全然効いていねェッ!あの扉ッ!『無傷』だとおおォッ!?」


    ドドドドドドドドドドドド……!



    ミカサ「何故かは分からないけど、扉に全くダメージが与えられないッ!拳が弾かれるッ!衝撃さえッ!
    たかがボロボロの扉だというのに……私の全力の攻撃を、まるでコンコンとノックされているのと同じような感じで受け続けているッ!」
  93. 93 : : 2018/12/03(月) 14:38:11
    アルミン「ならば廊下じゃなくてもいいッ!扉を壊して廊下に逃げる事は諦めて、『隣の部屋』に逃げようッ!
    壁をブチ抜いて隣の部屋に逃れるんだ!」


    ヒュンヒュンヒュンヒュンッ…!!


    ミカサ「それも試した!もちろん床も……!だけど破壊できなかった……
    つまり、この部屋全体……傷一つつかない鉄壁の小部屋という事ッ!」


    ドドドドドドドド……!


    エレン「……んだと!?俺たち3人の中で一番の破壊力を持っているミカサのスタンドでさえも……!異常だ……たかが、廃墟の扉なのに。っつー事はよぉー……」


    アルミン「これもスタンド能力だ。『水飛沫を固形化させて飛ばしてくる』能力以外にも……!
    もう一つ別の能力が潜んでいる……『物を超硬質化させる』能力……?」


    ヒュンヒュンヒュンヒュンッ……!


    そうこうしている間にも、パイプから床に叩きつけられた水飛沫が氷柱針となってエレン達に襲いかかるッ!


    ドォッ!


    エレン「クッ……!」ビシュッビシュッ!!


    アルミン「……この部屋から出られないんだったら仕方ない。
    取り敢えずはこの氷柱針にダメージを与えられっぱなしじゃジリ貧……
    でも、僕たちのスタンド能力は幸いにも全員『近距離パワー型』なんだ」


    エレン「つまり……!」ブンッ…!!

    ミスファイア『オラオラオラァッ!』バシバシバシィッ!!


    エレン「スタンドを使えば、ある程度は氷柱針を弾いて身を守る事ができる。
    お前も早くスタンドを繰り出して、手伝ってくれ!2人だと流石に弾き切れないのがあってかなりキツいんだよッ!」


    ミカサ「えぇ……分かった」コク…!!



    ミカサ「『アルカディア』!」ズキュンッ!!


    アルミン「『テナメント・ファンスター』!」ズッ!!


    エレン「『ミスファイア』ッ!!!』ギュインッ!!



    ミスファイア『オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラ……!!!』ドゴドゴドゴ…!!

    テナメント・F
    『WOOOOOOOOOOSHAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!!』ドゴゴトゴ…!!

    アルカディア『SYYYYYYYYYYYYAAAAAAAAAAAAAAAAAHHHHHHHHHH!!!』ドゴドゴドゴォッ!!



    ドォッ!!!
  94. 94 : : 2018/12/03(月) 15:18:58
    バシバシバシィッ!!



    エレン達は自らのスタンドの拳で、向かってくる氷柱針を弾き飛ばす。


    しかしそれでもやはり、ガードをすり抜けた氷の塊が彼らの頬や腕、脚などを傷付けながら確実に疲弊させていくのだ……!



    ドドドドドドドド……!



    ミカサ「クッ……!」ビシュッ…ビシュッ…!!


    エレン「いくら3人とは言えどもこれだけの数は、やはり……!
    いつまで、これを続けてりゃいいんだ?そうこうしている間にもシャワー室のパイプからは水が溢れ出て、そしてそれが『氷柱針』と化して俺たちを襲うッ!キリがねぇ……!
    だからと言ってこの部屋から出る事すらできねぇのに……!」バシバシバシィッ!!


    アルミン「いや……一つだけ、この部屋から脱出する方法がある」


    エレン「!? 何言ってんだ、アルミン!さっきも見ただろ。ミカサの『アルカディア』でさえ、この部屋の壁や床をブチ抜けないんだぜ!?
    俺たちのスタンドで壊せる訳……!」


    アルミン「『壊す』とか『壊さない』とか……そういう話じゃないよ、エレン」


    エレン「!?」


    ヒュンヒュンヒュンッ…!!


    アルミン「この部屋の奥……『ガラス窓』があるだろう?そこから外へ脱出する。外は豪雨だけど……そんな事も言ってられないしね、それが一番手っ取り早い」


    ミカサ「だけど……敵の能力は何もかもを、まるでダイヤモンドたっぷりの鉄板のように『硬質化』させている……例えモロい木製の扉でさえも。
    それは例えガラス窓だって例外じゃないはず……!」


    アルミン「あぁ、確かにね……でも、あそこにあるガラス窓は戸が開いていたんだ。今はカーテンがしてあって見えないけど」


    ミカサ「!……戸が元々『開いている』んだったらどんなに能力で硬くなっていても関係ない。
    そこから脱出できる……!」


    エレン「よっしゃ!そんなら、この部屋の奥にある『ガラス窓』までたどり着けば良いわけだな?そこまで慎重に、なるべく致命傷を負わねぇようにスタンドで氷柱針を防御していけばよおォーッ」ガッ!!


    アルミン「あぁ」ニッ


    エレン(まさに『暗闇に光の道が出来た』って感じだ……アルミンの指示はな……!
    どうしようも無く防戦一方の状況下で、打開の抜け道を示してくれる。全く頼りになる奴だぜ……!)
  95. 95 : : 2018/12/14(金) 18:38:03
    期待!

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Anjelina

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