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スノードロップの希望

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  1. 1 : : 2018/01/27(土) 14:59:39











































    あなたは、希望という言葉を信じられますか?




























  2. 2 : : 2018/01/27(土) 14:59:58
























  3. 3 : : 2018/01/27(土) 17:04:48







    今年のイギリスの冬は異常だ。平年より2倍の雨が降ったのだ。






    イギリスには四季が存在するが日本の「梅雨」やタイの「雨季」のような「一定期間に雨が多く降る」という気候は存在しない。言い方を変えれば常に一定量の雨が降る気候だ。だから平年の2倍の雨が降るなど通常ではありえないのだ。








    おまけにその雨のせいで気温はぐっと下がり、一日を通してひどく冷え込んだ。





    スーパーマーケットでは紅茶やホットコーヒーが売れ、レストランには日本から流通してきたラーメン店に客がなだれ込んだ。





    11月の中旬からこの異常気象は起こり、年があけてもなお、お天道様がロンドンへ顔を見せることはなかった。
  4. 4 : : 2018/01/27(土) 17:30:09




    大都市、首都 ロンドンでビッグ ・ベンの鐘が鳴る。正午を知らせる鐘だ。私はその響き渡る音色を聞きながらビッグ・ベンを通過する大路地を歩いていた。


    今日は雨。といってもやや弱めの方だろうか。横をすれ違う通行人は片手で傘を指しながらも手を震わせながら歩いている。それをみた私もつい同情する気持ちを寄せていた。


    「カナ〜!」


    後ろから私を呼ぶ声がする。振り返ると一人の金髪の女の子が傘をさしながらやや早歩きでこちらに向かってきた。


    「メイ!久しぶり!!」


    私はすぐにその正体がわかった。私がここ(イギリス)に来て初めてできた友達だと。メイは満面の笑みを浮かべている。


    「ほんとだよ!また会えて嬉しいよ!!いつ戻ってきたの?」


    「さっきロンドン空港に着いて、これから大学に行こうかなって思ってたの」


    「私も一緒に行く!また日本のお話が聞きたい!!」


    「おーけい!またたくさん話してあげる!」


    その親友の再開の嬉しさに私は寒さなど忘れていた。



    私とメイはキングス・クロスから4番ホームの電車に乗りこみ、大学を目指した。
  5. 5 : : 2018/01/27(土) 18:29:27






    私は「花菜」。去年、イギリスの名門校「ケンブリッジ大学」に入学した大学生。

    もちろん、出身は日本。





    父親は東大医学部を卒業した名門医師、母親は税理士。両親共に共働きでほぼ一日家にいない日々であった。


    一人っ子の私は常に祖母の家に預けられそこで高校卒業まで暮らした。






    私は動物や植物が大好きだ。
    犬や猫はもちろん、兎や馬にも積極的に挨拶をしていくタイプだ。



    いつかそんな動物たちを助けたいという願いを持ち、獣医師になろうと決めた。






    私は必死の勉強でギリギリで日本獣医生命科学大学に入学。
    その半年後にカリキュラムの講座でケンブリッジ大学の獣医学のカレッジの紹介を見てそこに入学したいと考えていた。







    しかし、イギリスの留学には英語の知識と莫大なお金が必要であった。

    両親には絶対反対されるという気持ちを抱えながら私は二人にそのことを話した。




    その夢を絶対に叶えるという彼女の意志を理解した両親はそれを承諾。




    私もその期待に応えられるよう英語と獣医学の勉強、検定に積極的になりケンブリッジ大学の受験に合格した。







    入学式にはもちろん両親は出席しなかったものの、初めて私に話しかけてきてくれたのがイギリスの高校から入学してきたメイだった。


    すぐに気があった私たちは寮生活や休暇でも常に側にいるような親友関係まで発展していた。
  6. 6 : : 2018/01/28(日) 23:00:43



    「イギリスはずっと雨なの?」


    真っ白に曇った窓ガラスを眺めながら私は親友に問いかけた。

    雨による湿気と冬の寒さ、体の芯まで温まる電車の暖房の熱気でどこの車両も窓ガラスは雪の結晶のように白く曇っている。


    どこを走っているのか、何の景色が見えるのかさえ全くわからないほどだった。幾度かロンドンに行く時にはこの電車を使っている。その時見たイギリスの素晴らしい世界を私はこの目に焼き付けているが、どうも今日は思い出せない。



    「うん、ここずっと。晴れた日は5日ももないほどよ」



    私が冬休みを利用して一度帰国する前から今のイギリスの異常気象は始まっていた。



    私が戻ってくる頃にはもう終わっているのだろうと思っていたが、まさかまだ続いていたとは。



    「日本はどうなの?こっちと同じ?」


    「ほとんど晴れだったよ。大晦日はほんの少し雪が降ったけどね」



    大晦日に東京ではほんの数分だが雪が降った。異例の気象に人々は驚きを示した。




    スマートフォンを片手に雪が降る空をカメラで撮ってはTwitterやInstagramにその様子を投稿した。


    東京ビッグサイトにも雪が降り、そこで行われていたコミックマーケットの参加者はSNSを通じて「ホワイトコミケ」と称していたり。

    私もその雪が降る光景を同じ東京で目にしていた。



    「晴れたんだ!アメリカやフランスも晴れたって天気予報で言ってたしやっぱここだけなのかな〜ずっと雨なの」



    メイは厭わしい表情を浮かべながらハーっとため息をついた。私も彼女の気持ちに同情する。




    イギリスの気象庁(UKMO)によれば低気圧と前線の停滞が異常気象を発生していると好評している。


    が、低気圧が2,3ヶ月もずっとイギリスに停滞しているというのは地学上全くありえない話なのだ。

    今も調査、議論を続けているが現状不明のことらしい。
  7. 7 : : 2018/01/30(火) 01:04:50




    「早く止むといいよね〜」


    「ね、ほんと。去年はこんな雨降ってないよ〜」



    長い列車の旅ですこし体が訛ったメイは座ったまま、ぐっと背伸びをした。私も彼女を追いかけるようにぐっと背伸びをした。


    静寂な雨の中を列車は力強く進む。真昼間の乗車だったので乗客はわりと少なく、比較的静かであった。その真昼間であっても気温は午前と変わらず、凍てつく冷気と止まない雨でイギリスの人々は震え上がっていた。



    「ほんと、日本っていいところだよね。私も行ってみたいなあ〜」


    「イギリスもいいところだよ!地元の人は優しいし、ご飯は美味しいしで」


    「日本はもっと凄いよ!!私、絶対外国に行くなら日本がいい!カナと一緒に日本を歩きたい!!」




    メイは日本がとても大好きだ。テレビや世界新聞を通し日本の知識を日々蓄えているという。


    好きな食べ物ももちろん日本食。意外にも「ラーメン」が好きで、父が視察で日本からお土産で買ってきた「博多ラーメン」が特に大好物だそうだ。



    メイは5歳から独学で日本語を取得し、私と普段の会話を交わせるまで上達している。そのせいか、普段話す母国の英語には時々戸惑いが生じるところが見られる。


    私自身もこのイギリスで唯一、母国語で話せる相手はメイしかいない。

    彼女が日本が大好きという理由で日本語の勉強をし話せるようになったという話を聞いた時は、正直驚いた。当時、留学直後の時、硬い口をなんとか動かして片言になりながら遅く英語の単語を吐き出す私。それなのにメイは、私の唇に指の先をあてて優しく「日本語で大丈夫」と言ってくれた。本当に嬉しくて、感謝しかなかった。そして少し、恥ずかしかった。



    私も彼女と共に日本を回りたいという気持ちは強い。

    だが、メイの家庭はかなり厳しい環境らしく、大学への支払いでやっとのことらしい。そのため、日本に行きたくても飛行機を出すお金すらないので夢で終わってしまうのだという。



    「次は、ケンブリッジ。ケンブリッジ」


    男性車掌のアナウンス。目的地のケンブリッジは次のようだ。



    私とメイは立ち上がり、再び訛った体を起こすように背伸びをした。ドアの前に立ち、到着を待った。
  8. 8 : : 2018/02/03(土) 22:54:15




    大都市、ロンドンから北に約100km。ここに私たちが通うケンブリッジ大学は存在する。


    31のカレッジから成り立つこの大学はなんと13世紀に創立した歴史ある施設である。



    私が通う獣医学はもちろん、歴史、法学、経済、倫理、理学、建築やITまで幅広い分野のカレッジがある。

    ケンブリッジに通う大学生はそこで寮生活するのが基本である。カレッジによって別れ、男女混合もあれば各性別のみの寮も存在する。




    生徒はイギリス出身が大半で約3/4を占める。とはいえ残りの1/4は世界各国から留学生が集結している。近場のフランスやドイツはもちろん、アメリカ、中国、オーストラリア、日本人も数十人いるそうだ。私は人の見分けがあまり苦手な方なので実際にこの大学に通う日本人と会話を交わしたことはないが。



    校門を潜り、カレッジを目指す。今日は休みであるが多くの生徒が部活や実験に励んでいた。


    すると隣から妙な音が聞こえてきた。


    「えへへ...お腹減っちゃった...」


    メイだ。どうやら電車の長旅でお腹が助けを求めているようだ。

    それにつられ私もさっきから我慢していた食欲が湧いてきてしまった。そしてつい、お腹を鳴らしてしまった。


    「私もお腹減ったみたい...お昼食べようか!」


    我慢しきれなかった二人の食欲は一致。大学に存在する学食の方へ向かった。

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kaideil

カイディル/P&G

@kaideil

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