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夢野「最終兵器彼氏」

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  1. 1 : : 2017/02/14(火) 14:26:56

    こんにちは。

    今日はバレンタインですね!

    今回は自分が最近読んだ『最終兵器彼女』のパロを書こうと思います。一人で読んだら何度も号泣していたであろう名作でした。

    熱のある内に、日付をまたがない内に書ききろうと思います。

    ネタバレ注意
    最終兵器彼女のストーリーに沿っているわけではなく、あくまで物語の軸はニューダンガンロンパV3とさせていただきます。(パロというより影響されたから近いものを書こうって感じです)
    うろ覚え+捏造+こんなことあったらいいな~みたいなお話ですが、よければお付き合いください。

    それではいきましょう
  2. 2 : : 2017/02/14(火) 14:39:14
    それなんてキーb…
  3. 3 : : 2017/02/14(火) 14:40:08


    キーボ「ハァハァ……待ってくださいよ!夢野さん!」

    夢野「秘密子と呼べい!それに、お主は体力が無さすぎる!ウチはちぃとも疲れとらんぞ!」ゼェゼェ

    キーボ「嘘です!肩で息をしていますね!」

    夢野「うるさい!早くこっちまで来んか!」


    ウチとキーボは付き合っておる。

    星と斬美の学級裁判の後、キーボに告白されたのが始まりじゃ。


    夢野「……本当に好きなのか?ウチのことが?」

    キーボ「はい!大好きです!」

    夢野「お主はロボットであろう……?恋愛感情とは無縁のはずじゃ……」

    キーボ「そんな!ロボット差別……ですけど、そう思われても仕方がないのかもしれません。僕がロボットだから、不安にさせてしまうかもしれません。けど大丈夫です!安全チェックは通ってるんです!」

    夢野「確かに人間の安全チェックはちと難しいな……だが、そういう問題ではないのじゃ!そもそも……」

    キーボ「そんなに言うなら!夢野さんが僕を人間にしてくださいよ!ロボットに恋愛感情がないのなら、僕のこの気持ちはなんですか!?胸の内から聞こえる声は!?これも作り物なんですか!?」

    夢野「……!」

    キーボ「教えてくださいよ!僕一人じゃ……わからないんです!」

    夢野「……まったく、ウチは告白された側じゃぞ。どっちの立場が上かわかったものじゃないわい」

    キーボ「うっ……すみません」

    夢野「……秘密子」

    キーボ「!」

    夢野「秘密子と呼べい。キーボよ」

    キーボ「はい!!夢野さん!!」


    弁明の余地なく、かなりポンコツなこいつじゃが

    ウチはちぃとだけ、こいつの言葉に惹かれ始めたのじゃ。


    夢野「ほれ、今日はここでピクニックじゃ!」

    キーボ「いいんですか?アンジーさんや生徒会の皆さんに内緒で……」

    夢野「いいんじゃ!ウチらはカップルじゃからな!」

    夢野「これは駆け落ちじゃ!!」ズビッ

    キーボ「違うと思いますが……」
  4. 4 : : 2017/02/14(火) 14:54:51

    夢野「ほれ!何をしておる!座れ!ウチの魔法でブルーシートを敷いておいたぞ!」

    キーボ「その小さなバッグから取り出して今敷きましたよね?」

    夢野「うるさい!これは取り寄せバッグと言ってな、魔法のアイテムなのじゃ!」

    キーボ「あぁ!ドラえもんの秘密道具ですね!」

    夢野「魔法じゃ!」

    キーボ「科学です!」

    夢野「魔法!」

    キーボ「科学!」

    夢野「ムムぅ~!なぁにが科学じゃ!そんなもの魔法と比べれば大したことないわい!」

    キーボ「……科学を馬鹿にしないでください」

    夢野「!」

    キーボ「科学がなければ、僕は生まれていないんですよ」

    夢野「……ぬぅ、すまんかった」

    夢野「科学は、魔法の次に凄いぞ!」

    キーボ「それでも下なんですか!?」

    夢野「威張るでない!お主はウチの彼氏!ウチの尻に敷かれる存在じゃ!」

    キーボ「ブルーシートと浮気を!?」

    夢野「お主めんどくさいな!?」ガーン!!


    アンジー「あ~!秘密子見つけたよ~!」

    夢野「あ、アンジー……」

    アンジー「キーボと二人でなーにやってるの?生徒会の会議の時間だよー?」

    キーボ「すみません、僕たちは……」

    夢野「……すまん。すぐ行く」

    キーボ「!」

    アンジー「うんうん。それでいいんだよー!秘密子の神さまも喜んでるよー!」

    夢野「……」

    キーボ「夢野さん……」

    夢野「行くぞ、キーボ」

    キーボ「……はい」

    そそくさとここを離れようとする夢野さんの背中を見て、僕は夢野さんが敷いたブルーシートを片付けようとした。

    そのとき、夢野さんの忘れ物に気づいたんです。

    キーボ「……水筒?」

    それも二人分。

    片方は随分とベタベタしていて、手に取るのを躊躇してしまったのですが、水筒に付着したシールに書いてある名前を見てすぐに手に取りました。

    あぁ、僕のためにオイルを用意してくれたのか。

    そう解釈し、水筒の蓋を開けると

    キーボ「……オレンジジュース」

    彼女は僕を、人として見てくれようとしていた。

    そうだ、彼女は緊張しいだった。

    緊張して、取り出すときに溢してしまったのだろう。

    キーボ「……」コポポポポ……

    グイッ

    それはまるで、僕の感情を飲み込んだようだった。
  5. 5 : : 2017/02/14(火) 15:23:40

    夜、眠くなったウチは部屋に帰ると、扉の前に水筒と、ブルーシートが置かれているのを目にした。

    夢野「……!」

    ダッ

    瞬間、勝手に走り出した足が、意思が、止まらない。

    ブルーシートを片付けさせてしまった、水筒とあわせてここまで持ってきてもらった責任感、いや。

    ピンポーン!!ピンポーン!!

    デートの続きをしたい、高揚感!

    夢野「キーボ!キーボ!」

    ドンドンドンドン!!

    眠気が一瞬にしてとんだそれは、まるで魔法のようじゃった。

    ガチャ

    夢野「!」

    キーボ「夢野さん……」

    夢野「秘密子と呼べい!」

    キーボ「夢野さん……どうしてこんな時間に?」

    夢野「特訓じゃ」

    キーボ「え?」

    夢野「特訓なんじゃー!」

    キーボ「えええええ!?」

    夢野「知っとるか!?最原は毎晩こっそり抜け出して、筋トレをしておるのじゃぞ!」

    キーボ「! 生徒会として取り締まらないと……!」

    夢野「そうではない!最原を見習うのじゃ!奴は己の弱さと向き合っておるのじゃぞ!」

    キーボ「けど、生徒会が……」

    夢野「ええい、お主の部屋でやれば問題なかろう!」

    キーボ「僕の部屋で!?」

    夢野「カップルならいいのじゃ!」

    バタン!!

    夢野「……」

    ぬぅ、勢いで入ってしまった……。

    男子と部屋で二人きりなんぞ、師匠以外では初めてじゃ……。

    夢野(突然緊張してきたぞ……魔法は切れるのも一瞬じゃな)

    キーボ「それで、特訓とは?」

    夢野「うむ!腕立て伏せ100回じゃ!」

    キーボ「腕立て伏せ!?スタミナつくんですか!?」

    夢野「やればスタミナもつくであろう!ほら!ウチも隣でやってやる!」

    キーボ「えぇ!?…わかりましたよ!」

    ウチらは横並びにうつ伏せになり、腕立て伏せを始めた。

    キーボ「イチ……ニ……」

    夢野「……」プルプル

    キーボ「サン……シ……!」

    夢野「……」プルプル

    キーボ「夢野さん!?さっきから進んでませんよ!?」

    夢野「これはっ!超高速でやっておるからっ!お主には見えないだけじゃ!」プルプル

    キーボ「動いてないですよね!僕のカメラ機能を使えばすぐに……」

    夢野「禁止じゃ!」

    キーボ「!?」

    夢野「禁止!カメラ機能とか、その体の機能を使うのは禁止じゃ!」

    キーボ「そ、それじゃあ僕は動けません!」

    夢野「ぬぅ、それなら人間的な機能以外は禁止じゃあー!これでどうじゃ!文句ないじゃろ!」

    キーボ「禁止……わかりました。僕の体に備わる様々な機能を禁止します!ごめんなさい、飯田橋博士!」

    夢野「うむ!それで……よ……」プルプル

    夢野「いアダァ!!」ゴトッ!!

    キーボ「夢野さん!大丈夫ですか!?」

    夢野「大丈夫じゃ……泣かんぞ……こんなことでは……!」ジワァ

    キーボ「夢野さん、今絆創膏を……」

    夢野「ならん、こんなものは魔法でもかけときゃ治るわい。それよりキーボよ!今どさくさにサボったな!?」

    キーボ「ドキッ!」

    夢野「お主が体力ないから始めたことじゃ!ほれ、また1からやり直しじゃ!」

    キーボ「だ、男子差別です!」


    ごめんなさい、夢野さん。

    僕はこのとき、嘘をついてしまいました。

  6. 6 : : 2017/02/14(火) 15:44:21

    それから、僕たちは毎晩の腕立て伏せを欠かさなかった。

    生徒会の目を盗んで……ではあるけれど、後ろめたい気持ちは少なく、とても充実していたと思います。


    3度目の殺人が起こるまでは。


    夢野「アンジー……転子まで……」


    2度目の裁判に続き、夢野さんはまたしても犯人の汚名を被されようとしていた。

    結果、最原くんの推理通り、犯人だった真宮寺くんがおしおきを受けたけれど。

    夢野さんを支えてくれた二人の喪失。

    それは夢野さんの心の喪失。

    夢野さんは酷く憔悴していた。


    キーボ「大丈夫です。夢野さん、僕が支えます……二人の分まで」

    その日の夜、僕は夢野さんの部屋に行った。

    僕を出迎えた夢野さんの目は虚ろで、昨日までの笑顔が嘘みたいに消えていた。

    夢野「キーボ……」

    キーボ「大丈夫です。大丈夫ですから……」

    夢野「キーボよ……少しだけ、もう少しだけそばにいてくれぬか」

    キーボ「はい、夢野さん」

    夢野「秘密子と呼べい」

    夢野さんと同じようにベッドの上に移り、壁に背中を預けて座ると、彼女の頭の重さが僕の肩に伝わった。

    軽いけど、重い。

    夢野「アンジー……転子……」

    時々流れる液体は、暖かく。

    気がつけば僕も、彼女と同じ物を流していた。

    ……そう思いたかったんです。

    目から流れるこの熱い液体の正体を、涙にしたかった。

    僕も、夢野さんと一緒に泣きたかった。

    こんなにも、悲しいのに。


    それを知ってか知らずか、夢野さんの涙は朝まで止まることなく、……きっと、僕の分まで流してくれていた。

  7. 7 : : 2017/02/14(火) 15:56:02

    それからの僕は日中、入間さんの研究室を訪れることが多くなった。

    入間「おう、綺麗なところだけど、まぁゆっくりしてけよ」

    入間さんは僕を優しく気遣ってくれるから、僕も行きやすかった。

    ただ僕は、このコロシアイを止めるため。

    これ以上、涙を流させないため。

    あの日の夢野さんの涙を、これから僕の見る最後の涙にしてもらうため。

    僕の体は、徐々に強くなって行く。

    入間「なぁ、キーボってヤった?」

    キーボ「!?」

    入間「おい聞いてんだよ!お前が童貞かどうかだよ玉ナシシティ!」

    キーボ「ヤったって……性交ですか?僕はまだ……」

    入間「まだァ~あ!?オメー夢野・貧乳・秘密子と付き合ってるんだろォ!?なァ~んでヤらねぇんだよ!付き合ってるならさっさとヤっちめぇ!!」

    キーボ「入間さん……それ本当ですか?」

    入間「ったりめぇだろ素人男優!」

    キーボ「入間さん!付き合ったら必ずヤるものなんですか!?」ガタッ

    入間「ひィイ!?せ、セックスは甘美なのぉ……!しゅごいのぉ…しゅるのぉ……」ビクンビクン

    キーボ「……そうですか。けど僕に、僕に出来るんでしょうか」

    入間「出来るぜ?棒はついてんだろ?」 

    キーボ「っ!こ、これは用途が違って…!排出物を出すために……!」

    入間「童貞のチンコと同じじゃねぇか!!早く使ってこいよぉ!!いいかぁ、こうやって……こうやって……」

    キーボ「い、入間さんっ!そんなっ!ダメですよぉ……!!」


    ガタンッ!!


    キーボ・入間「!」

    キーボ「今、物音が……」

    入間「……チッ、夢野に見られたな」

    キーボ「えぇ!?それは困ります!!」

    入間「俺様だって困ってんだよ!!さっさと誤解を解いてこい!!」

    キーボ「は、はい!」ダッ
  8. 8 : : 2017/02/14(火) 16:05:35

    夢野「ハァ、ハァ、ハァ……!」タッタッタッ

    キーボ「夢野さん!待って!待ってください!」タッタッタッ

    夢野「うるさい!もうウチのことは夢野と呼べい!」

    キーボ「そう呼んでます!お願いですから話を聞いてください!」

    夢野「嫌じゃ!不潔じゃ!近寄るでない!」

    キーボ「だから誤解なんですってぇ……!」

    夢野「ムムぅ…しつこい男じゃ。ぬっ、あれは……」


    タッタッタッ……


    百田「……ん?」

    夢野「百田!いいところにおった、助けてくれ!」

    百田「助ける?エグイサルが来やがったのか!?」

    夢野「いや、キーボじゃ」

    百田「キーボ!?」

    キーボ「やっと追い付きました……夢野さん、話を……」

    百田「おいキーボ!てめぇ夢野に何したんだ!」

    キーボ「百田くん!?何もしてません!僕たちカップルの話に首突っ込まないでください!」

    百田「カップルぅ!?お前ら付き合ってたのか!?」

    夢野「誤解じゃ!そいつが追いかけてくるのじゃ!」

    キーボ「だからそれこそ誤解ですって!話を聞いてください!」

    百田「おい、どういうことだよ……」

    キーボ「百田くん、ちょっと」


    僕は百田くんを草影に連れていき、録音したテープを聞かせた。


    百田「……」

    百田「なんつー会話してんだテメーはよ……こりゃ誤解されても仕方ないってもんだぜ」

    キーボ「百田くん、どうか協力してください」

    百田「おう!こりゃ早く解いてやんないとな。よし、戻るぞ」

  9. 9 : : 2017/02/14(火) 16:09:10
    期待せずにはいられないッ
  10. 10 : : 2017/02/14(火) 16:17:33

    夢野「むぅ……遅いぞ」

    百田「わりいな。だが夢野、謝るのはオメーの方だぜ!」

    夢野「謝るのはウチ……だと?」

    百田「あぁそうだ。つまりお前の誤解ってこった」

    夢野「誤解……?本当なのか……?」

    キーボ「だからそう言ってるじゃないですか!」

    夢野「……すまぬ。ここ最近、日中にキーボがいないものでな。今日は跡をつけてきたんじゃ」

    キーボ「夢野さん……」

    夢野「秘密子と呼べい。ウチだってな、寂しかったんじゃぞ……!」

    キーボ「!」


    僕は気づかされたんです。

    彼女の近くにいてあげること。

    それが彼女の涙を見ずに済む、一番の方法なのではないか。

    だけど、このコロシアイは……。

    ……いや、せめて今は、一緒にいてあげたい。


    キーボ「わかりました。夢野さん、すみませんでした。今日は一緒にいましょう」

    夢野「! 本当か!」

    キーボ「はい!……百田くん、ありがとうございました」

    百田「おう、任せとけ……ゲホッ!ゲホッ!」

    キーボ「!? 百田くん……!?血が!!」

    夢野「おい!百田!?」

    百田「キーボ……夢野、へへ、こっちも協力(・・)頼むぜ……」ニッ

    夢野「百田……うむ、承った」

    キーボ「僕もわかりました。どうか無理はしないでください」

    百田「あぁ…じゃ、邪魔物は去るぜ」


    キーボ「……」

    夢野「おい、キーボよ。今日は今後の予定を立てる日じゃ!」

    キーボ「今後の予定……?」

    夢野「そうじゃ!明日はシアターデート、次の日はカジノもよいな!とにかく計画しまくる日なんじゃ!」

    キーボ「それは名案ですね!僕はまたピクニックに行きたいです!」

    夢野「うむ!中庭ピクニックは気持ちいいからな!今度はちゃんと満喫したいものじゃ!」


    その日、僕たちは話し合った。

    この檻の中でのデートプラン、そして、ここを出たあとのこと

    話しているだけで幸せだった。


    結局、あの日、ピクニック以来デートはしていない。

    そしてこれからも、二度とデートをすることはなかった。
  11. 11 : : 2017/02/14(火) 16:39:19

    次の日、僕らはAVルームで映画を観るつもりだった。

    何の映画が好き、とか、どんなシーンが、とか、色々話し合ったけれど、それらは全て白紙に戻り

    入間さんの死体が発見された。


    彼女は王馬くんを殺すつもりだったらしいから、王馬くんを攻めることは難しかった。

    ゴン太くんのことは、本当に残念で……心臓が荒縄で縛られるような感覚に陥ったとき、心臓がないことを思い出して、僕はまだロボットなのだと自覚すると、悲しくなった。


    ただ僕は、入間さんとした会話がずっと脳に、データに焼き付いていたんです。

    その日の夜、僕は夢野さんの部屋を訪れた。


    夢野「キーボか。今回もお疲れじゃったな」

    キーボ「えぇ、お疲れ様でした」 

    もはやこの部屋に来ればお馴染みとなった、ベッドの上、壁に背中を預ける定位置に座る。

    「「…………」」

    お互いに疲れきっていることはわかっていた。

    わかっていたから、僕は、求めたのかもしれない。


    キーボ「夢野さん……」 



    僕はそっと、彼女の首筋に手を伸ばした。

    細く、薄く、柔らかい。


    夢野「……キーボ?」


    秘密子と呼べ、なんて言える余裕を

    ウチは持ち合わせていなかった。


    首筋に回された手は、動脈を登ってそのままなぞるように顎部に降り

    人差し指の膨らみに誘われて、二人の顔が近づいていく。


    言葉は必要なかった。


    必要なのは、唇の柔らかな感触と、そこから伝わる人肌のみ。

    ……必要なのは、それだけ。

    僕には、そのどちらもない。

    夢野「キーボ!」

    気がつけば僕は、人差し指を離していた。

    キスをすれば安心する。そんなことは、人同士だから起こりうることで

    ロボットである僕にはムグッ

    キーボ「……!」

    夢野「……ぷはっ」

    キーボ「夢野さん……!」

    夢野「秘密子と呼べい。…その、ずるいぞ!中途半端に投げ出すでない!助太刀してしまったではないか!」

    キーボ「夢野さん、すみません」

    夢野「むぅ、こういうのは男からするものじゃとばかり思っておったが、ふん、次は頼むぞ」

    キーボ「え、次?」

    夢野「うむ、次じゃ」

    キーボ「つ、次って、その……!」アタフタ

    夢野「あぁもう!男があたふたするでない!今日はもう寝るぞ!」

    キーボ「あっ、はい!では、これで……」


    ギュッ


    キーボ「!」

    夢野「……隣が空いておろうが。ウチを孤独死させる気か?」

    キーボ「……させません。絶対」

    夢野「うむ、それでよい」

  12. 12 : : 2017/02/14(火) 16:52:18


    春川「チョコレート?」

    夢野「うむ、甘いものは疲れをとる。それに好きな男子にはチョコを渡すものじゃぞ、ハルマキよ」

    春川「殺されたいの?」ギンッ

    夢野「ひっ……う、ウチは一緒にチョコを作ろうと提案しているのだ!どうだ、この提案を受けてくれるか!?」

    春川「……いいよ。っていうか、夢野も気づいてたんだね」

    夢野「んあ?おぉ、それはそうじゃ。ウチに気づけんことはないからな!カッカッカッ!」

    春川「……」

    夢野「は、早く始めるか……」

    ウチらはチョコレートを作った。

    好きな男子のために、だが、可哀想だから王馬と最原の分も作ってやった。もちろん本命は別じゃぞ。

    春川「あんた、流石にマジシャンなだけあって手先は器用だね」

    夢野「魔法じゃ。ウチに出来んことはない!」

    春川「ふーん……それで、その本命は誰に渡すの?」

    夢野「!?」

    春川「最原……かな?」

    夢野「お主……見る目ないのぉ」

    春川「?」

    夢野「まぁ、ハルマキは百田にちょんと渡せるとよいな!」

    春川「……うん」

    一緒にチョコを作り終えると、ハルマキと呼んでも許してくれるようになっていた。

    倉庫で舗装出来そうな物を探し、チョコを冷やして、渡すのは明日として、今日は解散した。



    次の日ハルマキは、百田にチョコを渡すことが出来なかった。


    王馬による、百田の監禁が始まったのだ。

  13. 13 : : 2017/02/14(火) 17:03:42

    絶望のデスロードをクリアしたウチらに告げられた黒幕宣言。

    百田の離脱。

    ウチらは皆、気が気じゃなかった。


    しばらくすると、張り詰めた緊張の糸が切れるようにして、百田の死の連絡を受けた。

    ハルマキはどんな気持ちだろうか。アンジーや転子を失ったウチと同じような気持ちか。

    ……正直、キーボが無事でよかったと安堵してしまったウチに、ハルマキを心配する資格はないだろう。




    最原「キーボくん、無理せずトイレ行ってきなよ」

    キーボ「ダメです!絶対に出せません!」

    最原「そんな頑なに……」

    キーボ「ダメったらダメなんです!僕の中にあり続けるんです!」

    最原「ちょっと汚いね……」ハハッ




    そして始まった学級裁判。

    嘘にまみれ混沌と化した裁判所の中、ハルマキの告白は、きっと百田に届いたであろう。

    けれどもウチは、深い絶望の渦に巻き込まれていた。



    夢野「キーボ!突然どうしたんじゃ!」

    キーボ「僕は……この学園を破壊します」

    夢野「頼む……やめるんじゃキーボ。ウチはお主が好きじゃ。この学園を破壊するということは、モノクマを、エグイサルを敵に回すということじゃぞ!死んでしまう!キーボが死んでしまう!」

    キーボ「……ごめんなさい、夢野さん」

    そう言って、キーボは飛んだ。

    人とはかけ離れた、兵器の姿をしていた。
  14. 14 : : 2017/02/14(火) 17:14:09


    夢野「嫌じゃ……キーボ、死なんでくれ……」


    ウチに出来ることは祈ることだけ。

    魔法が使えるくせに、MPが0から動かない自分を呪った。


    最原が、この学園の謎を解いてくれることを

    祈って、ウチも、歩き回るだけ。

    この学園を出た後のこと、いつか話したあの日のことを

    実現出来る日が、きっと来るんじゃな?


    そして始まった、最後の学級裁判。

    始まらなければよかった、そう後悔することになる、学級裁判。

  15. 15 : : 2017/02/14(火) 17:27:10


    最原「フィクション……?僕たちが……?」


    不思議と涙は出なかった。

    涙で済めば、それでよかったのかもしれない。

    ハルマキが百田を好きになったあの気持ちも、フィクション……。


    夢野「……待て、白銀よ、待ってくれ」

    白銀「ん?何かな?」

    夢野「そしたら、ウチはどうなる……?ウチの、キーボへの気持ちは……!」

    キーボ「! そうです!僕の夢野さんへの気持ちは!」

    白銀「あぁ、フィクション!」

    夢野・キーボ「!」

    白銀「ほら、キーボくんは視聴者の声が聞こえるって言ったじゃない?したらさ、夢野秘密子ってキャラが地味に人気だったんだよね」

    夢野「嘘じゃ……だって、そんな……」

    白銀「それにチョロそうだっから?視聴者からすれば、ちょっとしたギャルゲーだったんだよね~」

    夢野「嘘じゃあああああああっ!!!!」

    白銀「本当だよ~。あ、キスシーンは好評だったよ!だから夢野さんが殺されなくって本当によかったよ~!」

    夢野「嘘じゃ、嘘じゃ、嘘じゃ……そんな……」

    キーボ「僕のこの気持ちが……くっ……」


    最原「……」


    しかし、裁判は思わぬ展開を迎えた。

    絶望したウチらを救ったのは、赤松の意思を継いだ……


    最原「僕らは……このゲームを放棄するよ!」 


    最原だった。

    最原が、このゲームを、希望を、絶望を、全て、論破した。

  16. 16 : : 2017/02/14(火) 17:36:30

    白銀「はぁ、残念。模倣犯になれたと思ったんだけどな……」


    夢野「キーボ!」ダッ

    キーボ「夢野さん。ずっとずっと、ありがとうございました」

    夢野「秘密子じゃっ!キーボ!どうしても……どうしても生きていちゃダメなのか!?この気持ちがフィクションでも、ウチらの過ごした思い出はノンフィクションじゃ!」

    キーボ「仰る通りです……。でも、僕はこの学園を破壊して……僕も……」

    夢野「嫌じゃ……嫌なんじゃ……ここに来て、一度は決心したのに、どうしようもなく嫌なんじゃ……!キーボ!ウチを孤独死させる気か!?」

    キーボ「……」

    夢野「絶対させないと言ったのはお主だろう!この嘘つきめ!卑怯者め!」

    キーボ「……そうです。僕は嘘つきで、卑怯者です」

    最原「……キーボくん、ごめん。お願い」

    キーボ「はい。……それでは皆さん、お世話になりました」

    夢野「キーボ!!!」


    ヒューン……


    キーボは、兵器となって飛んで行った。

    倒壊、爆発、止むことのない破壊の音。

    その中に、ウチらは……

    夢野「……?」

    最原「……これは」 

    春川「夢野と……キーボの声?」


    キーボ「……(ごめんなさい、夢野さん)」

    キーボ「……(僕は夢野さんに嘘をついていました)」

    キーボ「……(孤独死のことじゃあありません。ほら、人間として以外の機能は使わないっていう、簡単な約束……)」

    キーボ「……(実はずっと使っていました。謝ります)」

    キーボ「……勇気をください、夢野さん」

  17. 17 : : 2017/02/14(火) 17:42:16


    夢野『海に行くのじゃ!ウチは思いっきり泳ぎたいぞ!』

    キーボ『海ですか!?』

    夢野『なんじゃ、防水加工もされとらんのか?』

    キーボ『いや、実は、僕……』

    夢野『……ははーん。泳ぐのが苦手なんじゃな!?』

    キーボ『ドキッ!』

    夢野『よし、最初はプールで練習じゃ!泳ぐのは簡単で楽しいぞ!こうして、こうして……』

    キーボ『ドジョウすくいですか?それなら僕も……』

    『ボカッ!』

    夢野『クロールじゃ!見てわからんか!』

    キーボ『いやけど、それはドジョウすくい……』

    『ボカッ!』

    夢野『何度でも言うがクロールじゃ!!』

    キーボ『もしかして、夢野さんもあんまり泳ぎは得意じゃ……』

    夢野『ドキッ!』

    キーボ『だから、水槽からの脱出は今まで成功したことがなかったんですね!』

    夢野『違う!ウチはじゃな……』

    夢野『……これから練習するのじゃ』

    キーボ『どうやら、僕と同じラインらしいですね』ニヤ

    夢野『ムッ!笑ったな!ウチはいぬかきなら出来るんじゃぞ!』

    キーボ『へへん!僕だって出来ますよ!』

    夢野『ぐぬぬぬ……なら!今度いぬかきで勝負じゃ!』

    キーボ『望むところです!いぬかきキーボくんと呼ばれた実力見せてあげますよ!』







  18. 18 : : 2017/02/14(火) 17:43:31
    泣ける…
  19. 19 : : 2017/02/14(火) 18:13:40

    夢野『ぬぅ、忘れておった。親御さんに挨拶せねばならん……』

    キーボ『飯田橋博士にですか?大丈夫ですよ!飯田橋博士は懐の広いお方です。きっと許してくれるどころか、僕が彼女を連れてきたって喜んで小躍りしますよ!』

    夢野『そうか……となると、問題はウチじゃな』

    キーボ『うっ……確かに、僕、大丈夫ですかね……』

    夢野『ウチの両親はたぶん大丈夫じゃ……が、師匠がな……』

    キーボ『師匠!?師匠のところにも行くんですか!?』

    夢野『当然じゃ!お世話になっている師匠は欠かせん!』

    夢野『ただ、師匠が許すかどうかはわからんのじゃ……』

    キーボ『ぼ、僕なんだか不安になってきました……』

    夢野『こうなったら手はひとつしかあるまい。キーボよ!魔法の練習じゃ!』

    キーボ『魔法の!?』

    夢野『そうじゃ!魔法で師匠を納得させる!このトランプを使った魔法なら、すぐに覚えられるはずじゃ!』

    キーボ『これってただのトランプですよね…?』

    夢野『ふふ、実はすでに魔法がかかっておる』

    『クルッ』

    キーボ『両面違う絵柄が!?』

    夢野『カーッカッカッ!そうじゃ!これなら魔法に疎いキーボも簡単に魔法が使えるわい!』

    キーボ『よーし……で、何をすればいいんですか?』

    夢野『貴方が選んだカードは……これじゃな!?という奴じゃ!簡単じゃからすぐ覚えられるぞ!』

    キーボ『おぉ!よくある奴ですね!よーし、出来る気がしてきました!』

    夢野『時間はないぞ!すぐにマスターするのじゃ!』

    キーボ『はい!師匠!』

    夢野『秘密子じゃ!』
  20. 20 : : 2017/02/14(火) 18:21:19


    春川「……そっか。これが二人の……会話なんだね……」

    夢野「うっ……うぅ……」


    その会話は、学園が破壊されている最中、ずっと流れ続けていた。


    ウチと、キーボの、記録──


    とてつもない爆音が響くと、それも聞こえなくなった。


    ウチらは、生きていた……。


    夢野「……」


    崩壊した学園、役目を放棄した檻。

    青い空から降るのは、絶望の残骸。

    それに、ウチの彼氏だった物。

    何故か、甘い香りを感じた気がした。


    夢野「チョコレート、口にあったらよかったがの」


    そういえば、味の感想も聞けなかった。

    ……キスの続きも、色々、させてあげたかった。してあげたかった。


    最原「夢野さん、行こう」

    春川「行くよ、夢野」


    最原も、ハルマキも、赤松に、百田に

    同じことを思ったんじゃろうか。同じことがあったんじゃろうか。


    二人が前を向いている。

    ウチも並んで、前を向く。


    ウチらの前に、地平線が広がっている。


    夢野「ハッピーバレンタイン。それから」

    夢野「ホワイトデー、待っておるぞ……キーボ」



  21. 21 : : 2017/02/14(火) 18:22:06

    …はい。終わりです。

    ハッピーバレンタイン。というわけで、バレンタインssでした。

    次は春のコトダ祭りか、春花杯か、どちらかでお会いしましょう(^-^)

    ここまで読んでくださってありがとうございました。お疲れさまでした。
  22. 22 : : 2017/02/14(火) 18:33:46
    お疲れ様です。最近クリアしたというのもあって心が軋むお話でした。
  23. 23 : : 2017/02/14(火) 19:23:34
    >>22
    ニューダンV3お疲れさまでした。
    本編が本編だったので明るい話がいいかとは思ったんですが、最近読んだ漫画にやられました()
    読んでくださってありがとうございました!
  24. 24 : : 2017/02/18(土) 06:25:43
    夢野「ホワイトデー、待っておるぞ……キーボ」

    このセリフが泣けました!

    あとフィクションだの視聴者の人気だの言った白銀は絶許

    とりあえず、とても尊かったです!
  25. 25 : : 2017/02/18(土) 14:39:35
    >>24
    ありがとうございます!
    夢野は今もホワイトデーのお返しを待ってます 

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